転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
今回は遊馬とアストラルの覚醒回!
2人の心が重なった時、希望の皇帝は進化を遂げる!
それでは最新話をどうぞ!
「フォウ君ー?フォウく〜ん?」
「ん?どうしたんだ翠?」
決闘庵の件から数日が過ぎた、遊馬は無事にかっとビングと自信を取り戻したようだが…アストラルは未だに自信が戻ってはいないようだ、遊馬と共に移動する時にずっと「考える人」の姿勢で移動しているのはなかなかシュールである。
「遊海さん、フォウ君見ませんでしたか?さっきから姿が見えなくて…」
「ん?見てないな…みんなはどうだ?」
《私達は見てないよ?》
《ワシも見ておらん、いつもならワシの隣で日向ぼっこしておるが…》
《フォウならさっき見ましたよ!野良ネコと何か話して一緒に行っちゃいましたけど…》
「えぇ!?なんで止めてくれないの!」
フレアの言葉に遊海は驚いて声をあげる…。
《ネコとは帰巣本能が強い動物ですし、フォウは賢い子だから大丈夫かと…》
「…はぁ…確かに賢い子には違いないけど、ちょっと探してくる!アヤカ、トフェニ!頼むよ!」
《御意!》
《了解!とりあえずネコの反応を……ハートランドって意外にネコが多いですね…》
「足で探すしかないか…翠、フォウが戻ってきたら連絡をくれるか?」
「はい!気をつけて!」
遊海はフォウを探しに街へと向かった…。
「よ〜し!!カイト!何処からでもかかってきやがれ!新しくなったデッキで絶対に勝〜つ!!」
(……)
同じ頃、遊馬はアストラルと共に学校に向かっていた、新しいカードを手に入れた事でカイトへのリベンジに燃える遊馬に対してアストラルは未だに浮かない表情をしていた…。
(…私は遊馬のように楽観的な考えはまだできない…それほどまでにカイトは恐ろしい相手だった)
「アストラル…」
アストラルはカイトへの恐怖を拭えていない、純粋なタクティクス…そしてデュエルに対する鬼気迫る力の入れ方…記憶も力も戻りきっていないアストラルにとってあのデュエルはまさに「悪夢」とも言えるものだった。
「遊馬〜!」
「お!おっす小鳥!鉄男に委員長も!」
登校中の遊馬のもとに小鳥と鉄男、そして等々力が現れる
「遊馬君、ズバリこの記事を見てもらえますか?」
「ん?…『デュエリスト連続襲撃事件』…!?」
等々力がDゲイザーで1つのネット記事を遊馬に見せてくる…そこには最近になってデュエリストが襲われる事件が多発…その被害者は廃人に近い状態になってしまっている事、そして被害者は『No.』を所持していたという事が書かれていた…。
「遊馬君も『No.』を持っています…トドのつまり、この記事のように危険な目に遭うのではと心配なのですよ!」
「へ、へぇ…そそそんな事があったなんて本当に知らなかったぜ…(汗)」
(…遊馬、棒読みになっているぞ)
心当たりがありすぎる遊馬は等々力にシラを切る…なお、遊馬は他人に嘘をつくのが苦手な性格である。
「遊馬、嘘をつかないで!『No.』って…本当は危険なカードなんじゃないの!?」
「わ、悪いみんな!オレ、トイレに行きたくなったから先に行ってる─!!」ピュ-‼
「「「遊馬!!」」」
(遊馬、なぜ小鳥達に本当の事を言わない?)
「だってよぉ、カイトはあぶねえ奴だし…あいつらを巻き込みたくないんだよ…」
小鳥達から逃げるように学校に来た遊馬は屋上でアストラルと語り合う…他人の魂ごとナンバーズを奪う事ができるカイト…その戦いに何も知らない小鳥達を巻き込みたくなかったのだ。
「カイトの奴、またナンバーズを無理矢理集めてるみたいだし…やっぱりオレ達が直接行ってナンバーズを奪い返すべきじゃねぇか?」
(…そんな浅はかな考えで勝てるほどカイトは甘い相手ではない…)
「アストラル、お前…まだカイトが怖いのか?ナンバーズを集めなきゃお前の記憶は戻らないんだろ?」
(負ければどうなる…!私は消滅し、君は魂を奪われてしまうのだぞ!)
「アストラル、お前なぁ…」
『ねぇ遊馬!さっきから誰と話してるの?』
「うわぁ!?キャットちゃん!?」
屋上のさらに上…貯水槽の影から灰色の髪の猫耳少女が顔を出す…その少女はキャッシー…遊馬のクラスメイトであり遊馬に想いを寄せる恋する乙女である(猫耳は髪型である)
『覚えててくれたのね!ところでカイトって…?』
「じ、授業が始まるぞぞ〜!?急げー!」ピュ-‼
『あ、ちょっと〜!?』
…遊馬は嘘をつくのが苦手である(2度目)
「なぁ小鳥、委員長!いい事思いついたぜ!題して『ナンバーズクラブ』!遊馬が話さないつもりなら、俺達が自力でナンバーズについて調べるんだ!」
「鉄男君!トドのつまりいい考えです!僕も納得がいかない事があるのは気に食わないので協力しますよ!」
放課後…さっさと帰ってしまった遊馬に痺れを切らした友人達は自分達で謎に包まれた「No.」について調べる為にナンバーズクラブを発足させるという話になる…それが自ら危険に足を突っ込むと知りながら…
「私も…遊馬の助けになりたい!」
鉄男達の考えに賛同する…あの雨の日、深く傷付いてしまった遊馬を見ているしかできなかった事で、少しでも遊馬の助けになりたいと思ったからだった。
「なら…オイラも協力してやるウラ〜!」
「「徳之助!?」」
話しかけてきたのは表裏徳之助…一度遊馬から「No.」を奪った事もある悪賢い少年である…だが、一応は改心し遊馬の友人となった。
「話は聞かせてもらったわ…私も仲間に入れてくれる?」
「キャッシー!」
木の上からキャッシーが飛び降りてくる…話を全部聞いていたようだ…。
「さっき遊馬が屋上で誰かと話していたの…『ナンバーズ』とか『カイトに勝つ』とか…」
「それってきっと『デュエリスト襲撃事件』の手がかりですよ!」
「他にも手がかりを探しましょう…!ナンバーズクラブの初仕事よ!」
「「「「おーっ!」」」」
円陣を組んで決意する小鳥達だったが…
『…やめておけ、「No.」はお前達の手に負えるカードじゃねぇぞ』
「「シャーク!」」
陸王・海王事件後から学校へと普通に通いだした凌牙が通りがかりに小鳥達に忠告する…それは「No.」の危険性を知っているが故の言葉だった。
『あのカードは俺でも使いこなせないカードだ…お前達には危険すぎる、ナンバーズには関わるな』
「うるさいウラ!オイラ達は遊馬に協力したいだけウラ!みんな!行動開始だウラ!!」
「「おー!!」」
徳之助と小鳥以外の3人は凌牙の忠告を聞かずに走っていってしまう…。
「ごめん、シャーク…危ない事はしないから!」
『……』
小鳥も凌牙に一言伝えるとみんなを追いかけていった…。
『…たくっ、お前らの事を思って言ってるのによ…ん?』
《フォウ!キュ〜?》
無鉄砲なナンバーズクラブのメンバーにため息を漏らす凌牙…その足元に一匹のネコがじゃれつく…
『…お前、白野さんトコのフォウじゃねぇか…どうしてここにいる?』
《フォウ!フォ〜ウ!》
凌牙はフォウを抱き上げる…フォウはつぶらな瞳で凌牙を見つめている。
『ダメだな…白野みたいにはお前の言葉がわからねぇ…迷子なら送ってくぞ?』
《フォウ!キャーウ!》
『あ、おい!』
首を振ったフォウは凌牙の腕から飛び下りる…。
『「1人で帰れる!」ってか?まったく……白野さんのトコ戻ったら、遊馬の友達が危険な事をしてるって伝えられるか?』
《フォウ!》
一鳴きしたフォウはそのまま走っていった…。
『……わかってんだろうなぁ…?』
《フォウ!フォーウ!!》
「あっ!フォウ!やっと見つけたー!1人で何処に行ってたんだ〜?」
フォウを探し歩いて数時間…夕方の川辺で遊海はようやくフォウを見つける…。
「方向からして家に帰ろうとしたのか?出掛ける時は俺に一声掛けろって言っただろ?」
《フォウ!キャウ…フォーウ!》
「なに?小鳥達が危ない事をしようとしてる?…本当か!」
《フォウフォ〜ウ!キュー!》
「『No.』について調べる…!?まったく…世話が焼け「なんだって!!」ん?この声は…遊馬か?」
フォウの伝えた事に頭を抱える遊海…そこに聞き覚えのある声が聞こえてくる…それは焦った様子の遊馬と猫耳の少女ものだった…。
Side遊馬
「……」
放課後の遊馬は川辺で悩んでいた、小鳥達に聞かれたナンバーズの事を隠した事に…その時だった。
「ゆ、遊馬!!やっと見つけた!!」
「キャットちゃん!?どうしたんだよ、そんなに急いで…?」
キャッシーが息を切らせて焦った様子で遊馬のもとへとやってくる!
「大変なの!小鳥が、みんなが…ううっ!?」
「キャットちゃん!?」
突然、キャッシーが頭を抑えてふらつく…
【…ナンバーズカードを持つ者よ、我が名はジン…全てを見通す者にしてカイト様の下僕たるナンバーズハンター…君の友人達は預かった、彼らの命を助けたくば…我が館に来るといい…!】
「なんだって…!?」
キャッシーの口から彼女の物とは違う低い声が喋り、遊馬に言葉を伝える…!
「……うう…私…?」
「キャットちゃん!いったいみんなに何があったんだ!?」
「大変なのよ!!」
正気を取り戻したキャッシーに遊馬は状況を聞く、ナンバーズクラブが小鳥達によって結成された事…情報が集まらずに困ったあげく最近話題の「占いの館」を訪ねた事、その館の主がナンバーズハンターであり、罠で全員が捕まる直前にキャッシーだけが逃げ延びたという事を聞かされた…話を聞いた遊馬は拳を握り締める…!
「キャットちゃん!その場所に案内してくれ!!」
(待て遊馬!これは「罠」だ…彼女は私達をおびき寄せる為に
「罠だからってなんだってんだ!小鳥達を助けにいかないと!!何ビビってんだアストラル!!」
遊馬はアストラルに向かって叫ぶ…!
(カイトのタクティクス、そして力は私を超えている…今の私達に勝てる保証はない)
「っ…!!お前は100%勝てるデュエルしかしねぇのかよ!!」
(そうだ、デュエルとは私にとって「生きる意味そのもの」…負けると分かっている相手と戦うなど…愚かな行為だ、残念だか君の友人達は諦め──)
「っ〜!!!ふざけんなぁ!!」ブン!!ドシャ…
「遊馬!!」
遊馬はカイトに恐怖し小鳥達を見捨てようとするアストラルを殴りつける…だが、アストラルの身体は霊体…遊馬の拳は空振り、勢いのまま地面に倒れ込む…
(遊馬…)
「分かったよ…お前の気持ちはよくわかった!!お前の力なんて借りるかよ!!!」
遊馬はアストラルの力を借りずにナンバーズハンターへと挑もうとする…!
「…なんだか大変な事になってるみたいだな」
《フォウ!!》
「白野…!!小鳥達が!!」
「話は粗方聞いた…!乗っていけ!!」
遊海は川辺に止めたバイク…Dホイールを指差す…!
「頼む!!」
遊海は遊馬、そしてキャッシーと共に敵のアジト…占いの館へと向かった…。
SideOut
「おらぁ!!みんなを返せぇぇ!!」
『ククク…!来ましたね、ナンバーズを持つ者よ…!我が名はジン…カイト様の忠実なる下僕…!』
遊馬達は占いの館へと殴り込みをかける…そこにはダークシグナーじみたローブを着た怪しげな男…そして彼の後ろの水晶には、溶岩が埋め尽くした部屋で恐怖で震えている小鳥達の姿があった…!
《フォウ!!》
「てめぇ…!!小鳥達を返せ!!」
『フフフ…!お友達を助けたくば私とデュエルする事です…!カイト様の御前で!!』
(っ…!!)
ジンはある方向を指し示す…そこには玉座があり、そこでカイトが鋭い眼光でこちらを見下ろしていたのだ…。
アストラルはその姿を見ただけで動揺をみせている…。
『ああ、カイト様…これからあの者のナンバーズを貴方様に捧げますぅぅ!!』
「っ…!」
「…遊馬、俺が戦ってもいいんだぞ?奴は中々に強そうだ」
遊海はデュエルディスクを見ながら遊馬に問い掛ける…
「いいや、白野…これはオレの戦いだ!小鳥達が無茶をしたのはオレのせいだ…オレがみんなを助ける!!」
遊馬は提案を断り、前に歩み出る!!
「そうか…見せてみろ遊馬、お前の成長を!!」
「キャットビングよ!遊馬!!」
《フォーウ!!》
覚悟を決めた遊馬に声援を送る!!
「『デュエル!!』」
デュエルダイジェスト 遊馬対ジン
16
『現われろ!「No.16色の支配者ショック・ルーラー」!!』
デュエル序盤、ジンは鳥のようなナンバーズ「ショック・ルーラー」を召喚する…その効果は魔法・罠・モンスターの三種類からカードの種類を選択し、その発動を相手の2回目のエンドフェイズまで封じるという強力な効果…しかも、ジンは自称「占い師」、自身の能力だという「透視」の力で遊馬の戦略を潰そうとする…だが、遊馬も負けてままでは終わらない…!
「オレのターン…ドロー!よっしゃ!!来い!『クリボルト』を召喚!」
遊馬の場に現れたのは電気を纏うクリボー…そのモンスターがピンチを切り開く力になる!
「『クリボルト』は相手のORUを取り除いて『クリボルトトークン』を特殊召喚できる!さらに魔法カード『ボルテージサモン』を発動!2体の『クリボルトトークン』をリリースしてデッキから『ガンバラナイト』と『カゲトカゲ』を特殊召喚!オレは2体のモンスターでオーバーレイ!!」
39
「現われろ!『希望皇ホープ』!!」
《ホープッ!!》
遊馬のエースモンスターたるホープが逆境を切り拓く光となる!
「『ホープ』で『ショックルーラー』を攻撃!!さらに『クリボルト』でダイレクトアタック!!」
『チィィ!!』
遊馬はナンバーズを撃破し追撃…ジンにダメージを与える!!
『おのれ餓鬼がぁ…!!お前にはさらなる苦痛を味あわせてやる!!』
ナンバーズを倒された事でジンはその本性を曝け出す…!
11
『現われよ「No.11」!幻惑の瞳を持つ支配者…!「ビックアイ」!』
ジンは自身の切り札…巨大な目を持つ三角錐型のモンスター「ビックアイ」を召喚する、その効果は…
『「ビックアイ」の効果発動!ORUを一つ取り除き、相手モンスターのコントロールを得る!我が下僕となれ!「希望皇ホープ」!!』
(「なんだと!?」)
巨大な瞳から怪しいエネルギーが放たれてホープのコントロールが奪われる!
『「希望皇ホープ」よ!「クリボルト」を攻撃しろぉ!!』
「ホープッ!!うわぁぁ─!?」
ホープによって攻撃を受けた遊馬は大きくライフを削り取られる!
『フハハハハ!!我が真の力はカイト様に匹敵するぅ…!せいぜい死の恐怖に怯えるがいい!!』
さらにジンの猛攻は続く…発動した罠「氷結の舞」で手札からのモンスターの召喚・セットを封じられ、壁のない状態で再び攻撃が襲いかかる!!
『バトルだ!「希望皇ホープ」と「ビックアイ」でダイレクトアタック!!』
「まだだぁ!!罠カード『奇策』!手札の『ドドドウォリアー』を捨ててその攻撃力分『ビックアイ』の攻撃力を下げる!さらに罠カード『エクシーズ・ウェイト』!『ホープ』の攻撃力をエンドフェイズまでORU1つに付き800ダウンさせる!うわぁぁ!!」
「ショックルーラー」の封印から解き放たれた2枚の罠でダメージを軽減させる遊馬…その残りライフは…わずか100…!!
『しぶとい餓鬼め…!だが、永続魔法「弔いの舞」を発動!これで墓地からモンスターを特殊召喚する事はできない!!貴様の場はガラ空きで手札は0!!そして私の場には強力なモンスターが2体!!勝ち目はなぁい!次のターンで貴様とお友達はお終いだ!!』
「ぐっ…!くそぉ…!!」
心身共に追い詰められた遊馬…そこにジンが語り掛ける…
『ああ…お友達を助けるいい方法があるぞ?サレンダーして「No.」を1枚残らず私に差し出すのだ…!いい取引だろぉ…?1人の犠牲で仲間を救えるんだからなぁ…!さぁ、どうするぅ…?』
(………やはり、奴とは戦うべきではなかった…!もはや勝機はゼロに近い…今の私達にできる最善手は……「No.」を奴に渡す事だ…遊馬、ナンバーズを…私を奴に差し出せ…私も、君と共に消滅…)
「ふ…ふざけんじゃねぇ!!」
戦意を失ったアストラルの言葉を遊馬の怒声が遮る!
「オレはデュエルでたくさんの奴と出会ってきた…!負ける事もあった…だけど、一緒にデュエルをやった奴はみんなオレの大事な仲間なんだ…!そんな仲間を…オレは一人だって見捨てる事は出来ねえ!…お前も、オレの
(遊馬…)
今まで遊馬はアストラルの事を成り行きの「同居人」だと思ってきた…だがそれと同時に2人は力を合わせて様々な強敵を乗り越えてきた…意見がぶつかって喧嘩する事もあった…しかし、決闘庵での戦いを通じて遊馬は気づいたのだ、他人に姿が見えなくとも、存在を認識してもらえなくても…小鳥達やデッキのモンスターと同じく、アストラルもかけがえのない「仲間」なのだと!
「…聞こえるかアストラル!…九十九遊馬っていう男はな、根っから優しい奴なんだよ…お前が遊馬をどう思ってるかは知らん!だけどな…お前はもう、遊馬にとってなくてはならない存在なんだ!!」
(岸波白野…!私を認識していないのに…この、想いは…!)
「白野…!」
遊馬に続いて遊馬から投げかけられた言葉にアストラル
の心が…魂が震え始める…!
『何を1人で話してやがる!さっさとサレンダーしやがれ!!』
「断る!!オレは…最後まで諦めねぇ!!」
ジンの提案を遊馬は切り捨てる!!
『いいだろう…カイト様はお前が魂を抜かれて倒れ伏す姿を見たがっている…!!貴様を倒してその魂ごと献上してお喜びいただくのだぁ!!』
「っ…!カイトォ!!こんな奴がお前の仲間なのかよ!!お前のデュエルは…こんな奴と一緒なのかよ─!!」
【………】
遊馬の言葉に王座に座るカイトは応えない…それどころか、今まで
「…というか、そこにいるのは
ギクッ「な、何を言っている!!そこにいらっしゃるのは…」
「フッ…
「にゃんと!?」
遊馬の言葉と同時に遊海は高く高く跳び上がる!
『なんだと!?』
「卑怯な真似を…するんじゃねぇぇ!!セイヤアアアア!!」
ドッガァァァン!!
(何という身体能力だ…!?)
飛び上がった遊海はライダーキックで玉座ごとカイトを粉砕する…そして階段から
《フォーウ!!》ペシペシ‼
『馬鹿な!私のカイト様が!?』
「薄暗い場所で見間違えるのはしょうがないが…人形と生きてる人間の見分けぐらいつくだろ?2人とも、カイトって奴の幻影を恐れてたんだよっ…と!!」ボッゴォン!!
遊海は背後の壁ごとカイト人形の残骸を拳で粉砕する…
「やっぱりそうだったのか!オレはカイトとデュエルした…たしかに怖いぐらい強い奴だったけど…人の苦しむ姿を見て楽しむような奴じゃねぇ!!絶対にカイトはお前みたいな卑怯な奴じゃねぇ!!」
遊馬は勝ち誇ったようにジンを指差す、遊馬はデュエルを通して感じていたのだ…「天城カイト」の魂を…!
(私は…あんな人形に恐怖していたのか…)
「へへっ…オレもビビってたさ!でも、諦めなければ誰にだって希望は残ってる…かっとビングだ!アストラル!」
(…そうか、私に生まれた感情は恐怖だけではなかった…君から伝えてもらった大切な想い、それは…私は君と、君の仲間の為に…勝ちたい!!)
遊馬とアストラル…人間と精霊、初めてその気持ちが一致する…その強い思いが奇跡を呼び寄せる!!
キィン─!!
「これは…!?」
遊馬の持つ皇の鍵から放たれた光がアストラルに直撃する、その光は新たな力の兆し…勝利の方程式は…ここに完成した!
《勝つぞ…遊馬!!》
「おう!!オレのターン!!…よし!魔法カード『カムバック』を発動!戻ってこい!『ホープ』!!」
『なにぃ!?』
ホープがビックアイの洗脳から開放され、遊馬のもとに舞い戻る!
(遊馬、エクストラデッキを見ろ…それが私の…我々の新たな力だ!!)
キィン─!
遊馬のエクストラが強い光を放つ…そのカードこそが2人の新たなる力!
「いっくぜぇぇ!オレは『希望皇ホープ』でオーバーレイネットワークを再構築!!」
『なんだと!?』
ホープが白い塔のオブジェに戻り、銀河へと飛び込む!!
「オレは『希望皇ホープ』1体でオーバーレイネットワークを再構築…カオス・エクシーズチェンジ!!」
39
(「今こそ現われろ!『CNo.39』!混沌を光に変える使者!『希望皇ホープレイ』!!」)
遊馬の場に巨大な剣と盾のオブジェが現れて展開…黒き鎧と大剣を持つ混沌の使者…ホープレイが顕現する!
「現れたか…『ホープレイ』!」
『カオスナンバーズだとぉ!?だ、だが攻撃力は「ビックアイ」が上だぁ!!』
「『ホープレイ』の効果発動!ORUを1つ使う事で自分の攻撃力を500アップし、相手の攻撃力を1000下げる!その効果をオレは3回使う!!オーバーレイ・チャージ!!」
『ば、馬鹿なぁ!!』
「いっけぇ!!『ホープレイ』!ホープ剣・カオススラッシュ!!」
ホープレイがORUを吸収…翼が第3・4の腕に変化し巨大な大剣でビックアイを両断した!
『ぐっ…ぎゃああああああ!!!』
ジンLP0
遊馬WIN!
「遊馬〜!」
「小鳥!みんな!無事だったのか!!」
デュエルが終わり、ナンバーズを回収したタイミングで囚われた仲間達が戻ってくる…実は彼らのいた部屋はデュエル場所の下の階で、溶岩の幻を見せられていたのだ…。
「ねえ!あなたがアストラル?」
(なに…?私が見えているのか!?)
「えぇ!?」
小鳥の思わぬ言葉にアストラルと遊馬は驚く…
「どうやらさっきの光で一時的にみんなアストラルが見える状態になってるみたいだな、俺にも見えてるぞ?」
「マジで!?」
「初めましてウラ!オイラは徳之助ウラ!」
「委員長の等々力です!よろしく!」
(私はアストラル、遊馬の
((観察結果その14…仲間がいれば希望を信じる事ができる…ありがとう遊馬、私を仲間と認めてくれて…))
アストラルは新たな観察結果を記録する…その顔は今までで一番良い顔をしていた…。
「…なんだよみんなアストラルばっかり…ガッかリングだぜ…」
ナンバーズクラブの面々は初めて見るアストラルの姿に興奮して遊馬は仲間外れになっている…。
「ドンマイだな遊馬、しばらくすればその効果も切れるだろうさ…さて…!」
遊馬を慰めた遊海は倒れたジンに歩み寄る…。
「…おい、てめぇ…よくも俺の弟子に卑怯な真似でデュエルをやらせやがったなぁ…!!」
『ヒッ…!!』
凄まじい怒気を込めた遊海の言葉にジンは震え上がる…
「闇のゲームを強いた者には
『ギッ、ギィヤアアアア!!?』バリーン!!
「ゆ、遊馬君?…あの人は何を…?」
ジンの叫び声に驚いた委員長が遊馬に問い掛ける
「ん?ああ…気にしなくていいぜ?あの人はエジプトの秘宝・千年アイテムを持ってるんだよ…今のは…あいつに怖い幻を見せた上で精神をバラバラにして目を見えなくしたんだな…きっと、…あの人は絶対に怒らせちゃダメだからな?」
(「「「「なにそれ怖い」」」」)
遊馬の言葉に全員の考えは一致した…。
「よし!お仕置きも終わったし解散だ!解散!みんなの親御さんが心配するから早く帰れよ〜」
「「「「は、はい!!」」」」
(…観察結果その15…岸波白野は怒らせてはならない…彼はいったい何者なのだ…?)
アストラルは疑問を抱く…常人離れした身体能力に知識、そして力…遊馬達がその正体を知るのはまだ先の話である…。
「あ、『No.30』の回収忘れてた……まぁ、しょうがないな!」
《フォ!?》(特別意訳:ダメでしょ!?)
《カイトサマ…これは…》
「…フォトン・ハンドとは別の技術によって魂ではなく、精神を壊されているな…」
『(ピクピク)』
遊馬達が去った後の占いの館にカイトが訪れる…先ほどのデュエルのエネルギーを感知してやってきたようだ…なお、ジンは白目を剥いて痙攣しながら泡を吹いている…。
《カイトサマ、隠されていた「No.」を発見しましたでアリマス!》
カイトの相棒オービタル7がカードを手渡す
「ほう…面白い効果だな、では回収するとしよう…」
カイトはフォトンハンドでジンの魂を抜き取った…。
「(この男をこうしたのは九十九遊馬ではない…ならば誰だ?調べる必要は……保留にしておこう、今は「No.」を集める事が先決だ)」
小さな疑問を抱きながらカイトはその場をあとにした…。