転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
そしてダークシグナー編もいよいよ佳境!残るダークシグナーは3人…遊海達はどのような結末を迎えるのか?
それでは最新話をどうぞ!
遊星がモーメントに落下した頃…サテライトの荒野を1台のDホイールが岩を砕きながら疾走していた、そのDホイールを駆るのはジャック・アトラス…ダークシグナーと化したカーリーを救うためにハチドリの制御塔へと向かっていた…。
「カーリー…!そこにいるのか…?何故お前がダークシグナーなどに…!」
前方に制御塔が見えはじめる…ジャックの脳裏では短い間だったが自分を甲斐甲斐しく世話してくれていたカーリーの姿を思い出していた…。
「カーリー!俺だ!ジャックだ!いるならば出てこい!!」
ハチドリの塔に到着したジャックはカーリーに呼びかける…すると
ブルル…ギュイーン!
ジャックのDホイールを飛び越え1台の赤いDホイールが現れる…それはカーリーの駆るDホイール「ミネルヴァ」だった。
『待っていたわ…ジャック』
ヘルメットを外しカーリーがジャックに声をかける
「カーリー…本当にお前なのか?」
『ええ、そうよ…眼鏡が無いから見間違えちゃったかしら…貴方にもう一度逢う為にダークシグナーとして蘇ったの』
「何故…何故だ!ダークシグナーとは死した亡者だと聞いた!何故お前は死んだのだ!」
『…ディヴァインに殺されたの、私は貴方の役に立ちたかった…だからアルカディア・ムーブメントに潜入して情報を手にいれようとしたけど…失敗しちゃった…』
鬼柳と遊星の初デュエル後…ジャックはカーリーの元から離れた、彼なりに世話になった彼女を危険に晒すまいとした行動だったが…それは裏目にでてしまう。
ジャックに好意を抱いていたカーリーはジャックの役に立とうとアキの所属していたアルカディア・ムーブメントに潜入する…しかしディヴァインに見抜かれサイコデュエルに突入、デュエルの末に墜落死し…ダークシグナーとして復活してしまったのだ…。
「…俺はお前があの場所で地縛神の生贄になったと思っていた…だからダークシグナーを倒せばあるいはと…!」
『私が戻ってくると思っていた?…ジャック、まさか私と戦えないなんて言わないわよね?』
「馬鹿を言うな!…お前が俺に弓を引くなら…力づくで矢をへし折ってやる!!」
『そう…それでこそジャック・アトラス…私と貴方はシグナーとダークシグナー!捻れた運命で結ばれた者!』
カーリーの痣が妖しく輝き地上絵のフィールドが現れる。
『準備が整ったわ…始めましょうジャック、私達の運命のデュエルを!!』
「(本気なのだなカーリー…本気で俺に挑むというのか!!)…いいだろう!かかってこい!!このジャック・アトラスがお前を止めてみせる!!」
「『デュエル!!』」
デュエルダイジェスト ジャック対カーリー渚
…………
『ジャック…ジャック…!目を覚まして…!』
「うぅ…ここは…?」
朦朧とした意識を引き上げる…俺は何をしていたんだ?それよりもいつの間に眠っていた?
『ずいぶん魘されていたわ…大丈夫?』
「カーリー…!?デュエルは…デュエルはどうなった!?」
俺を起こした声の方を向けばダークシグナーの姿のカーリーの姿があった…俺はカーリーを助ける為にデュエルをしていたはず…いったい何が…!
『ジャック?覚えてないの?貴方はダークシグナーになったのよ』
「なんだと?そんな馬鹿な…事……バカな…!」
カーリーに言われ自分の身体を確認する、右腕にはハチドリの痣が…そして鏡には黒い衣装を纏い白目が黒く染まった…ダークシグナーと化した自分自身の姿があった。
『ジャック…貴方はあの時私に負け、魂は失われた…そして私の力でダークシグナーとして蘇ったのよ』
その時、ジャックの脳裏に今までの出来事が蘇る…
「未来王の予言」の効果を受けた「フォーチュンレディ・アーシー」のダイレクトアタックが直撃しカーリーとのデュエルに負けた事
死した直後にカーリーを通して冥界の力を得てダークシグナーとして復活した事
…そして十六夜を、龍可を、白野を…そして遊星を打倒し赤き竜を滅ぼしダークシグナーを勝利に導いた事を…。
『貴方が私達の味方になってくれたおかげで冥界の王が蘇り…この世界は地獄へと変わったのよ!』
ジャックはベッドから立ち上がり外の世界を眺める、そこに広がるのは太陽の光を通さない程の闇雲、そして大地を流れる灼熱の溶岩の河…大気を汚す硫黄の匂い…まさに地獄と呼ばれる景色だった…。
『貴方は私以外のダークシグナーを降しこの地獄の覇者…ダークキングになったの!』
「ダーク…キング…、そうだ…!思い出した!俺は死によって目覚めたのだ!仲間も…絆も…ぬるま湯の平和もいらん!!力こそが支配するこの世界こそキングの目指した高みだ!」
『ああ…すばらしいわジャック…!この世界こそ私達の望んだ世界!行きましょう!この世界を見に!』
部屋から出たジャックとカーリーは死人の担ぐ黄金の御輿に乗り地獄の世界を練り歩く…
『ジャック…今やこの世界のモノ全てが貴方に忠誠を誓っているわ!本当に素敵よ…!』
「うむ…しかしこの世界には生者はいないようだな…ん?…あれは…」
灼熱が支配する地獄…その中でジャックはキラリと光る物を見つける、それはひび割れたカーリーのメガネだった…その時、ジャックの脳裏に笑顔を浮かべだカーリーの姿が蘇る…!
「違う…」
『どうしたのジャック?』
「違うと言ったのだ!!この世界は本当にお前が望んだ世界ではない!!!」
ジャックは正気を取り戻す、彼の知る「本当のカーリー」はこのような地獄は望まない…彼女が好きなモノ、それは人々の笑顔なのだから…!
…………
「ハッ…!?」
ジャックは現実に戻ってきた…今までの出来事はカーリーの見せた白昼夢…幻覚だったのだ
『ジャック!?どうして!!運命に逆らおうとするの…私が勝てば私達は幸せな未来を手にできるのよ!?』
幻覚から開放されたジャックにカーリーが呼びかける
「…わかっていないなカーリー…」
『えっ…?』
ジャックは地面に落ちたカーリーの眼鏡を拾い上げながら呟く
「あのような紛い物の未来など俺達が辿り着く未来ではない!…これは他ならぬお前が教えてくれた事だ!リバース罠『チェンジ・デステニー』を発動!『アーシー』の攻撃を無効にする!!」
ジャックは眼鏡を大事に抱きながらトラップを発動し「アーシー」の攻撃を防ぐ、そのカードは奇しくも『運命を変える』カードだった…。
「『チェンジ・デステニー』のさらなる効果!お前は2つの効果から選ぶ事ができる!1つは『アーシー』の攻撃力の半分…1400ダメージを俺に与える事!そして同じく攻撃力の半分自分のライフを回復する事だ!…これを見ろカーリー!」
ジャックはカーリーの眼鏡をカーリー自身に見せつける
「思い出せカーリー!俺の知っている『カーリー渚』は地獄と化した世界で幸せを掴む事なんて望むはずがない!」
『ぐっ…そんな事はない!私はダークシグナー…この世界を闇に染める使者なのだから…!』
ブルル…バシューン!
「っ…待て!カーリー!!」
カーリーは停止していたDホイールを走らせる、ジャックもそれを再び追いかける!
『私がダークシグナーとして蘇ったのは、貴方と一緒にこの世を地獄色に染めて二人で世界を支配する為!それが私達の望みそれが私達の運命なのよ!!』
「それは違うぞ!かつてのお前はまやかしの運命に翻弄されていた俺を目覚めさせてくれた!…俺はあの時の言葉を忘れない!俺は自分で生きる道を決めてみせる!カーリー!『チェンジデステニー』の効果を決めろ!それがお前の本当に望んだ未来だ!!」
現在のジャックのライフは800、カーリーがダメージ効果を選べばその時点でデュエルは決着する…!
『どうして!?さっきは「アーシー」の攻撃を躱しておきながら…!』
「定められた運命など存在しない!…その事をお前に知らしめる為だ!」
『(バカなジャック…、散々焦らしておいて結局は私の言う事に従うのね…いいわ!今度こそ私のモノにしてあげる…!)私は…第い…!』トクン!
ジャックを自分のものにしようとするカーリーは1つ目の効果を選ぼうとする…しかしその時、胸にチクリと針が刺さったような感覚に陥る、その瞬間カーリーの脳裏には短いながらもジャックと共に過ごした楽しい日々が蘇っていた。
『…私は…自分のライフを回復する効果を選択する!』
「カーリー…!正気に戻ったのか!」
「チェンジデステニー」の回復効果を選んだカーリー、その瞳は元の白目に戻っていた…そもそもカーリーを殺したディヴァインは既に倒されておりカーリーのダークシグナーの力による侵食は半端なものになっていた、そしてカーリーのジャックに対する『愛』が正気を呼び戻したのだ…。
「カーリー!」
『ジャック…!私…こんな戦いは望んでない…!』
「ああ…!お前は人を傷つける事を望んだりする奴じゃない!…俺がその事はよくわかってる!!」
『ジャック…私がこのデュエルを終わらせる!…私は…』
【お前の望みなと関係ない…このデュエルはダークシグナーとしての宿命なのだ…!戦え、シグナーを殺せ…!】
『【う…うああああ…!ジャック…助け…!!】』
「カーリー!?しっかりしろ!」
サレンダーを宣言しようとしたカーリー…しかし彼女に宿る地縛神がそれを許すはずがない、低い声が響き地縛神の意思は再びカーリーの意識を黒く塗り潰した。
「貴様か!!カーリーを闇へ引きずり込んだ張本人はぁぁぁ!!!」
【『フフフ…シグナーよ!愛する者の手によってその魂を喰らい尽くしてくれるわ…!』】
「許さん…許さんぞ貴様ぁぁぁ!!!」
ジャックは怒りの咆哮を上げる、カーリーを救うためにジャックはその魂を燃え上がらせた!!
【『フフフ…ジャックよ!我の生贄となるがいい!…5000年の時を越え冥府の扉が開く!我らが魂を新たなる世界の糧とするがいい!降臨せよ!「地縛神Aslla Piscu」!!』】
《ピョロロロロ!!!》
「現れたな…地縛神!!」
サテライトの黒い霧を生贄にオレンジのラインの入ったハチドリの地縛神が降臨する…!
「カーリー…俺は命を懸けてお前を止めてみせる!」
【『ならばそのまま死ぬがいい!「アスラピスク」でダイレクトアタック!!』】
「させん!!手札から『バトルフェーダー』を特殊召喚!効果によりバトルフェイズを終了する!!」
ジャックの手札から振り子時計のような悪魔が現れ鐘の音が鳴り響く…その音波に怯んだアスラピスクは攻撃を中断する!
【『チィッ…!』】
「カーリー…聞いてくれ!かつての俺は他人を思いやる事など無い傲慢な人間だった!…友を裏切り、傷つける事を厭わず…己の欲望の為にあらゆるものを犠牲にしてきた男だ!だが俺は…お前に出逢って教えられた!傷付き荒んだ心も真に思いやる心によって救われるのだと!俺は今…心の全てを掛けて願う!真に愛する者…お前を救いたい!!!」
それはジャックからの愛の告白だった、自身を尊敬し本当に愛してくれた人…そして『ジャック・アトラス』を真の意味で復活させてくれた女性へのジャックからの精一杯の愛の言葉…それは奇跡を引き寄せる!
シュイイン…!
「これは…!!」
ホイールオブフォーチュン、そしてジャック自身が赤い光を纏う…そしてその背中に赤き竜の痣が集い完成していく…!!
「仲間達の痣が…俺に力を貸してくれるのか…?この光は…!」
ジャックのデッキトップが光輝く、それは希望を導く奇跡の光…シグナーの絆を束ねる事で現れるそのカードの名は…!
「俺のタァァン!!…これは赤き竜の奇跡…!『ジャック…ジャック…!』カーリー…!?」
希望をドローしたジャックの頭にカーリーの声が響く
『ジャック…もう終わりにして…!私…これ以上みんなを傷つけたくない…!』
「馬鹿を言うな!きっとまだ方法があるはずだ!お前を救い出す手段が!!」
『本当に私を想ってくれるなら…お願い…!』
「カーリー…そんな事をしたらお前が!!」
『これは私が自分で選んだ運命なの…貴方は私の事を本当にわかってくれた…!だから、貴方の手で止めを刺して…』
「…わかった、お前がそれを望むなら…!!」
『…ありがとう…ジャック…』
夕やけが見える灯台…そこでカーリーは一番の笑顔をみせた…
「この命は一度お前に救われたようなもの…いくぞ!現われろ赤き竜の奇跡!『救世竜ーセイヴァー・ドラゴン』!!」
赤き竜の化身たるピンク色の竜が現れる!
「俺はレベル8の『レッドデーモンズドラゴン』とレベル1の『バトルフェーダー』にレベル1の『セイヴァードラゴン』をチューニング!!」
セイヴァードラゴンが巨大化し2体のモンスター、そしてジャックを包み込む!
「研磨されし孤高の光!真の覇者となりて大地を照らす!光輝け!シンクロ召喚!!大いなる魂…『セイヴァー・デモン・ドラゴン』!!」
現れたのは世界を…愛する者を救う救世の悪魔竜…セイヴァー・デモン・ドラゴン!!
「『セイヴァーデモン』の効果!エンドフェイズまで相手モンスターの効果を無効にし…その攻撃力分自分の攻撃力がアップする!パワーゲイン!!」
セイヴァーデモンが光線を吐き出しアスラピスクを赤い結晶に閉じ込める!
【『攻撃力6500だと!?』】
「カーリー!望み通り…一撃でトドメを刺してやる!!(…だが安心しろ、お前1人で逝かせはしない…!)」
ジャックは1枚の伏せカードを見つめる…それは罠カード「ショック・ウェーブ」…、自分のモンスターを破壊しお互いにその攻撃力分のダメージを受けるカード…所謂「破壊輪」の相互互換となるカードである
「(このカードを発動すれば俺達2人のライフは0になる…)これこそがジャック・アトラスの選んだ運命だ!…お前と共に果てるなら悔いはない!!」
ジャックはその身を犠牲にしてカーリーと共に死のうとしていた…それが自身の運命だと…
「トラップ発ど『【トラップ発動!「地縛開放」!!】』なんだと!?」
ジャックの言葉を遮るようにカーリーが1枚の罠カードを発動させる…その効果は…!
『【このカードの効果により「アスラピスク」をリリース!そしてフィールドのモンスター全てを破壊し、その攻撃力の合計分のダメージを相手に与える!!】』
「バカな!『セイヴァーデモン』の効果は相手のカードによる破壊を無効にして自身の攻撃力分のダメージを相手に与える効果!…まさかお前自分から!!」
アスラピスクの水晶が砕け爆発する…その爆発がセイヴァーデモンを飲み込むが自身の耐性で爆発を耐えセイヴァーデモンは巨大な火球を解き放つ!
『(私の本当の願いは…貴方が全ての人に愛され、みんなに幸せを与えられる『決闘王』を超えた本物のキングになる事!貴方ならきっとなれるわ!ジャック・アトラス!)』
「カァァリィぃぃ!!!」
ジャックの脳裏に一つの幻影が浮かぶ…「みんなのキング」と書かれたカードを持って微笑む愛しい女の姿を…。
セイヴァーデモンから放たれた豪炎はカーリーを飲み込み決着となった…。
カーリー LP0
ジャックWIN!
「カーリー!カーリー!!しっかりしろ!!死ぬな…死ぬんじゃない!!」
ジャックはデュエルが終わりDホイールから投げ出されたカーリーを抱き抱え呼びかける…
『ジャック…ジャック…?何処にいるの?真っ暗で見えないよ…』
「カーリー!ここだ!俺はここにいる…!」
『おかしいな…何も…見えない…』
辛うじて意識を取り戻したカーリー…しかしその瞳は既に光を失っていた…。
「カーリー…!しっかりしろ…!俺を見るんだ…!!」
ジャックはカーリーに割れた眼鏡をかける…
『私…ジャックみたいに…頑張っている人を応援するのが好きだった…なのに自分勝手な幸せを望んだりしたから…きっとバチが当たったんだね…』
「何を言う!誰にでも幸せを願う権利がある!それが罪だというのなら…この俺も同罪だ」
『ジャック…きっと世界を…救ってね……わたし、応援しちゃうんだから…!』
「カーリーッ!!」
ジャックとカーリーは抱擁を交わす…しかし
『大好き…大好きよ……ジャック……』サラサラサラ…カタン
「あ…ああ…!カーリー…!!」
カーリーの身体は虚しく崩れ去り…ジャックの手は虚空を掴む…こうしてジャックとカーリーのデュエルは決着を迎えた…。
Sideout
少し前 旧モーメント
「うわぁぁぁん!!遊星が死んじゃった〜!!」
「馬鹿野郎!遊星がこんな所で死ぬわけないだろうが!!」
カーリーとジャックがデュエルを始める頃…龍亞達は悲しみに沈んでいた…ダークシグナーのリーダー・ルドガーを倒した遊星、しかしルドガーの悪足掻きにより吊り橋が落下…遊星はモーメントの光の中に落ちてしまったのだ…!
「アイツはただあの中に落ちちまっただけなんだよ…!」
クロウは禍々しい光を放つモーメントを見つめる…彼はまだ遊星が生きていると信じていた…
「牛尾さん!クロウ!龍亞!龍可!無事か…!!」
「あっ…!遊海さん!翠さん!」
「お前達…大丈夫なのか!?」
モーメントを覗き込む牛尾達の後ろから声がかけられる…それは翠に肩を支えられながら歩いてきた遊海だった。
「白野!?お前怪我大丈夫なのかよ!それよりも遊海?それって伝説の…!」
「クロウ、その話は後だ…!状況を教えてくれ!」
「…遊星はルドガーに勝った…だが奴のせいでモーメントに落ちちまった…!オレ達はどうすればいいんだ!」
クロウは少し戸惑いながら簡潔に状況を説明する
「…モーメントは超高エネルギーの永久機関…普通は助からない…、俺達は信じるしかない…遊星の運と赤き竜の力を…!」
遊海もモーメントを覗き込む…そこでは虹色の光が渦を巻いていた…
「(たしか旧モーメントの先は冥界に繋がっていたはず…頼む不動博士…!自分の息子を助けてやってくれ…!!)」
遊海はただ祈る…そしてその時、モーメントから金色の光が溢れ出した…。
遊星Side@冥界?
「ッ…ここは何処だ?オレは…死んだのか?」
遊星が目を覚ますとそこは一面の赤い大地だった、周囲に生命の気配は無く…ここが死後の世界だと言われたら納得してしまいそうだった…そしてそれを肯定するように世界に変化が訪れる…!
「なっ!?なんだコイツらは!!」
遊星の周りに白い光が無数に現れる…光は人型を成していく…それは無数の亡者達の姿だった…、亡者は遊星を見つけると襲いかかってきた…!
「ぐっ…何をするやめろ!!離せ!!」
無数の亡者が遊星へと群がる…!その身体からは強い負の感情を感じる
「怨んでいる…!おびただしい数の怨念がこのオレを…!まさかこの亡者達はゼロリバースで死んだ人々なのか…!!」
遊星は赤き竜の痣を通して亡者の恨みを感じ取る…あの日亡くなった無数の人々の無念が遊星に襲いかかる…!
「ぐっ…沈む…!?」ズブズブ
遊星の足が底なし沼に沈んでいく…冥界に生者がいる事は許されない…沈みきってしまえば遊星も亡者の仲間入りになってしまう…!
「う、うわぁぁぁ…!!」ズブズブズブズブ
亡者達が地面に遊星を押しつける…その身体は胸まで地面へと沈んでいた…
「(オレはここまでなのか…?サテライトを救う事もできずこのまま死ぬのか…?)」
遊星の脳裏に「死」の一文字がチラつく…しかし遊星が諦めかけたその時…一つの奇跡が起きる…!
ポーン………
黄金の光と共に清らかな音が冥界に鳴り響く…それはまるで魂を浄化するような優しい光と音だった、亡者達もその光に目を奪われている…
「いったい…何が…?」
『…亡者達よ、その者に罪は無い…開放するがいい…!』
冥界に若い青年の声が響く…そしてその声は威厳に溢れ絶対的なカリスマを感じる声だった…
亡者達は金色の光に包まれるように姿を消していく…そしてその場には遊星と光を纏った男だけが残される…
『無事か?不動 遊星、本来であればオレはこんな風にお前と出会う事は無かっただろうな…』
青年は地面に埋まっていた遊星を引き上げる…その姿は遊星からは顔を見る事もできない程輝いていた
「あなたは…いったい…?」
『…そのうちまた会えるさ遊星、さぁ行くがいい…17年前からお前を待ち続ける者がいる…彼に会ってやれ…』
「なっ…うわっ…!?」
遊星の身体は光に包まれ上昇していく…
『遊星…我が友を頼む、あいつがいればお前達の行く道に光が生まれるだろう…』
「待ってくれ!あなたはいったい何者なんだ!!」
『オレか?…遊海の古き友さ!また未来で会おう!』
その時…一瞬だが青年の姿が見えた、白い衣を纏い、金色の三角錐を首からかけたある青年の姿が…そして遊星の視界は光に包まれた…。
「うぅ…ここは…」
遊星が目を開けるとそこは先程と違い真っ暗な空間だった…そして目の前には光の玉が浮いている…
…遊星…遊星…
「オレを呼んでいるのか…?」
光の玉は遊星を先導するように離れていく…遊星は無意識のうちに光の玉を追いかけていった…
「ここは…」
光の玉に導かれた遊星はとある河原にいた…それは昔話で聞くような場所、小さな石の塔のある河原…賽の河原だった…。
『遊星…ここはまだお前の来る場所じゃない…』
「あ…あなたは…!」
光の玉は姿を変え人型をとる…現れたのは遊星に似た髪型をした白衣の男…遊星の父・不動博士だった
「父さん…!」
『我が息子、遊星よ…許して欲しい、私はお前に…途方も無い運命を背負わせてしまった…!だが、運命は必ず変えられる!』
不動博士はゆっくり遠ざかっていく…遊星は走ってそれを追いかける
『お前が行く道には真にお前を待っている人達がいる…!行くんだ、遊星!』
「父さん!待ってくれ…!!父さん!!父さん!!!」
そして遊星の視界は再び光に包まれた…。
Sideout
「うわっ!?なんだ!?」
モーメントから金色の光、そして白い光の柱が立ち昇る…光が収まるとゆっくりと落下してくる遊星の姿があった…牛尾とジャックは慌てて遊星を受け止める
「遊星!しっかりしろ!遊星!!」
「…クロウ…牛尾…遊海さん…」
「お帰り遊星…無事で何よりだ」
クロウの呼びかけで遊星は意識を取り戻す、特に外傷もないようだ
「しかしオメェ…どうやって助かったんだ?」
「ある人達に助けられたんだ…父さんと金色の男に…すまないみんな苦労をかけてしまったみたいだ…」
「本当によ遊星!わたし…本当に心配したんだから!!」
「遊星!よかったー!!」
「龍亞…龍可…すまなかったな…」
遊星の無事を確認して2人が遊星に抱きつく
「(…金色の…男?まさか…な、でも…ありがとう…!)」
遊海はモーメントを見つめる…気のせいか金色の光が瞬いた気がした…。
「遊星…こんな時になんだか時間がねぇ…!」
「ああ…日没までにあと2つの制御装置を作動させなければ『冥界の王』が蘇ってしまう…!急ごう!」
遊星達は急いで旧モーメントから脱出する、そして道中にジャックの勝利を痣を通して知る事になる…。
「ジャックがダークシグナーに勝った…!なら残す制御装置はあと一つ…!ダークシグナーの野望を必ず阻止してみせる!!」
遊星達は決意をあらわに最後の制御装置…トカゲの塔へと向かった…!