転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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【長い間お疲れ様…もう眠りなよ…!「紋章神コート・オブ・アームズ」で「ラーの翼神竜」を攻撃!ゴッド・レイジ!!】

「っ…ぐああああぁぁぁ!!?」




《ユ…ユウ、ミ…!》


…私は、彼の仲間となって初めての敗北を経験した…ユウミには慢心も…油断もなかった…ほんの少し()()()()()()()…子供達を守りたいという思いがユウミを焦らせた…。 




【あっけない幕切れだったねぇ…じゃあ、君のナンバーズを貰おうか…!!】

「っ──…」

《ぁ…》


ユウミの魂が敵に奪われる…私は、何もできなかった…私はユウミ達の守護神…彼らを護る「神」なのに…!!





『…落ち込むなよフレア…大丈夫だって!遊馬達が絶対に先生を助けてくれる!』

《彼は強い男だ…!必ず戻ってくる!》

傷つき遠退く意識の中でジュウダイとネオスが私を必死に励ましてくれる…でも……





─プツン─




《っ…!?主殿との繋がりが…切れた…!?》

《………そん、な……!》

…ユウミは魂を燃やし尽くした、子供達を…リョウガを救う為に……自分の命を投げ出してまで……








「フレア!病み上がりで辛いと思うが…力を貸してくれ!!」

《わかりました!!行きますよリュウセイ!!》




「奇跡」…それによって遊海は黄泉返り、世界を…子供達を守る為に力を開放した…でも、私は……





「ごめんな、フレア…せっかく力を貸してくれたのに…情けないところ見せちまった…」





…どうか謝らないで…








王の試練〜神と人の絆〜

《フォウ…キュ〜…》

 

「よしよし…ここが気持ちいいんだな〜?」

 

《キュウ…フニャ〜…》

とある日の午後、遊海は穏やかな時間を過ごしていた…膝の上ではブラッシングを受けたフォウが気持ち良さそうに伸びている…。

 

 

《ジーッ……》

 

「…彩華!お前も磨いてあげるからおいで!」

 

《はい♪》

 

 

 

キュッキュッ…

 

 

 

「…もう少しで夏休みも終わりか…つまり、バリアンの攻勢が始まる…」

 

《そうですね…次元の歪みも強くなっています…人間界・アストラル世界・バリアン世界の距離が近くなっているのでしょう…》

アヤカのコアを磨きながら遊海はこれからの事を考える…Dr.フェイカーとトロンを利用したバリアンのナンバーズ回収・アストラル世界破壊計画は失敗した…それによってバリアン達は本腰を入れて人間界とナンバーズを狙い始める。

 

 

当面の敵は……5人

 

 

「ハンド」デッキを使う巨漢策士・ギラグ

 

「BK」デッキを使う熱き拳闘士・アリト

 

2体目の「銀河眼」を操るドラゴン使い・ミザエル

 

「光天使」デッキを使うバリアンの副リーダー・ドルベ

 

…そして、既に人間界に潜伏…卑劣な策略によって遊馬達を狙う「外道」・ベクター

 

 

 

 

「……ベクターの蛮行は…静観するしかないんだよな…忌々しいが…!!」

 

《マスター…》

 

バリアンの攻勢は遊馬の周り…ハートランド学園から始まる、学園の中で起きる出来事には部外者である遊海は関与できない…そして、バリアンの先に待つ()()()()を倒すには遊馬とアストラルの覚醒は必須条件…遊海は下手に手を出す事ができないのだ。

 

 

「できるのは被害を…遊馬への負荷を軽くする事くらいか…本当ならベクターの奴をぶっ飛ばしてやりたい…!!!」

 

《マスター!力を入れ過ぎですー!(+_+)》

 

「あ、すまん!」

思わずアヤカを磨く手に力が入る遊海…だが、それも仕方がないだろう。

ベクターは人間の姿で「真月零」と名乗りハートランド学園へと転入…遊馬との絆を深める一方でアストラルに遊馬への疑念を植え付け…2人の絆を断ち切り「ZEXAL」を使えなくしようとしているのだ…。

 

 

「…こんな事ならまた清掃員として潜入するんだった…」

 

《…おそらくボロを出して正体がバレて…ハートランド学園が大混乱しますよ…やめておきましょう…》

 

「はぁ…やっぱりそうだよなぁ…」

遊海は深くため息をつく…「ZEXAL」の物語は遊戯王シリーズの中でも、もっとも「ハッピーエンド」に近い物語…だが、一歩間違えば最悪の「バッドエンド」になりかねない危うさもある…。

 

 

「まぁ…俺はできる事をやるだけさ…よし!綺麗になった!」

 

《ありがとうございます♪マスター!》

アヤカを磨き終えた遊海は背中を伸ばす…。

 

 

「次は…フレア!ブラッシングするよ〜!……あれ…?」

遊海はフレアを呼ぶ…だが、フレアは姿を現さなかった…。

 

《おかしいですね…?いつもならマスターが呼べばすぐに飛んで来るのに…》

 

「う〜ん…?俺、何か嫌われる事しちゃったかな…?なんだか最近避けられてる感じがするなぁ…」

遊海は頭を抱える…ここしばらくフレアが白波家にいない時間が増えた、そして食事の時以外は遊海に近寄ってこないのだ…。

 

 

「…失望させちゃったかな、トロンに負けたせいで…それとも…凌牙を助ける為に無茶したせいかな……はぁ…」

 

《そう自分を責めるな、フレア様もそうやって悩んでいたぞ?》

 

「メガロック…」

思い当たる事ばかりで自己嫌悪に陥る遊海…それを宥めたのは日光浴をしていたメガロックだった。

 

 

《お前が療養を終えたくらいからか…フレア様も何やら思い詰めていた…それが解決すればいつものフレア様に戻るだろうさ、心配するでない》

 

「フレアの悩み事か…次に戻ってきたら聞いてみよう…ありがとうメガロック」

 

《フォ〜ウ…?》

遊海はフレアと直接話してみようと決めたのだった…。

 

 

 

 

 

 

「…遅いですね、フレアさん…」

 

「ああ、いつもご飯の時間には帰ってくるのに…」

時間は夕食時…いつもなら真っ先にやって来るはずのフレアは未だに戻って来なかった…。

 

 

「…アヤカ、サーチしてみてくれるか?」

 

《了解しました!サーチ開始…………ハートランドシティ近辺に反応がありません…精霊界にいるのでしょうか…?》

 

「……う〜ん…アヤカ、頼んでもいいか?」

 

《わかりましっ…?小規模の次元ゲートの展開を確認!この家の真上です!》

 

「なっ!?まさかバリアンか!?」

遊海は戦闘態勢で庭へと飛び出し──

 

 

キィン──ズドォン!!

 

 

「な、なんだぁ!?」

飛び出した瞬間、真上から()()が落下…庭は土煙に覆われた…。

 

 

「ケホっ…いったい、何事ですか…!?」

 

「わからな…この気配は…!!」

 

「遊海さん!?」

土煙に覆われる庭を警戒する遊海達…だが、何かを感じ取った遊海は躊躇なく土煙の中に突っ込む…!

 

 

 

「ふ…フレア!?しっかりしろ!何があった!」

 

「えっ…!フレアさん!?」

土煙の中から遊海の絶叫が響く…そこではフレア…ラーの翼神竜が傷だらけで墜落していたのだ…!!

 

 

《うっ……ユウ、ミ…》

 

「フレア!しっかりしろ!!いま治してやるからな!!誰にやられたんだ!バリアンの襲撃か!?」

取り乱しながら回復魔法を使う遊海…その目は鋭く周囲を警戒している…!

 

 

《バリアンは、関係ありま、せん……心配しない、で……ちょっと、疲れた…だけ…ですから…!》

 

「全然ちょっとじゃない!!早く小さくなるんだ…!誰だ…誰がお前をこんな目に!!」

怒りのオーラを纏う遊海…フレアの身体は傷だらけでところどころ深い火傷を負っていた…。

 

《大丈夫…です、から…だい、じょぅ──》

 

 

 

…………

 

 

 

 

《スゥ…スゥ…》

 

《フォウ…》

 

「ようやく眠ってくれた……誰だ、誰がフレアをこんな目に…!!」

小鳥状態に戻ったフレアは籠ベットの中で静かに眠りに就いた…その横で遊海は拳を握り締める…。

 

 

《マスター、フレアの負った傷からは…()が見つかりました》

 

「砂…?」

 

《私でも詳しくはわかりませんが…人間界の物ではありません、何処か…別の世界の物です》

 

「別の世界…でも、おかしい…フレアは最上位の精霊だ…それを一方的に…」

フレア…「ラーの翼神竜」はデュエルモンスターズにおいて最上位の精霊であり「神」…相手になるとすれば同じく「神」である「三極神」や「創星神」…それか「三邪神」…「ゾーク・ネクロファデス」ぐらいのものだろう…。

 

 

「とりあえず目が覚めたら話を聞いてみよう…トフェニ、看病を頼んでもいいか?」

 

《御意……主殿、少し気になる事が…》

 

「ん?どうしたんだ?」

フレアの看病をトフェニに託して立ち上がる遊海…そこにトフェニが話し掛ける。

 

 

《うまく言えないのだが…フレア様の神威が少し強くなっている気がする…意識がない状態でも……》

 

「…力が増してるって事か…?まさか……修行してるって訳じゃないよな…?」

 

《精霊の力はその精霊の存在力とカード…そしてマスターの力量に依存します…精霊自身の鍛錬でそこまで変わる事はないはずですが…》

遊海の疑問にアヤカが答える…精霊達の力量は基本的にはほとんど変化する事はない、変化する事があるとすれば主の力量が上がり、精霊の力を十全に発揮できるようになるか……精霊自身の心の変化によるものが多いのだ。

 

 

「とりあえず、フレアが目覚めるまで待とう…トフェニ、頼む」

 

《ハッ!》

フレアを優しく撫でた遊海は部屋を後にした…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガタガタガタガタビュゴオォォォ!!!

 

 

 

「ふがっ!?な、なんだ!?」

翌日の早朝…遊海は家を揺らす強風の音で飛び起きる!

 

 

《あ、主殿!申し訳ない!フレア様が…!》

 

「何があった…!?」

寝室に飛び込んでくるトフェニ…話によると目を覚ましたフレアは制止するトフェニを押し退けて何処かへ飛び去ってしまったのだという…。

 

 

「アヤカ!!」

 

《追跡ロスト…座標が特定できません…!異世界へ向かった事は確かですが…》

 

「フレア…いったい何処に……あと、頼れるものは…」

アヤカの力でもわからないフレアの行き先…それを確かめる最後の手段は…。

 

 

キィン─!

 

「千年玉…千年アイテムはエジプトに…三幻神に縁あるものだ、これに賭けるしかないか……ん?ヒビ…?」

遊海は右手に千年アイテムを呼び出す…遊海の原初の異能である千年玉…それは僅かに()()()()()()

 

 

「…この前倒れた時に落としたからか…?まぁいい…千年玉よ!我が友たる太陽神の向かいし場所への道を示せ─!!」

庭に飛び出した遊海は千年玉を空へと掲げる…そうすればフレアのもとに行く事ができると直感したからだ…だが…。

 

 

キィン─…キィィィン!!

 

 

ドクン!!

 

 

「っぐぅ…!?目がまわ、る──……」

 

《マスター!?》

強い目眩と胸の痛みに襲われた遊海は…そのまま地面へと倒れ込んだ…。

 

 

「遊海さん!!………そんな…」

少し遅れて庭へと飛び出してきた翠が目にしたのは…生気を失い、虚ろな目で意識を失った遊海の姿だった…。

 

 

《マスターの魂が……消えた…?》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side遊海@???

 

 

 

 

 

「ぅ…イタタ……何が、どうなって……はっ…!?」

目を覚ました遊海は辺りを見回す…そこは灼熱の太陽が照りつける、見渡す限りの砂漠だった…。

 

 

「ここは、何処なんだ…アヤカ!…ダメか…みんなの気配を感じない…」

遊海はアヤカを呼び出そうとして異変に気付く…精霊達との繋がりが途切れ、デッキやデュエルディスクすら持っていなかったのだ。

 

 

「……どうやら、魂だけの状態で放り出されたらしいな……待て、まさか…ここは…!?」

今までの経験則から状況を把握した遊海は目の前に見える砂丘に向けて走り出す…!

 

 

 

「…マジかよ、ここって…」

 

砂丘に駆け上がった遊海はそれを見つける、青空が広がる砂漠の先…岩山の麓に築かれた巨大な()()を…!

 

 

 

「…アテムの、冥界…かよ…!?」

 

 

 

SideOut

 

 

 

 

 

「アヤカちゃん!遊海さんは…!?」

 

《肉体的に言えば…昏睡状態です…肉体は健康そのもの…ですが、魂が肉体から離れてしまっています…!》

 

「そんな…!」

同じ頃…ベッドに寝かされた遊海はアヤカによる診断を受けていた…意識を失った遊海の体からは魂が抜け出してしまっていたのだ…。

 

 

《予測にはなりますが…フレアはおそらく「冥界」に向かったのでしょう…マスターはそれを追おうとした結果、魂だけが冥界に向かった……大丈夫ですよ!きっと向こうにはフレアがいます、マスターの異変を感じれば…きっと連れ戻してくれるはずです!》

 

「そうだと、いいんだけど…」

 

《フォウ…》

 

 

 

 

 

 

Side遊海

 

 

 

「…千年玉の導きが正しいならば…フレアはこの世界にいるはず…行ってみるか…!」

落ち着きを取り戻した遊海は王宮…アテムの治める国へと足を踏み入れた…。

 

 

 

 

 

「さぁ!いらっしゃい!野菜が安いよ〜!」

 

「質のいい鳩肉が入ったよ〜!!」

 

「ヒヨコ豆はいらないか〜?上等な小麦粉もあるよ〜!」

 

 

「本当にここは冥界か…?」

賑わう市場を歩きながら遊海は首を傾げる、行き交う人々は生き生きと笑い…商人達は食材や道具を手に声を張り上げている…。

 

 

「アテムは上手くこの国を治めてるらしいな…死んだ人間が元気っていうのも変な話だけど……神話ではよくある事か…さて、王宮までもう少しだ」

遊海は賑やかな市場を進んでいく、そんな時…

 

 

『えっ…?おい!()()!?なんでお前がコッチにいるんだ!?』

 

「えっ─!?」

人混みの中…遊海は名前を呼ばれ、肩を掴まれる…振り返った先にいたのは…

 

 

「城之内さん…!?」

 

『お前…ついに死んじまったのか…!?』

焦った表情を浮かべる今は亡き友…城之内の姿があった…。

 

 

 

 

 

 

『いやはは…びっくりしたぜ…まさかフレアを追って冥界に迷い込んで来るとはな!』

 

「いや、驚いたのは俺の方だって…なんでこの冥界にいるんだよ…」

遊海は城之内に事情を話して王宮へと向かう、城之内の姿は全盛期である青年期の姿…冥界では自分である程度姿を選べるようだ…。

 

『死んだ後にアテムに招かれたんだよ、遊戯や杏子…みんなコッチで楽しく過ごしてるぜ?お前の事見たら…驚くだろうな〜!』

 

「ははは…嫌な予感しかしない…」

悪い笑みを浮かべる城之内と共に遊海は王宮へと足を踏み入れた…。

 

 

 

 

 

『お〜い!珍しい奴を連れてきたぞ〜!』

 

『ん?どうしたんだよ城之内?また現世の知り合いでも来たのか?』

 

『まったく…死んでもそんな所は変わらないんだか

ら…』

 

『城之内君!ずいぶん楽しそうな顔だね?』

 

【フッ…】

王宮の謁見の間…そこには4人の人影があった、それは懐かしき『友情』で繋がる仲間達…

 

 

『ヘッヘッヘッ…!今日の特別ゲストは…コイツだぁ!!』

 

「みんな!久しぶり!!」

 

『『『遊海!?なんで!?』』』

 

【懐かしい気配…やはりお前だったか…久しぶりだな、遊海】

王宮に響く仲間達の声…その様子を笑いながら冥界の主…アテムは遊海を出迎えた…。

 

 

 

 

『…なるほどなぁ…てっきりお前がやられたんだと思ったぜ…』

 

『本田!縁起でもない事言わないの!!遊海が死んじゃったら翠ちゃんがどれだけ悲しむか…』

 

『でも、辛い戦いを乗り越えてきた事には変わらないよ…遊海、お疲れ様だね…』

 

「ああ…いやはや…今回は流石に死んだと思ったよ…」

遊海は仲間達…遊戯・杏子・本田・アテムに現世での戦い…そして冥界に迷い込んだ目的を伝える…。

 

 

 

【遊海、確かにフレアはしばらく冥界に通って来ている…それは()()()()だ】

 

『俺の、為…?』

遊海の話を聞いたアテムは遊海を見つめながら語る…。

 

 

【現世での戦い…俺も一部始終を見ていた、復讐鬼と対峙したお前は『ラーの翼神竜』を使って負けた…もちろん、時の運もあっただろう…だが、お前は冷静さを欠いていた……違うか?】

 

「ああ、凌牙や璃緒…子供達を傷付けられた怒りで俺は平常心を失ってた…そのせいで俺は『ラー』の力を生かす事ができなかった…」

 

【…それはフレアも同じ気持ちだったんだ…言ってたぞ?『私の力不足で遊海は負けたんだ』…とな…】

 

「フレア…」

アテムから聞かされるフレアの真意…遊海の敗北を悔やしんだフレアは遊海の為に強くなろうと冥界で修行していたのだ。

 

 

【相棒、遊海を決闘場に連れて行ってくれ、フレア()はそこにいるはずだ】

 

『うん、わかった!案内するよ!』

 

「すまない…頼む、遊戯…!」

遊戯に案内され、遊海はフレアのもとに向かった…。

 

 

 

ズズーン…ズズーン…!

 

 

「…この振動は…」

 

『僕達も気になってたんだ…アテムからしばらく決闘場に行くのを止められてたから…』

決闘場に続く廊下…その奥から低い音と振動が伝わってくる…。

 

 

『でも…神様が修行なんて聞いた事ないぜ?』

 

『きっと…じっとしてられなかったんだよ…人を助ける為に傷つく遊海を見ていられなくて……着いたよ!』

 

「この先にフレアが…!」

廊下の奥に現れたのは巨大な扉…その先は魔術や呪術によって補強された決闘場がある…!

 

 

ゴゴゴゴゴゴ…!

 

 

「っ…!?2人共!壁に避けろ!扉が吹き飛ぶぞ!!」

 

『『っ─!?』』

遊海の声と一際強い振動に遊戯と城之内は飛退く…次の瞬間…!

 

ゴオオォォ!!

 

 

「うわあああああ!?」

 

『『遊海!!』』

決闘場の扉が一瞬にして融解…灼熱の炎が遊海を吹き飛ばした…!

 

 

 

─我が写し身よ、お前の力はその程度か?─

 

《く、うぅ…!まだ、まだぁぁ!!》

 

「フレ、ア…?それにあれは……!」

火傷を負い、吹き飛ばされた遊海が目にしたもの…それは傷だらけで地面に倒れ伏すラーの翼神竜…そして、空中で滞空するふた周りほど巨大な…もう一体の()()()()()()の姿だった…!

 

 

「…まさか、()()()()()の『ラー』か…!?」

圧倒的神威を放つ巨大なラー…それはフレアの本体、アテムが使役する『太陽神』の姿だった…!

 

 

─私…いえ、我が分霊フレアよ!お前の力はその程度か…?その程度の力で遊海の守護者を名乗るのか!─

 

《私は…彼を守る…!その為に、強く、ならないと!!》

 

─戯言を…私に1度も勝てずにいるお前が…世界を背負う者を守れるか!ゴッド・ブレイズ・キャノン!!─

 

《っ─!!ゴッド・ブレイズ・キャノン─!!》

 

 

ゴオオオオ!!

 

 

『ぐっ…!?なんて熱だ…!!』

 

『まさかフレアの修行って…!本体との一騎打ちかよ!?』

 

「あの馬鹿…!なんて無茶を!!」

ぶつかりあう太陽神の神炎…それを前に遊海は理解した、フレアは自身のオリジナルと戦う事で…自身を鍛えようとしているのだと…!

 

 

 

─甘い!はあっ!!─

 

《ぐっ…?!あ"あ"あ"あ"あ"!!!》

 

「フレア!!」

本体の炎の威力は凄まじく…フレアは全身を灼かれながら壁に叩き付けられる!!

 

 

《くっ…カッ…ァ…!》

 

─…この一撃で終わりにしましょう…我が身は不死鳥になりて…天を舞う!ゴッド・フェニックス!!─

重傷を負い動けないフレアに裁きの炎が迫る!!

 

 

「ダメだ…!やらせるかぁぁ!!」

 

『おい待て!やめろ遊海!!』

 

『遊海!!』

不死鳥の姿を見た遊海はフレアに向かって駆け出す!!

 

 

 

『来い!!「決闘の守護者(デュエル・ガーディアン)」!!勝利へ導く決着の剣(デュエル・カリバー)─!!』

 

《ユウミ!?》

フレアの前に飛び出した遊海は魂の大剣を呼び出し、不死鳥の一撃を受け止める!!

 

 

─馬鹿者!!何故庇うのです!死ぬつもりですか!?─

 

「ただ見て、られるかよ…!フレアは俺の大事な仲間だ…友達だ!!傷付いたお前を放っておけるかぁぁぁ!!」

灼熱の炎に体を焦がされながらも遊海は叫ぶ…!

 

 

《ユウミ!すぐに避けなさい!魂だけの貴方では…!!》

 

「馬鹿…!!避けたら、お前がヤバいじゃねぇか…!!前に言っただろ…俺は、全てを守れる英雄じゃない…それでも!!手の届く相手は、必ず助ける!!!」

 

《ぁ…》

フレアは灼熱を受け止める遊海の背中が大きく見えた…その背に守る「覚悟」を背負った背中を…。

 

 

《(私は勘違いをしていた…私は遊海を守る「守護神」じゃない…共に戦い、一緒に生きていく「仲間」なんだ…)》

フレアは心の何処かで遊海を「守るべき者」として見ていた…しかし、それは間違いだった。

遊海は「守られる者」ではなく、「共に戦う者」だったのだと…フレアは気付いたのだ…。

 

 

ゴウッ!!

 

 

「っぐ…!!(剣が、熔ける…!!)」

太陽神の炎によって大剣が融解し始める…!

 

《遊海!しゃがみなさい!!我が身は不死鳥…友の道を照らす為に天を舞う!!ゴッド・フェニックス─!!》

 

「うおぉっ!?」

背後で膨れ上がる闘気に遊海は慌てて地面を転がる…そして2体の不死鳥が空中で激突した!!

 

 

 

 

─フレア…どうやら迷いは消えたようですね─

 

《ええ…!私は神であり「精霊」…遊海と共に歩む者!私は…彼らの道を照らし続ける!!》

激突する2体の炎の不死鳥…そのエネルギーは膨れあがり、決闘場を飲み込んだ…。

 

 

 

 

 

 

「……ぐっ…何が、どうなった……?」

 

『あ…!遊海!気がついたかい!?』

 

「遊戯…そうか、俺は…」

気を失っていた遊海は焼け焦げた決闘場で目を覚ました、2体の太陽神の「ゴッド・フェニックス」の激突…それによって遊海は吹き飛ばされ、壁に叩きつけられて失神していたのだ。

 

 

「流石に、死ぬかと思った…神の炎は、キツイ…」

 

『ある意味、遊海のトラウマの1つだもんね…ボク達も少し危なかったよ…』

思い出されるのはバトルシティの戦い…ラーと真っ向から戦う事になった闇マリクとの闇のゲームの事だった…。

 

 

─…遊海、貴方には申し訳ない事をしました…巻き込むつもりはなかったのですが…─

 

「っ…!ラーの翼神竜…!」

頭上から声が響く…それは遊海を心配そうに見つめる『ラー』だった。

 

 

─遊海、現世での窮地はフレアとアテムから聞いています、我が力を使って敗北した事も…フレアはさらなる力を求め、私に修行を頼んだのです…貴方をこれ以上つらい目に遭わせない為に…─

 

「…今回の件は俺の『弱さ』が原因だ…フレアが思い詰める事はなかったのに…」

 

【遊海、「完璧」なんてものは存在しない…それはお前が1番理解しているだろう?】

 

「アテム…フレア…!」

焼け焦げた決闘場にアテム…そして包帯を巻かれた小鳥状態のフレアがやってくる、フレアの表情はとても落ち込んでいる…。

 

 

《遊海…その…心配をかけてすいません…まさか私を追って冥界にまで来るなんて…!》

 

「まったく…本当に心配したんだからな?お前に嫌われたかと思ったぞ?…でも、ありがとな…次は絶対に負けないからな…!」

膝に降り立ったフレアを遊海は優しく撫でる。

 

 

【…完璧なものなんて存在しない…だが、完璧に近づける事はできる…仲間と力を合わせれば…お前に敵う者はいないさ】

 

「ああ、そうだな…俺は独りじゃない…翠がいる…精霊達がいる…絆を紡いだ仲間達がいる…!俺は…みんなの想いと共に世界を守ってきたんだからな…!」

遊海は胸に手を当てる…それは遊海の中で燃え続ける「炎」…希望の灯火…。

 

 

【フッ、わかっているならいいさ…遊海、フレアは試練を乗り越え、新たな力を手にした…お前…いや、お前達なら人間界に迫る闇を祓う事ができるはずだ】

 

「ああ…俺は必ず世界を守る…!俺なりのハッピーエンドを掴む為に!」

アテムの手を借りながら遊海は立ち上がる…その目に迷いはない…!

 

 

 

 

─遊海、私から貴方に1つ、伝えなければならない事があります─

 

「ラー…?」

立ち上がった遊海にラーが声をかける。

 

─…貴方の持つ「絆の奇跡」…それを使えるのは…あと…─

 

 

『遊海ィィィ!!!』

 

 

「へっ…!?」

 

『あっ…!しまった!彼の事を忘れてた!!』

決闘場にラーの声をかき消すほどの怒りの叫びが響き渡る…その声の正体は…

 

 

 

『貴様…なぜ冥界にいる!!俺との約束を忘れた訳ではあるまいな─!!』

 

「か、海馬社長─!?」

決闘場の入口で怒りのオーラを纏いながら遊海を睨む者…それは死後、遊戯達と同じように冥界へと招かれた海馬瀬人その人だった…!

 

 

『お前はぁ…!そこに直れ!我が「ブルーアイズ」で貴様を現世まで吹き飛ばしてくれる─!!』

 

「ちょっ!?俺の話を聞い─『問答無用!!』うわあああああ!?」

 

《ギュアアアアアン!!》

 

 

その後、誤解が解けるまでブルーアイズに追い回された遊海なのであった…。

 

 

 

 

 

─…話をしそびれてしまいましたが…フレア、彼を頼みましたよ…─

 

《…はい…!これ以上…ユウミに無理はさせません…!》

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

「う、う〜ん…海馬、社長…おれの、俺の話を聞いてぇ……」

 

「…フレアさん…冥界で何があったんですか…?」

 

《…まぁ、その…あはは…》

 

その後、遊海はフレアと共に無事に現世へと戻ったものの…しばらくの間寝るたびに魘されたそうな…。

 

 

 

 

 




フレアが試練を超え、遊海との絆が深まった事で「ラーの翼神竜」の効果が書き変わった!


《ラーの翼神竜》神 幻神獣族 攻守?

このカードは自分または相手の場のモンスターを3体リリースしてアドバンス召喚できる。ただし、相手フィールドのモンスターをリリースして召喚した時、このモンスターは相手フィールドに召喚される。
①このカードの元々の攻撃力・守備力はアドバンス召喚時にリリースしたモンスターの攻撃力・守備力をそれぞれ合計した数値になる。
②このカードは相手のカード効果を受けない。
③このカードが墓地から特殊召喚された時、または1ターンに1度、以下の効果のどちらかを発動できる。
・ライフを1000払い発動できる、相手フィールドのモンスターを全て墓地に送る。
・ライフを100になるように払って発動できる、その分このモンスターの攻撃力をアップする。
④このモンスターが魔法・罠カードの効果で墓地から特殊召喚された時、そのターンのエンドフェイズに墓地に送られる。

テキスト外効果
このカードは古代神官文字を理解しなければ①②③④の効果を使用できず、攻撃できない。
またこのカードのコントロール権は古代神官文字を唱えた者に移動する。
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