転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!復活幻魔編3話を更新します! 

少女を救う為、英雄は全てを懸ける!

それでは最新話をどうぞ!


切り拓け!新たな未来!─目指すべき夢─

「No.」に魅入られてしまい、心の闇のままに暴走する遊戯の娘・遊奈…父である遊戯は遊奈を止める為に決闘を挑んだ…。

しかし…闇の力を手にした遊奈は強く、ついには遊戯を打ち倒してしまう…そして、絶体絶命の窮地に眠りし英雄が目を覚ます…!

 

 

 

 

「翠、杏子…遊戯を頼む」

 

「は、はい!」

 

「あなた!しっかりして…!」

木に身体を打ちつけぐったりした遊戯を翠達に託した遊海は遊奈と視線をぶつける…!

 

 

「…遊奈、お前は辛かったんだろう?決闘王の父、そして元・世界一のダンサーの母…きっとほとんどの人がお前の事を色眼鏡で見た筈だ…そしてみんなからの視線が心の瑕になり…そこを『No.』につけ込まれた…」

 

『…そうよ…!誰も、「私」を見てくれないの…!私は「私」なのに!「決闘王」の娘だ!『世界一のダンサー』の子供だって…パパとママの事ばっかり!!私は遊奈!!私は…私は──!!』

 

「遊奈…!」

 

それは小さな心の傷だった、彼女を見てきた人々は必ずと言っていい程「流石は遊戯や杏子の子供だ」と褒める…それは彼女にとってのストレスだった。

そしてひょんな事から『No.』を拾った彼女はその心の闇を暴走させてしまったのだ…。

 

 

『私は自分を証明するの…!強くなって強くなって強くなって!!私は「私」だって!!』

 

「遊奈…」

 

「…遊奈、俺はもう一度お前に決闘を挑む…デュエルは全て平等だ、戦いの前に立場も生まれも関係ない!俺の全力を以て…君を闇から救いだす!!」

遊海は自分の胸に手を当てる、開放されるのは遊海に秘められた新たな力…全ては親友の子を…1人の少女を救う為に…!

 

 

 

我が闘いの舞台は此処にあらず…我が力を振るうは罰にあらず…我が力は…未来を導く為に使うモノ…!!その前には…何者の力も必要なし…!!展開せよ!!我が覚悟──!

 

その瞬間、世界は一変する…海風そよぐアカデミアから…風が吹き荒ぶ天空の舞台へと…!

 

 

 

 

「戦いの聖地…!『尋常なる決闘の地(コロセウム・デュエルフィールド)』─!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side遊戯

 

 

 

「ここは、アルカトラズ…!?」

 

「そんな…たしかバトルシティが終わった後に海馬君が爆破したはず!!」

 

遊戯達が気付いた時…風景は一変していた、曇天の湖畔ではなく、かつての戦いの舞台…アルカトラズ島の天空デュエルリングへと…!

 

 

《マスター、これ…禁呪です…!》

 

「マジシャンガール…!ここが何処だかわかるの!?」

遊戯がブラックマジシャンガールに問い掛ける。

 

《お師匠様の魔導書で見た事があります…!世界を自分の強いイメージで塗り潰す、伝説の大魔法…リアリティ・マーブル…!簡単にいえば自分の心に描いた風景をフィールド魔法として発動しているんです…!!》

 

「そんな、そんな事ができるなんて遊海は…」

 

《もう、人間の範疇には収まりません…神様の領域に足を踏み入れてます…!》

 

「遊海さん…!無茶はしないで…!!」

 

遊戯達はデュエルリングの下から2人の戦いを見届けるしかなかった…。

 

 

 

SideOUT

 

 

 

 

 

『…ここは…』

 

「なに、戦う為の舞台を整えただけさ…この場所では呪いだろうが加護だろうが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…これで遊奈と俺は対等に戦う事ができる…ぶっつけ本番で成功するとは思わなかったけどな……さぁ、リベンジマッチだ遊奈!お前の呪縛を砕く!!」

 

『私は…勝つの…!強く、強く…!強く!!』

 

 

 

 

『「デュエル!!」』

 

 

 

 

遊奈LP4000

遊海LP4000

 

 

 

 

『私のターン!ドロー!!』

『っ…!!永続魔法「失楽の霹靂」を発動!さらに永続魔法『七精の開門』を発動!デッキから「降雷皇ハモン」を手札に加える…!そして魔法カード3枚をセット…そしてセットされた「異次元からの埋葬」「終わりの始まり」「デッキロック」を墓地に送り…現われろ!「降雷皇ハモン」!!』

決闘場にカミナリが降り注ぐ…そして黒雲の中から雷の幻魔が降臨する…! ATK4000

 

「私は、これでターンエンド…!」

遊奈LP4000

ハモン 失楽の霹靂 七精の開門 手札1

 

 

 

「…『No.』の力を封印してもこれか…天運だけはどうしようもないな…!」

遊海はハモンをまっすぐ睨みつける…。

 

「力を貸してくれ…遙か未来の英雄よ─!」

 

 

 

 

「俺のターン!ドロー!」

「自分フィールドにモンスターが存在しない時…このモンスターはリリース無しで召喚できる!!現われろ!『時械神ガブリオン』!」

フィールドに水の竜巻が起きる…その渦の中から青き鎧に女性の顔が映ったセフィロトの一柱が現れる ATK0

 

 

「Z-ONEの…『時械神』─!?」

現れた時械神に遊戯が驚きをあらわにする…かつて、未来を救済する為にネオ童実野シティを破壊しようとした「最後の未来人」Z-ONE…彼の従えし「神」が少女を救う為に再び顕現する!

 

『なんなのよ…そのモンスターは…!』

 

「お前を救う…その為に俺は全力を尽くす!!バトルだ!『ガブリオン』で『ハモン』を攻撃!」

 

『攻撃力0で攻撃!?…返り討ちにしなさい「ハモン」!失楽の霹靂!!』

ハモンの雷撃とガブリオンの水流が衝突…互いに弾かれる!

 

『なっ…!?』

 

「『ガブリオン』は戦闘・効果で破壊されず、自分への戦闘ダメージも0になる…しかし、『ガブリオン』のさらなる効果発動!バトルフェイズ終了時!相手フィールドのカード全てをデッキに戻す!そして相手は同じ枚数をデッキからドローする!」

 

『なんですって─!?』

遊奈のフィールドのハモンと2枚のカードが水流に流されデッキに戻される!!

 

「俺はカードを伏せて…ターンエンドだ!」

遊海LP4000

ガブリオン 伏せ1 手札4

 

 

 

「強い…!でも、なんて頼もしいんだ…!」

 

「これが…『時械神』…!」

遊戯と杏子はガブリオンに目を奪われる…敵を倒し、味方を守る…その姿はかつてとは違い、とても頼もしく見えた…。

 

 

『なんなのよ…そのモンスターは、そんなの…どうやって倒せばいいのよ─!?』

ハモンをあっさりと除去された遊奈は取り乱す…

 

 

「『No.』の力を失っただけでこれなのか遊奈!お前が遊戯を超えたというなら…諦めずにかかってこい!!」

 

『黙れ…黙れ─!!』

 

 

 

『私のターン!ドロー!!』

『フィールド魔法「失楽園」を発動!さらに魔法カード「手札断殺」を発動!お互いに手札を2枚捨てて2枚ドロー!』

 

 

遊奈捨てたカード

宮廷のしきたり

不協和音

 

 

遊海捨てたカード

アドバンスドロー

時械巫女

 

 

 

『さらに私は「混沌の召喚神」を召喚!』

蛇体の下半身を持つ悪魔が現れる ATK0

 

『そして「混沌の召喚神」をリリースする事で手札の三幻魔を召喚条件を無視して特殊召喚できる!現れなさい!「神炎皇ウリア」!!』

空に向かって炎の柱が立ち昇る…その炎の中から巨大なる炎の悪魔が現れる! ATK0→2000

 

「その時!リバースカード永続罠『虚無械アイン』発動!手札の『時械神カミオン』を墓地に送り1ドロー!」

 

 

『っ…「失楽園」の効果発動!幻魔がいる事で2ドロー!…カードを1枚伏せてターンエンド…!』

遊奈LP4000

ウリア 失楽園 伏せ1 手札2

 

 

 

 

「俺のターン!ドロー!」

「スタンバイフェイズに『ガブリオン』はデッキに戻る!」 

ガブリオンが光の粒子になって消え去る…。

 

「そして自分フィールドにモンスターが存在しない時!『時械神メタイオン』はリリース無しで召喚できる!」

赤き鎧を纏う時械神が現れる ATK0

 

「バトル!『メタイオン』で『ウリア』を攻撃!バトル終了後に自身以外のフィールドのモンスターを手札に戻し、1体につき300ダメージを与える!」

 

『っ…!うあぁぁ…!』

ウリアがメタイオンによって手札に戻され、遊奈にダメージが与えられる! 

遊奈LP4000→3700

 

「カードを2枚伏せてターンエンド!」

遊海LP4000

メタイオン アイン 伏せ2 手札2

 

 

 

『…なんで、邪魔するの…!私は…勝たなきゃならないの…私は強くならなくちゃならないの…!邪魔しないで…!!』

 

「強くなる為だったら…手段も方法も選ばないのか!!」

 

『ひっ…!?』

遊海の一喝に遊奈が飛び上がる…

 

「決闘者はカードと…デッキと共に成長する!自分のデッキを磨かずして何がデュエリストだ!!…借り物の力で強くなったとして…お前は本当に満足なのか!!」

 

『うるさい…うるさいうるさいうるさい!!私だって…そんな事わかってるわよ─!でも、誰も認めてくれないの!みんなパパと私を比べるの…!ダンスだってママと比べるの…!私は「私」なのに─!!』

 

「遊奈…」

それは暴走しているが故に出た本心だった…見えない親の壁…それを超えたかった、自分自身を認めて欲しかった…それが彼女の本心だった。

 

 

 

 

『私のターン!ドロー!!』

『永続魔法「七精の開門」発動!デッキから「降雷皇ハモン」を手札に加える!そして魔法カード「次元融合殺」を発動!手札の「ハモン」「ウリア」「ラビエル」を除外!降臨せよ!「混沌幻魔アーミタイル」─!!』

再び遊海の前に融合幻魔が降臨する…! ATK0→10000

 

 

『『アーミタイル』がいる事で『失楽園』の効果発動!2ドロー!さらに『暗黒の招来神』を召喚!効果で『カオス・コア』を手札に加える!そして魔法カード『痛み分け』を発動!『暗黒の招来神』をリリース!そして相手は自分のモンスターをリリースしなければならない!』

 

「やるな…!『メタイオン』をリリースする!」

遊海のフィールドがガラ空きになる…だが!

 

「しかし、一手足りない!永続罠『虚無械アイン』を墓地に送り!永続罠『無限械アイン・ソフ』を発動!その効果で手札から現われよ!『時械神ラツィオン』!!」

 

『なっ…!?』

両肩に炎を灯す時械神が現れる ATK0

 

 

『私は、ターンエンド…』

遊奈LP3700

アーミタイル 伏せ1 失楽園 手札1

 

 

 

「遊奈…1つ、訂正しよう…君は強い!」

 

『えっ…?』

遊海の思わぬ言葉に遊奈は目を丸くする…

 

「借り物とはいえ…三幻魔をここまで扱えるデュエリストは数える程しかいないだろう!遊戯譲りのタクティクスと天運…そして杏子譲りの頭の回転の速さ…俺は本当の君と戦ってみたかった!!…その強さに敬意をもって見せよう!未来を救う為に命を懸けた英雄の切り札を!!」

 

 

 

 

「俺のターン!ドロー!!」

「スタンバイフェイズに『ラツィオン』はデッキに戻る!そして『無限械アイン・ソフ』を墓地に送り…永続罠『無限光アイン・ソフ・オウル』を発動!自分の場にモンスターが存在しない時、『アイン・ソフ・オウル』は真価を発揮する!手札・デッキ・墓地からカード名の違う時械神を召喚条件を無視して特殊召喚する!手札から『時械神ザフィオン』を、墓地から『時械神カミオン』を…そしてデッキからこのモンスターを特殊召喚する!」

アイン・ソフ・オウルの3つの輪が縦に重なり凄まじいエネルギーを放出する…そしてエネルギーは枝葉の茂る巨大な樹を作り出す!

 

「【無は無限となり…無限の光から生まれる、未来を救う生命の神!現われろ!『究極時械神セフィロン』─!】」

周囲に光が満ち溢れる、その聖なる光の中から生命を司る神が現れた…。 ATK4000 ATK0 ATK0

 

 

『あっ……』

 

「究極時械神セフィロン…やっぱりすごいな、遊海は…」

遊戯は遊海の背中を見ながら呟く…遊戯には見えていた、遊海と共に並び立つ名もなき男の背中が…

 

 

「バトルだ!『ザフィオン』と『カミオン』で『アーミタイル』を攻撃!」

 

【グギャオオオン!?】

2体の時械神の水流と岩弾がアーミタイルを打ち据える!

 

「バトルフェイズ終了!『ザフィオン』の効果発動!相手フィールドの魔法・罠カードを全てデッキに戻す!さらに『カミオン』の効果発動!『アーミタイル』をデッキに戻す!」

2体の時械神によってフィールドが一掃される!

 

遊奈LP3700→3000

 

「俺はこれでターンエンド!」

遊海LP4000

セフィロン カミオン ザフィオン アインソフオウル 手札0

 

 

 

『……わたし、何を…?』

 

「「遊奈!!」」

ダメージを受けて座り込んでいた遊奈が立ち上がる…その瞳に狂気の色はない…セフィロンの神威とアーミタイルがフィールドから離れた衝撃で一時的に正気を取り戻したのだ…。

 

「…正気に戻ったみたいだね遊奈ちゃん、久しぶりだね」

 

『えっ…!?遊海おじさん!?えっ…ここ何処!?なんで私デュエルしてるの!?!?』

遊奈は辺りを見渡して動揺している…どうやら今までの記憶が抜けてしまっているようだ。

 

「落ち着いて遊奈ちゃん…君は悪いカードのせいで暴走していたんだ、心当たりはあるかな?」

 

『えっ…このカードの事…?痛っ!?』

遊奈が懐から手帳を取り出す…その手帳を持った瞬間、遊奈の手に数字が刻まれる…!

 

45

 

「『No.45』…!それが遊奈のナンバーズの正体か!!」

 

『やだ…!何これ!?怖い…!!』

 

「落ち着いて遊奈!お前がデュエルを終わらせるんだ!そうしたら遊海がなんとかしてくれる!!」

手に数字が刻まれパニックを起こす遊奈に遊戯が叫ぶ!

 

『パパ…わかっ、た…!!』

 

 

 

 

 

『私のターン、ドロー!!』

『「カオス・コア」を…召喚!!』

巨大な翼を持ち、胸に光の玉を持つ悪魔が現れる ATK0

 

『バトル…!!「カオスコア」で「セフィロン」を攻撃─!!』

 

「っ…!頼む『セフィロン』!遊奈の闇を祓ってくれ!!アカシック・ストーム!!」

 

《…!(コクリ)》

 

小さく頷いたセフィロンが光の玉を作り出す…そしてその光を解き放ち、全てを包み込んだ…。

 

遊奈LP0

 

遊海WIN!

 

 

 

 

 

 

『あっ…』

 

「「遊奈!!」」

 

「おっと…!」

デュエルが集結し遊奈が膝から崩れ落ちるが遊海がそれを受け止める…周囲の景色はアカデミアの湖畔に戻っていた…。

 

「原因は…これか」

遊海は足下に落ちた手帳を拾い上げる…その手帳には「No.45滅亡の予言者グランブル・ロゴス」が挟まっていた…。

 

「予言者か、断定はできないが…このカードの力で『武藤遊奈はデュエルに勝つ』という結果を得ていたんだろうな…まったく、こんなのがあと99枚…先は長いな…」

 

遊海は手早く「No.」を回収…アヤカ謹製の「カードの力を封じ込めるスリーブ」に仕舞い込んだ…。

 

 

「遊海さん!!」

 

「遊奈!!」

遊戯達が2人に駆け寄る…

 

「おう、遊戯…大丈夫、遊奈は無事だ…『セフィロン』がだいぶ加減してくれたらしい」

遊海は遊奈を遊戯夫妻に託した…。

 

 

 

「遊奈!しっかりするんだ!」

 

『うっ…パパ…ママ…?わたし…』

 

「「遊奈!!」」

遊戯夫妻は娘を強く抱き締める…

 

『ごめんなさい…私…』

 

「いいの…今はゆっくり休んで…ごめんね…!」

   

『うん…』

杏子の声に従うように遊奈の意識はゆっくり落ちていった…。

 

 

 

「遊海…本当にありが…あれ?遊海…?」

眠る娘を見て安心した遊戯は当たりを見回すが…恩人である遊海の姿が見えない…

 

「えっ…遊海さんなら私の隣…ああっ!?」

翠が遊海のいるはずの隣を見るが遊海の姿はない…遊海は足元に仰向けで倒れていた…

 

「ゆ、遊海さん─!?」

 

「遊海─!?」

翠が身体を揺するが反応はない…それどころか赤いコートが消え、ボロボロのジャケットに戻っていく…

 

《やはりこうなったか…無茶をしおって…》

 

遊海の隣にメガロックが現れる…少し呆れ顔である

 

 

「メガロック!遊海さん、まさか…」

 

《翠の予想通りだ…まったく、()()()()()()()()()()ような状態でデュエルをするからこうなるのだ、遊戯の前でカッコつけたかったのであろうが……》

 

「ゆ…遊海さんのバカー!!!」

 

夜のアカデミアに翠の叫びが木霊した…。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

『本当ッに…すいませんでした─!!』

 

「いいんだよ遊奈ちゃん、君が無事で良かった…」

 

三幻魔復活騒動から3日…眠り続けた遊海がようやく目を覚ました、最初に面会にやってきたのは遊戯親子…遊奈は90°の角度でしっかり謝罪している…。

とりあえず話を聞くと「No.」を手に入れたのは数日前…進路に悩んで海岸を散歩していた時に偶然拾い、その後の記憶はふわふわしているらしい…。

 

 

「まぁ、俺の怪我はすぐに治るから大丈夫だよ、それより…進路は決まったのかな?」

 

『それが…結局まだ悩んでて…デュエリストとしてはパパに及ばないし…ダンサーとしてもママみたいに踊れないし…』

遊奈は俯いてしまう

 

「そっか…なら、俺にいいアイデアがあるんだ…『アイドルデュエリスト』…なんてどうかな?」

 

「アイドル?」

 

『デュエリスト…??』

遊海の言葉に遊戯と遊奈は首を傾げる

 

「いや、最近のデュエル界はだいぶ女性は増えているんだけど…まだ男勝りな人が多くてね…」

遊海がプロの世界に復帰して2年…遊海は数多の決闘者達と戦ってきた、当然その中に女性決闘者もいたが…言ってしまえばアマゾネスじみた女傑が多かったのだ。

 

 

「それで思ったんだよ、今のデュエル界には『華』が足りない…例えばだけどデュエルで勝った時にパフォーマンスでダンスを披露する…そうすれば観客も喜ぶし女性デュエリストも増えると思うんだ…どうかな?」

 

『アイドル…デュエリスト…なんかいいかも!私、やってみます!!』

遊海の言葉を聞いて遊奈は新たな『夢』を見つける事ができたようだ。

 

「パパ!私頑張る!パパ達みたいに一番にはなれないかもしれないけど…みんなを楽しませられるデュエリストを目指してみる!!」

 

「そうか…きっと大変な道になるよ?」

 

『うん…でもやってみる!だって私はパパとママの娘だもん!!』

 

「頑張れよ遊奈ちゃん、何かあったら俺か海馬社長を頼るといい」

 

『はい!ありがとうございます!』

 

 

その後、遊奈はとあるプロリーグに所属しアイドルデュエリストとしての活動を始める。

 

彼女が最強の女性プロデュエリスト「ダンス・クィーン」と呼ばれるのは…少し未来の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふん…相変わらず無茶をする男だな、お前は…」

 

「あはは……すいませんでした…」

保健室のベッドで遊海が土下座している…目の前に腰掛けるのはご立腹な様子の海馬社長である。

 

「復活した三幻魔を制圧した事は褒めてやる…だがなぁ、七精門が全損とは…どういう事だぁ!!」

遊海と遊奈の初戦で七精門は跡形も無く吹き飛んでしまっていた…遊海はその責任を全て背負ったのだ。

 

「森や防衛システムはまた構築すればいいが…七精門はもうどうにもならん!影丸も錬金術師ももういないからな…これから三幻魔の封印はどうするつもりだ?オレとしてはカードの廃棄も考えている」

 

元々この世界の三幻魔はグールズが「三幻神」のコピーカードを作ろうとした時に偶然生まれたカードだった…その強力過ぎる力故にアカデミアにアナログの「七精門」、そしてデジタルシステムで封印してきたのだ…。

 

 

「…廃棄は待ってください、海馬社長…カードには罪は無い筈です」

 

「だが、カードがある以上必ず今回のような事は起きる…その度にお前が出向いていてはイタチごっこではないか!」

 

「…なら、()()に直接聞いてみましょう…」

 

「なに?」

 

 

 

 

「…何をするつもりだ」

貸し切り状態にしたアカデミアのデュエルスペース…そこに海馬、そして杖をついた遊海が立っている…。

 

「こうするんです…!現われよ!『神炎皇ウリア』!『降雷皇ハモン』!『幻魔皇ラビエル』!!」

 

遊海はデュエルディスクに三幻魔をセットする…そして遊海達の前に三体の幻魔が現れた…!

 

 

【………】

 

「俺の言葉はわかるか?…俺は白波遊海、海馬社長からお前達の守護を任せられた決闘者だ…お前達に聞きたい事がある!」

遊海は三幻魔に問い掛ける

 

「…俺は二十年以上前からお前達の守護を任せられてきた、でも…俺がお前達を守りきれなかった事は何度もある!そこでお前達に問いたい!このまま封じられる事を望むか!それとも、他の望みはあるか!」

 

【…我ガ名ハ、ラビエル…気高キ決闘者ヨ、我ラハ平穏ヲ望厶…】

 

《我が名はハモン…我らは、幾度も邪悪な企みに使われてきた…》

 

《私の名はウリア…しかし、我らはそれを望まない…特異な力を持ち、邪悪と断じられてきた…しかし、私達は静かに眠りたい…》

遊海の問い掛けに三幻魔が答える…。

 

【我ラハ、神ノ失敗作…ダガ強力ナチカラ故ニ幾度モ狙ワレタ…我ラハ、コノ世界ニ不要ナモノ…】

 

《ならば、我らが消える事もやむなし…》

 

《お前達の話は聞いていた、我らが運命…気高き魂を持つ決闘者に委ねる…》

 

「…なんだ、意外に物分りが良い奴じゃないかお前達…」

 

「フン…予想外だがな…」

海馬と遊海は顔を見合わせる…悪魔の割に三幻魔の精霊達はなんとも大人しい性格だったのだ…。

 

 

《なら簡単な話ですよユウミ、貴方が面倒を見ればいいじゃないですか?》

 

「えっ!?ちょっと、フレア!?」

遊海の肩に現れたフレアが思わぬ事を口にする

 

《ユウミは誰にも手出しできない封印場所(亜空間カード庫)を用意できるじゃありませんか?それに…ユウセイに怒られてしまいますよ?》

 

「…この世に不要なものは無い、か…海馬社長…」

 

「フン…答えは決まっている遊海、これでアカデミアにも平穏が訪れるだろう」

 

「…!ありがとうございます!…聞いていたな?お前達…異存はないか?」

 

《神を友とする者よ…》

 

《我らが力、貴方に預けよう…》

 

【願ワクバ…我ラノチカラ、貴殿ト共ニ…】

そう言うと幻魔達は消えていった…そして遊海の手には三幻魔のカードが収められていた…。

 

「よろしくな…ラビエル、ハモン、ウリア…できればお前達の力を借りないでいたいが…その時はよろしく頼むよ」

遊海は優しくカードに語り掛けた…。

 

 

 

 

 

三幻魔が仲間になった▼

 

 

 

 

 

 

 

 

「遊海、話は変わるが…お前が遊戯の娘から取り上げた『No.』なるカード、勝手だが調べさせて貰った…オレには効果を読む事はおろかカード名すら読めなかったがな…」

 

「ちょっ…!?いつの間に取ったんですか!?」

 

「案ずるな、翠と精霊のアヤカには了承は得ている…何なのだ、このカードは…?」

海馬は遊海に「No.45」を返しながら問い掛ける

 

「…このカードは『No.』…これから先の未来で戦いの火種になるカードで…全てで1〜100番まで計100枚存在するカードです…」

 

「フン…新たな戦いか、それはいつ起きる?」

 

「…わかりません、1年か…10年か…もっと長い未来の果てか…」

 

「…なるほどな、お前も難儀な運命を背負ったものだな…できる限り情報は集めてやろう、人類の未来は…お前にかかっている…頼むぞ、白波遊海」

 

「…はい…!」

海馬の言葉に遊海は力強く返事を返した…。

 

 

 

 

 

「…それはそれとして…遊海、お前には半年の休暇を与える…充分に自分の身体と翠を労うがいい…帰るぞ!紗良!翠との話は済んだか?」

 

「はい、翠さんまた今度!」

 

「ええ!紗良さん!美味しいお菓子を用意して待ってますね!」

 

…今更だが、海馬社長はアカデミアに来るにあたり何故か奥さんを連れて来ていた、名前は海馬紗良…白い髪を持つ美人さんである………あの人、絶対キサラの生まれ変わりだよなぁ…。

 

 

 

 

 

 

 

「さて…休みも貰った事だし…旅行にでも行こうか!」

 

「そ・の・ま・え・に…自分の心身を充分治してからにしてくださいー!」ギュウ〜!

 

「アイタタタタ!?ちょっ、ギブギブギブ─!?翠絶対怒ってるよね─!?」

 

 

《やれやれですね、マスター…》

 

《やれやれだな…》

 

《あの無茶癖は…死んでも直らんだろうな…》

 

《まぁ、一件落着という事で!》

 

 

「だ、誰か助けて〜!?」

 

精霊達にも見放された遊海はしばらく翠の激痛マッサージの刑に処されましたとさ…。


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