転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
遊星達はついにZ-ONEと対峙する…その先に待ち受ける結末とは…
それでは最新話をどうぞ!
それぞれに遊星ギアの番人を倒し合流したチーム5D's…彼らはイリアステルの首魁Z-ONEのもとへと向かっていた…。
「いったい何なの?ここ…」
「この道…どこまで続いているのかしら…?」
龍亞と龍可が言葉を漏らす、扉を抜けた遊星達は螺旋状の道をひたすらに昇り続けていた…。
「おい…!あれって…!?」
「あれは…旧モーメント!!」
道を昇り続けた先に遊星達はあるモノを見つける…それは紛れもなく旧サテライトにあるはずの旧モーメントそのものだった。
「太陽ギアは旧モーメントのエネルギーで動いていたのか…!(オレの因縁は…まだ終わっていないようだ…!)」
旧モーメントを見て何かを感じた遊星…そして彼らは遂にゾーンの待つアーククレイドル中心部へと到達する!
「なんなんだ…この場所は…!」
「ゴミだらけじゃん…!」
辿り着いたその場所は無数のくず鉄やスクラップで埋め尽くされていた…まるでここが未来の廃棄場所であるかのように…。
【ようこそ…チーム5D'sのみなさん…!】
「この声は…!?」
遊星達はゴミ山を見上げる…その頂点に彼はいた、未来を救う為に全てを懸けた「人類最後の1人」…Z-ONE…!
「遂に姿を現したな…ゾーン!!」
「あれが…ゾーン…!」
龍可がゾーンの姿を見て驚く…白い機械の鎧を纏った機械音声混じりの声をした男…それがゾーンだった。
「あれ…?(なんだろう…ゾーンの恰好…何かに似てる…?…遊星の…Dホイール…?)」
龍亞はゾーンの姿を見て既視感を覚える…その正体はゾーンの頭の後ろと遊星号のパーツが似ている事だった。
【皆さんのデュエルは見せてもらいました…流石はチーム5D's、見事なデュエルでした…しかもシェリー、貴女も一緒とは…】
「もう私は過去を振り返らない!未来だけを見て生きていく!!」
「その未来の為に…貴様には消えてもらうぞ!!」
「ネオドミノシティを破壊なんてさせねぇ!!」
「オレはブルーノと約束した!未来を救うと!」
シェリーの言葉を皮切りに遊星達がゾーンの前に並び立つ!
【アンチノミーと…フッ】
遊星達の覚悟を前にゾーンは笑う…
【貴方達に何ができるというのです?世界を滅亡に導いたのは貴方達の使うシンクロ召喚なのですよ?】
そう言ってゾーンは遊星に視線を向ける…。
【そもそもシンクロ召喚がなければ貴方の父が開発したモーメントが暴走する事は無かった…人類が滅亡する事はなかったのです、モーメントとシンクロによる破滅と絶望しかない未来…私はそんな未来を変える為にゼロ・リバースを起こし、モーメントを消滅させようとした…そしてパラドックスを過去に送り全ての根源である「デュエルモンスターズ」を消滅させようともした…】
「パラドックス…!やはりアイツもお前の仲間だったのか…!」
遊星は伝説の決闘者達と共に戦った仮面の男を思い出す…
【そして今、アポリアとアンチノミーを使った私の計画は成就しようとしている、アーククレイドルをネオドミノシティに落とし、モーメントをネオドミノシティごと消滅させるのです…!】
「……だから、記憶を消したブルーノをオレ達のもとへ送り込んだというのか…!!」
ゾーンの言葉を聞いた遊星は歯を食いしばる…
「そんな資格がお前にあるのか!その為にブルーノは…ブルーノは!!…オレはアーククレイドルを止めてみせる!みんなの住むこの街を…ブルーノがいたこの街を…お前の勝手にはさせない!!」
遊星は怒りを込めてゾーンを睨みつける!
【フフフ…いいでしょう、ならば私にデュエルで勝つ事です、アーククレイドルを動かす太陽ギアは私と連動しています…私を倒さぬ限り太陽ギアは止まりません】
「望むところだ…ゾーン!」
遊星はデュエルディスクを構える…!
『待て、不動遊星…!』
「お、お前は…!」
「貴様…生きていたのか!?」
広間に響いた声に遊星、そしてジャック達は警戒態勢を取る…
『…ゾーン、君の相手は…この私だ!』
5D'sを守るように…満身創痍のアポリアがゾーンに剣を向ける!
「どうして…アポリアが…!」
『…それが荒廃した未来を共に生き抜いた友としての使命だからだ…!』
龍亞の問いにアポリアが答える
「使命だと…?どういう事だ!?」
『私はお前達とのデュエルを通して一つの答えを見つけたのだ…!』
「答え…?」
『私はなぜ、あれほどの絶望を味わいながらも生き続けていたのか…愛する両親を…恋人を失い、この世にたった1人残されて…3つの絶望を味わいながら私は歩き続けた…それは…
アポリアは絶望の中で生き続けた…それは絶望にのたうちながらその先にある希望を見ていたから…アポリアはようやくその答えに辿り着いた…それは「絶望の番人」を名乗っていたアポリアが希望を手に入れた瞬間だった…。
「………」
『私は希望を探し続けていた…だからこそ私は歩き続けた、絶望の中でもどこかで希望があると信じていたからだ…私はお前達とのデュエルでそれに気付いたのだ…ゾーン!君にも思い出してほしい!君が遊星達に抱いていた希望を!!』
「ゾーンが…私達に希望を…!?」
「どういう事だ…!?」
アポリアの言葉に遊星達は驚く…遊星達を抹殺しようとしたゾーンが彼らに希望を抱いていたという事に驚いていた…。
『君はサーキットを完成させる為に私をネオドミノシティに送り込み、さらにサーキットを完全にする為にアンチノミーを送り込み5D'sの成長を促した…だが、
「ゾーンがオレ達の進化を…望んでいた…!?」
『5D'sなら人類の未来を変えるほどの進化を成し遂げるかもしれない…そう思ったからこそ君はアンチノミーを遊星達のもとへ送った…人間の僅かな可能性に最後の希望を託して!…ならば…何故進化を成し遂げ、未来を託すに足る存在となった彼らを抹殺しようとする!?答えろ!ゾーン!!』
【…希望など…幻想に過ぎないのです…】
アポリアの言葉を聞いたゾーンはそう答える…希望など儚く崩れ去るモノだと…
『だが君はその希望を抱いていた…私はそれを君に思い出してほしいのだ!!…勝負だ…!ゾーン!!』
「待ってアポリア!そんな身体じゃ…!」
デュエルディスクを構えるアポリアに龍亞が叫ぶ…アポリアの身体は既にボロボロ…いつ壊れてもおかしくない状態だった…。
『少年…いや、龍亞…私は君の中に希望を見た…!』
「えっ…?」
『私はわかったのだ…君の成長、それを促した5D'sの絆こそが私の探し求めていた希望であると…その希望があれば…私はまだ戦える!!』
アポリアは龍亞を見る…その瞳には希望の光が宿っていた…。
「でも…!」
「やらせてやれ龍亞…!それが奴なりのケジメのつけ方だ…!」
アポリアを心配する龍亞をジャックが諭す…許されない事をしたアポリア…そのケジメをつける為の戦いに水を差してはならないと…。
【どうしても私と戦うのですか?ならばしかたがありませんアポリア…貴方から葬るまでです…!】
ズズズ…ガシャアアン!
「なにっ…!?」
「「「うわあぁぁぁ!?」」」
ゾーンの座していたスクラップの山が吹き飛ぶ…そしてその中から巨大な二本の腕が現れる!
「ど、どうなっちゃうの!?」
龍亞の動揺を他所に事態はさらに動く…別のゴミ山からカードホルダーが…さらに周りの山から巨大な石版のようなカード達が飛び出しデッキとなっていく…!
「あれが…ゾーンのデッキ…!?」
「デカすぎだろ!?」
ジャック達はその異質なデッキに驚愕を隠せない…
『見ていろ5D's…これがゾーンの強さだ!』
アポリアは友に希望を示す為に立ち向かう!
ガシャン!
『ガッ─!?』
「「「えっ…!?」」」
遊星達はその一瞬、何が起きたのか理解できなかった…アポリアの前に現れた赤い影が彼を蹴り飛ばしたのだ…。
「あ…アポリア!大丈夫!?」
アポリアの姿を見た龍亞が彼に駆け寄る…
『ぐっ…!?何故…何故邪魔をする!白波遊海!!これは私とゾーンの戦いだ!それを…!』
アポリアは自分を蹴り飛ばした張本人…遊海を睨みつける…!
「…悪いなアポリア、お前の役目はここまでだ…それにしてもひどいじゃないか…
遊海…だった者は赤帽子を投げ捨てる…そしてその姿が変わっていく…赤いジャケットは白いロングコートに変化し目元を歪に割れた黒いバイザーが覆っていく…!
「えっ…!?なん、で…!」
「馬鹿な…お前は…!!」
『悪いな遊星…少し嘘をついた』
遊星の前には不敵に笑うラプラスの姿があった…。
【ゲイザー…いえ、我が友ラプラス…貴方は無事でしたか…】
『待たせたなZ-ONE、よく言うだろう?「ヒーローは遅れてやってくる」と』
正体を現したラプラスは遊星達の前に立ちはだかる…!
『改めて自己紹介をしよう…ゲイザーとは仮の名、我が真名はラプラス、ゾーンと共に破滅の未来を生き抜いた…最後の友だ』
「ゲイザー…いや、ラプラス!遊海さんは…翠さんはどうした!!あの人達に何をした!!」
遊星はラプラスに遊海達の行方を問いただす!
『…これを見ればわかるだろ?』
ラプラスは足下に投げ捨てた赤帽子を遊星達に向かって投げる
「あっ…ああ…!?」
龍可の手元に帽子が舞い落ちる…その帽子には乾いた血糊が付いていた…
「貴様…!キサマァァ!!」
「許さねぇ…絶対に!!」
ジャックとクロウは遊星に並び立つ…その目に強い怒りを宿して…!
『ああ…いい怒りだ…だが、まだぬるい!!』
ズン─!!
「「「ぐっ─!?!?」」」
「きゃ…!?」
「痛い…身体が…潰れそうだ…!」
「なんて、殺気なの…!?」
凄まじい圧力…殺気により遊星達は地面に押し付けられる…!
『ラプラス…!お前は…5D'sを…!?』
『葬る…それで未来は救われるだろう…』
アポリアの言葉に答えたラプラスはゆっくりと歩みを進める…
「ぐっ…!!(動けない…!ここまでなのか…オレ達の命運は…!?)」
遊星は拳を握りしめる…遊海を倒したラプラス…そんな男に勝つ手段は──
『…まぁ、オレがこんな選択をしなければの話だがな』
「えっ…?」
唐突に遊星達に掛かっていた圧力が霧散する…地面に膝をついていた遊星達が顔を上げる、そこには…
【…なんのつもりですか?ラプラス…!】
『見ての通りさ…オレとデュエルしようぜ?ゾーン』
遊星達を背に立つラプラスの背中があった…
「ラプラス…!?お前はオレ達の敵のはずだ…!なぜお前が…!」
遊星がラプラスへと問いかける…
『…オレもアポリアと同じだ、お前達に希望を見た…お前達になら未来を託せると思った…という理由ではだめか?』
遊星の問いにラプラスはそう答える…そしてゾーンへと顔を向ける
『ゾーン、お前をそこまで追い詰めてしまったのは…オレにも責任がある、オレが…お前を止める…!』
【あなたが「希望」という言葉を使うとは思っていませんでした…我々の中でもっとも深い絶望を経験したはずの
ラプラスの言葉を聞いたゾーンから怒りを感じる声が発せられる…
『…取り戻したのさ、奴のおかげでな…』
【そうですか…ならば、貴方の希望を折りましょう…!善知の悪魔よ!】
『ああ、最期の決闘を始めよう…無限界帝!!』
ラプラスはデュエルディスクを展開する!
「ラプラス!……負けないで…!」
泣きそうな声でシェリーがラプラスに声をかける…
『…ありがとう
Side翠
『…!……!─』
誰かが…私を呼んでる…?
『起きろ…起きてくれ!翠さん!!』
「う…うぅ…?誰…?ブルー…ノ…?」
かろうじて目を開く…ぼやけた視界に特徴的な青い髪が目にはいる…
『……ボクはアンチノミー、そしてブルーノでもある…』
「……─アンチノミー!?あぐっ!?うぅ…!」ガバッ!
『お、落ち着いてくれ!ボクはもう敵じゃない!…君達と戦うつもりはないよ!』
アンチノミーの名前を聞いて翠は飛び起きるが…全身の痛みにうずくまってしまう…アンチノミーは優しくその身体を支えた…。
「そうだ…私、ゲイザーに攫われて…」
落ち着きを取り戻した翠はそれまでの事を思い出す…。
ゲイザーに誘き出された翠はゲイザーとデュエル…そして反則的手段で召喚された「創星神tierra」に敗北し人質になっていたのだ…。
「そうだ…遊海さんは!遊星君達は!?なんであなたがここにいるの!?」
『大丈夫、遊星はゾーンのもとに向かった…それよりも貴女にお願いがある…!彼らを治療してほしい…!』
「えっ…!そんな…遊海さん!みんな!!」
翠が辺りを見回す…アーククレイドルの部屋らしきそこは
さらにアヤカがコアを黒く染めて墜落…トフェニは壁へとめり込み…メガロックは岩の身体が粉々に砕かれ、その瓦礫の上に金色の羽を散らしたフレアが倒れこんでいる…凄惨な光景だった…。
『ボクが来た時には既にこの状況だった…頼む、貴女だけが頼りなんだ…!』
SideOut
【『デュエル!!』】
ラプラスLP4000
ゾーンLP4000
『オレのターン!ドロー!』
『魔法カード「召喚士のスキル」発動!デッキからレベル5通常モンスター「クリフォート・ツール」を手札に加える!そしてレフトペンデュラムスケールにスケール1の「クリフォート・アセンブラ」を、ライトペンデュラムスケールにスケール9の「クリフォート・ツール」を魔法カード扱いでセッティング!』
ついに始まったラプラスとゾーンのデュエル…ラプラスの両隣に光の柱が立ち昇る!
「なっ…!?モンスターを魔法カード扱いで発動!?なんだよそのカードは!?」
見慣れないカードにクロウが驚きの声を上げる…!
「まさか…異世界のデュエルモンスターズ…!」
【力を隠していたのですね、ラプラス】
『ああ、だが…お前もそれは一緒だろう?「ツール」のペンデュラム効果発動!ライフを800払い、デッキから「クリフォート・アクセス」を手札に加える!…そしてオレはレベル2〜8のモンスターを手札から同時に特殊召喚できる!…我が身に宿る力よ!大いなる振り子を揺らし、その力を示せ!ペンデュラム召喚!手札より展開せよ!「クリフォート・アクセス」!「クリフォート・ディスク」!「クリフォート・シェル」!』
ラプラスの頭上に空間の孔が開く、そして巨大な機械達が姿を現した!
ラプラスLP4000→3200
アクセスATK2800→1800 ☆7→4
シェルATK2800→1800 ☆8→4
ディスクATK2800→1800 ☆7 →4
『モンスターの同時召喚だと…!?こんな召喚法があったのか…!?』
アポリアは初めて目にするペンデュラム召喚に驚く…。
『手札を1枚伏せ、ターンエンドだ』
ラプラスLP3200
アクセス シェル ディスク 伏せ1 (Pスケールアセンブラ・ツール) 手札1
【クリフォト…邪悪の樹をモチーフとしたデッキですか…ラプラス、確かにそのカードは私にとって未知のカード…しかし、その程度で私に勝てると思っているのですか?】
『さあな、やってみなくちゃ…わからないだろう?』
ゾーンの言葉にラプラスは軽く返す…
「(未知のカードを前にあの余裕…ゾーンはいったいどんなモンスターを使うんだ…?)」
未知のカードを前に余裕をみせるゾーンを遊星は警戒する…!
【私のターン、ドロー!】
【「時械天使」を召喚!】
ゾーンの場に機械仕掛けの天使が現れる…だが、その攻撃力は…0!
「攻撃力0…!?ラプラスのカードをそんなカードって言ったのに…?」
龍亞が呆れたような声を上げる…
【バトル、「時械天使」で「クリフォート・シェル」を攻撃!】
「なに!?攻撃力0のモンスターで攻撃したら1800のダメージを受けるだけだぞ!?」
『打ち砕け!「シェル」!』
シェルの突進が時械天使を破壊する!
【手札より罠カード発動「愚者の裁定」!このカードは自分ターンに手札から発動できる、これにより私への戦闘ダメージを0にする】
「手札から直接罠だと!?」
「しかも無条件で!?」
ゾーンの前にバリアが現れダメージを無効化する…それを見たジャックとシェリーが驚きの声をあげる…手札から直接発動できる罠カードはBFシリーズや十代の使う「NEX T」などの数枚しか存在しない為、無理もないだろう
【さらに「時械天使」が破壊された時、フィールドに存在するモンスターを全て手札に戻す!】
「なにっ…!?」
3体のクリフォートモンスターがラプラスの手札に戻る…
「だが…ラプラスの場にはペンデュラムカードが残っている…あれがある限り、モンスターは何度でも出てくるぞ!」
遊星が戦況を分析する…しかし、それを尻目にゾーンはさらなる一手を打つ…!
【さらに手札から罠カード発動「魔術師の至言」…このターンに手札に戻ったモンスター1体につき300ダメージ…合計900ダメージを受けてもらいます】
『ぐっ…ああああ!!ガッ…!?』
罠カードから光線が放たれラプラスに直撃…ラプラスは鉄くずの山に叩きつけられる!
ラプラスLP3200→2300
「『ラプラス!!』」
『ぐっ…そう騒ぐなよ…まだライフは残ってる…!ライフがあれば…デュエリストは戦える…!』
「ラプラス…!」
身体をふらつかせながらラプラスは立ち上がる…
【私はカードを1枚伏せてターンエンド】
ゾーンLP4000
伏せ1 手札2
『オレのターン!ドロー!』
『再び揺れろ…!大いなる振り子よ!ペンデュラム召喚!「ディスク」!「シェル」!』
再び2体の機械が現れる ATK2800→1800
『そして「シェル」「ディスク」の2体をリリース!現われろ!「クリフォート・アクセス」!』
赤いコアを持つ長い身体を持つ機械が現れる ATK2800
『「アクセス」の効果発動!相手の墓地のモンスターが自分の墓地のモンスターより多い時!その差✕300のダメージを与える!』
「待て!ゾーンの墓地には『時械天使』だけだ!お前の墓地には2体のモンスターがいる!ダメージは与えられない!」
『残念だが…不正解だ遊星!
アクセスから放たれたカミナリがゾーンにダメージを与える!
【…!】
ゾーンLP4000→3700
『そしてオレは同じ数値分、ライフを回復する』
ラプラスLP2300→2600
「何が起きたんだ…!?確かに2体のモンスターは墓地へ行ったはず…!?」
「フィールドには『次元の裂け目』のような除外できるカードはないはずよ…?」
不可解な出来事に遊星達は困惑する…
『答え合わせはまた後だ…バトル!「アクセス」でダイレクトアタック!』
アクセスの触手がゾーンに迫る!
【僅かなダメージを与えたぐらいでいい気にならない事です!手札から罠カード発動!「女教皇の錫杖」!】
「また手札から罠だと!?汚ねぇぞ!!」
「本来なら伏せてから発動する罠を手札から…戦略がまったく読めん…!」
ゾーンの反則じみたプレイングに遊星達は困惑する…。
【このカードは自分フィールドにモンスターがいない時モンスターの攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了させ、相手に500ダメージを与える!】
『っ…ぐあぁっ!!』ビシャーン!
罠カードが攻撃を受け止めラプラスに稲妻が直撃…ラプラスは地面に膝をつく…
ラプラスLP2600→2100
『はぁ…はぁ…!!』
【その程度ですかラプラス…ならばもう止めなさい、未来には希望などない、あるのは絶望だけなのですから…それは貴方が良く知っている事のはずです…】
膝をついたラプラスにゾーンは語る…しかし…
『まだ…負ける訳には…いかない…!オレは見たんだ…新たな希望、を…新たな未来を導く「光」を…!オレはカードを1枚伏せてターンエンド、ペンデュラムスケールの「アセンブラ」の効果…!リリースしたクリフォート1体につき1枚ドローできる!2ドロー!』
ラプラスLP2100
アクセス 伏せ2 (アセンブラ・ツール)手札3
【まだやるというのですね…ならば貴方を叩き潰すまで…!】
【私のターン!ドロー!】
【永続罠発動「虚無械アイン」!自分フィールドにモンスターが存在しない時、レベル10以上のモンスターを攻撃力を0にしてリリース無しで召喚できる】
「なっ…!リリース無しでレベル10を召喚!?」
【現れよ!「時械神メタイオン」!】
金色の輪を通り抜け、赤い鎧を纏った鏡が現れる…そしてその鏡に老人の顔が映し出される!ATK 0
『あれは…ゾーンのエースモンスター…!ついに出てしまった…!!』
「えっ…あれがゾーンのエースなの!?」
「攻撃力0のエースモンスター…どんな効果を持っているんだ…!?」
突如現れたゾーンのエースモンスターを遊星達は警戒する…!
『リバース罠「激流葬」…発動!フィールド上のモンスターを全て破壊…する!!』
「上手いぞ!罠カードでエースモンスターを破壊だ!」
『無駄だ…ゾーンの「メタイオン」は戦闘・効果での破壊を受けない…破壊無効効果を持っている!破壊されるのはラプラスのモンスターだけだ!!』
「「「なんだって!?」」」
フィールドを洪水が洗い流すが…メタイオンは不思議なバリアで破壊を免れる…
【よく回避しましたねラプラス…「メタイオン」は攻撃の後に相手モンスターを手札に戻し1体につき300ダメージを与える効果がありましたが…】
「なっ…!?なんて強力な効果なんだ…!」
『フッ…オレを…あまり甘く見るなよ、ゾーン…!』
遊星はメタイオンの持つ効果に戦慄していたが…ラプラスはこともなげに返す…
【まだ余裕はあるようですね…しかし「メタイオン」は全能の神…誰にも倒す事はできない、ターンエンド】
ゾーンLP3700
メタイオン 虚無械アイン 手札1
『全能の神…か、デュエルモンスターズにおいて「完璧」なカードなんてない…それを教えてやる…!』
『オレのターン!ドロー!』
『…三度揺れろ!大いなる振り子よ!ペンデュラム召喚!!
「なに─!?」
【エクストラデッキからですと…!?】
再び空間の孔から3体のモンスターが帰還する! ATK1800 1800 1800
「うそ…!?エクストラデッキからどうやって…!?」
『ペンデュラムモンスターは魔法とモンスター、2つの特徴を併せ持つ特殊なモンスター…こいつらはフィールドから墓地に送られる代わりにエクストラデッキに表側表示で送られる!…それが墓地にモンスターのいなかった答えだ…』
龍可の疑問にラプラスは答える…
「これが遊海さんが警戒したデュエリストの力…!」
『ゾーン…懐かしいモンスターを見せてやる!オレは3体のモンスターをリリース!…輪廻を司る大いなる樹…その守護者よ!永き時を経て今再び顕現せよ!現れよ!レベル10「アポクリフォート・キラー」!!』
3体のモンスターが消え去る…そしてその数倍の面積を持つ巨大なる要塞が降臨する! ATK3000
「三幻神と同じ召喚条件のモンスターだと!?」
「でけぇ…!」
ジャックとクロウは現れた要塞に後ずさる…
「待って…!あのモンスターは…!?」
「遊海さんのパートナー…アヤカと同じモンスターだ!間違いない!!」
「『「「なんだって!?」」』」
遊星と龍可の思わぬ言葉にジャック達は驚きの声をあげる…!
「いったいどうなってんだよ…!?なんでラプラスが遊海と同じモンスターを…!?」
「……それは…当然の事よ…だって…ラプラスの正体は…!」
シェリーはラプラスを見つめる…
『…これ以上正体を隠すのは、無理そうだな…』カチャ
ラプラスは自ら黒の仮面を外す…
「えっ…!?ゆう、み…?」
「馬鹿な…遊海までも敵だったというのか!?」
現れた素顔に5D'sのメンバー達は驚く…ラプラスの素顔は黒と金のオッドアイと隈を除き遊海とそっくりだったのだから…。
『…違うさ、オレは遥か未来の…白波遊海の可能性の一つだ…オレは奴とは別人さ』
「なっ…!?あ…」
あまりの事に遊星は声を出す事ができない…
「ラプラスは遊海の未来の姿…遥か未来で人類の滅亡を最初から見届けた『観測者』…それがラプラスの正体よ…私もそれを知った時は…とても驚いたわ…」
シェリーはゾーンにラプラスの記録を見せられて知っていたのだ…。
『…デュエルを続ける、オレの話なんて…お前達には関係ない事だ…「キラー」の効果発動!相手の手札、フィールドのモンスター1体を相手が選び
『強力な効果だ!これなら「時械神」の弱点を突ける!!』
「あれが…遊海さんのエースの力か…!」
発動したキラーの効果に遊星はラプラスの…遊海の強さを再認識する…!
【確かに強力な効果ですが…相手に選ばせる事が弱点となります…!私は手札の「時械巫女」を墓地へ】
『躱されたか…オレはカードを2枚伏せてターンエンド、「アセンブラ」効果で3ドローだ』
ラプラスLP2100
キラー 伏せ3(アセンブラ・ツール)手札4
『思い出すよなゾーン…世界を救う為にキラーに乗り世界を駆け回ったあの日々を…人々を助け、機械兵を倒し続けた…』
【しかし…それも全て徒労に終わりました、世界は滅んだ…貴方もわかっているはずです…長年連れ添った彼女を失った貴方なら…】
『…もう彼女はいない、だが…オレは取り戻した希望を手放すつもりはない…!』
【やはり…貴方は頑固ですね…私がもう一度貴方に絶望を教えてあげましょう…!】
【私のターン…ドロー!私のスタンバイフェイズに「メタイオン」はデッキへと戻ります】
「や、やった…!『メタイオン』がいなくなった!これならラプラスが勝てる!」
「待て龍亞!何かが変だ!」
デッキに戻ったメタイオンを見て喜ぶ龍亞…しかし、それは絶望の始まりに過ぎなかった…!
【私は「虚無械アイン」の効果発動…
ゾーンの場に茶色の重厚な鎧を纏った時械神が現れる!
ATK0
『馬鹿な…!時械神は「メタイオン」だけではなかったのか!?』
ゾーンの事をよく知るはずのアポリアが驚愕する…時械神は…
【時械神は無と無限と無限光から生まれ、生命そのものを司る…互いに絡みあう
『なっ…!?』
「『メタイオン』みたいなのが…10体もいるの!?」
「そんな…!?ラプラス!!」
『………』
動揺する遊星達を前にラプラスはゾーンを真っ直ぐ見つめ続ける…
【バトル、『カミオン』で「キラー」を攻撃…『カミオン』は戦闘・効果では破壊されず、お互いに受ける戦闘ダメージは0になる】
『迎え撃て…!「キラー」!』
《了、「カミオン」に対して集中砲火を行います》
カミオンの放った無数の岩礫がキラーのレーザーで撃ち落とされる!
【「カミオン」の効果発動、「キラー」をデッキに戻し貴方に500ダメージを与えます】
《…申し訳ありません…マスター…》
『ぐうっ…!?…謝るのはオレ、だ…悪かったな…キラー…』
キラーがデッキに戻され、カミオンの岩礫が遊海に直撃する!
ラプラスLP2100→1600
【私はこれでターンエンド】
ゾーンLP3700
カミオン アイン 手札0
「ああ!ラプラスのライフが!!」
「まずいぞ…!モンスターで攻撃したらまたダメージを受けてしまう…!」
遊星達は新たな時械神を前に動揺するが…ラプラスは笑っていた…。
『……よく見ておけ遊星…ゾーンの力を…そして対策を練れ…!』
「えっ…!」
『オレのターン…ドロー!!』
『揺れろ…魂のペンデュラム!未来を繋げ!光のアーク!!ペンデュラム召喚!!エクストラデッキから現われろ!「シェル」「ディスク」「アクセス」!』
再び3体の機械が現れる ATK1800 1800 1800
『オレは「ツール」のペンデュラム効果を発動!800ライフを払い…今一度現われろ…我が相棒!「アポクリフォート・キラー」!』
再び要塞が顕現する! ATK3000
ラプラスLP1600→800
『「キラー」の効果発動!消え去れ!『カミオン』』
【むっ…!?】
カミオンが粒子となって消滅する!
『受けてみろゾーン!これがオレの…
《了、主砲展開…発射!!》
虹色の極光がゾーンに直撃…ゴミ山へと叩きつける!
【ぐぅ…!?】
ゾーンLP3700→700
「ゾーンのライフを大きく削った!これならラプラスの勝ちだ!」
『待て…!ラプラスの様子がおかしいぞ!』
『っ…ターン、エンド…!』ジジッ…
ラプラスLP1600
キラー 伏せ3 (アセンブラツール) 手札3
『…もう、限界か…ゴボッ…!!』ジジッ…ボタ…ボタタッ…
「なっ…ラプラス!!」
ターンを終えたラプラスは膝をつく…そして全身がまるで幻影のように揺らぐ…そこにいたのは…全身から血を流し
「そんな…なんで…なんでそんなボロボロなの!?」
「見るな!龍亞!龍可!」
ジャックが子供達を庇う…
『悪い、な遊星…オレは…嘘をついた…オレは遊海に負けた…奴は、生きてる…こうしてオレがいるのは…奇跡みたいなもんだ…』
Sideラプラス
『…ゴホッ……そうか…、オレは負けたのか…過去の自分に…新たな希望に……』
決闘が終わり、ラプラスは意識を取り戻す…周囲は荒れ果て、身体も満身創痍だった…。
『奴、め…オレにトドメを刺さないとはな…、だから甘いというんだ…ぐぅ…!!』
ラプラスは痛む身体を押して立ち上がる…
『ゾーン…いま、行くぞ…オレは…お前の結末を…見届けなければ……っ!』
ふらつきながら歩みを進めるラプラス…そこで目にしたのは2人で抱き合うように倒れ、意識を失った遊海と翠の姿だった、2人はお互いに血濡れで死んだように眠っている…。
『…大方、あの変身で体力を使い果たしたか………そうか、そういう事もできるか…半端者のオレに…相応しい役目だ…』
何かを思いついたラプラスは2人に歩み寄り遊海へと手を伸ばす…
ピシュン! キィン! ガガガ! ボゥ!!
『ガハッ…!?これ、は─…』
遊海に手を伸ばしたラプラス…その身体をレーザーが貫き、身体を魔法陣が拘束、さらに岩石が全身に突き刺さりその周りに炎の壁が現れる…!
《マスターには…指1本触れさせません…!!》
《然り、遊星殿達が使命を果たすまで…》
《お前にはここにいてもらうぞ…!》
『奴の、精霊達か…!』
ラプラスを包囲するようにアヤカ・トフェニ・メガロック・フレアが現れる!
《ラプラス、貴方の肉体は既に限界のはず…多少手荒ですが拘束させてもらいます…!》
『ゴバッ…!何が「多少」だ…殺る気満々じゃねぇか……だが、オレを…甘く見るなぁァッ!!』
バキーン!!!
《っ!?力任せにあの拘束を─!?》
ラプラスは力任せに魔法陣と岩を砕き、炎の壁を振り払う!!
『伊達に…400年…生きてないんだよ…!』
《…アヤカ殿、やはり彼奴は一筋縄ではいきませんな…!》
《そのようですね…総員戦闘態勢!イリアステル滅四星…ラプラスを無力化します!彼もマスターと同じく「不死身」です!気を抜かないように!!》
アヤカは本体であるアポクリフォート・キラーに変化する!
《すまない…未来の遊海よ、遊海を…これからの未来を守る為にお前を倒す!!》
【キュアアアアア!!!】
メガロック・フレアも元の姿に戻りラプラスを睨みつける!
『はっ…太陽神に神の機械、エジプトの神龍とメガロックドラゴンか…無茶にも程があるな……なぁ、オレがただここを通り抜けたいと言ったら…通してくれるか?』
《ありえません!マスターを何度も攻撃したお前を…信用できるはずがない!》
アヤカがラプラスの提案を却下する!
『…同じ「キラー」でも…こうも違うのか…ならば…押し通る!!』
ラプラスは精霊達を睨みつける…そして部屋は閃光と爆発に包まれた…。
〜〜〜〜
【っ…そん、な……】ドスーン…
『悪い、な……オレの、勝ち…ゴボッ!』
フレアが床へと崩れ落ちる…トフェニもメガロックも既に倒され…アヤカも墜落し黒煙が部屋に漂っている。ラプラスは1人で精霊達を相手取り、その全てを倒したのだ…。
『これで、オレの役目を、果たせる…ぐっ…!!』
ただし、ラプラスも無事ではない…既に身体中に無数の穴が空き、左腕と右足は千切れかけ全身血塗れ…並外れた精神力でラプラスは意識を保っていた
《あなたは…何、を…!》
小鳥状態になったフレアは薄れゆく意識でラプラスに問いかける
『オレは…オレの最期の役目を…果たす、だけだ…』
ラプラスは欠けた剣を杖代わりに遊海へと歩み寄る…
『…コレ、借りてくぞ…』
ラプラスは遊海の赤帽子を取り上げ頭に被る…そしてその姿は赤帽子に赤ジャケット…遊海と同じ姿に変化する…。
《なっ…!?》
『…悪かったな、お前のおかげでオレは救われた…お前の持つ「希望」…未来の英雄に伝えてやれ…じゃあな、白波遊海…新たな伝説を紡ぐ者よ…』
ラプラスは…シラナミユウミは歩みを進める…自分の犯した罪を背負い、未来に希望を繋ぐ為の贖罪へ…
《マスター…どうか、ワタシも共に…》
『っ…その、声は…』
ラプラスは聞こえた声に足を止める…それは大昔に自分が殺したはずの相棒の声だった…。
『そうか…そこにいたのかレイン…いや、「キラー」…共に来てくれるのか?……相棒…』
SideOut
「ラプラス!サレンダーを!そうすれば…!」
『それは…できない相談だ…オレは、友に剣を向けた…それに…サレンダーは…決闘者の恥だ…!』
遊星の言葉を退けたラプラスは光を失った瞳でゾーンを見据える…
『ゾーン…本当に未来を変えたいなら…ここでオレを殺せ…!』
【…何を、言っているのですか…ラプラス!】
初めてゾーンの言葉が揺れる…
『お前が…本当に未来を救いたいなら…その覚悟を…オレを超える事で証明しろ…オレはな…
ラプラスは手札をゾーンへと見せる…そこには「クリフォート・アーカイブ」「クリフォート・ゲノム」「幽鬼うさぎ」の3枚があった…。
『そして伏せカードには「スキルドレイン」、「機殻の再星」…両方モンスターへの効果無効カードだ』
【ラプラス…!貴方という男は!!】
『ゾーン…お前はまだ迷っている、なら…その迷いを…オレと共に捨てろ…!』
ラプラスはゾーンを睨みつける…その心を見透かすように…
【私のターン…!!ドロー!!】
【「虚無械アイン」の効果発動!現われろ…「時械神サンダイオン」!!】
ゾーンの場に巨大な雷を纏う時械神が現れる! ATK4000→0
「やめろ!ゾーン!!ラプラスは…ユウミさんはお前の友なんだろう!?」
『…それでいい、お前の覚悟…見せて貰ったぞ…』
【バトル…!『サンダイオン』で『アポクリフォート・キラー』に攻撃!『サンダイオン』はバトル終了後に相手に4000ダメージを与えます…眠りなさいラプラス…救済の夢の中で…!!】
「やめろぉぉぉ!!」
遊星の静止も虚しく…サンダイオンは雷霆の槍を放つ、槍は無抵抗のラプラスの胸を貫き…爆発した…。
ラプラスLP0
Z-ONE WIN…
『ゴボッ……ぁ』
「『「ラプラス!!!」』」
決闘の決着が着きラプラスは崩れ落ちる…そこへ遊星、シェリー、そしてアポリアが駆け寄る…
「ラプラス!だめよ!!しっかりして!!」
『──…お前は……そうか、シェリー…シェリー・ルブランか…ようやく…思い出した、永く生きていると…忘れ、ぽく…なっ、ゴボッ…!』
「ラプラス!!ダメ!死んじゃだめ…!」
シェリーがラプラスに縋り付く…
『…そういえば…馬鹿な約束をした事が、あったな…すまないが諦めて…くれ、俺には…待ってくれている…大切な人が…いるんだ…』
ラプラスは…ユウミは血に濡れていない右腕でシェリーの頭を撫でる…その目は両方とも黒色になっていた…。
『ラプラス…!君はどうしてこんな事をした!君の考えはわかる!遊星にゾーンの力を教えようとしたのだろう!?ならばそれは私の役目だ!君はまだ生きている!それなのに何故!!』
アポリアが悲痛な声でユウミへと問いかける…
『何を…言ってるんだ…アポリア…例え、お前達が人間ではなくロボットでも…オレの友である事に…変わりはない…オレは…もう失いたくなかったんだ……これを、受け取ってくれ…』
そういったユウミは厳重に保護されたデータチップを手渡す…
『このチップは…』
『パラドックス…の、記憶チップだ…彼だけは、救えなかった…お前が…持っていて、くれ』
『お前は…お前は何故…1人で抱え込む…!この馬鹿者…!!』
『……不動遊星、1つだけ…俺の問いに…答えてくれ…』
「っ…なんですか、ユウミさん…!」
遊星はユウミの言葉に耳を傾ける…
『…オレは、未来を救う為にお前達にとっての「悪」を為した…しかし、それは未来にとっての…「善」となる…はずだった……遊星…オレのしてきた事は…なんだったんだろうなぁ…』
ユウミは遊星へと問いを投げかける、その目からは静かに涙が流れている…。
「……貴方は…未来を切り拓こうとしただけだ、貴方のした事は大きな罪だ…それでも貴方は…オレ達に希望を繋いでくれた…!決して無意味なんかじゃない!!」
遊星はユウミの言葉にそう答える…ラプラスは彼なりに未来を救おうと足掻いた、それは最終的に遊星へ残された希望となったのだ…。
『ありがとう遊星、やはり…お前は変わらないな…遊星、未来を導くお前達に未来を…希望を託す…』
ラプラスは右手からボロボロの金色の卵…『千年玉』を出現させる…
「千年…アイテム…!?」
『世界を…未来を…救ってくれ…!』
パキン─!
千年玉がユウミの手で粉々に砕け散る…その金色の粒子は遊星号に吸収され赤いオーラと翼が現れる!
「遊星のDホイールから翼が…!」
「ユウミさん!!」
『ラプラス!!』
『すまない…我が友よ………先に、いく……やっと逢える…な──ミド、リ…』
最後に愛した女の名を呟いたラプラス…未来のシラナミユウミは柔らかな笑みを浮かべながら長い…永い眠りに落ちた、未来への希望を夢に見ながら…
【………】
「勝負だ、ゾーン…!ユウミさんの残したものは…無駄にはしない!!」
遊星は静かに立ち上がりゾーンへと宣戦布告する…!
【いいでしょう、残された時間も残り僅か…不動遊星…これが最後のデュエルです…!】
ゴゴゴゴゴゴ…
「なんだ!?」
ゾーンの言葉と共に遊星達のいる広場の屋根が開いていく…!
「あれは…ネオドミノシティか!?」
「なんで逆さまなの…!?」
『逆さまのアーククレイドル自体が重力を持っているのだ…』
龍可達の疑問にアポリアが答える…そして変化は終わらない、アーククレイドルの各所から光が放たれ空中へと映像が投影される…その映像にはゾーンが映し出されていた…。
【初めまして…ネオドミノシティの皆さん、私はゾーン…このアーククレイドルの主です】
ゾーンは映像を通してネオドミノシティの住民達へ語りかける…。
【まもなく、ネオドミノシティはアーククレイドルによって破壊され…新たな未来が始まります…皆さんはその生き証人となるのです…!】
ゾーンはデュエルの様子をあえて公開する…遊星の敗北…それによって人々に絶望を与え、未来を変える為に…。
【デュエルフィールドはこの天空…さぁ、来るのです不動遊星…ラプラスが力を与えたそのDホイールで…!】
「えぇっ…!?空でデュエルをする!?」
「そんな事できるの…!?」
前代未聞のライディング…否、フライングデュエルに龍亞兄妹は困惑する…。
「でも…ゾーンを倒さないとアーククレイドルは止められない…!」
「奴をぶっ倒さなきゃ…オレ達は未来を勝ち取れねぇ!」
「ああ…オレは絶対にゾーンに勝つ!!」
遊星は拳を握り締める…!
「
ガガガ…ドーン!!
《キュオオオン!!!》
『な、なんだ!?』
「あれは…!閃光竜!?遊海さん!翠さん!」
地響きと共に床が吹き飛ぶ…そして床をぶち抜いた閃光竜が遊星達のもとへ降り立った…!
「お前達!無事か!!ラプラスは何処だ!!!」
「遊星君!みんな!!」
『遊星!!』
「えっ…!?ぶ、ブルーノ!!生きていたのか!!」
遊星は驚く…閃光竜から降りて来たのは遊海と翠だけではなかった…ブラックホールに飲まれ消滅したはずのアンチノミーが現れたのだ。
『ああ、あんな別れ方をしたのに…生き残ってしまったよ…』
Sideアンチノミー
『(遊星…ゾーンの事は頼んだよ…ボクの大切な友を…)』
遊星をブラックホールから脱出させたアンチノミー…ブルーノは静かに最期の時を待っていた…。
『でも…もう一度みんなに…会いたかったなぁ…』
それはブルーノのささやかな願い…それを聞き届ける奇跡が起きた…
《プログラム起動…カードを排出します…》カシュ!
『このカードは…?』
壊れかけたデルタイーグルから排出されたカード…それは「ホワイト・ホール」だった。
『なんでこんなモノが…うわっ!?』
ホワイトホールのカードが発光する…そしてアンチノミーはその場から消え去った…。
『ぐっ…ここは…!?』
アンチノミーが気付くとそこはアーククレイドルの部屋の一つだった。
『ボクは…生き残ったのか…?なら、行かなくちゃ…遊星のところへ…!』
そしてアンチノミーは遊星達のもとへ歩きだした…。
SideOut
『そんなこんなでアーククレイドルを進むうちに気絶していた2人を見つけて連れてきてもらったんだ…』
『そんな事が…!まさか、ラプラスが…!?』
アポリアは1つの可能性に気が付く、ユウミは「パラドックスだけは」救えなかったと言った…つまり、何らかの手段でアンチノミーを救う手段を残していたのではないかと…。
「待て…なんでアポリアが生きている…!?お前はゾーンとデュエルを…!」
そして驚いたのは遊海も同じだった…本来なら死ぬはずのアポリアが生きている…それは遊海が動揺するのに充分な理由だった…。
「ラプラスは…死んだわ…、アポリアを庇ってゾーンとデュエルを…」
「そんな…!」
翠はシェリーの言葉でそれに気づく…シェリーに抱えられ眠りについたラプラスの姿に…
「!!…貴様!!貴様!!!何を寝たフリしてやがる!!!」
「きゃ…!?」
「遊海さん!!」
遊海はシェリーを押し退けラプラスの身体を揺さぶる…
「起きやがれ!許さねぇぞ!!お前は…!お前は!!!」
「遊海さん!もうやめて!!もう…ラプラスは…未来のユウミさんは…!」
「馬鹿野郎…!この大馬鹿野郎が─!!!」
遊海の叫びがアーククレイドルに木霊する…天を仰ぎ涙を流す遊海…その瞳に怒りは無い、あるのは後悔と悲哀のみ…彼は溢れんばかりの涙と共にラプラスの死を悼んだ…。
「遊海さん…オレは勝ちます…!希望を託してくれたもう1人の遊海さんの為に…!!」
「…わかった…必ず勝て、遊星…俺がしてやれるのはこれくらいだ…『ディアンケト』…!」
遊星からラプラスの最期を聞いた遊海は落ち着きを取り戻し、遊星を全回復させる…そこにジャックが歩みよる…。
「…受け取れ、遊星…!俺の思いをお前に託す!」
「ジャック…!『レッド・デーモンズ・ドラゴン』を…!」
そして仲間達は自分の魂…シグナーの竜を遊星へと託す!
「みんなの思いは受け取った…!未来を必ず勝ち取ってみせる!!」
そして…希望を託された遊星はゾーンのもとへと向かった…。
「…アポリア、お前達の墓所は…どこにある…」
『…アーククレイドルの最下層、お前達が入ってきた辺りだ、それを聞いてどうする…』
遊星を見送った遊海はアポリアに問いかける…
「この馬鹿を眠らせてやらなきゃな…それは…オレのするべき役目だ…」
遊海は龍可から返してもらった赤帽子を被り直す…。
『遊星のデュエルを見なくていいのかい?』
「俺は遊星を信じてる…だから…俺は行くんだ」
遊海はラプラスを抱き抱える…
「遊海さん…私も一緒に行きます」
「…わかった」
翠も遊海と共にその場を離れていった…。
長き戦いを経て…ついに未来を懸けた最終決戦が始まる…!