転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
今回はナスカ編!新たなる境地を掴め!ジャック・アトラス!バーニング…ドロー!!
それでは!最新話をどうぞ!
『という訳で…心配かけて悪かったな遊星、ジャック!俺は無事だ!』
「フン!当たり前だ、貴方以上に生命力と悪運の強い奴を俺は知らん!」
「遊海さん…本当によかった…」
『まぁ…体調は万全とは言えないから少し養生しなきゃダメだけどな…お前達もナスカを楽しんでこいよ!お土産話待ってるからな〜』
「はい!ありがとうございます!」
プツン…
「これで憂いもなくなった…行こう!ジャック!」
「ああ…まったく、ボマーめ…夢見如きで俺を呼び出すとはな!」
遊海とのテレビ電話を終えた遊星とジャック…彼らがいるのは日本から遠く離れた異郷の地…地縛神が封印された因縁の場所であるナスカだった。
時は二日ほど遡る…ディアブロ事件からの復興を手伝いながら本戦へ向けて準備していた遊星達、そんな彼らのもとに一通のメールが届く…それは故郷を離れ、再び地上絵に封印された地縛神を見守る為にナスカへと移り住んだボマーからの連絡だった。
用件はボマーの見た夢の内容『ジャックは、新たな戦い方を身につけなければ自らの力によって滅びる』というもの、それを聞いたジャックはちょうど自分の戦い方に迷っていた…ジャックは半ばオカルトだと思いながらも、キッカケを求めてナスカを訪れたのだった。
「まさか…この紋様を再び見る事になるとはな…」
「ああ、もう目覚めない事を祈ろう…」
遊星達は崖から大地に広がる地上絵を眺める…蜘蛛に巨人…シャチにハチドリ、トカゲとサル…そしてコンドル…地縛神達は静かに眠りについている、果たして五千年後に彼らは復活するのか…それがわかるのは遠い未来の話である。
「見えてきたな…あれがボマーの…」
「地縛神を鎮める為の祭壇か…!」
ナスカの荒野を走り続けること数時間…遊星達の前に古代インカのピラミッドが現れる、それは地縛神を鎮める為にボマーの建てた祭壇だった…その足もとに色黒で長い髪の男が佇んでいる、それは…
『遊星!ジャック!よく来てくれた!』
「「ボマー!」」
遊星達を出迎えたのはボマーだった、彼らが再会するのはダークシグナー事変以来の事だった。
「久しぶりだなボマー、元気そうでなによりだ」
『ああ、ありがとう遊星、君の活躍もこちらまで聞こえてきているよ!』
遊星とボマーは固く握手を交わす
「ふん…貴様の戯言に乗って来てやったぞ!」
『すまないジャック…オレの見た夢は「わぁ!キングだ!本当に来てくれたんだ!」おっと!』
ボマーの言葉を遮るように幼い少年の声が聞こえてくる…遊星達が視線を向けると2人の姉弟が駆け寄ってくるところだった。
『紹介しよう、弟のマックスと妹のアニーだ…ほら、ちゃんと挨拶しなければダメだぞ?』
「「こんにちは〜!!」」
「そうか…無事に再会できたんだな…」
遊星が感慨深げに呟く…ボマーはダークシグナーに家族や故郷を奪われ、その恨みから自身もダークシグナーとなってしまった過去があった。
「兄ちゃん!本当にキングが…ジャックが来てくれたよ!!すごいや!!」
「ん?…『キング』だと…?むっ?」
怪訝そうな顔のジャックにボマーが耳打ちする
『(すまない、弟達は地縛神に囚われていた時の記憶がないんだ…この子達の中ではまだジャックがキングという事になっているんだ…)』
「そういう事か…」
彼らが暮らすのはナスカの荒野…情報が届かないのも無理はないだろう
「ジャック!あのポーズやって!!ボク、あのポーズが好きなんだ!!」
マックスはキラキラした瞳でジャックを見上げる
『マックス…実は「待て」ジャック?』
真実を伝えようとするボマーをジャックが止める
「お前の弟は間違ってなどいない!…キングは1人!この俺だぁ!!」
ジャックは自身の代名詞である右腕を突き上げたポーズを披露する…例え称号は無くとも、ジャックのプライドは変わらないのである。
「キングは1人!このボクだぁ!」
「違うぞ!右腕はこう!そして空を見上げる!」
「フッ…面倒見がいいのは変わらないな…」
ポーズ講座を始めたジャックを見ながら遊星は苦笑する
『やはり平和は…家族はいいものだ、ああして笑っている兄弟達を見て…オレは取り戻す事ができた幸せを実感できる…』
「ボマー…」
『…お前達も疲れているだろう、続きは家で話そう!』
そうして遊星達はボマーの家へと案内された。
夕食を食べた遊星達にボマーは今までの事を話し始めた。
故郷に戻り家族と再会した後に自分が起こした過ちの贖罪をする為に旅に出た事
そして旅を続ける内に自身の因縁の場所であるナスカに辿り着いた事を…
『ナスカの地は遙か昔からあるパワースポットでもあり…逆に地縛神に惹かれ無数の霊が集まる霊場でもある、冥界の王は倒され…地縛神は再び封印された、だが…邪な意思に地縛神が再び利用されないとも限らない…だからこそ、オレはこの地に留まり神殿を建てた…そうして地縛神や霊達を鎮めようとしていたのだが…最近になって不審な事件が起き始めたんだ…』
「不審な事件…?」
『ああ、家畜の不審死…キャトル・ミューティレーションというものだ…』
ボマー曰く、この数週間で近くの村の家畜の群れが不審な死を遂げた…村人曰く「紅蓮の悪魔」の仕業だという…
『現れた悪霊はまだ少ないが…この地で何かが起きようとしている…そんな気がするんだ…』
「まさか…地縛神が復活を…!いや、既に復活しているのか!?」
『遊星…?何か心当たりがあるのか?』
焦った様子の遊星にボマーが問い掛ける…
「実はしばらく前に…」
そして遊星は鬼柳とクラッシュタウンで起きた事件について伝える…
『冥界の王を名乗るデュエルリストと「Ccapac Apu」の復活─!?いや、それはありえない!その頃にはまだ家畜の不審死も起きていなかったが……待て、遊星、ジャック…相手の痣は…紫色の痣は見たか?』
「いや…ローブで姿を隠していたからな…だが右腕を抑えて………あ…」
「どうした遊星?何か思いだしたのか?」
「いや…嫌な予感が…ボマー、携帯の電波はあるか?」
『ああ、無線通信のアンテナがあるが…どうしたんだ?』
Side遊海
Buuu…Buuu…
「電話…?遊星からか…もしもし?どうしたんだ?」
朝の検診を終えた俺に遊星からテレビ電話が入った…画面には怖い顔をした遊星とジャック、ボマーが映っている
『遊海さん…単刀直入に聞きます』
「どうしたんだ?いきなり…」
『先日のクラッシュタウンで現れた冥界の王を名乗るデュエリスト…貴方ではないですか?』
「え"…な、なんの事カナ…?」
いきなりの指摘に思わず動揺してしまう…!
『貴方ならやりかねないと思い出したんです…あの無駄のないプレイング…そして奴の召喚した「煉獄龍オーガドラグーン」…あれは貴方の話していた「決闘竜」の1体なんじゃないか…?』
「ギクッ!?…お前は探偵に向いてるよ遊星…」
そう言って遊海は画面から消えた。
Sideout
「遊海さん!?どうしたんですか!?」
画面から消えた遊海に遊星は呼びかける…
「今の反応からすると…犯人なのは確実だな…あの人ならやりかねない」
『今のが白波遊海…メタルナイトの正体であり、伝説の決闘王か…だがどうやって地縛神を…?』
遊海の反応から犯人を突き止めた遊星達…通信はいつの間にか切れている…
コンコンコン…
『むっ…?こんな夜に来客か?』
ボマーの家の扉がノックされる…ボマーが扉を開けると…
『よっ!久しぶりだなボマー』
『…はっ…!?』
「ボマーどうし…なんでいるんですか!?」
『いや、な…こういう事はちゃんとしないとダメだと思ってな…来ちゃった!』
玄関には松葉杖をついた遊海が立っていた…。
『とりあえず…すまなかった!ややこしい真似をした!』
椅子代わりの樽に座った遊海が頭を下げる…アニーとマックスは外でトフェニとメガロックがみてくれている。
「聞かせてくれ遊海さん…どうしてあんな事を…」
『鬼柳にトラウマを乗り越えてほしかった…その為に地縛神を使った荒療治をしたんだよ』
鬼柳は自身がダークシグナーとして犯した罪に悩まされ自暴自棄な決闘生活を送っていた…それを乗り越えさせる為に遊海は彼の前に立ち塞がったのだ。
『それでは…現れた地縛神は…?』
『ほら、これだろ?』
遊海は机の上に7枚のカードを広げる…それは地縛神のカードだった。
「…やはりか、貴方なら持っていると思っていた…」
『「Uru」に「Ccapac Apu」、「Chacu Challhua」まで…!?だが、このカードからは悪しき力を感じない…これはいったい…?』
ボマーはカードを検めて気づく…このカードに力は宿っていないと…
『その地縛神はただのカードさ…俺が力を使わなければな…』
「じゃあ…あの時に消えたギャング達は…」
『罰ゲームでお仕置きしただけだよ…まさか見抜かれるとはなぁ…』
遊海は頭を掻く…
『いったい貴方は何者なんだ…?精霊とともにあり、神を従えるとは…』
『オレは…ちょっと出自が特殊な…普通の決闘者だよ!』
「「いや、普通ではないだろ!?」」
『てへっ!』
思わずツッコむ遊星とジャックなのだった。
『それじゃ、俺は病院に戻るかな…そうだ、お前達』
「どうしたんですか?遊海さん」
『地縛神はな…あと1体いるらしい』
「「『なっ!?』」」
遊海の爆弾発言に遊星達は愕然とする
『エンシェントフェアリーから聞いた話だ…1万年前の戦いで赤き竜を追い詰めた邪神がいたらしい…その名は「スカーレッド・ノヴァ」…最強の地縛神なんだそうだ』
「スカーレット・ノヴァ…」
『紅蓮の悪魔に気をつけろよ?じゃあな!戻るぞトフェニ、メガロック!』
《御意!…さらばだ幼子達よ、おぬし達に太陽の加護を…》
《縁があればまた会おう!》
遊海を乗せたトフェニが上昇する…そして…
《マスター!空間跳躍を開始します!》
「ああ!頼むよアヤカ!」
透明な要塞に乗り込んだ遊海はワープで消えていった…
「つくづく規格外だなあの人は…」
「フン…今更な…」
『世界は広い…と言う事か…』
遊星達は瞬間移動した遊海を見送るしかなかった…なお、勝手に病院を抜け出し翠と医師に怒られたのはまた別の話である。
『最強の地縛神…言い伝えでは聞いた事があったが…よもや…』
「ボマー、教えてくれないか?その地縛神について…」
『ああ…オレも断片的にしか知らないのだが…』
そしてボマーは語りだす…1万年前の赤き竜と邪神の戦いの時、赤き竜を劣勢に追い込んだ邪神がいた事、そしてその邪神をシグナーの始祖となる人間が『荒ぶる燃え盛る魂』をもって赤き竜の力を得て奇跡を起こし、紅蓮の悪魔を撃破し封印した事を…
「燃え盛る魂…今風に言えば『バーニングソウル』と言ったところか、オカルトだが…何故かしっくりくるな…」
ボマーの話を聞いたジャックは胸に手を当てる…
「…ボマー、お前が見た夢の内容をもう一度教えてくれないか?」
『ああ…オレは「ジャックが赤く燃えた『レッドデーモンズドラゴン』に飲み込まれる夢」を見たんだ…それがパワーデッキを使うジャックが自分の力に飲まれて死ぬと……待て、何故オレはそう思った?』
夢を口に出したボマーは動きを止める…
「やはりか…そもそもおかしいと思ったんだ、ジャックに危機が迫っているならばメールで警戒を促せば済む話だった…ナスカまで来る必要はないはずなんだ!つまり…」
『紅蓮の悪魔の仕業…!オレは利用されていたのか!?』
「待て!?どういう事だ!?」
状況を飲み込めないジャックが問い掛ける
「ジャック…!お前は紅蓮の悪魔に狙われている!!」
【そのと〜り!我が主はジャック・アトラス…お前の身体をご所望なんだYO!】
『マックス…!?いったいどうしたんだ!?』
突然、マックスの口から聞き慣れない声が発せられる…マックスの目は虚ろで不気味に赤く輝いている…
「お前は…!」
【イ〜ヒッヒッヒッ…私の名は紅蓮の悪魔のしもべ…偉大なる地縛神「スカーレット・ノヴァ」様の忠実なる下僕でございま〜す!】
マックス…紅蓮の悪魔のしもべは仰々しく礼をする
「マックス!どうしたの!しっかり…!」
【近づくな小娘!】バン!
「きゃ…!」
「『アニー!』」
マックスを止めようとしたアニーが超能力で吹き飛ばされるが…ボマーが受け止める!
【しかし…さっきの赤帽子の御仁は厄介ですね〜…せっかくこの地に掛けた呪術が解けてしまった…だから私自身がこうして出向かせて頂きました!】
「遊海さん…!」
そう…実は遊海、先程の話をしている間にアヤカにこの地に掛けられた呪術を解くように指示を出していたのである…それに焦った紅蓮の悪魔のしもべは遊星達の前に姿を現したのだ。
【ジャック・アトラス!私はオマエにデュエルを申し込む…対価は究極の「力」とこの少年の身柄…オマエが負ければこの少年とオマエの肉体は紅蓮の悪魔の物となる!】
「貴様…卑怯な…!」
紅蓮の悪魔の卑怯な提案に遊星は拳を握りしめる…!
「フン…!いいだろう!俺は逃げも隠れもしない!小さなファンを見捨てはしない!」
ジャックは紅蓮の悪魔のしもべに指を突きつける!
【イッヒッヒッ…!承知しました、ならば祭壇の地下…紅蓮の悪魔の神殿でお待ちしていますよ!ジャック・アトラス!!】ボゥ!!
紅蓮の悪魔のしもべはマックスの身体を炎に包み、外に飛び出した!
『待て!!』
紅蓮の悪魔のしもべを追って外に飛び出したジャック達…そこで見たのは暗雲に包まれた夜空、そして祭壇の頂上に燃え盛る炎だった。
「あのふざけた悪魔はあそこか…!遊海が手を出さなかったという事はこれは俺の乗り越えるべき試練という事だ!待っていろ!マックス!!」
ジャックは祭壇を駆け上がり…消えてしまった。
「待つんだジャック!!」
『アニー!お前はここで待っていろ!!』
遊星とボマーもジャックを追いかけて祭壇を登る…その頂上で見たのは地下へと続く階段だった。
『馬鹿な…この祭壇は石を積み上げただけのもの…こんな階段はないはずだ…!』
「やはり…超自然的な何かが起きようとしている…!急ごう!!」
遊星とボマーも地下へと駆け下りていった…。
Sideジャック
「来てやったぞ!紅蓮の悪魔!!姿を現せ!!」
ジャックが階段を降った先…そこはインカ風の古代遺跡だった、その正面には異形の姿の魔神像が安置されている。
【ククク…ハハハァ…!ようこそ、紅蓮の悪魔の神殿へ…!】
祭壇に炎が灯り、その中から人型の炎…紅蓮の悪魔のしもべの本体が現れる。
「出たか悪魔め…!マックスは何処だ!!」
【少年は貴方の後ろですよぉ?気づきませんでしたかぁ?】
「なに…!」
ジャックが通ってきた階段に気絶したマックスが座らされている…その姿を見たジャックは胸を撫で下ろす…
【さぁ…始めましょうか!古代から受け継がれし神聖なる儀式…デュエルを!!】パチン!
しもべが指を鳴らすとジャックの周囲の床が抜け、退路を断たれてしまう…!
「デュエルの前に聞かせろ悪魔!何故俺を狙う!」
【ヒヒヒ…簡単な話でございます、ジャック・アトラス…貴方の力を求める魂に我が主が興味を示した…それだけでございます!】
「力を求める魂…か、いいだろう!地縛神を復活などさせん!俺の圧倒的パワーでもう一度封印してくれる!!」
しもべの答えを聞いたジャックはデュエルディスクを構える!
【「デュエル!!」】
Sideout
デュエルダイジェスト 紅蓮の悪魔のしもべ対ジャック
ジャックの肉体を賭けた紅蓮の悪魔のしもべ(以下しもべ)の決闘が始まった、ジャックは高い攻撃力を持つ「ビッグ・ピース・ゴーレム」を召喚ししもべの「黄泉の餓鬼」を撃破する…しかし、それはしもべの思う壺…破壊された「餓鬼」の効果でジャックは800ダメージを受けてしまう。さらに返しのターン、しもべは「黄泉の舟守」を召喚し墓地の「餓鬼」の効果で破壊しさらに800ダメージを与え、ダメ押しに相手の直接攻撃を無効にしその攻撃モンスターを3ターンに渡って破壊する永続魔法「霊波障壁」を発動する…しもべのデッキはジャックのパワーデッキに対する「メタバーン」デッキだったのだ。
「召喚したモンスターを破壊してダメージを与えるバーンデッキ…!俺の力で押す戦略とは真逆の戦い方か…!!」
『パワーで攻めるジャックのビートダウンデッキとしもべのバーンデッキ…!この勝負はジャックの不利だ!』
「ジャックは今、運命の選択を迫られているんだ…!今まで通りのパワーで攻める戦術を使うのか…それとも新しい戦術を使うのか…!!」
苦戦するジャックを遊星とボマー、マックスは見守るしかない…マックスを助ける為に遺跡に潜入した遊星達だったが、しもべに退路を塞がれてしまった。
ジャックが負ければ彼らも紅蓮の悪魔の生贄になってしまう…!
「心配するな遊星!俺は負けん!!小手先の細工など圧倒的パワーで押しきってやる!!」
追い詰められたジャックは「パワーブレイカー」を召喚ししもべに攻撃を仕掛ける…当然「霊波障壁」の効果で破壊されるが…それはジャックの狙い通り、「パワーブレイカー」の効果で「霊波障壁」を除去する事に成功する。
しかし、しもべもただでは終わらない…追撃してきた「ビッグピースゴーレム」の攻撃を罠カード「黄泉の導き」の効果で「黄泉の防人」を召喚する事で防ぎさらに800ダメージをジャックへと与えた、この時点でライフは4000対1600…ジャックは残り2回同じ効果を使われれば敗北してしまう…!
【私のターン!ドロー!…残念、できる事がないのでターンエンド…おや?お目覚めですか…我が主よ?】
しもべの言葉とともに赤い蛇のような人魂がジャックの周りを旋回する…まるで獲物を品定めするように…
「こいつが『スカーレッド・ノヴァ』か…!」
『地上絵の地縛神よりも深い場所にこんなものが封印されていたとは…!』
その姿を見た遊星達が感じたのは「恐怖」…数多の戦いを越えてきた遊星ですら恐ろしいと感じてしまったのだ。
【イッヒッヒッ…!感じるでしょう…!我が主の究極の力を…!我が主こそ地縛神最強の神!あの「Wiraqocha Rasca」ですら我が主には及ばない!!】
「なら…どうして他の地縛神と共に復活しなかった!前回の時は8人のダークシグナーがいたはずだ!」
遊星の疑問はもっともな事だった、前回のダークシグナー事変の時…ダークシグナーにもイレギュラーの8人目バクラ=ゾークがいた、バクラは地縛神こそ召喚しなかったものの、同レベルの闇を持つ「邪神アバター」や「闇の支配者─ゾーク」を召喚し遊海を追い詰めたのだ。
【ああ〜あの生意気な邪神ですか…勧誘したけど断られたんですよぉ〜「オレの復讐はオレの力で果たす!邪魔すんなら…覚悟しとけ!」ってな具合でしてねぇ…まぁ負けたら世話ないんだけど…イッヒッヒッ!!】
「遊海さん…危なかったんだな…!」
「フン…くだらん!!最強の地縛神だと?そんなもの
ジャックの脳裏にはシグナー3人を相手に戦った時の遊海の姿が蘇っていた。
【減らず口を…!】
「例え劣勢であっても…俺は諦めん!!」
そしてジャックのターン、ついにジャックの魂のカードである「レッド・デーモンズ・ドラゴン」が召喚され攻撃に移るが…しもべは墓地から「舟守」の効果を発動し「防人」を特殊召喚、さらに「餓鬼」の効果でジャックのライフに800ダメージを与えライフはついに800となってしまう…!
「まずいぞ…!ジャックが次に攻撃した時点で黄泉のコンボが発動して…ジャックの負けだ…!」
「まだだ…俺の魂は…まだ燃えている!!」
しもべは何もせずにターンを終え、再びジャックのターン…ジャックは再び「レッドデーモン」でダイレクトアタックを仕掛ける!
【懲りませんね〜!再び黄泉のコンボ発動!これで…】
「終わりではない!手札から『エクストラヴェーラー』の効果発動!相手が特殊召喚に成功した時にこのカードを特殊召喚!効果ダメージを相手に反射する!」
【なんですと!?】
ジャックは初めてしもべにダメージを与える事に成功する、ジャックは初めて戦術でダメージを回避したのだ。
【ジャック…貴方ご自慢のパワーはどうしたのですかぁ?ここまで来て自分のポリシーを曲げると?それはいけませぇん!我が主も怒っていますぞ〜!】
しもべがそう告げた瞬間、遺跡に鎮座していた石像が崩れ始め赤い悪魔の肉体が露わになり始める、そして紅蓮の悪魔から衝撃波が放たれジャックを吹き飛ばそうとする!
「っ!?ジャック!!」
「うおぉっ!?」ガシッ!
落ちる寸前でジャックは足場に掴まる…穴の中では紅蓮の悪魔の一部である赤い蛇が無数に蠢いている…
【そうそう、デュエル中に死んでも貴方の肉体は紅蓮の悪魔のモノになるから気をつけてね〜イッヒッヒッ!】
「おのれぇ…!俺は貴様らの思いどおりにはならんぞ…!俺の荒ぶる魂がある限り…俺は勝利を掴む!!」
体勢を立て直しながらジャックはしもべを睨みつける、その瞳に諦めの色はない!
デュエルは続く、今までにデッキを回しすぎたのかしもべはカードを伏せ、ターンを終えた…そして再びジャックのターン…その時
【リバース罠「バトルマニア」発動!このターン攻撃可能なモンスターは攻撃しなければならない!】
しもべが発動したのは攻撃強制カード、ジャックの場には「レッドデーモン」が存在する…だが、ここで終わるジャックではない!
「甘いぞ!俺は『シンクロガンナー』を召喚!その効果により『レッドデーモン』を次の自分スタンバイフェイズまで除外する事で600ダメージを与える!受けてみろ!俺の魂の一撃を!!」
レッドデーモンがシンクロガンナーに力を与え、しもべにダメージを与える!
【チィ…!だが「シンクロガンナー」がいる限りオマエはこのターンで終わりだ!】
「まだだ!リバース罠『ナイトメアデーモンズ』を発動!『シンクロガンナー』をリリース!貴様の場に『ナイトメアデーモン・トークン』3体を特殊召喚する!」
しもべの場に3体の黒い悪魔が現れる
【なんのつもりですかぁ?私の墓地には「黄泉の餓鬼」がいる…この邪魔なトークンは破壊だ!】
「そうだ、それを待っていた!」
【なんですと?】
ジャックは不敵な笑いを浮かべる
「『ナイトメアデーモントークン』は…破壊された時!貴様に1体につき800ダメージ…3体で2400ダメージを与える!自分の策で自滅するがいい!!」
【なんですとぉ!?ウギャアアア!?】
しもべの黄泉コンボの裏をかいた一撃、それはしもべのライフを大きく削り残りライフ200となった!
「ジャックの戦術が…しもべを追い詰めた!!」
『ジャックの選んだ新たな戦略が実を結んだ…!』
ジャックの選んだ戦術を見たボマーと遊星は目を見張る…!
「ああ…そうだ、例え不本意な戦術だろうと今の俺は受け入れよう!この戦いの先に…俺は新たな魂を見つけてみせる!!」
【おのれ…おのれオのれオノレェ!!】
しもべは怒りをあらわにする…その怒りに共鳴し紅蓮の悪魔から圧力が強くなる!
【これ以上紅蓮の悪魔に逆らう事は許されぬ!!紅蓮の悪魔の怒りは炎となり貴様らを喰らい尽くすであろう!!】
膨れあがった力に石像が砕け紅蓮の悪魔…『スカーレット・ノヴァ』の顔が露わになる!
【私のターン!墓地に存在する「黄泉の餓鬼」「黄泉の船守」「黄泉の防人」の3体を除外し…現われよ!「黄泉の邪王ミクトランコアトル」!!】
黄泉のモンスター達が除外されしもべの切り札…攻撃力3800を誇る冥府の蛇王が現れる!
【バトル!「ミクトランコアトル」でダイレクトアタック!】
「やらせん!リバース罠『スクリーン・オブ・レッド』!攻撃を無効にする!」
すんでのところで攻撃を回避するジャック…しかし
【「ミクトランコアトル」のさらなる効果発動!『スクリーンオブレッド』を破壊し600ダメージを与える!!】
邪王の咆哮でカードが砕け散る…これでライフはお互いに200となった…!
【そして…永続魔法「魔導戒厳令」を発動!これでオマエは魔法カードを発動できない!!】
《オオオオ…!》
追い詰められたジャック…その状況に呼応し紅蓮の悪魔が封印を破り始める…!
【我が主が仰っている…ジャック!貴様のデッキに私を倒せるカードはないと!!儀式は貴様の負けで幕を閉じ…紅蓮の悪魔がオマエ達を生贄に復活するのだ!!】
《オオオオ!!》
紅蓮の悪魔の咆哮で大地が揺れ、瓦礫が降り注ぐ…!
「おのれ…そうはさせるか!大切な仲間…掛け替えの無い同志!俺を慕う小さき戦士…たとえこの身が…魂が燃え尽きようとも…絶対に守り抜く!!」
ジャックはその仲間達を守る為に闘志を魂を燃え上がらせる…その時、
─すまないなジャック…『炎魔竜』はあと1段階変身を残している─
ジャックの脳裏によぎったのは遊海の言葉だった。
「(遊海の持つ『炎魔竜』はまだ力を隠している…ならば、『レッドデーモン』にも…その可能性は…ある!!)」
それを自覚した時、ジャックの魂が熱く燃えあがる!!
「忘れているぞ紅蓮の悪魔!次のターンに俺の魂が戻ってくる!!」
【「シンクロガンナー」の効果で除外された「レッドデーモンズドラゴン」はスタンバイフェイズに戻ってくる…】
「そうだ…『レッドデーモン』は俺の魂に火を点ける!!」
ジャックは自分の胸に手を当てる…そこから紅蓮の炎が溢れ出す!
「感じるぞ…魂の鼓動を!荒ぶる俺の魂を!!」
【ま、まさかそれはぁ!?】
《オオォォ…!?》
紅蓮の悪魔が怯えたような叫びをあげる…!
「あれはまさか…バーニングソウル!!まさか、ジャックは伝説の男の─!?」
遊星は気づいた、ジャックは伝説に謳われる「シグナーの始祖」…その一族なのだと!
『俺の…タァァン!!』
紅蓮の炎を纏い、カードがドローされる!
【させぬ…やらせはせぬぞぉぉ!!】
《オオオオ!!!》
紅蓮の悪魔が咆哮し遺跡が揺れ、天井がジャックの頭上に落下する!
『「「ジャック!!!」」』
瓦礫がジャックに降りかかるその刹那…奇跡は起きる!
キュイン…!
《キュオオォォン!!》
瓦礫が吹き飛ばされ、凄まじいエネルギーが遺跡に吹き荒れる…遊星とジャック、2人の持つ痣が共鳴し…赤き竜が顕現する!
「赤き竜…!」
「ケツァコアトル…!」
「えっ…!」
目覚めたマックスの呟きに遊星が反応する…
『ケツァコアトル…羽毛ある蛇…この地で崇められる守り神だ!!』
赤き竜の真名の1つ…それこそがケツァコアトル…南米神話における善神である!
《キュオォォン!!》
赤き竜がジャックになにかを促すように声をあげる…ジャックはそれに頷き、動き始める!
「我が魂!『レッドデーモンズドラゴン』はスタンバイフェイズに復活する!」
《グオオン!!》
復活したレッドデーモンは咆哮を轟かせる!
「さらにチューナーモンスター『クリエイト・リゾネーター』は自分フィールドにシンクロモンスターが存在する時特殊召喚できる!さらに!チューナーモンスター『アタック・ゲイナー』を召喚!!」
ジャックの場に2体のチューナーが出揃う…全ての準備は整った!!
「俺はレベル8の『レッド・デーモンズ・ドラゴン』にレベル3の『クリエイト・リゾネーター』レベル1の『アタック・ゲイナー』をダブルチューニング!!」
『チューナーモンスター2体でのチューニング!?』
「そんな召喚があるのか!?」
ジャックの思わぬ宣言に遊星とボマーは驚愕する…そして2体のチューナーが炎の輪となりレッドデーモンを包み込む!!
8+3+1=12
「レベル12のシンクロモンスター…!?」
「バーニングソウルを持つ者は…赤き竜の力を得て…奇跡を起こす!!」
マックスは呆然と呟く、これから現れるのはこの世界で初めてのレベル12のシンクロモンスター…!
「荒らぶる魂よ…その力で再び紅蓮の悪魔を封印せよ!紅蓮の悪魔よ!お前のその力…全て根こそぎ奪い取ってくれる!!」
痣が共鳴しジャックの手に白紙のカードが現れる、そこに紅蓮の悪魔が吸い込まれる!
【な、何をする…ま、まさかまさかまさか!!?】
「王者と悪魔!今ここに交わる!荒ぶる魂よ…天地創造の叫びをあげよ!!シンクロ召喚!!!」
レッドデーモンが紅蓮の悪魔の力を吸収し、進化を遂げる…紅蓮の炎から現れしそのドラゴンの名は…
「いでよ…!『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』!!」
《ガオオン!!!》
最強の地縛神を取り込み進化を遂げた悪魔竜が咆哮を轟かせる…その名は…スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン!
ジャックは荒ぶる魂によって紅蓮の悪魔を従えたのだ!
【そんな…我が主を…紅蓮の悪魔を従えた…!?】
使えるべき主を失ったしもべは呆然とする
「『スカーレッドノヴァドラゴン』の効果発動!このカードの攻撃力は墓地のチューナーモンスター1体につき500アップする!」
スカーレットノヴァの攻撃力は3500…墓地のチューナーは4体…その攻撃力は5500!
【そんな…!?主なき私めに…なにを…!?】
紅蓮の悪魔を失ったしもべは後ずさる…
「今までの礼だ…力を見せてやろう!あらゆる手を尽くし!その上で辿り着いた究極のパワーを!これが俺の新たなる闘いの魂だ!!」
ジャックはしもべに狙いを定めた…!
「バトルだ!『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』で『黄泉の邪王ミクトランコアトル』を攻撃!バーニング・ソウル!!」
紅蓮の炎を纏ったスカーレットノヴァが邪王に突撃…身体に風穴の開いた黄泉の王は大爆発を起こした!!
【うぎゃああ──!?グボハッ!?】プチッ
紅蓮の悪魔のしもべ LP0
ジャックWIN!
闇のゲームが終わり、しもべは紅蓮の悪魔の石像に押し潰された…しかし、あまりのパワーに脆くなった遺跡が耐えられず、全てが崩れ落ちる!
「し、しまった!?」
「『「「うわああ!!」」』」
《キュオオォォン!!》
…………
「はっ……ここは…」
遊星達は気づけば遺跡の外へと脱出していた…空には朝日が昇り、その空に赤き竜が飛び立つところだった。
「赤き竜に…助けられたのか…」
《キュオオォン!》
朝の空に赤き竜の優しい鳴き声が響き渡った…
『すまない…迷惑をかけてしまったな遊星…』
「いいんだボマー、ジャックが新たな力を手にした…それで充分さ」
翌日、疲れを取った遊星達は日本へ帰国する事になった…
『遊星、ジャック…また来てくれ、いつでも歓迎しよう!』
「ああ!」
「フン…今回のようなオカルトはもうゴメンだがな!」
遊星はボマーと握手を交わし…ジャックは顔を背けた…収穫はあったが相当にクるものがあったようだ。
「ジャック!ボク…絶対にジャックみたいに強くなる!だから…今度はデュエルしてね!」
「フッ…いいだろう、キングたる者挑戦はいつでも受け入れよう!さらばだマックス!」
ジャックは小さな戦士と拳を合わせる…マックスのデッキはジャックのパワーデッキをリスペクトしたもの…必ず強いデュエリストになるだろう…そうして遊星達は帰国の途についた…。
「ジャック…オレ達をナスカに呼んだのは…赤き竜だったのかもしれないな…」
「なに…?まさか、俺をバーニングソウルを目覚めさせる為に『紅蓮の悪魔』すら利用したというのか?」
荒野を走るジャックに遊星が自分の考えを伝える…それは間違っていないかもしれない。
「オレの手にした『クリアマインド』…」
「俺が目覚めた『バーニングソウル』…この2つの力でイリアステルを倒せという事か…!」
遊星とジャックは理解した、手にしたシンクロの境地…それがイリアステルを打ち破る鍵なのだと…イリアステルとの戦いは…そこまで迫っている…!
今回も読んで頂きありがとうございました!
お知らせです!活動報告にてリクエストアンケートを実施しています!期限は延長して20日まで!皆様のリクエストをお待ちしています!