転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
ここはとある海上…その海面を一人の男が
『見つけた、こんなところに沈んでいたか…』
男はある場所で歩みを止める、その足元には一台のDホイールが沈んでいた…
『ハアッ…!』
男が海面に手を翳すとみるみるうちに水が引き、直径10メートル程の穴が空いた
『…すまない友よ、オレのする事を許してくれ…未来を変える為に…』
男はDホイールを起動し何かの設定を変更する
『…これでいい…あとは時を待てば…っぐ…!?』
作業を終えた男は胸を抑え膝をつく…その顔は苦痛に歪み、目からは血の涙が流れ落ちる
【全てを闇に…人の心を闇へと落せ…これは自然の摂理だ…我に身を委ねよ…】
『…まだだ…オレは……未来を…変える…!』
息を整えた男は異空間へと消えていった…そして水が戻り、全ては海底へと沈んだ…
翠とアキのライセンス取得から月日が流れ…WRGPまで残り半年となった、ネオドミノシティには概ね平和な時が流れていた。
…まぁ、ジャックと一緒にDホイール窃盗団を壊滅させたり、三皇帝のルチアーノが龍亞と龍可にデュエルを仕掛けて返り討ちにあったなんて事もあったが大きな事件は無く平和だった…そして事態は動きだす…。
「遊海さ〜ん!コーヒーが入りましたよ〜」
「ん…ありがとう翠」
とある日の午後、遊海と翠は2人でのんびりとティータイムを楽しんでいた、遊海扮するメタルナイトの存在により治安の悪化していたネオドミノシティの犯罪率は激減…またWRGPの開催が近い事もありセキュリティの警備も強まりメタルナイトとしての出番も少ないのだ。
「ここしばらくは平和でよかったですね〜イリアステルの動きもほとんどないみたいですし…」
「ああ…このまま平和な日々が続けばいいんだけど…」
ピリリ…ピリリ…
「…そうはいかないみたいだな…はい!岸波です!」
『遊海!クロウだ!ちょっと面倒くさい事になっちまった…ちょっとガレージまで来てくれないか?』
電話の相手はクロウだった、なんだか困っているようだ…
「ああ、わかった、すぐにいくよ!……ほらな…?」
「遊海さん…頑張って!」
「ああ!ちょっと行ってくる!」
俺はコーヒーを飲み干し遊星達のガレージへと向かった…。
「おう!遊星!何があったん……え〜と…(そういう事か…)」
ガレージに入った遊海は一瞬言葉を失った、ガレージの中はいつもより散らかっており…パソコンの前で遊星と青い髪の青年が楽しそうに話し込んでいたからだ…。
「おっ…遊海!わざわざ来てもらってすまねぇな」
「ああクロウ…これはどういう状況だ?」
「ああ…実は…」
遊星と話しているのはセキュリティに保護された身元不明の青年・仮称「ブルーノ」…WRGPの開催が近づきネオドミノシティの宿泊施設は満室…その為、牛尾と狭霧の2人から彼の一時保護を頼まれたらしい。
「最初は引き取るつもりはなかったんだけどよぉ…アイツ、遊星に匹敵するメカニックだったんだ…遊星の奴、水を得た魚みたいに生き生きしててな…この2日間でオレやジャックと今までの会話以上の会話してるんだぜ?」
「まぁ…遊星は元々無口だからなぁ…それで俺を呼んだのはなんでだ?」
「それがな、ブルーノの奴は『記憶喪失』らしいんだ…それで前にミスティの弟の記憶喪失を治したアンタならどうにかなるかと思ってよ!」
「なるほど…そういう事か、ならやってみるよ」
俺は話し込んでいる遊星とブルーノのもとへと向かう
「よっ、遊星!なんだか楽しそうだな?」
「ここの調整はこうで……」
『いいね!それじゃあブーストのタイミングは……』
「(ガン無視かい!)…しょうがない」
遊星とブルーノは話し込んでしまい遊海の来た事に気づいていない…それに呆れた遊海は…
「メガロック、頼む」
《うむ…遊海が来たのだから挨拶ぐらいせんか馬鹿者!拳骨岩!》
ゴチーン!!
「『あいたぁ!?/ぐはっ!?』」
メガロックを呼び出して拳大の石を2人の頭上に召喚、容赦なく叩き落とした…2人は頭を抑え悶絶している。
「遊星、マシンの調整に精を出すのもいいが…挨拶はキチンとしろ!…昔から言っているだろう?」
「ゆ、遊海さん…!?いつからここに…」
『アイタタ…遊星…この人は…?』
「俺は白波 遊海、クロウから記憶喪失のお前の治療を頼まれたんだよ、お前がブルーノか?」
『は、はい!僕がブルーノです!!すいません!夢中になっちゃって…』
青髪の青年・ブルーノが謝罪する…どうやら俺の事は知らないみたいだな…
「そうか…!遊海さんの力ならブルーノの記憶を…!」
「そういう事だ遊星…楽しんでる所悪いけど早速やってみようか?」
『は、はい!お願いします…!』
「(さて…どうしたもんかな…)」
俺の正面にはブルーノが少し落ち着きなく座っている…。
ブルーノ…その正体はパーティーに現れた「謎のDホイーラー」であり…その真の正体はイリアステル滅四星の1人、未来人の記憶を持ったアンドロイド『戦律のアンチノミー』である。
Z-ONEは三皇帝をアーククレイドルをこの世界へ呼び出す「サーキット」を出現させる為にこの時代へと派遣した…それと共に未来の英雄である不動 遊星を成長させ「クリアマインド」「アクセルシンクロ」を習得させる為に送り込まれたのがアンチノミーだった。
アニメではアンチノミーの記憶を消し「謎のDホイーラー」として遊星に接触させ「アクセルシンクロ」の存在を遊星へと伝えた…本来ならその立ち位置のまま遊星の味方であり続けただろう…しかしここで一つの誤算が起きる…アンチノミーとプラシドによる同士討ちである。
アンチノミーの記憶を消されていたプラシドはアンチノミーを危険視してライティングデュエルを挑む…その最中アンチノミーは飛び出した猫を避ける為にコースアウトし海へと落下…完全に記憶を失った『二重記憶喪失』状態になってしまうのである。
「(そもそもロボットにカードの力が効くのかどうか…とりあえずやってみるか…)ブルーノ、気を楽にしていてくれ、すぐに終わる…はず」
『お、お願いします…!』
ブルーノは頭を下げる、そして…
「…忘れられし記憶よ…今こそ蘇れ!『思い出のブランコ』発動!」
遊海はブルーノの頭に手をかざす…そして暖かい光がブルーノを包みこんだ…
「…どうなのだブルーノ、何か思い出したか?」
『…えっと…何も…』
「「「なんだって!?/なんだと!?」」」
「(やっぱり無理か…)」
ブルーノの記憶は戻らなかったようだ…それを聞いた遊星達は唖然としている…
「まぁしょうがない!俺だって全能の神様じゃないからな、どうにもならない事だってあるさ…ごめんなブルーノ」
『いいんだよ遊海、記憶が無くったって僕はここにいる…それに遊星達に出会う事ができた、それで今はいいじゃないか!』
「ブルーノ…お前は…すごい奴だな」
「フッ…能天気な奴だ」
記憶は戻らずともブルーノは明るくそう語った、遊星達は少し呆れながらも喜んでいるようだ。
『さぁ!遊星、Dホイールのプログラムを仕上げよう!あれが完成すればDホイールの性能は格段にアップするはずだよ!』
「ああ!頼むぞブルーノ!」
遊星とブルーノはパソコンの前に戻り作業を再開する
「はぁ…熱中するのはいいけどデータのバックアップくらいは取っておけよ?誰かがコーヒーでも溢したら大変だからな!」
「あっ!?そうか、バックアップを取るのを忘れていた…!!ありがとうございます遊海さん!」
「まったく…少しは休むんだぞ遊星、ブルーノ…じゃあな!」
遊星達に少し助言をして俺は家へと戻ったのだった。
sideブルーノ
『ねぇ、遊星…さっきの遊海って人はいったいどういう人なんだい?遊星達とだいぶ親しいみたいだけど…』
プログラムの調整を続けて数時間…データのバックアップを取った僕達は少し休息をとっていた、そして僕は記憶喪失を治そうとしてくれた人物の事を尋ねる
「ブルーノ、これはあまり人に言わないでほしい事なんだが…あの人はネオドミノシティ最強のヒーローでありデュエリスト『メタルナイト』なんだ」
『メタルナイトだって…!?セキュリティに保護されている時に聞いたよ!この街の平和を守る正義のヒーロー…!それが彼なのかい!?』
遊星の言葉を聞いた僕は驚いた、僕が治安維持局に保護されていた時に連行された犯罪者…その6割はメタルナイトが逮捕した人達だったからだ。
「それだけじゃない…あの人はオレやジャック達と同じ赤き竜に選ばれたシグナーでもあり、その本当の姿は行方不明となった『2代目決闘王』…それがあの人なんだ!」
『「2代目決闘王」…!?そんなすごい人だったんだ……ん?』チクリ
嬉しそうに遊海の事を話す遊星…その姿を見ていたブルーノは胸が少し痛かった、その理由は自分でもわからなかった。
「ん?どうしたんだブルーノ?」
『いや…なんでもないよ遊星!さぁラストスパートといこう!このプログラムが完成したら奇跡のプログラ厶になるよ!』
「ああ!ラストスパートだ!」
『(…なんだろう、この胸のざわつきは…僕は彼の事を知っているんだろうか…?)』
sideout
数日後…
「よし…もう大丈夫だからな、しっかり掴まってろよ!」
「うん、メタルナイト…!」
遊海はとある火事現場にて救助作業をしていた…そして今、取り残された少年を助け出そうとしている…!
「せいやっ!」
ガシャーン!
炎に包まれたマンションの一室から少年を抱き上げ外へと飛び出す…そして10メートルほどの高さから無事に着地した!
「うん、脱出成功!頑張ったな少年!」
「ありがとう…メタルナイト!」
「お疲れ様ですメタルナイト!子供はお預かりします!」
駆けつけた消防隊員が少年を家族へと引き渡す、母親らしき人物が少年を抱きしめていた。
「よかった…さて、もうひと仕事だな…モード・トリシューラ部分展開…絶対零度(スモールVer)!」
遊海は右腕のみをトリシューラの影霊衣に換装、全てを凍らせる息吹で火事を鎮火し事件を解決したのだった。
「ふ〜…治安は良くなってきたけど…火事や事故はどうにもならないな…」
《しかたがないですよマスター、いくら気を付けていても事故を100%無くす事は不可能ですから…》
火事を解決した遊海は高速を駆け抜ける、先程の火事は隣の住人のタバコの不始末が原因だった…いくら科学技術が進歩しようとも不慮の事故を無くす事は不可能である。
ピコーン!ピコーン!
「む?誰からだ?」
Dホイールの着信音が鳴り響く、そしてモニターに困った様子の遊星が映し出される…
『メタルナイト!すまない…手を貸してくれ!』
「何があったんだ?」
『新しい制御システ厶のデータが…盗まれてしまったんだ!』
「なんだと!?」
遊星曰く、数日の徹夜の末にDホイールの性能を格段にアップさせるプログラムが完成したらしい、その後既に夜遅くだった為にDホイールへのインストールは翌朝に回しブルーノと共に仮眠をとった翌朝…遊星達のガレージに何者かが侵入…元データを消した上でデータを盗まれたとの事だ。
『幸いバックアップデータはオレが持っていたんだが…オレ達のデータを悪用されたら困る、それで犯人の指紋を見つけてセキュリティのデータベースで調べたら…』
『犯人はあのピエロ野郎…イェーガーだったんだ!それでオレ達は今、奴を追跡してる最中なんだ!』
通信にクロウが割り込む
『奴は今シティの工業地帯に向かってる…!奴を追い詰める為に力を貸してくれ!メタルナイト!』
「わかった!俺もすぐそっちに向かう!現場で合流しよう!」
俺は遊星から送られた座標へと道を急いだ…。
「遊星!ブルーノ!」
「遊海さん、すまない…貴方に注意を受けていたのに…!」
「しょうがないさ遊星、こういう事故は防ぎようがない…これから取り返せばいいさ…イェーガーは中か?」
遊海は遊星とブルーノに合流する、ジャック達はまだ時間がかかるようだ…
「あぁ、アイツは現場を抑えなくては口を割らないでしょう…追いかけます…!」
「…わかった、俺は裏から回ろう、奴を挟みうちにするんだ…!」
こうして遊星とブルーノは表から、俺は裏口から謎の工場へと侵入した。
「…ここがディアブロの生産工場か…イリアステルめ、いつの間にこんな工場を…!」
遊海は裏口を解錠(物理)し工場へと侵入する、最初に目にしたのは無数のDホイールとそれに乗るデュエルロイド・ディアブロ達だった。
「(被害はなるべく抑えたいな…)アヤカ、ディアブロにウィルスを仕掛けられるか?」
《おまかせくださいマスター!どんなウィルスにします?》
「ディアブロのコントロールを奪える奴を仕込んでおいてくれ、《奴ら》に気づかれないように」
《了解しました!》
アヤカはすぐさま近くの端末からシステムにハッキング…ウィルスの仕込みを終わらせた。
「ここにあるディアブロが全部ではないだろうけど…コントロールを奪って同士討ちさせれば被害も抑えられるだろ…先を急ごう…!」
遊海は先を急ぐ、数か所の区画を抜けついにメインコンピュータールームの間近まで迫った…。
《メインコンピュータルームに生命反応無し、ただしアンドロイドの反応確認…識別コード・プラシドです》
「ありがとうアヤカ、さて…突入と…(ガシャン)…ガシャン?」
遊海が音を聞き振り返るとシャッターが閉じ、退路が絶たれていた!
「流石に気づかれるよな、そりゃ…さて力づくでも出れるけど、そういう訳にはいかなさそうだ…!」
ウィーン…ガガガ…ガシャン
遊海の目の前の床が割れる…そして巨大なロボットが現れた!
[データ認識…メタルナイト・白波 遊海を確認]
「…2体目のガードロボットか」
[この区画はロックされた、ワタシとのデュエルに勝利しなければロックは解除されない]
「上等だ、かかってこいよ!」
巨大なガードロボを目の前に遊海は不敵な笑みを浮かべた…。
sideプラシド
『フン…あのドングリピエロめ…むざむざつけられやがって…!』
プラシドは苛ついていた、不動遊星から高性能のプログラムをイェーガーに盗ませたもののあっさりと犯行がバレてこの工場にまで辿りつかせてしまったからだ。
『とにかくデータをインストールする為に時間を稼がなければ…そうだ、このガードロボに不動遊星のデュエル履歴をインプット…これで時間は稼げるはずだ』
プラシドはコンソールをいじりガードロボットを遊星の前に出現させた、それと共に違うルートから迫る遊海にも気がつく
『チッ…奴までここに…!あのドングリピエロめ…!本当ならオレが奴を…だがこちらが優先だ…!ガードロボに奴の履歴をインプット…これでいい…!』
プラシドは2体目のガードロボを出現させる…
『よし…後はこのデータをインストールすれば…またか!』
プラシドは違う防犯カメラに目を向ける…そこでは青髪の青年が閉ざされたドアを開こうとしていた…
『ええい!邪魔が入り過ぎだ!!』
プラシドは青年を処理する為に扉へと向かった…
sideout
「[デュエル!!]」
遊海LP4000
ガードロボLP4000
「俺のターン!ドロー!」
「(あのロボットにはおそらく俺のデュエルデータがインプットされてるはず…ならば
[白波遊海が1ターン目にシンクロ召喚をする確率60%…]
遊海の予想通り、ガードロボには遊海のプロ時代の試合やメタルナイトとなってからのデュエル全てのデータがインプットされていた。
「俺は
遊海LP4000
伏せ5 手札1
[手札を5枚全て伏せる確率0%…予測演算を修正…]
「残念だけど俺のデュエルはお前には予測できないぜ!」
[ワタシのターン、ドロー]
[永続魔法「レベル制限B地区」を発動、カードを3枚伏せてターンエン「その瞬間!リバース魔法発動!『アーティファクト・ムーブメント』を発動!俺の伏せカードを1枚破壊しデッキから『アーティファクト・モラルタ』を魔法・罠ゾーンにセットする!」デッキからモンスターをセット??理解不能!理解不能!]
遊海の伏せカードが破壊されカードが新たにセットされる
「そして破壊された『アーティファクト・ベガルタ』の効果発動!このカードが相手ターンに魔法・罠ゾーンで破壊された時!自身をフィールドに特殊召喚する!」
赤いコアを持つ短剣と赤い人影が現れる DEF2100
「特殊召喚された『ベガルタ』の効果発動!俺の伏せカードを2枚破壊する!さらに破壊された『モラルタ』と『カドケウス』の効果!自身を特殊召喚!」
青いコアの長剣と黄色のコアの杖が現れる DEF1400 DEF2400
「『カドケウス』の効果発動!2ドロー!さらに『モラルタ』の効果!お前の『レベル制限B地区』を破壊する!憤怒の波濤!」
モラルタから放たれた三本の斬撃がカードを破壊する!
「俺はさらにリバースカード『サイクロン』を発動!伏せカードを破壊する!」
伏せられていた『攻撃の無力化』が破壊される!
[ターンエンド]
ガードロボットLP4000
伏せ2 手札2
「俺のターン!ドロー!」
「『ベガルタ』と『モラルタ』を攻撃表示に変更!」
DEF2100→ATK1400 DEF1400→ATK2100
「バトル!『ベガルタ』と『モラルタ』でダイレクトアタック!…双剣乱舞!」
なぜか俺の手に収まったベガルタとモラルタでガードロボを切り裂く!
ガードロボLP4000→2600→500
「さらに速攻魔法『アーティファクトの開放』を発動!『ベガルタ』と『モラルタ』でオーバーレイ!」
2振りの剣が銀河に飛び込む!
『2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築…エクシーズ召喚!現われろ!古代の叡智を宿す不毀の剣!ランク5!「アーティファクト・デュランダル」!』
赤と青のラインの入った巨大な剣が現れる ATK2400
[計算不能…計算不能…未知の召喚を確認確認確認…]
「バトル!『デュランダル』でガードロボにダイレクトアタック!不毀の極剣!!」
デュランダルに取り付けられたコアが高速回転し凄まじい魔力が充填…遊海はデュランダルでオーバーヒートを起こしていたガードロボを真っ二つに切り裂いた!
ガードロボLP0
遊海WIN!
「だから言っただろ?予測なんてできないって」
完全に破損したガードロボを前に遊海はつぶやくのだった。
『おい!遊海!聞こえるか!!』
「その声はジャックか!イェーガーは見つかったか!」
近くにあった放送設備からジャックの声が響く…どうやらメインルームに辿り着いたらしい
「イェーガーの奴は遊星と一緒にいるがマズイ状況だ!遊星もお前と同型のガードロボットとデュエルしているうえに…この工場はあと5分で爆発する!」
「なんだと!?…わかった!俺は遊星を助けに行く!ジャック達はそのまま脱出してくれ!」
『っ…わかった!遊星を頼むぞ!!』プツン
そのまま通信は途切れてしまった
「時間がないな…メガロック!頼む!」
《わかった!しっかり掴まっていろ遊海!!》
遊海はメガロックを召喚し怒涛の突進で壁を突き破っていく…そして何枚目かの壁を壊した時、ついに遊星のもとに到達した!
「『スターダストドラゴン』で『錠前龍』を攻撃!シューティング・ソニック!!」
遊星WIN!
「遊星!無事か!!」
「遊海さん…!どうして!?」
デュエル終了と共に遊海は遊星達のいる場所へと到達した…だが
【自爆まで残り20、19、18…】
「ヒィ〜!?これじゃあ脱出できない〜!?」
カウントは残り20秒弱…間に合わない!
「遊星!イェーガー!絶対に俺から離れるな!頼むぞ!閃光竜!!」
【3、2、1…0】
ドカーン!!
そして大爆発が工場を跡形もなく吹き飛ばした…
大爆発を起こした工場…なんとか逃げ出したジャック、クロウ、ブルーノはその様子を見ている事しかできなかった…
『遊星!!』
「心配すんなブルーノ、あそこには遊星だけじゃねぇ…最強のヒーローがいるんだ!そんな簡単にくたばるかよ…ほら!」
爆破現場に向かって叫ぶブルーノ…しかしジャックもクロウも目を逸す事なく煙を見つめていたが…
ブォン…《キュオオン!!》
煙を吹き飛ばしながら光かがやく竜が大空へと飛翔する、その背中には遊海と遊星が乗り…腕にはイェーガーが掴まっていた…。
「やはり無事だったか、流石だなあの人は…」
『あれは…スターダストドラゴン!?』
「いんや、あれは遊海の『閃光竜スターダスト』さ…遊海はカードの精霊の力を使う事ができるんだ!さぁ、迎えに行こうぜ!」
クロウ達は閃光竜の着地地点へと急いだ…
「ギリギリセーフだな!いや〜危なかった…」
「流石です遊海さん、なんだかまだ余裕そうですね…」
着地した遊海に遊星が話しかける
「まだこれくらいなら大丈夫だよ!俺を倒したかったら…闇の決闘者を1000人くらい連れて来なきゃだめだな!」
「……(前から思っていたが…遊海さんはいったいどんな戦いを生き抜いて来たんだろうか…)」
少し常識が壊れつつある遊海に対して少し引いてしまう遊星なのであった…。
「遊海さん…そういえばイェーガーは?」
「イェーガーなら閃光竜の手に…いないし!?」
閃光竜の手には脱ぎ捨てられたジャケットが掛かっていた…変わり身の術で抜け出したようだ…。
「助かりました白波遊海…しかし私はこのままおいとまさせていただきます!」
上空を見上げるとピエロ風船に掴まったイェーガーが飛び立つところだった
「忠告だけはしますよ不動遊星!この件からは手を引くのです!命がいくつあっても足りなくなりますからね!それでは〜!」
イェーガーはそのままシティの方向へと飛んでいった…。
「逃げられたな…どうする?追いかけるか?」
「いえ…大丈夫です遊海さん、ありがとうございました」
「まったく…厄介な事になってきたな…」
こうしてプログラムを巡る事件は一先ず終結した…だがこれはこの後に起きる事件の序章にしか過ぎないのである。