転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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夢の中の邂逅〜自分同士の喧嘩〜

「えっ!?遊星君が誘拐された…!?」  

 

『ええ、ガレージに電話があったらしいの…!だから遊海さんにも探すのを手伝ってほしいの!』

 

 

パラドックスの事件からしばらく経ったある日、アキから「遊星が誘拐された」という連絡が翠へと届けられた…、また事件の記憶は次第に人々の記憶から薄れチーム5D's関係者以外はほとんど忘れてしまっている。

 

「わかった!遊海さんに伝えておくわ!」

 

『ありがとうございます!!お願いします!』プツン プープー

 

 

 

 

「…確か遊星君を勧誘しようとした何処かの会社の仕業だったわね…とにかく遊海さんに知らせなくちゃ!」

翠は2階へと上がり遊海へと声をかける

 

 

「遊海さん!大変です!遊星君が誘拐……寝ちゃってる…」

 

「……」

 

遊海は自室のベッドで横になっていた…しかし

 

 

「っ…ぐ……!うぅ…!」

 

「遊海さん?遊海さん!起きてください!どうしたんですか!?」

魘されている遊海…翠は身体を揺さぶり起こそうとするが目覚める様子がない…

 

《翠…たぶんマスターはしばらく目覚めないかと…》

 

「アヤカちゃん!?どうして!?」

 

《それが…精神世界でユウスケとケンカしていて…》

 

「えっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side遊海@精神世界

 

 

 

 

「…どういうつもりだ?ユウスケ」

 

『どうもこうもねぇよ遊海…お前、()()()()()()()()

眠っている遊海の精神世界、そこで赤帽子の青年と鏡写しの黒帽子の青年が対峙する…言わずもがな遊海とその闇の人格であるユウスケである。

 

 

「弱くなったって…何を根拠に言ってるんだ!俺は失っていた力を取り戻した!」

 

()()()()()()()()、お前はなにも進歩しちゃいねぇ、あの日…ゼロ・リバースからな…!』

ユウスケは遊海を睨みつける

 

『お前は17年前…()()()に負けたんだ、油断があった?相手が卑怯な手を使った?…そんなの関係ねぇ、()()()()()()()()()()

 

「言わせておけば…!ユウスケ!お前は何が言いたい!はっきり言えよ!!」

遊海はユウスケに問いかける

 

『ああ…言ってやるさ、遊海…主導権を(オレ)に寄越せ、あとは我が上手くやるから引っ込んでろ』

 

「なんだと…!?」

遊海はその言葉を聞いて唖然とする、ダーツの手で遊海の光と闇が分かたれて三十年、ユウスケとはある程度良好な関係を築けていたと思っていたからだ。

 

 

『お前は甘いんだよ…敵対したら徹底的に潰せ、基本だろ?』

 

「それは…」

 

『ああ、わかってるよ、お前は()()を壊したくないんだろ?…だが奴らにもイレギュラーはいる、もう物語通りに進む保証はねぇ…なら我がぶっ壊してやる、何処かにいる三皇帝とゲイザーを倒してゾーンを引き摺り出してやるよ』

 

「やめろユウスケ!そんな事をしたら未来がどうなるかわからなくなるんだぞ!!」

 

『なら…力ずくで止めてみろよ!腰抜け野郎!うおおお!!』

ユウスケは闇を纏い姿を変える…それは以前遊海の見せたダーク・メタルナイトの姿だった。

 

『かかってこいよ…まずは身体で語ろうじゃないか…!』

 

「やめる気はなさそうだな…!ハァッ!!!」

遊海はクリフォートの鎧を纏いユウスケと対峙する!

 

 

「『ハッ!!!』」 

 

ズガン!!

二人の拳がぶつかり空気が爆発する、カードゲームらしくもない戦闘音が響き渡る…

 

 

「ふざけるなよユウスケ!!俺はアテムと約束したんだ!『俺なりのハッピーエンド』を目指すと!!俺は…犠牲を最小限にして人々を救うんだ!!」

 

『それが甘いと言ってるんだ!犠牲を最小限に?既に数えきれない人間を取り零してるお前が何を言いやがる!』

 

「それは…!『隙アリ!!』ぐあっ!?」

 

ズガーン!

息もつかせぬ高速戦闘の中、動揺した遊海は殴り飛ばされる!

 

「っ…!カタストロフレーザー!!」

 

『ダークイレイザー!!』

二人の光線技が衝突し爆発する!

 

『それで終わりか?何が最強の決闘者だ?』

 

「まだ終わりじゃないさ…!コンプリートフォーム!!」

遊海は光を纏い姿を変える…それは17年前に遊海のたどり着いた最強形態、頭部は太陽神の兜、胴体はクリフォートの鎧、右腕は聖刻、左腕は影霊衣、脚部は岩の鎧を纏ったコンプリートフォームだった。

     

 

『ハッ…付け焼き刃で我に敵うわけないだろうがぁ!!』

ユウスケは遊海に殴りかかる!

 

「ハァッ!」 ガキン!

 

『なんだと…!』

遊海は左腕でユウスケの拳を受け止める!

 

「喰らえ!絶対零度!!」

 

『っ!?しまっ…!』

全てを凍てつかせる龍の凍気がユウスケの身を凍らせる!

 

「必殺!クインテット・バースト!!」

遊海の持つ5つの力が虹色の極光となり氷像となっていたユウスケを粉々に破壊した…。

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

全力を開放した遊海は息を切らせ膝をつく…

 

 

『やるじゃねぇか遊海、一瞬意識が飛んだぞ』

光の粒子が集いユウスケの身体が再構成される。ここは遊海の精神世界、致命的ダメージを負っても死ぬ事はない…心が折れなければだが。

 

『肉体のスペックはお前の方が上か…だが決闘ならどうかな…!』

ユウスケはデュエルディスクを実体化させる!

 

「ユウスケ、お前が何をしたいか知らないが…お前をぶっ飛ばす!!」

遊海も臨戦態勢をとる…あり得ざる自分対自分のデュエルが始まる…!

 

 

 

 

 

 

 

「『デュエル!!』」

 

 

遊海LP4000

ユウスケLP4000

 

 

 

 

 

「俺のターン!ドロー!」

「魔法カード『召喚士のスキル』発動!『クリフォート・ツール』を手札に加える!そしてPスケールにスケール9の『クリフォート・ツール』とスケール1の『クリフォート・アセンブラ』をセッティング!」

遊海の両脇に光の柱が立ち上る!

 

「『ツール』のペンデュラム効果発動!800ライフを払いデッキから『アポクリフォート・キラー』を手札に加える!」

遊海LP4000→3200

 

『フン…来るか』

 

「我が魂に寄り添う大いなる力よ!今こそ顕現せよ!ペンデュラム召喚!『クリフォート・ゲノム』『クリフォート・アクセス』『クリフォート・シェル』!」

時空の扉が開き巨大な機械達が現れる ATK1800  1800  1800

 

 

「そして3体のクリフォートモンスターをリリースし現れろ!我が相棒たる機殻の王!『アポクリフォート・キラー』!」

3体のクリフォートのコアが集い遊海の相棒である機殻王が現れる ATK3000

 

【ユウスケ、貴方は何をしたいのですか…!マスターを危険に晒すなんて!】

 

『アヤカか…お前に答える義理はない、これは我とコイツの問題だ…さっさとデュエルを続けろよ』

 

【っ…あなたって人は…!】

 

「いいんだアヤカ…決着は着ける、『キラー』の効果発動、手札のモンスターを墓地に送ってもらうぞ」

 

『我は「BK スパー」を墓地に送る!』

 

「『バーニングナックラー』だと…?俺はカードをカードを一枚伏せターンエンド!『アセンブラ』効果で3ドロー!」

 

遊海LP3200

キラー 伏せ1 Pスケール ツール アセンブラ 手札3

 

 

 

 

『フン、我を倒す為に本気で来るか…そのデッキを倒したらお前の心も折れるだろう…!』

 

「やらせないさ!かかってこいよユウスケ!」

 

 

 

 

 

『我のターン!ドロー!』

 

「罠カード『スキルドレイン』発動!1000ライフを払いフィールドのモンスター効果を無効にする!」

 

『それぐらい読んでるんだよ!魔法カード「サイクロン」発動、「スキルドレイン」は破壊だ!』

小さな竜巻がスキルドレインを破壊する!

 

「っ…!しまった…!」

遊海LP3200→2200

 

『我が何年お前を見てきたと思ってるんだ?それぐらいお見通しなんだよ!「ゴブリンドバーグ」を召喚!さらに効果で「BK シャドー」を召喚!』

小鬼の乗った飛行機と黒きボクサーが現れる ATK1400→DEF0  ATK1800→1300

 

『さらに魔法カード「バーニングナックル・スピリッツ」を発動!デッキトップを墓地に送り墓地の「スパー」を特殊召喚!』

腕にプロテクターを着けた戦士が現れる ATK1200→700

 

『我はレベル4のモンスター3体でオーバーレイ!』

3体のモンスターが銀河に飛び込む!

 

No.105

 

『現れろ!A No.105!「流星のセスタス」!』

青と黄色の鎧を纏った戦士が現れる ATK2500→2000

 

「「セスタス」…!俺に効果でダメージを与えるつもりか…!」

 

『まだだ!「RUMーバリアンズフォース」を発動!カオスエクシーズチェンジ!!』

 

No.105

 

『現れろA CNo.105!混沌をを貫く炎の拳士!「彗星のカエストス」!』

紫の鎧に混沌の紅きエネルギーを纏いし王者が現れる ATK2800→2300

 

「手札に『RUM』を…!だが攻撃力は足りないぞ!さらに『キラー』はランク5の『カエストス』の効果は受けない!!」

 

『それはどうだろうな!バトルだ!「カエストス」で「キラー」を攻撃!コメット・エクスプロージョン!!』

 

「迎え撃て!デストロイ・キャノン!!」

【主砲、発射します!!】

キラーに向けて跳躍したカエストスにキラーの光線が迫る!

 

『ダメージステップ時に墓地の「BK カウンターブロー」の効果を発動!このカードを除外し「カエストス」の攻撃力を1000アップする!』

 

「なんだと!?」

 

カエストスATK2300→3300

『歯ァ食いしばれ!スーパーノヴァ・カウンター!!!』

カエストスは拳から爆発的エネルギーを放出する、それは迫っていた光線を打ち消しキラーのコアを貫いた!

 

【まさか…こんな方法で…!すみませんマスター…!】

 

ドッカーン!!

 

「アヤカ!ぐああぁぁ!!!」

キラーの爆発が遊海へと襲いかかる!

 

遊海LP2200→1900

 

カエストスATK2300→2800

 

『まだだ!「カエストス」が相手モンスターを破壊した時!その攻撃力の半分のダメージを与える!セカンド・インパクト!!』

 

「っ…!ガハッ──!」メリッ ズドーン!

 

遊海に肉薄したカエストスは躊躇なく遊海を殴り飛ばした…

 

遊海LP1900→400

 

 

『我はこれでターンエンドだ、まだ続けられるか?』

ユウスケLP4000

カエストス 手札1 

 

 

 

 

 

「ガッ…痛ぇ…!遠慮無しかよ…!!」

遊海は叩きつけられた壁を支えに立ち上がる…

 

『お前の力はそんなもんか?世界じゃ「決闘王」なんて言われてよ…その正体は自分の闇に負ける敗北者か?情けねえ…情けねえな白波 遊海!!』

 

「うるさい…うるせぇ…!!黙れユウスケ!!」 

 

『ハッ、図星か…安心しろよ、お前を倒して周りの声の聞こえねぇ場所に封印してやるからよ…!』

 

 

「っ…(どうする…俺の手札は『機殻の要塞』『ゲノム』『機殻の再星』の3枚…!『ツール』の効果は使えない…!次のドローに賭けるしかない…!)」

遊海は追い詰められていた、勝つルートは僅か…遊海はドローに全てを賭ける!

 

 

 

 

 

「俺のターン…ドロー!!!」カンコーン!

「(このカードは…ごめんな、なかなか出番が無くて…力を貸してくれ!!)我が魂を守る大いなる力よ!再びその力を示せ!!ペンデュラム召喚!エクストラデッキから現れよ!『ゲノム』『アクセス』『シェル』!」

再び時空の穴が開き3体の機械が現れる ATK1800  1800  1800

 

 

『へっ…また「キラー」を呼び出すつもりか?無駄だ、我の手札は2枚目の「カウンターブロー」!どちらにしても返り討ちだ!』

 

 

「ユウスケ…忘れてないか?『クリフォート』のもう一枚の()()()を!」

 

『なに…?』

 

 

「俺は3体のモンスターをリリース!現れろ!王を補佐する頭脳!『アポクリフォート・カーネル』!!」

遊海の背後に現れるのは白のコアを持つ巨大な機械、クリフォートの最上級モンスターが1体…アポクリフォートカーネル! ATK2900

 

 

『「カーネル」だとぉ!?そいつを入れていたのか…!?』

カーネルは通常のクリフォートデッキに入る事は少ない、切り札であり問答無用にモンスターを墓地に送る「キラー」、リリースする事でバウンスする「アーカイブ」がいれば事足りる事が多いからだ…だが、カーネルも召喚コストに見合う強力な効果を持っている!

 

 

「『カーネル』の効果を発動!『カエストス』のコントロールを得る!機殻催眠!」

《マスターの指令を受諾…催眠電波放出開始…》

 

カーネルから放たれた電波がカエストスに直撃する、催眠を受けたカエストスは跳躍し遊海のフィールドに移動する。 ATK2800

 

 

カーネルの効果、それは「相手モンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る」効果、しかも「エネミーコントローラー」や「精神操作」のようにコストを必要としない強力な効果である。

 

「バトルだ!『カエストス』と『カーネル』で…ダイレクトアタック!!」

彗星の拳と白の破壊光線がユウスケに直撃し大爆発を起こした…。

 

ユウスケLP0

 

遊海WIN!

 

 

 

 

 

ジャラジャラジャラ!

 

『チッ…もう少しだったのにな…』

攻撃で吹き飛ばされたユウスケを無数の鎖が拘束する。

 

「ユウスケ、お前またしばらく謹慎だからな!ここで大人しくしてろ!」

 

『へいへい、わかったよ…おい、遊海』

 

「なんだ?ユウスケ」

その場をあとにしようとする遊海にユウスケが声をかける

 

『…後悔するなよ、お前は止まるチャンスを棒に振ったんだからな』

 

「後悔なんてしないさ、俺は遊星達と未来を救うんだ…じゃあなユウスケ」

遊海はそのまま精神世界からログアウトした。

 

 

 

 

 

 

「っ……翠…?」

 

「遊海さん!大丈夫ですか!?ユウスケさんと喧嘩してたって聞きましたけど…!」

遊海が目を覚ますと翠が心配そうに顔を覗き込んでいた。

 

「ああ…まったく、あいつは何がしたかったんだよ…暫くは封印コースだな」

 

「もう…自分同士で喧嘩しないでくださ〜い!」

 

「ごめん翠…次からは気をつけるよ」

 

 

こうして遊海とユウスケの喧嘩は決着を迎えた…なお、遊星はアキにより救出され事無きを得た、さらにシェリー・ルブランとライティングデュエルをしたとの事だ。

 

また余談だが遊星を攫おうとした某ライティングチームは事情を知ったKCに潰されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『…遊海、お前は運命を乗り越えられるのか…?いや、奴を倒せるのか?』

 

精神世界で拘束されるユウスケ…その心中は複雑だった、とある事で知った敵の秘密…ユウスケはそれを知り遊海を守ろうとしたのだ…。

 

『お前にはとっては一番辛い戦いになるだろうな…まぁ、我にとっては関係ない事だ…覚悟を決めろよ俺』


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