転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちはS.Kです!
最近少しスランプ気味だったりしますが…頑張ります!

それでは最新話をどうぞ!


花の騎士と忠義の侍〜思わぬ因縁〜

「ありがとう!メタルナイト!」

 

「おう!もう風船は離しちゃだめだぞ!」

 

「は〜い!」

 

「…今日もネオドミノシティは平和だな、よかった…」

 

レセプションパーティーから数日が過ぎた、メタルナイトとしてパトロールをしているが大きな事件はない、ネオドミノシティには平和な時間が流れていた。

 

「さて…パトロールに戻ろうか」

俺はDホイールに乗りその場を離れた…。

 

 

『『……』』

 

 

 

 

 

 

 

「ほい、Dホイール窃盗の現行犯だな…セキュリティが来るまで大人しくしてろよ?」

 

「「「むぎゅ〜…」」」

 

…平和でもなかった、あのあとDホイールの窃盗未遂が3件、ひったくりが2件、火事が1件あった…童実野町の治安の悪さはそのままだったか…。

 

「さて…今日は帰るかな」

 

《(マスター)》

 

「(アヤカ?わざわざ念話でどうしたんだ?)」

アヤカが念話で遊海に話しかける。

 

《(先程から何者かに監視されています…数は2人、どうしますか?)》

 

「(撒くのは簡単だけど…正体が気になるな、出てきてもらおうか)」

俺はDホイールに乗り人気の無いエリアへと走りだした…。

 

 

 

 

 

 

 

 

第三者視点

 

 

 

『彼は何処へいったのかしら…?』

 

『お嬢様…ご注意を、奴は相当の手練…我々に気づいている可能性があります…!』

 

シティ郊外の廃工場に二人組の男女が訪れる、1人は大柄の紳士服を着た男・ミゾグチ、もう1人は金髪のロングヘアーでライダースーツを着た麗人・シェリー・ルブラン、彼女達はある目的の為にメタルナイトを追跡し、この工場へと辿り着いたのだ。

 

 

『私達の目的の為には彼に接触する必要があるわ…もう一度探すわよ!』

 

『わかりました…しかし、その必要も無いようです…!』

ミゾグチが前を見つめる、夕暮れの暗がりの中から彼らが探していた人物が現れる。

 

「俺の事をつけてたのはお前達か…俺になんの用だ?」

 

『現れたわねメタルナイト…いいえ、伝説の決闘者、白波 遊海…!』

 

 

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

「(正体バレてるし…なんでわかった…?)俺はメタルナイト、伝説の決闘者とは関係ないぞ?」

 

『とぼけなくてもいいわ、貴方の事を調べあげ…そして共通点を見つけた、前回のフォーチュン・カップそして18年前のバトルシティ…貴方は「閃光竜スターダスト」というカードを使ってる、証拠はそれで充分よ』

 

「…なるほどな、I2社にハッキングを仕掛けたのはお前達だったのか…俺になんの用だ?」

俺は変身を解きつつシェリーへと問い掛ける、ついでにバトルシティ・レジェンドの記録映像は厳重に規制されている…全てを収めた映像が残っているのはKCとI2のみである。

 

 

『私の名前はシェリー…白波 遊海、私達と一緒にWRGPに出てほしいの、その為に私は貴方を探していたのよ』

 

「…どういう風の吹き回しだ?お前は遊星に熱烈なアタックをしたらしいが?」

 

『ええ…それは本当よ、遊星の事は諦めていないわ…でも保険として…そしてWRGPで注目を集めるために貴方が欲しいのよ』

シェリーは凛とした顔で俺を見つめる、俺はWRGPに関してまだ何も決まっていない…だが…

 

「いいだろう、その申し出を受けようシェリー」

 

『本当!?「ただし!!…決闘で勝ったらの話だけどな!」…そういう事ね…!いいわ!貴方に勝ってチームに入ってもらう!』

シェリーと遊海はデュエルディスクを構える

 

「それから…そこの執事さん、あなたも決闘者でしょう?二人まとめてかかってきてください」

 

『なんと…!?いいでしょう!後悔しないでください、ワタシはミゾグチ!お嬢様を守る盾とならん!!』

 

 

 

 

 

『『「デュエル!!」』』

 

 

遊海LP4000

 

ミゾグチLP4000

シェリーLP4000

 

 

特殊ルール

 

バトルロイヤル

 

順番

遊海→ミゾグチ→遊海→シェリー…

 

シェリーのターンから攻撃可能

 

 

 

 

 

 

「俺のターン!ドロー!」

「魔法カード『テラ・フォーミング』を発動!デッキからフィールド魔法『混沌の場(カオス・フィールド)』を手札に加え、発動!その効果により、デッキから『カオス・ソルジャー』を手札に加える!」

 

『「カオス・ソルジャー」ですって!?』

遊海の背後に光のトンネルが現れる

 

「俺は儀式魔法『カオスの儀式を発動!』手札のレベル1『サクリボー』とレベル7『疾走の暗黒騎士ガイア』を生贄に捧げる!」

フィールドに現れた祭壇にガイアとクリボーが吸い込まれる

 

「相反する光と闇が混じりし時、最強の戦士が誕生する!儀式召喚!現れろ!『カオス・ソルジャー』!!」

遊海の背後のトンネルから凄まじい力を纏う混沌の戦士が現れる ATK3000

 

『これがデュエルモンスターズの歴史に刻まれる「最強の戦士族」…!』

 

『白波 遊海…やはり彼は只者ではない…!』

シェリーもミゾグチも最強の戦士を前にたじろぐ

 

 

「フィールド魔法『混沌の場』の効果発動!手札・フィールドからモンスターが墓地に送られた時、1体につき1つ魔力カウンターを置く!」

遊海の背後に逆三角形の紋章の玉が現れる カウンター0→2

 

「さらにリリースされた『サクリボー』の効果!リリースされた事で1ドロー!さらに『疾走のガイア』の効果でデッキから『カオス・ソルジャー ー開闢の使者ー』を手札に加える!カードを1枚伏せ…ターンエンド!」

遊海LP4000

カオスソルジャー 混沌の場(2) 伏せ1 手札4

 

 

 

 

『いきなり攻撃力3000のモンスターとは…ワタシも気が抜けませんな…!お嬢様!先陣を切らせて頂きます!』

 

『頼んだわよ!ミゾグチ!』

 

 

 

『ワタシのターン!ドロー!』

『「魔頂(まちょう)武士(もののふ)」を召喚!』

黒い甲冑と細長い兜の武士が現れる ATK1200

 

『さらに「魔頂の武士」の効果発動!手札から「放踵(ほうしょう)の武士」を特殊召喚!』

赤い鎧の薙刀を持った武士が現れる ATK0

 

『ワタシはレベル4の「魔頂の武士」にレベル3の「放踵の武士」をチューニング!』

 

4+3=7

 

『二つの刃交わりしとき!ここに忠義の刃が現れん!我に仕えよ!シンクロ召喚!現れろ《不退の荒武者》!』

二刀流の武者が現れる ATK2400

 

混沌の場 カウンター2→4

 

『ワタシはカードを2枚伏せてターンエンド!』

ミゾグチLP4000

不退の荒武者 伏せ2 手札2

 

 

 

「俺のターン!ドロー!」

「カードを1枚伏せターンエンド!」

遊海LP4000

カオスソルジャー 混沌の場(4) 伏せ2 手札4

 

 

 

 

『遊海!貴方を必ず引き込んでみせる!私のターン!ドロー!』

『「花騎士団の駿馬」を召喚!』

豪奢な装飾をされた馬が現れる ATK400

 

『「駿馬」の効果発動!デッキから「融合」を手札に加える!そして魔法カード「融合」を発動!フィールドの「駿馬」と手札の「花騎士団の槍持ち」を融合!「ケンタウルミナ」を融合召喚!』

騎士の鎧を着た女性のケンタウロスが現れる ATK2200

 

混沌の場 4→6

 

『そして私は装備魔法「最強の盾」を「ケンタウルミナ」に装備!その効果で「ケンタウルミナ」の攻撃力は自身の守備力分…1600ポイントアップする!!』

ケンタウルミナの盾が重厚な物に変わり、攻撃力がアップする! ATK2200→3800

 

 

『バトルよ!「ケンタウルミナ」で「カオスソルジャー」を攻撃!!』

人馬一体の騎士が最強の戦士に斬りかかる!

 

「甘い!俺は手札から『混沌の使者』の効果を発動!このカードを墓地に送り『カオスソルジャー』の攻撃力を1500アップする!さらに相手モンスターの攻撃力はバトルする時、元々の攻撃力になる!!」

 

『なんですって!?』

カオスソルジャーの後ろにカオスソルジャーに似た鎧を着た戦士が現れる、そしてカオスソルジャーには力を与え、ケンタウルミナの力を奪った!

 

カオスソルジャーATK3000→4500

 

ケンタウルミナATK3800→2200

 

 

「切り裂け!『カオスソルジャー』!カオスブレード!!」

斬りかかってきたケンタウロスはその剣諸共一刀両断された!

 

『くぅ…!!』

 

『お嬢様!』

 

シェリーLP4000→1700

 

 

『これが「決闘王」の力…!凄まじいわね…私はカードを1枚伏せてターンエンド!』

シェリーLP1700

伏せ2 手札3

 

 

「お前の覚悟はそんなものか?お前は…なんでWRGPを目指す?」

 

『私は…復讐するのよ…!私の両親を傷つけた「イリアステル」に!そして()を見つけ出すの!!!』

 

『お嬢様!落ち着いてください…!冷静に…!』 

遊海にGPへの目的を聞かれ取り乱すシェリー…それをミゾグチが落ち着かせる

 

「(彼?見つける…?何か俺の知ってる事と違うような…?)」

遊海は微かな違和感を覚える…しかし、その事は後回しにしてデュエルを再開する。

 

 

 

 

「俺のターン!ドロー!」

「フィールド魔法『混沌の場』の効果発動!カウンターを3つ取り除き、デッキから儀式魔法『超戦士の儀式』を手札に加える!そして儀式魔法『超戦士の儀式』を発動!手札のレベル4『開闢の騎士』と『宵闇の騎士』を生贄に捧げる!」

遊海の場に魔法陣が刻まれ2体のモンスターが飛び込む!

 

混沌の場 6→3

 

「混沌を統べる究極の戦士…ここに降臨!!儀式召喚!いでよ!『超戦士カオス・ソルジャー』!!」

体がオーラに包まれた超戦士が現れる ATK3000

 

混沌の場 3→5

 

 

『2体目の「カオスソルジャー」ですって…!?』

 

「さらに墓地の『開闢の騎士』と『宵闇の騎士』を除外し、このモンスターは特殊召喚できる!現れよ!『カオス・ソルジャー ー開闢の使者ー』!」

天地の開闢を司る究極の戦士が現れる ATK3000

 

『攻撃力3000が3体…!?』

 

「『超戦士』の効果を発動!『開闢の騎士』を儀式召喚に使った事で効果を発動できる!『不退の荒武者』を除外!」

 

『しまった!!』

荒武者は次元の狭間に消え去る!

 

「バトルだ!『超戦士』と『カオスソルジャー』でミゾグチにダイレクトアタック!ダブル・カオスブレード!!」

2体の戦士の斬撃がミゾグチを吹き飛ばした!

 

『ぐっ!すみませんお嬢様!!』

 

『ミゾグチ!!』

 

ミゾグチLP4000→1000→0

 

 

 

「俺のモンスターはまだ残ってる!『開闢の使者』でシェリーにダイレクトアタック!混沌の一撃!!」

 

『まだよ!リバース罠「ハイ・ハーフ」を発動!相手の攻撃力2000以上のモンスター1体の攻撃力を半分にする!』

 

「させない!カウンター罠『超戦士の盾』を発動!自分フィールドのモンスターを対象にする効果を無効にし破壊する!斬り裂け!『開闢の使者』!」

盾で効果を受け止めた開闢の使者はそのままシェリーのライフを削りきった…。

 

シェリーLP 0

 

遊海WIN!

 

 

 

 

 

 

 

「それで…話を聞かせてもらえますね?ミゾグチさん」

 

『ええ…貴方にだけお伝えしましょう、…シェリーお嬢様、そしてルブラン家に何が起きたのか…』

デュエル終了後、気絶してしまったシェリーを看病しながらミゾグチは語り始める、彼女の身に何が起きたのかを…

 

『あれはもう10年以上前の事になります…シェリーお嬢様はカード産業で財を成したルブラン家の長女としてご主人様と奥様に愛されながら暮らしていました…そう、あの事件が起きるまでは……』

 

 

 

 

 

十数年前…

 

 

「パパ…ママ…?」

幼いシェリーは聞き慣れない音で目を覚ました…不安になった彼女は両親の部屋を訪ねる…しかし、そこで目にしたのは銃で撃たれ、血溜まりに倒れ伏した両親やメイド達の姿だった…。

 

「そんな!パ…!『お嬢様…!声を立ててはなりません!!』ヒグッ…!?」

シェリーは口を手で抑えられる、その手は若きミゾグチのものだった。

ミゾグチは地下室で作業をしていた為に襲撃から難を逃れたのだ…。

 

『お嬢様…お父上はもう…!ですが貴女だけは必ず助けます…!』

 

「そんな…!パパ…ママぁ…!嫌だ…嫌だよぉ!!」

幼いシェリーは涙を流す…そこに…

 

 

「ぎゃ…!?」

 

「ぐぇ…!?」

 

「やめろ…やめろ来るなぁ!!ガッ………」

 

 

「なに…?なんの音…?」

 

『お嬢様!隠れるのです!』

廊下から聞こえてくる襲撃犯の悲鳴…危険を感じたミゾグチはシェリーをクローゼットへと隠す

 

「ミゾグチ!ミゾグチも一緒に隠れて…!」

 

『お嬢様…ご心配無く、ワタシには護身術の心得があります…!絶対に貴女だけは守ります…!』

ミゾグチはクローゼットを背に構えをとる…そして

 

 

『まったく…惨い事をするものだ人間という生き物は…』

部屋のドアが開き、1人の男が現れる…その男は夜の暗闇でもわかる漆黒のコートを纏い、黒いバイザーで目元を隠した青年だった…その服は返り血で汚れている。

 

『お前は何者だ!ルブラン氏達を殺したのはお前なのか!!』

ミゾグチは男に問い掛ける

 

『ルブラン…?ああ、そこ倒れてる奴らか…それはオレではない、犯人なら既に消したよ…一人は逃げられたけどな』

 

『っ…!何が目的だ!これ以上何を望む!』

 

『望みか…ここに来たのは()()()()()()()()、オレに望みは…ない、だが…お前が匿っている少女には興味があるな』

 

『!?…シェリーお嬢様には指一本触れさせんぞ!!ハッ!!』

ミゾグチは男に肉薄し拳を叩き込む

 

『…何かしたか?』

 

『なっ…!』

男はミゾグチの拳を難なく受け止める

 

『拳は…こう使うのだ!』

 

『ガハッ─!?』

男の拳は重く鋭かった…拳の直撃を受けたミゾグチは壁が壊れる程の威力で叩きつけられる!

 

「そんな!ミゾグチ!しっかりして!!」

 

『お嬢様…!逃げて…ください…!』

シェリーが隠れていたクローゼットから飛び出す…両親を失い、ミゾグチも危機に瀕している…彼女は見ていられなかったのだ…。

 

『お前がシェリーか…』

 

「うぅっ…!パパを…ママを返せ!うわぁぁぁ!!!」

 

『いけません!お嬢様…!!』

シェリーは男に向かって駆け出す…そして…

 

ザシュ…!

 

『!?…』

 

『お嬢様…!』

 

「うっ…ヒグッ…!あ、ああ…!」

床に血が垂れる…それはシェリーのものではなく、足から血を流す男のものだった…シェリーはクローゼットにあったハサミを持って男に一矢報おうとしたのだ。

 

 

『…マナーのなってないお嬢さんだ、ハサミを人に向けちゃいけないって教わらなかったのか?』

 

「あ、ああ…」

男はシェリーからハサミを取り上げ、投げ捨てる…そして

 

『だが…その心は認めよう、他人の危機に自分を捨てて立ち向かう…いいだろう、お前に免じてその願いを叶えてやろう』

男は倒れているルブラン夫妻へと歩み寄る

 

『…運が良いな、まだ息があったか…だが目覚めるかは…お前達次第だ』

男の手から緑の光が放たれる…

 

『…じゃあな、お前の願いが叶うかは本人達次第だ』

 

『待て…!いったい何を…!』

 

『傷を癒やした、すぐに救急車を呼べば助かるだろうさ』

 

『なっ…!?待て!お前は…お前は何者なんだ…!』

 

 

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

『…そしてお嬢様がすぐに救急車を呼び、奇跡的にご主人様達は一命を取り戻しました…しかしご夫妻共に未だに目覚めないのです、そしてワタシとお嬢様は事件の真相について調べ…その背後に「イリアステル」なる秘密結社がある事に辿り着きました、そして今回のWRGP…そこにイリアステルが関わっている事を知り、この町に来たのです』

 

「そんな事が…(ルブラン夫妻が生きてるだと…!?なぜ…!?)」

シェリーの両親はイリアステルの干渉を受け殺され、シェリーとミゾグチが世界中を逃げ回りつつ強くなるのが本来の歴史だ…しかし、この世界ではルブラン夫妻は生きているのだ…。

 

 

「なぁ、お前達が俺に接触してきたのはチームの勧誘だけじゃないんじゃないか?」

 

『…左様です、お嬢様はバトルシティ・レジェンドの映像を見てから貴方に会いたがっていました…彼の事を聞くために…』

 

『ええ…そうよ、私は貴方に聞きたい事があったの…』

 

「シェリー…気が付いたようだな」

 

『お嬢様…!』

シェリーは体を起こす

 

『私はお父様を傷つけたイリアステルに復讐する…そして彼に…瀕死だったお父様達を助けた彼に聞きたいの…「どうしてそんな事をしたのか」って』

 

「さっきからお前が言っている『彼』は何者なんだ?」

 

『今でも鮮明に覚えているわ…お父様達を治療して立ち去った彼の名前は…「観測者(ゲイザー)」…黒いコートとバイザーを付けた男…貴方がバトルシティの準決勝で戦った男よ』

 

「はっ………?なんの…なんの冗談だよ!それは!!!」

遊海は抑えていた殺気を開放する、それにより空気を揺らし、周囲の小石が浮かび上がる!

 

『遊海殿…!?いったいどうしたのですか!?』

 

『なんていう…殺気よ…!?』

シェリー達は開放された殺気で身動きが取れない!

 

 

「奴はイリアステルのメンバーの一人で…ゼロ・リバースの主犯の一人だぞ…!そんな奴が…人助けだと…?そんな事あるわけないだろうが…!!」

 

『『なんと!?/なんですって…!?』』

シェリーもミゾグチも驚きに顔を染める…命の恩人が実は仇の一人だった、そのダメージは計り知れない…

 

《ユウミ!落ち着いて!!今のあなたが本気を出したら工場が消えちゃいますよ!!》

 

《深呼吸です!深呼吸!!》

アヤカとフレアが半実体化状態で遊海を宥める…何回も手酷く殺られているせいで怒りのパラメーターが振り切れ気味である。

 

「フー…フー………すまん、取り乱した…お前達がイリアステルを、ゲイザーを追うなら止めはしない…だが気をつけろよ、奴は血も涙もない大量破壊者だ…実際に会うことはオススメはしない…!」

 

『…ありがとう遊海、忠告感謝するわ…でも私は彼に会って聞かなきゃならないの…、今回は負けてしまったけど諦めてはないわ、GPに出るつもりになったら連絡をちょうだい…いつでも歓迎するわ!』

 

「そうかい…ま、気が向いたら連絡させてもらうよ」

そして遊海とシェリーは連絡先を交換し別れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

十数年前…

 

 

『待て…!お前は何者なんだ…!』

ミゾグチが男へと問い掛ける…事もなげにルブラン夫妻達を蘇生してみせた男の名を…

 

 

『…我が名は「観測者」ゲイザー、今回は気まぐれで立ち寄っただけだ…もう会うことは無いだろう…』

 

「待って!」

立ち去ろうとするゲイザーをシェリーが呼びとめる

 

「パパとママは…助かるの…?」

 

『……ああ、たぶんな、早く救急に通報するがいい』

 

「ありがとう…あとごめんなさい…」

シェリーは頭を下げる…それは両親を助けてくれた感謝であり、ゲイザーを傷つけた謝罪でもあった…なお、ミゾグチは気絶してしまっている。

 

 

『礼などいらん…オレは気まぐれに来ただけだ』

 

「ゲイザー、私が怪我をさせたせきにんをとるわ…私が大きくなったらあなたのおよめさんになってあげる!」

 

『…………何処でそんなセリフを覚えたんだこのお嬢様は……?』

ここに来て初めてゲイザーは表情を崩した…もちろん呆れによるものだが。

 

『小娘、世界は広い…オレなんぞよりいい男はいるだろう…オレに関われば待ち受けるのは破滅だけだ、諦めろ…じゃあな』

そのままゲイザーは闇に紛れ消えてしまった…。

 

 

「ゲイザー…私、必ずあなたを見つけてみせるから…待っていてね?」

 

これは幼きシェリーの記憶、本人が覚えていなくとも…それは記憶として彼に刻まれた…。


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