転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
やっぱり執筆に波ができてしまいました…ごめんなさい!
それでは最新話をどうぞ!
─助けて…─
…声が、聞こえる…
─助けて、兄さん…!!─
助けを求める声が……
─水の中の月…白い、お城…!─
「ぐっ……うぅ…夢、か…?」
眠っていた遊海が目を覚ます…病室は暗く誰の姿もない、窓から射し込んだ月光が病室を静かに照らしている…。
「全身、痛ぇ…流石に…無理が祟ったか…」
痛み止めの効果が切れたのか…はたまた無茶ばかりする遊海に翠が怒ったのか…遊海はミイラ状態で全身を蝕む痛みに顔を歪める…。
「(さっきの声…天城ハルトの声か…?なんで俺に…?)」
天城ハルト…天城カイトの弟であり、Dr.フェイカーの次男…生まれつき病弱であり…バリアン世界からもたらされた力で命を繋いでいる少年、バリアン世界由来の力は凄まじく…空間を削り取る力とアストラル世界に攻撃を仕掛ける事のできる超能力を持っている…。
「(…ぁ…ダメだ、また、意識が…落ち、る…)」
─…助けて…─
声が…聞こえる…
─助けて、兄さん…!絵本のヒーローみたいに…─
………
─ぼくを…助けて…─
「…助けを求められて…応えない訳には…いかない、よな…!」
Side遊馬
「ハルト!何処にいるんだ!返事をしてくれぇ!!」
「ハルト君─!!」
(迂闊だったな…あの男がカイトの関係者ではなかったとは…)
夜のハートランドシティを遊馬と小鳥が駆け回る…彼らが探しているのはカイトの弟…ハルトだった。
事の始まりは数時間前に遡る、飛行船事件や徳之助のルール違反による追放騒動とNo.96による反乱、そして犬の言葉が解る少女との騒動を解決した遊馬は夕方の道でふらふらと歩く少年を見つける…それはカイトの弟・ハルトだった。
以前、カイトの研究所の写真でハルトの顔を知っていた遊馬は慌ててハルトを保護したが…彼は強力な超能力を持ち、車に穴を開けるばかりか遊馬や遊海にしか見えなかったアストラルさえも見る事ができる程だった。
その後、遊馬はハルトを自宅に連れ帰り食事を共にし、楽しい一時を過ごした…だが、ハルトは突然姿を消してしまう…。
ハルトの目的…それはフォトンモードの副作用によって身体がボロボロになっていたカイトを元気づける為に、かつてカイトが渡してくれた「四角く、小さく、甘いもの」…キャラメルをカイトに渡す為にハートランドタワーから脱走して街へとやってきたのだ…だが、バリアンの力の副作用で意識が朦朧としているハルトは過去の記憶を頼りに街を彷徨い歩く…。
その途中、遊馬達は彷徨い歩くハルトを発見したが…同じようにハルトを探していたMr.ハートランドの部下であり、WDCの運営委員ゴーシュとドロワと鉢合わせしてしまう…だが、それは本当に運が悪かった…ハルトを探していたゴーシュ達は「ヘリコプター」に乗っていた…ヘリコプターはハルトにとっての「トラウマ」になっており…恐怖によってハルトは自分の力を暴走させてしまう…。
荒れ狂う破壊の嵐…ハルトの記憶を読み取ったアストラルは遊馬にキャラメルを探すように告げる…そして遊馬は小鳥がたまたま持っていたキャラメルをハルトに渡し暴走を止める事に成功した…。
だが、事件はまだ終わっていなかった。
ハルトの暴走が収まった直後…1台のヘリコプターが現れる、そこに乗っていたのはゴーシュ達ではなく銀髪長身の青年だった。
青年は「Mr.ハートランドの使い」を名乗り、ハルトを連れて行った…だが、彼は
あとから駆けつけたゴーシュとドロワに詰問を受ける遊馬…そこに現れたのはハルトの失踪に気付いて駆けつけたカイトだった。
アストラルと小鳥の力を借りながら誘拐犯の特徴を伝えた遊馬はハルトと交わした約束…「必ずカイトに会わせる」という約束を果たす為にハルトを探し始めたのだ…。
「くっそ〜!なんでこんな時に白野と連絡がつかねぇんだよ〜!?あの人の力が借りられればすぐにハルトを見つけられるのに─!」
「無いものねだりしちゃダメよ遊馬!昼間の白野さんの様子を見たでしょ!?白野さんは私達が困ってるって知ったらどんなに体調が悪くても来ちゃう人よ!」
「っ…そうだよな…!でも、手がかりがないんじゃ探しようがねぇぜ…」
遊馬は頭を抱える…ヘリコプターで連れ去られたハルト、その手がかりを探す方法は…ない…。
(…一度わかっている情報を整理しよう…遊馬、何故ゴーシュとドロワはハルトを探している?)
「それは…カイトの仲間だからじゃ…?」
遊馬はアストラルの問いかけに答える
(確かにあの2人はカイトの仲間だろう、だが…カイトとゴーシュは仲が良いようには思えない、つまり…彼らは誰かの指示でハルトを捜索しているのだろう…彼らはWDCの運営委員も兼ねている、つまり…その上司は…)
「Mr.ハートランド…」
遊馬はハートランドシティに映し出されるMr.ハートランドの立体映像を見る…。
(そして…そこから新たな事実が導き出される、カイトはハルトの事を「病気」だと言った、そしてカイトによる鬼気迫るナンバーズ狩り…さらに「悪魔に魂を売った」という言葉……おそらくだが、カイトはハルトの事を人質に取られ…ナンバーズを集めさせられている、そして…その黒幕は…)
「Mr.ハートランドが…悪魔…!」
(まだ仮説に過ぎないがな…だが、問題なのはハルトが私達でもなくハートランドの勢力にも属さない「第三者」に攫われてしまった…という事だ)
「っ…なんで、ハルトを狙うんだ…!」
拳を握り締めた遊馬は夜空を見上げた…。
SideOut
Sideトロン
【さあ、儀式を始めようか…!】
月明かりの照らす何処か…そこでトロンは楽しげに嗤う…彼の目の前には気を失ったハルト…そして妖しく輝く紋章が刻まれている…。
【今、この瞬間から私の復讐は始まる…!待っていろDr.フェイカー…!】
トロンはハルトの隣に寝そべり、紋章の力を起動する…すると2人は空中に浮かび上がりハルトに紫色の鎖が巻き付いていく…トロンはハルトの超能力を奪い盗ろうとしているのだ…!
【ああ…見える、見えるぞ…!これが「アストラル世界」…!感じるよ…ハルトの力を!!】
ハルトの力を奪い始めたトロンの脳裏に美しく輝く青い銀河が現れる…!
【素晴らしい…素晴らしい力だハルト!!この力を全て私のものに…!】
「うぅ…やめ、て…!助けて…兄さん─!!」
儀式の場にハルトの助けを求める声が木霊した…。
SideOut
Side遊馬
(っ…ハルトが助けを求めている…!)
「なんだって…!?ハルトが!?」
「えっ…!ハルト君に何かあったの!?」
アストラルにハルトの声が届く…苦しみ、助けを求める叫びが…!
(っ……「水の中の月」、「白いお城」…!遊馬!ハルトの居場所の手がかりだ!)
「水の中の月に、白い城…!?ハートランドにそんな場所…」
遊馬は夜空を見上げる、そこには輝く満月が浮かんでいる…。
「それって…街外れの使われてない美術館の事じゃないかしら…!たしか湖の真ん中に……あった!!」
遊馬の呟きを聞いた小鳥がタブレットで心当たりを調べる…そこには湖の真ん中にある城のような外観の古びた美術館が写っていた。
「白い城に湖…!きっとここだ!そうと決まれば…カイトに連絡だ!!」
遊馬はオービタル7から教えられたアドレスに連絡を取り、自分達も急いで美術館へと向かった…!
「ここにハルトが…!」
遊馬達は街外れの小さな湖の畔に辿り着く…湖の中心にはステンドガラスで彩られた白い美術館が月明かりに照らされている…。
「あっ…!カイトよ!」
「カイト!!」
小鳥が空を指し示す…そこにはちょうどグライダーで駆けつけたカイトの姿があった。
「カイト!ハルトはあの美術館の中にいる!」
「…何故、ハルトがこの場所にいるとわかった…!」
「えっ…それは、なんというか…アストラルにハルトの声が聞こえたとしか…まぁ、どうでもいいじゃんか!」
「お前に何がわかる…!!兄弟でもないお前に、ハルトの何がわかる!!」
強い口調で遊馬に話しかけるカイト…カイトにもハルトの叫びが聞こえていた…その声が誰かに聞こえていた事が気に入らないらしい…。
「カイト!今は争ってる場合じゃねえ…!2人でハルトを助けるんだ!」
「お前の力など必要ない…貴様は帰れ!」
「帰れる訳ないだろ!?…ハルトを渡しちまったのはオレの責任だ…それにハルトと約束したんだ!お前に会わせてやるって!!だからハルトを無事にお前に会わせるまで…オレは絶対に帰らねぇ!!」
カイトに啖呵を切る遊馬…その時だった…!
ゴゴゴ…ザバーン!!
「水の中から道が…!」
(どうやら…相手に気付かれたらしい…!)
湖の中から美術館へと続く道が現れた…!
Sideトロン
『来やがったか、意外に早かったなぁ…つけられたんじゃねぇか?Ⅴ』
『ありえない、ここがわかったという事は…もはや直感のようなものだろう』
監視カメラに映し出された遊馬、そしてカイトの姿を見たⅣは獰猛な笑みを浮かべ、歩き出す。
『ま、どうせいつかはブッ潰さなきゃならない奴らだ…早いも遅いもねぇな…行ってくる』
『…無理はするな』
『ああ…?オレには奴らを倒せねぇってか?』
『カイトは強敵だ、倒すことにこだわるな…トロンの儀式が終わるまで時間稼ぎをしてくれればそれでいい』
去ろうとするⅣの背中にⅤが注意を促す、それはⅤ…クリス自身がカイトの強さを知っているが故の言葉だった。
『へっ…始まっちまったらわからねぇなぁ…!奴らの命の保証もできねぇ』
『はぁ…Ⅲ、頼んだぞ』
『はい、Ⅴ兄様』
Ⅳの
「(あの人が今のトーマスを見たらなんと言うだろうか…ミハエルを見たら……翠さんは…泣いてしまうだろうな……それでも、私達は……!)」
儀式の様子を見つめながらクリスは拳を握り締めた…。
「ハルト!何処にいるんだ!!ハルトォォォ─!!」
美術館へと突入した遊馬達…美術館の中は静まりかえり…カイトの叫びが木霊する…
『くくッ…ハハハハ!!やっと会えたな天城カイト!待ってたぞぉ?』
「この声は…!!」
「まさか…!」
闇の中から声が響く…遊馬、そして小鳥はその声に聞き覚えがあった…!
『この先には行かせないよ…!』
美術館の石像の上から2人の人影が現れる…それは…
「「Ⅳ!?」」
「奴を知っているのか?」
「あいつはⅢとⅣ…!Ⅳの奴はアジアチャンピオンで…オレの仲間をデュエルで傷付けた奴だ!!」
遊馬はⅣを睨みつける…その様子を気にしないでⅣは遊馬達に歩み寄る。
『へぇ、誰かと思えば…そっちは仲間の復讐にやってきたか…いいぜぇ…!いつでも受けてやる』
「貴様…ハルトを何処に隠した!!」
カイトはⅤに向かって叫ぶ…!
『はっ…生きてるから大丈夫だよ…今のところはなァ?』
「テメェ…ハルトを返しやがれ!!」
『すぐに返すわけにはいかねぇなぁ…今は取り込み中でねぇ…!無理を通して弟を助けたいって言うなら…オレ達を倒していきな!!』
ビシュン!!
「っ…デュエルアンカー…!!」
Ⅲからカイトへ…そしてⅣから遊馬へとデュエルアンカーが巻き付く!
「望むところだ…貴様達を倒し…ハルトを返してもらう!!」
「オレもやるぜカイト…!オレとお前でハルトを助けるんだ!!」
遊馬達はハルトを救う為に戦いを挑む!!
『「『「デュエルディスク!セット!」』」』
「Dゲイザー…セット!」
「狩らせてもらうぞ…貴様達の魂ごと!!」
遊馬はDゲイザーを装着し、カイトの左目を青い紋様が縁取る!
『『ハッ!』』
ⅢとⅣの左目にも同じようにオレンジ色と紫色の紋様が現れる!
(憎しみに心を囚われるな遊馬…憎しみに心を囚われれば…デュエルは乱れる)
「…わかってる、オレはデュエルを…復讐の道具には使わねぇ!!」
アストラルのアドバイスに頷いた遊馬は戦いへと臨む!!
「「『『デュエル!!』』」」
Sideトロン
『ついに来たか、カイト…』
モニターでⅣ達の様子を見つめていたⅣがポツリと呟く…その表情は心なしか悲しげなものだった…。
【Ⅳ達のデュエルが始まったのかな?…ああ、感じるよ…強い
ハルトの力を吸収しながらトロンが左目を赤く輝かせる…!
【そして…そろそろ
『ご馳走…?それは─』
トロンの言葉に疑問を抱くⅤ…その時だった…!
ドガン!! ズドォォン!!
『っ…!?なにっ!?』
突如としてトロン達のいる広間の屋根がぶち抜かれ、何かが部屋へと現れる…!
「少し、遅かったか…だが、まだ…間に合う…!!」
【君なら来ると思っていたよ、昨日振りだねぇ?…岸波白野…!】
所々が欠けた鋼の鎧を纏い、遊海がトロン達の前に現れた…!!
『白野…!』
「…見損なったぞクリス、俺の知るお前は…幼子を危険に晒すような男ではなかったはずだがな…!!」ズン!!
『っ…!!?』
クリスに対して遊海は殺気を飛ばす…その殺気はクリスに強い圧力を与える…!!
【ふふふ…怖い怖い…!視線だけで人が死んじゃいそうじゃないか…悪いけどボクは取り込み中でね…後にしてくれないかな?】
「なぁに…すぐに終わるさ!その少年を助ければなぁ!!」
遊海は紋章の魔法陣に横たわるトロンとハルトに向かって駆け出す!!
「(今の俺には、戦闘や…闇の決闘を耐える余力はない…!ハルトを回収してすぐに遊馬と合流する…!そうすれば…
トロンは決勝大会ギリギリまで人前に出る事はしなかった、自分を貶めたDr.フェイカーに自分が生きて戻ってきた事を知られない為に…そこで遊海はハルトを救出し、すぐに遊馬のもとに行く事でトロンの追撃を防ごうとしているのだ…!
『トロン!!』
【ああ…優しい君なら
ギィン! ジャラジャラジャラ!!
「っ…!?こんなもの─!!」
あと数メートルでトロンのもとに辿り着く直前、遊海の足下で紋章の魔法陣が起動…紫の鎖が遊海の手足を拘束する、だが…遊海にはその程度の鎖は問題にはならない…
【白野、君はたしかに肉体的にもデュエリストととしてもボクより強いかもね…でも、それは君が
バリバリ…バチバチバチバチ!!
「ぐっ…!?ガア"ア"ア"ア"─!!!」
トロンが指を弾く…それと共に遊海の全身に巻き付いた鎖、そして紋章から凄まじい威力の電撃が放たれ、遊海を蹂躙する!!
《マスター!!今助け─ぎゃ!?》バチン!!
《アヤカ!!》
遊海を助けようとしたアヤカが赤雷に弾かれ弾き飛ばされる!!
【無駄だよ?その紋章はボクにしか解けない特別性…精霊だろうと実体があるなら全てを灼き尽くす、ボクの復讐の赤雷さ…!そこで見ていなよ白野…ボクがハルトの力を手にする瞬間を!!】
「トロン…!き、きさまッ…!あ"あ"あ"あ"!!」
全身を灼く電撃を受けながら遊海は苦悶の叫びを上げた…。
デュエルダイジェスト 遊馬&カイト対Ⅲ&Ⅳ
ハルトを救う為に始まった遊馬とカイト、そしてⅢとⅣのタッグデュエル…だが、その幸先は良いものではなかった…。
「オレのターン!フィールド魔法『
カイトがフィールド魔法を発動する…すると周囲が宇宙空間へと姿を変えていく…!
「『光子圧力界』が発動している時に自分が『フォトン』または『光子』モンスターを召喚した時!『フォトン』モンスターをコントロールしていないプレイヤーに召喚したフォトンモンスターのレベル×100のダメージを与える!!」
「うぉい!?ちょっと待て!それじゃあオレまでダメージを受けて…!?」
「お前の力なぞ必要ない…ナンバーズ使いは全員オレの敵だ!!ハルトはオレの手で助け出す!!『フォトン・クラッシャー』を召喚!!そして『光子圧力界』の効果により全員に400ダメージだ!」
「うわあぁぁぁ─!?」
カイトがモンスターを召喚する…そして宇宙から降り注いだ隕石群が遊馬諸共フィールドを蹂躙する!
『ククッ…!仲間もお構いなしか…オレ好みだぜぇ…!』
ダメージを受けたにもかかわらずⅣは獰猛に笑う…!
「くっそ〜!お前がそのつもりなら…オレだって…!」
(待て、遊馬…このデュエルに勝利する為には…カイトと協力すべきだ)
「何言ってんだよアストラル!カイトが好き勝手やってるのに…!」
アストラルの助言に遊馬が抗議の声を漏らす…。
(…忘れたのか?このデュエルには我々だけではない、
「っ…!そうだよな…その事を忘れてたぜ…!」
アストラルの言葉で遊馬は冷静さを取り戻す…。
『フッ…!お前はどうやら何も知らないようだなぁ?』
「なに…?」
『カイト。お前はハルトのために戦いを強要された哀れな兵士…Dr.フェイカーとMr.ハートランドにナンバーズを集めれば…
「な、なんだって─!?」
Ⅳの暴露に遊馬とアストラルは驚愕する…カイトの鬼気迫るナンバーズ狩りには理由がある事はわかっていたが…それが弟であるハルトの病気を治す為とは考えていなかったのだ…。
『そうさ、そいつは弟のために死にもの狂いでNo.を集めてる!他人の魂なんてお構いなしでなぁ?涙ぐましい話だ、泣けてくるねぇ…!』
「カイト、お前…」
「お前に同情される筋合いはない、さっきも言っただろう…ナンバーズ持ちは全て敵だ!ナンバーズ持ちは…全員オレが狩る…!!」
吐き捨てるようにカイトは言い切る、そこにいたのは非情な狩人ではなく…強い覚悟を背負った決闘者だった…!
『いいねいいねぇ!追いつめられてるねぇ…カイト!』
「…アストラル…オレ達がナンバーズを集めたら、ハルトが…!」
(…遊馬、今は戦いに集中するんだ…この戦いに負ければハルトを取り戻す事もできない、全ては戦いが終わったあとだ…!!)
カイトの背負う事情に動揺する遊馬…アストラルはそれを窘め、戦いへと意識を向けさせる…!
『僕のターン!…兄様、
33
『現れろ!「No.33」!「
「デカイ…!!」
昼間の凌牙とのデュエルでは実力を隠していたⅢ…彼が操るのは空中に浮かぶ巨大都市型のナンバーズだった…だが、ⅢとⅣはまだ知らない…目の前にいる少年が──
39
「現れろ!『No.39』!『希望皇ホープ』!!」
『『ナンバーズ!?』』
ナンバーズのオリジナルと共に戦ってきた決闘者である事を!!
『馬鹿な、あのガキがナンバーズを…!』
『彼はナンバーズ使い…!兄様、この前のデュエルは迂闊だったかもしれませんね…彼は僕たちのデュエルを1度見ている…作戦を変更しますか?兄様』
Ⅲは動揺する、昼間のデュエルで遊馬はⅣの使うナンバーズについて知っている…それによってコンボが失敗するのではないかと…だが…。
『ククク…!ハハハハハハ!こいつは面白い!ナンバーズくらい持ってなけりゃぶっ倒しがいもねぇ!!』
Ⅳはなおも獰猛に笑う…その目はまるで獲物を見つけた肉食獣のようだった。
『オレのターン!ドロー!…ここからがショーの始まりだ!!』
15
『現れろ!「No.15」!「ギミック・パペット─ジャイアント・キラー」!!』
「ランク8のナンバーズ…!!」
(こうも早く現れるとは…!)
Ⅳの場に鉄男と等々力を傷付けた漆黒の操り人形が降臨する…だが、ここからⅢとⅣによる怒涛の攻撃が始まる…!
『僕は永続罠「ナンバーズ・ウォール」を発動!この効果により「マシュ=マック」は効果では破壊されなくなる!』
(このコンボは…!?まずいぞ遊馬!!)
「えっ…!?」
Ⅲが罠を発動した瞬間、アストラルは顔色を変える…!
『いくぜぇ!「ジャイアントキラー」の効果発動!ORUを1つ使い!このカード以外のモンスターエクシーズをすべて破壊する!』
「っ…!!だけどそんな事したらⅢのナンバーズまで…ハッ!?」
『フハハハ…!気付いたか?』
『僕のナンバーズは「ナンバーズ・ウォール」の効果で守られている…よって破壊されない!』
これこそが「ジャイアントキラー」の効果を最大限に生かすコンボ…「ジャイアントキラー」から放たれた糸が「ホープ」を捕らえ、胸の破砕機に引きずり込んでいく…!!
「『ホープ』─!!」
『さらに!「ジャイアントキラー」は破壊したモンスターの攻撃力分のダメージをそのモンスターをコントロールしていたプレイヤーに与える!デストラクション・キャノン!!』
「ぐっ…うわあぁぁ!!?」
「遊馬─!!」
「ジャイアントキラー」から放たれた砲撃が遊馬を直撃…遊馬は大きく吹き飛ばされる…!
(まだ「ジャイアントキラー」の攻撃が残っている…!次の攻撃を受けたら…!遊馬!手札のモンスター効果を使え!!)
「っ…!オレは手札の『ダメージ・メイジ』の効果発動!自身を守備表示で特殊召喚!!」
なんとか立ち上がった遊馬は手札からローブを纏う魔女を呼び出す!
「『ダメージメイジ』は自分が効果ダメージを受けた時に特殊召喚できる!さらに受けた効果ダメージの分、自分のライフを回復する!!」
ダメージメイジの背中から光の翼が現れ、遊馬のライフを回復させる…!
『チィッ…!ライフを回復したか…面白くねぇ、だが…これならどうだ!魔法カード「アタック・ギミック」を発動!「ジャイアントキラー」の攻撃力を500アップし、相手モンスターを戦闘で破壊した時!その攻撃力分のダメージを相手に与える!』
「ジャイアントキラー」の腕に赤い鞭が握られる!
『覚悟しやがれカイト…!まずはお前からだ!!「ジャイアントキラー」で「フォトンクラッシャー」を攻撃!』
「カイトのモンスターを攻撃…!?攻撃力は同じ…」
(遊馬、ナンバーズはナンバーズとの戦闘でなければ破壊されない…!)
「あぁ!?」
『さぁ、2000ダメージをくらえ!カイト!!ファイナルダンス!!』
ナンバーズの効果を生かした一撃がカイトに迫り…!
ドオォォン!!
《カイト様─!?》
『フハハ…アハハハハ!!これでもオレの魂を狩れるかぁ?カイト!』
「ジャイアントキラー」の攻撃による黒煙がフィールドを覆う…だが…!
『なに…!?「フォトンクラッシャー」が破壊されてないだと!?』
煙が晴れた先でカイトは立っていた、そして破壊されたはずの「フォトンクラッシャー」もフィールドに残っている!
「カイトへの攻撃の瞬間、罠カード『攻撃の無敵化』を発動していたのさ…!その効果で『フォトンクラッシャー』を戦闘破壊から守った!」
『チッ、カイトを守る手まで伏せていたか…!』
カイトを守ったのは遊馬だった…伏せカードを使い、カイトをカバーしたのだ!
「貴様…オレをかばっているつもりでいるのか?…言ったはずだ、お前達の手は借りない…ナンバーズ持ちは全員敵だとな!」
カイトは遊馬を睨みつける…彼にとってはタッグパートナーである遊馬ですら仲間と思えないでいるのだ…。
「なによ!助けてもらったのにあの態度!!」
《…スミマセン…カイト様はああいうお方でして…》
…それに怒ったのは外野の小鳥だった、隣のオービタル7は申し訳なさそうに項垂れる…普段の彼の苦労が分かるようだった…。
「それとも…アストラルの指示か?」
「別にそんなつもりじゃねぇ!これはオレの意志だ!お前が敵だと言うならそれでも構わねえ…けど、オレはハルトと約束したんだ!…あいつはずっとお前に会いたがっていた…だから!必ずお前をハルトの元に連れて行く!!」
「っ…!」
カイトの言葉に遊馬は自分の想いを伝える、いま遊馬が戦っているのはナンバーズを集める為でも、Ⅳに復讐する為でもない…ハルトを救い、約束を果たす為に遊馬は戦っているのだと…!!
『っ〜!!ムカつくぜてめぇら!おれのサービスをことごとく拒否しやがって!!何でオレに気持ち良くデュエルさせねぇんだ!!オレはお前たちが苦しむ姿を見ていたいんだよぉ!!』
2人のやり取りを聞いて怒りをあらわにしたのはⅣだった…復讐の相手に自分の牙は未だに届かない、その事に苛立ち始めたのだ…だが、突然Ⅳは笑みを浮かべる…!
『そうだ、待てよ…?いいことを思いついた、これまでのサービスが気に入らないってんなら、別のサービスをしてやる…これなら気に入るんじゃねぇかぁ?」パチン
Ⅳが指を鳴らす、すると空中に映像が投影される…そこに映っていたのは…。
「ぐっ…うぅ…!?あ、あ"あ"あ"…!!」
「ハルト…!!ハルトォォ─!!」
カイトが叫ぶ…映し出された映像は…魔法陣に紫の鎖で拘束されて苦しむハルトの姿だった…!
『お前の愛しい弟の生中継だ!!フハハハハ…!!』
「貴様…ハルトに何をしている!!」
『さぁ?何かねぇ…兄貴のすることはオレよりえげつねぇからなぁ…けど、あの様子じゃ早く止めないとまずいんじゃねぇのかぁ?』
『兄様…』
ハルトの傷付く姿を見て激昂するカイト…その様子を見て笑うⅣにⅢは注意する…だが、それは意味を為さないだろう…。
「貴様…キサマアアアアア!!」
『フハハハハ!!いい顔だぜカイト…やればできんじゃねぇかよぉ、お前のすかした顔が歪んでいくのを見るのはたまらねぇ快感だよ…!フフ…ハハハハハ─!!』
怒りに顔を歪めるカイトをⅣは嘲笑う…その時だった。
ズン…!!
『(っ…な、なんだ…!?寒気が…!!)』
Ⅳの背中に冷や汗が流れる、Ⅳ…トーマスはこの感覚に覚えがあった…。
『(…あの人はここにはいないはずだ…昨日、トロンがあの人を消耗させたって言っていた…だから…!!)』
トーマスの脳裏に浮かぶのは幼い自分達を世話してくれた1人の男…その怒った時の姿だった。
『(白野さん…オレはもう止まれねぇ…!アンタに叱られようと…オレは…!家族を取り戻す為に…止まる訳にはいかねぇ!!!)』
Ⅳは笑顔を貼り付けたままカイトを睨む…家族を取り戻す為に汚れ役を引き受けたⅣは仇の息子を倒す為に意識を切り替えた…。
「闇に輝く銀河よ!!希望の光になりて我が僕に宿れ!光の化身…ここに降臨!現れろ!
《ギャオオオン!!》
『現れたか…!』
『これが噂に聞く「銀河眼の光子竜」…!!』
ハルトの苦しむ姿を見て冷静さを失ったカイトは自身の切り札たる「ギャラクシーアイズ」を呼び出す…だが、それは…。
「『光子圧力界』の効果発動!全員に800ダメージだ!!」
『ぐっ…!だが、計算通りだ…!仕掛けるぞ!Ⅲ!!』
『はい!兄様!』
隕石の直撃を受けながらⅢとⅣはギャラクシーアイズを倒す為のコンボを発動させる!!
『永続罠「
「なに─!?」
Ⅲが発動したのは対「ギャラクシーアイズ」用のメタカード…イギリスに存在する巨石群をイメージした巨石の結界が「ギャラクシーアイズ」を封じる!!
『そして「マシュ=マック」の効果発動!フィールド上のモンスターの攻撃力が変化した時!その数値分のダメージを相手に与える!!インフィニティ・キャノン!!』
「マシュマック」の側面から無数の大砲が出現する!
『お前の「ギャラクシーアイズ」の攻撃力は3000から0に変わった…終わりだカイト!!3000のダメージをくらえ─!」
無数の大砲がカイトに照準を定め…一斉に砲撃する─!!
「やらせるかぁぁ!!罠カード『ブレイブハート』を発動!ライフを半分にする事で『マシュマック』の効果の発動を無効にする!うわあぁぁぁ─!!」
遊馬は咄嗟にカイトを守る…だが、罠のコストによるダメージでアストラル諸共吹き飛ばされる!
『チッ、オマケの分際で余計なことを…!』
『また自分を犠牲にして…?』
カイトにトドメをさせなかったⅣは苛立つが…Ⅲは遊馬の行動に疑問を抱き始めていた…。
「九十九遊馬…!余計な真似を…!」
「言っただろ…!お前をハルトの所に連れて行くって…!」
ボロボロになりながら遊馬は立ち上がる…カイトに邪険にされようと遊馬は揺らがない、全てはハルトとの約束を守る為に…。
(遊馬、君のデュエルは…いつもピンチばかりだな…)
「あっ…!?大丈夫かアストラル!?」
遊馬はアストラルの言葉で気付く、このデュエルはナンバーズを賭けたデュエルでもある…当然アストラルはダメージを受け、体が点滅している…。
(気にするな…仕方がない、これが君のやり方なのだから…)
アストラルは諦めたように呟いた…ピンチをチャンスに変える…それが遊馬の戦い方だとアストラルは観念していた…。
『僕のターン!魔法カード「先史遺産─ピラミッド・アイ・タブレット」の効果発動!自分の「先史遺産」モンスターの攻撃力を800アップさせる!さらに「マシュマック」の効果発動!自身の攻撃力が変動した事でORUを1つ使い、相手に800ダメージを与える!インフィニティキャノン!!』
「うわっ…!!」
次のターン、Ⅲは「マシュマック」の効果を使い、遊馬のライフを削る!
『これでオマケのライフは風前の灯…次は貴様の番だ!カイト!やれ…Ⅲ!』
『バトル!「マシュマック」で「ギャラクシーアイズ」を攻撃!ヴリルの火!』
「マシュマック」から放たれた光線が宇宙を貫く…すると暗雲が立ちこめ、その雲の中から巨大な火球がカイトに向けて襲いかかる!
「まだだ!!罠カード『
カイトはダメージを軽減し、「ギャラクシーアイズ」を守る事に成功する…だが、その体は満身創痍だった…。
『チッ!無駄な足掻きを…!大人しく弟と一緒に地獄に落ちやがれ…!!』
「ぐっ…キサマ…!!」
「落ち着けカイト!」
Ⅳの挑発に怒りをあらわにするカイト…遊馬は必死に声を掛けるが…カイトの怒りは収まらない…!
「…黙れ!お前に俺の苦しみの…憎しみの何が分かる!」
「あぁ、分からねえ…分からねえさ!お前やハルトの憎しみも…悲しみも!」
カイトの言葉に遊馬は遂に言い返した、ハルトの為に全てを懸けてナンバーズを集めてきたカイト…彼の気持ちは遊馬にはわからない…だが、遊馬だからこそ分かる事もある…!
「だけど、オレはお前とデュエルした!デュエルを通じてお前を知っちまったんだ!デュエルは新しい仲間を…絆を作ってくれる!そして、デュエルってのは新しい自分にかっとビングさせてくれる!決して恨みや憎しみをぶつける道具じゃねぇ!」
(遊馬…)
それは遊馬の魂からの言葉だった、遊馬は何人もの決闘者とデュエルを通じて絆を紡いできた…敵もいた、悩んでいる者もいた…ナンバーズに操られ苦しむ者もいた…だが、遊馬は彼らとの戦いを通じて学んできたのだ…デュエルは新たな絆を紡ぐ、大切なものなのだと…!!
「カイト…見せてやる!オレのかっとビングを!!」
39
「現れろ!『CNo.39』!混沌を光に変える使者!『希望皇ホープレイ』!!」
『カオスナンバーズだと!?』
『こんなナンバーズ…見た事ない!!』
『死者蘇生』で「希望皇ホープ」を蘇らせた遊馬とアストラルは最後の切り札…「ホープレイ」を召喚する!
(遊馬、「ジャイアントキラー」にはまだORUが残っている!)
「わかった!『ホープレイ』の効果発動!ORUを1つ使い、自身の攻撃力を500アップし『ジャイアントキラー』の攻撃力を1000下げる!オーバレイ・チャージ!!」
オーバレイユニットを吸収した「ホープレイ」が希望の大剣を引き抜く!
「バトルだ!『ホープレイ』で『ジャイアントキラー』を攻撃!!ホープ剣カオススラッシュ!!」
『ホープレイ』が跳躍し『ジャイアントキラー』に斬りかかる、小刀で両腕を斬り落とされた漆黒の巨人は大剣で真っ二つに両断される!!
「よしっ!!」
(Ⅳの残りライフは2400…これでライフは尽きたはずだが…)
「ジャイアントキラー」を撃破したアストラルは煙に包まれたⅣのフィールドを見る…その時だった…!
『フッ…ハハハハハ…!やるじゃないか…オマケがよぉ…!』
(「なんだと!?」)
煙の中からⅣが姿を現わす…ライフダメージは無く、フィールドには1枚の罠カードが発動している。
『オレは永続トラップ『ギミック・ボックス』を発動していたのさ…!このカードはプレイヤーへの戦闘ダメージが発生した時、それを無効にし、モンスターカードとなって特殊召喚される…そして無効にしたバトルダメージの数値が、このカードの攻撃力となる…!』
「今の攻撃でも、倒せねぇのかよ…!!」
遊馬はⅣの強さに戦慄する…『ZEXAL』にならない状態での遊馬達の最強の一撃でも彼を仕留める事はできなかったのだ…。
『この俺を倒せると本気で思ったのか…?見せてやるよ、本当の絶望ってヤツを─!』
40
『現れろ!「No.40」!「ギミック・パペット─ヘブンズ・ストリングス」!!』
紋章を輝かせたⅣは2体目のナンバーズを呼び出す…それは左側だけ白い翼を持ち緑色の髪で左目を隠した人形のナンバーズだった…。
「ここで…攻撃力3000だって!?」
『ハハハ…ファンサービスもそろそろ終わりだ…カイト、お前は一足先に地獄に行ってろ!『ヘブンズ・ストリングス』で「ギャラクシーアイズ」を攻撃!ヘブンズ・ブレード!』
「ヘブンズストリングス」が手にしたバイオリンの弓のような剣で斬りかかる!!
「っ…!すまない…ハルト…!」
「まだだ─!!罠発動!『
「っ…ぐああああ!!!」
間一髪、遊馬の罠がカイトのライフを守り切る…だが、カイトは吹き飛ばされ、地面に倒れ伏した…。
『また…!ふざけるなテメェら!いい加減沈めよ!沈め─!』
度重なる遊馬によるサポートにⅣはついにブチ切れる…そして『ヘブンズストリングス』の持つ、恐ろしい効果を起動する…!
『許さんぞ…!オレのファンサービスを無駄にしやがってぇ!貴様ら、許さねぇ─!オレは『ヘブンズストリングス』の効果を発動!1ターンに1度、ORUを1つ使い、次のターンの終わりにフィールドにいる全モンスターをぶっ壊す!そして、ぶっ壊したモンスターの攻撃力分の数値のダメージをプレイヤーに与える!!」
Ⅳの言葉と共に「ヘブンズストリングス」が自身の体から伸びた弦を弾き鳴らし、剣を掲げる…すると無数の赤い糸が空から伸び、フィールドのモンスターを拘束する!
『フハハハ…!これで正真正銘の終わりだ、さあ!貴様らのターンだ!』
Ⅳは必殺の効果を発動し、カイトにターンを譲り渡す…だが、カイトは立つ事ができなかった…度重なるデュエルのダメージにフォトンモードによる副作用…カイトの肉体は…精神は既に限界を迎えていた…。
『フッ…なんだよ、もう力尽きたかぁ?立つことも出来ねえんじゃ、オレたちの勝ちだぜ…フフフ…ハハハハハ!!』
「っ…!!立てよカイト!!まだデュエルは終わってねぇぞ!!」
「立って!立つのよ!カイト!!」
《カイト様─!!》
「っ──…」
倒れてしまったカイトに遊馬達は必死に声をかける…だが、カイトは応えない…応えられない…声は届いている、だが…それに応えるだけの気力が残っていない…。
「…ボロボロでもいいよ…!でも、最後まで諦めるなよ!!お前が諦めてどうすんだよ!お前がハルトを守らなくて…誰がハルトを守るんだよぉぉ!!」
「っ…!!」
遊馬の魂の叫び…それがカイトに届いた時、カイトは自分の原点を思い出す…。
病状が落ち着いた代わりに未知の超能力を得たハルト…だが、それによってハルトはアストラル世界を攻撃する為の「兵器」として扱われてしまう…その状況に耐えられなかったカイトは一度だけハルトを連れて脱走を計画した…だが、計画は当然失敗した…ハートランドに連れ戻されハルトと離ればなれにされてしまったカイト…そしてカイトは決意した、例え悪魔に魂を売り渡そうと…何を犠牲にしようと…必ずハルトを守り抜くと…!
「ハル、ト…!!」
「カイト!!」
自分の原点を思い出したカイトは痛む体に鞭を打って立ち上がる!!
「オレはお前を…絶対に守ってみせる…!ハルトォォォ─!!」
カイトの魂の咆哮が響く…カイトとハルト…2人の兄弟の絆は奇跡を呼び覚ます──!
Side遊海
「っ…あ……!」バリバリバリ…
カイトと遊馬が窮地に陥っている時…遊海もまたピンチに追い込まれていた…トロンの紋章に囚われ攻撃を受け続けた遊海は既に叫び声を上げる力も残っていなかった…。
《マスター…!気をしっかりもってください…!!今、助け出します…!!》
《紋章の力がここまで強力だとは…!!》
アヤカ、そしてフレアもただ見ていただけではない…必死に遊海を開放しようとしていたが…紋章の力が強く、解除に手間取っているのだ…。
《こうなれば…私の全力で…!!》キィン─!
「ダメ、だ…フレア…お前が、全力を出したら…ハルトが無事ではすまない…!!」
《っ…!?》
神の力を開放しようとしたフレアを遊海が止める…神の力を使えば脱出こそできるが…僅かな距離にいるハルト…下手をすれば階下でデュエルをする遊馬達にまで危険が及ぶ可能性があった…。
「クリス…お前達は、『家族』というものを、勘違いしてる…ぞ…!」
『白野さん…』
息も絶え絶えに遊海はクリスへと話しかける…トロンはハルトの力を奪う事に集中しているのか…意識はないようだ…。
「家族はな…親が、子を守り…子は、親を支え…助けあって、生きるものだ…!だが、トロンは…バイロンはどうだ…!復讐で周りが見えなくなったコイツは…『親』と、呼べるのか…!!」
『…トロンは…私達の「父」です…!例え姿が変わろうと…復讐に取り憑かれていようと…!私はトロンを見捨てる事はできない…!!Dr.フェイカーを許す事はできない!!』
クリスは悲壮な顔で心境を吐露する…歪み果ててなお息子に慕われるバイロンは…きっといい父親だったのだろう…だが、今はその面影を見る事はできない…。
「そうか…だが、忘れるな…本当に強い『家族の絆』は…思いもよらない奇跡を起こす…!!」
キィン─バチバチバチバチ!!
『っ…!?なんだ…何が起こっている─!?』
遊海の言葉と共に紋章の魔法陣から赤雷が奔る…そして一際大きな輝きを発した後…紋章は光を失った…。
『ハルトの力が…消えた…!?』
「見せてやれ、天城カイト…お前達、兄弟の…『絆』の力を…!!」
SideOut
Sideトロン
【君たち兄弟全ての記憶は…ボクがもらっていくよ…!】
トロンはハルトの力の全てを奪う為に彼の深層意識へと潜っていた…ハルトの力と記憶を奪っていくトロン…その時だった…!
「そうは…させない…!!」
【ハルト…!?どうしてここに…!】
トロンの背後にハルトが現れる…通常であれば自分では認識できない深層意識…そこにハルトは現れたのだ…!
「…誰にも僕と兄さんの思い出は渡さない…!お前なんかに分からない、兄さんがどんなに僕を守ってくれたか…どれほど僕を庇ってくれたか…!今度は僕が…兄さんを守る─!!」キィン─!
ハルトは自身に残された力を開放する…その光の向かう先は…。
SideOut
キィン─ドオォォオン!!
『『「なんだ─!?」』』
《カイト様─!?》
自身の原点を思い出して立ち上がったカイトに宇宙から落ちてきた赤い光が衝突する!
「な、何が起きたんだ…!?」
光の衝突を受けたカイト…彼はその光の中から現れる、その身体は赤いオーラを纏っていた…!
「ハルト…お前がくれたんだな…この力を…!」
(今、新たな力がカイトのデッキに宿った…彼ら兄弟の力が奇跡を起こした…!)
カイトは拳を握り締め、アストラルはその力を感じ取った…引き離されてなお心が繋がるカイトとハルト…2人の絆がカイトに新たな力を与えたのだと…!
「オレのターン!ドロー!!」キィン─!
赤い光の軌跡を描いてカイトはカードを引く!
『チィ─!!「ギャラクシーアイズ」の攻撃力は0!貴様のライフはわずか100!くたばり損ないに…何ができるっていうんだ!」
絶体絶命の状況になってなお、諦めないカイトに対してⅣは怒りをあらわにする!
「くたばるのは…貴様達の方だ!!魔法カード『オーバレイ・リジェネレート』を発動!フィールドのエクシーズモンスターのORUを1つ増やす!!」
『なにっ!?』
カイトの発動した魔法の効果で「ヘブンズストリングス」「マシュマック」「ホープレイ」にORUが戻る…そして、カイトは静かに目を瞑り…叫ぶ…!
「アストラル!そこにいるのか!!…お前は以前、オレと遊馬が似ていると言ったな…!だったら…
「カイト…!」
カイトの言葉…それは遠回しにこう言っている…「ハルトを救う為に力を貸せ」と…それは長らくアストラルを敵視していたカイトが僅かながらアストラルを信頼した証だった…!
(遊馬!我々のモンスターでカイトを助けるぞ!)
「へへっ…おう!!カイト!オレのモンスターを使え!!いっけぇ─!!」
アストラルの言葉を受けた遊馬はカイトの勝利を信じて「ダメージメイジ」と「ホープレイ」を向かわせる!
「オレは遊馬の場の『ダメージメイジ』と『ホープレイ』をリリースする事で『フォトン・カイザー』を召喚!このモンスターは2体分のエクシーズ素材になる事ができる!!」
遊馬の場のモンスターをリリースしてマントを羽織る皇帝が現れる…これで全ての準備が整った…!!
「オレはレベル8の『銀河眼の光子竜』と2体分となった『フォトンカイザー』でオーバレイ!!3体のモンスターでオーバレイネットワークを構築…エクシーズ召喚!!」
《ギャオオオン!!》
巨石の結界を打ち破った「ギャラクシーアイズ」と「フォトンカイザー」が赤い銀河へと飛び込み、大爆発を起こす!!
「逆巻く銀河よ!今こそ怒涛の光となりてその姿を現すがいい!」
カイトの手元に紺色の槍が現れ、カイトはそれをオーバレイネットワークの銀河に向けて投擲し再び光の大爆発が起きる!!
「降臨せよ…我が魂!!『超銀河眼の光子龍』!!」
《ガオオァァァン!!》
光と共に現れるのは瞳に銀河を宿し、3つの首を持つ真紅の巨龍…カイトとハルトの絆の結晶…!「超銀河眼の光子龍」!!
「カイトの『ギャラクシーアイズ』が進化した!?」
(これが…私の感じたカイトの新たな力か…!!)
進化した「ギャラクシーアイズ」の姿に遊馬とアストラルは目を奪われる…!
「…いくぞ!!『超銀河眼』の効果発動!フォトン・ハウリング!!」
「超銀河眼」から放たれた音波が「マシュマック」と「ヘブンズストリングス」の力を奪う!!
『なんだと!?』
「『超銀河眼』が『銀河眼の光子竜』を素材としてエクシーズ召喚に成功した時!このカード以外の効果を全て無効にする!」
『なっ…!?ORUを使わなくても、効果を発動できるのか…!?」
Ⅲは進化した「超銀河眼」の力に驚く…エクシーズモンスターの基本はORUを使って効果を発動するのが基本…その効果を使わずに発動できるモンスターの数は少ない…!
「『超銀河眼』の第2の効果発動!ORUを1つ使い!フィールドの相手フィールドのエクシーズモンスターのORUを全て吸収し、1つにつき攻撃力を500アップさせ吸収したORUの数だけ攻撃できる!!」
『攻撃力6000…!?』
『しかも連続攻撃だと─!?』
ORUを喰らった「超銀河眼」はその体をさらに強く輝かせる!!
「バトルだ!『超銀河眼の光子龍』で『マシュマック』を攻撃!!アルティメット・フォトン・ストリーム!!」
『うわあああああ!!!』
カイトの怒りを宿した赤き光線が巨大空中都市を粉砕…Ⅲのライフを削りきり吹き飛ばす!!
『Ⅲィィィ!!』
「Ⅳ…懺悔の用意はできているか!!『超銀河眼』で『ヘブンズストリングス』を攻撃!アルティメット・フォトン…ストリィィム!!」
再び放たれた真紅の光線が『ヘブンズストリングス』を直撃…それがデュエルの決着となった…。
Ⅲ&Ⅳ LP0
遊馬&カイトWIN!
「やった〜!遊馬とカイトが勝った!!」
《やったでアリマス─!!》
デュエルが終わり小鳥とオービタル7は手を取りあって喜びあう!
『ぐっ…!?馬鹿な…このオレが負けるだと…!』
「ハルトはどこにいる…!答えろ!!」
カイトはⅣにハルトの行方を問いただす…!
『…ケッ…!知るかよ!そんな事!!』
「答えないのなら…貴様の腐った魂に直接尋問するまでだ!!」
キィン─!
シラを切るⅣに対してカイトはフォトンハンドを伸ばす…だが。
ギィン!
「なにっ!?ぐわっ…!」
Ⅳの手に刻まれた紋章が光を放ち、フォトンハンドを跳ね除ける!
(なら…!!)シュン!
アストラルはナンバーズを回収する為にⅢへと手を伸ばす…だが…!
ギィン─!
(っ…!?うわあぁ…!!)
『っ…!?(何か…見えた…青い…人型…?)』
アストラルの力でさえ紋章の力に跳ね返される…そしてその刹那、Ⅲはアストラルの姿を垣間見る…!
『ぐっ…!残念だったなぁ…オレ達は「紋章」の力で守られている…覚えておけカイト…!オレの…オレ達の受けた苦しみ…倍にして返してや─っ!?なにぃ!?』
シュイン…バシュン!
「Ⅳが消えた!?」
Ⅳの背後に現れた次元の裂け目がⅣを飲み込む!
【(Ⅲ…今日はここまでだ…さぁ、帰ろう…)】
「…はい…(九十九遊馬…君は…)」
異次元の裂け目からトロンの幻影がⅢに呼び掛ける…Ⅲはそのまま扉へと消えていった…。
「待て…!待て貴様ら!!ハルトを返せぇぇ!!」
カイトの叫びが美術館に響く…。
『ハルトなら…ここにいる』
「「っ!?」」
美術館に凛とした声が響く…月光に照らされたエントランスに銀髪の青年が現れる、それはハルトを連れ去った張本人…Ⅴだった。
「あなた、は…なんで…!!っ…ハルト!!」
Ⅴの姿を見て動揺したが、すぐに叫ぶ…Ⅴの腕には気を失い、ぐったりとしたハルトが抱き抱えられていたからだ…。
『心配ない、彼は生きている…だが力を使い切ってしまった』
「力を…使いきった…!?」
『そう、残っている全ての力を…君に与えてしまったからね』ギィン…
Ⅴは額に刻まれた紋章を輝かせる…すると念動力によってハルトはゆっくりとカイト達の前に寝かせられる…。
「ハルト…!すまない…!!オレのせいで…!!」
「っ…!!テメェ!ハルトに何しやがった!!」
ハルトが戻ってきた事で安心し、脱力したカイトの代わりに遊馬がⅤへ問いかける…!
『…九十九遊馬、君は…一馬さんの息子だな』
「なっ…!?父ちゃんを知ってるのか!!」
Ⅴの思わぬ言葉に遊馬は動揺する…!
『…君のお父さんは生きている、アストラル世界で…』
「父ちゃんが生きてる…!?おい!それってどういう事だよ!?」
『…私にはこれ以上語る事はできない、さらばだ…』
「あっ…おい!!」
そのままⅤは遊馬の言葉に答える事なく、姿を消した…。
SideⅤ
『ハルトの身柄をカイトへと渡してきました…私達もアジトへ戻りましょう』
【うん、ありがとうⅤ…今日は疲れたからね、帰るとしようか】
ハルトをカイトに引き渡したⅤはトロンの傍らに現れる…だが、トロンの様子を見て僅かに顔色を変える…。
『…トロン、つかぬ事を聞きます…岸波白野は…何処へ…?』
【ああ…彼ならボクの
月光を遮っていた雲が流れる…月光に照らされた儀式場、そこには巨大なクレーター…そして血溜まりだけが残されていた…。
『(そんな…!白野さん─!!!)』
Vは悲しみで拳を握り締めるしかなかった…。
「…くそっ…しくじ…った……」