転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
『お〜っと!!様々なエリアが用意された地下セクション…ジャングルフィールドを戦いの舞台に選んだのはメタルナイトと謎の少年トロンだー!!』
「っ!?」
ハートランドの言葉に翠は息を呑む…キャプテン・ブレイブ…十代を必死のデュエルで倒した遊海はついにトロンと出会ってしまったのだ…!!
『掟破りの数多のデッキを使い熟すヒーローと静かに勝ち抜いて来たトロン!その勝利の行方……ありゃ!?』
ジジ…ザザー─……
スタジアムに映し出されていた映像が突如として砂嵐に覆われる…
『申し訳ありません!マシントラブルで中継が切れてしまったようです!!スタッフの皆さん!すぐに復旧を〜!!』
『フン、茶番だな…!トロンと遊海のデュエル…よほど見られたくないらしい』
「遊海さん…!もう、無理だけはしないで…!!」
翠はわかっていた…十代は
『諦めるな翠…!遊海ならばあの程度…必ず倒す!!』
ジャックは砂嵐のモニターを睨みつけた…。
【やあ、待ちくたびれたよ…白野】
「待たせたな…トロン!!」
茹だるような温度のジャングルフィールド…そこで遊海とトロンは睨み合う…!
【1つ聞かせてくれないかな?…君は異次元に消し飛ばしたと思ったんだけど…どうやって帰って来たのかな?】
「フッ…俺は『ヒーロー』だ…!異次元に送られたぐらいで死ぬ訳ないだろう…?」
遊海は不敵に笑う…
【答えになってないなぁ…でも、そんな身体でボクに勝てると思ってるの?】
「ああ、勝つさ…例え、俺の身体が砕けようと……トロン、お前をぶん殴る…!!」
遊海は
【ああ怖い怖い…!ならボクも本気でいかないとね…!!】ギィン─
トロンは左目を妖しく輝かせ、遊海を睨みつけた…!
【「デュエル!!」】
遊海LP1500
トロンLP4000
特殊ルール
フィールド魔法『ジャングル・フィールド』常時発動
モンスターを召喚・特殊召喚・セットしなかったプレイヤーはエンドフェイズに1000ダメージを受ける。
「俺のターン!ドロー!!」
「魔法カード『トレードイン』を発動!手札のレベル8『神龍の聖刻印』を墓地に送り2ドロー!さらに魔法カード『招集の聖刻印』を発動!デッキから『聖刻龍─シユウドラゴン』を手札に加える!さらに攻撃力を1000に下げる事でリリース無しで召喚できる!」
太陽を背負うドラゴンが現れる ATK1900→1000
「さらに『聖刻龍』をリリースする事で『聖刻龍─シユウドラゴン』は特殊召喚できる!」
青いウジャト眼を刻んだドラゴンが現れる ATK2200
「リリースされた『アセト』の効果発動!デッキからドラゴン族通常モンスター『ラブラドライドラゴン』を攻守0で特殊召喚!」
藍色に輝く鱗を持つドラゴンが現れる DEF0
「オレはレベル6の『シユウ』と『ラブラドライ』でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ!『聖刻龍王─アトゥムス』!」
紫色のウジャト眼を刻む龍王が現れる ATK2400
【なるほど、古代エジプトのエネアド九柱神をモチーフとしたデッキか…これは手強そうだ】
「『アトゥムス』の効果発動!ORUを1つ使い!デッキから『レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン』を攻守0で特殊召喚!」
黒き鋼を纏うドラゴンが現れる DEF0
「『レダメ』の効果発動!墓地の『シユウドラゴン』を特殊召喚!」
再び青いウジャト眼のドラゴンが現れる ATK2200
「カードを2枚伏せて、ターンエンド!」
遊海LP1500
アトゥムス レダメ シユウ 伏せ2 手札1
【ボクのターン、ドロー!】
【「紋章獣アバコーン・ウェイ」を召喚!】
鎧を纏った赤いドラゴンが現れる ATK1800
【バトル!「アバコーンウェイ」で「レッドアイズ」を攻撃!】
「っ…」
放たれた火球が黒龍を粉砕する!
【カードを2枚伏せて…ターンエンド】
トロンLP4000
アバコーンウェイ 伏せ2 手札3
『っ…!?メタルナイト…トロン!!』
「遊馬…小鳥ちゃん…迷い込んだか…」
2人が睨み合うジャングルフィールドに闖入者が現れる…それはデュエルコースターの誤作動でジャングルフィールドへと入り込んでしまった遊馬達一行だった…。
【やあ、遊馬くん!見てよコレ…怖いモンスターがいっぱいなんだよ〜】
『あれは聖刻デッキか…!』
(リリースする事で効果が発動する白野の主力ドラゴンデッキ…だが、それよりも…!)
『メタルナイト…なんで、なんでそんなにボロボロなんだよ─!!』
「ここに来る前に…ちょっと、喧嘩してきたからな…」
遊馬が悲鳴に近い声を上げる…鋼の鎧は罅割れ完全に錆色に変色…デュエルディスクを着けた右手はダラリと垂れ下がってしまっている…。
【本当に酷い有り様だよね〜、本当に尊敬しちゃうよーさっすがヒーロー!】
「お前に言われても嬉しくないよ…貴様は…俺が倒す!!」
おちゃらけた振りをするトロンを遊海は殺気全開で睨みつける…!!
(この気配…先程感じたのは白野のものだったのか…!)
【へぇ…君は彼の正体を知ってるんだ…】
(!?)
「俺のターン、ドロー!」
「『アトゥムス』の効果発動!ORUを1つ使い、デッキから『聖刻龍─ドラゴンヌート』を攻守0で特殊召喚!」
水色のウジャト眼を刻む龍人が現れる DEF0
「さらに『聖刻龍─ドラゴンゲイヴ』を召喚!!」
オレンジ色の人龍が現れる ATK1800
「さらに俺は…ランク6の「アトゥムス」を素材にオーバーレイネットワークを再構築…!進化せし竜騎士よ!迅雷の如く出陣せよ!『迅雷の騎士ガイアドラグーン』!!」
人竜一体となった騎士が現れる! ATK2600
『一気にモンスターを揃えた!!』
(これが白野の全力…!凄まじいプレイングだ…!)
遊馬とアストラルは遊海の展開に圧倒される…!
「バトルだ…!『ガイアドラグーン』で『アバコーンウェイ』を攻撃!螺旋竜槍殺!」
【くぅ…!】
鋭い槍の一撃が赤いドラゴンを粉砕する!
トロンLP4000→3200
「『シユウドラゴン』でダイレクトアタック!」
【罠カード『
「させるか…!カウンター罠『反射の聖刻印』を発動!『ドラゴンゲイヴ』をリリースする事でモンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にし破壊する!」
【なっ…うわあ〜】
シユウの息吹がトロンを吹き飛ばす!
トロンLP3200→1000
「リリースされた『ゲイヴ』の効果…デッキの『神龍印』を特殊召喚…!」
赤いウジャト眼を刻んだ太陽石が現れる DEF0
「ターン、エンド…!」
遊海LP1500
ガイアドラグーン 神龍印 ヌート シユウ 伏せ1 手札1
『すげぇ…!1ターンでトロンを追い詰めた!!』
『でもメタルナイト…なんだか苦しそう…!!』
流れるようなプレイングに喜ぶ遊馬だったが、反対に小鳥は心配そうに遊海を見つめる…遊海は肩を上下させながら苦しげな様子だった…。
(…無理もない、2日近く眠り続けた彼にとって…デュエルは凄まじい負担になっているはずだ…)
【それだけじゃないよ?君達は聞かされてないのかい?】
『なっ…お前、アストラルが見えてるのか!?』
遊馬はトロンの言葉の驚愕する…トロンにもはっきりとアストラルの姿が見えている…!
(聞かされていない…?なんのことだ!)
【やれやれ…君も結構秘密主義だよねぇ白野?デュエルカーニバル2日目…君もカイトや遊馬と一緒にハルトを取り返しに来てたよねぇ!】
『『えっ…!?』』
(白野…それは本当の事なのか?)
「…ああ、夢見でハルトの声を聞いてな…お前達がデュエルしている間にハルトを助け出すつもりであの場所にいた…だが…」
【君は失敗した…ずいぶんと苦しんでいたよねぇ…君はボクの罠に嵌まり
「力を奪われていようと関係ない…!お前をぶん殴るだけの力は残してある…!例え、俺の身体が砕けようと…!!」
『白野…!どうしてそこまで…!!』
尋常ならざる様子の遊海に遊馬は問い掛ける…。
「遊馬…目の前にいるコイツこそ…トロンがⅢ…ミハエル達の父親…!バイロンだ!!」
『えっ…!?』
(トロンが…Ⅲ達の父親!?)
『嘘っ…!』
【な〜んだ、ここでバラしちゃうんだ!つまらないな〜、もう少し遊び心を持ったら?】
衝撃の事実を知った遊馬達…トロンは軽い調子で笑みを浮かべる…。
「お前相手に油断も慢心も慈悲もない…!かかって来い!!トロン─!!」
【じゃあ、お言葉に甘えて…!本気でいこうか!!】
【ボクのターン!ドロー!】
【「紋章獣ベルナーズ・ファルコン」を召喚!】
鎧を纏った隼が現れる ATK1000
【さらに魔法カード「
再び赤いドラゴンが現れる ATK1800
「っ…来るか…!」
【ボクはレベル4の「アバコーンウェイ」と「ベルナーズファルコン」でオーバーレイ!エクシーズ召喚!!】
08
【現れろ!「No.8」!「紋章王ゲノム・ヘリター」!】
トロンの場に白い毛の生えた仮面が現れ展開…巨大な鹿のような不気味なモンスターが現れる ATK2400
『これがトロンのナンバーズ…!』
【フフフ…!バトルだ!「ゲノムヘリター」で「ガイアドラグーン」を攻撃!】
『攻撃力の低いモンスターで攻撃!?ナンバーズはバトルじゃ破壊されないけど…!』
【「ゲノムヘリター」の効果発動!ORUを1つ使い、このモンスターとバトルするモンスターの攻撃力を0にして…このモンスターの攻撃力はバトルするモンスターの元々の攻撃力となる!】
『なんだって!?』
ガイアドラグーンATK2600→0
ゲノムヘリターATK2400→2600
(まずいぞ…!白野のライフは残り1500…2600の攻撃を受けたら…彼の負けだ!!)
【潰れちゃいな…!フラッシュ・インパクト!!】
「ゲノムヘリター」の毛が伸び…「ガイアドラグーン」を刺し貫き粉砕する!!
『白野─!!』
煙に覆われるフィールド…そして…
「─速攻魔法『神秘の中華鍋』…!『シユウ』をリリースする事で、攻撃力分…ライフを回復する…!」
『白野…!』
煙の中から遊海が立ち上がる…すんでの所でライフを回復し、攻撃を耐えていたのだ…。
遊海LP1500→3700→1100
「リリースされた『シユウ』効果…デッキから『神龍印』を特殊、召喚」
2体目の太陽石が現れる DEF0
【しぶといねぇ…ボクはこれでターンエンド】
トロンLP1000
ゲノムヘリター 伏せ1 手札2
「っ…!」ガクン
『白野!!』
トロンのターンが終わり遊海は膝をつく…鎧は完全に砕け散り、赤く染まった入院着が遊海の苦しみを感じさせている…。
【フフフ…!もう立てないんだろう?そのまま寝ちゃいなよ】
「寝言は、寝て言え─!!」
遊海は気合いだけで立ち上がる!!
『白野!やめてくれ…そんな身体じゃ…!』
「…遊馬、決闘者は…ライフが残っていれば…立ち上がれる…!」
『白野…』
遊海を心配する遊馬…遊海は力強く遊馬へと応える…そして……
「遊馬…今から俺は、本気を出す……嫌いにならないで、くれよ?」
『えっ…?』
【本気ぃ?そんな身体で何ができるのさ…?アハハハ!!】
「…お前には、俺から名乗った事はなかったな…俺は岸波白野、神代凌牙の養父……そして……俺は…──」
ゴウッ!!
『白野─!?』
遊海が自分の身体を炎で包む…そして炎が掻き消えた時、そこにいたのは…赤帽子の男だった…!
【お、お前は…まさか!?】
「決闘者…白波遊海、それが俺の真名だ…!!」
遊海が名乗りを挙げる…傷だらけの身体で不敵に笑いながらトロンを睨みつける…!!
『白波、遊海…白野さんが、伝説の決闘者…!?』
『信じられない…!』
遊馬と小鳥は突然の出来事に固まってしまっている…。
(…ナンバーズの知識にあった、かつて『名もなきファラオ』が冥界へと消える時、ファラオの祝福を受けた彼は不死身となった…それ以後、彼は陰ながらデュエル界を護り続けた…そんな物話が…!)
「いくぜトロン…
【チィ…!ボクの復讐はこれからだ!!こんな所で止まりはしない─!!】
「俺のターン、ドロー」
「俺は、レベル8の『神龍印』2体でオーバーレイ…エクシーズ召喚…『聖刻神龍─エネアード』!」
赤きウジャト眼を刻みし太陽の化身が現れる ATK3000
【させないよ…!「ゲノムヘリター」のさらなる効果発動!ORUを1つ使い!『エネアード』の効果を無効にし!その効果を得る!!】
『相手ターンにモンスター効果を!?』
「エネアード」に紫色の鎖が巻き付き、効果が奪われる!
【エクシーズモンスターの効果は封じた…これでお前は何も──】
「魔法カード『星呼びの天儀台』を発動、手札のレベル6『トフェニドラゴン』をデッキ下に戻し2ドロー」
【なにっ…?】
遊海の動きは止まらない…!
「…これで、充分だ…魔法カード『銀龍の轟砲』を発動、墓地の『神龍印』を特殊召喚!」
3体目の太陽石が現れる DEF0
【無駄だ!君の『エネアード』ではボクにトドメはさせないよ!ナンバーズはナンバーズでしか破壊されないからね!】
「ナンバーズ…そんなもの…さらなる力で上回ればいい!!フィールドの『ドラゴンヌート』『エネアード』『神龍印』をリリース!!」
【なんだと…!?】
遊海の声と共にジャングルが暗雲へと覆われていく…!
『な、なんだ…!?急に暗く…』
『何が起きようとしてるの…?』
遊馬と小鳥は身を寄せあい空を見上げる…!
《ユウミ…よく耐えました、小言はまた後で…今は…》
「…頼む、フレア」
腕に現れた金色の鳥を暗雲の空へ解き放つ…!
「せいれいはうたう…おおいなるちから、すべてをつかさどらん…そのいのち、そのたましい…そのなきがらでさえも──」
語るように、歌うように…遊海は言葉を紡ぐ…神へと捧げられた祝詞を…
「…現われよ、『ラーの翼神竜』」
暗闇に包まれたジャングルに一筋の光が差す…その光は徐々に大きくなり天空に太陽が現れる…その名は『ラーの翼神竜』…デュエルモンスターズ界最強の神が現れた!!
《ギュアアア─!!》
ATK0→4700
『で、伝説の…『太陽神』─!?』
(三幻神はファラオの眠りと共に失われた…だが、デュエルモンスターズの創始者ペガサス・J・クロフォードの手で「ラーの翼神竜」のコピーカードが作られた…そのカードは使う者に神罰を下す禁断のカード…そして、そのカードはペガサスのもとから消えた……彼の手に渡っていたのか…!)
アストラルは冷静に知識を告げる…その神威に見惚れながら…。
【馬鹿な…!】
「『ラー』の効果を発動、俺のライフを1000捧げ…『ゲノムヘリター』を破壊する!」
遊海LP1100→100
《愚かなる復讐者よ…我が怒りを受けよ!!》
ラーの身体が炎に包まれ、紅蓮の不死鳥と化す!!
「《ゴッド・フェニックス!!》」
【うわあああああ!!!】
紅蓮の不死鳥が偽りの王を焼き尽くす!!
「これで…終わりだ!トロンへ…ダイレクトアタック!!ゴッド・ブレイズ・キャノン!!」
《キュアアアアア!!》
【ま、まさか…ボクがこんな所で─!!】
神罰の炎がトロンをあっけなく飲み込んだ…。
トロンLP
遊海
『これが、遊海の……神の怒り─』
『すごい…』
炎に包まれたジャングルの中で遊馬達は尻餅をつく…見た事のない白野…遊海の本気を目にして力が抜けてしまったのだ…。
「…ありがとう、フレア」
《いいのですユウミ、アヤカのいない中でよく頑張りました…》
遊海は優しくフレアの嘴を撫でる…先程までの怒りが嘘のように穏やかな表情で…。
「…アストラル、ナンバーズの回収は任せるぞ…俺は…限界だ…」
(わかった)
遊海がアストラルに声をかけ、アストラルはトロンのいる方向へと手を伸ばす…
「…フレア、もう戻っていいぞ?」
《はい…あれ?戻れ──》
【あはは…!まさかさぁ…ボクがこんな所で…負けたと思った?】
「『『《!?》』』」
炎の中から狂気に濡れた笑い声が響く…トロンはまだ、立っていた…!!
『そんな、なんで…!?』
【攻撃を受ける瞬間罠カード『
振り払われた炎の中から仮面を着けた獅子が現れる ATK2000
トロンLP1000→300
「抜かった…!俺は、ターンエンドだ…!」
遊海LP100
ラーの翼神竜 手札0
【感謝するよ伝説の決闘者…!君のおかげで
【ボクのターン!ドロー!!】
【「紋章獣ユニコーン」を召喚!】
鎧を纏ったユニコーンが現れる ATK1100
【さらに『紋章獣エアレー』は自分の場に紋章獣が2体以上いる時!特殊召喚できる!!】
青い毛皮の鹿が現れる ATK1000
【ボクはレベル4の「レオ」「ユニコーン」「エアレー」でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築…エクシーズ召喚!!】
69
【開放しろ…怒りを!!現われよ「No.69」!「紋章神コート・オブ・アームズ」!!】
ギィン─!
空中に紫の紋章が刻まれる…その内より巨大な角を持つ、黒き異形の悪魔が現れた! ATK2600
『2体目のナンバーズ!?』
【感謝するよ遊海…君が怒ってくれたからボクはこのカードを操る事ができる…!!】
「っ…!」
遊海は膝をつきながら唇を噛み締める…!
【「コートオブアームズ」の効果発動!このカードが存在する限り!フィールド全てのモンスター効果は無効になる!堕ちなよ、太陽神!ゴッド・メダリオン・ハンド!!】
ギュル…ドシュ!!
《ガッ…!?》
「フレア!!」
「コートオブアームズ」から放たれた光の触手がフレアを貫く…フレアは力を奪われ…色を失い墜落した…。
ラー ATK4700→0
【長い間お疲れ様…もう眠りなよ、「コートオブアームズ」で「ラーの翼神竜」を攻撃!ゴッド・レイジ!!】
「コートオブアームズ」が天空に紫の光を放つ…そして暗雲の中から黒い閃光が放たれ…フレアと遊海を飲み込んだ…。
遊海LP0
トロンWIN…
「ガハッ…ぁ──」
《ユウ、ミ…しっかり、して…!》
怒りの一撃を受けた遊海はジャングルフィールドのARビジョンを破壊しながら壁に激突…そのまま崩れ落ちた…近くには傷付き、小鳥状態になったフレアが弱々しく遊海へと呼びかけている…。
【あっけない幕切れだったねぇ…!じゃあ…君のナンバーズを貰おうか…!!】
ギィン─!
「っ──…」
トロンの腕から伸びた紫の鎖が遊海を貫き…赤い光の玉を引き抜く…。
【…なんだ、ナンバーズ持ってないんじゃん…つまんないの!…でも…
遊馬達を少しの間見つめたトロンはワープホールへと姿を消した…。
『ゆ…遊海─!!!』
遊海の敗北のショックでフリーズしていた遊馬達が遊海のもとへ駆け出す…。
『遊海…しっかりしろ!しっかりしてくれ─!!』
《…無駄です、ユウマ…ユウミは魂を、奪われてしまった……魂を取り戻さなければ、目覚める事は…》
遊海を起こそうとする遊馬…だが、遊海は目覚める事はない……トロンの紋章によって遊海の『魂』は奪われてしまっていた…。
(ラーの翼神竜…まさか、貴女が敗れてしまうとは…)
《……私の、せいです…私が、ユウミを止めていれば…!》
倒れたままフレアは静かに涙を流す…その時だった。
「先生…遊海先生!!」
『っ…アンタ、前夜祭の…!』
倒れた遊海のもとに十代が駆け寄ってくる…強制排除を力づくですり抜けて遊海のもとへ駆けつけたのだ…。
「先生は……決闘で負けたのか…!」
『あっ、えっと…』
(トロンという男に最後まで誇り高く闘い…敗北した)
「…そうか、ありがとよ青い精霊……この人の事はオレに任せてくれ…ネオス、フレアを頼む…!」
《…わかった》
《十代…迷惑を掛けます…》
十代の隣にネオスが現れ、傷だらけのフレアを抱きあげる…。
(私が見えている…「ネオス」…赤い服…貴方は…)
「オレは遊城十代…先生の教え子だ、遊海先生は翠さんの所に必ず連れていく…安心してくれ」
十代は落ち込んだ様子の遊馬へと目を向ける…。
『…九十九遊馬くん、だったな?』
「あ、ああ…」
「デュエルで奪われたモノは…デュエルで取り返すしかねぇ…頼むぜ…きっと、遊海先生はお前の事を信じてる!』
『…わかった…!オレがトロンを倒せば…遊海さんも元に戻るんだよな…!かっとビングで…やり遂げてみせる!!』
『あっ…待って!遊馬!!』
激励を受けた遊馬は拳を握りしめ走り出す…そのままデュエルコースターに乗って遊馬達は走り出した…。
「先生…今のアンタの弟子、良い奴じゃねぇか…頼んだぜ、遊馬…!」
遊馬を見送った十代は遊海を背負い地上へと向かった…。