転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,K です!

お知らせです!ハーメルンの皆様のご愛読のおかげでお気に入り件数500件、さらには通算UAも20万を突破する事ができました!本当にありがとうございます!

つきましては活動報告にて「第三回リクエストアンケート」を開催させていただきます!期限はとりあえず7月1日まで!皆様のリクエストをお待ちしています!


それでは最新話をどうぞ!


戦いを前に〜波乱の兆し〜

Sideトロン一家

 

 

『待てよトロン…!!このオレを強化しろ…Ⅲと同じように!!』

 

『やめなさいⅣ…トロンへの無礼は私が許さない』

トロン一家のアジトにⅣの怒声が響く…Ⅲと遊馬とのデュエルから一夜が明け、事の顛末を知ったⅣがトロンに詰め寄っていたのだ…。

 

 

【…君にもⅢにも…失望したよ】

 

『なんだと…!?Ⅲはなぁ…アンタの為にナンバーズのオリジナルと戦って…あんな姿になったんだぞ…!?』

アジトへと戻ったⅢは眠り続けている…トロンによる紋章の強化、更には強力なナンバーズを無理矢理に制御した代償として目覚めぬ眠りへと落ちてしまったのだ…。

 

【ボクは結果が欲しいんだ、Ⅲは遊馬に勝てなかった…君は…神代凌牙をWDCに参加させたけど…まだ、何かを躊躇しているね】

 

『っ…!俺は躊躇なんか…!』

 

【君には紋章の強化は必要ない…けれど、この力を渡しておくよ】キィン─

椅子に座ったトロンの手に赤色のエネルギーが現れ、Ⅳのもとへ移動する。

 

『これは…?』

 

【とある決闘者から奪った力のカケラさ…それを使いこなして見せてよ、これ以上…ボクを失望させないでくれ】

 

『言われるまでもねぇ…この力で凌牙の野郎と決着をつけてやる…!』キィン─…ギィン

Ⅳは赤色のエネルギーを紋章で吸収した…。

 

 

【(凌牙の心が闇に落ちていなかったのは予想外だった…けれど、この力の真実を知れば…フフフ…!)】

 

 

 

 

 

SideOut

 

 

 

Sideカイト

 

 

 

ピッピッピッ…

 

 

「………」

ハートランドタワーの医務室…そこで精密検査を受けていた、身体中に淡い光を放つチューブが取り付けられ規則的に明滅している…。

 

 

《カイト様…これ以上フォトンモードを使用してのデュエルは肉体の限界を越えてしまうでアリマス…!これ以上は…!》

 

「黙っていろオービタル…オレは止まるわけにはいかない…!」

検査を終えたカイトは上着を纏う…フォトンモードの代償によって彼の身体は限界を迎えていた…。

 

 

『やぁ、調子はどうかね?カイト』

 

「Mr.ハートランド…」

医務室のモニターにハートランドの姿が映し出される…。

 

『ナンバーズがハートランドシティに集まり、さぁこれからという時に…君には期待しているのだから…わかっているね?』

 

「…貴方に言われるまでもない…!それよりハルトは大丈夫なんだろうな…!!」

 

『ハルトの事も心配には及ばない、今は静かに眠っているよ…あとは君次第だとも』

 

「わかっている…!」

カイトは拳を握り締める…トロンに攫われて以来、ハルトは目を覚ます事なく眠り続けている…。

 

 

『ああ…そうそう、今夜の前夜祭…待っているからね?ナンバーズ持ちをその目で見ておくのも悪くはないだろう…ちゃんとおめかしをしてくるんだよ!』

 

「前夜祭か…くだらん」

カイトは医務室を離れる…その様子を見ていた少女に気づかぬまま…。

 

 

『カイト…貴方は…』

 

 

 

SideOut

 

 

 

 

 

 

キィン─…

 

「まったくもう…遊馬君、私…ずっと連絡待ってたのよ?それに全身傷だらけじゃないの…」

 

《フォウ、フォーウ!》

 

「…連絡できなくてすいませんでした…」

 

(翠、今回は許してやってくれ…遊馬は昨日家に着くなり倒れるように眠ってしまったのだ…)

 

 

同じ頃、白波家を訪れた遊馬は翠によって回復魔法による処置を受けていた。

Ⅲとの決闘を終えた遊馬は家に着くなり倒れ込み、夕食も食べずに眠ってしまった…それによって預かっていたカルトゥーシュの返却やデュエルの報告を忘れ、翌日の放課後に白波家を訪れた際に翠に体の傷を見抜かれて治療を受けていたのだ…。

 

 

キィン…

 

「うん、これで大丈夫!痛い所はない?」

 

「ああ!これで明日からの決勝でもかっとビングできるぜ!」

遊馬は腕を回しながら翠に答える。

 

「それならよかった…改めて…ありがとうね遊馬君、ミハエル君を止めてくれて…」

 

「ああ…!ミハエル…Ⅲは良いやつだった…!あいつの分までオレは決勝大会で頑張るぜ!!」

 

(それより、白野はまだ…)

 

「うん…まだ寝てるの…身体は遊馬君と同じように治したんだけど…疲れが取れないみたい」

 

「白野…せっかく決勝大会に出られるのに…」

遊馬はダイニングテーブルに目を向ける…そこには今日の夜に開かれるWDC前夜祭の招待状が置かれていた…。

 

「仕方がないわ…実はね、白野さんは飛行船の事件の後にナンバーズとは関係ない闇のデュエルに巻き込まれてしまったの…そこでダメージを受け過ぎてしまったみたい…」

 

「そうだったのか…せっかく決勝大会で白野と戦えると思ったのになー…」

翠の話を聞いた遊馬は残念そうな顔を見せる。

 

(…遊馬、そろそろ帰った方がいいだろう…小鳥達との待ち合わせに遅れるぞ?)

 

「あ…そうだった!!しっかりドレスコンロがあるんだよな!」

 

「ふふっ、それを言うならドレスコードよ!私達の分まで前夜祭を楽しんでくるのよ?招待状は忘れないようにね!」

 

《フォウフォーウ!!》

 

「わかってる!ありがとう翠さん!」

 

そう言うと遊馬は帰って行った…。

 

 

 

「……遊海さん…もう、始まっちゃいますよ…?」

翠は眠り続ける遊海へと声をかける…夕陽に照らされながら遊海は死んだように眠っている…。

 

「アヤカちゃん達も帰ってこない…遊海さんも……ジャック君達が大会が終わるまで居てくれるけど…けど…!」

翠は布団を握り締める…遊海は確実に衰弱し、奪われた力はトロンによって悪用されている…それを止められるのは遊海自身か翠…あるいは…遊海を止めた事のある人物だけだろう…。

 

《フォウ、キュウ》

 

「…ありがとうフォウくん、慰めてくれてるの?」

 

《キュウ…》

フォウも心配そうに翠と遊海に寄り添っていた…。

 

 

 

 

 

 

 

「うわー…すげぇ、人がいっぱいだ…」

 

夜…遊馬の姿はハートランドの前夜祭会場にあった、会場には決勝進出者を含めた決闘者や大会のスポンサーになっている要人・セレブ達が集まっていた…。

 

「でも、無事に入れてよかった!ゴーシュさんにお礼を言わないとね!」

 

「ああ!俺達まで入れてくれるなんてな!」

 

「とどのつまり最高です!」

遊馬の周りには徳之助を除いたナンバーズクラブの仲間達の姿もある…翠の助言によって遊馬は無事に会場に入る事ができ、本来なら部外者である小鳥達もゴーシュのとりなしで入場が許可されたのだ。(徳之助はハートピース偽造事件でブラックリストに入っており入場できなかった)

 

(この遊園地・ハートランドはDr.フェイカーによって創られた子供から大人まで楽しめる夢の楽園らしい…恵まれない子供達が優先的に招待され、その考えに世界中から惜しみない賞賛が送られている…その人気は海馬ランドに次ぐものになっている…らしいな)

 

「えっ…?なんでアストラルがそんな事知ってんだ??」

突然ハートランドの知識を語り出したアストラルに遊馬が問い掛ける。

 

(どうやらⅢから得たナンバーズはこの世界の全ての知識を得た欠片の様だ…他にも著名な決闘者の経歴や…有名な都市の知識も得ている)

 

「そうなんだ…すごいな、ナンバーズ…」

遊馬がナンバーズの知識に驚いていると…。

 

「見てください遊馬君!『南米の黒豹』ガルシア・パンサーに…『早撃ちガンマン』マイク・ハワード…『昆虫王』インセクト羽蛾…有名なデュエリストばかりですよ!」

 

「へぇ〜、オレにも見せてくれよ!」

等々力が双眼鏡を覗きながら名だたる決闘者達を見つけて興奮している…遊馬も見てみるとライディングデュエリストらしき女性や危ない雰囲気の3人組…フランス風のデュエリストなどたくさんのデュエリスト達が目に入る…そんな時だった…!

 

 

「っ…!あれは…カイト…!それに…Ⅴ!?」

双眼鏡を向けた先…そこには何やら言い争いをするカイト…そして、銀髪の優男…Ⅴの姿があった…!

 

「見つけた…!父ちゃんの事でアイツに聞きたい事があったんだ─!!」

双眼鏡を返した遊馬は人混みの中へと突っ込んだ…。

 

 

 

 

 

Sideカイト

 

 

「貴様…よくもハルトを…!!」

 

『君らしくないな…カイト』

会場の物陰…そこでカイトはハルトを連れ去った張本人であるⅤの姿を見つけ、問い詰めていた…。

 

「ハルトにもしもの事があってみろ…例えオレの師であっても貴様を…!」

 

『許さない…か、だが…私達はトロンの意志に従うだけだ』

 

「トロン…?何者だ…!」

 

『いずれ会うことになる…その前に、こんな身体で、私やトロンに勝つことができると思っているのか?』

 

「ぐっ…!」

カイトはⅤに軽く振り払われる…その少しの力に抵抗できない程カイトの体は衰弱していたのだ…。

 

『さらばだカイト…全ての決着はデュエルでつけよう』

そういうとⅤは人混みに消えて行った…。

 

 

 

SideOut

 

 

 

 

Side凌牙

 

 

 

「やっと会えたな…Ⅳ、いつもの軽口はどうした?」

 

『凌牙…!』

会場外れの噴水広場…そこで凌牙とⅣ、因縁ある2人は対峙する…!

 

「俺はテメェに復讐しようとは思わねぇ…だが!!璃緒を傷付け…白野を裏切った落とし前…きっちりつけさせてもらうぜ!!」

 

『…いいだろう…!凌牙…もう一度お前をぶっ潰してやるよ…!!』

2人は睨み合い、火花を散らした…!

 

 

 

SideOut

 

 

 

 

Side遊馬

 

 

 

「…見失った…」

 

(仕方があるまい…この人数ではな…)

Ⅴを追い掛けた遊馬だったが…あまりの人混みにⅤの姿を見失ってしまったようだ…。

 

「アイツに父ちゃんの事を聞くチャンスだったのに…」

 

(遊馬…)

「一馬はアストラル世界で生きている」…遊馬はその真意を聞きたかった…だが、それは今は叶わない…そんな時…

 

ドン!!

 

「うわっと!?危ねえ!」

 

『あっ…悪い悪い!人探してて前が見えてなかった!!』

 

「気をつけてくれよって…ヒーローみたいなマスクだな…」

人混みの中、遊馬は何者かとぶつかる…それはアメコミ風のマスクを被った学生服の青年だった…。

 

 

『悪かった!なぁ、「鋼の騎士」…メタルナイトを見なかったか?決勝大会に出るって聞いたんだけど…』

 

「メタルナイト…!?み、見てない見てない!たぶん街のパトロールでもしてるんじゃないか?」

メタルナイト…白野の事を聞かれた遊馬は慌てて答える…。

 

『そっか…こんな事なら住所を聞いておくんだったぜ…ありがとよ、じゃあな!』

 

「…何だったんだ…?」

手を振りながら去っていく青年を遊馬は首を傾げながら見送った…。

 

 

((今の男…何処かで…?))

 

 

 

SideOut

 

 

 

 

 

 

 

 

『レディース&ジェントルマン!!紳士淑女、決闘者の皆様!パーティーはエンジョイして頂けただろうか!』

前夜祭も終盤となり会場の中心…巨大ケーキの前にMr.ハートランドが現れる。

 

『デュエルカーニバルもいよいよ決勝大会!これからファイナリスト24名の紹介を…』

 

バシン!!

 

『おっと?!照明のトラブルか??』

ハートランドの演説の途中…突如として会場の照明が落ち、真っ黒になる…。

 

 

「なんだろう…演出かな?」

 

「わからねぇ、はぐれるなよ小鳥」

 

 

【アハハ…アハハハー♪】

 

 

バシン!

 

『なっ…君!何処から入ったんだい!?』

スポットライトがケーキの前を照らす…そこでは鉄仮面を被っている少年が笑っていた…。

 

【わあ!おっきいケーキ!ボク、ケーキ大好きなんだ!あはは…えへへ…】

少年は無邪気にケーキの周りをくるくると回っている…。

 

『ど、どうしたのかな…?お名前は?』

ハートランドは少し動揺しながらも少年に問い掛ける。

 

【ボク、トロン!トロンって、いうんだよ…!】

 

『トロン…!?この少年が…?』

ハートランドは困惑する、前夜祭に現れなかった2人のデュエリスト…1人は神出鬼没のヒーロー・メタルナイト…そしてもう1人が少年・トロンだと言うのだ…!

 

 

【えへへへへ…オジサン!】

 

『おじ!?…な、なにかな?』

トロンは無邪気に笑いながらハートランドへと声を掛ける

 

【おじさん、貴方達のこと…ぶっ潰してあげる…!!】

 

『っ!?』

その瞬間、ハートランドはトロンの眼力に気圧される…その瞳は深い狂気を宿していた…!

 

【クフフフフ!フハハハハ!ウフフフフ!ウフフ…ボクね!本当にケーキだーい好きぃ!アハハハハ!……ねえ!そこのお兄ちゃん!】

 

「えっ…オレ…?」

ハートランドの前から離れたトロンは無邪気な…だが狂気を宿した瞳で遊馬を…()()()()()を見る…!

 

【決勝で会おうね!ウフフ…ハハハハ!!】

そういうと照明の点滅と共にトロンは消え去る…そして、前夜祭もそこで終了する事になる…何故かといえば…。

 

 

私の衣装を返せぇぇ─!!

 

しまった!バレたウラぁぁぁ!!

 

…参加者であるノスフェラトゥ中島の衣装を奪った徳之助と本物の中島の追いかけっこで会場が滅茶苦茶になってしまったからだった。

 

 

 

 

 

 

「ひ、ひどい目にあったぜ…本当に徳之助の奴は懲りねぇよな…」

 

「本当ね…」

遊馬と小鳥は仲間達とはぐれたものの混乱中の会場から脱出に成功した…そこには…。

 

 

「あっ…カイト!お前も来てたのか!」

 

「九十九遊馬…」

同じく会場から出てきたカイトの姿があった…。

 

 

「…オレは全力でお前を倒す」

 

「オレもだ!次は絶対に「お前ではない、アストラルだ」ありゃ!?」

カイトの言葉に遊馬はズッコケる…。

 

「アストラル…お前とは必ず決着をつける、じゃあな」

 

(望む所だ…カイト)

三者三様の時間を過ごし…ついに戦いの時は訪れる…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ここは、何処だ…?

 

あやふやな意識の中で遊海は目を覚ます…そこはたくさんの花が咲き乱れる花園だった…。

 

 

…俺は…トロンに…

 

─そう、君は復讐者によって手痛いダメージを受けて眠っているのさ─

 

……誰だ…?…ダメだ、頭が、回らない…

花園に優しげな男の声が響く…聞き覚えのあるような、ないような…そんな声だった。

 

 

─深く考える事はないよ、遊海君…君はどうしたい?魂が欠け、満足に動かない体で…君は最善を目指すのかい?─

 

…俺が、止めなきゃ…あの子達を、守らないと…

 

─自分が死んだとしても?─

 

…俺の戦いは、いつも命懸けだった…いまさら、変わらないよ…

 

─そうかい…なら、少しだけ力を貸してあげよう…なに、キャス…フォウくんを可愛がってくれているお礼…それに良い物語を見せてもらってる代金と思ってくれればいいさ!─

 

…なんだか、少しイライラする…

 

─ごめんね、私は基本的に人でなしなのさ…さて、君が紡ぐ物語…楽しみにしているよ!─

 

…貴方は…?

 

─う〜ん…花のお兄さんと呼んでくれたまえ!それじゃあ頑張りなさい、最善を目指す転生者君!─

 

そのまま遊海の意識は深く落ちていった…。

 

 

 

 

 

「遊海さん!おはよう──遊海さん!?」

 

《フォ!?ファッキュ─!?》

翌朝…翠が遊海の部屋を訪れた時、遊海の姿は部屋から忽然と消えていた…。


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