転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
それでは最新話をどうぞ!
4人のダークシグナーを倒したシグナーチーム、そんな中ダークシグナーのリーダー・ルドガーを倒すため旧モーメントへと向かっていた…。
《報告します、マスターの解呪に成功しました!これでもう大丈夫です!》
《魂の修復も完了です!無茶をしなければ大丈夫ですよ!》
「ありがとう2人共!あとは私に任せて!」
旧モーメントに向かう途中、遊海の解呪が完了する…翠は強く回復魔法を使い遊海のボロボロの身体を癒やしていく。
「ふぅ…これで一安心ね…」
「遊海治ったの!?…よかったぁ〜…」
翠の隣に座っていた龍亞が安堵の声を漏らす
「ええ…これで大丈夫のはず、あとは遊海さんが……」カクッ
「あっ!?翠さん!!」
翠は意識を失う…眠ってしまったようだ。
《龍可大丈夫ですよ、翠は少し疲れただけですから…》
《カードの力を使うには精神力を使いますし…それにユウミの事を心配していましたから緊張の糸が切れたのだと思います》
「そうなんだ…翠さん、遊海さんの事が本当に大好きなんだね…」
龍可は遊海に膝枕しながら眠る翠を見てそう呟いたのだった。
「見えてきたな…あれが旧モーメントのある場所か…!」
「すごい大きい…穴…!?」
サテライトの中心に近づくにつれ目的地が見えてくる、旧モーメント周辺は巨大なクレーターになっていた。
「龍亞…なんだか怖い…!あそこから怖い力を感じる…!」
「龍可!大丈夫!おれが絶対に龍可を守ってみせる!」
精霊の力を持つ龍可はその場所から得体の知れない力を感じる…龍亞は心配させないように龍可を励ますのだった。
「ここが…親父の作った旧モーメントか…!」
「遊星!階段がある!ここから降りようぜ!」
遊星達はついに旧モーメントまでたどり着いた…旧モーメントの周りは陥没し高さ30メートル程の穴になっていた…まるでクレーターのようだ。
「おい遊星…行くのはいいが2人はどうする?オレが見てるか?」
「むっ…翠さんも寝てしまってるのか…」
遊星は車を覗く…そこでは回復した遊星と疲労で眠っている翠の姿があった。
「確かに2人を置いていくのは少し危ねえしな…」
《大丈夫だよ!翠達は…》
《私達が守るよ!》
「うわっ!?なんか出てきた!?」
クロウの言葉に答えるように2人の精霊が姿を現す。
「あなた達は…翠さんの精霊?」
《うん!私はウィンダ!》
《わたしはウェン!よろしくね!》
龍可の問いに答えて自己紹介をする2人…ついでに霊獣状態である。
《私達が翠達とみんなのDホイールを守ってる!あなた達はダークシグナーを倒してきて!》
「ウィンダといったか…任せて大丈夫なんだな?」
遊星がウィンダに問いかける
《任せておいて!戦い(物理)には慣れてるから!》
「…すまない2人を頼む…!」
《うん!頑張ってね遊星!》
こうしてシグナーチームは旧モーメントへと降りて行った。
デュエルダイジェスト 遊星対ルドガー
『来たな遊星…かつての仲間を地獄に突き落として来たか…』
「違う!オレと鬼柳の間に憎み合う理由は無かった!!お前達ダークシグナーがオレ達のすれ違いを利用したんだ!!」
旧モーメントの内部…その薄暗い吊り橋の上で遊星とルドガーは対峙している…。
『誤解?違うな、最初からお前達は命を懸けて憎しみ合う運命だったのだ!憎しみと悲しみに彩られた火花を散らしながら破壊へのモーメントを回す…私と不動博士のように!』
「なんだと!?」
『フハハ…これを見るがいい!!』クイ、カチッ!
ズガガーン! キュイイーン!! バチバチ!
「うわぁぁっ!?」
「な、なんだぁ!?」
ルドガーが義手のスイッチを押す、するとモーメントの何処かで爆発が起き足元から禍々しい虹色の光が溢れ出す…その光はモーメントの光、それが左回転しながら上へと昇っていく…!
『見えるか?遊星…これこそが17年前に私と不動博士が見つけた新たな可能性への扉だ!この光の向こうにはこの世界を変える力が眠っているのだ!やがてこの光はここから溢れ…この世界を覆い尽くす!』
「そこに…そこに大きな犠牲が伴うとしてもか!!」
遊星は声を荒らげる…その脳裏には消えていくサテライトの人々、そしてラリーの姿があった。
「ルドガー!オレは貴様を許さない!許すわけにはいかない!!」
『フッ…新たな可能性の前に多少の犠牲はつきものだ!見るがいい!この美しい光を!この光は運命そのものだ!この光は生きている!私の!不動博士の運命を飲み込み生命を得たのだ!!』
ルドガーは光に酔ったように捲し立てる…その瞳は鬼柳やバクラとは違う狂気に支配されていた…。
「ルドガー!貴様は狂っている!!これ以上貴様の好き勝手にはさせない!!」
遊星はルドガーの言葉を否定しデュエルディスクを構える!
『理解を得ようとは思わない!父親と同じように貴様もこの光の中に葬ってくれる!!』
『「デュエル!!」』
「ぐっ…!」
『フハハハ…無様だな遊星、もうすぐ逝かせてやろう…光の中に眠るお前の両親のもとにな…!』
遊星は追い詰められていた…ルドガーによる先攻2ターン目の「地縛神Uru」の召喚、さらにサポートカードによる徹底したロック…遊星の残りライフは僅か50となっていた…。
「まだだ…!オレのライフはまだ残っている…!!」
遊星はダメージを受けボロボロの体で立ち上がる…その瞳には未だ闘志が灯っている
『フッ…不屈の闘志は父親譲りのようだな、強い運命を感じるよ…私を倒しに来たのが不動博士の息子とは…!』
「オレは貴様との運命など認めない!」
『強がらなくてもいい…お前のライフは残り50、間もなくお前の魂はモーメントの光の中に消える…その前に17年前の真実を話してやろう…!』
そしてルドガーは語り始める…17年前に何が起きたのかを…。
遊星の名前の由来…それは不動博士の見つけた新粒子「遊星粒子」に因んで名付けられた…人と人を繋ぐ歯車のような人物になってほしいと…そんな願いを込めて付けられた事
自分とレクスは不動博士の助手でありモーメント研究の手助けをしていた事、実験は順調に進んでいた…小さな異変が起きるまでは…。
〜17年前〜 ルドガーSide
「不動博士、出張願いを提出します!」
「ルドガー?何処に行くんだ?」
研究室で不動博士はある調査を行なっていた…それはモーメントの実験の度に起きる小さな地震についてだった、無論海馬社長にも報告しモーメントの稼働は一時停止している…。
「ナスカへ行きたいのです、あの地ではモーメントの稼働と同じタイミングで地震が起きているらしいのです」
「…その因果関係を調べたいという事か…確かにモーメントのコードネームはあの辺りの言葉から取っているが…うん、いいだろう!調査を頼むよルドガー」
「はい!ありがとうございます不動博士!」
こうしてルドガーは遠くナスカの地へ向かった…
「(五千年周期で争う邪神と天空の竜の神話…そして『ナスカの地上絵』は五千年前の邪神の封印された姿か…興味深いな、確かに地上絵には「蜘蛛」「トカゲ」「ハチドリ」「巨人」があるが…)」
ルドガーは荒野でバギーを走らせる…そしてこの地に残る神話とモーメントの関連性について考えていた。
「もう少し詳しく調べねば…」
ルドガーは地上絵を見つめ考える…
『ごきげんいかがですか?ルドガー・ゴドウィン博士』
「っ!?誰だ!!」
その青年はいつの間にかルドガーの後ろに立っていた…服装は熱帯で暑いはずなのに黒いコートを纏い黒いバイザーのような仮面を付けていた、しかし汗をかいている様子はない…。
『オレはイリアステルからやって来た者です…ドラゴンヘッドの痣を持つシグナー、ルドガー博士』
「イリアステル…?ドラゴンヘッド?なんの事だ…?」
『ルドガー・ゴドウィン、貴方は神に選ばれた人間だ…その左腕の痣が何よりの証拠…』
「この痣は生まれつきのモノだ!」
ルドガーは自身の左腕を見る…そこにはドラゴンの頭のような痣が刻まれていた…。
『それが赤き竜に選ばれた証…シグナーの痣、貴方は5000年周期で行われる争いに巻き込まれる運命にある…貴方はもう逃れられない…』
「馬鹿な…本当に神話の戦いが起きるというのか!?」
『既に準備は始まっています…我々イリアステルは貴方に期待している…貴方がモーメントを動かす事で人類に新たな進化をもたらす事を…!』
「モーメントを動かすだと!?あれはまだ完璧ではない!しっかり異常の原因を見つけなければ…!」
『…この世界の貴方は少しまともすぎるようだ…このままじゃいけないな…』
その瞬間青年は姿を消す
「なっ…何処に…」
『頼みますよルドガーさん、貴方はこの世界を救う礎になる人なのだから…!』
「なっ…うわぁぁぁ!!!」
青年は一瞬にしてルドガーの背後に回り込み背中に手を当てる…手からルドガーの身体を侵食する黒いエネルギーが放たれ…ルドガーは気を失った…。
「っ…私はいったい…これは…!?」
しばらくして意識を取り戻したルドガー…その右腕には紫の蜘蛛の痣が現れていた…。
〜運命の日〜
ビーッ!ビーッ!
「な、何事だ!?」
モーメント研究所に警報が鳴り響く
「不動博士!大変です!制御装置のカードが盗まれました!」
「なんだって!?犯人は!」
「…ルドガー…ルドガー・ゴドウィンです!」
「なんだって!?」
「ルドガーはモーメントのコントロールルームへ向かっています!!」
「っ…わかった!君は避難と通報を!私はルドガーを止める!!」
「わ、わかりました!!」
不動博士は研究員に避難するように伝え研究室を飛び出した…。
「ルドガー!!」
『不動博士…よくいらっしゃいました』
モーメントの前で二人は対峙する…ルドガーは数人の黒服の男を従えていた…。
「お前…いったい何をするつもりだ!」
『モーメントの限界を見たいのです…モーメントは人類に新たな進化をもたらす光!それをこの目に焼き付けたいのです…!』
ルドガーは狂気に侵された目で不動博士に叫ぶ
「ルドガー!わかっているのか!?今この町にはたくさんの人々がいる!大勢の人を危険に晒すつもりか!」
『危険かどうかはやってみないとわからないでしょう…!制御装置を取り除いたモーメントの力は想像できないのですから!』
ルドガーは「スターダスト」「レッドデーモンズ」「エンシェントフェアリー」「ブラックローズ」のカードを不動博士に見せつける…
「ルドガー…せめてそのカード達は返してもらうぞ!!」ドン
『ぐっ!?』
不動博士はルドガーに体当りし4体のドラゴンを奪い返す…しかし
『お前達!カードを取り返せ!!』
バンバンバンバン!!
「ぐはっ…!ぐぅぅぅ!!」
黒服軍団による一斉射撃…不動博士は数発被弾しながらも彼らから逃げ延びた…「エンシェントフェアリー」のカードを落とした事に気づかずに…
『…逃げられたか、まぁいい…ん?「エンシェントフェアリー」のカードだけ落としていったか…』
不動博士に逃亡を許したルドガーは「エンシェントフェアリー」のカードを拾いあげる…
ドクン!
「…イリアステルよ、私がモーメントを起動する…避難するがいい」
『ぬかるなよルドガー、あの方も結果を楽しみにしているのだから…』
黒服軍団はそのまま去っていった…
「…私は…なんという事を…!!」
ルドガーは「エンシェントフェアリー」のカードを手にした瞬間、正気を一時的に取り戻した…それは赤き竜の最後の抵抗なのだろう、しかし頭の中には冥界の王の声が響いている…。
【モーメントヲ動カセ…冥界ノ扉ヲ開ケ…】と
「…私が正気でいられる時間はあと僅か…ならば…!!」
ルドガーは自身の左腕を見つめ覚悟を決めた…!
「兄さん!」
ルドガーの弟・レクス・ゴドウィンが制御室に駆け込む…不動博士から三枚のドラゴンを託されたレクスは兄を止めるために探していたのだ。
『ぐっ…来たかレクス…これを…受け取れ!!』ガラン
「兄さん!?…これは…!!」
制御盤の光だけが室内を照らす中ルドガーは大きなビーカー型の機械を投げ渡す…その中には切断された自身の左腕が入っていた。
『レクス…私の腕を持って逃げろ…私の正気が保たれているうちに…早く!!』
「兄さん!なんだ…なんでこんな事を!!」
『レクス…私の体には赤き竜と邪神…2つの神がやどった!しかし私は邪神の道を選ぶ!!早く行け…行くんだ!!』バンバン! チュイン
「兄さん…!」
ルドガーはレクスの足元に銃弾を打ち込む
『これから先…「シグナー」という者達が少なくとも4人現れる!何年かかってもいい!彼らを助け…私を斃せ!!』
「兄さん…ごめん…!!!」
レクスは腕を持って立ち去った…一筋の涙を残して…
「これでいい…あとは頼んだぞ、我が弟よ…!」
ルドガーは制御盤の前に立つ
『これで私は生まれ変わるのだ…ダークシグナーとして!!』カチッ
ルドガーは破滅へのスイッチを押す…モーメントは致命的な負の回転を始め…閃光が全てを包み込んだ…。
Sideout
『あの時冥界の扉は開かれたのだ…5000年の時を超えて…』
ルドガーは過去の話を語り終える…17年前に起きた赤き竜と邪神、その前哨戦の顛末を…
「ルドガー!それで貴様は神を気取るつもりか!!その手で…どれだけの人々の生命を弄べば気が済むんだ!!」
『遊星…我が運命は気づけば神の手の中にあり…光と闇、2つの選択肢もあった!…私は心の闇を選んだ!間もなくこの世界は生まれ変わる!!それが私の答えだ!!』
「ルドガー…!」
遊星はルドガーを睨みつける
『フフフ…いい目だ、感じるぞお前の憎しみを…!私を憎め!その憎悪は我々の力となる!…デュエルを再開する!いけ!「地縛神Uru」でダイレクトアタック!!』
「まだだ!断ち切らせはしない!『ゼロガードナー』をリリースしバトルダメージをこのターン0にする!!」
再開されるデュエル、地縛神の糸による攻撃を遊星の場の小さな青いロボットの切り離した『0』型のモニュメントが受け止める!
『なんとか攻撃を防いだか…しかし私に勝つ事は不可能だ!』
「いや!言ったはずだ!オレのライフはまだ残っている!!オレは掴んでみせる…勝利への道筋を!!」
「どうしよう…!次にダイレクトアタックを受けたら遊星が…!」
「遊星を信じろ…アイツはこんなところで負けるデュエリストじゃねぇ…!アイツはきっと勝つ!!」
不安を口にする龍亞…牛尾は2人のデュエルを見つめながら遊星の勝利を信じ続けていた…。
「オレはこの時を待っていた!『スターライトロード』の効果により現われろ!『スターダストドラゴン』!」
『なんだと!?』
遊星はルドガーの戦術を読み2枚のカードを伏せる…そしてルドガーのターン、遊星の希望である3枚の伏せカードを「地縛旋風」で破壊しようとするルドガー…遊星はそれを逆手に取り「スターライトロード」を発動、その効果により遊星の真の希望…相棒たる「スターダストドラゴン」が飛翔する!
「そして更に罠カード『シューティング・スター』を発動!フィールド魔法『スパイダーウェブ』を破壊する!」
『甘いぞ遊星!トラップカード「虚無坑」を発動!「Uru」の攻撃力をエンドフェイズまで0にする事で魔法・罠の発動と効果を無効にする!』
「そう上手くはいかないか…!しかしここからだ!!」
止められこそしたものの流れは遊星に傾いた、遊星は反撃に打って出る!
「オレのターン!ドロー!」
「魔法カード『
スターダストドラゴンが分身し、その姿そっくりのトークンが現れる
「バトルだ!『ワルツトークン』でルドガー!お前にダイレクトアタック!」
ワルツトークンがルドガーに突進する!
『血迷ったか!「地縛神の咆哮」の効果を発動!「ワルツトークン」を破壊し攻撃力の半分のダメージを与える!これで私の…!』
「やらせない!『スターダストドラゴン』の効果発動!カードを破壊する効果を無効にし破壊する!ヴィクテムサンクチュアリ!」
スターダストがその身を粒子に変え「地縛神の咆哮」が破壊される!
「いけ!『ワルツトークン』!」
『まだだ!トラップカード「鎮守の煌画」を発動!相手モンスターを強制的に「Uru」と戦闘させる!』
攻撃がルドガーに直撃する寸前、トラップの効果を受けたワルツトークンは急上昇…Uruへと特攻し爆散した…
『残念だったな遊星…私を倒すにはあと一手足りなかった!しかし恥じる事はない…我々は輝かしい1ページを刻んだのだ!』
「それはどうかな?」
『なにっ!?』
ルドガーは勝利を確信し爆煙の中の遊星に話しかける…しかし煙の中から現れた遊星は無傷、ライフもそのままの状態だった。
「『舞闘円舞』のもう一つの効果…『ワルツトークン』がバトルする時、お互いの受ける戦闘ダメージは0になる!さらに『ワルツトークン』を破壊したモンスターを戦闘破壊したモンスターの攻撃力はトークンの攻撃力分…つまり2500ダウンする!」
『なんだと!?』
ワルツトークンの力を受けたUruの力が減衰する。
「ルドガー!お前の運命なんて知ったことじゃない!だがお前は忘れている!狂わされた多くの人生がある事を!!残された人間がどれだけつらい目に遭ってきたかを!!!」
「遊星…」
「オヤジの研究が無ければ17年前の事故は起きずにすんだ…あの事故がジャックやクロウの両親の命を奪った!みんなの人生をめちゃくちゃにしたんだ!あれさえなければみんな暖かい両親がいて…幸せな日々を送れた筈なんだ!」
遊星の脳裏にはある風景が浮かぶ…それはサテライトから孤独にサテライトを見つめるクロウ、そして両親と遊ぶ子供を見つめるジャックの姿だった。
「なのに…どうしてあいつらはオレに笑いかけてくれる!?オレはどうしたらいいんだ!あいつらにどう償えばいいんだ!!答えろ!!答えてみろ!ルドガー!」
『…それがお前の心の闇か、遊星…』
遊星の口から吐き出される罪の意識…幼い頃から付き合う仲間達に対する罪悪感…それが不動 遊星が仲間との「絆」を大切にする起源だった…。
「それはオレが答えるぜ遊星!」
「クロウ…!」
遊星達のいる吊り橋の少し下の窓からクロウが叫ぶ…彼は別行動で旧モーメント研究所を探索していたのだ。
「遊星…お前はそんな気持ちを背負って生きてきたんだな…すまなかった!仲間なのに今まで気付いてやれなくてよぉ…だけどな遊星!オレは自分の人生がお前やお前のオヤジさんのせいだなんて思った事は一度たりともねえ!…だからお前がそんな事に責任を負う必要はねえんだ?もしオレに運命があるんだとしたら…それはお前やジャックと…かけがえの無い仲間と出会った事だけだ!…遊星勝て!オレ達と…サテライトのみんなの為に!!」
「クロウ…」
クロウの…仲間達の本心を聞いた遊星、闇に沈みかけた心に再び火が灯る…彼の心を占めるのは絶望に非ず…彼の心を照らすモノ、それは…
「ルドガー…オレの心を照らすのはお前の狂気の光じゃない…!オレのかけがえの無い仲間達との『絆』の光だ!…そしてこのデュエル、このカードがオレの場に残った最後の希望!!トラップカードオープン!『
遊星の場に光の柱が立ち昇る…その中から再び「スターダストドラゴン」が飛翔する!
『バカな…「スターダスト」が復活しただと!?』
「『星屑の残光』の効果により墓地から『スターダストドラゴン』が復活する!…これで決める!いけ『スターダスト』!シューティング・ソニック!!!」
スターダストから白銀の息吹が放たれる…それは弱体化したUruに直撃…邪神を粉砕した!
『ぐ…うおぁぁっ!!?』
ルドガーLP0
遊星WIN!
『グッ…あ…ああ…フ…フハハハ…!』
ライフが尽きたルドガーは膝をつく…しかしその顔は不敵に笑っていた…
『シグナー共…これで終わったと思うな…!既に最強の地縛神は解き放たれた…!そして日没までに全ての制御装置を作動させなければ冥界の扉が開き…「冥界の王」は復活するのだ…!』
「なんだと!?」
ダークシグナーの勝利条件を話しながら他のダークシグナー達と同じように炭化していくルドガー…しかしその機械の左腕が怪しい光を放つ!
『不動 遊星…!お前をここから帰すわけにはいかんのだ…!ウォォォ!!』カチッ
ルドガーは義手のスイッチを起動するそれは…
ズガガァァァン!!
爆弾の起爆装置だった…遊星は不安定な吊り橋の上…支えを失った遊星はモーメントの禍々しい光に吸い込まれていく…!
「しまった!!う、うわぁぁぁ!!!?」
「「「遊星ぇぇぇ!!」」
そして遊星はモーメントの光へと消えていった…。