転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

今回は凌牙対Ⅳの戦い…その結末は…?


それでは最新話をどうぞ…!


対決!怒れる復讐者・Ⅳ〜怒りの覚醒〜

────!!

 

 

 

(っ!この気配は…!遊馬、次の分岐を左に行くんだ…!)

 

「左…?いきなりどうしたんだアストラル?」

スペースエリアを離れ対戦相手を探す為に走り回る遊馬一行…そんな時、アストラルが通路の先から異様な気配を感じ取る…!

 

(左側から強く禍々しい力の「波動」を感じた…ⅢやⅤと同じ「紋章」の力…!この先にトロンがいる可能性がある!!)

 

「この先にトロンが…わかった、行くぜ!!」

アストラルの言葉に従って遊馬は左へと舵を切った…!

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり…幾つもの火山が噴火し、大地を溶岩の海が支配する「マグマフィールド」…そこで2人の男が対峙する…!

 

 

 

「ようやく追い付いたぜ…もう逃さねぇ!!」

 

『フッ、逃げていたわけじゃない…君を此処へと()()()()()のさ、この灼熱のフィールドへ…!』

凌牙とⅣ…因縁深い2人の決闘者がついに決着を着ける時が訪れた…!

 

 

「璃緒を傷付け、白野()()()を悲しませた事…必ず償ってもらう!!」

 

『…いいだろう、かかってこい!凌牙─!!』

家族を傷付けられた怒りを胸に秘めた凌牙…そして、Dr.フェイカーへ復讐の炎を燃やすⅣ…2人のデュエルが幕を開ける!!

 

 

 

『「デュエル!!」』

 

 

 

 

 

デュエルダイジェスト 凌牙対Ⅳ

 

 

 

 

「俺のターン!ドロー!」

先の2つのフィールド同様、「マグマ・オーシャン」にも効果がある、それは「水属性モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時、そのモンスターを破壊する効果」…通常であれば水属性使いである凌牙には圧倒的不利な状況…だが、凌牙には問題にならない!

 

「速攻魔法『プレート・サルベージ』を発動!!発動後2ターン目のエンドフェイズまでフィールド魔法の効果を無効にする!!」

 

『チィ…!』

凌牙の対策…それはⅢ戦で見せたフィールド魔法の無効化…それにより灼熱の世界は一転、一時的に氷の世界へと変化する!

 

 

「着いた…!シャーク…それにⅣ!!」

 

「遊馬…!」

 

『ハッ…来たか!』

氷の世界に新たな人影が現れる…それは遊馬と小鳥だった。

 

「ここがマグマフィールド…?」

 

「暑いどころか寒…ハックション!?」

 

(流石はシャーク、フィールド魔法の効果を無効にしたのか…!)

瞬時に戦況を把握するアストラル…だが、彼らはまだ気付いていなかった…デュエルを見つめるもう1人の人影に…。

 

 

【フハハハハ…!ついに始まったねえ…これはⅣにも凌牙にとっても大事な一戦…さあ、存分に戦うがいい!僕が見届けてあげるからさぁ…!アハハ…アハハハハ!!】

 

 

 

 

 

「『潜航母艦エアロ・シャーク』の効果発動!ORUを1つ使い!俺の手札1枚につき400ダメージを与える!俺の手札は3枚!喰らえ!エアー・トルピード!!」

 

『ぐおぉお…!?』

 

「よっしゃ!シャークのコンボが決まったぜ!!」

フィールド魔法の効果を封印した凌牙は得意のコンボで先制ダメージを喰らわせる!

 

 

『ははっ…!初っ端からエクシーズ召喚か、やるじゃねぇか…潰し甲斐があるぜ…!』

Ⅳは獰猛な笑みを浮かべ、凌牙を睨みつける…!

 

 

15 

 

 

『現れろ!「No.15」!「ギミック・パペット─ジャイアント・キラー」!!』

 

「出やがったな…!ナンバーズ!!」

Ⅳの場に漆黒の破壊人形が現れる…!

 

 

『お前が本気で来るなら…オレも受けて立ってやる!最高のファンサービスを見せてやろうじゃねえか!』

 

【フフフ…さあ、やるんだⅣ…凌牙を闇の中に叩き落とすんだ…】

トロンは笑う…凌牙へとその毒牙を伸ばしながら…。

 

 

 

『「ジャイアントキラー」の効果発動!ORUを1つ使い!相手フィールドのエクシーズモンスターを全て破壊!その攻撃力分のダメージを与える!デストラクション・キャノン!!』

 

「っ…!?ぐあああ!!?」

 

「シャーク!!」

糸に拘束された「エアロシャーク」が破砕器に引きずり込まれ破壊される…その残骸が赤い砲弾となって凌牙に襲い掛かる…!

 

 

『さらに!「ジャイアントキラー」でダイレクトアタック!ファイナルダンス!!』

 

「やらせるか…!永続罠『バブル・ブリンガー』発動!相手モンスターの攻撃を無効にする─!」

迫った糸鞭を無数の泡が受け止める…!

 

 

「あっ、危ねぇ…!流石シャークだぜ…!」

 

『チッ…まあいい、オレがターンを終えれば「プレートサルベージ」の効果が消え…次からは灼熱地獄だ…!ターンエンド!!』

 

キン─ドドォォン!

 

「熱ちぃっ!?」

 

「これが本当の『マグマオーシャン』…!」

Ⅳがターンを終えると共に火山が噴火…フィールドが再び灼熱地獄へと変化する…!

 

「強がりかどうか…オレのデュエルを見てから言え─!」

 

 

 

 

「『ハンマー・シャーク』を召喚!さらに『バブルブリンガー』を墓地に送り効果発動!墓地の『トライポッドフィッシュ』を特殊召喚!特殊召喚されたこのカードのレベルは1つアップする!!」

凌牙の場にカナヅチ頭の鮫と深海魚が現れる…だが…!

 

 

『馬鹿め!フィールド魔法「マグマオーシャン」の効果で水属性モンスターが召喚された時それを破壊する…貴様のモンスターはここでは生きられないのさ!!燃え尽きちまえ─!!』

 

「ふっ…甘いんだよ!永続罠『逆境適応』発動!!」

 

『なに!?』

溶岩の海から現れた巨龍が凌牙に襲い掛かるが…虹色のバリアがそれを阻む!

 

「永続罠『逆境適応』…その効果により俺のモンスターは魔法・罠の効果で破壊されなくなる!これで俺のモンスターはこの灼熱地獄でも耐えぬける!!」

 

 

 

(…この一戦に懸ける彼の意気込みは半端なものではない…だが…遊馬、このデュエルが終わるまで…白野の事はシャークに伝えるな)

 

「えっ…なんで…?」

凌牙の鬼気迫る様子を見たアストラルは遊馬に進言する…。

 

(彼はいま「家族の為」に全てをデュエルに向けている…もし今の彼が白野の事を知れば…()()()()()が起きかねない…!)

 

「最悪の、事態…?」

アストラルの意味深な言葉に遊馬は首を傾げた…。

 

 

 

 

「(Ⅳ…いや、トーマス…お前は白野さんを悲しませ、全国大会で俺を罠に嵌め、挙げ句に璃緒を傷付けた…俺はお前を許さねぇ…)お前をぶっ飛ばして、白野さんに謝らせる!!」

凌牙は怒りを燃やす、その瞳に強い覚悟を宿して…!

 

 

(遊馬…彼はあのモンスターを召喚するつもりだ!!)

 

「それって…まさか、シャーク!!」

アストラルは凌牙の強い感じ取り確信した…彼の次なる一手を…!

 

 

「『バブルブリンガー』の効果で特殊召喚したモンスターは2体分のエクシーズ素材となる!俺は2体分となったレベル4の『トライポッドフィッシュ』と『ハンマーシャーク』でオーバーレイ!!エクシーズ召喚!!」

 

32

 

「現れろ!『No.32』!『海咬龍シャーク・ドレイク』!!」

 

《グルルァァ!!》

赤い鰭を持つ最強の牙がシャークの場に現れる!!

 

 

「で、出ちまった!」

 

(カイトのナンバーズ…「シャークドレイク」…!)

現れたナンバーズを警戒する遊馬とアストラル…だが、彼ら以上に驚いている人物がいた…。

 

 

『なっ…ナンバーズだと!?しかも、そのカードは…Ⅲの…!』

Ⅳは思わぬモンスターの出現に驚愕する…実はトロン一家の中で()()()()凌牙へナンバーズを渡した事が伝えられていなかったのだ…。

 

 

 

『トロンとⅤが何かを企んでいた事は知っていたが…Ⅲを使って、あのナンバーズを凌牙に…!?』

 

【君には話してなかったけどねー】

 

『っ…!?トロン!?…なぜだ!?』

困惑するⅣにトロンの幻影が話し掛ける…。

 

 

【だってさぁ…君に話したら計画が漏れちゃうかもしれないだろう?君は口が軽いからねぇー…人にはそれぞれ役割があるんだよ、ⅤにはⅤの…ⅢにはⅢの…】

 

『クッ…オレの…オレの役割は!?』

 

【君の役割は凌牙を心の闇の中に叩き落すことさ…でも、君はそれすらもできていないけどねぇ…がっかりだよ】

 

『な、に…?』

トロンの呆れたような言動にⅣは困惑する…。

 

 

【君は確かに彼をここまで追い詰め、『シャークドレイク』を呼び寄せた…でもね、凌牙はまだナンバーズの力に飲まれず、正気を保っているんだよ…まぁ、君が悪いだけじゃない…彼にはストッパーがいたからねぇ】

 

『…白野のことか』

 

【大正解!彼は凌牙が道を踏み外そうとするたびに彼を救いあげてきた…彼の事は本当にイレギュラーだったよ…さてと、うかうかしてると君も危ないよ?凌牙の力も、『シャークドレイク』の力も、君はよーく分かってるだろう?】

 

『凌牙の、力…!?』

トロンは言うだけ言うと姿を消してしまった…。

 

 

 

「俺は…ナンバーズの力になんて飲まれねぇ!『シャークドレイク』で『ジャイアントキラー』を攻撃!デプス・バイト!!」

 

『ぐああっ!?』

放たれた鮫型のエネルギーが殺戮人形を粉砕する!

 

「まだだ!『シャークドレイク』の効果発動!ORUを1つ使い!戦闘で破壊した相手モンスターを特殊召喚し、その攻撃力を1000下げる!」

 

『やらせるか!手札の「ギミックパペット─ナイト・ジョーカー」の効果発動!戦闘で破壊された墓地の「ジャイアントキラー」を除外する事でこのモンスターを特殊召喚できる!』

Ⅳは凌牙必殺のコンボをギリギリで回避する!

 

 

【危なかったねぇ!でも咄嗟の対応はよかったよー?これで君はまだ戦える…凌牙をさらに追い詰めることができる…ってことだよね?】

 

『っ〜!!』

トロンの幻影がⅣを小馬鹿にするように声を掛ける…まるでⅣ自身をあえて怒らせるように…。

 

 

「命拾いしたなⅣ!俺はこれでターンエンドだ…!」

 

 

【ほらほらぁ…!凌牙もまだまだ元気だよー?頑張らなくちゃあ…なんの為に君にあの力をあげたと思ってるのー?】

 

 

『っ〜!!分かってるさぁ!!

 

(「「「!?」」」)

 

あまりに酷いトロンの口撃にⅣは声を荒らげ叫ぶ…だが、その様子は凌牙達にとって()()()()()()()()()()()()()()()()()…。

 

 

「Ⅳの奴…いきなりどうしたんだ…?誰かと喋ってる…??」

 

(…まさか…?)

いきなり叫びだしたⅣ…アストラルはその原因を予測し、声を漏らす。

 

 

『わかってる…わかってるさ!!オレの役割が凌牙を心の闇の中に落とす事だって事は…!そのために今までもオレは動いてきた!!大会で奴を嵌めたのも…璃緒に怪我を負わせたのも!…全てはトロンのため!!トロンの命令に従ったまで!!』

 

「なっ…トロンの命令でシャークの妹を…!?」

 

「どういう事なの…!」

Ⅳによる罪の告白に遊馬と小鳥は動揺する。

 

 

「っ…!!いるのか、トロン!姿を見せ【いるよ!】貴様ぁ!!」

 

【おっと!危ない危ない…】

凌牙の前にトロンが現れる…凌牙はトロンを捕まえようとするが…幻影のトロンは捕まらない…。

 

 

「あそこにトロンが!?何も見えねぇけど…!?」

 

(…おそらく何らかの力で彼らにだけ自分の幻影を見せているのだろう…)

 

【そのとーり!流石はアストラル!】

 

(っ!?)

トロンの存在に気付いたアストラルにトロンの声が囁く…!

 

(トロン…君の目的はなんだ…!何故シャークを心の闇に落とそうとする!?)

 

 

【【【フフフ…!隠す必要も無いから…()()に答えるよ!】】】

 

「うわっ!?」

 

「ひゃ!?」

トロンの言葉通り、全員の前にトロンの幻影が現れる…!

 

 

 

 

 

【僕が凌牙の心を闇に落とす理由は・・・操るためさ!Dr.フェイカーを倒す刺客としてね!】

 

「なっ…刺客…!?」

 

「ふざけるな…!俺はそんなものになるつもりはない!!」

トロンの言葉に凌牙は怒りを露わにする…!

 

 

【君にその気がなくても…もう逃げられないんだよ、君はボクの操り人形になるんだ…!僕だけの人形に!】

 

『…オレ達兄弟は…!トロンのために力を尽くしてきた!なのになぜオレ達じゃなく…いや、オレじゃなくて凌牙を…!?そんなの…オレは認めない!!』

怒りを露わにしたのはⅣも同じだった、トロンの為に尽くしてきたⅣ…トロンは彼をアテにはしていなかったのだ…。

 

【言っただろぅ?人には役割がある、って。Dr.フェイカーを倒すには、君よりも、凌牙のほうが…()()()()

 

『認めない…!そんなことは断じて認めねぇ!!Dr.フェイカーはオレが倒す!こんな奴より…オレの方が強いって事を見せてやる─!!』

 

 

 

 

40

 

 

『現れろ!「No.40」!「ギミックパペット─ヘブンズ・ストリングス」!!』

トロンと凌牙への怒りが頂点へと達したⅣは堕天の演奏人形を呼び出す…!

 

『オレは更に手札から装備魔法「デステニー・ストリングス」を発動!!「ヘブンズストリングス」に装備!このカードはデッキからカードを墓地へ送り、それがモンスターカードだった時!そのモンスターのレベル分の回数攻撃ができる…しかも、お前のモンスターは破壊されずになぁ!』

 

「なんだと!?」

「ヘブンズストリングス」の持つ細身の剣がバスターソードのような大剣に変化する!

 

『俺が引いたのは…レベル8の『ギミックパペット-ネクロ・ドール』!よって!「シャーク・ドレイク」を()()()()で攻撃する!』

 

「なっ─!?」

 

『やれ!「ヘブンズストリングス」!ヘブンズブレード!!』

 

「ガッ、ぐああああ!?」

 

「シャーク!!」

「ヘブンズストリングス」が「シャークドレイク」へと斬りかかる…だが、「シャークドレイク」は破壊されず、ダメージと強力な()()()()()()()が凌牙へと襲い掛かる!!

 

 

『苦しめ…もっと苦しめぇ凌牙ァァ!』

 

「うわあああ!!ガハッ…!?」

 

「や、やめろぉぉぉ!!!」

あまりに残酷なデュエルに遊馬が叫ぶ!!

 

 

「こんなの、こんなのデュエルじゃねぇ!!デュエルは怒りや復讐の為にするモンじゃねぇぇ!!」

 

【おっと…邪魔はさせないよ】

 

ギィン─!!ジャラジャラジャラ!

 

「なっ…う、動けねぇ…!!」

 

(遊馬!!)

トロンが紋章の力で遊馬を縛り上げる…!

 

【ハハハ…ここからが本当のお楽しみなんだからさぁ…!君はそこでおとなしく見ていなよ…!】

 

 

 

「ぐあぁぁ…!!」

 

「やめろ…!デュエルは、デュエルは人を幸せにするものだぁぁ!!」

 

『苦しめ、凌牙ぁ…苦しんで…苦しんで…苦しみぬいた末に地獄に落ちるがいい─!』

縛られながらも遊馬は叫び続ける…だが、Ⅳは攻撃の手を緩めない…!トロンへの怒りと凌牙への怒りが合わさり、その心は狂気に蝕まれていく…!

 

 

「デュエルをすれば仲間に…友達になれるのに…!人を傷つけるなんてデュエルじゃねぇぇ─!!」

 

【みんな友達、ねえ…君は本当にそっくりだねえ…あの九十九一馬に…!彼もよく言ってたよ…友情!とか…人を幸せに!!とか…】

 

「っ…!お前が…お前らが父ちゃんを巻き込まなければ!!」 

遊馬はトロンの幻影へ吠える…!

 

【君から父さんを奪ったのはDr.フェイカーだ…!恨むならフェイカーを恨みなよぉ?そうすれば君の心の中にも『闇』が生まれる…それを広げて…フフフフ…!約束したよねえ?次は君の心を食べてあげるって…】

 

「ふざけるな…!オレはアンタを許さない!!白野を…っ!!」

遊馬は咄嗟に口を噤む…凌牙に遊海のことが知られればどうなるか…遊馬はようやく理解したのだ…!

 

【フフフ…ハハハ…!ありがとう遊馬…!君のおかげで()()()()()()…!確実に凌牙を闇に落とす最後の一手を…!】

トロンは笑いながらフィールドを見つめた…。

 

 

 

 

『さあ…!ラストだぁぁ!』

 

「ぐあ"あ"あ"あ"!!…ぁ…」

8回の連続攻撃を受けた凌牙は地面に倒れ込む…上着は擦り切れ、額からは血が流れている…。

 

『どうだ、凌牙ぁ…!だが、まだ終わりじゃない!「ヘブンズストリングス」の効果発動!ORUを1つ使い!「シャークドレイク」にストリング・カウンターを置く!』

「ヘブンズストリングス」が自身の体から伸びた弦を弾き鳴らし、剣を掲げる…そして無数の赤い糸が空から伸び、「シャークドレイク」に巻き付く!!

 

『これで次のターンの終わりに「シャークドレイク」は破壊され…その元々の攻撃力分のダメージをお前は受けることになる!それで本当のおさらばだ…!ターンエンド!!』

獰猛な笑みを浮かべながらⅣはターンを終える…だが、凌牙は立てなかった…!

 

 

「シャーク…シャーク!!返事をしろ!!聞こえてんだろ、シャーク!!シャーク─!!」

遊馬の叫びがフィールドに木霊した…。

 

 

 

 

Side凌牙

 

 

 

 

「(全身が、痛てぇ…全身を殴られたみてぇだ…)」

朦朧とした意識の中、凌牙は痛みに苦しんでいた…。

 

ギィン─!

 

凌牙…凌牙…凌牙!

苦しむ凌牙へと何者かが語り掛ける…そして凌牙の意識は暗転した…。

 

 

 

 

 

凌牙…我が声を聞け…!

 

「お前、は…『シャークドレイク』…!?」

凌牙の精神世界…そこで凌牙とシャークドレイクは対峙する…。

 

凌牙…オレと1つとなれ…オレを受け入れろ…!

 

「断る…!俺はもう、ナンバーズには飲まれねぇ…!」

凌牙はシャークドレイクの言葉を一蹴する!

 

 

お前はもう逃げられない、心の闇を…受け入れろ…!

 

「諦めて、たまるか…!俺は神代凌牙…!白野さんと…翠さんの息子だぁぁ!!」

 

ガン!!

 

ガアアッ!?

凌牙はシャークドレイクの鼻先を殴りつける…そして意識は再び暗転した…。

 

 

 

SideOut

 

 

 

 

 

「ぐっ…ゴホッ…!」

 

「シャーク!!」

倒れ込んでいた凌牙が咳き込みながら立ち上がる…!

 

 

「うるせぇんだよ、遊馬…ギャーギャー言わなくても、聞こえてるぜ…!!俺はもう、飲まれねぇ!!」

 

「シャーク…!」

 

「よ、よかったぁ…」

なんとか復活した凌牙に2人は胸を撫で下ろす…。

 

(体の傷もひどいが…精神にもダメージを受けている…シャークは、必死にナンバーズの力に抗っている…!)

 

「えっ…!」

アストラルの言葉に遊馬は言葉を失う…ナンバーズの侵食は常人には決して抗えない…だが、凌牙は精神力だけでナンバーズの力に立ち向かっているのだ…!

 

「アストラル…シャークなら、大丈夫…!きっと白野さんの教えが…思いがシャークを守ってくれる…!!」

 

(遊馬…)

遊馬は凌牙を信じ、戦いを見つめた…。

 

 

 

 

 

 

「オレのターン!永続魔法『異次元海溝』を発動!『シャークドレイク』を…除外する!!」

 

『なんだと!?』

血を拭いながら凌牙は魔法を発動する、それは「ヘブンズストリングス」の効果をかわすと共にナンバーズの誘惑を断ち切る一手となる!

 

「オレはモンスターを伏せ…ターンエンドだ!」

 

 

『チッ…褒めてやるよ凌牙…お前がまさか「シャークドレイク」を手放すとはなぁ…』

凌牙の覚悟を見たⅣは獰猛な笑みを浮かべる…!

 

『だが、これでお前は切り札を失った!オレには攻撃力3000の「ヘブンズストリングス」がいる!このモンスターには「デステニーストリングス」が装備されている…!さっきのように連続攻撃も可能ってことだ、貴様に勝ち目は…無い!!』

勝ち誇るⅣ…だが、それに水を差す者がいた…それは…。

 

【果たしてそうかなぁ?】

 

『っ!?トロン…!?』

味方であるはずのトロン自身だった…!

 

 

【『デステニー・ストリングス』はリスクも大きい、連続攻撃を発動させるにはデッキからカードを1枚、墓地に送らなきゃならない…(パシン)】

 

「っ…鎖が…」

トロンは遊馬の拘束を解きながらⅣへと語り掛ける…。

 

 

【でも、そのカードはモンスターカードでなければいけない…もし、ドローしたカードがモンスターで無かったら?攻撃はできず…バトルフェイズは終了する!】

 

『っ!?』

 

【さっきは運よくモンスターを引き当てることができたけど…】

 

『オレが、信用できないのか…!?』

Ⅳは愕然としながらトロンに問い掛ける…トロンの口ぶりはⅣを信用せず、貶めるものだった…。

 

 

【確率の問題を言ってるんだよ…ボクは科学者だからねぇ?君は昔からそうだった…冷静で慎重なⅤやⅢと違って…直情型で、すぐにカッと熱くなる…】

 

『トロン…!』

 

【ほら、そうやってぇ…】

 

『っ〜!!!』

トロンはなおもⅣに口撃を続ける…まるでⅣの冷静さを失わさせようとするように…!

 

 

【今も冷静に考えたほうがいいよぉ?もっとも…君にそれができれば、だけど…】

 

『ぐうっ〜!!オレを…オレを!そんなに信用できないのか!?ⅤやⅢのように忠実な下僕になれないから!!でも、オレだって…アンタの、貴方の…ために…!()()()!!』

Ⅳは我慢の限界を越え叫ぶ、その様子は…親に見捨てられた子供そのものだった…。

 

『父さんは、いつもやさしく微笑んで…オレたち兄弟を暖かく見守ってくれていた…だけど…!異世界から戻ってきた父さんは…まったくの別人に変わっていた…!冷酷な「復讐鬼トロン」に…!それでも、オレ達はトロンに従った…!命じられるまま凌牙を罠に嵌め、璃緒までも傷付けた…!!』

 

「被害者ヅラするんじゃねぇⅣ!…いや、トーマス!!」

Ⅳの言葉を聞いた凌牙は怒りを込めて叫ぶ!

 

 

「例え利用されたんだとしても…!俺は…お前のした事を許さない!!」

 

『逃げるつもりは無い!…お前との決着はこの場でつける!…そしてオレが勝つ…!Dr.フェイカーを倒すのはオレだ!貴様をDr.フェイカーの刺客にはさせない!それがオレのケジメだ…!』

凌牙の言葉にⅣは覚悟を宿しながら答える…!

 

『Dr.フェイカーを倒せば…きっと、トロンも昔の姿に…我が父・バイロン・アークライトに戻ってくれると…!オレはそこまでアンタのことを思って…!アンタのために非道な事をしてきた…!アンタの為じゃなかったら…オレは璃緒や凌牙を…短い間でも()()として過ごした2人を傷付け!白野さんへの不義理な事もしなかった!!オレは、アンタが元の優しい父さんに戻るなら地獄にだって行くつもりでいた!!それなのに…それでもオレを信じ【信じないよ、ボクはもう…誰も】っ!?』

トロンはⅣの心からの言葉を…完全に切り捨てた。

 

 

【信じられるのは、ボク自身…そしてバリアン世界だけさ、ボクの命を助けてくれたのは彼らだからねえ…】

 

『フッ…ハハハハハ…!アハハハハハハ!!!』

トロンの無情なる言葉…それを聞いたⅣは狂ったように笑う…。

 

 

『オレは所詮アンタの駒ってワケだ!Ⅲはアンタに使い捨てにされた…!Ⅴもそうだ!だが、オレはただの駒じゃねぇ…!これでもデュエルのアジアチャンピオンだ!…簡単に使い捨てにされてたまるかぁ!!』

トロンへと啖呵を切ったⅣは凌牙へと向き直る…!

 

『凌牙…悪りぃが…お前に八つ当たりさせてもらうぜ…!!』

 

「かかって来やがれ…トーマス!!」

 

 

 

 

 

『オレのターン!ドロー!!…っ!?』

カードはドローしたカードを見て目を見開く、それはモンスターカード…Ⅳの脳裏にトロンの言った『確率』の二文字が過る…!

 

『(ふざけるな…オレは…負ける訳にはいかねぇ!!)オレには技も運もあるってところを見せてやる!!いくぜ…!「デステニーストリングス」を装備した『ヘブンズストリングス』で攻撃!!』

Ⅳは再び攻撃を仕掛ける!

 

『「デステニーストリングス」の効果!デッキからカードを1枚ドローして墓地へ送る!それがモンスターカードだった時!レベル分の回数攻撃できる!凌牙!これが最後の攻撃─…な、なにっ…?」

 

【どうやら、ボクが心配したとおりだったようだねぇ…】

 

Ⅳはカードを引く…だが、それは…モンスターカードではなかった、だが…そもそもⅣはこんなギャンブルをする必要はなかった。

凌牙のフィールドには伏せモンスターと「逆境適応」「異次元海溝」の3枚のみ…「デステニーストリングス」の効果を発動せずに伏せモンスターを攻撃し、凌牙に消耗戦を仕掛けていればいずれⅣは勝利していた…だが、Ⅳはトロンに自分の力を証明する事ばかりを考え…自ら勝利の方程式を崩してしまったのだ…!

 

 

『くっ…!?だが、まだ終わりじゃねえぇぇ!オレは手札から「ギミックパペット-シザー・アーム」を召喚!フィールドにある装備カードを破壊しレベルを2倍にする!オレは「ヘブンズストリングス」に装備された「デステニー・ストリングス」を破壊!そして「シザーアーム」のレベルは8になる─!!』

 

【あ〜あ…冷静に考えろって忠告したのにねぇ…まぁ、これもボクが誘導した結果か…】

トロンは呆れたように笑う…Ⅳは頭に血がのぼり、正しい判断ができなくなっていた…。

 

 

『オレは「ヘブンズストリングス」をリリースして「ギミックパペット-ナイトメア」を特殊召喚!エクシーズモンスターをリリースして、特殊召喚したナイトメアは、2体分のエクシーズ素材になる…!オレはレベル8の「シザーアーム」と「ナイトメア」2体分をオーバーレイ!エクシーズ召喚─!!』

Ⅳはただ勝利を求め…自身の持つ最強のナンバーズを開放する!!

 

 

88

 

 

『これがオレの本当の切り札…!出でよ!「No.88」!「ギミック・パペット─デステニー・レオ」─!!』

溶岩の海から巨大な大剣を持ち、玉座に座した獅子王の人形が現れる…このモンスターこそⅣの切り札…「デステニーレオ」だった…!

 

 

 

「攻撃力3200…これがⅣの切り札…!!」

 

(まさに「王者」の風格…!)

遊馬とアストラルは「デステニーレオ」に圧倒される…!

 

 

『「デステニーレオ」の効果発動!1ターンに1度ORU1つを墓地に送る!!そしてこのモンスターがORUを全て失くしたとき!オレは()()()()()()()()()()()!!」

 

(なっ…!?ORUを使い切る事での特殊勝利だと!?)

アストラルがあまりに強力な効果に驚愕の声を上げる…デュエルモンスターズにおいて「特殊勝利」といえば手札に5枚のパーツを揃える「エクゾディア」や20ターン経つ事で勝利する「終焉のカウントダウン」などがある…だが、先の2つに比べても「デステニーレオ」の効果はあまりに強力すぎる…!!

 

 

『これが「無敵」のナンバーズ「デステニーレオ」の力だ!ORUは残り1つ…!次のターン「デステニーレオ」が最後のORUを使った瞬間!凌牙…お前の負けだ!』

 

「ぐっ…!!」

刃を交えずして勝利する、故に「無敵」…さらに高い攻撃力を誇る「No.」である「デステニーレオ」を破壊しなければ…凌牙に勝ち目はない…!

 

 

 

「(負ける…?俺はこんなところで負けるのか…?トーマスも倒せず、アイツらを白野さんに謝らせる事もできずに…こんなところで…!?)」

迫ったリミットを前に凌牙は考える…手札は0、フィールドにも現状を打破できるカードはない、まさに八方塞がりの状況…その時だった。

 

 

【諦めるのは早いよ?君にはまだ勝つ道が残ってる、君はⅣと違って…冷静に考えることができるからねえ…!】

 

「トロン…!?」

凌牙の前にトロンが現れる…それは()()()()()()、隠れてデュエルの様子を見守っていた…トロン本体だった…!

 

 

『トロン!?なぜ凌牙の前に…!?アンタは…アンタはオレに勝たせたくないのか!?』

 

【別にいいよ?勝たなくて】

 

『は…!?』

トロンの言葉にⅣは困惑する…。

 

【言っただろう?君は君の役目を果たしてくれればいい…でも、君には及第点もあげられないね…君はにはもう用はないよ、最後の仕上げはボクがやる…君の出番は終わりだよ】

 

『そ、んな…!』

トロンは完全にⅣを切り捨てた…Ⅳはその言葉が受け入れられずフリーズしてしまう…。

 

 

【さてと…まずは凌牙、君を褒めてあげるよ…君の精神力は素晴らしい!復讐の為じゃなくてただボク達を謝らせたいが為に怒りを我慢しながらデュエルするなんて…普通の子供にはできない事だよ!すごいすごい!!】

 

「てめえ…!なんのつもりだ!!」

一切感情の籠もっていないトロンの言葉に凌牙はトロンに掴み掛かる!

 

 

【あれぇ〜?ボクは君を買っているんだよ?そんなにまっすぐ強く育ったのは岸波白野のおかげかなぁ?】

 

「っ…あたりまえだ!!白野父さんは俺達兄妹の恩人だ!お前達は…あの人を悲しませた!!俺はそれが許せねぇ!!」

 

「シャーク…」

凌牙はトロンへと詰め寄る…身寄りの無い自分達兄妹を引き取り、育ててくれた遊海と翠…凌牙にとって2人は本当の親以上に大切な人になっていた…。

 

 

【ふ〜ん、じゃあさ…君は岸波白野の()()を知ってるの?】

 

「なんだと…?」

 

【Ⅳ達から聞いたよ…岸波白野は本当にデュエルが強い、5人掛かりで戦っても1回も勝てなかった…ってね、変だと思わないかい?それだけ強ければプロデュエリストになっていてもおかしくないのに…彼はプロデュエリストに登録していないんだ…変な話じゃないかい…?】

 

「それは…」

 

【答えは簡単な事さ…彼は()()()()()()()()()人間だからさ…!】

 

「ハッ…!何を言い出すかと思えば…!父さんが犯罪者だとでも言うのか?そんな事はありえない!!」

 

【ああ、ありえないさ…むしろその逆なんだから…!】

 

「なに…?」

 

(トロン…まさか!!)

アストラルはトロンの意図に気付く…凌牙を闇へと落とす為の作戦を…!

 

 

 

【君もデュエリストなら知ってるだろう?決闘者の頂点「決闘王」…その中で歴代最強と謳われ、世界の危機を何度も救った「赤帽子の英雄」「決闘の観測者」…!白波遊海!!…それが君の養父の正体さ!!】

 

『なん、だって…!?』

 

「っ…!!」

トロンは凌牙の養父の正体を暴露する…!

 

「………」

 

【ふふっ…ビックリし過ぎて声も出ないかい?そうだよねぇ!彼が生きていれば年齢は百歳を超えた老人のはず!でも彼は若い姿のまま!!君の父親は…化け物さ】

 

「トロン!てめぇぇ─!!」

トロンの言葉に遊馬は怒りのままに叫ぶ…自分の師匠を、あんなに優しい男を「化け物」と言ったトロンを許せなかったのだ…!!

 

 

「…()()()()()()()()?」

 

【なに…?】

凌牙は冷静にトロンを睨みつける…その心は少しも揺らいでいない…。

 

 

()()()()()!…あの人が伝説の決闘者だって事はな…!」

 

「「えっ…!?」」

 

(シャーク…彼は遊海の事に気付いていたのか…!?)

 

「ああ、忘れもしないさ…あの日の事はな…」

凌牙は思い返す…真実を知ったあの日を…。

 

 

 

 

 

Side凌牙

 

 

 

 

「フォウ〜?何処にいるんだ〜?」

それは凌牙が幼い頃のある日…遊海夫妻は外出し、璃緒は習い事へ行っている為に凌牙1人で留守番をしていたある日…凌牙は家の中でフォウを探していた…。

 

 

「あっ…父さんの部屋が開いてる…」

2階へと上がった凌牙は普段は鍵の閉まっている遊海の私室の扉が開いているのを見つけた…。

 

「フォウ〜?いるのか〜?」

 

《フォウ!フォーウ?》

 

「こんなところにいたのか…ダメだよ、この部屋に入っちゃ…」

 

《キュー…》

フォウは部屋の椅子の上に座っていた、凌牙はフォウを抱き上げる。

 

「…ん?この写真…父さんと母さん…?」

ふと見た机の上…そこには1枚の写真があった、その写真には楽しそうに笑う赤帽子を被った遊海と翠、そして星のような髪型をした青年、栗色の髪の快活そうな青年、そして黒髪にメッシュの入った特徴的な髪型の青年が笑顔で写っていた…。

 

 

「フォウ、この人達…誰だかわかる?」

 

《フォウ!キュ!》

 

「…やっぱりフォウの言葉はわからないや!」

 

 

 

SideOut

 

 

 

 

「そのあと…父さんと一緒にいたのが伝説の決闘者だって知った…年齢を偽ってる事も…!でも、父さん達が俺達の恩人である事は変わりはない!!俺は…父さんを尊敬してる!!」

 

「シャーク…!お前…」

凌牙は胸に手を置いて言い切った…!

 

【…君は良い子供達を持ったねぇ遊海、君が少し羨ましいよ…】

予想外の言葉にトロンは虚を突かれた表情をしたトロン…だが、再び笑みを浮かべる…!

 

 

【…話は変わるけどさぁ、ボクはもう準決勝へ出るのが決まってるんだ!…誰を倒したと思う?】

 

「なに…?」

 

「っ…!?シャーク!!それ以上トロンの話を聞くなぁ!!」

 

【邪魔しないでよ、遊馬】

 

ギィン─!

 

「っ!?うわあああ!!」

 

「遊馬!!」

遊馬がトロンの紋章の力で吹き飛ばされる!

 

 

【ボクが戦ったのは…()()()()()()!君ならもう意味がわかるよねぇ…?】

 

「っ!?き、貴様…!まさか!!」

 

【そのと〜り!君の大事な大事な父親をぶっ潰して来たのさ…!!いやあ…中々に面白いデュエルだったよぉ?遊海は全身ボロボロでさぁ…!立ってるのもやっとな状態でボクに挑んできたんだー、それで大人気なく「神のカード」なんて持ち出して……ボクに()()()()()()()()()

 

キィン…

 

「なっ…!?」

 

「父さん!!」

トロンの掌の上に弱々しい光を放つ赤い玉が現れる…凌牙は本能で…魂で理解した、トロンが持っているのは…本物の遊海の魂なのだと…!

 

 

『おい…トロン…!約束が違うだろ!?白野さんには手を出さないって…!邪魔をしてきても気絶で済ませるって!!』

 

【しょうがないじゃん、彼がボクを殺すつもりで仕掛けてきたんだから……まあ、そうなるように彼を痛めつけたのもボクなんだけど……さて、凌牙…君は…()()()()彼が死んだら…どんな表情になるのかなぁ…!!】

 

「「「『っ!?』」」」

 

 

『や、やめろ…やめてくれ!!やめろ!トロン!!』

トロンの言葉に全員の顔が青褪める…!

 

【やめないよ、君が悪いんだⅣ…君が余計な情を凌牙に掛けるから…!!】

 

「「『や、やめろぉぉぉ!!』」」

凌牙と遊馬がトロンを止める為に駆け出す…だが、それは…遅かった。

 

 

ギィン─ギチギチ…バキーン…

 

 

「あっ…」

 

「嫌…嫌ぁぁぁ!!!」

 

 

…あまりにも呆気なかった、紋章の力を使って握り締められた遊海の魂は……硝子細工のように砕け散った。

 

 

【へぇ、初めて潰したけど…魂ってこんなに脆いんだぁ…勉強になったよ】

 

 

「き、貴様あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」

 

 

凌牙は憤怒の叫びをあげる…今まで純粋な怒りと正義心で戦っていた凌牙…その心に復讐の黒炎が燃え上がる…!!

 

【アハハハ!!作戦大・成・功…!!ボクが憎いかい?憎いだろう…!なら、君の心の闇を開放するんだ!そして「シャークドレイク」と一つになるんだ!!そうしなければ君の牙はボクには届かない!!】

トロンは狂ったように笑う…闇に墜ちた凌牙を見ながら…!!

 

「テメェは…テメェは絶対に許さねぇぇ!!」

 

 

 

 

 

「俺のターン!!ドロー!!」

怒りを込めながら凌牙はカードを引く…そして強い憎しみと復讐心が深淵の底からナンバーズを呼び戻す…!!

 

「セットモンスター『ディープ・スイーパー』を反転召喚!このカードが召喚・反転召喚された時!このカードをリリースする事で永続魔法『異次元海溝』を破壊する!!戻ってこい!『シャークドレイク』!!」

《グルルァァ!!》

 

「っ…!!ダメだ…ダメだシャーク!!憎しみに飲まれちゃダメだ─!!」

遊馬が泣きながら凌牙に叫ぶ…だが、その言葉は届かない…!!

 

 

『っ!!「シャークドレイク」が復活した…!?凌牙…テメェ何をするつもりだ!?』

Ⅳが復活した「シャークドレイク」を見て叫ぶ…「シャークドレイク」の攻撃力では「デステニーレオ」を倒す事は不可能…だが、凌牙の心の闇が…新たな力を呼び覚ます!!

 

ギィン─!

 

「『シャークドレイク』よ!我が怒り…俺の復讐の為に進化せよ!!俺は『No.32海咬龍シャークドレイク』で()()()()()()()()()()()()!!」

 

(カオスエクシーズチェンジだと!?)

凌牙を禍々しいオーラが包み、「シャークドレイク」が銀河へと飛び込む!!

 

 

32

 

「現れろ!『CNo.32』!!最大最強の牙よ!我が怒りの化身となりて全てを噛み砕け!!『海咬龍シャーク・ドレイク・バイス』!!」

凌牙のフィールドに8枚の鮫鰭の合わさったオブジェが現れ展開…純白の体を持つ、最強の牙が現れる!!

 

 

「『シャークドレイク』が…カオスナンバーズに!?」

 

(な、何故…!?何故シャークにカオスナンバーズを出す力が宿っている!?)

遊馬とアストラルは動揺する…彼らにとってカオスナンバーズは友情の結晶であり、アストラルの新たな力…それを生身の人間が召喚してしまったのだ…!

 

 

【よくやったねぇ凌牙、上出来だ…フフフフ…ハハハ…!!】

トロンはほくそ笑む…まるで凌牙の…「シャークドレイク」の覚醒を知っていたかのように…。

 

 

「『シャークドレイクバイス』の効果発動!ORUを1つ使い!墓地の『シャーク』と付くモンスター『エアロシャーク』を除外!そしてその攻撃力分…!1900を『デステニーレオ』から奪い去る!!」

 

『なんだと!?』

墓地から飛び出した「エアロシャーク」が「デステニーレオ」に食らいつき、力を削る!

 

「『シャークドレイクバイス』で『デステニーレオ』を攻撃!!デプス・カオス・バイトぉぉ!!」

 

『ぐっ…!?うわあああああ!?』

 

『シャークドレイクバイス』から放たれた光線が無数に分裂…『デステニーレオ』の全身を貫き、Ⅳのライフを削り切った…。

 

 

 

 

Ⅳ LP0

 

 

凌牙WIN!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャークが、勝った…!?」

 

(待て…!様子がおかしいぞ!!)

デュエルが終了しARビジョンが消えていく中…アストラルが異変に気付いた…「シャークドレイクバイス」が()()()()()()()()…!

 

 

 

【流石は彼の息子というべきかな…?まさか精霊の力に目覚めるなんて…】

 

「父さんを…父さんを返せぇぇ─!!」

《ガアアアッ!!》

凌牙は涙を流しながらトロンへ「シャークドレイク」をけしかける!!

 

 

【焦らないでよ凌牙…今は決着をつける時じゃない…まだ戦いは残ってるんだから…!!】

 

ギィン─!バチン!!

 

《ガアアアッ!?》

トロンの紋章が「シャークドレイク」を壁に叩きつける!!

 

【九十九遊馬…君の「かっとビング」がどこまで通じるか…見ててあげるよ…フフフ…ハハハハハ!!】

 

「待て!待ちやがれトロン─!!」

遊馬の叫びを聞かずトロンは消えていった…だが、凌牙の怒りは収まらない!!

 

「待ちやがれトロン!!許さねぇ…テメェだけは許さねぇぇ!!!」

 

《ガアアアア!!》

 

ドドド…ドガァァン!!

 

 

「きゃあああ─!?」

 

「っ!?やめろシャーク!!もうトロンは逃げちまった!!」

 

(ダメだ…!!シャークは強すぎる怒りと精霊の力の覚醒で暴走してしまっている!!)

凌牙の叫びに応じるように「シャークドレイク」が暴れ、デュエルフィールドを破壊していく…!!

 

 

「おい!?どうやったらシャークを止められるんだよ!?デュエルするしかないのか!?」

 

(いや、ダメだ…!シャークはまともにデュエルに応じる状況じゃない…!!)

涙を流しながら暴走する凌牙…彼を止める方法は…

 

 

 

 

 

 

 

 

キィン─!

 

 

 

(っ…この光は…!?)

その時、不思議な事が起きる…遊馬達の目の前に赤い光が現れ…遊馬のデッキに宿ったのだ…!

 

「な、なんだ今の…!?」

 

(今の光は…賭けるしかない!!遊馬!このナンバーズを()()するんだ!!)

 

「召喚って…!?」

アストラルは1枚のナンバーズを遊馬に渡す!

 

(急げ遊馬!時間がない!!)

 

「うおおお!!かっとビングだ!オレぇぇ!!」

アストラルに言われるがままに遊馬は1枚のナンバーズをデュエルディスクに叩きつける!

 

93

 

「現れろ!『No.93』!希望の戦士が光を宿し!闇を照らす希望となる!!『太陽皇ホープ・フェニックス』─!!」

 

《……!》

遊馬達の前で黄金の光が弾ける、そこにいたのは黄金の鎧を纏う不死鳥の剣士…遊馬と遊海の絆のカードだった。

 

 

「これって…ルドガーさんと戦った時の…!?」

 

「召喚、できた…!頼む!『ホープフェニックス』!!シャークを止めてくれ!!」

 

《!!》

小さく頷いた「ホープフェニックス」は「シャークドレイク」に向けて走り出し…

 

ガシッ!

 

 

《落ち、着け…敵は、いない…!もう、やめろ…!》

 

《ガアアア!!》

 

暴れる子供をあやすように「シャークドレイク」を抱きしめた…。

 

 

「『ホープフェニックス』が…喋った…?」

 

「この声…まさか……頼む!!シャークを止めてくれ!…()()!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《もう、いい…今は、眠れ…暴れる、時は、今じゃ、ない…!》

 

《…グルル……》

 

キィン─

 

「シャークドレイクが…消えていく…」

格闘する事数分…力を使い果たした「シャークドレイク」は静かに消えていった…。

 

 

《凌牙…ごめん、な…お前に、辛い、思いを、させた…》

ホープフェニックス…否、ナンバーズに憑依した遊海は気を失った凌牙を優しく撫でる…その身は少しずつ粒子に変わっていく…。

 

 

「遊海…!アンタ…!」

遊馬達が2人のもとへ駆け寄る…

 

《賭け、が…上手くいってよか、た…心配する、な…俺は、死なん……後で、このカードを、おれの…からだ、に…》

 

キィン…

 

「遊海…アンタ、本当にすごい人だぜ…」

遊馬は手に収まった「ホープフェニックス」のカードを見ながら呟いた…。

 

 

 

 

「っ…うぅ…ここ、は…」

 

「シャーク…!気が付いたか…よかった〜…」

 

「遊馬…?」

少しだけ時間が経ち、凌牙は目を覚ました…邪悪なオーラはなんとか収まっていた…。

 

(シャーク、君はナンバーズの力と目覚めた精霊の力で暴走していたのだ…覚えているか?)

 

「……お前が、アストラルか…俺は…どうなって…っ!!トロンの野郎は!?」

凌牙は再び怒りに燃えた目で辺りを見回す!

 

『トロンなら、逃げたよ…お前の力に恐れをなしてな…』

 

「テメェ…トーマス…!!」

凌牙はなんとか身体を起こす…少し離れた場所には満身創痍のⅣが座り込んでいた…。

 

 

『時間がねぇから簡潔に言う…すまなかった…まさか、トロンがあそこまで外道に堕ちてるとは思ってなかった…!』

 

「テメェ…お前が謝って済む事じゃねぇだろうが!!」

 

『ああ…謝っても償いきれない事をオレはした…オレはトロンを止められなかった…!!恨むなら、オレだけを恨め…!全てはオレの責任だ…!!』

Ⅳは涙を流しながら謝り続ける…。

 

『時間が、ねぇ…()()()の真実は…そこの小僧達に伝えてある……頼む、凌牙…父さんを、救ってくれ…!』

そう言うとⅣは倒れ込むようにワープゲートへと消えてしまった…。

 

 

「あの日の、真実…?」

 

「…Ⅳが言ってたんだ、シャークの妹が襲われた時…何があったのか…」

遊馬はなるべく丁寧にその日にあった事を伝える…。

 

Ⅳはトロンの命令で璃緒にデュエルを仕掛けた事…本来なら璃緒は気絶させるだけだと聞いていた事……デュエル中にトロンから渡された「炎獄の祝福」というカードを発動した時、その炎が実体化して周囲を燃やし尽くした事……そして、Ⅳは必死に璃緒を救助し…その際に十字の傷を受けた事……それがあの日の真実だった。

 

 

「今更…そんな事聞かされたって…許せるかよっ…!璃緒は傷つけられ…父さんは死んだ…!!トロン…お前は許さねぇ!!」

凌牙は拳を握り締める…!

 

 

(シャーク…君の養父は…遊海は生きている)

 

「えっ…?」

アストラルの言葉に凌牙は顔を上げる…。

 

(彼は本当に規格外の決闘者だ…魂だけの状態でナンバーズに宿り、暴走していた君を止めたのだ…遊馬)

 

「おう…シャーク、このカードで遊海は休んでる…さっすが師匠だぜ!」

 

「…父…さん…!」

凌牙は遊馬から「ホープフェニックス」を受け取る…そして優しい父の鼓動を感じ取り、涙した…。

 

 

「待っててくれ!すぐに決勝進出を決めて遊海の家に行くからな…!」

 

「…わかった…!負けるんじゃねぇぞ…遊馬!!」

見よう見まねで「ゴブリンの秘薬」を使って凌牙を回復させた遊馬はデュエルコースターに乗り込む…トロンと戦う舞台へ上がる為に…!

 

 

 

 

 

「デュエルで復讐や恨みを果たしたって誰も幸せになんねぇ…!待ってろよトロン!!オレは、オレのデュエルでお前をぶっ飛ばす!!」

 

(遊馬…君は自分の信じる道を貫け、君が正しければ…必ず道は拓ける!)

 

「ああ…!どんな茨の道だろうと切り拓いてやる!!かっとビングだ─!!」

 

 

正しい道を切り開く為に…遊馬は走り出した!!

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