転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

チームニューワールドとの決戦は佳境を迎える!

それでは最新話をどうぞ!


決戦!チーム・ニューワールド!・地〜立ちはだかる巨帝〜

ついに始まったチーム・ニューワールドとの直接対決、先鋒のジャックはルチアーノ・プラシドを撃破したが…それは罠だった。

ホセは2人の守った「無限霊機」を使い12000という膨大なライフを手にし自身の機皇帝「グランエル」を召喚…実体化したダメージでジャックに重傷を負わせたのだった…。

 

 

 

 

Side5D's

 

 

「クロウ!行っちゃだめだよ!あんなモンスターを相手にしたら…死んじゃうよ!!」

 

「そうよ…いかないでクロウ!」

 

「お前達…」

ピットではホセとのデュエルに挑もうとするクロウを龍亞と龍可が必死に制止していた…イリアステルとのデュエルは「闇のデュエル」…目の前でジャックが倒される姿を見た双子達はクロウを心配して止めようとする…。

 

 

「龍亞、龍可…このバトンはな、ジャックが気を失いながら繋いでくれたモンだ…オレがここでやめる訳にはいかねぇ…それに…」

クロウは空に浮かぶアーククレイドルを睨む

 

「なんとしてもオレ達がアレを止めなくちゃならねぇんだ…!」

 

「「クロウ…」」

 

「…心配すんな!オレはこんなところじゃ死なねぇ、それに翠と遊海が見てるんだ…みっともない姿は見せられねぇ!…行ってくる!!」

クロウは覚悟を決めてコースへと乗り込んだ…

 

 

「(頼んだぞ…クロウ!)」

 

SideOut

 

 

 

 

 

「待ちやがれ!怪物野郎!!今度はオレが相手だ!!」

 

『ん…?来たかクロウ・ホーガン、「グランエル」を前に逃げなかった事だけは褒めてやろう…』

クロウは先行していたホセに追いつく…

 

『さぁ、お前の全ての力をぶつけるがいい…人間の可能性を見せてみろ!』

 

「(オレの全てか…オレにはジャックや遊星みたいにシンクロキラーへの切り札はねぇ…だが、奴に対抗する方法はある…!!)」

 

 

 

 

「『デュエル!!』」

 

デュエルダイジェスト クロウ対ホセ

 

 

「遊星…悪いが使わさせてもらうぜ!!『スピードワールド2』の効果発動!スピードカウンターを10個取り除いて『グランエル∞』を破壊する!!」

 

『無駄だ、罠カード「インフィニティ・ウォール」発動!このターン機皇帝はカード効果では破壊されぬ!』

 

「チッ…機皇帝専用の罠カードか…!なら!」

 

クロウはグランエルに1歩も引かずに挑む…クロウはシンクロキラー対策のモンスターである「BF─極光のアウロラ」を召喚する、アウロラはエクストラデッキのシンクロモンスターを除外する事で同じ攻撃力・効果になる効果を持っていた…その効果で「BF─アーマードウィング」の効果を得てグランエルへと攻撃を仕掛ける!

 

 

「バトルだ!『アウロラ』で『グランエル』を攻撃!」

 

『無駄だ!どんな策を使おうとも「グランエル」の攻撃力は超えられぬ!』

 

「無駄じゃねぇ!『アウロラ』がえた『アーマードウィング』には攻撃した相手に楔カウンターを置き、楔カウンターを取り除く事で相手の攻守を0にする!」

 

『なにっ!?』

 

「さらにオレの場の『スチー厶トークン』は相手の攻撃力が0になった時、そのモンスターを除外する!…これでどんなに攻撃力が高くても関係ねぇ!!」

これがクロウのシンクロキラー対策…コアパーツであるグランエルを除外すれば機皇帝は自壊する!

 

「これがオレの編み出したシンクロキラーへの切り札だ!喰らえぇっ!!」

アーマードウィングに変化したアウロラの攻撃がグランエルに直撃する!

 

 

『お前の切り札はその程度か…、無駄だと言ったはずだ!「グランエルG」の効果発動!我が盾となれ!「スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン」!』

 

「な、なにぃ!?」

グランエルから吐き出されたスカーレッドノヴァドラゴンがグランエルの身代わりになる…!

 

『「グランエルG」は攻撃対象を吸収したシンクロモンスターに変更できるのだ…』

 

「クロウの策が躱された…!!」

強力なグランエルの効果がクロウの策を打ち砕く…!

 

 

「(くそっ…!コンボはもう効かねぇ…どうすりゃ奴に対抗できる…!?)…カードを2枚伏せてターンエンドだ!」

クロウは対抗手段を思いつかぬままターンを終える…。

 

 

『ふん…全力を出してもその程度か、お前の出番はここまでのようだな…「スピードワールド2」の効果発動!「アウロラ」を破壊する!…これで貴様を守るモノはなくなった…バトルだ!「グランエル」でダイレクトアタック!グランド・スローター・キャノン!』

グランエルの主砲がクロウに直撃する!

 

「「「クロウ!!」」」

ピットの遊星達は悲痛の叫びをあげる…しかし、「鉄砲玉」のクロウはここで終わる男ではなかった…!

 

「うおお!!手札の『BF─熱風のギブリ』はダイレクトアタックを受ける時に守備表示で特殊召喚できる!!」

クロウはギブリを召喚する事で砲撃を受け止める!

 

『小癪な…』

 

「すまねぇ『ギブリ』だが…お前の犠牲は無駄にはしねぇ!!罠カード『ブラック・リベンジ』発動!自分のBFモンスターが破壊された時!『BF─ブラック・クレスト・トークン』2体を特殊召喚できる!さらに罠カード『ブラック・ブースト』発動!自分の場にBFモンスターが2体以上いる時2ドロー!」

クロウは2体のトークンを召喚し手札を増やす、これでトークンにより2ターンの猶予ができたと思われたが…

 

 

『フッ…!私の攻撃はまだ終わっていない、さらに守備モンスターを召喚した事で自分の首を絞めたな…!』

 

「なにっ!?」

 

『「グランエルA」の効果発動!「グランエル∞」が吸収したシンクロモンスターで相手モンスターを攻撃できる!さらに守備モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与える…!』

 

「なっ…!?機皇帝は捕らえたモンスターを攻撃にも使えるのか!?」

クロウの前に拘束されたスカーレッドノヴァドラゴンが立ちはだかる!

 

『ゆけ!愚かなシンクロモンスターよ!己が仲間と争うのだ…!そして仲間の力を受けて苦しむがいい!』

 

「っ…!ぐあぁぁ!!」

スカーレッドノヴァの掌底がトークンを破壊し、貫通ダメージがクロウに襲いかかる!

 

『残念だったな、「グランエル」の取り込んだシンクロモンスターはダイレクトアタックはできん、モンスターを逆に召喚しなければダメージを受けなかったものを…』

 

「くそっ…!オレの相手は機皇帝だけじゃねぇ…『スカーレッドノヴァ』まで相手にしなきゃならねぇのか…!!」

クロウは拳を握り締める…ブラッククレストトークンの守備力は800、次に攻撃を受ければクロウのライフは削り切られてしまう…!

 

 

「オレは『ブラッククレストトークン』をリリースして『BF─天狗風のヒレン』を召喚!」

クロウは守備力2300のヒレンを召喚する、これでスカーレッドノヴァの攻撃を受けても耐える事ができる…

 

『フン…うまく考えたな、それでシンクロモンスターの攻撃は耐える事はできる…だがそこまでだ、続く手がなければ「グランエル」の一撃を受ける事になるぞ…?』

 

「(そんな事わかってるんだよ…!だが『ヒレン』の効果を使えば…!!)」

ヒレンの効果は「2000以上のダメージがダイレクトアタックを受けた時に墓地から自身と効果を無効にした『BFモンスター』を特殊召喚できる」効果…クロウはそこから『緊急同調』で『ブラック・フェザー・ドラゴン』に繋げようとしていた、これでさらに1ターン()()()()新たな可能性を掴む事はできる…だが。

 

「(ダメだ…!それじゃあ遊星が機皇帝と2体のシンクロモンスターを相手にする事になっちまう!!…シンクロキラー対策の『スカーレッドノヴァ』でもダメだったんだ、オレのシンクロモンスターじゃ…勝ち目はねぇ…!!オレは…ここまでなのか!!)」ダン!!

クロウは悔しさで拳を叩きつける…その時

 

 

 

 

「カードを信じるんだ─…」

 

 

「(遊星…)」

クロウの脳裏に遊星が口癖のように言っている言葉がよぎる…それはクロウに一つの策を思いつかせた…!

 

「(今のオレにできなくても…仲間に託せばできる事がある…覚悟は決まった、これしかねぇ─これが()()()()()()!!)カードを2枚伏せてターンエンド!!」

クロウはターンを終える…遊星へと未来を、希望を繋げる為に…クロウは機皇帝に立ち向かう!!

 

『覚悟は決まったようだな、人間の可能性とはこの程度か…ならば、死ぬがいい!!愚かな「スカーレッドノヴァドラゴン」よ!「ヒレン」を攻撃せよ!!』

 

「ぐうっ…!!」

操られたスカーレッドノヴァがヒレンを破壊する…これで残りライフは…100

 

 

『さぁ、「ヒレン」の効果を使え…見せてみろ、お前の本当の切り札を!!』

 

「その手には乗らねぇ…!シンクロモンスターを出したら機皇帝に破壊され、捕まり…遊星に襲いかかる事になる…!それだけは避けなきゃならねぇ!!」

クロウはホセの挑発を切り捨てる、仲間の為にその手には乗らないと…だが、ホセが次に口にしたのは予想外の言葉だった。

 

 

()()()()()()()()()()()?』

 

「なにっ…!?」

 

『仲間同士が争い傷つけあう…その愚かな構図は人間の姿そのものではないか?…見るがいい、このおぞましい姿を…シンクロモンスターこそが愚かな人間の象徴なのだ!それが争う事になんの問題がある?』

 

ホセ達の考えの根底には『シンクロ召喚・シンクロモンスターは悪』という考えがある…だからこそ機皇帝を使いシンクロモンスターを奪い、操り…さらにシンクロモンスターを破壊する…見方によっては外道な事ができる、そしてその言葉は…

 

 

「ふざけんじゃねぇ!!!」

クロウの琴線に触れた…!

 

「お前が奪った『スカーレッドノヴァドラゴン』はジャックの魂だ!!オレ達はシンクロモンスターと一緒に戦ってきた!お前達に悪く言われる筋合いはねぇ!!」

クロウ達シグナーはシンクロモンスター『シグナーの竜』に導かれて集まった、そしてシンクロモンスターと共に苦難を乗り越え戦い続けてきた…その魂を傷つけられたクロウは怒りをあらわにする!

 

 

『愚かな…その浅はかな考えこそが破滅へと繋がるのだ…!』

 

「なにを言ってやがる…?」

 

『滅びゆく者に…これ以上語る必要はない!!消え去るがいい!「グランエル」でダイレクトアタック!グランド・スローター・キャノン!!』

 

「うっ…うわあああ!!」

グランエルの主砲がクロウに直撃…そのライフを消し飛ばした…

 

 

クロウLP0

 

ホセ WIN…

 

 

 

『これで終わりだな、今の攻撃を受けては無事ではあるまい…「まだだ!!」なにっ…!?』

ホセはクロウのクラッシュを信じていたが…クロウは煙の中からその姿を現す!

 

「まだ…バトルフェイズは終わってねぇ!!『ヒレン』の効果発動!2000以上のダメージを受けた時、墓地からこのカードと『熱風のギブリ』を特殊召喚する!さらに罠カード…『緊急同調』を発動…!バトルフェイズ中にシンクロ召喚を…する事ができる!!」

クロウは痛みに耐えながらその想いを繋ぐ!!

 

「黒き疾風よ…秘めたる思いをその翼に現出せよ!シンクロ召喚!!舞い上がれ…!『ブラック・フェザー・ドラゴン』!!」

クロウの想いを乗せ、黒き竜が舞い上がる!!

 

 

『なに…?自分の身を犠牲にしてまでシンクロモンスターを残しただと…?』

 

「そうだ…これはチームの勝利の為の敗北だ…!」

 

『なんだと…!?』

ホセにとってその答えは理解に苦しむ言葉だった、仲間の為にシンクロモンスターを残す…その行動の意味も理解できなかった。

 

「意味がわからねぇって顔してるな…お前が言った仲間同士で争うだけが人間じゃねぇ…!自分の想いを…魂を仲間に託して戦う事もできる!!…人はそれを『絆』と呼ぶんだ!!」

 

『絆…』

そう言ってクロウはピットへと戻っていった…。

 

 

「はぁ…今回はちょっくら厳しかったなぁ…あとは頼んだぜ…遊星……!」

遊星に絆を託しクロウの意識は沈んでいった…。

 

 

 

 

Side遊星

 

 

「クロウ…お前が命懸けで残してくれた『ブラックフェザードラゴン』の力…決して無駄にはしない!!」

オレはクロウに…ジャックに希望を託された、オレは絆の力で機皇帝を倒して見せる!!

 

 

「遊星!!負けんじゃねぇぞ!!お前にはオレ達がついてる!そんなデカブツに負けるんじゃねぇ!!」

 

「この声は…!鬼柳!?」

遊星は聞こえた声に頭を上げる…そこには観客席から声を張り上げる鬼柳京介の姿があった。

 

 

「言っただろ!必ず応援に行くってな!…見せてやれ!チーム・サティスファクション…いや、5D'sの力を!!」

 

「鬼柳…みんな…!」

そして遊星は気づいた、集まった観客の中にたくさんの見知った顔、仲間達がいると…遊星はその想いを一身に背負う!

 

「オレは1人じゃない…!勝負だ!チームニューワールド!!」

遊星は最終決戦へと挑む…!!

 

 

 

SideOut

 

 

 

 

 

 

『来たか不動遊星…何故クロウがわざわざシンクロモンスターを残したかはわからん、だが機皇帝がいる限り…それは地獄の置き土産となる…!』

 

「(ニューワールド、お前達には理解できないだろうが…オレにはわかる、クロウがオレに『ブラックフェザードラゴン』を託したのは…オレ達が戦ってきた中で得た答え…それを思い出したからだ…、オレは1人で戦っているんじゃない…オレは3つのデッキで戦っているんだ!!)いくぞ、ホセ!!」

 

遊星は今までの戦いを思い返す…手に入れた情報を元にした最適の戦略で遊星達を追い詰めた「チーム・ユニコーン」、自分達の信念を曲げずに戦い抜き、誰も見向きもしなかった切り札で戦った「チーム・太陽」、神々の力を得て、世界を救う為に戦った「チーム・ラグナロク」…戦いを経て遊星達は1つの答えに辿り着いた、それが『絆』…例えそれぞれのデッキはバラバラでも…その魂は繋がっていく…!その思いを胸に遊星は機皇帝に挑む!

 

 

 

 

 

 

「『デュエル!!』」

 

 

デュエルダイジェスト 遊星対ホセ

 

 

 

 

 

 

『フン…破滅の道とわかっていてもシンクロ召喚をやめる事はできなかったか…ならばこのデュエルで下ろしてやろう、愚かな人間の終幕を!!「グランエル∞」で「ブラックフェザードラゴン」を攻撃!』

 

「やらせない!『波動の壁─ウェーブ・ウォール』のモンスター効果発動!自分の場にシンクロモンスターがいる時、相手の攻撃を無効にする!」

 

『ほう…!』

迫った攻撃を遊星の場の石柱(戦士族)が受け止める!

 

『ならば…罠カード「A・キャノン」発動!「グランエルA」を墓地に送り「ブラックフェザードラゴン」を破壊する!発射!』

 

「っ…!『ブラックフェザードラゴン』!!」

射出された機皇帝の右腕がブラックフェザードラゴンを破壊する…

 

「クロウ…お前の思いは繋げる!!罠カード『シャドーインパルス』発動!レベル8の『ブラックフェザードラゴン』が破壊された事でエクストラデッキのレベル8・ドラゴン族モンスターを攻撃力0、効果無効で特殊召喚する!飛翔せよ!『スターダスト・ドラゴン』!!」

仲間達の思いを乗せて白銀の竜が飛翔する…これがクロウの繋げた希望、進化を続ける翼にクロウは全てを託したのだ…!

 

「繋げてみせる…『シューティング・スター・ドラゴン』に!!」

 

『フン…攻撃を一度防いだくらいで浮かれおって…お前達の絆では機皇帝は倒せぬ、いくらアリが群れようとゾウを倒せぬように!!「グランエルA3」を召喚!さらに「Sp-サイレント・バーン」を発動!「グランエル」の攻撃していないパーツは4つ、1200のダメージを受けるがいい!』

 

「なにっ!?ぐわっ!!」

グランエルから放たれた光線が遊星のライフを削る…大きなダメージに遊星はバランスを崩すがすぐに立て直す!

 

 

『ふん…一息にクラッシュしていれば痛みを感じる事もなかっただろうに…つくづく人間とは愚かなものだ…』

 

「ぐっ…オレは諦めない…!歴史を改竄しようとするお前達の前に何度でも立ち塞がる!!」

遊星は痛みに耐えながらホセを睨みつける!

 

『愚かな…あまりにも幼い、ならば…お前達に教えてやろう…愚かなる人類の歴史を!!』

 

キィン─!

 

 

ホセの言葉と共に空にイリアステルの象徴たる無限の記号が浮かび上がる…さらに

 

キィン─!

 

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

「痣が…!」

シグナーに刻まれた痣が共鳴し光を放つ!

 

 

『ホセ!?まさか…アレを奴らに見せんの!?』

 

『忌々しい…!再びあの絶望を見なければならんとは…!!』

 

ルチアーノとプラシドは顔を歪める…そしてシグナーとその近くにいた者の意識は光に包まれた…。

 

 

 

 

 

Side遊海

 

キィン─!

 

「!?…痣が…!」

ホセと遊星のデュエルの最中…シグナーの痣が光を放つ…

 

「遊海!何が起きている!」

 

「心配しないでください…すぐに戻ります…!」

その瞬間、俺の意識は光に包まれた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ここは…これが、破滅の未来か…!」

目を開けるとそこは一面の赤黒い空、そこに漂う黒く輝く太陽…そして大地を覆う廃墟…そこは遥かな未来、破滅を迎えた未来の姿だった。

 

 

「…これが…破滅を迎えた世界…」

 

「う、うわあああ!?落ちる!た、助けて〜!?」

 

「龍亞!龍可!お前達!」

 

「ゆ、遊海!たた助けて〜!?」

叫び声に顔を向ければ遊星やアキにブルーノの足に捕まった龍亞達、そして包帯姿のジャックとクロウが空に浮かんでいた…。

 

「落ち着け龍亞、ここは現実じゃない…俺達は記憶の世界にいる、ゆっくり手を離してみろ…そのまま浮かべるはずだ…」

 

「う、うん……あっ、落ちない…よかった〜…」

ブルーノから手をはなした龍亞は額の汗を拭う…

 

 

「みんな…見て!あれって…!?」

 

「なっ…あれは!?」

アキの言葉にシグナー達は一点を見つめる…そこあったのは廃墟に佇む未完の橋…「ダイダロス・ブリッジ」の姿だった、つまりこの廃墟は…

 

「まさか…この街は…ネオ童実野シティだっていうのか…!?」

 

『その通り、私達にとっては「現実」の…お前達にとっては「未来」のネオ童実野シティの姿だ…!』

遊星の言葉を肯定するようにホセ、プラシド、ルチアーノの幻影が俺達の前に現れる…。

 

 

『この破滅の未来は…シンクロ召喚から始まったのだ…!』

 

そして場面は移り変わる…そこはまだ繁栄していた頃のネオドミノシティ…そしてホセは終わりの始まりについて話し始めた…。

 

 

『デュエルの進化と人々の熱狂と共に人類は繁栄した…その象徴こそが「シンクロ召喚」だった…』

Dホイールが街を埋め尽くし…人々は口々にシンクロ召喚を叫んでいる…その様子はまるで一種の宗教のようだった。

 

『ある者は言った、「Dホイールがシンクロ召喚時に発する波動がモーメントと共鳴している」と…共鳴を増したモーメントは回転を早め、世界も進化のスピードを早めた…だが、それはあまりにも早すぎたのだ…』

 

『キッヒッヒ…!もっと進化を!もっとレベルを上げろ!!もっと!もっともっともっと!!!アハハハ…!』

 

『やめろ、ルチアーノ』

狂ったようにルチアーノが笑い始める、プラシドがそれを諌めるが…変化は突然だった。

 

『アハハハ…ハ…う、うわあぁぁぁ!!!』

 

「っ!?なんだ!どうしたと言うんだ!!」

突如としてルチアーノは頭を抱え、苦しみ始める…それはまるでトラウマを刺激された子供のようだった…、その目の前に広がる光景は…空を埋め尽くす機皇帝達の姿だった…。

 

 

『機皇帝とは本来、「人類を守る兵器」だった…だが、ある時機皇帝のコンピューターはこう結論したのだ「人類を最も殺すのは人類である、人類を守る為に人類を抹殺しなければならない」と…これは後になってわかった事だったが…機皇帝達はモーメントに蓄積された負の感情によりそのような暴走を起こしたのだ…!!』

 

「そんな…!」

 

『あっ…見て!!』

街を破壊し続ける機皇帝の軍団…そんな中、龍可がある光景を見つける…それは…

 

 

『早く逃げるんだ!』

 

「あれは…ルチアーノ!?」

親らしき男女と共に逃げるルチアーノらしき少年の姿だった。

 

 

『これは…ボクの時代の記憶…』

 

父と母と共に機皇帝から逃げ続けるルチアーノ親子…しかし、機皇帝からは逃げる事はできなかった…。

 

キュィイン…バシューン!!

 

『うわあっ!?』

 

グランエルから放たれたレーザーが家族を吹き飛ばす…

 

『パパ…ママ…?あ、ああ…!うわあああああ!!!』

 

吹き飛ばされたルチアーノが顔を上げる…父と母がいた場所は…跡形も無く消し飛んでいた…。

 

 

 

『次は…オレの時代だ…』

 

プラシドの言葉と共に場面は移り変わる、そこは廃墟の中…機皇帝への反乱軍へ参加したプラシドは一人の女性と共にグランエルを破壊しようとしていた、彼女は…プラシドの恋人だった。

 

『いくよ…!』

 

『おう!!』

 

物陰に隠れていたプラシドが飛び出す、それに気づいたグランエルがプラシドに注意を向けた瞬間、女性がロケット砲を放ちグランエルに直撃…グランエルを粉砕した!

 

『やったな!』

 

『ああ…!』

勝利を喜びあう二人…だが…

 

 

ギュイン…ズドォォン!!

 

『ぐあああああ!?』

突然の爆発にプラシドは吹き飛ばされる…

 

『ぐっ…何が…!エウレア!エウ…そ、そんな…』

プラシドが身体を起こす…あったはずの廃墟は吹き飛ばされ…恋人の潰れたロケット砲だけが残されていた…

 

『あ…ああ…あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"─!!!』

 

 

 

『…愚かな人間達の欲望は遂に頂点へと達した、その時突然モーメントは逆回転を始めた、まるで人の負の心に反応したように…モーメントは暴走し世界各国のモーメントが爆発した…世界を道連れに…』

ホセの言葉と共に地球のあちこちで巨大な爆発が起きる…それが世界の最後だった…。

 

 

「嘘だ!!モーメントが再び暴走したなんて…オレは信じない!!」

 

『本当の事だ…私達を含め愚かな人類のせいで…これが私の時代の記憶だ…』

モーメントの暴走を信じない遊星にホセが最後の記憶を見せる、そこには廃墟を一人で彷徨うホセの姿があった…。

 

 

『運命に選ばれた私は生き残りを探そうと一人彷徨い歩いた…だが…生き残りを見つける事は叶わなかった…』

 

 

『誰か…誰かぁぁ…!』

破滅したネオドミノシティにホセの哀しい叫びが木霊する…地球という星は終焉を迎えた…

 

 

 

 

『私は歴史を見送った…深い絶望と共に…』

 

そして再び視界は光に包まれた…

 

 

 

 

 

 

 

 

「…み…遊海!!しっかりしろ!!」

 

「っ…はぁ…はぁ…!!海馬社長…どれくらい経ちましたか…?」

遊海が意識を取り戻すと海馬社長が遊海の肩を掴み揺さぶっていた…

 

「正気に戻ったか!時間にして1分程だ…何を見た…!!」

 

「破滅の未来を生きた哀しき男の生涯を…シグナー達も同じものを見たはずです…行かなければ…海馬社長、お願いします…!」

 

「ついに始まるのか…!この町の存亡を賭けた戦争が…!」

遊海の言葉に海馬は無線機を取り出す

 

「各員に伝える!警戒態勢を取れ!!間もなく戦争が始まる!!チーム5D'sの決闘を注視するのだ!」

海馬は無線機を遊海に渡す

 

「目的を確認する!Aチームはスタジアムで待機!異変が起こり次第、各個対応せよ!」

 

「「「了解!!」」」

 

「チームBはネオドミノシティで異変が起き次第対応開始!対応しつつ住民の避難を!!」

 

「「「「了解!」」」」

 

「チームCはサテライト住民の避難を頼む!特に老人や子供があつまっているマーサハウスや孤児院を優先してくれ!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

無線機からそれぞれに応答が返ってくる…準備は整った…!

 

 

「最後に…『コピーナイト』発動!出番だ!」

 

『ようやくか…(オレ)は何をすればいい?雷を撃ち落とすか?住民の救助と避難か?』

遊海の隣に黒い服の遊海…ユウスケが現れる

 

「両方だ」

 

『ハッ…!自分使いが荒いなぁ…まぁいい、久々に暴れるぜ!!』

遊海は準備を整えた…!

 

「遊星…こっちは任せろ…!!」

 

 

SideOut

 

 

 

 

 

 

 

 

「シンクロ召喚が…オレ達のスピードが辿り着く世界があんな世界だなんて…オレは信じない!」

 

『不動遊星!運命から目を背けようというのか!!お前達の運命は既に破滅へと向かっている…その始まりがシンクロ召喚なのだ!』

現実へと戻った遊星は破滅の未来を否定する…だが、ホセもそれは同じ事…未来を救う為にシンクロ召喚を否定する…

 

「違う!シンクロ召喚は破滅のシンボルじゃない!運命の壁を突き破るものだ!」

 

『その単純な考えが人類を破滅させたのだ!!』

 

「いや…!運命は!未来はまだオレ達の手にある!」

遊星は未来を信じ、勝利を掴む為に限界を超える!

 

「オレは信じる…オレ達の絆が未来を切り開くという事を!!クリア・マインド!!オレはレベル8の『スターダストドラゴン』にレベル2シンクロチューナー『フォーミュラシンクロン』をチューニング!!」

仲間達の願いを胸に…白銀の翼は進化を遂げる!!

 

「集いし夢の結晶が!新たな進化の扉を開く!光さす道となれ!!」

 

遊星が白紙のカードを掲げる…カードはクリアマインドに共鳴しその真の姿を現す!!

 

 

「アクセルシンクロォォォ!!!」

 

スピードの限界を超えた遊星は亜空間へと消え、再び現れる!

 

「生来せよ!『シューティング・スター・ドラゴン』!!」

《ギュアアアン!!》

 

『現れたか…「シューティングスタードラゴン」…!』

 

「『シューティングスター』の効果発動!デッキを5枚巡り、その中のチューナーの数だけ攻撃できる!…オレ達の絆を…今、この時に…!」

 

キィン─!

 

遊星の覚悟に痣が光輝き…集結する!

 

「1枚目!チューナーモンスター『ドリル・シンクロン』!2枚目『デブリ・ドラゴン』!3枚目!『ニトロ・シンクロン』!4枚目!『クイック・シンクロン』!5枚目!…チューナーモンスター『エフェクト・ヴェーラー』!!…これで5回の連続攻撃ができる!いくぞ…ホセ!!」

シューティングスターが5体に分裂する!

 

 

「1回目のバトル!『グランエルA3』を攻撃!」

 

『「グランエルG」の効果発動!攻撃対象を「スカーレッドノヴァドラゴン」に変更する!「シューティングスタードラゴン」を迎え撃て!』

ジャックの魂が遊星に立ちはだかる!

 

「リバース罠『シンクロ・ストライカー・ユニット』を発動!『シューティングスター』に装備し攻撃力を1000ポイントアップする!」

 

『おのれ!「グランエルC」の効果!「スカーレッドノヴァドラゴン」の破壊を無効にする!』

 

「だが、ダメージは受けてもらう!」

シューティングスターがスカーレッドノヴァに突撃しライフを削る!

 

「2回目の攻撃!」

 

『再び「グランエルG」の効果!盾となれ「スカーレッドノヴァドラゴン」!』

再びの突撃がスカーレッドノヴァを破壊し、機皇帝の呪縛から開放する!

 

「3回目の攻撃!『グランエルA3』を攻撃!4回目の攻撃!『グランエルT』を攻撃!!」

 

『ぐおおぉぉっ!!』

遊星の連撃が機皇帝のパーツを破壊しホセのライフは残り4100、ついにシューティングスターが機皇帝を上回った!

 

 

「5回目の攻撃!『機皇帝グランエル∞』を攻撃!シューティング・ミラージュ!!」

シューティングスターの最後の一撃が機皇帝を粉砕、さらにグランエルのデメリットによりホセの場はガラ空きとなった…!

 

 

「これがオレ達の未来を切り拓く力だ!シンクロ召喚が…アクセルシンクロがまやかしの未来を打ち砕いた!!」

 

『それはどうかな…?運命に近づいているではないか、おかげで私のフィールドは()()()()と化した…』

 

「っ…!」

ホセの言葉を聞いた瞬間、遊星の脳裏に破滅の未来の光景が蘇る…

 

『だが…安心しろ、その運命は私達が…いや、この『『アポリア』』が修正してやる!』

 

「アポリア…だと…?」

遊星はホセの呟いた言葉に困惑する…その時、遊星は目の当たりにする事になる…三皇帝の真の力を…!

 

 

『絶望より生まれし3つの魂よ…今こそ1つに!!』

 

ギィン─!

 

 

ホセの言葉と共に晴天だった空が赤黒い雲に覆われる…そこにホセ・プラシド・ルチアーノが飛び込んでいく!

 

 

『おせーよホセ、これでようやく不動遊星と戦う時が来た…!』

 

『ボクもだけどねぇ─!!』

そして3人はホセの身体をベースに合体していく…そして現れたのは額に緑色の玉を埋め込んだ巨大な一人の人間だった…!

 

 

「何が起きている…!?」

 

【…我が名は…アポリア…!】

不敵に笑うその人物の名は「アポリア」…イリアステル滅四星が1人…イリアステルの三皇帝の真の姿である。そして変化はまだ終わらない、アポリアを追走するようにプラシドのDホイール「T-666」そしてルチアーノのDボード「A・ケッアルカートル」が現れる。

そして3台の乗騎が合体…三つ首の龍をイメージした超弩級Dホイール「T・ウロボロス」へと変形、さらにアポリアが合体…その姿を現す!

 

 

「お前達は!…いや、お前は何なんだ!!」

 

【我が名はアポリア…絶望の番人…】

 

5D'sとニューワールド…否、アポリアとの戦いは遂に最終局面を迎える!

 

 

 

 

 

これから始まるは決闘に非ず…未来を賭けた戦争である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピシッ…ピシピシッ…バリーン…


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