転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
ネオ童実野シティを舞台にした未来との戦いから10年、チーム5D'sの解散から8年が経った、不動遊星の確立したモーメント制御フレーム・フォーチュンは世界中に広まり、新たな未来を導いている…そこで、チーム5D'sのその後を見てみよう…。
Side龍亞&龍可
「きゃあああ─!?」
ビック・ベンの鐘が鳴り響く中、渋滞中の道路を縫うように2人乗りのDホイールが疾走する…あまりのアクロバティックな運転に後ろに乗る女性は叫び声を上げているが…。
キキー!!
「もう!あんまりスピード出さないでって言ったよね!お兄ちゃん!!」
「ヘッ…未来のライティングデュエルチャンピオンにそんな事言われても無理だぜ…」
しばらく走り続けたDホイールは大学の前で停車する…後ろに乗っていたのは龍可、運転していたのは龍亞…しっかりと肉体的成長を遂げた兄妹はあまりのカッコよさ、美しさで周囲の注目を集めてしまう。
「じゃあな龍可!しっかり勉強しろよ!」
龍亞は龍可を降ろすとそのままロンドンの街に消えていった…。
「まったくもう…まだ遊星には遠く及ばないわね!」
SideOut
Sideクロウ
『クロウ…本当にチームを抜けるのか…?』
『どうしてだよ…!俺達は世界チャンピオンにまでなったのに!!』
「もうチームでやれる事は全部やった…お前達に伝える事も…もうない」
とあるライティングスタジアム…そこで3人の男達が話し合っていた…クロウはこの10年でチームライティングデュエルのチャンピオンになった…しかし、クロウはその称号を捨て…単身シングルリーグへと挑もうとしていた。
「オレも試したくなったのさ、自分の力を…ジャックのようにな!」
ジャックは射し込む夕日を睨む…その目はいまだ満足していない、かつてのジャックのように…クロウも高みを目指し続ける…!
「それによ、オレの代わりにチームに入る奴なら…
そう言ってクロウは1枚の画像を投影する…そこにはトロフィーを抱えてピースサインをする龍亞、そして大柄な男が満足気な表情で笑っている姿が写っていた…。
SideOut
Sideジャック
「「「「ジャック!ジャック!ジャック!!」」」」
世界最高のライティングデュエルリーグ「ライドA」…そのスタジアムは歓声に埋め尽くされていた…、その歓声を一身に集めるのは5年連続でライドAの王座に君臨する「ライティングデュエルキング」…ジャック・アトラスだった。
『キング!来期はクロウ・ホーガンがシングルリーグへの参戦を表明していますが…何かコメントは?』
『クロウは自分が新たなチャンピオンになると言っています!』
「フッ…!面白い!ならばクロウに伝えておけ…!貴様が束になろうと俺に土をつける事は不可能だとな!!」
取材陣の取材にそう答えるジャック…その瞳はただ、1点を見続けている…キングのその先を…!
「俺は誰にも負けん…!
SideOut
Sideアキ
『クロウに伝えておけ!貴様が束になろうと─…』
「まったく、ジャックも相変わらずね…」
ジャックの言葉をテレビ中継で見ていたのは無事に医大を卒業し女医となったアキだった…ジャックのインタビューを見ながら昔と変わらない態度に苦笑していると…。
ガチャ!
『Dr.アキ!!私、もう無理です…!もう見ていられないんです!!』
アキの診察室に1人の看護師が駆け込んでくる…おそらく、死を前にした患者を見ているのが辛くなってしまったのだろう…。
「…諦めちゃ、ダメよ」
『えっ…』
涙を流す看護師にアキは優しく語りかける…
「私達は『笑顔』で患者さん達を応援しなくちゃいけないの…その私達が諦めてしまってはだめなのよ」
『ひっく…Dr.アキは、どうしてそんなに強いんですか…?』
『決して諦めない事…いつも笑顔でいる事…それを教えてくれた人がいたの、自分の可能性を信じてチャレンジする事を…』
そう言ってアキは写真立てを手に取る…そこにはかけがえのない9人の仲間達の笑顔があった…。
「だから頑張れる、その人と胸を張って逢えるように…!」
そう言ってアキは小さな写真立てに目を移す…そこには男性と腕を組んで笑顔を浮かべるアキ、そしてその隣には──……
SideOut
Side???
『俺は誰にも負けん!奴らに勝つまではな─!』
「フッ…相変わらずだな、ジャック…オレはいつでも此処で待ってるぜ…お前が帰って来るのを…」
小さな画面を見ながら男はビルから街を見渡す…いつでも彼らが帰って来れるように…そして仲間達の心を繋ぐ事ができるように…。
『不動博士!実験の用意が整いました!!』
「ああ、いま行くよ」
青年は歩きだす…より良い未来を紡ぐ為に…
SideOut
Side海馬
「フン…いいのか?もう後戻りはできんぞ?」
「それは承知の上です、俺の持つ称号を託せるか否か…充分に期は熟しましたから…」
俺は目の前に立つ男を見る、赤いキャップを被り、赤いジャケットを着た何処にでも居るような男…名を白波遊海、我が社所属のプロデュエリストにして2代目「決闘王」、そして前世の記憶を持ち特殊な力を使う「転生者」である…俺の「友」だ。
最初に出会ったのはいつだったか…バトルシティ開催前に気まぐれに登校し、廊下でぶつかった時だったな。
その時は気にも留めない男だった…だが、バトルシティの本戦に出場し、神を鎮め、マリクを倒し…我が終生のライバルである「遊戯」と決闘王の座を競いあった…。
ドーマとの戦いや三邪神の奪還作戦、そして「遊戯」の記憶世界のゲーム…奴は戦い続けた、例え倒れようと、魂を砕かれようと、奴は世界の為に戦い続けた…いつからだろうか?奴を仲間と…「友」と呼ぶようになったのは…。
奴は…遊海は幾度となく戦いに巻き込まれ、傷付き…そのたびに立ち上がり…そして勝ってきた、そして遂に奴は「決闘王」に登り詰め…全てを失った、他ならぬ俺や仲間達を危機から救う為に…。
全てを失い、もはや戦えぬ体になりながらも遊海は戦う事を止めなかった…不屈とも言える精神力で血を吐き、寿命を削り戦い続けた…そして奴は再び帰ってきた…!
我が友よ、俺はお前の選択を否定しない…時代は移ろいゆくもの…その「称号」は受け継がれるもの、遊戯から遊海へ…そして遊海は次代に称号を託そうとしている…。
見せてくれ、遊海…お前の中で燃えつづける「決闘者魂」を…!
「いいだろう、それではライドAに打診するぞ…スタンディングとライディング…その玉座を統一する為の戦いを!!」
SideOut
チーム5D'sの解散から8年が経った、デュエル界もスタンディング・ライディングを問わず変わらない盛り上がりを見せている…そしてこの日、俺は大きな決断をしようとしている…まぁ、それはアイツ次第の事なんだが…。
『レディース&ジェントルマン!大変長らくお待たせいたしました〜!!さぁ!どれほどの決闘者達がこの日を待ちわびただろうか…!!デュエルの王道・スタンディングデュエル!そしてデュエルの黄金期を生み出したライディング・デュエル!その頂点が激突する!!「王座統一戦」の開会だぁぁぁ!!』
「「「「うおおぉぉ!!!」」」」
ネオドミノシティ・メインライディングスタジアム…10年前に伝説の生まれたその場所は…いま再びの熱狂に包まれていた。
長らく2つに分かれていた「決闘者の頂点」…その頂点が激突しようとしているのだ…!
『まずは赤コーナー…最強のライディングリーグ「ライドA」で5年の間頂点に立ち続ける誇り高き「ライディングチャンピオン」!!またの名を「キング」!ジャック・アトラス─!!!』
「「「「うおおぉぉぉ!!」」」」
「「「キング!キング!キング!!」」」
「キング」コールと共にその男はDホイールに乗って現れる、ライディングデュエルにおいて『最強』の称号を持つ男…ジャック・アトラス!
『ついにこの時が来た…!あの挫折を乗り越え、俺はここに立っている…貴様を超え、俺は王座へと登りつめる!!』
ジャックはスタジアムの反対側を睨みつける…!
『対して青コーナー!!決闘黎明期より前線に立ち続ける伝説の男!!数多の戦いを乗り越え、長きに渡りその「称号」に恥じぬ戦いを続けて来た正真正銘「最強の決闘者」!!「決闘王」…白波遊海─!!』
「「「おおおぉぉぉ!!!」」」
会場を歓声が埋め尽くす…その声援をしっかりと受け止め、白波遊海はジャックと相対する!
「久しぶりだなジャック、相変わらずすごい人気だ…オジサンは最近人気がなくてね…うらやましいよ」
『ハッ!何を言っている!この歓声を聞け遊海!貴方は決闘者の頂点…人気が無いはずはないだろう!』
「ハハハ…そうらしい、俺もまだ捨てたもんじゃないかな!」
他愛のない話をしながらジャックと遊海は握手を交わす。
『ガッチリと握手を交わす2人の王者!さぁ、真の玉座に座るのはどちらなのかー!!』
「さぁ、始めようかジャック…お前の研鑽の果て、たどり着いた答え…俺に見せてみろ!!」
『いいだろう!!刮目して見ろ!我が
『「デュエル!!」』
遊海LP4000
ジャックLP4000
「俺のターン、ドロー!」
「『レッド・スプリンター』を召喚!」
炎を纏う細身の悪魔が現れる ATK1700
「『レッドスプリンター』の効果発動!自分フィールドに自身以外のモンスターが存在しない時!手札・墓地からレベル2以下の悪魔族チューナーを特殊召喚できる!現われろ!『レッド・リゾネーター』!」
炎を背負う悪魔が現れる ATK600
「『レッドリゾネーター』の効果発動!このカードが特殊召喚に成功した時!『レッドスプリンター』の攻撃力分のライフを回復する!」
遊海LP4000→5700
「そして俺はレベル4の『レッドスプリンター』にレベル2の『レッドリゾネーター』をチューニング!」
4+2=6
「赤き魂がここに1つとなる!王者の雄叫びに震撼せよ!シンクロ召喚!現れろ!『レッド・ワイバーン』!」
紅蓮の炎を纏うワイバーンが現れる ATK2400
「カードを2枚伏せ、ターンエンド!」
遊海LP5700
レッドワイバーン 伏せ2 手札2
『やはり、
「かかってこい!ジャック!お前の超えるべき壁はここにある!!」
『俺のターン!ドロー!!』
『相手フィールドにのみエクストラデッキから特殊召喚されたモンスターが存在する時!手札の「ミラー・リゾネーター」は特殊召喚できる!ただし、この効果で特殊召喚したこのモンスターはフィールドを離れた時に除外する!』
大きな鏡を背負った悪魔が現れる ATK0
『さらに「パワー・サプライヤー」を召喚!』
給油ノズルのような杖を持った魔法使いが現れる ATK400
『そして「ミラー・リゾネーター」の効果発動!自身のレベルを「レッドワイバーン」と同じレベルにする!』
ミラーリゾネーター ☆1→6
『俺はレベル2の「パワーサプライヤー」にレベル6となった「ミラーリゾネーター」をチューニング!』
2+6=8
『王者の決断!今赤く滾る炎を宿す真紅の刃となる!熱き波濤を超え、現れよ!シンクロ召喚!炎の鬼神「クリムゾン・ブレーダー」!!』
二刀流の紅蓮の剣士が現れる ATK2800
「来たな…だが、やらせない!!『レッドワイバーン』の効果発動!相手フィールドの攻撃力が一番高いモンスターを破壊する!レッド・ブラスト!」
ワイバーンの炎弾が二刀流の剣士を破壊する!
『ぐっ…!やはり一筋縄ではいかんか…!!カードを3枚伏せ、ターンエンド!』
ジャックLP4000
伏せ3 手札1
『おお〜っと!?決闘王がジャックのモンスターを一蹴!いきなりその強さを見せつけた〜!!』
「俺のターン!ドロー!」
「バトルだ!『レッドワイバーン』でダイレクトアタック!紅炎弾!」
『させん!リバース罠「デモンズ・チェーン」!「レッドワイバーン」の攻撃と効果を封印する!』
紫色の鎖がワイバーンを縛りあげる!
「そう来たか…ならばメイン2!来い!2体目の『レッドリゾネーター』!」
再び炎の悪魔が現れる ATK600
「そして『レッドリゾネーター』の効果発動!召喚に成功した時、手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚する!現われろ!『ミラーリゾネーター』!」
ジャックも使った鏡の悪魔が現れる DEF0
「そして俺はレベル6の『レッドワイバーン』にレベル2の『レッドリゾネーター』をチューニング!!」
6+2=8
「漆黒の闇を裂き、天地を焼き尽くす孤高の絶対王者よ!万物を睥睨しその猛威を振るえ!シンクロ召喚!現われろ!『琰魔竜 レッド・デーモン』!!」
紅蓮の焔を纏い、炎の覇者が現れる! ATK3000
「俺はこのままターンエンドだ!」
遊海LP5700
琰魔竜 ミラーリゾネーター 伏せ2 手札1
『現れたか…もう1体の「レッドデーモン」!!』
「フッ…!準備体操は充分か?」
『あたりまえだ!我が荒ぶる魂を見るがいい!!』
『俺のターン!ドロー!』
『リバース罠「ロスト・スター・ディセント」を発動!レベルを1つ下げ、守備力を0にする事で墓地の「クリムゾン・ブレーダー」を特殊召喚!』
紅蓮の剣士が復活する! DEF2600→0 ☆8→7
『そして「チェーン・リゾネーター」を召喚!』
鎖を持つ音叉の悪魔が現れる ATK100
『さらに「チェーンリゾネーター」の効果発動!自分の場にシンクロモンスターがいる時!デッキから「ダーク・リゾネーター」を特殊召喚!』
音叉を持つ悪魔が現れる ATK1300
『俺はレベル7の「クリムゾン・ブレーダー」にレベル1の「チェーンリゾネーター」をチューニング!!』
7+1=8
『王者の鼓動、今ここに列を為す!天地鳴動の力を見るがい!!シンクロ召喚!!我が魂!「レッド・デーモンズ・ドラゴン」!!』
ジャックの魂たる赤き悪魔竜が現れる! ATK3000
『おお〜っと!!両者のフィールドに2体の「レッドデーモンズドラゴン」が揃ったー!!攻撃力は共に3000!!ジャックはどのように決闘王を攻略するのか〜!?』
『ハッ…!!甘いぞMC!!キングのデュエルは常にエンターテイメントでなければならない!!我が魂はこの逆境でこそ…熱く燃え上がる!!リバース罠発動!!「スカーレッド・カーペット」!!墓地から蘇れ!「チェーンリゾネーター」!!』
再び鎖の悪魔が現れる ATK100
「来るか…!!」
『燃え上がれ…我が荒ぶる魂よ!!俺はレベル8の「レッドデーモンズドラゴン」にレベル1の「チェーンリゾネーター」とレベル3の「ダークリゾネーター」をダブルチューニング!!』
8+1+3=12
『王者と悪魔…今ここに交わる!荒ぶる魂よ!天地創造の叫びを上げよ!シンクロ召喚!!いでよ!「スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン」!!』
《ガオォォオン!!》
ジャックの切り札…紅蓮の龍が咆哮を轟かせる! ATK3500→4500
『で、出たァァ!!ジャック・アトラスの魂の切り札!「スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン」だぁぁ!!』
「現れたな『スカーレッドノヴァ』…なら俺もいこうか!!リバース罠発動!『強化蘇生』!蘇れ!『レッドリゾネーター』!」
墓地から炎の悪魔が復活する! ATK600→700 ☆2→3
『なに…!?まさか!!』
「さぁ、来いよジャック!!」
『…いいだろう、貴様の策…真正面から受けて立つ!!バトルフェイズに入る!』
「リバース罠発動!『緊急同調』!!俺はレベル8の『琰魔竜レッド・デーモン』にレベル1の『ミラーリゾネーター』とレベル3になった『レッドリゾネーター』をダブルチューニング!!」
8+1+3=12
「孤高の絶対破壊神よ!!神域より舞い降り終焉をもたらせ!!『琰魔竜王 レッド・デーモン・カラミティ』!」
《グオオォン!!!》
災厄の名を冠する竜王が紅蓮の炎と共に轟臨する!ATK4000
『な、なんとぉ!?決闘王の「琰魔竜」が究極進化!!「スカーレッドノヴァ」を迎え撃つ─!!』
『現れたな「琰魔竜王」!!だが、攻撃力は「スカーレッドノヴァ」が上だ!!喰らうがいい…我が魂の一撃!バーニング・ソウル!!さらに罠カード「スカーレッド・コクーン」を装備!フィールド上でのモンスター効果は無効となる!!』
スカーレッドノヴァが紅蓮の弾丸となり竜王に突撃する!
「
『し、しまった─!!』
墓地のチューナーを除外された事でスカーレッドノヴァの攻撃力が琰魔竜王と並ぶ!
スカーレッドノヴァATK4500→4000
《ガオオオン!!》
《グオオオオン!!》
紅蓮の龍王の突撃を炎の竜王が受け止める、そのまま殴り合い、炎をぶつけ合い…互いに爆散する!!
「おおぉぉ…!!」
『チイッ─!!』
爆発から身を守るジャックと遊海…しかし、2人とも笑顔を浮かべている…!
『うおぉ─!?最強のドラゴン対決!!だがお互いに砕け散った─!!?』
「ハハハ…!!してやったりだ!」
『ククク…!!やるではないか遊海─!!まんまと乗せられたわ!だが「スカーレッド・コクーン」の効果で「レッドデーモンズドラゴン」がエンドフェイズに復活する!』
「それは俺も同じだ!『琰魔竜王』が破壊された時!墓地の『琰魔竜』が復活する!!」
紅蓮の炎と共にレッドデーモンが復活する! ATK3000
『くっ…!俺はこのままターンエンドだ!そして「レッドデーモンズドラゴン」が復活する!』
炎を纏い悪魔竜が蘇る! ATK3000
ジャックLP4000
レッドデーモン 手札1
「俺のターン!ドロー!」
「『琰魔竜』の効果発動!自身以外のモンスターを全て破壊する!
『ぐっ…!!』
フィールドを炎の竜巻が覆い、全てが焼き尽くされる!!
「バトルだ!ジャックにダイレクトアタック!!
『っ…!ぐおぉぉ…!!!』
炎の鉄拳がジャックに直撃する!
ジャックLP4000→1000
「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ!」
遊海LP5700
琰魔竜 伏せ1 手札1
『決闘王の一撃が炸裂─!!ジャックが追い詰められたぁぁ!!』
『くくく…やはり決闘とはこうでなくてはな…!魂をぶつけ合い、しのぎを削る!!これが俺の求めていたデュエルだ!!』
「ああ、ジャック!お前は大きく成長した!だが、俺はまだ…その先にいる!!」
『ならば俺はお前を超克する!我が魂は燃え尽きる事なく…さらに強く熱く燃え上がる!!』
追い詰められたジャック…その身体を灼熱のオーラが覆っていく!!
『俺のターン!…ドロー─!!』カンコーン☆
『自分フィールドにモンスターが存在しない時!このモンスターは特殊召喚できる!来い!!「クリムゾン・リゾネーター」!』
背中に紅蓮の炎を背負った悪魔が現れる ATK800
『さらに!「スカーレッド・ファミリア」を召喚!』
鎧を纏った人型の炎の悪魔が現れる ATK1600
「ん…??『紅蓮の悪魔のしもべ』…!?」
《そのとーり…!
ジャックの場に現れた悪魔が遊海に仰々しい礼をする
「そして『ファミリア』の効果発動!自身をリリースする事で蘇れ!『レッドデーモンズドラゴン』!!」
ジャックの墓地から悪魔竜が再び復活する! DEF2000
『この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効になる…そして「クリムゾンリゾネーター」の効果発動!自分の場に存在するのがドラゴン族のシンクロモンスターのみの時!デッキから2体のリゾネーターを特殊召喚する!現われろ!「シンクローン・リゾネーター」!「ダブル・リゾネーター」!』
ト音記号を背負った悪魔、そして顔を2つ持つ悪魔が現れる ATK100 ATK0
『おおぉ─!!荒ぶるぞ…我が魂が!!さらなる進化を遂げようとしている!!名付けるならば…ネオ・バーニング・ソウル!!』
「なに─!?」
ジャックの身体を炎が包む…まるで全てを燃やし尽くす太陽のように!!
『俺はレベル8の「レッドデーモンズドラゴン」にレベル2「クリムゾンリゾネーター」レベル1「ダブルリゾネーター」レベル1「シンクローンリゾネーター」をトリプルチューニング!!』
「トリプルチューニングだと!?」
8+2+1+1=12
『王を迎えるは三賢人!紅き星は滅びず、ただ愚者を滅するのみ!荒ぶる魂よ…天地開闢の時を刻め!シンクロ召喚!現れろ「スカーレッド・スーパーノヴァ・ドラゴン」!!』
《ゴオオオァァァ!!!》
ジャックのフィールドでビックバンが起きる…現れたのはまさに紅蓮の龍神、ジャックの研鑽の極地…「スカーレッド・スーパー・ノヴァ・ドラゴン」!!
ATK4000
『な、何が起きたんだぁぁ!?ジャックの魂のカードが究極…いや、表現できる言葉が思いつかない!!まさに至高の領域に辿り着いたー!!!』
「なん、だと…!?」
遊海は言葉を失う、前代未聞のトリプルチューニング…そのモンスターは遊海の知識に無く、その雄々しき姿に見惚れてしまったのだ…。
『…「スーパーノヴァドラゴン」の攻撃力は墓地のチューナー1体につき500アップする!墓地のチューナーは4体!よって…』
スカーレッドスーパーノヴァ ATK4000→6000
「攻撃力6000…!!」
『バトルだ!「スーパーノヴァ」で「琰魔竜」を攻撃!!バーニング・ビックバン─!!』
紅蓮の彗星…否、隕石が琰魔竜を粉砕する!!
「うおおぉぉぉ─!?!?」
遊海LP5700→2700
『これが俺の手にした究極の力だ!!ターンエンド!!』
ジャックLP1000
スーパーノヴァ 手札0
「おお…効いたぁぁ…!すごいな…ジャック…!」
攻撃で吹き飛ばされていた遊海が立ち上がる、余りの攻撃の強さに額には血が滲んでいる…。
『どうだ遊海…!俺はさらなる進化を遂げた!!』
「ああ、凄まじい力だ…今の俺ではお前には敵わない…だが、決闘王の名に懸けて…俺は最後まで戦おう!!」
「俺のターン!ドロー!」
「リバースカードオープン!『リビングデッドの呼び声』!蘇れ!『レッドワイバーン』!!」
紅蓮の飛竜が現れる ATK2400
『無駄だ!「スーパーノヴァ」は相手の効果では破壊されん!!』
「そうだと思った…!さらにフィールドにシンクロモンスターがいる時『シンクローンリゾネーター』は特殊召喚できる!」
ト音記号を背負った悪魔が現れる ATK100
「さらに!自分の場に攻撃力1500以下の悪魔族チューナーがいる時!『風来王ワイルド・ワインド』は特殊召喚できる!」
緑のマントを羽織る獣人が現れる ATK1700
「俺はレベル6の『レッドワイバーン』とレベル3の『ワイルドワインド』にレベル1の『シンクローンリゾネーター』をチューニング!!」
6+3+1=10
「全てを喰らう蝿の王よ!全てを喰らい、我が手に勝利の美酒を齎せ!シンクロ召喚!『魔王超龍ベエルゼウス』!!」
2つの龍の首、そして悪魔の如き顔を持つ決闘竜の1体が顕現する! DEF4000
『2体目の決闘竜…!!』
「俺はこのままターンエンドだ!」
遊海LP2700
ベエルゼウス 手札0
『禍々しい姿だ…だが、お前の魂の声が聞こえるぞ遊海…「この俺を倒す!」と!』
「ああ、これが俺の切り札だ…俺は最後まで諦めない!!」
『俺のターン!ドロー!』
『バトルだ!「スーパーノヴァ」で「ベエルゼウス」を攻撃!!バーニング・ビックバン!!』
「『ベエルゼウス』は戦闘・効果では破壊されない!!」
紅蓮の隕石と邪龍の龍口が衝突する!!
『なるほどな…!!俺はカードを伏せ、ターンエンド!』
ジャックLP1000
スカーレッドスーパーノヴァ 伏せ1 手札0
「俺のターン…ドロー!!」
「『ベエルゼウス』の効果発動!!相手モンスターの攻撃を0にし、その数値分ライフを回復する!!
ベエルゼウスの身体から無数の蝿の大群がスーパーノヴァに群がる!!
『…誇り高き決闘王よ…これで決着だ!!リバース罠発動!『スカーレッド・レイン』!!自分の場にレベル8以上のシンクロモンスターが存在する時に発動できる!!もっともレベルの高いモンスター以外のフィールド上のモンスターを全て除外する!!』
「な…!?」
《ゴオオオァァァ!!!》
スーパーノヴァの咆哮が轟く…その咆哮と共に無数の隕石が降り注ぎ、全てを灼き尽くす!!
「見事…!!ターンエンドだ!!」
遊海LP2700
手札1
「ジャック・アトラス…お前に問おう!お前にとって『王』とはなんだ!!」
『!!』
負けを悟った遊海はジャックに問い掛ける…それは約10年前、海馬社長に投げかけられた言葉と一緒だった…。
『…俺にとって王とは自分の力で掴み取る強者の証…だった!だが、今は違う!「真の王者」とは導く者だ!俺は貴方のように…絶対的強さで全ての決闘者を導く!!その上で俺は頂点であり続ける!!それが俺の王道だ─!!』
それはジャックの魂の咆哮…守るべき者を手に入れたジャックからの手向けの言葉だった…。
「…ああ、安心した…お前にならば…
『俺のターン!!バトル!「スカーレッド・スーパー・ノヴァ・ドラゴン」で「決闘王」白波遊海にダイレクトアタック!!』
「バーニング・ビックバン!!」
紅蓮の隕石が遊海のライフを吹き飛ばした…。
遊海LP0
ジャックWIN!!
『け、決着─!!長きに渡る決闘!それを制したのは…キング!ジャック・アトラス!!デュエル界統一王座を手にしたのは…ジャック・アトラスだぁぁぁ!!!』
「「「「「うおおぉぉぉ!!!!」」」」」
会場全体が揺れるような歓声に包まれる…新たなる「王」の誕生に世界中が歓声に包まれていく…。
『…立てるか?遊海』
「ああ、サンキューな…ジャック、良いデュエルだった」
『フッ、それは俺のセリフだ…いつかは
デュエル場に大の字に倒れていた遊海をジャックが助け起こす…苦節10年、ジャックはついに世界の頂点に立ったのだ…。
「ジャック〜!!やったんだから〜!!」
『うおっ!?カーリー!?まだ早いだろう!!』
デュエルを終えたジャックにカーリーが抱きつく…流石にキングも好いた女性の勢いにはタジタジのようだ。
「フッ…さて、ジャック…お前はこれでスタンディング・ライディングの統一王者になった訳だが…俺からお前に渡すモノがある」
『なに…?』
「なんだろう?」
遊海の言葉にジャックとカーリーが首を傾げる…。
「コホン…観客の皆さん!!そして世界中の決闘者達!俺の言葉を聞いてほしい!!」
『おっと…!決闘王からお話があるようだ!観客の皆様!どうか一度耳を傾けてほしい!!』
スタジアムに響く遊海の声とMCの言葉で少しずつスタジアムが静かになっていく…。
「ありがとう…さて、俺は不在の20年を含めて30年間、『決闘王』の称号を背負ってきた!!だが、俺もトシだ!なので…俺の持つ『決闘王』の称号…それをジャック・アトラスに譲りたいと思う!!」
『な、なに─!!』
遊海の思わぬ言葉にジャックは驚きを隠せない…。
「…本来であれば以前のように『バトルシティ』を開くべきだろう…だが、世界中の決闘者と戦ってきた俺が断言する!現時点でジャックほど『決闘王』に相応しい者はいない!!…これは俺のワガママだ…だからスタジアムにいるみんなに問いたい!!俺に賛成する者は…新たな『王』を拍手をもって迎えてほしい!!…新たなる『決闘王』…その名は…ジャック・アトラス!!」
「「「「うおおぉぉぉ!!!!」」」」
『『『『わああああ!!!!』』』』
スタジアムが…世界が揺れる、その反応をもって…全ては決定した…!!
「ジャック・アトラス…今、この瞬間から…お前が『決闘王』だ!…後は頼んだぜ?」
『遊海……いや、白波遊海…確かに「決闘王」の称号、このジャック・アトラスが譲り受けた!!俺は誓おう!この称号に恥じぬ決闘者で、あり続けると─!!!』
ジャックは涙を流しながら遊海からの譲位を引き受けた…ここに、新たな決闘王が誕生したのだ!
「カーリー…いや、渚・アトラス…ジャックを支えてやってくれ…これからジャックはさらに大変になるからな?」
「は、はひ!わかりました遊海さん!!」
舌を噛みながらもカーリーが答える…
「それから…お前も身体を大事にな?」
「えっ…!?あ…!!」
遊海の言葉にカーリーが赤面する…。
「フッ…じゃあな、ジャック」
取材陣の対応に追われるジャック達を横目に遊海は控えへと去っていった…。
「……ふぅ〜…もう、だめだぁ〜…」
「遊海さん!!」
選手用の通路に入った瞬間、遊海は膝から崩れ落ちる…覚醒した『スカーレッドスーパーノヴァドラゴン』…その力は凄まじく、実際のダメージが遊海を傷付けていたのだ…。
「あとで、ジャックには伝えるだけ…伝えないとな…俺だからよかったけど…大怪我じゃ、済まないぞ…」
「もう…ジャック君も加減を知らないんだから…」
翠に支えられながら遊海は息も絶え絶えにつぶやく…
「お疲れ様、遊海…いい演説だったよ?」
「ジャックとのデュエル…本当にすごかったぜ!」
「よーし、あとでジャックに挑戦してみるか!」
疲れ果てた遊海のもとに遊戯、城之内、十代が訪れる…決闘王の名を返上した遊海を労う為にやって来たのだ…。
「ありがとう、みんな…ああ、俺は本当にいい友達を得たなぁ…」
「フフッ…本当ですね!さぁ、一休みして祝勝会に顔を出しましょう!」
「ああ…行こうか!」
そして遊海達は歩き出す、新たな未来に向けて…
──────────────────────
「…うん?あの子は…?」
「(オロオロ…)」
遊海達がスタジアムの通路を歩いていると1人の少女が目に入った…この通路はまだ関係者専用の場所である…。
「迷ってしまったみたいだね…ボクが声をかけてくるよ」
傷付いている遊海に変わって遊戯が少女に声を掛けに行く…。
「どうしたのかなお嬢さん?道に迷ったのかな?」
「えっ…あっ!??武藤遊戯、さん…!?」
声を掛けられた少女は遊戯に驚く!
「フフッ、そう!ボクは遊戯!友達に会いに来たのさ!」
「わわっ…!!城之内さんに十代さん…それに…白波、遊海さん…!!さ、サインください!!」
「おぉ!?俺達のファンだったのか…大方俺に会おうと探してたな?まったく…親御さんが心配するよ?」
「ご、ごめんなさーい…」
遊海の言葉に少女は色紙を抱いて俯いている…。
「まぁいいさ、サインを書いてあげよう!遊戯達もいいかな?」
「ああ!」
「やったー!!」
遊海達は少女から色紙を受け取りサインを書いていく…。
「よし…そうだ!君の名前を教えてくれるかな?」
「うん!『ハル』って言うの!」
「うん…『ハルちゃんへ…』っと!よし!出来た!」
「わーい!ありがとう!これからも応援してます!!」
「うん!ありがとうハルちゃん!これからもよろしくね!」
「うん!『かっとビングだよ』!!じゃあね〜!!」
「「!!」」
少女…ハルの去り際の何気ない一言…それに遊海と翠は目を見開いた…。
「おい…?遊海、翠?固まってどうしたんだよ?」
「先生…?」
様子の変わった遊海達を心配して城之内達が声を掛ける…
「…いや、ちょっと驚いただけさ…行こうか!」
「…?…うん!あっちには海馬君もいるらしいし…早く行こう!」
気を取り直した遊海達は会場に向けて歩みを進めた…。
「(彼女はおそらく『九十九春』さん…年齢は…10歳くらいかな、となると…60年は先か…目安がわかっただけよしとしようか…)」
─遊海は未来への道標を見つけた─
こんにちは!S,Kです!
これをもって断章は終わります…そして、戦いは新たなステージへ!ZEXAL編の執筆準備に入ります!
またしばらく不定期になりますが…今後とも応援をよろしくお願いします!!
そして…世界中で新型コロナウィルスが猛威を振るっています…予防にはとにかく手洗い・うがいを徹底的に!幸いにも重症化率はそこまで高くないそうです!落ち着いて収束まで耐えていきましょう!