転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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決戦!絶望のアポリア〜希望の創造者〜

「ねぇジャック…さっきの爆発音って…」

 

「おそらく遊海だろう…心配するな!遊海はあの程度の事は朝飯前だ!」

 

「そうよ…遊海さんなら大丈夫…!」

アーククレイドルの中を進むジャック一行…龍亞兄妹はジャックのホイール・オブ・フォーチュンに掴まりDボードで並走していた…。

 

 

「もう…後戻りはできないんだね…」

 

「フン…ここまで来て怖気づいたか?」

弱音を漏らす龍亞にジャックが問いかける

 

「大丈夫…!怖くないって言ったら嘘になるけど…おれよりも遊星や翠さんの方が怖い思いをしてるんだもん…!」

 

「遊星が死んでしまう未来…それに翠さんもゲイザーに攫われて…」

龍亞の言葉を聞いた龍可が表情を曇らせる、シェリーに宣告された「遊星の死」、そして攫われた翠…龍可は2人の事が心配なのだ…。

 

「忘れろ…遊星が死ぬ未来などない!それに翠は遊海がきっと助け出す!…俺達は遊星ギアを止める事に集中するんだ…!」

ジャックは2人を叱咤する。

 

「うん…!絶対に遊星は死なせない!翠さんだってきっと大丈夫だよ!」

 

「そうよね…きっと大丈夫よ…!」

龍亞兄妹は不安を振り払い気合いを入れた…!

 

 

 

 

 

 

 

 

「この部屋…すごく広い…!」

 

「まさか…この場所が遊星ギアか…!」

しばらくトンネルを進み続けたジャック達…彼らはついに目的地である2つ目の遊星ギアに到着した…その時!

 

 

『その通り…お前達の足元にあるのが遊星ギアだ』

 

「お、お前は…!?」

 

「そんな…なんで!?」

 

「アポリア…!生きていたのか…!!」

ジャック達の前に大柄な男…遊星との死闘の末に倒されたはずのアポリアが立ち塞がる!

 

 

『私は再び蘇った…お前達に遊星ギアを止めさせはしない…私が此処にいる限り…!!』

 

ウィーン…バシュン!! ガシャン!!

 

「えっ!?なんだよこれ!?!」

 

「取れないし…動けない!!」

 

「ぐっ…!?なんだこれは!」

ジャック達に突如円盤が発射され左胸に固定され、さらに足を鉄の足枷が拘束する!

 

シュピン!

 

「「痛ッ…!?」」

 

「今の痛みは…!?貴様、何をした!!」

さらにジャック達の胸を鋭い小さな痛みが貫く…

 

『これでお前達は逃げられない、無理に逃げようとすれば…針が心臓を刺し貫く!』

 

「「えっ…!?」」

 

「何っ…!?」

アポリアの言葉にジャック達は凍りつく…胸に装着された機械…そこから無数の針が伸び、三人の身体に突き刺さっているのだ…!

 

 

『遊星ギアと私は一体化している…ギアを止めたければ私を倒すしか方法はない!』

 

「上等だ!このジャック・アトラスが貴様を倒してやる!」

 

「こうなったらおれもやるぞ…!」

アポリアの言葉にジャックは宣戦布告し、龍亞がデュエルディスクを構える!

 

「その意気だ龍亞!これは…『チーム5D's』の戦いだ!」

 

「チーム5D's…なんだか燃えてきた!!龍可!おれ頑張るよ!!」

 

「うん…!頑張ろう…!」

気合いの入った龍亞の言葉に応える龍可…その額には冷や汗が浮かぶ、無理もないが兄妹はまだ小学生…命懸けの戦いにはまだ早すぎるのだ。

 

「(龍可…)心配するな!おれが絶対に龍可を守る!」

 

「ありがとう…龍亞」

そんな龍可の状態に気づいた龍亞が龍可を励ました…。

 

 

 

『覚悟は決まったようだな…デュエルは変則タッグルール、各々のライフは4000で行なう』

 

「なに…?お前も4000だと?」

 

『そうだ…さらに、私のターンはお前達3人の後に回ってくる、条件は圧倒的に私が不利だ、その代わり…先攻は私が貰う』

アポリアが提示したのは実質ライフ12000対4000のデュエル…しかしその表情に変化はない…!

 

「いいだろう!…いくぞ!龍亞!龍可!」

 

「「うん!」」

ジャックはその条件に同意する…そしてデュエルが始まった!

 

 

 

 

 

『「「「デュエル!!」」」』

 

 

 

デュエルダイジェスト アポリア対ジャック&龍亞&龍可

 

 

 

 

 

 

 

 

『私のターン!フィールド魔法「機動要塞フォルテシモ」発動!!うおおおっ─!!』

遊星ギアの景色が機械の城のような風景に変化、さらに中心部の台座にアポリアが合体する!

 

 

「が…合体した!?」

 

『これで私達は()()()()()()()()と一体化された…』

 

「なんだと!?どういう事だ!」

アポリアの言葉にジャックが問いかける

 

『お前達の命は数値化しライフポイントとリンクされる…そしてライフが0になった時、お前達の命も0となる』

 

「そ、それって…死んじゃうって事!?」

 

「ふざけるな!俺達の命を貴様などに弄ばれてたまるかっ!!」

アポリアの宣告にジャック達は動揺し怒りの声を上げる…!

 

 

『弄びなどしない…これは純然たる決闘(デュエル)だ、お前達が勝てば胸の装置は外れ、遊星ギアは停止する…この戦いに「感情」はいらない、勝利か敗北…生か死か…私は心を持たないマシーンとなってお前達と戦うのだ…!』

 

「心を持たないだと…!?」

 

アポリアの復活まで時は遡る…

 

 

 

 

 

 

Sideアポリア

 

 

【人間を辞める…と?】

 

『そうだゾーン…私は感情を捨て去る…!』

 

『その意味はわかっているのかアポリア?感情を捨てる…それはお前というアンドロイド(人間)がただの戦闘人形(ロボット)になるという事だぞ?』

ゾーンとゲイザーの手で復活したアポリア…しかし、彼はさらなる改造を願う…

 

【そうです…貴方は我々のなかで誰よりも「人間」であった、君の生涯を引き裂いた3つの絶望と悲しみ…私はそこからルチアーノ・プラシド・ホセという三人の君を蘇らせた…】

 

『絶望は…もういらない、WRGPの決勝で私は5D'sに敗北した…4つ目の絶望の中で死んでしまう程だった…それを君達は救ってくれた…私は絶望に…感情に負けてしまったのだ…!』

アポリアは悔しそうに拳を握りしめる…

 

『ならば感情などいらない…私は感情を君達に預け、完全なるマシーンになる…!絶望も希望もいらない!戦闘機械(マシーン)となり君達を守る!より良き未来の為に!!』

 

『アポリア…お前の覚悟はわかった、お前の感情を預かろう』

 

【頼みます…我が友よ】

 

こうしてアポリアは記憶はそのままに感情を捨て去ったのだ…。

 

 

 

SideOut

 

 

 

 

 

 

『より良き未来の為に…お前達は絶対に行かせる訳にはいかない!お前達のライフを…ゼロにする!私は「フォルテシモ」の効果発動!1ターンに1度、手札からレベル4以下の機械族モンスターを特殊召喚する!現われろ!「機皇兵ワイゼル・アイン」!』

 

「っ…!新しい機皇モンスターだと!?」

機動要塞から「機皇帝ワイゼル∞」に似た白いロボットが射出され現れる!

 

『さらに私は「機皇兵スキエル・アイン」を召喚!…カードを3枚伏せてターンエンド!』

アポリアの場に「機皇帝スキエル∞」に似た青いロボットが現れ、先攻を取ったアポリアはターンを終えた…。

 

 

 

「ジャック!最初はおれに行かせて!…龍可を守る為にこんなところで負けられない!」

 

「いいだろう…いけ龍亞!」

 

「うん!ありがとう!!」

龍亞はジャックの言葉に背中を押されアポリアに立ち向かう!

 

 

「おれのターン!『D・ステープラン』を守備表示で召喚!」

 

『その瞬間!永続罠「レベル・カノン」を発動!互いのプレイヤーはモンスターを召喚した時!そのモンスターのレベル✕200のダメージを受ける!「ステープラン」のレベルは4!よって800ダメージだ!』

 

「えっ!?うわぁぁ!!」

 

「「龍亞!?」」

フォルテシモの壁面から砲台が現れ、赤い稲妻が龍亞に襲いかかる!

 

「今の衝撃…本物の…!」

 

『言ったはずだ、()()()()()()()()()()()()()、ライフが下がれば現実の痛みとなって互いのプレイヤーを襲う…甘い考えは捨てて本気でかかってこい…!』

龍可の言葉にアポリアは冷たく言い放つ…

 

「っ…!いい加減にしろ!貴様の相手など俺一人で充分だ!龍亞と龍可を開放しろ!!」

 

『………』

 

「返事をせんか!!」

ジャックの言葉にアポリアは答えず、冷たい視線で見下ろしている…離脱を許すつもりはないようだ。

 

 

「だ、大丈夫だよジャック…!少し驚いただけさ…たった800ダメージだから…!まだ平気…!」

 

「龍亞…!」

龍亞はなんとか立ち上がる…!

 

「(今の衝撃…地縛神と戦った時と同じ衝撃だった…!こんな衝撃を龍可が受けたら…!)おれは…カードを三枚伏せてターンエンド!!」

 

 

 

 

「わたしのターン…!(どうしよう…!このままモンスターを召喚したらダメージを受けて…龍亞が受けた衝撃を受けちゃう…!)」

ターンの回ってきた龍可は必死に打開策を考える…。

 

「龍可!」

 

「龍亞…?」

龍可は龍亞のアイコンタクトに気付く…

 

 

「(龍亞の伏せた3枚のカード…あの中にダメージを無効にできるカードがあるのね!)わたしは『アーマード・ホワイトベア』を守備表示で召喚!」

龍亞の意を汲んだ龍可は鎧を纏った白クマを召喚する!

 

『永続罠「レベルカノン」の効果発動!モンスターを召喚した事で800ダメージを与える!』

 

「龍可には指一本触れさせない!!リバース罠『ダメージ・イレイザー』を発動!効果ダメージを無効にしてその数値分のライフを回復する!」

龍可を守る為に龍亞の罠が発動する…しかし

 

『甘い、カウンター罠「ダメージ・ブースト」発動!効果ダメージを無効にする効果を無効にし破壊する!…さらに、相手の受ける効果ダメージは倍となる!1600のダメージを受けるがいい!』

 

「なに!?」

 

「そんな!?龍可!!」

 

ダメージイレイザーのカードが砕け散り、無数のミサイルが龍可に襲いかかる!

 

「きゃあああ!!?」

 

「龍可!!龍可─!!」ガシャン!ガシャン!

 

「大丈夫か!」

ダメージを受けて座り込む龍可に駆け寄ろうとする龍亞…しかし、足枷がそれを許さない…

 

「く、うぅ…わたしはターン、エンド…!」

ダメージを受けた龍可はエンドを宣言する、だが…アポリアはさらに追撃を仕掛ける!

 

『「機動要塞フォルテシモ」の効果発動!エンドフェイズに機械族モンスターをコントロールしていないプレイヤーに100のダメージを与える!』

 

「なんだと!」

 

「やめろ…やめろぉぉ!!」

龍亞の叫びも虚しく…レーザーが龍可の目の前を薙ぎ払う!

 

「うわぁっ…!!」

 

「龍可…!!そんな…おれが余計な事をしたから…!」

 

「龍亞!涙は飲み込め!!…目の前の敵と戦う事に集中するのだ!」

 

「ジャックぅ…!」

ジャックは涙を溜める龍亞を叱咤する…

 

「(ぬぅ…!命を懸けたデュエル…身体の弱い龍可には負担が掛かり過ぎる…!ここは速攻あるのみ!!)」

子供達を守る為にジャックは力を振るう!

 

 

 

 

「俺のターン!魔法カード『トラップ・ポーズ』を発動!エンドフェイズまで相手フィールドの罠カード全ての効果を無効にし、その枚数分カードをドローする!『レベルカノン』を無効にし1ドロー!!」

 

『ほう…!』

ジャックの発動したカードにアポリアは感心の声を洩らす

 

「さらに!手札からレベル1の『ニードル・ガンナー』を墓地に送り、手札の『パワージャイアント』を特殊召喚!元々のレベルは6だが、特殊召喚時に捨てたモンスターのレベルを自身のレベルから引く!さらに『ダーク・リゾネーター』を召喚!」

ジャックの場に2体のモンスターが揃う!

 

「俺はレベル5となった『パワージャイアント』にレベル3の『ダークリゾネーター』をチューニング!王者の鼓動、いま此処に列を成す!天地鳴動の力を見るがいい!シンクロ召喚!我が魂…『レッド・デーモンズ・ドラゴン』!!」

ジャックの魂たる悪魔竜が炎と共に現れる!

 

「やった…!やっぱりジャックはすごい…龍可を守るには強くなくちゃいけないんだ!」

雄々しい悪魔竜の姿に龍亞は希望を取り戻す!

 

「でも…今のおれじゃ役に立たない…ならせめてジャックの力に!リバース罠『パワーアップ・コネクター』を発動!このカードを『ステープラン』に装備!そしてその攻撃力を『レッドデーモン』に加える!ジャック、受け取って!!」

 

「うむ!『ステープラン』の攻撃力は1400…よって攻撃力は4400だ!!」

ステープランの力を受け取ったレッドデーモンの力がアップする!

 

 

『フン…面白い、味な真似をする…しかし、その程度は想定済みだ!リバース罠「パワー・グラヴィディ」を発動!「ワイゼルアイン」に装備!そして相手モンスターの攻撃力が変動した時!その数値を装備モンスターに加え、相手モンスターの攻撃力を0にする!』

 

「「なんだと!?/なんだって!?」」

アポリアの罠がレッドデーモンの力を奪う!

 

 

「そんな…また、おれのせいで…!!」

 

「(これでは攻撃ができん…!)カードを伏せターンエンド!」

 

『エンドフェイズに「フォルテシモ」の効果発動!100ダメージを受けて貰う!』

 

「っ…ぐおぉっ…!!」

ジャックにレーザーの衝撃が襲いかかる…アポリアのデッキはただの「シンクロキラー」デッキではなく「シンクロメタバーン」デッキへと強化されていたのだ…!

 

 

「ジャック…!ごめん、おれ…そんなつもりじゃ…!」

 

「泣くな龍亞!!」

龍亞は自分の成す事全てが裏目に出てしまった事で自身を失い膝をついてしまう…そんな龍亞にジャックの激が飛ぶ!

 

「立つのだ!腰を据えて踏ん張れ!」

 

「でも…どうしたら…!」

 

「辛いのはお前だけじゃない…」

 

「えっ…?」

 

「龍亞!わたしは平気よ…!頑張ろう!!」

 

「龍可…(ごめん龍可…こんな情けない兄貴で…!)」

龍亞は歯を食いしばり立ち上がる…「龍可を守る」…その思いだけが龍亞を支える!

 

 

 

『私のターン!私がドローしたのは魔法カード「オーロラドロー」!このカードは私の手札がこのカードの時のみ発動できる!デッキから2ドロー!…そして「機皇兵グランエル・アイン」を召喚!そして…「レベルカノン」の効果で800ダメージを受ける』

アポリアの場に「機皇帝グランエル∞」に似たロボが現れ、ダメージを受けるが…その顔色は少しも変わらなかった…。

 

「貴様…痛みを感じぬのか…!?」

ジャックはその様子を見て声をあげる、アポリアは痛みを感じていない訳ではない…痛みに反応する感情を持ちあわせていないのだ…。

 

 

『「グランエルアイン」の効果発動、「アーマードホワイトベア」の攻守を半分にする…!』

 

「そんな!」

グランエルアインに搭載された重力操作装置が白クマを地面に叩きつける!

 

『バトルだ、まずは「ワイゼルアイン」で攻撃力0の「レッドデーモン」を攻撃!クォークカーブ!』

 

「ぐっ…うおぉぉ!?」

ワイゼルアインのレーザーサーベルがレッドデーモンを両断する!

 

「そんな…ジャックのライフが3200も…!」

 

「っ…うぅ…!?(遊海は…いつもこんなダメージを受けていたのか…!?力が、入らん…!)」

 

「ジャック!!」

凄まじい衝撃にジャックは倒れ込んでしまう…!

 

『さらに「スキエルアイン」で「アーマードホワイトベア」を攻撃!「スキエル」は「ワイゼル」の効果で貫通ダメージを与える!ツインパルス!』

 

「そんな!?きゃあああ!!」

 

「龍可ぁぁぁ!!」

銃弾が白クマを破壊し龍可を吹き飛ばす!

 

『そして…「グランエルアイン」で龍可にダイレクトアタック!グラヴィティブラスター!』

 

「や、やめろぉぉぉ!!!」

 

「あっ…うああぁぁぁ!!!」

反重力のエネルギー弾が龍可に直撃、龍可も地面に倒れ伏してしまう…立っているのは龍亞1人だった。

 

 

「龍可…ジャック…どうして…どうしてこんな…!」

 

『私は手札から永続魔法「ロックオンレーザー」を発動、魔法・罠をセットしたプレイヤーは200ダメージを受ける、お前達が動けば動いただけその代償にライフは削られる…もっともシグナーの2人はもう動けぬか』

倒れ伏す龍可とジャック…膝をつく龍亞を見つめながらアポリアはデュエルを続ける、その瞳に感情はない…

 

『心が痛いか?心があるから人間は愚かな希望を抱く…そして、いともあっさりと望みは断たれ苦しみにのたうつ…くだらぬ、心がなければ絶望する事はない…心がなければ未来の破滅は無かった』

アポリアは淡々と感情の…心がある事の愚かさを龍亞に語りかける…。

 

『少年、これが絶望だ…ターンエンド、そしてエンドフェイズに「ワイゼルアイン」に装備された「パワー・グラヴィティ」は破壊される』

 

 

 

 

「そんな…龍可とジャックが…」

龍亞は絶望した…その目から涙が溢れ、地面に零れ落ちる…

 

「ぐっ…まだだ…俺は、俺がこんなところで敗れると思っているのか…!!」

 

「そうよ…!わたしだって…!」

 

「龍可!ジャック!」

倒れていた2人は死力を尽くして立ち上がる!

 

「龍亞!俺達はまだ負けていない…!だから望みを捨てるな!」

 

「ジャック…!でも、でもどうしたら…!(考えろ考えろ考えろ…!おれが…頑張らなくちゃだめなんだ…!!)」

ジャックの言葉に龍亞は涙を拭き前を向く…ジャックのライフは残り700、龍可は200…龍亞は3200…まだ勝機はある…!

 

 

「おれの…ターン!!」

 

『立ち向かってくるか…だが、いいのか?動けば動く程…お前はダメージを受ける…!』

龍亞に「ロックオンレーザー」と「レベルカノン」が照準を定める!

 

「(もう…ミスはできない…!おれが…おれがなんとか…しないと……でも)…ターン、エンド…!」

 

「「龍亞!?」」

龍亞は何もできずターンを終える…アポリアの残した「絶望」という名の鎖が龍亞を縛ってしまったのだ。

 

 

「わたしの、ターン……ターン、エンド…!」

 

「龍可…!(そうだ…!何やってるんだよおれ!?おれが動けば龍可を少しでも休ませられたのに!!)」

龍亞は後悔する…龍可は既にボロボロ、龍亞が少しでもプレイすれば龍可を休ませる事ができた…そのチャンスを失ってしまったのだ…!

 

『「フォルテシモ」の効果発動!100ダメージだ!』

 

「うっ…!?」

 

「龍可!!」

無情なレーザーが龍可を薙ぎ払う…龍可は悲鳴を上げる事もできず倒れ伏した…。

 

 

「…アポリア!!何故だ!何故子供相手にここまでやる!?」

ジャックがアポリアに叫ぶ…傷付いていく龍可をジャックは見ていられなかったのだ…。

 

『諦めてもらう為だ、お前達がネオドミノシティを救おうとする…その思いを…!その為に私と同じ絶望を味あわせているのだ!』

 

「なんだと…!?」

 

『《愛してくれる者のいなくなった絶望》…《愛する者がいなくなった絶望》…《愛さえいらなくなった絶望》…その果てにお前達は浅ましい進化を諦めるだろう!そしてゾーンが!ラプラスが!新たな未来へと導くのだ!!』

アポリアは龍亞に過去の自分を重ねていた…そして、彼に同じ絶望を与える事で進化を止め、破滅の未来を止めようとしていたのだ。

 

 

「俺は諦めんぞ…絶望なぞしてたまるかっ!!俺は『クロック・リゾネーター』を守備表示で召喚!このモンスターは守備表示の時、1度だけ戦闘・効果では破壊されない!」

ジャックの場に時計を背負った悪魔が現れる…だが…!

 

「待ってジャック!モンスターを召喚したら!?」

 

『「クロックリゾネーター」のレベルは3…「レベルカノン」で600ダメージを与える!』

 

「ぐぅ…!!…ターン、エンドだ!」

ジャックにミサイルが直撃する…しかし、ジャックは歯を喰い縛り立ち続ける…!

 

『…「フォルテシモ」の効果が発動しない…機械族か、命拾いしたな…だが、痛みに耐えて守備モンスターを出して何になる?』

 

「(違う…ジャックはおれに教えてくれようとしてるんだ…今は闇かもしれないけど…この先に…この奥に…!)」

 

「「(光は…希望はある!)」」

ジャックと龍亞の思いはシンクロした…最後の希望を守る為にアポリアへと立ち向かう!

 

 

 

 

『まだ希望はあるといった表情だな?お前達人間が託す最後の望み…シンクロ召喚!いいだろう、その希望をへし折ってやる!私のターン!魔法カード「機皇帝の賜与」を発動!自分の機皇モンスター1体につきカードを1枚ドローする!3ドロー!!』

ジャック達の希望を潰す為にアポリアはカードを引く…

 

『お前達が縋った希望…愚かな望みを断ち切ってやる!自分の場に3体の機皇兵が自分フィールドに存在する時!最強の機皇帝「機皇神龍アステリスク」を特殊召喚する!!』

アポリアの場に長い蛇体を持ち顔がアスタリスクの形をした龍…アステリスクが現れる!

 

『「アステリスク」の攻撃力は私の場の攻撃表示機械族モンスターの合計の数値…よって4600となる!』

 

「そんな…4600!?」

 

『そして…私はレベル10の「アステリスク」を召喚した事により「レベルカノン」の効果で2000のダメージを受ける…しかし、そのダメージを「スキエルアイン」の効果で無効にする!さらに相手は「アステリスク」以外の機械族モンスターを攻撃できず、さらにシンクロモンスターを()()()()したプレイヤーに1000のダメージを与える!』

 

「そんな…!?」

 

「これが究極の機皇帝の力…!」

ジャック達はアステリスクを見上げる…今の状況ではジャックの墓地の「レッドデーモン」を蘇生する事も新たなシンクロモンスターを呼ぶ事もできないのだ…!

 

 

 

「(アポリアは切り札を出してきた…つまり、このターンで勝負を決めるつもりなんだ…!)」

龍亞は考える…フィールドには破壊耐性を持つクロックリゾネーターがいる、しかし…ワイゼルアインは貫通効果を与える効果がある…このままでは全員のライフがこのターンで尽きてしまう…!

 

「(同じだ…変わらない!龍可を守るって言いながら…龍可のヒーローになるって言いながら…おれは見ている事しかできない!…願う事しかできない!!)」

龍亞は過去を思い出す…龍可が精霊界に誘われ倒れた時、龍亞は祈る事…呼びかける事しかできなかったのだ…。

 

「(おれは…おれにできる事なんてなかった…なかったんだ…!!ごめん、龍可…ジャック!!)」ポタ…ポタ…!

龍亞の悔し涙が手札へと零れ落ちる…

 

 

 

「(何があっても…決して諦めるな!)」

 

 

 

「遊、海…!(そうだ…違う、今はデュエルをしてるんだ…!おれはデュエルで龍可と繋がってる!!)おれは…もう傍観者じゃないんだ!!」

 

「龍亞…!」

遊海の言葉で龍亞は絶望の鎖を断ち切る…!最後まで希望を繋ぐために龍亞は戦い続ける!

 

 

 

「まだ絶望なんかしない!希望の光はまだ…ある!!」

 

『フン、愚かな…ならば下ろしてやろう、絶望という名の幕を!バトルだ!「スキエルアイン」でジャックの「クロックリゾネーター」を攻撃!』

 

「させない!!リバース罠『ブロック・ロック』!攻撃対象を『ステープラン』に変更する!そして『ステープラン』は守備表示の時、戦闘では破壊されない!」

 

『だが「ワイゼルアイン」の効果でお前は貫通ダメージを受ける!』

 

「うわっ…!」

龍亞に無数のレーザーが襲いかかる!

 

「だけど…『ステープラン』のさらなる効果発動!バトルしたこのモンスターは攻撃表示になる!そしてバトルした『スキエルアイン』と攻撃表示のモンスター…『グランエルアイン』を守備表示に変更する!そして『アステリスク』の攻撃力は下がる!!」

 

「龍亞…!?アステリスクの攻撃力を下げる為に攻撃を引き受けたのね…!?」

アステリスクの攻撃力は1800までダウンする…龍亞は自分のライフを糧にアステリスクを弱体化させたのだ!

 

『ならば「ワイゼルアイン」で「ステープラン」を攻撃!クォーク・カーブ!』

 

「くぅぅ…!『ステープラン』のもう1つの効果発動!攻撃表示のこのカードを破壊したモンスターの攻撃力を300ダウンする!」

 

「龍亞…!お前、ここまでの覚悟を…!」

 

『小賢しい…!それほど死に急ぎたいなら…お前から葬ってやろう!「アステリスク」でダイレクトアタック!インフィニティ・ネメシス・ストリーム!』

 

「うわぁぁ!!?」

怒りを宿した光線が龍亞に直撃し、強い衝撃が襲いかかる!

 

 

「龍亞!大丈夫か!?」

 

『私はカードを2枚伏せターンエンド…どうした?もう終わりか…絶望する前にできる事があるぞ?…サレンダーしろ、サレンダーすればライフを失う事なく勝負を終わらせられる…お前も、仲間の命も助かるぞ?』

 

「なにっ…!」

アポリアが倒れ伏した龍亞に甘い誘惑の言葉を囁く…サレンダーすれば命を助けると…しかし…!

 

「くっ…おれはまだ生きてる…生きてる限り─絶望はしない!!」

龍亞は声を大にして叫ぶ…その目に迷いの色はない!

 

 

 

「おれのターン!おれは『機動要塞フォルテシモ』の効果発動!手札の『D・ラジカッセン』を特殊召喚!さらに『D・ライトン』を召喚!!」

龍亞の場に赤いラジカセと懐中電灯のロボットが現れる…だが

 

『愚かな…「レベルカノン」の効果発動!合計1000ダメージを受けるがいい!!』

 

「くっ…うわぁぁ!!!」

龍亞に無数のミサイルが直撃する、残りライフは…僅か100…!

 

「まだだ…まだ負けない!!魔法カード『二重波紋』を発動!!それぞれのエクストラデッキからレベルと素材が同じシンクロモンスターを1体ずつ選択し、そのシンクロ素材となるモンスターをフィールドから墓地に送ってそれぞれのフィールドに特殊召喚する!」

 

「龍亞!な、何をするつもりだ!?」

龍亞の突然の行動にジャックは叫ぶ!

 

「おれは…ジャックのレベル3『クロックリゾネーター』とレベル4『ラジカッセン』を墓地に送る!そして…おれの場にレベル7の『パワーツール・ドラゴン』を、龍可の場に『エンシェント・フェアリー・ドラゴン』を特殊召喚する!!」

 

「えっ…!『エンシェントフェアリー』を!?」

頭上に開いたゲートから機械の竜と妖精の竜が2人を守るように現れる、しかし、それは……

 

 

『血迷ったか…「アステリス」の効果により、シンクロモンスターを特殊召喚したプレイヤーは1000ダメージ、さらに「レベルカノン」の効果によるダメージも受けてもらう…合計3800のダメージをな…!』

 

「…『二重波紋』によって龍可の場に『エンシェントフェアリードラゴン』を呼んでも…それは龍可が召喚した訳じゃない…という事は…全てのダメージは…龍亞に!?」

 

「そんな…!」

ジャックの言葉と共にアステリスクに凄まじいエネルギーが集中する…!

 

 

『そうだ、それでも人間はシンクロ召喚を捨てる事はできなかった…そして破滅したのだ…!少年、絶望して死ぬがいい!!』

 

「違う!絶望はしない!おれは…希望を繋げたんだ!!」

 

『何…?』

間近に迫った死を前に龍亞は後ろを振り返る…

 

「『エンシェントフェアリードラゴン』…!龍可を守ってくれ!!」

 

「いや…!嫌だ!龍亞!!」

 

『天の怒りに触れよ…ネメシス・トルネード!!』

 

「っ…うあああああぁぁぁぁ!!!」

龍可の叫びも虚しく龍亞に神罰の竜巻、そして無数のミサイルが襲いかかる…ライフを大きく上回る衝撃を受け…龍亞は力尽きた…

 

龍亞LP100→0

 

 

 

 

「龍亞!!起きて!龍亞─!!うっ……!?」

 

「龍可!?どうしたのだ龍可!!」

兄の死に泣き叫ぶ龍可…しかし突然胸を押さえて座り込んでしまう…!

 

龍可LP100→99→98→97→96→95→……

 

 

「馬鹿な…ライフダメージを受けていないのにライフが減っていく!?」

 

『言っただろう…ライフと命はリンクしている、命の鼓動が弱まれば…ライフも減っていく』

龍可は元々病弱だった…そこに「兄の死」という強いストレスを受けた事で心臓の働きが弱まってしまったのだ…!

 

「そんな龍可…!起きろ!龍亞!龍亞!!妹を置いて死ぬなぁ!!」

ジャックの叫びが響く…しかし、龍亞はピクリとも動かない…

 

 

キィィン─!

 

《龍亞…起きるのです、あなたの使命はまだ残っています…龍可を救えるのはあなただけなのですよ…!》

 

「エンシェントフェアリードラゴン…!?」

優しい光が龍亞の身体を包み込む…それはエンシェントフェアリーの癒やしの光…彼女は龍亞へと語りかける…その時だった…!

 

ピッ…ピピピピピピ…!

 

「この音は…!『ライトン』の効果か!?」

ルーレット音が静かに響く…ライトンは守備表示の時にプレイヤーのライフが0になった時、二分の一の確率でライフを100にする効果がある…そしてその効果は…

 

「ルーレットの緑…!当たりだ!!」

 

ライトンのルーレットが当たりで停止する…そして希望の光が龍亞へと放たれた…!

 

 

キィン─!!

 

 

 

 

 

 

 

Side龍亞

 

 

 

気付いたら…おれは真っ暗な空間にいた…そうだ、おれは龍可を庇って死んでしまったんだ…きっと「ライトン」の効果も失敗した、龍可…お前なら「エンシェントフェアリードラゴン」の効果で「フォルテシモ」を破壊して希望を繋げられる…お兄ちゃん、あっちでずっとお前の事を守るからな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─それでいいのか?─

 

 

 

誰かの声が聞こえる…

 

 

 

─お前は妹の為に命を捨てた…だが、お前は本当にそれでいいのか?─

 

 

 

…本当はよくない…お兄ちゃんとして龍可を守りたかった…!遊海ともう一度戦いたかった…ネオドミノシティをみんなで…守りたかった…!

 

 

 

─いい願いだ、遊海もいい仲間を持ったな…ここは冥界と現世の狭間…お前はまだ現世へと戻れる─

 

 

 

本当!?どうすればいいの!?

 

 

 

─お前を迎えに来る者がいる……来たな…!─

 

 

 

えっ…!?

 

 

《キュオオォォン!!》

紅蓮の炎が暗闇を照らす─!

 

 

赤き竜…!?

 

 

 

─行くがいい、希望の子よ…お前はここでの事は覚えていないだろう…─

 

 

待って…!君は…あなたは誰なの!?

 

 

 

─オレか?オレは…「王」だ、さらばだ!現世を生きる者よ!いつか…そちらの話を聞かせてくれ!─

 

 

 

その瞬間、龍亞は金色の光を見た…

 

 

 

 

SideOut

 

 

 

 

 

 

キィン─!

 

その鼓動を…シグナー達は痣を通じて感じ取る…

 

 

 

「あ…痣が…!」

 

「誰かが戦っている…私達の力を必要としているんだわ!」

 

 

「感じる…この輝きは今までとは違う!感じる…!息吹を…!!」

 

 

「…よく頑張ったな龍亞、お前の力を…希望を奴に教えてやれ!」

 

《マスター!翠の反応が近づいています!戦闘準備を!!》

 

 

 

シグナー達に散らばった6つの痣…それが1つに完成する

、その場所は…!

 

 

キィィン─!!

 

倒れ伏した龍亞…その背中に赤き竜の痣が完成する…ただ、いままでと違うのは…ドラゴン・クローの先に新たな紋様が刻まれている事…その紋様の名は「ドラゴンズ・ハート」…死を経験した龍亞が覚醒せしシグナーの痣である!

 

 

「る…龍亞が…」

 

「「「「「龍亞が…シグナー!?」」」」」

 

 

 

龍亞LP0→100

 

 

「っ…うぅ…あれ…?オレ…」

龍亞は緑の光を纏い起き上がる…!

 

『ば、馬鹿な…!?こんな小僧がシグナーに進化したというのか!?』

アポリアは動揺する…正史世界ではなかった7人目のシグナー…それも自分が死なせたはずの子供が進化したとなれば無理もないだろう…

 

 

 

「あれ…この痣って…!?」

 

《龍亞、貴方が6人目のシグナーなのですよ…》

腕の痣を見て戸惑う龍亞にエンシェントフェアリーが話しかける…

 

「オレが…シグナー…?遊星やジャックや龍可と同じ…!」

 

《そうです…貴方がそうなる事を私も龍可も遊海も…ずっと望んでいました…貴方の成長を信じていました…!その力で龍可を救うのです…!》

 

「エンシェントフェアリー…あっ…龍可!?」

 

「はぁ…はぁ…!」

 

龍可LP85→84→83→82→…

 

龍亞の復活に気付いていない龍可のライフがだんだんと減っていく…!

 

 

「助ける…!シグナーの力で龍可を助けるんだ!!」

痣を押さえながら龍亞は必死に祈る…!

 

「(赤き竜の痣よ…オレに…力を…!!)」

 

キィン─!

赤き竜の痣が強く輝く…そして龍亞の手に新たなカードが創造される!

 

『なんだと…!?』

 

「オレはレベル7の『パワーツール・ドラゴン』にレベル1の『ライトン』をチューニング!!」

 

7+1=8

 

「世界の未来を守る為…勇気と力がレボリューション!!シンクロ召喚!!」

2体のモンスターが天に昇る…そこに赤き竜が姿を現す!

 

「赤き竜!?」

 

『馬鹿な!?』

 

 

進化せよ!『ライフ・ストリーム・ドラゴン』!!」

赤き竜が炎弾を吐き出す…その中から装甲を灼熱させたパワーツール・ドラゴンが現れる…そして、その鎧が弾け飛び…真の姿が露わになる、その正体こそシグナーの竜最後の1体…生命を司る希望のドラゴン…ライフ・ストリーム・ドラゴン!

 

 

 

「これが…シグナーである龍亞の…新たなドラゴン!」

 

『認めんぞ…何が進化だ…!許さんぞ…シンクロ召喚など!「アステリスク」の効果発動!シンクロモンスターを特殊召喚したプレイヤーに1000ダメージを与える!』

 

「無駄だ!『ライフストリーム』がいる時効果ダメージは受けない!」

 

『なにっ!?』

ライフストリームが神罰の竜巻を弾き飛ばす!

 

「龍可!今助けるからな!『ライフストリームドラゴン』の効果発動!このカードがシンクロ召喚に成功した時!ライフ2000以下のプレイヤーのライフを2000にする!!」

 

『なんだと!?』

 

ライフストリームが癒やしの力を開放する…癒やしの力が傷付いた龍亞達を静かに癒やしていく!

 

 

龍亞LP100→2000

龍可LP50→2000

ジャックLP100→2000

 

 

「わたしの…ライフが…どうして…?」

 

「龍可!よかったぁ〜…!」

正気を取り戻した龍可に竜亞は安堵する…

 

「龍亞…!あっ…このドラゴンは…!」

天井を見上げた龍可が彼らを守るドラゴンに気が付く…そのドラゴンはかつて龍可が夢で見たドラゴンそのものだった…!

 

「オレ…頑張って頑張ったらシグナーになっちゃった…驚いただろ?」

龍亞は照れくさそうに龍可にシグナーの痣を見せる…

 

「驚かないよ…龍亞はいつもわたしを守ってくれた、自分の事よりわたしの事を考えてくれた…ずっと変わらない…わたしのヒーローだから!!」

 

「グスッ…!ヒーローが泣いたら…ダメダメじゃん…!」

龍可の感謝の言葉に龍亞は涙ぐむ…

 

「(そうか…愛する者の為にその身を投げ出した龍亞に赤き龍が応えたのか…)よくやったな、龍亞…!」

ジャックが龍亞を褒める…しかし、忘れてはならない…今はまだデュエル中なのだ…!

 

 

『やめろ…くだらん!ライフ2000のつかの間の休息が…希望がなんだというのだ!!』

 

「わからないのか!アポリア!!」

希望を信じないアポリアにジャックが言葉をかける

 

「お前は龍亞に絶望を与えた!だが…龍亞はそこから希望を掴み取った!!絶望の先にも希望はあるのだ!!龍亞のシグナーへの進化…それが俺達の希望だ!!」

ジャック達はシグナーの痣を輝かせアポリアに立ち向かう!

 

『ふざけるな…そんなもの─!!』

 

「掴んだ希望は絶対に手放さない!『ライフストリーム』で『アステリスク』を攻撃!ライフ・イズ・ビューティー・ホール!」

生命の息吹がアステリスクに直撃する!

 

『おのれ…!「アステリスク」の効果発動!機械族の「スキエルアイン」を墓地に送り破壊を無効にする!』

 

「でも…ダメージは受けてもらう!!」

 

『ぐっ…ぬうぅぅ…!!』

アポリアに始めてダメージが通る…残りライフは…1800!

 

「お前…心の痛みが戻ってきたのではないか?顔が歪んでいるぞ?」

 

『黙れ…!私は人間を辞めたのだ…!心を捨てたのだ!…心の痛み…絶望など…!!』

ジャックはアポリアの変化を見抜く…マシーンになったというアポリア…しかし、その表情がだんだんと崩れてきているのだ…!

 

『シンクロモンスターを好きにはさせん!リバース罠「カースド・シンクロ」!シンクロモンスターは攻撃できなくなる!』

 

「ぬっ!?攻撃まで封じてきたか…!」

 

『シンクロは悪だ…絶望など…もう私は感じぬのだぁ!』

 

「っ…!おれはカードを伏せてターンエンド!『ライフストリーム』の効果で『ロックオンレーザー』と『フォルテシモ』のダメージは受けない!!」

 

 

 

「わたしのターン!ドロー!」

 

《クリリ〜ン!》

《クリクリボー!》

龍亞に続いて龍可のターン…龍可の身体を心配したクリボンとクリボールの精霊が龍可に話しかける

 

「うん…もう大丈夫!ありがとう二人とも!…わたしは『エンシェントフェアリードラゴン』の効果発動!フィールド魔法『機動要塞フォルテシモ』を破壊する!お願い!ブレインバック!!」

 

《消え去りなさい!シンクロを滅ぼす要塞よ!!》

エンシェントフェアリーの光が要塞をボロボロに破壊する!

 

『おのれ…小娘が…!!』

 

「わたしは1000ライフを回復…そしてデッキからフィールド魔法を手札に加える!そしてフィールド魔法『シンクロモニュメント』を発動!このカードがある限り、チューナーの召喚とシンクロ召喚時に相手はカード効果を発動できない!『アステリスク』の効果は封じたわ!」

アステリスクを囲むように2本の柱が現れる!

 

『やめろ…シンクロ召喚など…私にまだ絶望を与えようというのか!?』

アポリアは顔を青褪めさせる…その表情は恐怖で埋め尽くされていた…

 

 

 

「まだわからんようだな…ならば教えてやる!俺のターン!!リバース罠『ロストスター・ディセント』!レベルを1つ下げ墓地の『レッドデーモンズドラゴン』を守備表示で特殊召喚!」

ジャックの場に悪魔竜が舞い戻る!

 

「そして魔法カード『紅蓮魔竜の壷』発動!フィールドに『レッドデーモン』がいる事で2ドロー!さらに魔法カード『クリムゾン・ヘル・セキュア』発動!相手の表側表示の魔法・罠カードを全て破壊する!」

 

『や、やめろぉぉぉ!?』

 

アポリアのフィールドに展開されていたアンチシンクロの布陣…それが全て砕け散る!

 

『やめて…くれ…もう…私、は…』

 

「魔法カード『コール・リゾネーター』発動!デッキから『クリエイトリゾネーター』を手札に加え特殊召喚!このモンスターはシンクロモンスターがいる時に特殊召喚できる!さらに『ドレッド・ドラゴン』を召喚!」

ジャックの場に扇風機を背負った悪魔とドレッドヘアのドラゴンが現れる…準備は整った!

 

 

「見るがいい…荒ぶる魂!バーニングソウル!俺はレベル7の『レッドデーモン』にレベル2『ドレッドドラゴン』レベル3『クリエイトリゾネーター』をダブルチューニング!!王者と悪魔…今ここに交わる!荒ぶる魂よ…天地創造の叫びを上げよ!シンクロ召喚!!いでよ!『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』!!」

紅蓮の龍王が遂に目覚める!

 

「『スカレッド・ノヴァ』の攻撃力は墓地のチューナー✕500アップする!チューナーは4体!攻撃力は5500!バトルだ!『スカーレッドノヴァ』で『アステリスク』を攻撃!!」

 

『絶望はしない…せぬぞぉぉぉ!!!

アポリアは最後の策をジャックへと仕掛ける!

 

『リバース罠「カオス・インフィニティ」発動!!フィールド上のモンスターを全て攻撃表示に変更!さらにデッキ・墓地から機皇モンスターを効果無効で特殊召喚する!現れろ!!「機皇神マシニクル∞」!「機皇兵スキエルアイン」!!』

アポリアの場に巨大モンスターが出揃う…それによりアステリスクの攻撃力は…

 

「攻撃力8300!?」

 

『私はもう絶望しない…絶望するのはお前達だ!!見ろ!この圧倒的攻撃力を!!人間共!悟るがいい!己の無力を!そして預けるのだ!ゾーンに!人類の未来を!!』

 

 

「まだだ!絶望はしない!リバース罠『シンクロ・ビック・トルネード』!『ライフストリーム』の守備力分だけ相手の攻撃力を下げる!」

 

『無駄だ!たった2400では─』

 

「カウンター罠『フェアリー・ブレス』!『ライフストリーム』の守備力を3000アップする!これで守備力は5400よ!」

 

『なん、だと!?』

息も着かせぬ攻防の末…5D'sの絆が絶望の龍の力を上回る!

 

 

「「わたし/オレ達の思い…受け取って!ジャック!!」」

 

「うむ!!」

 

『うっ…胸が…心が痛い…!何故だ、私は人間を辞めたはず…!また私は…絶望の中にのたうつのか…!?』

 

「いや、お前は絶望などしない…!」

 

『なんだと…?』

心の痛みを感じるアポリアにジャックが再び語りかける…

 

 

「龍亞が龍可の為に戦ったように…お前もゾーンの為に戦っていた!ゾーンに繋いだ希望がある限り…お前は絶望しない!そして…俺達の希望は遊星にある!だから俺達も絶望しない!」

 

『あっ…!』

 

「ゆけ!『スカーレッドノヴァドラゴン』!『アステリスク』を攻撃!バーニング・ソウル!!」

 

『ぐっ…うわああああああ…!!!』

龍王の一撃がアステリスクを粉砕…アポリアのライフを削りきった…

 

 

アポリアLP0

 

ジャック&龍亞&龍可 WIN!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プシュー…カチャン!

 

「やった!装置が外れたぞ!」

 

「それどころじゃないわ!部屋が崩れちゃう!」

 

「脱出だ!!」

デュエルが終わり3人の拘束具が外れるが…余りの衝撃に足られなかったのか、遊星ギアが崩れ落ちる!

 

 

「お前達!しっかり捕まっていろ!!」

 

ブルル…バシューン!!

 

「「うわああああ!?」」

ジャックのDホイールに掴まった2人がDボードで大ジャンプ…無事に部屋を脱出した!

 

 

「アポリアは…!」

 

 

 

 

 

 

『この痛みは…「絶望」ではないのか…違う、痛みではない…疼き…それは…「希望」…か…』

崩壊する部屋の中…アポリアは笑っていた、絶望の先の希望…それと共にアポリアは崩壊する部屋にのまれていった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よくやったな龍亞、龍可…お前達のおかげでアポリアに勝つ事ができた…えらかったぞ…!」

ジャックが龍亞と龍可を褒める…

 

「ありがとうジャック…でも、ジャックの最後の攻撃が一番凄かった!」

 

「うん!これはわたし達三人の勝利ね!」

 

「フッ…そうだな」

子供達の言葉にジャックは表情を緩める…

 

「少し休んだら出発しよう…遊星達が太陽ギアで待ってる筈だ!」

 

「うん!(そういえば…おれが気絶した時…誰かの声が聞こえたような…気のせいかな?)」

龍亞は自分に置きた奇跡を思い返す…その時だった…!

 

 

 

オオオオオ─!

 

 

「「「!?」」」

 

油断していた三人に一瞬、凄まじい圧力が襲いかかる…!

 

 

「なに、今の…!?全身トリハダが…!?」

 

「怖い…!」

龍可は龍亞に抱きつく…!

 

「今のは…殺気か…!?龍亞!龍可!急いでこの場を離れるぞ!!ここにいたらまずい!」

 

「「うん!!」」

 

ジャック達は疲れた身体に鞭を打って先を急ぐ…全身に冷や汗を流しながら…。

 

 

 

 

 

 

 

 

─勝つんだ遊海、それがお前の使命だ…奴を止めてくれ…!─

気まぐれアンケート 主人公「白波遊海」はどんな主人公?

  • THE・主人公!
  • 俺TUEEE系主人公
  • うっかり系主人公
  • 満身創痍系主人公
  • ノーコメント

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