転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
予備アンケートの結果が集まったので活動報告にてリクエストアンケートを実施します!皆様のリクエストを聞かせてください!
それでは…最新話をどうぞ!
ピッ…ピッ…ピッ……
ここはKCの運営する、ネオドミノシティ最高峰の病院・KCブルーアイズ病院…その特別治療室で1人の青年が寝かせられている。
全身を様々な管に繋がれ、血が滲む包帯で頭から足までを完全に覆われている…唯一、規則的に鳴り続ける心電図の音と僅かに上下する胸が青年が生きている事を証明している…。
「遊海さん…無理はしないって、約束したじゃないですかぁ…!」
包帯まみれ青年…遊海の隣で涙を流す女性が1人…彼の妻の翠である。
《…マスターを責めないでください翠…ゲイザーはそれほどまでに危険な相手だったのです…》
遊海の相棒であるアヤカが検査入院を終え駆けつけた翠に伝える。
WRGPでのディアブロ氾濫事件から3日が経った、襲われたDホイーラーは参加者の7割に及び怪我やDホイールの大破により参加チームの8割が大会からの棄権を決めた。
事態を重く見た治安維持局とKCは街とデュエルレーンの復興の為に3週間の本戦延期を決めたのだった。
「教えてアヤカちゃん…いったい…いったい何があったの!?」
《実は…》
そしてアヤカは語る、遊海がディアブロの出現後に無数のディアブロを無力化していった事…その最中にゲイザーに奇襲を受け、激しいデスマッチとなり…傷つきながらも勝利した事を…
《マスターは…初めて「人を傷つける」為に全力を使い、それでもなおゲイザーには逃げられてしまいました…ゲイザーの力はダーツやダークネスに匹敵します…その力を受けたダメージは相当なものです…しばらくは目を覚まさないかと…》
「そんな…!遊海さん…!」
翠は昏睡状態の遊海の手を握る、包帯越しに触る遊海はいつもより冷たいような気がした…。
コンコンコン…
「グスッ…はい…どなた?」
「失礼します…御見舞に来ました…!」
「遊星君…みんなも…」
病室の扉が開き入って来たのは遊星・ジャック・クロウ・アキ…チーム5D'sのメンバー達だった。
「翠さん…今回の事はなんと言っていいか…」
「気にしないで遊星君…遊海さんはいつもこうなの…、みんなの先頭に立って戦って…誰よりもボロボロになってしまうから…」
「それにしたって…酷すぎるぜ…」
翠の言葉を聞いたクロウが呟く、傍目から見て遊海は瀕死…常人なら既に死んでしまっているだろう…。
「翠さん、遊海さんの容態は…」
「極度の過労に出血多量…それから化学ヤケドと胸に切り傷があるそうよ…でも大丈夫!私達は死なないから、きっとすぐに良くなるわ!」
「そうだったな、貴方達は不死身…ならば心配は要らないな!」
ジャックが思い出したように語る…遊海と翠は転生特典の効果により『決闘以外での不老不死』となっている、極論を言えばデュエル以外で死ぬような事態になっても死ぬ事はないのである、肉体的には…であるが…。
「でも…痛みは感じるんですよね…?こんな大怪我をしたら…」
「大丈夫!遊海さんはこれよりも酷い怪我をした事が何回もあるから!…だから、大丈夫…!」
「翠さん…」
アキは気付いた…「大丈夫」と言った翠の手が固く握りしめられている事に、翠が悟られないように心配や悲しみを押し殺している事を…
「WRGPの本戦は3週間の延期になりました…オレ達も街の復興を手伝いながら本戦に備えます、何か手伝える事があったら…」
「ありがとう遊星君…何かあったらお願いね?」
コンコンコン!
『入るぜ!翠…っと、取り込み中だったか?遊海はまたこっぴどくやられたなぁ…』
「おい!?いきなり何なんだよアンタ!?」
突然病室に現れた金髪の男にクロウが驚きの声をあげる、遊海の病室は所謂VIPルームであり遊星達もチームメイトだからこそ入る事ができたのだ(龍亞兄妹とブルーノは待合室で待機中)
そんな部屋に見知らぬ人物が訪れれば驚くのも当たり前である。
『おっと!?遊海のチームメイトか?そう大声出すなよ、ここは病院だぜ?』
「遊海の事を知ってる…?アンタは…」
「城之内さん…お久しぶりです、来てくれてありがとうございます…」
「「「「えっ!?」」」」
翠の思わぬ言葉に遊星達は固まる…
「まさか…プロデュエリスト『最強の賭博師』の城之内 克也さん…なのか!?」
「初代決闘王と遊海さんのライバルの!?」
『おっ!俺もまだ有名なんだなぁ…そうだ!俺がコイツのライバルの城之内様だぜぃ!』
特徴的なAGOポーズをしながら城之内が自己紹介する。
『テレビでWRGPを見てて事件の事を知ってな?それにコイツの相棒のアヤカまで召喚されてたもんだから…絶対に大怪我してると思って見舞いに来たんだ!…案の定だったな…ほい、定番の盛り合わせだ』
「城之内さん…いつもありがとうございます」
城之内は翠にフルーツの盛り合わせを手渡す。
『お前達もそこまで心配しなくていいぞ?遊海は精神の強さが売りだからな!それこそ魂が無事ならあの世からでも飛び出してくるさ!』
「城之内さん…遊海さんの事を信じてるんですね…」
遊星が城之内に尋ねる
『当たり前だろ?俺は遊海の親友なんだからよ!…良かったら昔の遊海の事教えてやろうか?』
「いいんですか!?」
『ああ!遊海のダチは俺のダチってな!ちょうど1階にカフェもあるから何か奢ってやんよ!ついてこ〜い!あっ!翠!また後で来るからな〜!』
「遊海の昔話か…気になるな…!」
「こんな機会も滅多にないし…ご馳走になりましょう…!」
「翠さん、また来ます…!」
「うん!みんなありがとう…」
遊星達を連れた城之内は騒がしく去っていった…。
『ありがとう城之内君…ここにボク達が来たら遊星君達も混乱しちゃうからね』
『遊星達と会うのは…また今度ですね遊戯さん』
「遊戯さん…十代君…そっか、城之内さんが来てたのはそういう事だったのね…」
遊星達の去った病室に新たな人影が現れる…それは遊戯、そして十代の二人だった。
『翠さん…遊海に何があったんだい?彼がここまで深手を負うなんて…』
『ああ、復活した遊海先生にここまでのダメージを与えられる相手なんて…そうはいないぜ…!』
《私からお話しします…今回の事件…いえ、デュエルの顛末について…》
アヤカは再び遊戯達にゲイザーとの戦いについて話した。
『18年前に遊海先生を襲ったゲイザー…やっぱり生きてたのか…!』
『遊海…君はずっと戦い続けていたんだね…』
アヤカから語られた壮絶なる戦い…それは遊戯達にイリアステルの危険性を再認識させるものだった。
「イリアステルはこれから本格的に動き出すわ…この町を…消滅させる為に」
『…ボク達の故郷を壊させる訳にはいかない…!!』
『翠さん、オレ達に手伝える事があったら…なんでも言ってくれ!』
「ありがとう2人とも…遊海さんの事をお願いね…!」
一週間後…
「遊海さ〜ん!今日はいい天気ですよ〜!」
「……」
「遊星君とジャック君は今日からナスカに行くそうですよ〜、きっと『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』を手に入れて帰って来ます!楽しみですね〜…」
「……」
「遊海…さん…!また眠り続けるんですか…!」
ディアブロ事件から1週間…遊海と十代の治療によってほとんどの傷は癒えた遊海…しかし彼は未だに眠り続けていた。
《やはり…胸の傷が…》
9割方治癒した遊海の怪我…その中で唯一治っていない傷があった…それはデュエル序盤に受けたヘルレイカーの刀傷に終盤に受けたアシッド・ゴーレムの酸が侵食した傷だった…。
《傷口から強い負のエネルギーを感じます…ユウミの身体を侵食していたマイナスエネルギーと同じものです…!》
《ならばまた「カースド・ニードル」で浄化を…!》
《…現物がありません、それにカードはあってもそれはマスターのカード庫の中…私達が入れる場所では…》
遊海はカードとして「マジシャンズ・エイプ」のカードを持っている…しかしそのカードは遊海だけが開く事ができる亜空間に保管されているのだ…。
《ならば…アヤカ殿、フレア様、主殿を頼みます…!》
《トフェニ…どこへ行くのですか?》
《精霊界へ向かいます…もしかしたらカースドニードルが残っているやも…!》
《だったら私がDT世界に行ってソンプレスちゃんを連れてきます!今回のエネルギー量なら浄化できる筈です!》
「みんな…ありがとうね、私にもっと力があれば…」
《気にしないでください翠…マスターが心配なのは私達も一緒ですから!…行ってきます!!》
アヤカはそう言ってDT世界へと向かった…。
コンコンコン!
「は〜い、どうぞ〜!」
「翠さん!こんにちは!」
「お見舞いに来たよ〜!」
「龍亞君、龍可ちゃんいらっしゃい!2人で来たの?」
「うん!遊海の包帯が取れたって聞いたから…」
病室にやってきたのは龍亞兄妹だった…手には小さなブリザードフラワーを持っている。
「これお見舞いのお花!おれが選んだんだ!」
「ありがとう龍亞君!遊海さんも喜ぶわ!」
「遊海さんはまだ…?」
「うん、まだ起きないの…本当にお寝坊さんなんだから…」
翠はそう言いながら遊海の頭を撫でる…
「手を握ってあげてもいい?」
龍可が翠に尋ねる
「ええ!大丈夫よ!遊海さんに元気を分けてあげて…」
「遊海さんの手…冷たい…」
龍可は眠っている遊海の手を握る…その体温はいつもより冷たく感じた…。
「ゲイザーと戦った時にまたマイナスエネルギーの攻撃を受けてしまったみたいなの…でも大丈夫、アヤカちゃんが精霊界に行って治療できる人を連れてきてくれるはずだから…」
「…ねぇ、翠さん…なんでゲイザーは遊海さんにこんな事したんだろう…?」
「えっ…?」
龍可の思わぬ言葉に翠は動きを止める
「わたし…一度だけゲイザーにあった事があるの…」
それはダークシグナーとの戦いの前…アルカディア・ムーブメントの総帥であるディヴァインの復讐に巻き込まれた遊海は重傷を負わされアルカディアムーブメントに監禁された事があった…その後偶然にもアルカディアムーブメントを訪れた龍可一行に救い出されたが…ゲイザーはその時に現れたのだ。
仇敵であるはずの遊海を治療する為に…
「わたしの会ったゲイザーは悪い人には見えなかったの…だからこんな事をするなんて信じられなくて…」
「でも、すごい嫌そうな顔してたなぁ…仮面をしてたけど…それだけはおれもわかったよ…」
龍亞も当時の事を思い出してゲイザーの姿を思い浮かべる…
「私にもゲイザーの目的はわからないわ…でも、遊海さんを傷付けるなら…許さない…!!」
翠は固く拳を握り締める…もしもゲイザーが自分の前に現れたら後悔するまで痛めつけると決意した…その時!
「っ…ぐぅ…!!」ガタン!!
「えっ…!遊海さん!?どうしたんですか!遊海さん!?」
突然、眠っていたはずの遊海が苦しそうな呻き声を漏らす…その身体はベッドの上で仰け反っている…!
「遊海!しっかりして!!どうしたの!?」
「翠さん!ナースコールを!!」
突然の変化に龍亞達も慌てる…
「ええ!(ガシッ…)えっ?」
ナースコールを押そうとした翠の腕を遊海が掴む…
「…ぁ……ァ…!」
「遊海さん!どうしたんですか!何か言いたい事が…!」
遊海の声を聞いた翠は口元に耳を近付ける…
「アカデ…ミア…けっ…かい…!誰…か…」
「アカデミア…結界…?そんな…まさか…!!」
遊海がうわ言のように言葉を漏らす、その言葉を聞いた翠は顔色を変える…!
Buuu…!Buuu…!
「遊海さんの携帯が…!はい!白波です!」
『その声はシニョーラ翠!大変なノーネ!!』
「その声は…クロノス校長!?どうしたんですか!?」
遊海の携帯から聞こえて来たのはアカデミア本校の校長となったクロノスからのものだった…その声色はとても焦っている…!
『し、七精門が…開いてしまったノーネ!!』
「な、なんですって!?」
七精門…アカデミアに安置された『三幻魔』を封印する為の特殊な封印式の事である、遊海は三幻魔の守り人であり…アカデミアを離れる際に強力な結界でさらなる封印を施している…。
『犯人はセニョール遊海の結界に阻まれているけど時間の問題なノーネ!!早く来てほしいノーネ!!』
「わかりました!すぐに向かいます!!」
「翠さん!いったい何が…!」
「アカデミアの本校に封印された闇のカードが狙われているの!…すぐに行かなくちゃ…!」
翠は遊海に目を向ける…遊海は大汗をかいて再び気絶している、先程の変化は結界が攻撃されたフィードバックを受けたのだろう…。
「龍亞君、龍可ちゃん…ごめんなさい、アヤカちゃんが戻って来るまで遊海さんをお願い…!」
「うん!わかった!」
「翠さんも気をつけて…!」
「ありがとう…!ウィンダ!お願い!!」
《うん!ファルコ!出番だよ!》
《キュイ!》
ウィンダは聖霊獣騎キムンファルコスとなりアカデミア本校へと飛び出した!
Side???
『バトル…「冥界龍ドラゴネクロ」で「古代の機械究極巨人」を攻撃、ソウル・クランチ』
「迎え撃つノーネ!アルティメット・ゴーレム・パウンド!!」
究極巨人の拳が襲いかかってきた龍を打ち砕く…しかし
レイン恵LP4000→2600
『「ドラゴネクロ」の効果発動…戦闘した相手モンスターの攻撃力と同じ攻撃力の「ダークソウルトークン」を特殊召喚し…相手モンスターの攻撃力を0にする…』
「なんですと!?」
究極巨人がボロボロとなりレインのフィールドに究極巨人の影が現れる ATK4400
究極巨人ATK4400→0
『「ダークソウルトークン」で「究極巨人」を攻撃』
「そんな馬鹿な…!ギャース!!?」
クロノスLP4000→0
レイン恵WIN…
「む、無念なノーネ…ガクッ」
『大人しく寝ていてください…命までは取りません』
淡々と呟いたレインは結界を破る作業を再開する…彼女の周りにはクロノスの他に7人の生徒や教師達が倒れていた…。
『…この結界を破れば…三幻魔が手に入る…、そうすれば…っ!?』バチン!
結界に触れていたレインの手が弾き飛ばされる…その手は黒く焼け焦げていた…。
遊海は三幻魔を安置した台座を護る為に3層の結界を張っていた。
一番外側には台座の場所を見えなくする隠蔽結界
二番目にあらゆる干渉を擬似的に遮断する要塞結界
最後に干渉を受けた際に侵入者に肉体・精神的にダメージを与える攻性結界…レインはその3層のうち2層を既に突破してしまったのだ…!
『攻性結界…短時間で突破しなければ、私の回路が焼き切れてしまう…それでも…私は…!』
バチバチバチバチ!!
レインは自分の手が焦げる事も気にせずに結界を解析する…アンドロイド故に痛覚を遮断できるからこその荒業である。
『解析率40…50…55……70…もう、少し…!』
徐々に結界が薄くなっていく…そして…
『解析率…80……90…!解析完「影糸縛り!!」っ!?』ビュン!
解析を完了しかけたレインは結界から引き剥がされる!
『何者…!』
「貴女が侵入者ね…!三幻魔は渡さないわ!!」
『データ照合…決闘王の妻…白波翠…!』
間一髪のタイミングで翠がレインの前に立ち塞がる!
Sideout
「っ…!七精門が…!?」
アカデミア本校に近付いた翠が見たのはアカデミアを覆うように立ち上がった7本の柱…七精門の姿だった。
《翠!誰かがデュエルしてる…クロノス先生だよ!》
ウィンダが翠に伝える…確かに森の中から古代の機械巨人…究極巨人の頭が覗いている…しかし
「あっ…!機械巨人が倒された…!?まずいわ…急いでウィンダ!!」
《りょーかい!ファルコ!全速力で!!》
《キュイイイ!!》
翠はアカデミアへと急いだ…
「っ…!クロノス先生!みんな!!」
台座のある地点で翠が見たのは気絶したクロノス先生や生徒達…そして結界を破ろうとしているレイン恵の姿だった。
「これ以上は…やらせないわ!バトルドレス・ドレスアップ!」
翠はシャドールの戦闘衣装を纏う!
「影糸縛り!え〜い!!」
結界の解析が完了する刹那、翠はレインを結界から引き剥がした!
「貴女が侵入者ね…!三幻魔は渡さないわ!!」
『データ照合…決闘王の妻、白波翠…!』
レインは翠を睨みながら立ち上がる
「レイン恵…だったわね、どうしてイリアステルが三幻魔を狙うの?そのカードは危険なカードなのよ!」
『…私には三幻魔のカードが必要…邪魔をするなら…排除する…!』
レインはデュエルディスクを構える…
「貴女の事情は知らないわ…でもね、私は今少し怒ってるの…私の旦那様とクロノス先生を傷つけた事…後悔させてあげる!!」
「『デュエル!!』」
翠LP4000
レイン恵LP4000
「私のターン!ドロー!」
「私はスケール1の『剣聖の影霊衣─セフィラセイバー─』とスケール7の『影霊獣使い─セフィラウェンディ』をペンデュラムスケールにセッティング!」
翠の両脇に光の柱が現れる、その中には鎧を纏った剣士とイルカに乗った少女が浮いている
「これで私はレベル2から6のモンスターを同時に特殊召喚できる!神樹の加護よ!今こそ私に力を貸して!ペンデュラム召喚!『宝竜星─セフィラフウシ』!『覚星輝士─セフィラビュート』!」
空中に光のゲートが現れ、その中から水色のコアを額にはめた竜と蠅を象った鎧を着た戦士が現れる
ATK 1900 ATK 1500
『ペンデュラム召喚…?私…は…』
「『セフィラフウシ』の効果発動!自身をチューナーとして扱い、フィールドから離れた時デッキの一番下に戻る!私はレベル4の『セフィラビュート』にレベル3の『セフィラフウシ』をチューニング!」
3+4=7
「清廉なる花園に咲く孤高の花よ!月の雫を得て咲き誇れ!シンクロ召喚!『月華竜ブラックローズ』!」
フィールドに花吹雪が舞い、聖なる光を纏う薔薇竜が現れる ATK2400
「私はカードを2枚伏せてターンエンド!」
翠LP4000
月華竜 Pスケール セイバー ウェンディ 伏せ2 手札0
『私のターン…ドロー』
『手札から「融合」を発動、手札の「馬頭鬼」と「闇より出でし絶望」を融合…冥府に眠る魂が冥界の主を呼び覚ます、冥界の扉を破り復活せよ、融合召喚「冥界龍 ドラゴネクロ」』
異世界における決闘竜の1体…冥府を統べる龍が現れる、しかし…
「『月華竜』の効果発動!相手の場にレベル5以上のモンスターが特殊召喚された時!相手の特殊召喚されたモンスターをデッキに戻すわ!退華の叙事詩!」
フィールドに花吹雪が吹き荒れ冥界の龍は消え去った…
『計算外…行動修正……「ゾンビ・マスター」を召喚』
色白のネクロマンサーが現れる ATK1700
『効果発動、手札の「ゾンビキャリア」を墓地に送り「ゾンビキャリア」を特殊召喚』
ずんぐりとしたゾンビが現れる ATK400
『私はレベル4の「ゾンビマスター」にレベル2の「ゾンビキャリア」をチューニング』
4+2=6
『死せし魔王よ…再び現世へ現れよ…シンクロ召喚「蘇りし魔王ハ・デス」』
ボロボロの王衣を纏った魔王が現れる ATK2450
『バトル、「ハ・デス」で「月華竜」を攻撃…』
ハ・デスの放った魔力弾が月華竜を破壊した!
「くっ…!」
翠LP4000→3950
『カードを1枚伏せてターンエン ド』
レイン恵LP4000
ハ・デス 伏せ1 手札0
「私のターン!ドロー!」
「永続罠『連成する振動』を発動!Pスケールの『セフィラウェンディ』を破壊して1ドロー!…さらに魔法カード『セフィラの神意』を発動!フィールド魔法『セフィラの神託』を手札に加え、そのまま発動!」
翠の背後に巨大な門が現れる
「『神託』の発動時の効果処理でデッキから『秘竜星─セフィラシウゴ』を手札に加える!そしてスケール5の『智天の神星龍』をペンデュラムスケールにセッティング!」
光の柱の中に白と黒の龍が浮かび上がる
「『神星龍』のペンデュラム効果発動!デッキの『オルシャドール─セフィラルーツ』を墓地に送って自分のスケールを7にする!神樹の加護よ!再び力を貸して!ペンデュラム召喚!手札から『秘竜星─セフィラシウゴ』!エクストラデッキから『セフィラビュート』『セフィラウェンディ』『セフィラルーツ』!」
黒い宝玉を額に埋め込んだ竜と蝿の聖戦士、イルカに乗った少女と聖邪を併せ持つ戦士が現れる DEF2600 ATK1900 ATK1500 DEF1950
『させない…!リバース罠「激流葬」、フィールドのモンスターを全て破壊す…る』
「しまった…!でもただではやられないわ!『セフィラフウシ』の効果発動!デッキから2枚目の『セフィラの神意』を手札に加える!」
激しい水流がフィールドを一掃する!
「ターンエンド…!」
翠LP3950
Pスケール セフィラセイバー 神星龍 神託 振動 伏せ1 手札1
『わ、私のターン…ドロー』
『「ゴブリンゾンビ」を…召喚』
骨だけになったゴブリンが現れる ATK1100
『バトル、「ゴブリンゾンビ」でダイレクトアタック』
ゴブリンゾンビが翠を斬り裂く!
「痛っ…!」
翠ATK3950→2850
『「ゴブリンゾンビ」の効果…デッキトップのカードを墓地に送ってもらう』
墓地送り
セフィラツバーン
『ターンエエンド』
レイン恵LP4000
ゴブリンゾンビ 手札0
「くっ…!レイン恵!どうしてそこまでして三幻魔が欲しいの!?よく見たら貴女…ボロボロじゃないの!」
膠着したデュエルの中…幾分か冷静さを取り戻した翠が
レイン恵に問い掛ける、攻性結界に触れ続けたレインの身体は既にボロボロで身体からは火花が散っている…。
『わ、私は…あの人を助け…たい、だから…幻魔が必要…あの…カードが、あれば…』
「貴女…本当に壊れちゃうわよ!?それでも…」
『私…は…!マスターを…!マスターを守らな…くちゃ…』
レインは初めて強い感情をあらわにする…まるで本当の人間のように…
「決意は固いみたいね…でも三幻魔は渡さない!これ以上イリアステルの好きにはさせない!!」
「私のターン…!ドロー!!」カンコーン!
「『連成する振動』の効果発動!ペンデュラムスケールの『神星龍』を破壊して1ドロー!そして手札の『炎獣の影霊衣─セフィラエグザ』をペンデュラムスケールにセッティング!」
光の柱の中に炎の鎧を纏った青い龍人が浮かぶ
「神樹の加護よ!もう一度力を貸して!ペンデュラム召喚!エクストラデッキから『セフィラシウゴ』『セフィラビュート』『セフィラウェンディ』!」
再び3体の聖選士が現れる DEF2600 ATK1500 ATK1900
「そして…3体のモンスターをリリース!来て!聖選士の絆の結晶…!『
《グオオオン!!》
光と闇を宿した聖選士の絆の結晶たる龍が咆哮を響かせる! ATK3450
『「セフィラ・トーラ・グラマトン」…世界の、希望…』
「『神星龍』の効果で私はもう一度ペンデュラム召喚できる!神樹の加護よ!未来を照らせ!ペンデュラム召喚!エクストラデッキから『セフィラビュート』『セフィラシウゴ』『セフィラウェンディ』『セフィラルーツ』!」
絆の龍のもとに戦士達が集結する! ATK1900 DEF0 ATK1500 DEF1950
「『セフィラシウゴ』の効果発動!デッキの『セフィラの星戦』を手札に加える!そしてこのカードは自分のPスケールにカードが2枚ある時、手札から効果を発動できる!罠カード『セフィラの星戦』を発動!私の場の『セフィラルーツ』と貴女の場の『ゴブリンゾンビ』を破壊!」
セフィラルーツがゴブリンゾンビに特攻し破壊する!
「バトル!『セフィラウェンディ』でダイレクトアタック!ドルフィン・アタック!」
《行くよ!ペトルフィン!》
《ピュイー!!》
ウェンがペトルフィンと共に突進する!
『くっ…!』
レイン恵LP4000→2500
「『神星龍』でダイレクトアタック!創星のビッグバンバースト!!」
《グオオオン!!》
神星龍の尾の10個のコアが輝き、口にエネルギーが収束…創星の息吹がレインを飲み込んだ…
レイン恵LP0
翠WIN!
『マス、ター…ごめん、なさ…私…は…貴方…を…』
神星龍の攻撃を受けたレインは倒れ伏す…その身体は黒い煙を上げている…
「貴方の目的は何だったの…?三幻魔の力でZ-ONEを延命しようとしたの?」
翠は倒れたレインに問い掛ける…
『違、う…わたし…はあの人を…助け…ル、ル…ゴメン、ナサイ…ゲ…イ……《損傷率80%…機能停止》』シュゥゥゥ
レイン恵は完全にその機能を停止した…その瞳からは透明な雫が流れ落ちた…。
「…ごめんなさい、貴女が何故こんな事をしたのかはわからない…でも、貴女がしようとした事は絶対に間違ってるわ…」
翠は機能を停止したレインを前にそう呟いた…。
「う、う〜ん…ハッ!?幻魔は!?侵入者はどうなったノーネ!?」
「あっ、目が覚めましたか?クロノス先生」
「シニョーラ翠!侵入者は!?生徒達は大丈夫なノーネ!?」
気絶していたクロノスは保健室で目を覚ました…、その直後に生徒の心配をするのは流石である。
「大丈夫です、侵入者は私が倒しました!幻魔は結界のおかげで無事です、生徒達も他のベッドで眠っています…怪我は治療してあるので安心してください」
「よ、よかったノーネ…シニョーラ翠、助かったノーネ…」
「いいんですよクロノス先生、これも私達の仕事の一つですから…」
「でもまさかあんなに若いセニョリータに負けてしまうとーは…我ながら情けないノーネ…侵入者はどうなったノーネ?」
「ウィンダが捕まえてくれてます…私がネオドミノシティまで護送するので安心してください」
「わかったノーネ…そういえばセニョール遊海はどうしたノーネ?ワターシが電話したのは彼の番号だったと思うノーネ?」
クロノスはこの場に姿が見えない遊海を探す…
「すいません…先日の騒動で深手を負ってしまって…」
「そういう事なノーネ…やはりテレビに写っていたのはセニョール遊海の切り札だったノーネ…、シニョーラ翠、遊海に伝えてほしいノーネ…『自分の身体を労るように』と…」
「ありがとうございますクロノス先生…必ず伝えます!」
そうして翠は機能を停止したレイン恵を連れてアカデミアをあとにした。
「ただいま戻りました〜!…あ…!」
「おはよう翠…だいぶ寝過ごしちゃったみたいだな…」
「ゆ、遊海さん…遊海さ〜ん!!」
「おいおい…泣かないでくれよ翠…ごめんな、心配かけて…」
夕方になった頃、翠は病室へと戻ってきた…それを迎えたのは意識を取り戻した遊海、そしてアヤカとセイクリッド・ソンプレスだった。そして翠はそのまま遊海の胸に飛び込んだ…。
《ふぅ…今回はこれくらいで済んでよかったですよキラーさん、これ以上のマイナスエネルギーを浴びてたら…また以前の状態に逆戻りするところでしたよ?》
額の汗を拭いながらソンプレスが説明する…。
《ありがとうソンプレスちゃん…貴女の力が干渉できる範囲でよかった…》
アヤカも胸を撫で下ろす。
《うん!喜んでくれたならよかった!…そういえばマスターさん最近「破壊神」の力って使った?》
《破壊神の力…マスターが宿してしまった「tierra」の力ですか?…少なくともこの1年は使っていないはずだけど…》
《そっかー…あの傷から似た雰囲気の力を感じたんだけど…気のせいかな!じゃあ私はDT界に戻るよ!じゃあね〜!》
ソンプレスは時空間を開き元の世界へ戻っていった…
《「tierra」に似た力…マスターの中から漏れ出したんでしょうか…?ユウスケにお願いしておきましょう》
「そうか…レイン恵が三幻魔を…」
「はい…遊海さんの結界がなければ三幻魔は奪われていたかもしれません…」
遊海は落ち着いた翠からアカデミアで起きた出来事の顛末を聞いていた…。
「だけど…目的はなんだ?三幻魔ができる事っていったら精霊の力を吸い取って持ち主を若返らせる事だけど…仮にも未来を救おうとするゾーンがそんな事するか…?」
確かにZ-ONEの寿命は残り僅か…しかし彼も覚悟を決めて作戦を実行しているはず…そんな延命策を取るとは思えない…遊海はそう思っていた。
「遊海さん、もしかしたらなんですけど…レイン恵は自分で考えて行動していたんじゃないでしょうか…?」
「自分で考えて…?アンドロイドであるレイン恵が命令を受けずに単独行動したっていうのか?」
翠の言葉を聞いた遊海は聞き返す
「はい…最期の時、彼女…泣いてたんです…気のせいかもしれないんですけど…」
「ロボットの涙…か、ありえない話ではないな…現に一番身近に『心を持った機械』がいるからな…どう思う?アヤカ」
《彼女に涙腺があるかはともかく…ロボットが「心」を獲得する事はありえない話ではないと思います》
遊海の問いにアヤカが答える…彼女が心を獲得したのは偶然の出来事だったが…それは他のAIにも起こり得る事だと。
「…まぁ、身体を調べれば判る事か…」
遊海が自分が身体を預けるベッドから視線を向ける…そこには椅子に座らされたレイン恵がいた。
「アヤカ…頼む」
《了解しました!デュエルロイド、個体名レイン恵の調査を開始します!》
そうしてアヤカはレイン恵の調査を開始する…全身をサーチし、うなじに隠されたコネクターからデータをスキャンした…しかし
《解析結果……重要な記録は発見できませんでした…おそらく機能停止直前に全ての記録にロックをかけたものと思われます》
「そうか…流石イリアステルのアンドロイド、セキュリティは万全って訳か…」
調査の結果は空振りに終わった…しかし、収穫がない訳ではなかった。
《しかし興味深い点があります…腹部にエネルギー炉があるのですが…それとは別に心臓部にブラックボックスがありました》
「ブラックボックス…?中身は?」
《わかりません…ただ、大きさ的にカード1枚がやっと入る大きさかと…》
「心臓部のカード…か、気になるが…分解する気にはなれないな…分解したらそれこそZ-ONEか三皇帝が乗り込んで来そうだ……とりあえず安全な所に隠しておこう」
「何処に隠すんですか?」
「俺の持ってる『賢者の鍵』の亜空間さ…あれは俺にしか開けられないし電波も完全に遮断されるからな…痛っ…翠、手伝ってくれるか?」
「はい!任せてください!」
そして遊海はレイン恵の身体を厳重に封印し亜空間へと隔離したのだった。
「でも…まさか倒しきれなかったか…いったいどんな耐久力してるんだよ奴は…」
「でもゲイザーも深手を負っているはずです…しばらくは仕掛けてこれないはずですよ…」
「ああ、次にぶつかるとしたら…アーククレイドルの出現した時…ゲイザー、その時が俺とお前の因縁に決着を着ける時だ…コフッ!?」
「きゃ〜!?まだ無理しないでくださ〜い!!」
《やれやれです…》
こうしてディアブロ事件、そして三幻魔強奪未遂事件は解決しネオドミノシティは平穏を取り戻した…しかし、確実に試練の時は迫っているのであった。
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Side???
【レイン、レイン恵…新たな任務を与えます…すぐに私の所に来なさい…】
異次元に浮かぶ神の居城にして未来人の霊廟・アーククレイドル…そこにZ-ONEの声が響く…しかし、その声に反応する者はいない。
【レイン恵…何処にいるのです…?】
ゾーンはレイン恵の居場所を調べる…しかし彼女の痕跡を見つける事はできなかった。
【マシントラブルですか…我が友ゲイザー…聞こえますか?】
ジジジ…
『…どウした、ゾーン…』
【レイン恵が消息を絶ちました…捜索をお願いしたいのです】
『すまナい…今ハ手が離セなイ、アポリア達に頼んデくレ…』
【そう…ですか、ところで貴方は何処に…?】
プツン…ジジジ…
【我が最後の友よ…私に何を隠しているのです…?】
『【すマなイ…ゾーン、次に会ウのハ…奴とノ決着のあトになりソうダ…だが…約束すル…我は未来ヲ…】』