転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
考えに考えた遊馬対凌牙の準決勝!遊馬はトロンの手から凌牙を救い出す事ができるのか…!
それでは最新話をどうぞ!!
「う…うぅ…(体が、痺れて…動け、ない…)」
『翠、さん…!』
内装がボロボロになった控え室…そこに翠と十代は倒れ伏していた…、遊馬との戦いを前に凌牙を襲撃したトロン…2人は必死に抗ったが、遊海の力を得た事でパワーアップしていたトロンに敵わず…凌牙を奪われ、洗脳されてしまった…。
そして洗脳を受けた凌牙は既に遊馬との戦いの場に向かってしまったが…翠達は動く事ができなかった、トロンの雷撃によって体が麻痺し、身動きが取れなくなってしまっていたのだ…。
『くそっ…!先生の力を、こんな事に…使いやがって…!』
十代は悔しげに拳を握る…十代は知っている、力を持つ遊海が人々を救う為にどれだけ自分の身を削ってきたかを…。
「(遊馬君…お願い……凌牙君を、助けて…!)」
ダメージで意識が薄れゆくなか…翠は凌牙の無事を祈るしかなかった…。
『WDCもついに準決勝!!熱きデュエリスト達の戦う舞台は…ここだぁ!!いでよ!デュエル・タワー!』
「「「うおぉぉ!?」」」
熱狂に包まれるハートランドスタジアム…その中心にMr.ハートランドの声と共に地下から巨大な塔がせり上がる!
『この天空を貫くデュエルフィールドで…選手達よ!思う存分しのぎを削るがいい!対戦組み合わせは神代凌牙対九十九遊馬!そして天城カイト対トロンだ─!!』
「フン…そびえ立つ塔、天空のデュエルフィールドか……あれでは万が一に
観客席でジャックはデュエルタワーを睨みつける、傍から見れば戦いを盛り上げる為の舞台装置だが…見方を変えれば…それは獲物を逃さぬ為の罠の塔へと変貌する…!
『組み合わせは凌牙君と遊馬君か…遊馬君は何回か凌牙君と戦ってるらしいから…手の内は知っているはずだね』
『それは凌牙も同じ事だぜ流星…それに凌牙はジュニア大会のファイナリストだ…一筋縄で勝てる相手じゃないわ』
ジャックの両隣では流星と海亜が言葉を交わしている…なお、しっかりポップコーンとジュースを用意して観戦準備は万全である。
「…お前達、状況はわかっているんだろうな?」
『わかってるよ爺ちゃん!でも、こんなに人が見てる中でそのドクターナントカは遊馬達を狙うの?』
『Dr.フェイカーね…でも、遊星おじいちゃん達のアーククレイドル事件も大会の最中だったんだ…本当に強い目的のある人は…何をするかわからないよ…!』
「フッ、流石の観察力だな…お前も見習え、カイア」
『う〜…わかりましたー…』
『さぁ!いよいよ準決勝第一回戦の始まりだ!!1人目の選手…それは大会前は無名だったにもかかわらず、ここまで幾多の激闘を勝ち抜いてきた…奇跡の男!!九十九遊馬!!』
「おっしゃあああ!カットビングだ─!!」
Mr.ハートランドの紹介と共に遊馬がスタジアムへと飛び出す!
『対するは…不祥事で一度はデュエル界から去り、今再び蘇った…雄々しき鮫!神代凌牙!!』
「シャーク!まさかいきなり当たるなんてな…!決着をつけようぜ!!」
『………』
「シャーク…?おい!なんとか言えよ!?」
『………』
遊馬は凌牙に呼びかけるが…反応を示さない、その瞳に光は無く…遊馬達の姿も見えていないようだった…。
(シャークの様子がおかしい……まさか…!)
普通ではない様子の凌牙を見たアストラルは一つの事に思い至る…!
『さぁ…!2人の勇者よ!いざ、決戦の舞台へ─!!』
ゴゴン!
「うおっ!?」
ハートランドの声と共に2人の立つ舞台が上昇する!
『これより上のフィールドに行けるのは準決勝を勝ち抜いた者のみ…!さぁ…決勝へ生き残るのは遊馬か!それとも凌牙か!?戦いの火蓋が切って落とされる!!ハァァト!バーニング─!!』
「まさか…!(ピピッ!)」
明らかに正常ではない凌牙の様子を見たジャックはDゲイザーで翠へと連絡を飛ばす…だが、反応は返って来ない…!
「…流星!すぐに遊海のもとに向かえ!カイア!お前は此処に残れ!俺は翠と十代のところに行く!!」
『ちょ…いきなりどうしたんだよ!?確かに凌牙の様子はおかしいけど…』
ジャックの突然の言葉に海亜は戸惑う…。
「翠と連絡が取れん…!そしてあの小僧は既に闇に飲まれている…!トロンとやらはよほどの強敵らしい…!!」
『ジャックさん!僕はどうすれば…!?』
「遊海を叩き起こして対処法を聞け!奴は闇の力に関するエキスパート…打開策を知っているはずだ!」
『わかりました!!』
流星は走ってDホイールのもとへと向かう!
「カイア、お前はデュエルを見届け、何か変化があれば俺と流星に連絡を入れろ!わかったな?」
『わかった…!』
ジャックの鬼気迫る様子に海亜は強く頷いた…!
「(翠と十代が遅れを取るとは思いたくないが……念には念をだ…!待っていろ2人とも─!)」
「どうしちまったんだよ…シャークの奴…!?」
凌牙と睨み合う遊馬は動揺していた…遊馬は朝に話した凌牙から強い闘志とトロンに対する怒りを感じていた…だが、今の凌牙はまるで人形のように静か…いや、何もかもを忘れた別人のようだった…。
(遊馬…1つ、可能性を確かめたい…翠と話す事はできるか?)
「ダメだ、大会の人から試合中のDゲイザーの通話は違反だって言われてる…!」
(そうか……遊馬、あくまで可能性の話だが…シャークは既にトロンの手に落ちているかもしれない…!)
「なんだって…!?」
アストラルの思わぬ言葉に遊馬は驚愕する…。
(…シャークから紋章の力を感じる、おそらく彼が控え室にいる時に…!)
「待ってくれ…!凌牙には翠さんが付いて!」
(遊海の力を奪ったトロンは大きく力を増しているはずだ…もし、ナンバーズを精霊として使役し…シャーク達を襲ったとしたら…)
「っ!?…確かめられる手段はねぇ…今のオレにできるのは、デュエルだけだ!オレ達のデュエルでシャークを正気に戻す!!」
(ああ、それが今の私達にできる最善の手段だ…おそらくシャークはトロンの紋章で力を増しているだろう…だが、勝つぞ…遊馬!!)
「おう!」
遊馬とアストラルはデュエルに勝つ為に…そして凌牙を救う為に戦いへと挑む…!
【ふふふ…どんな戦いを見せてくれるのかなぁ?楽しみだなぁ…!】
スタジアムのVIP席…眼下で睨み合う遊馬と凌牙を見てトロンは笑みを浮かべる。
【まぁ、どちらが勝つかなんて…
「『デュエル!!/………』」
デュエルダイジェスト 遊馬対凌牙
「オレのターン!ドロー!」
(遊馬、ここは守りを固めるべきだ)
「ああ…!オレはモンスターを伏せ、カードを1枚セットしてターンエンド!!」
先攻を取った遊馬は凌牙を前に守りを固める…!
(伏せたのは守備力1900の「ドドドボット」に「攻撃の無敵化」…これで最初の攻撃は凌げるはずだ…)
「さぁ…!掛かってきやがれ!シャーク!!」
『俺の、ターン…ドロー』
凌牙は視点も定まらないままカードを引く。
『「スピア・シャーク」を召喚…バトル、セットモンスターを…攻撃』
「『スピアシャーク』の攻撃力は1600…これなら…!」
(油断するな!シャークがそんな単純なデュエルをする訳が──)
槍の頭を持つ鮫が遊馬に攻撃を仕掛ける…アストラルは警戒したが…。
ガギィン!
『ぐっ……』
(なっ…!?)
「シャーク!?」
凌牙は躊躇なく「ドドドボット」を攻撃…反射ダメージを受けて吹き飛ばされる…!
『…オレはカードを伏せ…ターンエンド』
「シャークからまったく闘志を感じねぇ…!?いつもならビンビン感じるのに…!」
(シャーク…君はトロンに何をされたのだ…!?)
遊馬とアストラルは凌牙の思わぬプレイングに動揺する、本来であれば荒れた海のように荒々しく、しかし計算されたデュエルをする凌牙…だが、その実力はまったく発揮されていない…。
(…とにかく、警戒を怠るな…!伏せカードに注意するんだ!)
「おう…!」
「オレのターン!ドロー!」
「『ゴゴゴゴーレム』を召喚!」
遊馬の仲間である石の巨人が現れる!
「さらに『ドドドボット』を攻撃表示に変更!バトルだ!『ゴゴゴゴーレム』で『スピアシャーク』を攻撃!」
(気をつけろ遊馬!リバースカードが…)
『ぐっ…』
(なっ…!?)
ゴーレムの一撃がスピアシャークを粉砕する…だが、リバースカードを発動する事なく凌牙は吹き飛ばされる…。
「シャーク…!今の一撃でもダメなのか…!?」
遊馬は今までの経験の中で相手に強い衝撃を与えれば相手を正気に戻す事ができるという事を知っていた…だからこそダメージ覚悟で凌牙に攻撃を仕掛けたが、凌牙は反応を示さない…まるで命令を入力されていないロボットや…糸の切れた操り人形のように…。
「なら…ダイレクトアタックだ!『ドドドボット』でシャークに…神代凌牙にダイレクトアタック!!サンダー・ブレード!!」
キン─バチバチバチバチ!!
『っ…ぐああああ…!?』
「ドドドボット」の剣が強い電気を纏い凌牙に振り下ろされる…放たれた電撃は凌牙に直撃、今まで反応を見せなかった凌牙も声を漏らして倒れ込む…!!
『お〜っと!?これは強烈〜!!凌牙が1800ものダメージを受けてしまった!!これは…立ち上がれるのか〜!?』
Mr.ハートランドの実況がスタジアムに響く…観客達は固唾を飲んでデュエルを見守っている…。
「っ〜!!立てよシャーク!!いつもみたいにオレに向かって来いよ!!」
遊馬が叫ぶ…正気を失った凌牙の心…魂に届くようにその声を張り上げる!
「お前…いつだって相手に噛みつく勢いで相手に向かっていっただろ!?だから『シャーク』なんだろ!?戦わないシャークは…シャークじゃねぇぇ!!」
遊馬の魂の叫び…その声は…
『……言って、くれるじゃねぇか…遊馬…!』
「シャーク!!」
確かに凌牙の魂へと届いていた…!
Side凌牙
『(頭が、ガンガン痛てぇ…今は、デュエルの最中か…)』
遊馬の叫びが凌牙の正気をかろうじて呼び戻す…だが、凌牙はまるで
「シャーク!大丈夫なのか!?」
『ぐっ…なんとか、な…!』
凌牙はよろけながら立ち上がる…そして今までの事をおぼろげながらも思い出す…。
『遊馬…なんだか、やべぇ…!トロンの奴…俺に何か、しやがった…!』
(やはり…!)
「シャーク!トロンの力になんて負けるな!!今助けてやる!!」
『…遊馬、頼む…!俺を、倒せっ…!?』
ドクン!!
『っ…ぐああああ─!?』
「シャーク!!」
凌牙は頭を押さえ苦しみ始める…そして…。
32
【…ようやく黙ったか…】
凌牙は顔を上げる、その顔は邪悪で獰猛な笑みを浮かべ…右手には妖しく「32」の数字が浮かび上がっている…!
【さぁ、デュエルを続けろ…!貴様達のナンバーズ…奪わせてもらおうか…!】
「っ…この感じ…まさか!?」
(シャークが…ナンバーズに乗っ取られた…!?)
SideOut
Sideトロン
【少し「シャーク・ドレイク」に力を与え過ぎたかなぁ…?完全に凌牙を乗っ取ってるじゃん】
トロンは首を傾げる…トロンは凌牙の記憶を弄ると共に「シャークドレイク」に遊海から奪った力を与え、強化した…だが、その力の配分を間違えたようだった。
【まぁ、その調整は後でいいや!さぁ…「シャークドレイク」!遊馬を…Dr.フェイカーを叩き潰すんだ…!アハハ…ハハハハハハ!!】
SideOut
遊馬LP4000
凌牙(シャーク・ドレイク憑依)LP1700
「シャーク!しっかりしろ!!ナンバーズになんて負けてんじゃねぇ!!」
【無駄だ、凌牙の精神は完全に俺と1つとなった…貴様の声はもはや届かぬ…】
(まさか、奪われた遊海の力でナンバーズの意思が強まったのか…!彼はどれほど規格外の決闘者なのだ…!?)
ナンバーズの意思に飲み込まれてしまった凌牙…遊馬は必死に呼びかけるが…その声は届かない…!
【さぁ、ターンを進めるがいい…!】
「くっ…!!」
(遊馬、シャークを救うにはナンバーズを…シャークドレイクを倒すしかない…!気を引き締めろ!!)
「…シャーク、絶対に助けるからな…!カードを一枚伏せてターンエンド!」
遊馬LP4000
ドドドボット ゴゴゴゴーレム 伏せ2 手札3
【俺のターン…ドロー!】
【まずは…ここまで好き勝手してくれた礼をしてやろう…!「ツーヘッド・シャーク」を召喚!!】
頭の上下に2つの顎を持つ鮫が現れる ATK1200
【さらに魔法カード「アクアジェット」を発動!「ツーヘッドシャーク」の攻撃力はエンドフェイズまで1000アップする…!】
双頭の鮫にジェットエンジンが装着され…その力を増す…! ATK1200→2200
【バトルだ…「ツーヘッドシャーク」で「ゴゴゴゴーレム」を攻撃!】
(遊馬!伏せカードだ!)
「罠カード発動!『攻撃の無敵化』!その効果により『ゴゴゴゴーレム』は戦闘で破壊されなくなる!!」
遊馬は咄嗟に罠を発動させるが…。
【無駄だ…!速攻魔法「シャーク・スパーク」を発動!相手の罠のカードの発動を無効にする!】
「なにっ!?」
凌牙…否、「No.32」の手札から水で出来た鮫の幻が現れ、「攻撃の無敵化」を噛み砕く!
【攻撃を続行せよ…「ツーヘッドシャーク」!!】
「ツーヘッドシャーク」が「ゴゴゴゴーレム」の両腕を噛み千切り…ゴーレムは爆発する!
「ぐうぅぅ…!?」
遊馬LP4000→3600
【そして…「ツーヘッドシャーク」は1ターンに二回まで攻撃できる!!「ドドドボット」を噛み砕け!】
「うわあああ…!!」
方向転換した「ツーヘッドシャーク」が「ドドドボット」を噛み砕く!
遊馬LP3600→3200
『おぉ〜!?凌牙が猛反撃!!眠りし鮫が…ついに目覚めた〜!!』
Mr.ハートランドの実況が響き、観客が歓声を上げる…なお、観客達には遊馬達の会話は聞こえていない…。
【まだ終わらんぞ…?速攻魔法「デッド・スイープ」を発動!自分のモンスターが相手モンスターを破壊した時!攻撃力を1000下げる事で墓地の「スピアシャーク」を特殊召喚する!】
墓地から尖った頭を持つ鮫が復活する! ATK1600→600
【「スピアシャーク」よ…九十九遊馬にダイレクトアタック!】
「っ!!ぐああああ─!!」
「スピアシャーク」の頭が鋭い鏃となって遊馬に突き刺さる…!
遊馬LP3200→2600
【俺はカードを1枚伏せ…ターンエンド!】
ツーヘッドATK2200→1200
凌牙→No.32 LP1700
ツーヘッド スピア 伏せ2 手札1
「強えぇ…それに、痛てぇ…!」
(トロンによるデュエルタクティクスの強化に加え…精霊の力によるリアルダメージ…!今までにない強敵だ…!)
遊馬の全身を鈍い痛みが襲う…32は遊海の力を取り込み、今まで以上の強敵となっている…!
【ああ、心地が良い…!凌牙の持つ心の闇がよく馴染む…!トロンには感謝しなければなぁ!】
「テメェ…!」
闇のオーラを纏いながら32は獰猛に遊馬達を睨む…!
(遊馬、挑発に乗るな…!ナンバーズを召喚していない状態でこの力…奴がナンバーズを召喚する前に決着をつけるぞ!)
「おう!!」
Sideトロン
【すっごい!!すっごーい!相手モンスターを一気に2体も葬って、更にダイレクトアタックまで!さすがボクが見込んだだけはあるよ!これならDr.フェイカーへの刺客として申し分無いよ…フッハッハッハハハ…!】
トロンは凌牙…32の凄まじい力を見て笑みを浮かべる…だが…
【でも、完全にボクの制御から外れてるんだよねー…一応、釘を刺しておこうか…!】
ギィン─!
トロンは紋章を輝かせ凌牙の精神へと潜り込んだ。
………
【やぁ、ずいぶんと楽しそうじゃないか…シャーク・ドレイク】
【トロンか…見ているがいい、オリジナルを倒し、我が最強のナンバーズとなる姿を…!】
凌牙の精神世界…闇に包まれたその場所でトロンと32は向かいあう…。
【シャークドレイク、一応聞いておくけど…凌牙は生きてるよね?】
【ククク…生きてはいる、だが…自力で目覚める事は無いだろうがなぁ…】
32の爪が指さす先…そこには水球があり、凌牙の魂はその中に閉じ込められていた…。
【ならいいや…頼むよシャークドレイク、君が遊馬とDr.フェイカーを倒したら…思う存分戦ってあげるからさ…!】
【ククク…約束を違えるなよ、トロン…!】
SideOut
「オレのターン!ドロー!!」
「オレは『ゴゴゴゴースト』を召喚!!」
遊馬は新たな仲間…鎧に宿りし幽霊を召喚する! ATK1900
「バトルだ!『ゴゴゴゴースト』で『スピアシャーク』を攻撃!!」
【無駄だ…リバース罠『ポセイドン・ウェーブ』を発動!相手モンスターの攻撃を無効にし、自分フィールドに水属性モンスターがいる時!800のダメージを与える!】
「なっ!?ぐあああぁぁ!!」
「ゴゴゴゴースト」の攻撃は海の神の怒りに防がれ…遊馬に神罰の稲妻が襲いかかる!!
遊馬LP2600→1800
「ぐっ…オレは、カードを1枚伏せて、ターンエンド…!」
遊馬は痛む身体を庇いながら立ち上がり、ターンを終える…。
遊馬LP1800
ゴゴゴゴースト 伏せ2 手札2
【俺のターン…ドロー!】
【ククク…!これで終わりだな、小僧…!「ハンマー・シャーク」を召喚!】
金槌頭の鮫が現れる! ATK1700
【我が力で…お前達の戦いを終わらせてやろう!俺はレベル4の「ハンマー」「ツーヘッドシャーク」「スピアシャーク」の3体でオーバーレイ…エクシーズ召喚!!】
32
【現われよ…「No.32」!深海に潜みし、恐怖の支配者!「海咬龍シャーク・ドレイク」!!】
海を支配する最強の牙…「シャークドレイク」が現れる! ATK2800
「で…出て来やがった…!」
(この禍々しいオーラ…昨日よりもさらに力を増している…!)
遊馬とアストラルは禍々しいオーラを纏う「シャークドレイク」を見て戦慄する…!
【さぁ…我が牙に噛み砕かれよ!「シャークドレイク」で「ゴゴゴゴースト」を攻撃!デプス・バイト!!】
「うわあああぁぁぁ…!?ガハッ…!」
(遊馬!!)
「シャークドレイク」から放たれた鮫型のエネルギーが「ゴゴゴゴースト」を粉砕…遊馬は吹き飛ばされ地面に叩き付けられる!
遊馬LP1800→900
(立て!遊馬!!続けて来るぞ!!)
【「シャークドレイク」の効果発動…ORUを1つ使い!バトルで破壊した「ゴゴゴゴースト」を攻撃力を1000ダウンさせて相手の場に特殊召喚する…!】
ORUを取り込んだ「シャークドレイク」が墓地に眠る「ゴゴゴゴースト」を引き摺り出す! ATK1900→900
【そして…「シャークドレイク」はもう一度そのモンスターに攻撃できる…!これで終わりだ!!】
「まだだ!!『ゴゴゴゴースト』の効果発動!このカードが墓地から特殊召喚された時!墓地の『ゴゴゴゴーレム』を特殊召喚し、自身は守備表示となる─!」
ゴーストの呼び声で青きゴーレムが復活する! DEF1500
ゴゴゴゴーストATK900→DEF0
【ならば…再び砕け散れ!『ゴゴゴゴースト』!!】
「っ〜!!」
再び「ゴゴゴゴースト」は砕け散るが…遊馬はなんとか踏みとどまる…!
【命拾いをしたな…ターンエンドだ】
32 LP1700
シャークドレイク 伏せ1 手札1
Side海亜
『あれが…ナンバーズ…!』
観客席で決闘を見守っていた海亜の手は震えていた、画面越しでも感じる威圧感は「スターダスト・ドラゴン」や「レッドデーモンズ・ドラゴン」に匹敵する…それを前に遊馬は臆する事なく戦っているのだ…!
『…爺ちゃん!凌牙がナンバーズを召喚したぞ!…聞こえてるか!?』
「聞こえている!こちらはそれどころではないのだ!!…カイア!すぐにスタジアムの入口に向かえ!流星が遊海を連れてこちらに向かっている!」
『はぁ!?』
Dゲイザーを通してジャックの言葉を聞いた海亜は驚愕の声を上げる…満身創痍どころか力を奪われ、瀕死状態の人間が向かっているとなれば無理もないだろう…。
「驚くのも無理ないが…気にするな!奴はそういう男だ!お前達2人で遊海を支えてやれ!!」
『わかった!!』
海亜は通信を切り、スタジアム入口へと向かった。
SideOut
Sideジャック
「くっ…悪い予感ほど、当たって欲しくないものもないな…!」
海亜との通信を切ったジャックは拳を握り締める…スタッフの1人を脅して辿り着いた凌牙の控え室…そこには凄惨な光景が広がっていた…。
全身に火傷を負い倒れる翠と十代…身体に穴を空けられ気絶するユベルとウィンダ…深い切り傷で身体を斬り裂かれたウェン…歴戦の決闘者であり、リアルファイトも得意とするはずの伝説の決闘者達が倒れ伏していたのだ…。
「っ…!十代!意識はあるか!」
『ああ…悪りぃ…しくじっちまった…翠さんは、気を失ってる…』
ジャックはかろうじて意識のあった十代を助け起こす…。
「いったい何があったのだ…!貴方達があんな小僧に遅れを取るなど…!」
『…あの、ナンバーズってカード…マジでやべぇ…手も足も出なかった…!それに、改めて思い知ったぜ…遊海先生の…強さを……!』
「っ─!?」
その一言でジャックは気付いた…トロンは奪われた遊海の力を使いこなしているのだと…!
『遊馬…アストラル…!頼むぜ…お前達なら、きっと…─』
十代は気付いていた、遊馬とアストラルこそが今の時代に選ばれた決闘者なのだと…その可能性を信じて十代の意識は暗転した…。
「十代!気をしっかりもて!!…ぬぅ…!俺は回復魔法など使えん…!どうすれば良いのだ!?」
SideOut
(遊馬、私達が勝つ為には「ホープ」を喚ぶしかない…!)
「わかってる…!でも、フィールドには『ゴゴゴゴーレム』しかいねぇ…あと1体…!あと1体モンスターを引ければ…いくぜ!!」
ナンバーズである「シャークドレイク」を倒す為には同じナンバーズでなければならない…遊馬はデッキトップに手を掛ける!
「オレのターン…!ドロー!!……ダメか…!」
遊馬の引いたカード…それはモンスターではない…!
「早くシャークを助けねぇとならないのに…!シャーク!目を覚ませ!ナンバーズなんかに負けるなぁ─!!」
【無駄だ…言っただろう?お前達の声は届かぬと…お前は物覚えが悪いらしいなぁ…】
「うるせぇ!!シャークはお前なんかに負ける奴じゃねぇ!!」
遊馬は凌牙に向かって叫ぶ…遊馬は信じている、神代凌牙と紡いだ「絆」を…。
「覚えてるか…!オレとお前の最初のデュエルは鉄男のデッキを賭けたデュエルだった!その次はメタルナイトと戦ったタッグデュエル!そしてお前はオレの皇の鍵を守る為にカイトとも戦ってくれた!!オレは嬉しかった…!オレとお前はデュエルで絆を繋いで来たんだ!!」
【くだらん…デュエルとは戦いの手段に過ぎぬ…!俺が求めるのは貴様を倒し、最強のナンバーズとなる事…!仲間?絆…そんなモノに興味はない…!さぁ…デュエルを続けるがいい!!】
遊馬の声は届かない…32により凌牙の魂は封じられている、彼を救うには…32を倒すほかない…!
「…待ってろシャーク…!ナンバーズの呪縛も、トロンの力も…全部ふっ飛ばして、お前を助ける!!『ゴゴゴゴーレム』を攻撃表示に変更!さらに速攻魔法『ゴールデン・フォーム』を発動!!自分の守備表示モンスターが攻撃表示になった時!次の自分のターンまで攻撃力は倍にする!!」
青きゴーレムが黄金の鎧を纏い、咆哮する! DEF1500→ATK1800→3600
【無駄だ…!ナンバーズはナンバーズでなければ破壊されぬ…!】
「わかってるさ!…でも、オレは…お前をぶん殴って…シャークの心を目覚めさせる!!バトル!『ゴゴゴゴーレム』で『シャークドレイク』を攻撃!!グレート・キャノン!!」
金色の光を纏った右ストレートが「シャークドレイク」に直撃…32を吹き飛ばす!
【ぐおおぉぉ…!やってくれるではないか…!】
32 LP1700→900
「目を覚ましてくれ!シャーク!!オレはカードを1枚伏せてターンエンド!」
遊馬LP900
ゴゴゴゴーレム(GF) 伏せ2 手札1
【俺のターン…ドロー…!!】
【今のは効いたぞ…良いだろう、貴様は…我が噛み殺す…!!オオオォォォ!!】
ギィン─!!
32は邪悪なオーラを纏い咆哮する!
(っ…!来るぞ!遊馬!!)
【我は…我自身!「海咬龍シャーク・ドレイク」をエクシーズ素材としてカオス・エクシーズ・チェンジ!!】
32
【現われよ!「CNo.32」!怒りの化身にして…全てを噛み砕く恐怖の牙!「海咬龍シャーク・ドレイク・バイス」!!】
「シャークドレイク」がニュートラル体となって銀河へと飛び込む…現れるのは白き身体を持つ恐ろしき鮫龍…「シャーク・ドレイク・バイス」! ATK2800
「とうとう出やがった…!」
(シャークの…カオスナンバーズ…!)
圧倒的威圧感を放ちながら「シャークドレイクバイス」が降臨する…同じカオスナンバーズである「ホープレイ」は希望の光から生まれた戦士…だが、「シャークドレイクバイス」は凌牙の怒りと復讐心から生まれし怪物…その力は凶悪である…!
【ゆくぞ…!「シャークドレイクバイス」の効果発動!ORUを1つ使い!墓地のシャークモンスター「スピアシャーク」を除外…!その攻撃力の数値分…1600の攻撃力を「ゴゴゴゴーレム」から奪い取る!噛み砕け!!】
(まずいぞ!遊馬!!)
「ああ…!わかってる!!永続罠『パワー・チェンジ・バリア』を発動!『ゴゴゴゴーレム』の攻撃力を600下げる事で『シャークドレイクバイス』の効果の発動を無効にする!!」
「ゴゴゴゴーレム」の前に金色の盾が現れ、「スピアシャーク」の突進を弾き返す!
ゴゴゴゴーレムATK3600→3000
【無駄だ…!再び「シャークドレイクバイス」の効果発動!ORUを1つ使い!墓地の「ツーヘッドシャーク」を除外!】
「オレももう一度『パワーチェンジバリア』の効果発動!効果の発動を無効にする!」
【ならばもう一度効果発動!墓地の「ハンマーシャーク」を除外し1700攻撃力を下げる!】
「もう一度だ!守れ!!『パワーチェンジバリア』─!!」
32の怒涛の連撃…遊馬はそれをなんとか防ぎきる…だが…。
ゴゴゴゴーレムATK3000→2400→1800
【あ〜あ、せっかくの攻撃力を自分で1800に戻しちゃったよ…遊馬の残りライフは900、次の攻撃で君は終わりなのにさぁ…!】
トロンは呆れたように笑う…「シャークドレイクバイス」と「ゴゴゴゴーレム」の攻撃力の差はちょうど1000…攻撃を受ければ遊馬の敗北が決まってしまう…!
【これで終わりだ…!バトル!「シャークドレイクバイス」で「ゴゴゴゴーレム」を攻撃!デプス・カオス・バイト!!】
「シャークドレイク」から放たれた闇の息吹が無数の光線となって遊馬に襲いかかる!!
「まだだぁ!!リバース罠発動!『ハーフ・アンブレイク』!!『ゴゴゴゴーレム』は戦闘では破壊されず!戦闘ダメージも半分となる!!うわあああ─!!」
攻撃を受ける寸前で遊馬は罠を発動…泡のバリアが「ゴゴゴゴーレム」を守るが…遊馬はダメージで吹き飛ばされる!
遊馬LP900→400
【しぶとい奴だなぁ…だが、次のターンで終わりだ…!カードを2枚伏せ、ターンエンド!】
32 LP900
シャークドレイクバイス 伏せ3 手札0
(我々の残りライフは400…次のターンで決着をつけなければ…我々の負けだ…!)
「わかってる…!オレは…オレは、オレ自身とオレのデッキを信じる!!」
遊馬はデッキトップに手を掛ける…凌牙を救い、デュエルに勝つ為のカードを引く為に!!
「かっとビングだ!オレ─!!ドロォォォ!!」
「(来た!!)」
遊馬がドローしたカード…それは「ガガガマジシャン」…これで「ホープ」を喚ぶ事ができる…!
「(そして伏せカードは罠カード『
遊馬は伏せられた罠カード『好敵手の絆』を見る…このカードは自分の攻撃が無効になった時、相手モンスターの装備カードとなる事でそのモンスターのコントロールを得る事ができる…遊馬はその効果を使い、凌牙から「シャークドレイク」とトロンの呪縛を引き剥がそうとしているのだ…!
キィン─!
「えっ…?この、光は…!」
(まさか…!?そんなはずは…!)
遊馬が覚悟を決めた瞬間、エクストラデッキが光を放つ…遊馬はその現象に覚えがあった…。
(…遊馬、
「ああ…『引き剥がすだけじゃダメだ』…そういう事だよな…いくぜ…!アストラル!!」
その光を見て遊馬は心で…魂でその意味を理解した、遊馬に全てを託した男のメッセージを…!
「オレは『ガガガマジシャン』を召喚!!」
学生服の不良魔術師が現れる! ATK1500
(いくぞ…遊馬!)
「おう!オレはレベル4の『ガガガマジシャン』と『ゴゴゴゴーレム』でオーバーレイ!エクシーズ召喚!!」
39
「現われろ!『No.39』!『希望皇ホープ』!!」
《ホォォープ!!》
遊馬達の切り札…希望の戦士が雄叫びを上げる! ATK2500
【現れたか…オリジナルの分身よ…!貴様を倒し、我は最強のナンバーズとなる…!】
「…
【なに…?】
(シャークドレイク…いや、ナンバーズ32と呼ぼう…お前を倒すのは「ホープ」ではない、私と遊馬の絆である「ホープレイ」でもない!)
「お前を倒すのは…
(このモンスターは『希望皇ホープ』をエクシーズ素材とする事でエクシーズ召喚できる!!)
遊馬とアストラルは声を合わせ…そのモンスターを呼び出す!
93
(「現れろ!『No.93』!希望の戦士が光を宿し!闇を祓う希望となる!!今こそ光臨せよ!『太陽皇ホープ・フェニックス』─!!」)
《ウオオオォォ─!!!》
雄叫びを轟かせながら太陽神の鎧を纏う戦士が光臨する! ATK3000
【なんだ…!?なんだ!その輝きは!?そのナンバーズは!?】
現れた光の戦士を見た32は狼狽する…全ての闇を祓う太陽の光が32を苦しめる…!
「この光は…オレとシャーク…そしてあの人の絆の光だ!!『ホープフェニックス』の効果発動!!このカードがエクシーズ召喚に成功した時!自分または相手の墓地の『No.』を2体までORUに変換し!その2体の元々の攻撃力分自身の攻撃力をアップする!オレが選ぶのは…お前の墓地の『シャークドレイク』!」
【くっ…!?我が闇の力を削ぐつもりか…!だが、無駄だ!紋章の力と凌牙の心の闇がある限り、我は不死身だ!!】
《不死身か…だが、弱点はある…紋章の力と凌牙の闇を祓えば…お前は力を失う!!》
【なにっ…!?貴様!!】
32は驚愕する…「ホープフェニックス」が喋った事にではない…その声の主は…もはや死んだも同然の男のはずだからだ。
《なんだか変な気分だな、俺が人に使役されるというのは…遊馬、アストラル…いくぞ!》
「ああ!凌牙を助けるぜ…遊海さん!!」
時は少し遡る…
Side遊海
『遊海さん!スタジアムに着きました!歩けますか!?』
「っ…!這ってでも、意地でも…歩くさ…!」
流星に連れられ遊海は遊馬と凌牙の戦うスタジアムへと到着した…だが、無理に動いたせいで怪我が再び悪化…全身が激痛に襲われている…。
『流星!遊海さん!!』
「海亜…!デュエルの、状況は…!」
『凌牙がナンバーズを召喚して…遊馬が追い詰められてる!!』
入口から駆けてきた海亜に遊海は状況を問う…事態は最悪に近い状況だった…。
「頼む…!俺をデュエルが見える所まで連れて行ってくれ…!」
「っ…!この状況は…!」
遊海が観客席の最上部の通路に辿り着いた時…シャークドレイクはカオス化し、遊馬はその猛攻を必死に防いでいた…!
《っ…凌牙へのナンバーズ侵食率90%…!凌牙は完全にナンバーズに飲まれています…!以前の『No.96』の事件と同じ状況です…!》
「トロンめ…!俺の力を、好き勝手に使いやがって…!」
アヤカの言葉を聞いた遊海は唇を噛み締める…!
『なぁ…!どうするんだよ!?このままじゃ…遊馬が…!』
遊海に肩を貸している海亜が心配そうに問いかける。
「…今の俺にできる事はほとんどない…魂は絞りカス…精霊の力も使えない俺には…」
『そんな…!』
…今の遊海の力はほとんど常人と変わらない…傷付いた肉体は再生せず、精霊の力を用いた能力も使えない…だが、1つ…
「今の俺じゃあ凌牙は救えない…だからこそ、俺は…命を懸ける…!」
キィン─!
遊海は右手に黄金の卵を召喚する、それは遊海の持つ最初の異能にして神からの贈り物…千年
『それは…千年アイテム…!』
「…千年アイテムの本来の数は8つ、相手の心を見通す『眼』…未来を予知する『
千年アイテムの能力を説明した遊海は千年玉を掲げる…。
『遊海さん…!?命を懸けるって…いったい何を…!』
「…俺の魂を…もう一度、ナンバーズに宿らせる…!そのナンバーズを通じて…凌牙の精神へ潜り込み…凌牙を救う…!」
『『えぇっ!?』』
遊海の言葉に流星と海亜は驚きの声を上げる…今の遊海は動けるのが奇跡のような状態…その状態でさらなる無理をすれば……。
「…流星、海亜…決闘者には、人生に一度は…命を賭けた戦いをする事になる…まぁ、俺は…数えきれないけどな…ハハッ」
遊海は自嘲の笑みを浮かべる…。
「…2人とも…おそらく、俺はもう目を覚まさないだろう……後は、頼んだぞ!千年玉よ…我が魂を…いま一度…カードに宿らせよ!!」
キィン─!!
『遊海さん!!』
千年玉が光を放つ…その光は赤い炎となって遊馬のもとへと向かう…あとに残されたのは全ての力を使い果たし…抜け殻となった遊海の肉体だけだった。
SideOut
「『ホープフェニックス』の効果発動!シャークの墓地の『シャークドレイク』をORUに変換し!その攻撃力分自身の攻撃力をアップする!シャイニング・チャージ!!」
【ぐっ…!?おのれえぇ!!】
墓地から引きずり出された「シャークドレイク」がORUに変換され…「シャークドレイクバイス」の纏う闇のオーラが半減する!
ホープフェニックスATK3000→5800 ORU3→4
「バトルだ!『ホープフェニックス』で『シャークドレイクバイス』を攻撃!さらに『ホープフェニックス』の効果発動!ORUを1つ使い!次の相手ターンのエンドフェイズまで相手の効果を受けず、効果では破壊されなくなる!!受けてみろ!これが絆の一撃!」
(「《ホープ剣フェニックス・スラッシュ!!》」)
遊馬・遊海・アストラルの声が重なる…太陽の力を纏いし一撃が「シャークドレイクバイス」に迫る!!
【まだだ…!まだだぁ!!速攻魔法「報復の隠し歯」を発動!我の場に伏せられた『殲滅の紋章』と『深海雪原封印』を破壊する事で…攻撃を無効にする!いくら効果を受けずとも…攻撃を無効にされれば意味はない!!我が分身よ!その牙で剣を噛み砕け!!】
《ガアアアア!!》
ガキィン!!
「シャークドレイクバイス」のヒレが太陽の剣を受け止める…!
《無駄だ…!俺と凌牙の絆は…そんなもので絶対に断ち切れる事はない!!》
「手札から速攻魔法『ダブル・アップ・チャンス』を発動!!攻撃が無効になった時!攻撃力を倍にしてもう一度攻撃できる!!これで終わりだ!!」
【な、なにぃぃ!?】
ホープフェニックスの背中から炎の翼が現れる!
ATK5800→11600
《凌牙を…息子を返してもらうぞ!》
「《ホープ剣
剣を噛み締めるシャークドレイクごと炎の翼を生やしたホープフェニックスが天空へと舞い上がる!
《今だ!!》
その瞬間、ホープフェニックスから分離した遊海は凌牙の精神へと飛び込んだ…。
Side遊海
「ここが凌牙の精神世界か…!」
ホープフェニックスの攻撃が炸裂する刹那、遊海は凌牙の精神世界へと飛び込んだ…凌牙の精神世界は闇に支配され、荒れ果てていた…。
「凌牙!!」
しばらく精神世界を駆けた遊海はついに水球の内に囚われた凌牙の魂を見つけ出す…!
「今、助けるからな…!」
【させると思うかい?】
ギィン─!!
「っ…あ"あ"あ"あ"!!?」
凌牙の囚われた水球に触れようとした瞬間…遊海に紫電の電撃が襲いかかる!!
【…完全に魂を砕いたと思ったんだけど…キミは本当にしぶとい男だねぇ…】
「トロン…!」
遊海の前にトロンが現れる…凌牙に施した「紋章」を介して精神世界へと現れたのだ…!
【これ以上、キミに邪魔はさせない…今度こそ、完全に消えてもらうよ…!「シャークドレイク」!!】
【グルラアアアア!!】
トロンにけしかけられたシャークドレイクが遊海へと襲いかかる!!
「舐めるなよ…トロン…!例え、魂のカケラになろうと…俺は…最後まで諦めない!オラアァァァ!!」
ドガン!!
【なにっ…!?】
眼前に迫ったシャークドレイクの顎…紫電を振り払った遊海はその絶死の一撃を受け止める…!
【何故だ…!お前にはもう普通の人間以下の力しかないはず…!!】
「そんな事は関係ねぇ…!子を守る為なら…親は…世界すらひっくり返す!そして、返してもらうぞ…俺の力を!!赤き竜の痣よ…悪しき者に奪われし我が力を取り戻せ!!」
【なに─!?】
キィン─!
遊海の右手で赤き炎が輝く…その炎は巨大な竜の姿となりシャークドレイクに喰らいつく!!
【力が吸われる…!けど無駄だよ!お前の魂では自分の力を受け止める器が足りない…!自分の力で自滅するがいい!!】
シャークドレイクを介して力を吸われながらもトロンは笑みを崩さない…今の遊海は本来の十分の一にも満たない「欠片」…強大すぎる自身の力を受け止められるはずがないと…!
「舐めるな…俺は…白波、遊海…!決闘王の名を…背負う男だあぁぁ!!」
∞
【これは…!?】
それは如何なる奇跡か…遊海の持つ「光」の力…バリアン世界に由来するトロンの「闇」の力…そしてシャークドレイクから精霊の力と共に流れ込む「No.」の力…その3つが混ざり合い、遊海の右手に水晶の原石のような巨大な石斧が現れる!
「凌牙を…返してもらうぞ!偽・
【ガアアアア!?】
遊海が石斧を振り抜く…その軌跡は超光速の連撃となり、シャークドレイクを粉砕した…!
【チィ…!どうやらここまでのようだね…しょうがないから凌牙は返してあげるよ…!】
「覚えておけトロン…!遊馬と凌牙の友情…そして、俺達家族の絆は…お前ごときには…決して砕けない!!」
凌牙の精神世界から消えていくトロンに遊海は剣先を指し向けながら言い切った…。
SideOut
「いっけぇぇ!『ホープフェニックス』─!!」
《オオォォ─!!》
シャークドレイクバイスと共に天空に飛び上がったホープフェニックスはシャークドレイクを空中に放り投げる!
《ハッ!!…キュアアアア!!》
そして全身を炎に包んだ不死鳥がシャークドレイクへと突進…邪悪なるナンバーズを粉砕した─!
【馬鹿な…バカなぁぁぁ─!!?】
32 LP0
遊馬 WIN!!
『つ…ついに決着─!!ファンタスティックでハートバーニングな準決勝を制したのは…九十九遊馬選手だぁぁ!!』
「「「うおおぉぉ!!」」」
スタジアムが大歓声に包まれる…魂を燃やす遊馬のデュエルは観客をおおいに沸かせたのだった…。
「アストラル!」
(ああ、ナンバーズを回収する!)
アストラルが凌牙へと手を翳しナンバーズを回収する…。
「シャーク!大丈夫か!?」
『………遊馬…ありがとな…お前の、声…ずっと聞こえてたぜ…』
「シャーク!!」
遊馬の呼びかけで凌牙は意識を取り戻す…傷だらけだが、命に別状はないだろう…。
『…遊馬…お前の声と…父さんの声も、聞こえたんだ…スタジアムに…来てるのか…?』
「えっ…あ…?」
遊馬は辺りを見回す…咄嗟に「ホープフェニックス」を使ったものの、遊海の姿を直接見た訳ではなかったからだ…。
(……遊馬、静かに後ろを見ろ)
「えっ…あ…」
アストラルの言葉を聞いた遊馬は後ろを振り向く…そこには赤帽子を被った遊海が
─遊馬、あとは…任せた─
「あ…あぁ…!」
遊馬の脳裏に遊海の言葉が響く…優しく、強かったその男は…安らかな笑みと共に金色の粒子となって風に溶けていった…。
『…遊馬…?』
(…遊馬、伝え方は…君次第だ)
「…遊海さん、いたぜ…
『そうか…なら、よかった……遊馬、トロンは…任せたぜ…!』
「おう!任せとけ!お前の想い…奴にぶつけてやる!!」
それは遊馬が初めてついた小さな…優しい嘘だった…それを聞いた凌牙は安心して気を失った…。
(…先程のデュエル…君もシャークも全力を尽くせるデュエルではなかった…いつかもう一度デュエルをしたいな)
「ああ…次は誰の力も借りねぇ、オレ達のデュエルでシャークを超えるんだ…!」
凌牙を搬送する救急ヘリを見送りながら遊馬とアストラルは言葉を交わす…そして、遊馬の手は固く握り締められていた…!
「トロン…お前は絶対に許せねぇ…!!シャークと師匠の無念は…オレが晴らす!!」
Sideトロン
【これが友情…絆…だと!?どこまで…どこまでボクを邪魔すれば気が済むんだ…!!白波遊海!九十九遊馬ぁぁぁ!!】
バリバリバリーン!!
デュエルの顛末を見て激昂したトロンは超能力でVIP席のガラスを叩き割る…手駒にした凌牙は奪還され、手に入れた精霊の力は遊海が自身を犠牲にする事でほとんどを奪い返された…トロンの計画は瓦解寸前だった。
【…まあ、いい…白波遊海は今度こそ消えた…!九十九遊馬はあとでゆっくり始末してやる…ボク自身の手で!!】
冷静さを取り戻したトロンはオーロラヴィジョンに映し出された遊馬を睨みつけた…。