転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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最終決戦!・破〜絶対絶命〜

「な、なにが起きてやがる…!?」

 

「遊海…!いったい何をしようとしているの!?」

シグナーの痣をゴドウィンに奪われ大ダメージを受けた遊海、彼は短い詠唱と共に身体を闇で包んだ…そして

 

 

【オオオ…Aaaaaaa!!!!】

闇が弾け遊海が姿を現す、体にはクリフォートの鎧を纏っているが…その色は黒く染まり、鎧の隙間からは赤い瞳が覗き…喉が張り裂けんばかりの咆哮をあげている…!

 

 

「黒い…メタルナイト…!?」

 

「怖い…!」

 

龍亞と龍可は恐怖を抱く、そこにいた憧れのヒーローは闇のオーラを纏い狂い果てていた…。

 

「遊海…さん…!?」

 

【ユウセイ…ゴドウィンヲ倒セ…頼ンダゾ!!】

 

「!!…はい!」

 

【オオオ…!ウオォォォ!!!】バサッ!

遊海は遊星に視線を送る、そして背中から黒い翼を生やし冥界の王へと突撃して行った…。

 

 

 

 

【フッ…ハハハハ!闇に堕ち狂気に侵されながら、この世界を守ろうとするか…面白い!いつまで正気が保つか見物だな!】

 

「ゴドウィン!お前に遊海さんを笑う資格は無い!!」

遊星はゴドウィンにに向かって叫ぶ

 

「遊海さんは命を懸けて冥界の王に挑んでいる!それはオレ達も一緒だ!」

 

「そうだ!俺も知っている!17年前のゼロ・リバースの時!奴は1人で数万人の人間をその手で守り切った!…あれこそ真の決闘者の一人だ!!」

 

「そして傷付き、ボロボロの身体でサテライトとネオドミノシティの平和を守ってきた!!あの人こそ本当の英雄だ!」

遊星に続きジャック、クロウも叫ぶ、遊海は正体を隠し『鋼の騎士』としてネオドミノシティ、そしてサテライトの平和を守り続けてきた。

その遊海が命を…全てを懸けて冥界の王を止める為に奮闘している、その様が遊星達の魂を燃え上がらせる…!

 

 

【フッフッフッ…『英雄』か、だが奴は冥界の王には勝てまい!遊星!お前達も同じだ!神たる我に敗北は無い!!】

 

「オレ達は負けない!例え1人では勝てなくとも…仲間達との絆の力でお前を倒す!!」

 

「そうだ遊星!オレ達の絆はぜってぇに切れねぇ!見せてやるぜゴドウィン!オレ達の絆の力を!オレはカードを2枚伏せてターンエンド!」

クロウLP1800

 

 

【愚かな…人間の絆など脆いものよ!…運命を覆すには我自身が神となり新たな世界を創造する以外には無いのだ!!】

 

「フン!俺は神など知らん!ましてや絆などというモノもな!…ただ俺は超えていくだけだ、運命などに左右されん!このスピードで…追い付けぬ程先を行く!」

 

ゴドウィンの演説にジャックは神を…運命を否定する。

唯我独尊…それを体現したジャックは自身だけであらゆるものを凌駕する…!

 

「俺のターン!ドロー!」

「『マジックホール・ゴーレム』を召喚!このモンスターの効果により『マッドデーモン』は攻撃力を半分にし、ダイレクトアタックできる!ゆけ!ボーンズ・スプラッシュ!!」

ゴドウィンに肉薄したマッドデーモンの胸が開き、骨の礫がゴドウィンに直撃する!

 

【ぬぅ…!】

ゴドウィンLP8800→7900

 

「やるな!けど…冗談じゃねぇぜジャック!お前がいくら速く駆け抜けようと…オレ達の腐れ縁を振り切る事なんて出来ねぇんだ!罠カード『シャドーダンス』発動!自分のモンスターがダイレクトアタックに成功した時!相手に1000ダメージを与えるぜ!」

 

【小癪な…!】

ゴドウィンLP7900→6900

 

「そうだ!シグナーであろうと無かろうと関係無い!既にオレ達には仲間という絆がある!それは絶対に消えない印だ!この絆で…オレ達は運命を打ち砕く!罠カード『ライジングラッシュ』発動!相手が効果ダメージを受けた事により手札からチューナーモンスター『ジャンクシンクロン』を特殊召喚する!」

遊星の場にオレンジ色のロボットが現れる。

…この世に生きる人間は1人だけでは生きていけない、1人で生きていると思っていても…必ず誰かが関わってくる。ジャックも同じ…彼には彼を支える友がいる…!

 

「フン、お節介な奴らだ…俺はターンエンド!遊星!奴に見せてやれ!俺達の力を!!」

ジャックLP4000

 

 

「ああ!いくぞ!オレのターン!ドロー!!」

「オレはレベル4の『マックスウォリアー』にレベル3の『ジャンクシンクロン』をチューニング!」

仲間達からカードのバトンを受け取った遊星は新たなモンスターを召喚する!

 

3+4=7

 

「集いし叫びが木霊の矢となり空を裂く!光さす道となれ!シンクロ召喚!いでよ!『ジャンク・アーチャー』!」

遊星の場にオレンジ色の弓兵が現れる

 

「『ジャンクアーチャー』の効果を発動!『月影龍クイラ』を除外する!ディメンジョン・シュート!」

《ハッ!!》

 

ジャンクアーチャーの放った矢が異次元の扉を開き、クイラを消し去る…!

 

「バトル!『アーチャー』でダイレクトアタック!スクラップ・アロー!!」

弓矢の第二射がゴドウィンに向かって放たれる!

 

「奴の場はガラ空きだ!いけっ!!」

 

【やらせません!リバース罠「栄誉の贄」を発動!自分フィールドにモンスターが存在しない時にダイレクトアタックを受けた時、その攻撃を無効にし「贄の石碑トークン」2体を特殊召喚!さらにデッキから「地縛神」を手札に加える!】

ゴドウィンに迫った矢は消失しフィールドに2体のトークン、そして手札に地縛神が加えられる…条件は揃ってしまった…!

 

「なっ…!地縛神を手札に呼び込んで条件を揃えやがった…!?やる事が汚えぜ!!」

 

【当たり前だ!我は神なのだから!!】

 

「くっ…カードを2枚伏せてターンエンドだ!」

遊星LP4000

 

 

【我のターン!ドロー!!】

【我は「贄の石碑トークン」2体をリリース!現れよ!そして究極の破壊を齎せ!!「地縛神Wiraqocha Rasca」!!】

ゴドウィンの宣言と共に巨大な心臓型のオブジェが現れ鳴動する、そしてその場所はシティ上空…数多の人々の魂が…吸収されない。

 

【なに…?何故だ…何故だ!!】

ゴドウィンは動揺する、本来であればシティの人々の魂を生贄として地縛神を召喚する筈だった…しかし現実には少数の魂しか心臓に吸収されていないのだ…、しかしその答えはすぐにわかる事となる。

 

 

ズギャアアアアン!!

 

「「「【なんだ!?】」」」

 

遊星達の後方…冥界の王のいる辺りで凄まじい光の爆発が起きる、そこには海へと押し戻される冥界の王の姿…そしてそれを為した3っの頭を持つ白竜の姿があった。それは最強の象徴…または現存する伝説、その正体は…

 

 

「あれは『青眼の究極竜』…!」

 

「まさか…あの人が戦っているっていうのか…!」

 

【おのれ…おのれ!海馬 瀬人ぉぉぉっ!!!】

 

 

Sideout

 

 

 

 

Side遊海(半悪魔状態)

 

 

【(急がないと…!)】

遊海は背中に生えた翼を使い、空を最高速度で駆け抜ける、視線の先では冥界の王が氷を砕き侵攻を再開していた。

 

 

「(おい!勝負を決めるなら早めにやれよ!いつまでこの状態を保てるかわからねぇ!!)」

 

【(わかってる…!俺も辛いんだ…我慢してくれユウスケ…!)】

 

遊海の今の状態は半悪魔化といえる状態となっている。

冥界の王に侵食され危うくダークシグナー化しかけた遊海…しかしそれを逆手にとり忌まわしき「悪魔の力」を発動、闇の力(邪神の闇)をさらなる闇の力(破壊神の残滓)で上書きしダークシグナー化を回避した。本来であればそのまま破壊衝動に飲まれ暴走する…しかしそれを精神力で捩じ伏せ冥界の王を倒す力へと変えている…!

 

【(ぐぅ…!身体が灼ける…!!だが今の一瞬でいい…!奴を止める力を…!!)】

今の遊海は溜め込まれたマイナスエネルギーを使い動いている、しかしそれは諸刃の剣…正と負が反発し遊海に凄まじい痛みが襲いかかる…!

 

【(誰かが戦ってる…翠か!)】

冥界の王の周りで氷を伴った竜巻が渦巻きその身を切り刻んでいく…それは翠とウィンダ達が冥界の王を足止めしている証だった。

 

 

 

 

〔オオオ…!!〕

 

「ウィンダ!もっと風を強く!!」

《わかった!!え〜い!!》

グングニールの鎧を纏った翠とキムンファルコスに騎乗したウィンダが冥界の王に対して攻撃を続ける、トビーを一度マーサハウスに送り届けた翠は急いで遊海のもとへと戻っていた。

しかしその道中、遊海が冥界の王に吹き飛ばされる姿を見てしまう…翠は遊海のもとに駆けつけたい思いを我慢し冥界の王の足止めをしていたのだ。

 

〔オオオ…!!〕ブゥン…!

 

「ウィンダ!緊急回避!!」

《ファルコ!》  

《キュイイ!!》

 

ブォン! ゴオオオ…

振るわれる腕をギリギリで回避する、先程から氷結の力と風で動きを止めようとするがまったく効いていない…!

 

「これが冥界の王…!私達の力じゃ足りない…!」

 

〔オオオ!!〕ブォン!

 

「ウィンダ!もう1回来るわ!!」

《合点!!》

再び腕を回避する…しかし

 

ビュッ!

 

「しまっ…!」

《避けきれない!》

冥界の王が腕を振り抜いた先から鞭のような触手が襲いかかる!

 

【オオオオオオ!!!】

 

ジャジャキンッ!!

 

「えっ…!」

触手が翠達に直撃する直前、触手は細切れに斬り裂かれる…それをやったのは…

 

「遊海さん!?なんなんですかその姿!?」

 

【スマナイ…遅クナッタ…!】

腕に黒く光る剣を握った黒き騎士…遊海が翠を守るように羽ばたいていた

 

「遊海さん!また無茶をして…!あとでお話がありますからね!!」

 

【ハハハハ…コノ戦イガ終ワッタラ、イクラデモ聞クヨ…!翠…コノママジャジリ貧ダ…『Sopia』ノ力ヲ開放シロ!時間ハ稼グ!頼ムゾ!…オオオ!!】

 

「あっ…遊海さん!!」

遊海は切り札の使用を翠へと促し、冥界の王へと突撃した。

 

 

 

 

 

〔オオオ…!〕ブォン!

 

【ハアアア!!!】ガキィィン!!

遊海は振るわれた腕を剣を使い受け止める…悪魔化、そしてマイナスエネルギーの使用で遊海のパワーは一時的に全盛期に近い状態となっている。

 

【(翠が力を溜めるまであと5分…絶対に守りきる…!)】

遊海は剣を握る腕に力を込める…そして剣に黒い魔力が集中していく、遊海の持つ剣…それは「湖の騎士」また「最高の騎士」と呼ばれた円卓の騎士が振るいし「不毀の剣」…その名は

 

【(模倣(イミテーション)鎖縛全断(アロンダイト)/過剰湖光(オーバーロード)!!)】

 

スッパァァァン!!

剣に魔力を注ぎ込み冥界の王の腕に叩きつける、剣に込められた力は光の斬撃として黒く輝き腕を斬り落とす…しかし…

 

〔オオオ…!〕ニュルン!

 

【(まじで効いてねぇ…!)】

腕が即座に再生する、今の冥界の王の身体は泥で作られた不完全なモノ…物理攻撃の効果は薄い…!

 

〔オオオ!!〕ジジジ…!

 

【(まずい熱線が来る…!)】

王の口に炎が充填される、避ければ街と翠に直撃するコースだ…!

 

【(防いでみせる…!!)】

遊海は剣を構える、そして熱線が…

 

 

『させんぞ!!「真究極竜」よ!邪神を蹴散らせ!ハイパー・アルティメット・バースト!!』

《ギュアアアン!!》

 

〔オオオ…!?〕ズカーン!!

…放たれる直前、三条の光線が螺旋を描き冥界の王に直撃、初めて強いダメージが入り王は海へと押し戻される!

 

 

【海馬…社長…!】

 

『フン!禍々しい姿だが、意識はあるようだな遊海!街の住民は避難させてある!存分に戦え!童実野町を守るのはオレ達の役目だ!!若造にばかり任せられるか!』

ビルの屋上…そこには腕を組み邪神を見据える海馬の姿があった。

 

Sideout

 

 

 

 

 

 

【ぬぅ…!おのれ余計な事を…!!地縛神よ!我が魂を生贄とし…目覚めるがいい!!】

ゴドウィンは自身の力をモニュメントに注ぎ込む…そして禍々しい光が放たれ巨大なコンドルの地縛神・ウィコラチャラスカが顕現する!

 

 

「これが最強の地縛神…っ!?何かが飛んでくる…!」

 

《ギャー!ギャー!》

 

「うわっ!?なんだよコイツらは!!」

遊星達に突如として無数の黒い鳥のような魔物が襲いかかる…!

 

【フフフ…!冥界の王も地縛神の登場に興奮を抑えられぬようだ!5000年の深き眠りから目覚め、その渇きをキミ達の血で潤わせてくれと叫んでいるのだよ!!】

 

「くっ!うっとおしい!!」

魔物達は3人の周りを旋回する…まるで獲物を狙うハゲタカのように…だが…!

 

 

【オオオ…!模倣(イミテーション)卑王鉄槌(ヴォーティガーン)!!】

 

 

ズバババ!

 

【なに!?】

遊星達の頭上を圧倒的暴力が駆け抜ける、暗黒の斬撃が魔物を斬り刻み消滅させていく…!

 

 

【スマン!打チ漏ラシタ!無事カ!!】

 

「遊海さん!」

遊星達に並走するように遊海が飛翔する…地縛神の出現と共に大量に発生した魔物を倒していたが、打ち漏らした魔物を倒しに来たのだ、さらに遊海だけではない。

 

 

「お願い!エンシェントフェアリー!」

 

「蹴散らしなさい!ブラックローズドラゴン!!」

 

《彼らの邪魔はさせません!!》

 

《キュリアアア!!》

龍可とアキがそれぞれのドラゴンを召喚し魔物を攻撃する!

 

「シグナーの竜!このフィールドなら力を出せるわ!わたしだって戦える!」

 

「この絆を…初めてできた仲間を守るために私は力を使う!!」

例えDホイールに乗れなくとも、心だけは戦う4人と共にある…龍可もアキも自分のできる事を実行する!

 

「フレー!フレー!遊星!!」

 

「アトラス様!頑張って!!」

 

「負けるんじゃねぇぞ!クロウ!遊海!!」

力を持たない龍亞や牛尾、狭霧達も遊星達に声援を贈る…!

 

 

 

「「「お前達のその思い!確かに受け取った!!」」」

【ゴドウィン!俺達ノ絆ハ…断チ切レハシナイ!!】

アキや龍可達の想いを受け取った遊星達は絶望へと挑む!

 

【フッ、とんだ三文芝居だ!】

 

「ゴドウィン!俺達の絆が運命を超えてみせる!」

 

【そんな考えではいずれ運命に呑み込まれ、永遠に続く赤き竜と邪神との戦いに翻弄され、沈黙するしかない!…だから我が神となって創造しようというのだ!より善き世界を!!「ウィコラチャラスカ」の効果を発動!バトルフェイズをスキップする事で遊星!貴様のライフを1にする!!味わうがいい!不可能を!無力を!!絶望を!!!ポーラ・スター・オベイ!!】

 

「【遊星!!】」

 

「やらせねぇよ!!罠カード『ライフ・エクスチェンジ』を発動!ライフポイントを変化させるカードが発動した時!その対象を自分に変更する!!…ゴドウィン!悪リィがサテライト育ちのオレ達はそんなモン感じやしねぇ!!」

 

「「クロウ!」」

遊星の前にクロウが割り込みトラップを発動させ、ゴドウィンに…伝説のDホイーラーに語りかける。

 

「どんなに辛くても、俺達は風を切り、前を向いて走る!それを教えてくれたのは…伝説のDホイーラーだ!」

 

【だが彼は何も成し得なかった!】

 

「違う!不可能とわかっていても!限界を打ち破ろうとするあの人の…かつてのお前の想いにオレ達は魂を打たれたんだ!ゴドウィン!…お前がどう思おうと!そのスピリットはオレが!遊星が!ジャックが!サテライトのみんなに受け継がれているんだ!絶望なんかしてたまるかよぉ!!」

 

【所詮想いだけでは届かん!その絆…断ち切ってやる!!「ウィコラチャラスカ」!クロウのライフを1にしろ!ポーラスター・オベイ!!】

 

ウィコラチャラスカから禍々しい紫色の光が放たれクロウに直撃する、さらにその闇の力は凄まじくクロウはコース外に弾き飛ばされてしまった!

 

「「「クロウ!!」」」

 

「ぐぁああ!!」

 

クロウLP1800→1

 

「チィッ…!ゴドウィン!お前の伝説はオレ様が引き継ぐ!この鉄砲玉のクロウ様がなぁ!『ライフエクスチェンジ』のさらなる効果!自分のライフが減少した時!相手のモンスター1体を破壊する!オレは『クイラ』を破壊する!飛べ!ブラックバードォ!!」

クロウはブラックバードのエンジンの出力を最大まで上げる、ブラックバードには伝説のDホイーラーをリスペクトした翼が付いている…その翼は風を掴みクイラを打ち砕く!!

 

【だが「クイラ」が破壊された事で墓地の「インティ」が復活する!!】

雲の切れ間から再び太陽竜が現れる、さらにブラックバードは地面に向かって落下していく…!

 

「【クロウ!!】」

 

「まだだ!永続罠『BFーアンカー』を発動!『アーマードウィング』をリリースする!!…伝説のDホイーラーのバトンは俺から…ジャック、遊星に引き継がれる!その想いが架け橋となってあのダイダロスブリッジを繋ぐんだ!遊星!ジャック!頼んだぞ!!」

クロウは最後の希望を繋ぎなんとか地上絵のコースに落下する…しかし着地のショックにより投げ出されコースに叩きつけられてしまった…。

 

 

【フン、走れないDホイーラーにターンは回ってこない!何が伝説のDホイーラーだ!何が絆だ!!我はカードを伏せてターンエンド!】

ゴドウィンLP6900

 

「くっ…まだ絆は断ち切れてねぇぜ…!」

クロウLP1 (走行不能によりリタイア)

 

 

【(クロウ…お前の思い、確かに受け取った…!)】

 

「(遊海さん!準備完了です!戻って来てください!!)」

 

【(わかった!)…遊星!ジャック!任セルゾ!】

翠からの念話を受けた遊海は再び冥界の王のもとへと向かう!

 

 

「任せられるまでもない!クロウの思い…無駄にはせん!俺のターン!ドロー!!」

「『ダークスプロケッター』を召喚!そしてレベル4

の『マッドゴーレム』とレベル3『マジックホールゴーレム』にレベル1の『スプロケッター』をチューニング

!」

 

3+4+1=8

 

「王者の鼓動!今ここに列をなす!天地鳴動の力を見るがいい!シンクロ召喚!我が魂!!『レッド・デーモンズ・ドラゴン』!!」

《グオオオ!!》

ジャックの魂たる悪魔竜が降臨する!

 

「さらに罠カード『ハーフ・ストレート』を発動!『レッドデーモンズ』の攻撃力を半分にする事でダイレクトアタックができる!!いけ!アブソリュート・パワーフォース!!」

レッドデーモンズが炎を拳に宿しゴドウィンに突撃する!

 

【甘いぞジャック!「インティ」の効果を発動!自身の攻撃力を半分にする!これにより『ハーフストレート』のもう一つの効果によりダイレクトアタックはできず、攻撃は「インティ」へと向かう!】

 

「まずい!『インティ』が破壊されれば効果でモンスターが破壊されてしまう…!永続罠『強制終了』を発動!!ジャック!オレのカードを使うんだ!!」

遊星は強制終了を発動させる、だが…

 

【ジャック・アトラス、君は何の為に戦う?運命を見極める為でも無い、神に抗う為でも無い…まして絆など…君にはどうでもいい事のはずだ…】

ゴドウィンが囁く、ジャックは一度は野望のために友を捨てた…そこに漬け込もうとしているのだ…

 

 

「ジャック!惑わされるな!『強制終了』の効果を使うんだ!」

 

【孤独にならねばキングにはなれない…それをお前は知っていた!】

 

「ゴドウィン!違うぞ!お前は孤独なんかじゃない!オレ達がいる!!」

 

【不動遊星!人は本来孤独なのだ!他人を頼り!甘え!責任を分散させる!そんな絆で運命に打ち勝つ事等出来はしない!…ジャック、お前もそうだっただろう!全てを捨て、孤独となる事でキングへと登りつめた!孤高のキングである事がお前の戦いなのだ!】

 

「…確かにそうだ、俺は孤独だった!俺は『強制終了』を発動しない!いけ!『レッドデーモンズ』!!」

 

「ジャック!?」

レッドデーモンズの拳が太陽を打ち砕く…しかし…

ゴドウィンLP6900→5400

 

【破壊された「インティ」の効果を発動!「レッドデーモンズ」を破壊し攻撃力の半分のダメージを与える!さらに墓地の「クイラ」を特殊召喚!!】

太陽龍の呪いがジャックのライフを削り、再びクイラが現れる!

 

「ぬぅおおお!!」

ジャックLP4000→2500

 

【フハハハ…!それでこそだジャック!仲間を捨て、絆にも頼らない…その孤高の精神は正にキングに相応しい…!しかしキングでは駄目だ、神にならねば…!神が!我が!この世界を救い上げるのだ!】

 

「ゴドウィン、貴様…忘れてはいないか?」

今まで沈黙していたジャックがゴドウィンに問いかける。

【なに…?】

 

 

 

「俺は…キングではない!!」

 

 

【なんだと…?】

 

「絆!仲間!確かに俺が捨てて来たものだ!そして俺はキングをも捨てる事になってしまった!…だが、全てを捨てた時!俺はちっぽけなたった一つのものを得た!その想いがあるからこそ、俺はここにいる!」

 

「ジャック…!」

その時、ジャックの脳裏にはあるシルエットが浮かぶ…それは…

 

「ゴトウィン!悪いが俺は孤高だが孤独ではない!興味など無かったが…気が付けばうるさい連中の真っ只中にいる!どんなに否定しようと、絆と言うものから逃れる事は出来ないらしい!!それをわからせてくれたのは…一人の女の愛だ!!」

ジャックの脳裏に浮かんだシルエット、それは…満面の笑顔を浮かべたカーリーの姿だった、彼女の愛は孤独だった男の心を確かに変えたのだ…!

 

「ゴドウィン!人はそう簡単には孤独にはなれんらしい!俺はカードを伏せてターンエンド!」

ジャックLP2500

 

 

 

【おのれ…!皆が皆その結論にたどり着く…!だからこそ我がこの高みに到達するしかなかったのだ!!】

 

 

「そんな事はない!オレ達の絆でそれを証明してみせる!!オレのターン!ドロー!」

「『ジャンクアーチャー』の効果を発動!再び『クイラ』を除外する!」

 

【させん!リバース罠「デストラクト・ポーション」!「クイラ」を破壊し攻撃力分ライフを回復する!そして再び墓地の「インティ」を特殊召喚!】

放たれた矢は空を切る…そして再び太陽が昇る…!

 

ゴドウィンLP5400→7900

 

「くっ…!ターンエンド!」

遊星LP4000

 

【これでなす術はなくなったな…!仲間?絆?伝説?愛?…そんな言葉で何が出来た!!少しでも運命に傷をつける事はできたのか!?運命は我らをあざ笑い変わる事はない!!だからこそ我は茨の道を進む!この神となる道を!!我に全てを託せ!我を崇めよ!…新しい世界を我が創造するのだ!!】

ゴドウィンは宣言する、運命を変えるために破壊を受け入れ、その礎となれと…その時…

 

 

ピカッ!! ズゴアアアン!!  バシャアアン!!

 

「「なにっ!?」」

冥界の王の方向から激しい閃光と爆発が起き、その直後ゴドウィン邸の周りの湖から水柱が立ち昇る…。

 

【フッ…冥界の王は決着をつけられたようだな…!もうすぐだ…冥界の王がこの祭壇に辿り着けばこの世界は黄泉に閉じる…!まずは破壊をもってゼロとする!フフフ…フハハハ!!】

 

「あ…ああ!そんな…遊海さん!!」

龍可達の位置からはそれが見えてしまった。水柱が収まりその原因があらわになる…水柱の爆心地、そこには右腕を失った遊海が力なく浮いていた…。

 

 

Sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

遊海Side

『遅いぞ遊海!悔しいが奴は強い!だがお前達ならなんとかできるんだろうな!?』

 

【ハイ…!海馬サンハ離レテイテクダサイ!イイナ…翠!】

 

「はい!いつでもいけます!」

 

【頼厶!!】

冥界の王と対峙する3人…遊海と翠は切り札を使おうとしていた。

 

 

「…我が身に宿すは創星の女神…命を生み出した原初の神…!遥かなる眠りから目覚め私に力を与え給え!」

詠唱と共に翠の姿が変わる…髪は赤く染まり服は露出の高い物に変化する、背中には光と闇の翼が生え…右手には創造の力を、左手には破壊の力を宿した石が浮かんでいる。

これこそはDT世界の創星神「Sopia」の力を宿す戦闘衣装…翠の切り札である。

 

【イクゾ翠…!我ニ宿リシ破壊神ノ残滓ヨ…ソノ力ヲ解キ放チ…冥界ノ邪神ヲ滅セヨ!!『ドラグニティの神槍』ヲ発動!!】 

 

遊海の右腕にドラグニティの竜達の力が宿った槍が顕現する…そして

 

「【聖邪の神撃!!】」

空気を踏みしめた二人は遊海に残った破壊神の残滓、そして翠の創星神の力を宿した神殺しの槍を放ち、それは冥界の王に迫る…そして…

 

ズゴアアアン!!

 

槍は冥界の王に直撃…周囲は爆煙に包まれる…。

 

 

「ハァ…ハァ…やったか…?うぐっ…!」 

 

「遊海さん!」

悪魔化が解除され落下しかけた遊海を翠が受け止める、遊海の身体は冷めきっていた…。

 

 

「…身体中ボロボロだ…足の感覚が無いし頭がフラフラする…死にかけだなこりゃ…」

 

「だから無理をしないでってあれほど言ったのに…遊海さんの馬鹿…!」

 

「ああ…俺は、馬鹿だよ…しばらく無理は懲り懲りだ…(今のは今の俺達の最高攻撃力の攻撃だ、倒しきるのは無理だが…奴は無事ではないはず…)」

遊海は翠に身体を預けながら考える、冥界の王はこれでは倒せていないが大ダメージを与えられたはずだと。

 

『凄まじい威力だ…あれが海上でなければいったいどれほどの被害を…遊海!!!』

 

「ッ!?翠!避けろ!!」ドンッ!

 

「えっ…遊海さ…!」

 

バシュン!!

翠は遊海に押されよろめく…その瞬間、遊海の姿は紅蓮の炎に掻き消えた…

 

〔オオオオオオ!!!〕

煙が晴れる…そこには五体満足の冥界の王が存在していた。

 

「そんな…遊海さん!!」

翠は慌てて遊海の飛ばされた方向へと向かった…。

 

 

 

 

 

 

 

「遊海さん!しっかりして遊海さん!」

 

「(…翠の声が聞こえる…俺…どうしたんだっけ…?)」

意識が覚醒する、目は開かず身体はまったく動かない…この感覚はアレだ…初めて死んだ時の感覚に似てる、目覚めたはずの意識が遠のいていく…身体が冷めていく…おかしいな…俺、デュエル以外では死なないはずなのに…ここまでか……。

 

そこまでで遊海の意識は完全に失われた。

 

 

 

Sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遊海さん!しっかりして遊海さん!!」

 

「そんな…遊海が…死…」

 

「死んじゃいねぇ!起きろ!目ぇ覚ませ!遊海!!」

ギャラリー組は悲しみに包まれていた、翠により助け出された遊海だったがその胸は命の鼓動を失っていた。

牛尾はすぐさま心臓マッサージを始める、彼は信じているからだ…遊海の生命力を…。

 

「お前達!コイツに呼びかけ続けろ!コイツを呼び戻すんだ!!」

 

「遊海さん!起きて!アテムさんとの約束はどうするんですか!!」

 

「遊海!またヒーローの話を聞かせてくれるんじゃなかったの!?起きて!おきてよぉ!!」

 

「遊海さん…!お願い目を覚まして…!!」 

 

「遊海さん!貴方はこんなところで死んでいい人ではないわ!起きて!!」

 

翠は回復魔法を使いながら、龍亞達は必死に呼びかける…伝説の「決闘王」の復活を信じて…。

 

 

 

 

【フハハハ…!伝説の決闘者といえどこの程度か!さぁ残すはお前達だけだ!遊星!ジャック!お前達ま冥界の王の生贄になるがいい!我のターン!ドロー!】

 

「遊海の思いは無駄にはせん!永続罠『デモンズチェーン』を発動!『インティ』の効果を無効にし攻撃を封印する!」

紫色の鎖がインティを拘束する…しかし

 

【フッ、ジャック・アトラス、貴様言ったな『どれほどのものを捨てようと人は孤独にはなれない』と…だがそれは違う!人は簡単に孤独になれる…それは死だ!人は死を前にした時、自分には仲間や絆など無かったと気付かされる!極々当たり前の事だ!死出の旅は己一人なのだからなぁ…!もう一度かつてのジャック・アトラスに戻してやろう!死をも目前にした絶望的な孤独へ!「ウィコラチャラスカ」の効果発動!ポーラスターオベイ!!】

地縛神の効果が発動しジャックのライフが1になる

 

「ぐおぉぉ!!まだだ!まだ俺は負けてはいない!!」

ジャックLP2500→1

 

ジャックは一瞬バランスを崩すが、すぐに立て直す、それがジャックが一流のDホイーラーたる証だった。

 

 

【今のを耐えるか…しかしお前のライフが1となった事で「デモンズチェーン」は破壊される!】 

インティに巻き付いていた鎖が砕け散る…アニメ版のデモンズチェーンには「自身のライフが1000以下の時、このカードを破壊する」デメリットがあった。

 

【そして…偉大なる冥界の王よ!ジャック・アトラスを生贄に捧げよう!その魂を喰らうがいい!】

 

「なんだって!!」

ゴドウィンの言葉を受けた王は炎を口へと溜める…!

 

【どうだジャック!感じるか?死を!絶望を!!】

 

「フッ…絶望的な孤独など感じぬ!何故なら俺達は死を目前になどしないからだ!」

 

【減らず口を!死ぬがいい!ジャック!!】

 

〔オオオ…!〕バシュン!

冥界の王による超遠距離射撃…それはジャックへと直撃した…

 

「ぐおおあああ!!!…ガハッ…!」

炎の直撃を受けたジャックは盛大にクラッシュ…地面へと叩きつけられた…

 

「ジャック!ジャァァック!!」

 

「遊星…後は任せたぞ…!たとえ走れなくとも、その思いはお前と共にある…!」

 

「そうだぜ…たとえライフは1でもよぉ…オレ達の想いは10000ポイントだ…!!」

ジャックとクロウは遊星に最後の希望を託した…そして

 

「みんなの想い…受け取った!!ゴドウィン!お前を倒す!!」

想いを受け取った遊星はゴドウィンを睨みつける…その瞳に絶望は無い…!

 

【フッ…死を前に少しでも恐怖を誤魔化しているな…面白い!その虚勢を砕いてやろう!我はカードを伏せてターンエンド!】

ゴドウィンLP7900

 

ジャックLP1 (走行不能・リタイア)

 

 

 

「覚悟しろゴドウィン!オレ達の絆で…奇跡を起こす!」

 

 

そして世界を懸けたデュエルは決着へと向かう…!


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