転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!
ハーメルンの皆様、たくさんのリクエストをありがとうございます!頂いたリクエストは何かしらの形で小説に反映させていただきますので楽しみにお待ちください!

それでは最新話をどうぞ!


強くなる為に〜冷たき薔薇と月華の薔薇〜

「フンフフ〜ン♪今日もいい天気でよかった!」

シティ郊外のある住宅、そこで鼻歌を歌いながら洗濯物を取り込む女性が1人…遊海の妻である翠である。

 

《翠、今日も嬉しそうだね!》

 

《あたり前よウェン、遊海さんが復活して笑顔が増えたもの…》

庭でガーデニングをしながらその様子を見る翠の精霊であるウィンダとウェン…2人の言葉どおり翠はとても機嫌がよかった。

 

 

17年前…ゼロ・リバースの影響で大ダメージを負い、同時に病弱となってしまった遊海…翠はそんな遊海を献身的に支え続けた。

思うとおりに身体が動かずとも人を救い続けた遊海…しかし、その裏ではゼロリバースを止められなかった後悔から心が潰れかけていた…翠はそんな遊海を励まし助け続けた。

…もし遊海の隣に翠がいなければ…彼は某正義の味方のようにただ人を救い続ける機械になっていたかもしれない、だがそれは過去の事…遊海の紡いだ絆の奇跡、そして赤き竜の力で遊海は力を取り戻し今はネオドミノシティの平和を守る為に飛び回っている…翠にとってそれが一番の喜びなのだ…。

 

 

「今日の夕ご飯は何にしようかな〜♪?ハンバーグがいいかしら?それともカレーかしら?」 

 

《翠…まだお昼過ぎだって…》

 

《止めてやるなウィンダ、翠殿は本当に嬉しいのだろう…少々浮かれ過ぎだがな…》

周りに嬉しいオーラを漂わせながら夕飯の献立を考える翠…精霊達は少し困惑しながら様子を見守っていた。

本当であれば不老不死である遊海達に食事は必要無い…しかし、それでは味気無いと遊海達は食事はしっかりと摂る事にしているのだ。

 

 

ピンポーン!

 

 

「ん?はーい!」

玄関のチャイムが鳴る、やってきたのは…

 

『こんにちは!翠さん!』

 

「あら!アキさん!どうしたの?遊海さんなら遊星君達のガレージにいると思うけど?」

訪ねてきたのはシグナーの一人である十六夜 アキだった、遊海はシグナー達に自宅の場所を教えていて、たまに訪ねて来るのだ。

 

『あっ、違うんです!今日は翠さんに相談があって…』

 

「私に?それじゃあ中に入って!お茶を飲みながら聞くわ!」

 

『はい!お邪魔します!』

 

 

 

 

 

 

「力の使い方を教えてほしい?」

 

『はい…私の持っている「サイコパワー」…その力を制御してさらに使いやすくできたらって…』

 

アキは強い超能力を持ったデュエリスト『サイコデュエリスト』と呼ばれる人間である、過去にはその力で両親を始めとした多くの人達を傷つけてしまい荒れてしまった時期もあった…しかし現在はある程度力をコントロールし平和な生活を送っている…しかし

 

『遊星が戦ったっていうゴーストは「デュエルダメージを実体化する力」…サイコパワーと同じ力を使ったらしいわ、だから私も力を安定させてみんなの力になれたらって…そう思ったの』

 

「だから精霊の力を持っている私に相談に来たのね…私にできる事なら協力するわ!」

 

『ありがとう翠さん!よろしくお願いします!』

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずは自分のできる事の把握からね!アキちゃんはサイコパワーで何ができる?」

庭へと出てきたアキと翠は能力の把握から始めていた…。

 

 

『私ができるのは「デュエル外でもモンスターを実体化させる能力」だけなんです…あとは試した事がないわ』

 

「う〜ん…それじゃあやってみてくれる?」

 

『はい!…「黒薔薇の魔女」召喚!』

アキがデュエルディスクにカードを当てる…するとメイド服に似た服を着た魔女が現れる

 

「こんにちは!」

 

《………》

翠が話しかけるが反応は無い、自我が薄い、または無いようだ…

 

「なるほどね…サイコパワーはソリッドビジョンを実体化させる力に近いのかも…じゃあ私の番ね!出てきて!『シャドール・ファルコン』!」

《ピュイ!》

翠がカードを掲げると目の前に鳥型の影人形が現れる

 

『あっ…かわいい、よしよし…』

《ピュイ〜…》

アキに頭を撫でられたファルコは嬉しそうに鳴く

 

『翠さんの力だと自我があるんですね?』

 

「うん!私達は精霊界にいる精霊にカードを触媒に呼びかけて出てきてもらってるの、たまにウィンダやウェンみたいにいつも一緒にいる精霊もいるんだけどね!」

《ピース!》

 

『なるほど…』

 

「あと私ができる事は魔法・罠の効果をデュエル外で使える事と…奥の手が1つあるわ」

 

『奥の手…?』

 

「えぇ!いくわよ…バトルドレス!ドレスアップ!」

眩い光が翠を包み込む…光が収まると紫色の機械的なドレスを纏った翠の姿があった…。

 

『翠さん…!?その姿は…!』

アキは突如変身した翠の姿を見て驚く

 

「これは私の戦闘衣装…精霊の力を纏った状態なの、この状態だと身体能力が底上げされて普通の人以上の力を発揮できるの!ついでに遊海さんの『メタルナイト』も同じ原理なのよ?」

 

『精霊の力を身に纏う…だからあの人はあんなに強かったのね…』

翠の答えを聞いたアキは過去にあった出来事を思い返していた…。

 

 

 

 

 

2年前…

 

『アハハハ!全部ぶっ壊してあげる!!』

《ギュリリリ!》

 

シティの端…ダイモンエリアで当時『黒薔薇の魔女』と呼ばれたアキは本能のままに建物を破壊していた…。

 

「破壊をやめるんだ!黒薔薇の魔女!」

 

『また来たわね「鋼の騎士」…!邪魔をしないで!!「ブラックローズドラゴン」!!』

《ギュリリリ!!》

 

魔女を止める為に現れたメタルナイト、そこに茨のムチが襲いかかる!

 

 

「遅い!!セイヤァァァ!!」ガシッ! ブゥン!

 

《ギュリリ!?》

ムチを躱したメタルナイトは茨を掴みブラックローズを振り回す!

 

「どぉおりゃあああああ!!」

 

ズガン!!

 

《ギュ…!?》

 

「嘘っ…!?」

茨ごとブラックローズは地面へと叩きつけられた…

 

「まだやるか?」

 

『くっ…覚えてなさい…!!』

ブラックローズを消したアキはそのまま逃げ去ったのだった…。

 

 

 

Sideout

 

 

 

 

 

 

 

『翠さん達は…どうしてそんなに「力」を使いこなす事ができるの?』

変身を解いた翠にアキが訊ねる…アキは髪留めとして「サイコパワー制御装置」を着ける事でかろうじて力を制御している、しかし遊海達は自由に力を使っているのだ。

 

 

「遊海さんは天性の才能があると思うんだけど…私は違ったの、遊海さんがいなければどうなっていたか…」

 

『えっ…それって…?』

翠の言葉にアキは首を傾げる

 

「遊海さんと私の出会いはね…暴走していた私を遊海さんが止めてくれた事だったの…命を懸けてね?」

 

『翠さんの暴走…!そんな事があったんですか…!?』

 

「うん、ちょっと長い話だから…見た方が早いかな?ウィンダ…お願いしていい?」

 

《翠…いいの?だいぶショッキングだけど…?》

 

「アキさんはホラー映画とかは見れる?」

 

『え…少しなら…大丈夫ですけど…?』

 

「うん、なら大丈夫ね?私の記憶を見せてあげる…お願いウィンダ!」

 

《うん!記憶共有魔法…発動!》ピカッ!

 

『えっ…!きゃあ!?』

アキの視界は光に包まれた…。

 

 

 

 

 

 

 

約29年前……

 

 

「クスクスクス……私に手を出すからこうなるのよ…」

暗い路地裏…そこは惨劇と化していた、不気味に笑う翠の周りには腕が変な方向に曲がった男や壁にめり込み泡を吹いている男達がいた…。

 

 

(この光景は…!)

 

(これは私の過去…私は悪い男達に襲われそうになった時に力が覚醒したの)

今の翠とアキは幽霊のように透けた体で暴走する過去の翠を見下ろしていた…

 

(本当は暴走というよりも私に間違って憑依したウィンダが私を守ろうとして暴れてたの、私はまだ力をコントロールできなかったから…)

 

(そんな事が…あっ!あれは…!)

 

 

『お前がやったのか…!』

《マスター!彼女が異常な精霊の力の原因です!》

路地裏に現れたのは赤帽子の男と虹色の宝玉を持った機械…遊海とアヤカである。

 

「アナタは誰?アナタも私を傷つけるの?…ならお掃除しなきゃダメですね…?」

翠は遊海に不気味に微笑む…

 

《スキャン完了…彼女本人の意識はありません、周囲の状況から彼女の精霊が肉体を乗っ取り暴走しているものと思われます…!》

 

『マジかよ…!止める方法は?』

 

《おそらくデュエルに勝利し相手の意識を断てば…》

 

『わかった…おい、デュエルしようぜ?』

 

「クスクス…いいですよ…お掃除しますね?」

そして翠と遊海は旧式のデュエルディスクを構える…

 

 

「『デュエル!!』」

 

 

……

 

 

「バトル!「ミドラーシュ」で「ゲノム」を攻撃!ウィンドストーム!!」

 

『ぐああぁぁぁ!!?』

暴走した翠は遊海のモンスターを破壊する…その威力は凄まじく…周囲の壁は壊れ、さらに破壊されたゲノムの破片が遊海に直撃し瞬く間に傷だらけになっていく…。

 

(そんな…遊海さんがあんなにボロボロに…!)

 

(…あの時の遊海さんには申し訳ないわ…これが遊海さんの初めての闇のデュエルだったらしいから…)

 

 

 

……

 

『バトル…!「アポクリフォート・キラー」でダイレクトアタック…!デストロイ…キャノン…!!』

 

「きゃああああ!!」

そしてデュエルは真の力を開放したアヤカの攻撃により遊海の勝利に終わった…。

 

 

《スキャン開始…暴走精霊を強制送界、エラー確認…精霊の力が無い…?マスター、処置は完了しました…彼女を休める場所まで連れていきましょう》

 

『ああ…わかった…行こう…』

遊海は倒れた翠をおんぶし路地裏から離れる…その後ろには血が点々と落ちていた…。

 

 

Sideout

 

 

 

 

 

 

『っ…戻って来たみたいね…』

アキが気づくと元のリビングへと戻っていた、時計の針は5分程進んでいる…。

 

「今のが私と遊海さんの出会い…あのあと遊海さんはダメージで気絶して2人とも病院に運ばれたわ、そのあとに遊海さんから力の使い方を教えてもらって現在に至るのよ」

 

『なかなか刺激的な出会いだったんですね…』

 

「あはは…まぁそうね、普通の出会いではなかったわね!…でもあの出会いがなかったら今の私は居なかった、だから遊海さんには感謝しているの!」

 

『…だから結婚を?』

 

「それは…また別のお話ね!さてと…じゃあ力を使いこなす為に訓練しましょうか!」

 

『訓練…?いったい何を…?』

 

「もちろん…デュエルよ!」

 

『えっ…!?』

 

 

 

 

 

 

 

『み、翠さん!本当にやるんですか!?』

 

「そうよ〜!力をコントロールするには全力を把握しなくちゃ!サイコパワー全開でかかってきなさい!」

翠とアキは庭に張られた結界の中で対峙していた…力を制するには自分の力を把握する事が一番重要である。

 

「手は抜かないでね?…じゃないとすぐに終わっちゃうわよ?」

翠から強いオーラが放たれる…そのオーラはアキに威圧感を与える…!

 

『これは…ダークシグナーの時以上に厳しい戦いになりそう…!本気でいきますね!』

 

 

 

 

 

 

 

「『デュエル!!』」

 

 

翠LP4000

アキLP4000

 

 

 

 

 

 

「私のターン!ドロー!」

「『おろかな埋葬』を発動!デッキの『シャドール・ビースト』を墓地に送る!さらに『ビースト』の効果発動!カード効果で墓地に送られた事で1ドロー!…モンスターをセット!カードを1枚伏せてターンエンド!」

翠LP4000

セットモンスター 伏せ1 手札4

 

 

 

「さぁ、アキさんのターンよ?」

 

『はい…いきます!(モンスターをセットする戦術…油断なしでいくわ…!)』

 

 

 

『私のターン!ドロー!』

『「ローン・ファイア・ブロッサム」を召喚!』

巨大な蕾を持った植物が現れる ATK500

 

『さらに「ブロッサム」をリリースしてデッキから「フェニキシアン・クラスター・アマリリス」を特殊召喚!』

蕾が破裂し不死鳥のような彼岸花が現れる ATK2200

 

「(あれ…?『アマリリス』って自身か『フェニキシアンシード』の効果じゃないと特殊召喚できなかったような…?まさかアニメ効果なの!?)」

 

『バトル!「アマリリス」でセットモンスターを攻撃!フレイム・ペタル!』

不死鳥の炎が鳥の影人形を焼き尽くす!

 

「『シャドール・ファルコン』のリバース効果発動!墓地の『シャドール・ビースト』を裏守備表示で特殊召喚!」

 

 

『リバースモンスターだったのね…!でも「アマリリス」の効果発動!このカードは攻撃した後に破壊され…相手に800ダメージを与えるわ!スキャッター・フレイム!』

炎を纏った彼岸花が爆発し翠へと破片が降り注ぎダメージを与える!

 

「熱ッ!?…これがサイコデュエルのダメージなのね…!」

翠LP4000→3200

 

 

『カードを2枚伏せてターンエンド!そして「アマリリス」はエンドフェイズに守備表示で復活するわ!』

大地を突き破り再び彼岸花が咲き誇る DEF0

 

 

アキLP4000

アマリリス 伏せ3 手札2

 

 

 

 

 

『み、翠さん!大丈夫ですか…!?』

ターンを終えたアキは翠に訊ねる…翠の威圧感に思わず本気に近い力を出してしまったからだ…。

 

「大丈夫よ!これぐらいなんともないわ!気にしないで!…続けるわよ!」

 

 

 

 

「私のターン!ドロー!」

「セットモンスター『シャドール・ビースト』を反転召喚!」

獅子型の影人形が現れる ATK2200

 

 

「『ビースト』のリバース効果発動!デッキから2枚引いて1枚捨てる!…そして『シャドール・リザード』を召喚!」

トカゲ型の影人形が現れる ATK1800

 

「さらに手札を1枚捨てて速攻魔法『超融合』を発動!私の場の『リザード』とアキさんの場の『アマリリス』を融合!!」

 

『なっ…!私の場のモンスターを融合素材に…!?』

彼岸花とトカゲが融合の渦に吸い込まれる!

 

 

「地を這いずる人形よ!炎の力を得て巨人の王を呼び出さん!融合召喚!『エルシャドール・エグリスタ』!」

球体の関節が様々な宝玉になっている巨人が現れる ATK2450

 

「融合素材になった『リザード』の効果発動!デッキの2体目の『ファルコン』を墓地へ!さらに『ファルコン』自身の効果で自分を裏守備で特殊召喚!…バトル!『エグリスタ』でダイレクトアタック!」

エグリスタが赤い糸を振るいアキに襲いかかる!

 

『速攻魔法「偽りの種」を発動!手札の「グローアップ・バルブ」を特殊召喚!くうっ…!』

小さな目のある球根が現れるがすぐに破壊される DEF100

 

「なら『ビースト』でダイレクトアタック!」

影の猛獣が牙を剥く!

 

『まだよ!リバースカードオープン!「リビングデッドの呼び声」!お願い!「アマリリス」!』

再びアマリリスが召喚されビーストと相討ちとなる…

 

『破壊された「アマリリス」の効果発動!相手に800ダメージを与える!スキャッター・フレイム!』

破壊された彼岸花の破片が降り注ぎ翠にダメージを与える、その力は先程より強く、破片の落ちた地面が焦げていく…!

 

「くぅぅぅ…!!」

翠LP3200→2400

 

『あっ!?翠さん!!ごめんなさい!!私…また…!』

 

アキは火の粉に襲われる翠に叫ぶ…そして後悔する、忌まわしい力でまた人を傷つけてしまったと…

 

 

「目を背けないで!」

 

『えっ…!』

 

翠の叱咤が飛ぶ、服を焦がしながらも翠はアキをまっすぐ見つめていた

 

「目を背けちゃダメよ…この力は人を救う事ができるすごい力よ!…決して人を傷つけるだけの力じゃない、自分の力と向き合って!」

 

「翠さん…!はい!!」

 

「その調子よ!私はこれでターンエンド!」

翠LP2400

エグリスタ ファルコン(セット)伏せ1 手札2

 

 

 

 

『(翠さんは私の為に全力で向き合ってくれてる…!その期待に応えてみせる!)』

 

 

『私のターン…ドロー!』 

『私はデッキトップのカードを墓地に送って墓地の「グローアップバルブ」を特殊召喚!』

再び目の付いた球根が現れる ATK100

 

『そして私は魔法カード「フレグランス・ストーム」を発動!「グローアップバルブ」をリリースして1ドロー!…ドローしたのは「ボタニカル・ライオ」!植物族モンスターをドローした事でもう1枚ドローできる!』

 

『そして「夜薔薇の騎士(ナイト・ローズ・ナイト)」を召喚!効果によって手札から「ボタニカルライオ」を特殊召喚!』

黒い薔薇の鎧を着た騎士とボタンの花弁を持つ獅子が現れる ATK1000  ATK1600

 

『私はレベル4の「ボタニカルライオ」にレベル3の「夜薔薇の騎士」をチューニング!』

 

4+3=7

 

『冷たい炎が世界の全てを包み込む…漆黒の薔薇よ!開け!シンクロ召喚!現れて!「ブラック・ローズ・ドラゴン」!』

赤き花弁を持つ花竜が現れようとする…しかし

 

「『エグリスタ』の効果を発動!相手がモンスターを特殊召喚する時!手札の『シャドールヘッジホッグ』を墓地に送り特殊召喚を無効にして破壊するわ!」

 

『なんですって!?』

顕現しかけた黒き薔薇竜は粒子となって消え去る…

 

「さらに『ヘッジホッグ』の効果でデッキの2体目の『シャドールビースト』を手札に加えるわ…どうする?」

 

『っ…私はターンエンド!そして再び墓地の「アマリリス」を特殊召喚!』

彼岸花の不死鳥が再び現れる DEF0

 

 

「アキさんのエンドフェイズにリバース罠『堕ち影の蠢き』を発動!デッキの『シャドール・ドラゴン』を墓地に送って私の場にいる裏守備のシャドールモンスターを表側守備表示にする!私は『シャドール・ファルコン』をリバース!」

小さな鳥型の影人形が現れる DEF1400

 

「そして墓地に送られた『シャドールドラゴン』の効果!アキさんの場の伏せカードを破壊!さらに『ファルコン』の効果で墓地の『ビースト』をセット!」

 

『しまった…「和睦の使者」が…!』

 

アキLP4000

アマリリス 手札1

 

 

 

『まさか「ブラックローズドラゴン」の召喚が防がれるなんて…それに遊海さんもそうだけどプレイングがすごい…!』

 

「ふふっありがとう…じゃあちょっと本気でいくわね?」

 

 

 

「私のターン!ドロー!」

「『シャドールビースト』を反転召喚!リバース効果で2枚引いて1枚捨てるわ!」

獅子の影人形が現れる ATK2200

 

「私はレベル5の『ビースト』にレベル2の『ファルコン』をチューニング!」

 

5+2=7

 

「清廉なる花園に咲く孤高の花よ!月の雫を得て咲き誇れ!シンクロ召喚!『月華竜ブラックローズ』!」

フィールドに花吹雪が舞い、聖なる光を纏う花竜が現れる ATK2400

 

『これが遊星の言っていた「決闘竜」…!本当に「ブラックローズドラゴン」にそっくり…!』

 

「見た目はそっくりでも効果は違うのよ?『月華竜』の効果を発動!このカードが特殊召喚に成功した時!相手フィールドのモンスター1体を手札に戻す!『アマリリス』には手札に戻ってもらうわ!退華の叙事歌(ローズ・バラード)!」

フィールドに花吹雪が舞う…アマリリスは風に攫われ手札に戻ってしまう。

 

『っ…!しまった!』

 

「そして『シャドール・ヘッジホッグ』を召喚!」

ハリネズミの影人形が現れる ATK800

 

「バトル!『月華竜』でダイレクトアタック!散華の鎮魂歌(ローズ・レクイエム)!」

月華竜から放たれた光の息吹がアキに直撃する!

 

『くぅぅ…!』

アキLP4000→2600

 

 

「そして『ヘッジホッグ』と『エグリスタ』でダイレクトアタック!」

2体の影人形の攻撃がアキに命中し、デュエルは決着した。

 

 

アキLP0

 

翠WIN!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…お疲れ様アキさん!大丈夫?」

 

『私は大丈夫ですけど…翠さんこそ大丈夫ですか!?』

デュエルが終わり翠はアキに歩み寄る…しかし翠はサイコパワーによるダメージで所々火傷していた…。

 

「大丈夫!大丈夫!昔に受けたダメージに比べれば全然だから!具体的に言うと…破壊神とデュエルした時よりはマシだから!」

 

『いったいどんな修羅場を乗り越えてきたの!?』

アキは思わずツッコんでしまう…

 

「ふふっ、冗談よ…それじゃあもうひとつ訓練ね…はい!」

 

『?…これは「治療の神 ディアンケト」…?』

翠は1枚の魔法カードを渡す…それはおなじみの回復カードであるディアンケトだった。

 

 

「そのカードの力を使って私の怪我を治してみてくれる?」

 

『えっ…でも私…やった事が…』

アキは少し躊躇する…何かを破壊する事にしか使わなかったサイコパワー、それで傷を癒やす事ができるのか不安になったのだ…。

 

「大丈夫、自分の力を信じて!まずは私のお手本ね?『ディアンケト』発動!」

翠は少し擦りむいていたアキの膝に回復の光を当てる…すると傷はすぐに治った。

 

『これが回復の力…すごい…!』

 

「それじゃあアキさんの番ね?失敗してもいいからやってみて?」

 

『は、はい!…「ディアンケト」…発動!』

アキがディアンケトを発動する…すると翠の体が優しい光に包まれ傷が消えていった…。

 

『できた…!できたわ翠さん!!』

 

「うん!ありがとうアキさん!合格よ!…貴女の力は破壊の力だけじゃない…優しい力も持っているわ、その力でみんなの役に立ってあげてね?」

 

『はい!ありがとうございます!!』

 

 

タララーラーラーラー…ターラララーラーラーラー…

 

「あら…電話?もしもし翠です!」

デュエルが終わり立ち上がった翠の携帯が鳴る

 

 

『もしもし翠?今大丈夫か?』

 

「あっ遊海さん!どうしたんですか?」

 

『いや、遊星達が最近ジャンクフードしか食べてないらしいから何か食べさせてあげたいんだけど…何か作れるか?』

 

「う〜ん…わかりました!カレーを作るのでみんなを連れて来てくださーい!」

 

『わかった!ありがとう!…えっ、龍亞達も?龍可は…ああ、もうわかったから!』プツン ツーツー

 

 

 

 

『遊海さんですか?』

 

「えぇ、遊星君達にカレーを作ってあげる事になったの!…もしよかったら手伝ってくれる?」

 

『わかりました!手伝います!』 

 

「ありがとう〜!それじゃあよろしくね!」

 

 

 

 

そしてその夜はシグナーチーム勢揃いのカレーパーティーとなった、余談だが龍可と遊海の目にはアキの肩にちょこんと乗り微笑む黒薔薇の魔女の姿が見えたとか…それは本人の知らない事である。

 

   


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