転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

投稿遅れてすいません…少し展開を迷っていました!


それでは最新話をどうぞ!


復活の拳闘士〜試される『情熱』〜

『何事だ?ベクター、我々を呼び出すとは…』

 

『つまらん用件なら…容赦はせんぞ…!』

 

バリアン世界の城…そこに手分けして遺跡のナンバーズを探していたドルベとミザエルが戻ってきていた…ベクターに呼び出されたのである…。

 

 

『ククク…喜べ…!仲間が蘇ったぞ!』

 

『なに…!?』

笑みを浮かべながら用件を伝えるベクター…その背後に長い眠りから目覚めたギラグとアリトが現れた。

 

 

『ギラグ!アリト!?』

 

『お前達、どうやって…!?遊馬とのデュエルで力を使い果たし、長い眠りに入っていたのではなかったのか!?』

仲間達の突然の復活にドルベとミザエルは驚愕する…。

 

 

『てめぇらが不甲斐ないから…おちおち寝てられなくてなぁ…!』

 

『なんだと…!?』

 

『おいおい!せっかく2人が復活したんだ…少しは歓迎してやれよぉ…!』

ドルベとミザエルを挑発するような態度を取るアリト…ベクターはそれをおちょくりながら宥める。

 

ベクター以外は知らない事だが…アリトとギラグはベクターを通じてドン・サウザンドの力を注ぎ込まれた事で復活を果たした…それ故なのか『負の感情』が増しているのだ…。

 

 

 

《ハーエバーニング!皆さまお待ちかねのナンバーズの情報を持って……あれ?お呼びでない…?》

 

 

『……早く話せ』

 

険悪な空気が流れるバリアン達…それをぶち壊したのはMr.ハーエランドだった…。

 

 

 

 

『…なるほど、その「スパルタン・シティ」という場所の遺跡にナンバーズが…』

 

《ハエ!おそらく九十九遊馬も向かっているかと…》

 

『なにィ…?』

バリアン達に次のナンバーズの場所を伝えるハーエランド…その時、アリトが憎しみのオーラを纏う…!

 

 

『つまり、その遺跡で待ってれば奴らは向こうから飛び込んで来るって訳だ…!』

 

『なら…俺が行く…!九十九遊馬は俺の獲物だ!!俺がこの手で…ぶっ潰す!!』

 

『待て!……アリトは前から単純ではあったが…?』

ドルベが止める間もなく…アリトはワープゲートへ消えてしまう…その姿を見たドルベは小さな疑問を抱いた…。

 

 

 

 

『おい…ベクター、あの城の端にいる女はなんだ?』

 

『…お前の新しい部下か?』

アリトを見送ったミザエルがベクターへと問い掛ける…ミザエルの視線の先には傷を癒やす為に眠る怪物がいた…。

 

 

『あ、紹介してなかったかぁ…?そうだ、あの女は新しい部下さ…!お前達も1度は見た事あるはずだぜぇ?』

 

『城下にあんな女は………女?』

 

『まさか……その女は…()()()()()!?』

ベクターの言葉にネームレスを見るバリアン達…ドルベはその正体に気付いた…()()()()()()()()

 

 

『ベクター!まさか、「失意の山」に封じたあのモンスターの封印を解いたのか!?貴様!なにを考えている!!』

 

『ぐあっ…!?』

ドルベはベクターの首を掴み上げる…その表情は怒りに染まっていた…!

 

 

『失意の山…えっ!?あのバケモンが…あの女!?』

 

《あの〜…バケモンとは…?》

状況を理解できないハエランドがギラグ達に問い掛ける…。

 

 

『……何十年も昔…ナッシュとメラグが行方不明になる前の話だ…!バリアン世界に突然、怪物(モンスター)が現れた…その怪物はバリアン世界を蹂躪…オレ達七皇全員で掛かっても…足止めが精一杯だった……』

 

《七皇全員で…足止めだけ!?》

ギラグの言葉にハエランドは驚愕する…姿を見た事がないナッシュとメラグはわからないが、バリアン七皇は強い、その彼らを以てしても…倒す事ができない相手だったのだ。

 

 

『バリアン世界は破滅する寸前だった…その時、ナッシュが私達全員の力を束ね…10日に渡るの戦いの末に奴をバリアン世界の辺境に辛うじて封印した…!貴様は!ナッシュの尽力を無駄にするつもりか!!』

 

『ぐっ…そう、怒るなよ…!奴は完璧にコントロールできてる…!奴は白波遊海を、倒したんだぜ…?』

 

『なんだと…!?』

そしてベクターは怪物を開放した時の事を思い出した…。

 

 

 

 

 

Sideベクター

 

 

 

 

【ここが…貴様の寄りたい場所か?】

 

『そうだ…!この場所には力が…兵器が眠ってる!!』

ベクターはバリアン世界の辺境…『失意の山』を訪れる、そこには真っ黒に染まった巨大な水晶があった…!

 

 

【確かに強い力を感じる…この場所には何がある?】

 

『この水晶の中には…バリアン世界を滅ぼしかけた「怪物」が眠ってる…!こいつを白波遊海にけしかけるのさ…!力を貸してもらうぜ…ドン・サウザンド!!』

 

【よかろう…!】

 

ギィン!

 

ベクターは両手を黒水晶に当て、力を流し込む!!

 

 

『起きやがれ!「名無しの怪物」!!お目覚めの時間だぁぁ!!』

 

 

ビシビシ…バキャーン!!

 

 

ズズズ…

 

黒水晶が砕け、闇が周囲に溢れ出す…そして闇は一箇所に集まり……

 

 

 

 

 

『………?』

 

 

『………は?これが、あのバケモン??』

ベクターの前に現れたのは…闇に包まれた少女だった…予想外の事にベクターは唖然とする…。

 

 

【ふむ…その『怪物』とやらを封印する際に『弱体化の呪い』を掛けていたらしいな…流石はナッシュの封印か…】

 

『チッ…感心してんじゃねえ!こんな餓鬼どうすりゃ─』

 

『───!!!』ガブッ!

 

『どわっ!?こいつ噛みやがった!!』

怪物に手を伸ばしたベクター…怪物はその手に噛みついた!

 

 

【…ベクター、此奴を人間界に放て…面白い事が起きそうだぞ…?】

 

『あん…?』

愉快げな様子のドン・サウザンド…その様子を訝しみながら、ベクターは怪物に制御用の洗脳と隠匿を施し、人間界に解き放ったのだった…。

 

 

Sideout

 

 

 

 

 

 

『コイツのおかげ…しいてはオレのおかげで敵の最大戦力を無力化したんだ…!そんな怒る事はないだろう…?』

 

『くっ…!…しっかりと手綱を持っていろ…!使い方を誤れば…滅びるのは我々だ…!!』

 

『わかってるさ…!』

ドルベは渋々手を離す…そして眠る怪物を睨みつけた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(飛行船に表示された次の遺跡は…このスパルタン・シティにあるようだ)

 

「…なんか、今までと違って…賑やかな場所だなぁ…」

 

 

悲鳴の迷宮から数日…遊馬・凌牙・小鳥・璃緒は欧州にある「スパルタン・シティ」という賑やかな街を訪れていた…。

なお、今回の旅からは事情を知ったカイトもナンバーズ捜索に同行している。

 

 

「本当に賑やかな街…父さんや母さんと一緒に来たかったなぁ…」

 

「璃緒…」

物憂げな表情で沈む璃緒…今回の旅に翠は同行していない…その理由は…。

 

 

 

 

 

Side白波家

 

 

 

「ふぅ……ふぅ…」

 

《熱…下がらないね…》

 

《うん…やっぱり、疲れが出ちゃったんだと思う…》

 

《フォウ…》

 

白波家の翠の自室…そのベッドの上では翠が浅い呼吸を繰り返しながら寝込んでいた…。

 

なんとか怪物…ネームレスを撃退する事に成功した翠だったが…それまでの看病疲れと蛇神の毒の後遺症で数日に渡って高熱に魘されていたのだ。

 

 

《キャウ…フォーウ…》

 

「フォウくん…心配かけて、ごめんね…すぐに、元気に…なるから…」

心配そうに翠に寄り添うフォウ…翠はその頭を優しく撫でる…。

 

 

「(あの怪物…強かった……次は、もっと強くなるかも……こんな状態で…子ども達を…守れるの?私…)」

熱に浮かされながら…翠はネームレスの事を考える。

 

 

「(それに…あの姿、何処かで()()()()()()気がする……ダメだ…ぼーっとしちゃって…考えられない…)」

ネームレスの姿に引っ掛かりを覚える翠…しかし、ぼんやりした頭では思い出せなかった…。

 

 

 

「母さん…大丈夫か?」

 

「凌牙くん…おかえりなさい…」

 

「今日は璃緒と学校休んでるって…本当に辛いんだな…」

翠の部屋にスポーツドリンクを持った凌牙がやって来る…凌牙と璃緒は学校を休み、それぞれに遊海と翠の看病をしていた。

 

 

「アストラルが新しい遺跡を見つけて…明日の朝に出発するって連絡がきた…」

 

「凌牙くん…私達の事は心配しないで…遊馬くんとアストラルの力になってあげて…」

 

「…本当に…母さん達はすごいぜ…そんな状態でも、他人を思いやる事ができるなんて…」

凌牙は翠の言葉を噛み締める…自分だって辛いはずの状態…それでも翠は子ども達の事を想っていたのだ…。

 

 

「凌牙くん…私達はね、1人じゃないの…たくさんの人との繋がりがあったから、世界を守れたの……だから…だか、ら……すぅ……」

 

「…おやすみ…母さん…」

 

《…フォーウ…?》

 

「…わかってる、遊馬は危なっかしいからな」

眠ってしまった翠…その心は凌牙にしっかりと伝わった…。

 

 

 

 

 

 

Side璃緒

 

 

 

「父さん…母さんがね、父さんを襲ったバリアンを倒したのよ…逃げられちゃったけど……バリアンが持ってる『鎌』を壊せば父さんは助かるって…!だから…待ってて…!」

 

《璃緒…》

 

同じ頃、病院に入院し眠り続ける遊海…彼の隣にはアヤカと璃緒の姿があった。

ベッドに寝かされた遊海の傷は塞がる事はなく、肌は噛み傷のある場所を中心に…所々が紫色に変色してしまっていた…。

 

 

「…父さん、覚えてる?私達がまだ小さい頃…トーマスやミハエルと潮干狩りに行って…みんなでたくさん貝を取って…取りすぎちゃって母さんに怒られて…ふふっ…楽しかったね、父さん…」

幼い頃の思い出を遊海に話す璃緒…その目には涙が浮かんでいる。

…璃緒は朧げだが覚えていた、遊海が毎日のように病院を訪れ、話しかけながらマッサージをしたり回復魔法を掛けていてくれた事を…それと同じように璃緒は遊海に話しかけていた。

 

 

「…私、ずっと眠ってて…凌牙や父さん達にも心配掛けて……やっと…やっと家族が揃ったと思ったのに…!こんなのってひどいわ…神様…!」

 

《………》

呪いの傷と毒に蝕まれる遊海を前に思わず運命を呪う璃緒…そんな時だった。

 

 

 

 

 

キィン─

 

 

「っ…!なに!?」

 

《この反応は…》

遊海の手を握りしめていた璃緒…その時、遊海の病室にワープゲートが現れた…!

 

 

 

 

『驚かせてすまない、遊海のお見舞いに来たんだ…こうして会うのは初めてだね…神代璃緒』

 

 

《…バイロン》

 

「バイロン……彼が凌牙の言っていた…『トロン』…!?」

 

ワープゲートから現れたのは鉄仮面を着けた金髪の少年…その名はバイロン・アークライト…『復讐者』トロンとして璃緒を傷付けた張本人だった。

 

 

 

《バイロン、誰からここの事を?》

 

『フェイカーからさ……事情も聞いた、バリアンからの刺客に襲われたそうだね、酷い話だ…消耗している遊海を狙うなんてね……私も似たような事をしてしまったが…』

アヤカからの問いに答えながらバイロンは遊海に歩み寄り…その状態を見てバイロンは顔を伏せる。

 

 

『……よく、こんな状態で戦えたね…肉体も、魂もボロボロ…そして不治の傷に毒……生きているのが奇跡のようだ……今こそ、私が遊海の力になる時…!』

 

「…何をするつもりですの…!?」

璃緒は遊海にむけて手を翳すバイロンに問い掛ける…!

 

 

『彼には私が分け与えた「紋章」の力が宿っている…それを活性化させ、少しでも彼を癒やす…根本的な解決にはならないけど……時間は稼げるはずだ、それが…私が君達親子にできる…精一杯の贖罪だ─!』

 

キィン─! バリバリバリ!!

 

 

トロンが紋章の力を発動する…だが、その力は遊海の胸元の傷から発せられるオーラに阻まれる…!

 

 

『この傷から…強い思念を感じる…!この傷を刻んだ相手は…よほど遊海に()()があったらしい…!!』

拮抗する紋章と呪い…だが、バイロンは力を弱める事はない…!

 

 

『遊海…!ようやく、キミも家族を取り戻したんだ……だから、戻って来い─!!』

 

《バイロン…!》

 

「トロン……いえ、バイロンさん…ありがとう…!」

 

バイロンは遊海から受けた恩を返す為…力を振り絞った…!

 

 

 

 

Sideout

 

 

 

 

 

 

「…大丈夫ですよ!璃緒さん!きっと翠さんも遊海さんも…すぐに元気になります!」

 

「小鳥さん……そうですね!少し元気が出ましたわ!」

 

((璃緒も辛いだろうに…しかし、小鳥の明るさは私達には欠かせないな…))

璃緒を元気づける小鳥…その姿を見てアストラルはこの旅に彼女の力が必要なのを痛感したのだった…。

 

 

 

「アストラル、件のバリアンの事は大丈夫なのか?前回は翠さんが退けてくれたが…また襲ってくるかもしれないぞ?」

 

(ああ、奴に関しては大丈夫だ…アヤカ曰く『デュエルで深い傷を負って動けない可能性が高い』…との事だ、万が一に備え彼女もオービタルと共に飛行船に待機してくれている)

カイトの問いにアストラルは雲の中に隠した飛行船を見上げた…。

 

 

 

Sideかっとび遊馬号

 

 

 

《まさかアヤカ殿が旅に同行してくれるとは…なんとも心強いでアリマス!》

 

『バリアン…ネームレスは強力な相手、遊馬達に万が一があればマスターが悲しみます……そして、私としても彼女を許す事はできない…!』

 

《アヤカ殿…》

飛行船でオービタルと人間体のアヤカは語り合う…アヤカは翠に頼まれ、遊馬達に同行していた…。

 

 

『もし現れたのなら…マスターから借りたデッキで…必ず殲滅します…!!』

 

《(怖っ!?本当に怒ってるでアリマス─!?)》

濃密な殺気を纏うアヤカにオービタルは震えたのだった…。

 

 

 

 

 

Sideout

 

 

 

 

「ところで…ナンバーズの遺跡は何処にあるんだろう…?」

 

「確かにな…街は新しい建物が多い、街の外れにあるのか?」

遺跡を探して街を探索する遊馬一行…だが、それらしい遺跡を見つける事はできないでいた。

 

 

「あ…ああぁぁぁ─!?」

 

「どうした!?」

 

「何か見つけたのか!?」

突然、遊馬が叫び声を上げる…その目線の先には…

 

 

『スパルタンシティ・プロデュエルトーナメント!世界最強の決闘者が集結し───』

 

「なーんだ、プロデュエルリーグの宣伝じゃない…本当にデュエルにしか興味ないんだから…」

街頭ビジョンに映し出されていたのは、スパルタンシティで行われているプロデュエルリーグの大会の宣伝だった…そこには遊馬が戦った片桐プロなどの有名なプロデュエリストの姿が映し出されている。

 

 

「違うって!!アレみろよ!あのデュエリスト!!」

 

「えっ…?」

再び街頭ビジョンを指差す遊馬…そこには…。

 

 

『──今回の注目は謎の覆面デュエリスト「ゴーシュ・ザ・スターマン」!!デュエルの女神は彼に微笑むのか─!』

 

「…ゴーシュ・ザ・スターマン………まさか…」

 

「あれって…ゴーシュだよなぁ!?」

 

「「「ええぇぇ!?!?」」」

そこには星の覆面を着けた遊馬のライバル…『ヒロイック』デッキの使い手・ゴーシュの姿があった…。

 

 

 

 

 

「「ゴーシュ!サインして〜!!」」

 

「「握手!」」

 

「次のチャンピオン戦頑張って〜!」

 

「絶対勝ってね!!」

 

『おう!任せとけ!』

デュエルトーナメントの行われているスタジアム…そこでゴーシュは子供達へのファンサービスに勤しんでいた…本当に楽しそうな笑顔を浮かべながら…。

 

 

「お〜い!オレにもサインしてくれよ!ゴーシュ!ドロワ!」

 

『おおっ!?遊馬!遊馬じゃねぇか!』 

人垣の奥から叫ぶ遊馬…その姿を見たゴーシュは驚き、歓迎の声を上げた…。

 

 

 

 

 

「しっかし…驚いたなぁ!ゴーシュがプロデュエリストになって、しかも大人気なんて!」

 

『まぁな!「星からの使者」ゴーシュ・ザ・スターマン!連戦連勝で次はチャンピオンに挑戦!って訳だ!』

 

「すっげぇ!」

WDCの後にゴーシュとドロワはハートランドを離れ、プロデュエリストに転向…世界中を巡っていたのだ。

 

 

「あれ…?ドロワさんもプロデュエリストなんですか?」

 

『いいや、私はコイツのマネージャーだ』

 

『2人で「覆面タッグデュエリスト」でデビューしようぜ!…って言ったら、断られてな!ハッハッハ!』

 

『当たり前だ!!』

 

「た、たしかに…」

 

「ちょっとキツイかも…?(汗)」

覆面デュエリスト姿のドロワを想像した小鳥と璃緒は苦笑したのだった。

 

 

 

「そういえば…どうして『スターマン』なんだ?」

 

『フッ…俺はよ…子供達に希望の「星」を見せてやりたいんだ…俺とドロワの生まれた町は…ひでぇ所でよ、生きていくのが精一杯だった・・…』

遊馬に自身のプロネームの由来を聞かれたゴーシュは自分の原点を思い出す…。

 

 

『けど、デュエルだけは輝いていた!ワクワクするような熱いデュエルを…いつかは俺達も!と思いながら、夢見ていたもんさ・・・』

 

『それが…いつしかその夢が、私たちの希望の星になった…!』

 

『どんな暗い夜でも…空に輝く星があれば、それに向かって生きていける!そんな「希望の星」を今のガキどもに見せてやりてぇ・・・だから俺は、『星からの使者 』ゴーシュ・ザ・スターマンになったのさ!』

ゴーシュとドロワは2人の原点を語る…今の2人はその夢を…『希望の輝き』を掴みかけているのだ。

 

 

『それに、もう1つ願を掛けてるのさ…!』

 

「願…?」

 

「どんな願いなんだ?」

スターマンの由来の続きをカイトが問い掛ける。

 

 

「本当に昔の話だ!俺達と同じような生まれの1人のデュエリストが世界を救う『星』になった!世界中のみんなの希望を束ね、『神』を砕いた…って話を聞いてな!その男みたいなデュエリストになりたい!そんな俺の目標も掛けてあるんだ!」

 

「その話って…!」

 

(ああ、おそらく不動遊星の事だろう…英雄達の思いはこうして受け継がれていくのだな…)

ゴーシュの原点…そして目標を聞いた遊馬達は彼の思いに心が震えた…。

 

 

 

『そういえば…なんでお前達はこの街に来たんだ?別に観光しに来た…って訳じゃないだろ?』

 

「実は…オレ達『遺跡』を探してるんだ!」

 

『遺跡…?』

 

『また珍しいノリだな…まっ、メシでも食いながら聞かせてくれよ!』

 

 

………

 

 

 

『なるほどなぁ…行方不明の親父さんの手がかりを探して…』

場所を移した遊馬一行とゴーシュ達は食事をしながら遺跡探しについて話す…なお、ゴーシュ達をバリアンとの戦いに巻き込まないように、ナンバーズ関係の事は伏せて伝えている…。

 

 

「できれば…遺跡の伝説なんかがあれば教えて欲しいんだけど…」

 

『なら、あるぜ!飛びっきりの伝説がな…この街じゃ有名な話だ』

 

『遺跡のコロッセウムを彷徨う「拳闘士の魂」の伝説だ』

心当たりのあったゴーシュとドロワは遊馬達に伝説を語った…。

 

 

 

 

………

 

 

 

かつて、この地には己の「拳」一つで勝ち続けた「最強の拳闘士」がいた。

 

 

そのライバルはその国の「王子」…2人は幾度となく戦い、戦いの中で身分を越えた「友情」を築いていた…。

 

 

そのうち、2人が雌雄を決する時が来た…だが、王子が民衆の前で負ける事を恐れた側近達が拳闘士を無実の罪で捕らえてしまう。

 

 

囚われた拳闘士は無実を訴え…王子も彼を弁護した…しかし、その言葉は聞き入れられず…拳闘士は民衆の前で無残に処刑されてしまった…。

 

 

 

…………

 

 

 

「…ひどい…!」

 

「「「………」」」

ゴーシュとドロワから悲劇の伝説を聞かされた子ども達は言葉を失う…。

 

 

『…永い時が経ち、その国が滅んでコロッセウムが遺跡となった後もその遺跡には…拳闘士の魂が彷徨っているという…』

 

「…無実の罪で処刑された恨みから…か」

 

『いや…違うぜ、カイト』

 

「むっ…?」

ドロワから伝説の最後を聞かされカイトは拳闘士の想いを予想する…だが、ゴーシュはその答えに首を振る…。

 

 

『奴はまだ…()()()()()()んだよ、ライバルとの戦いを果たせぬまま倒れた無念が…奴の魂をコロッセウムに縛り付けてるんだ…』

 

『……もっとも、その遺跡も湖の底に沈んでしまった…拳闘士の魂を鎮める為に…ほら、丁度彼処にある湖だ』

 

「えぇ!?」

ドロワの言葉に遊馬はレストランに駆け寄る…その眼下には豊かに水を湛えた湖があった…。

 

 

「そんなぁ…どうすればいいんだよ…」

 

「…もうすぐ夜になるわ…続きは明日にしましょう」

 

遺跡を前に途方に暮れる遊馬…璃緒の提案でその日の捜索は止める事となった…。

 

 

 

 

 

「…って訳で、今日はスパルタンシティに泊まる事になったんだ」

 

『そうなの…ちゃんとゴーシュさんやドロワさんにお礼は言った?』

 

「ええ!本当に助かったわ」

その日の深夜、凌牙と璃緒は翠へと連絡を取っていた…スパルタンシティと日本は距離がある為に時差が開いているのだ。

 

 

「母さんはもう大丈夫?身体は辛くない?」

 

『うん、もう大丈夫!龍可ちゃんがトルンカさんの調合した回復薬を持ってきてくれてね…それを飲んだらだいぶ良くなったわ!』

 

「「(なんだろう、すごく不安な言葉が…)」」

Dゲイザーの向こうで元気そうな姿を見せる翠…その姿を見て若干の不安を覚える神代兄妹…その時だった。

 

 

ドン!ドーン!!

 

 

「ん…?なんだ、今の音…?」

 

「なんだか…爆発音のような…?母さん、また後で!」

 

『うん…気を付けてね…!』

窓の外から微かに聞こえた爆発音…凌牙と璃緒はその原因を知る為にバルコニーに飛び出した。

 

 

「っ…!?遺跡のある湖が…!」

 

「水が抜けていく…!?」

凌牙達が見たもの…それは、コロッセウムの沈む湖…その水位が急激に減っていく光景だった…!

 

 

 

 

「おい!?何があったんだよ!?」

 

「遅えぞ遊馬!」

 

「湖の水が引いている…!」

 

「えっ…!?」

凌牙と璃緒、カイトに少し遅れて遊馬がバルコニーに飛び出して来る…カイトに手渡された暗視双眼鏡で遊馬が見たもの…それは湖底から姿を現したコロッセウムの姿だった…!

 

 

「おそらく、バリアンの奴らの仕業だ…!」

 

(だとしたら…ナンバーズが…!)

 

「早く遺跡に行かねぇと!!」

 

「…凌牙…とても、嫌な予感がする…!」

コロッセウムの出現をバリアンの仕業と断定した遊馬達は遺跡に向かおうとする…だが、璃緒は湖から邪な気配

を感じていた…。

 

 

 

「すまねぇドロワ…!こんな夜中に…」

 

「気にするな、急ぐんだろう?…それにしても、ゴーシュは何処をふらついている…!」

その後、遊馬達はドロワの運転する車でコロッセウムへと急ぐ…なお、小鳥は深い夢の中の為(熟睡中)留守番(置いてきぼり)…そしてゴーシュは部屋に居らず、行方がわからなかった…。

 

 

(っ!?遺跡の方角から強い力を感じる…!急いだ方がいい!)

 

「わかった…!頼む!ドロワ!」

 

「事情はわからんが…しっかり掴まっていろ!!」

異常事態が起きている事を感じたドロワはアクセルを踏み込んだ…。

 

 

 

 

 

「あっ…!?ゴーシュ!なんでここに!?」

 

『遊馬!』

遊馬達はコロッセウムに辿り着き、先を急ぐ…そして辿り着いた闘技場…そこにはゴーシュ、そしてフードを纏った男がいた。

なお…ゴーシュがこの場所にいるのは、決勝を前に寝つけず、たまたまコロッセウムのある湖を訪れた際に()()()()の起こした爆発に巻き込まれたからである…。

 

 

『九十九…遊馬ァ…!』

 

「な…!?あ、アリト!?」

そして、遊馬の名前を聞いたローブの男が振り返る…その正体は熱き拳闘士…バリアンの戦士・アリトだった…!

 

 

「アリト…!よ、よかった…!オレ、ずっと心配してたんだぜ!?」

遊馬は思わずアリトに駆け寄る…遊馬とのデュエルの後、ベクターに闇討ちを受けたアリトはバリアン世界に連れ戻され、遊馬はその行方を知る事ができなかったからだ。

…しかし、今のアリトは……以前のアリトではない…!

 

 

『オレも心配してたぜ…!お前が、俺以外の奴らにやられちまったんじゃねぇかとな…!』

 

「…アリト…?」

遊馬を前に不敵に笑うアリト…その顔を見た遊馬は違和感を感じる、アリトはこんなにも…影のある笑みを浮かべる男ではなかったと…。

 

 

 

『お、おい!遊馬!?これはどんなノリだ?コイツはお前の知り合いなのか??』

アリトと遊馬の関係…そして今の状況がわからず困惑するゴーシュ…そしてアリトは思わぬ手段を取る。

 

 

『ゴーシュとか言ったな…!しばらくこのカードを貸してやる!』

 

『なっ……ナンバーズ!?』

 

『そいつを使って…俺と一緒に九十九遊馬を倒すんだ!!』

 

ギィン!

 

『なっ…!?があああああ!!?』

 

「アリト!?お前─!?」

 

アリトは手にしていた「遺跡のナンバーズ」をゴーシュに投げ渡す…さらに「RUM」を使い、ゴーシュを洗脳してしまった…!

 

 

「アリト…!お前、なんでゴーシュを洗脳なんて!!」

 

『なんだと…!?貴様、いったい何者だ!!』

正々堂々とした戦いを好むはずのアリトの暴挙に遊馬は困惑の叫びを上げる…そしてドロワは「洗脳」という物騒な言葉を聞き、アリトの正体を問い質す…!

 

『俺はバリアン七皇の1人…アリト!』

 

『バリアン…!?Dr.フェイカーとの戦いの際に滅んだのではなかったのか!?』

ナンバーズとは離れた生活を送っていたドロワは相手の正体に動揺する…そしてアリトは邪な笑みを浮かべる。

 

 

『頭数は揃ったな…!どうだ?タッグデュエルと洒落込もうぜ…!』

 

『タッグデュエルだと…?』

 

「…ゴーシュはバリアンの力で洗脳されちまってる…!それを解くにはデュエルで倒すしかねぇ!!」

 

『わかった…なら、私がタッグパートナーを務めよう…!私はゴーシュのマネージャーだ、奴の心が敵の手に落ちたのなら…それを取り返すのは私の役目だ!』

 

「おう…!頼むぜ、ドロワ!!」

アリトの提案したタッグデュエルを遊馬とドロワは承諾する!

 

 

 

 

「待て!奴は只者じゃねぇんだぞ!?この俺が…!」

 

「…待て、凌牙」

 

「カイト!?」

アリトの強さを知っている凌牙が飛び出そうとする…それを止めたのはカイトだった。

 

 

「…このデュエルは、ドロワにやらせてやってくれ…!」

 

「カイト…」

カイトは静かに遊馬達の様子を見つめている…彼は知っている、ゴーシュもドロワも…自分と同じ過酷な訓練を乗り越えてきたデュエリストなのだと…!

 

 

 

 

『遊馬ァ…!もっと嬉しそうな顔をしろよ…!俺とまたデュエルしたいって思ってたんだろぉ?』

 

「思ってたさ…!あの時からずっと…もう1度…熱いデュエルがしたいって!…けど!!なんでゴーシュを巻き込むんだよ!!」

 

『ハッ…心配するな、このデカブツの使()()()は考えてあるからよぉ…!』

 

「使い道…!?アリト!お前、どうしちまったんだよ!!」

アリトの豹変に困惑する遊馬…しかし、闇に侵されたアリトは待ってはくれない…!

 

 

『御託はここまでだ…!ぶっ潰してやるよ!九十九遊馬!!』

 

「くっ…やってやる!!」

遊馬とアリト…そしてドロワとゴーシュ彼らの望まぬタッグデュエルが始まった…!

 

 

 

 

「「『『デュエル!!』』」」

 

 

 

デュエルダイジェスト

 

遊馬&ドロワ対ゴーシュ&アリト

 

 

 

 

 

54

 

 

 

『現れろ「No.54」…熱き闘士の雄叫びが…眠れる魂さえも震わせる!「反骨の闘士ライオン・ハート」!』

 

「これが、この遺跡のナンバーズ…!」

ゴーシュの2回目のターン…彼のフィールドに心臓型のオブジェが現れ変形…遺跡のナンバーズたる獅子の戦士が現れる!

 

 

『だが…攻撃力は僅か100…!?』

 

(だが…確実に()()()()…!)

勇猛な見た目に反して低い攻撃力のライオンハート…アストラルとドロワはその効果を警戒する…。

 

 

『「ライオンハート」は攻撃表示の時、戦闘では破壊されない…バトルだ、「ライオンハート」で「希望皇ホープ」を攻撃!』

 

『っ─!?ゴーシュ!それは自殺行為だぞ!?自分から2400のダメージを喰らいにいくつもりか!!』

ゴーシュの思わぬ行動にドロワが叫ぶ…だが、遺跡のナンバーズの効果には続きがある─!

 

 

『「ライオンハート」の効果発動…このモンスターのバトルで受けたダメージを相手にも与える…バーニング…クロス・カウンター!』

 

「な、なにっ─!?うわああああ!!」

 

『ぐおおお…!』

 

『ゴーシュ!遊馬─!』

 

ライオンハートとホープが拳を振りかぶり激突…その余波が爆風となってゴーシュと遊馬を吹き飛ばした!

 

 

(くっ…!相討ち狙いの、捨て身の戦法か…!)

 

『ククッ…!そうさ…ただし、捨て身になるのはそこのデカブツだがなぁ…!しっかり遊馬と潰し合ってくれよぉ!』

 

『ぐっ…うぅ…』

アストラルはアリトの狙いを見抜く…だが、その姿を見て怒りに震える男がいた…!

 

 

 

「アリト…!いったいどうしちまったんだよ!?お前は…こんな戦い方する奴じゃなかったはずだ!!」

遊馬はアリトへと叫ぶ…遊馬の知るアリトは生粋の「戦士」…だが、正々堂々とした戦いを楽しむ彼の姿はそこにはない…。

 

『九十九遊馬…お前に負けた恨みが…!俺を変えたんだよぉ!あははははは─!!』

そこにいたのは復讐に燃える「悪漢」…戦士とは正反対の狂気を宿す男の姿だった。

 

 

 

(気をつけろ遊馬…!「ライオンハート」は受けたダメージを跳ね返すモンスターだ…だが、その分リスクも大きい…!)

 

「だから…だからゴーシュにナンバーズを使わせたのかよ…!!」

吹き飛ばされたゴーシュを見て遊馬は拳を握り締める…この戦いはリアルダメージを伴うデュエル、長引けばゴーシュの身体が保たない…さらに、コロッセウムに変化が起きる!

 

 

 

オオオオォォォ!

 

 

 

『な、なんだ!?この光は…!』

無人であるはずのコロッセウム…だが突然、その観客席を無数の青白い炎が埋め尽くし、歓声を上げ始めたのだ!

 

『これは……遥か昔にコロッセウムを埋め尽くした人々の()()…?』

璃緒はその炎の意識を感じ取る、それは過去の人々の「残留思念」…戦いを求めた人々の熱狂だった…。

 

 

 

「ゴーシュ…必ず、お前を戻してやる!オレのターン!」

洗脳によって熱き魂を封じられたゴーシュ…彼を救う為、遊馬は戦いへ挑む!

 

 

「バトルだ!『希望皇ホープ』でアリトの裏守備モンスターを攻撃!」

遊馬はアリトへと攻撃を仕掛ける…しかし、アリトはその手を読んでいた!

 

 

『ハッ…!甘いぜ!攻撃された「BKリベージ・ガードナー」の効果発動!裏守備だったこのモンスターが攻撃された時!攻撃対象を別のモンスターに変更する!お前が攻撃するのは「ライオンハート」だ!』

 

「し、しまった!!」

アリトの場のモンスターがリバースし、パンチングミットを構えたモンスターが現れ…素早い動きでライオンハートと入れ替わった!

 

 

(遊馬!『ホープ』の効果だ!)

 

『させるかよ!「リベージガードナー」を攻撃してきたのがエクシーズモンスターだった時!そのモンスターのORUは全て墓地に送られる!』

 

「や、やべぇ!!」

 

『この攻撃で…貴様らは終わりだ!!』

ORUを失ったホープがライオンハートに斬りかかる…だが、遊馬の残りライフは1600…この一撃で遊馬達のライフは尽きてしまう!!

 

 

『「ライオンハート」の効果発動…バーニング・クロス・カウンター!』

 

『させない!罠カード発動!「幻蝶の護り」!プレイヤーの受けるダメージを半分にする!!』

 

「ドロワっ…!うわああああ!!」

ダメージを受ける刹那…ドロワのフォローによって遊馬のライフは僅かに残る…だが、ゴーシュのライフは尽きてしまった…。

 

 

「っ…ゴーシュには悪いが…これで遊馬とドロワは有利になるはずだ…!」

吹き飛ばされたゴーシュを見てカイトが静かに呟く…しかし、遺跡のナンバーズの効果は終わっていない!

 

 

『まだだ!「ライオンハート」の効果発動!プレイヤーのライフが戦闘ダメージによって0になった時!ORUを1つ使い、そのライフを100にする!レスキュー・ショック!』

 

 

バチバチ…バン!!

 

ドクン!!

 

『がはっ…!!』

 

「なにっ…!?」

アリトが倒れたゴーシュに代わり効果の発動を宣言する…そしてライオンハートが拳を振るい、放たれた電撃がゴーシュを無理矢理に目覚めさせた!

 

 

(このナンバーズは…ORUがある限りプレイヤーを無理矢理戦い続けさせるというのか…!?)

 

『そうさ…!ただし、使ってる方はボロボロになっちまうがなぁ?』

 

「アリト…てめぇ…!!」

怒りの籠もった目でアリトを睨む遊馬……かつての剣闘士達はお互いに「死ぬまで」戦わされる事もあったという…その過酷なる運命を効果として宿す者、それがライオンハートだった…!

 

 

『……「幻蝶の護り」のさらなる効果発動!バトルが終わった時!相手モンスター1体を守備表示にする!』

 

「なるほど…!『ライオンハート』が戦闘破壊されないのは攻撃表示の時のみ!」

 

「守備表示ならナンバーズの攻撃でぶっ倒せる!」

無数の蝶の幻影がライオンハートを守備表示に変更させる…ライオンハートを攻略する為の一手にカイトと凌牙も期待を高める…!

 

 

『ゴーシュ!いつまでそんな坊やに好き勝手にされている!』

 

『ぐっ…!?坊やだとぉ!!』

ドロワは洗脳されているゴーシュに叫ぶ…彼の眠れる魂を目覚めさせる為に…。

 

『ゴーシュ!そのザマはなんだ!?今お前のしているデュエルには…熱さのカケラもないぞ!お前は忘れたのか!?お前の夢を…!答えろ!ゴーシュ!!』

 

『………』

 

『無駄だよ…!お前の声は届かない!』

ゴーシュへと必死に呼び掛けるドロワ…しかし、その声はゴーシュに届いていない…。

 

 

 

 

『全ては意のままに…黒き権威を纏いて入場せよ!「BKチート・コミッショナー」!』

アリトのターン、彼は黒のスーツを纏う怪しげなモンスターを呼び出す…そしてアリトは普段の彼は使わないであろう戦術を取る。

 

 

『バトルだ!「チートコミッショナー」で「ホープ」を攻撃!そして効果発動!このカードが攻撃する時、フィールドのモンスター全てを攻撃表示にする!フォースト・ファイティングポーズ!』

 

「なにっ!?」

チートコミッショナーが懐から魔物の顔をしたメガホンを取り出す…そこから放たれた音波によってゴーシュのライオンハート、そしてドロワの場に伏せられていた「幻蝶の刺客アゲハ」が無理矢理攻撃表示になる!

 

 

『そして「チートコミッショナー」のさらなる効果!フィールドに味方のモンスターがいる時!バトルしている「チートコミッショナー」と味方のモンスターを入れ替えてバトルを行わせる!お前がバトルするのは「ライオンハート」だ!!』

 

「なんだって!?」

手にしていたステッキを振り上げたチートコミッショナーの姿がライオンハートと入れ替わる!

 

『今度こそぶっ壊れちまえ!遊馬─!!』

 

『罠発動!「幻蝶の勇姿」!相手モンスターが攻撃してきた時!その攻撃対象を自分フィールドの「幻蝶の刺客アゲハ」に移し替える!来い!ゴーシュ─!!』

 

『「ライオンハート」の効果発動…バーニング・クロス・カウンター!』

 

『くっ…ああああ─!!』

 

「ドロワ!!」

絶体絶命の遊馬を再び救ったのはドロワだった…クロスカウンターによってゴーシュとドロワが吹き飛ばされる!

 

 

『くっ…!私の事は、気にするな…!それよりゴーシュは…!』

 

『まだだ!「ライオンハート」の効果発動!ORUを1つ使い!レスキューショック!!』

 

ドクン!

 

『がはっ…!?』

 

『ゴーシュ…!!』

吹き飛ばされたドロワはゴーシュを心配するが…ライオンハートの効果でゴーシュは無理矢理立たされる…!

 

 

『ゴーシュ…!それが今のお前の()()なのか!?そんな死んだ目をしたデュエルで…子供達の希望の「星」になれるのか!?…絶対に、お前の目を覚まさせてやる!!』

ドロワは洗脳された事で表情が変わらないゴーシュへ叫ぶ…全ては彼を救う為に…!

 

 

 

 

『現れろ!闇を舞う…美しき死の化身!「ナイトバタフライ・アサシン」!!』

ドロワは大きな青い羽を持つ蝶の暗殺者を呼び出す!

 

 

「攻撃力2600!」

 

《しかし、攻撃を跳ね返す「ライオンハート」には高い攻撃力は不利になってしまうぞ…!》

 

『いくぞ…!私は魔法カード「オーバーレイ・キャプチャー」を発動!その効果により「ライオンハート」のORUを1つ奪い!「ナイトバタフライアサシン」のORUとする!』

それは起死回生の一手…ORUがなくなればライオンハートの「レスキューショック」は使えない、ドロワはこのまま攻撃する事でゴーシュとの相討ちに持ち込もうとしていたのだ。

…だが、それを許すアリトではない…!

 

 

『ばかめ…!罠発動!「エクシーズ・バトル・チェーン」!お互いのフィールドにエクシーズモンスターがいる時!エクシーズモンスターを対象に発動したモンスター・魔法・罠の効果を無効にし、破壊する!』

 

『なに!?』

アリトの発動した罠によってドロワの魔法が無効化される!

 

『さらに!この効果がバトルを行っていない相手のターンに発動した時!相手のエクシーズモンスターを味方のエクシーズモンスターと強制的にバトルさせる!まずはお前をぶっ潰してやるよ!ドロワ!!』

 

 

『(くっ…今の私に…この攻撃を止める手立ては()()…!悔しいが…ここまでか…!!)』

アリトの作戦を止める事を止める事ができないと悟ったドロワは拳を握り締める…しかし、彼女は最後まで諦めない…。

確定した敗北…それを覆す事はできずとも、自分ができる事を最後まで為す為に…!

 

 

『やれ!「ライオンハート」!!』

 

『私は「ナイトバタフライアサシン」の効果発動!ORUを1つ使い!フィールドにある全てのORU1つにつき、攻撃力を400アップさせる!フィールドにあるORUは5つ!攻撃力は4600となる!!』

フィールドにあるORUの力を吸収したナイトバタフライアサシンが強く輝く!

 

 

「攻撃力4600…!?ダメージが自分にも返ってきてしまうのに…どうして!」

 

「あの4600は…ただの攻撃力の数値()()()()

 

「えっ…?」

ドロワの無謀ともいえる行動に戸惑う璃緒…その意図に気付いたのはカイトだった。

 

「あれはゴーシュに向けたドロワの()()()()()…己の持てる全てを使って…洗脳されたゴーシュの『魂』を呼び覚まそうとしている!!」

 

『いけぇぇ!!今の私の全てをゴーシュに叩き付け!奴の「決闘者」としての魂を呼び覚ます!!』

カイトの言葉と共に美しき暗殺者が舞い上がる!

 

 

『「ライオンハート」の効果発動…バーニングクロスカウンター!』

 

『ゴーシュ!私のありったけを喰らえぇぇ!!』

 

ゴシャ!!

 

 

蝶の暗殺者と獅子の闘士のクロスカウンターが激突…このデュエル一番の衝撃となって、ゴーシュとドロワを吹き飛ばした…!

 

 

 

ドロワLP0

 

 

 

「ドロワ!!しっかりしろ!!」

 

『…すまない、遊馬…私は、ここまでだ…』

爆発の衝撃で吹き飛ばされたドロワは遺跡の瓦礫に叩きつけられる…途切れそうになる意識の中、ドロワは遊馬に望みを託す…。

 

『私の、モンスターはフィールドに残っている…お前に、託す…ゴーシュを、頼む…アイツと、熱いデュエルをした…おまえ、なら……』

 

「ドロワ…!ドロワ!!」

遊馬へと希望を託したドロワは気を失ってしまった…。

 

 

 

『ハッ…!「ライオンハート」の効果発動!ORUを1つ使い!レスキューショック!起きやがれ!デカブツ!!ギャハハハハ!!』

 

ドクン!!

 

『ぐああ…』

 

「ゴーシュ!!」

ドロワの敗北を見届けたアリトは再びゴーシュを起き上がらせる…!

 

『そして俺は罠カード「ナンバーズ・オーバーレイ・ブースト」を発動!ナンバーズがORUを全て使い切った時!俺の手札2枚をORUにする!さぁ…今度こそ遊馬にとどめを刺せ!!』

ドロワが命懸けで削ったORUが復活する…遊馬を守る者はもういない…!

 

…だが、アリトは甘く見ていた…『決闘者の魂』の強さを!

 

 

 

 

『俺のターン…!俺は装備魔法「ストイック・チャレンジ」を発動!このカードは…O()R()U()()()()()()()()()事で装備できる!』

 

『なんだと!?おい、デカブツ!何やってやがる!!』

 

「なんだ…!?」

続いてやってくるゴーシュのターン、本来であればゴーシュは遊馬を攻撃し、ライオンハートの効果を使えば勝利が確定する…だが、洗脳されているはずのゴーシュはアリトの制御を外れ…己のデュエルをし始める!

 

『「ストイックチャレンジ」を装備した事で「ライオンハート」の効果は無効となり、墓地に送ったORU1つにつき攻撃力が600アップし、与えるダメージを倍にする!さらに装備魔法「ヒロイック・グロース」を発動!自身のライフが相手のライフより下の時、装備モンスターの攻撃力を倍にする!よって攻撃力は2600!』

 

(──!?なんで攻撃力を上げるんだ!?)

巨大化するライオンハートを見てアストラルは戸惑う…ゴーシュが確定している勝利を捨ててまで目指すものは…

 

 

『おおお…うおおおおお!!

 

─オオオオォォ!!─

 

洗脳され、表情を失っていたゴーシュが雄叫びを上げる…それと共にコロッセウムの亡霊達も熱狂する!

 

「…そうか…!そういう事か!!やっと良い()()になってきたじゃねぇか─!!」

そして遊馬はゴーシュの変化の理由に気付き、喜びの声を上げた!

 

 

 

 

『「ライオンハート」で「ホープ」を攻撃─!』

 

「ぐっ!?うわああ!!…これだ…!この熱さだぜ、ゴーシュ!!」

ライオンハートの拳がホープを粉砕…遊馬は吹き飛ばされるが、その顔は笑顔だった…!

 

 

 

『馬鹿な…何故デカブツがあんな動きを…!?』

 

「ゴーシュ…!やっぱり熱い真っ向勝負…それがお前の戦い方だ!!」

ゴーシュの行動の意味がわからないアリト…だが、遊馬は気付いていた…洗脳されたゴーシュの「魂」に火が点いている事に…!

 

 

「もしかして…洗脳が解けたの!?」

 

「違うな…ゴーシュの()()は洗脳されたままだ」

ゴーシュの様子が変わった事で洗脳が解けたと思った璃緒…その言葉を否定したのはカイトだった。

 

 

「洗脳はされている…だが、ドロワの渾身の一撃が囚われた奴の魂を震わせ、肉体…いや、細胞に刻まれた決闘者としての本能を呼び覚ました!これが…この姿が真の決闘者の姿だ!!」

 

それは…古くから伝わる決闘者の姿、洗脳され意思を奪われてなお、親友との戦いを望んだ男がいた…邪悪なる光に魅入られ暴走し、精霊の一撃で己を取り戻した男がいた…そして、虚無に記憶を奪われ、過去の自分によって希望を取り戻した英雄がいた…。

 

今のゴーシュは彼らと同じく、熱い決闘をする為に魂を燃やし…洗脳に抗っている!!

 

 

『うおおおぁぁぁ!!』

 

「いくぜゴーシュ!お前のありったけを受けてやる─!!」

雄叫びを上げるゴーシュ…その魂に応える為に、遊馬も力を振り絞る!!

 

 

 

 

「オレのターン!!ドロワ…お前の思い、無駄にはしないぜ!!魔法カード『エクシーズ・シフト』を発動!オレのフィールドの『ナイトバタフライアサシン』を墓地に送り、そのランクと同じエクシーズモンスターをエクストラデッキから特殊召喚する!現れろ!『H-Cエクスカリバー』!!」

遊馬はドロワの思いを背負い、ゴーシュの魂のカード…赤き戦士エクスカリバーを呼び出す!

 

 

「さらに!『エクシーズシフト』は特殊召喚したモンスターのORUとなる!…ゴーシュ!このカードは熱いデュエルの証としてお前が託してくれたモンスターだ!!オレ達の思い…受けてみろ!!『エクスカリバー』の効果発動!ORUを1つ使い、攻撃力を倍にする!バトルだ!『ライオンハート』を攻撃!!」

 

『させるかぁ!!罠カード発動!「戦士の喊声(バトラーズ・クライ)」!相手モンスターの攻撃力がアップした時!「ライオンハート」の攻撃力を倍にする!!』

 

「いいぞ…!いいぞ!!熱くなってきたぁ!!」

攻撃力4000となるエクスカリバー…その熱意に応えるようにライオンハートの攻撃力が5200まで跳ね上がる!

 

 

(フッ…!今だ、遊馬!!)

 

「おう!!オレはさらに罠カード『魂の一撃』を発動!オレのライフが2000以下の時、自分のライフを半分払い!バトルの間、その数値分攻撃力をアップする!」

 

『ハッ…!無駄だ!お前のライフは僅か200!つまり100の攻撃力で………なにィ!?』

遊馬の一見無駄に見える一手を鼻で笑うアリト…だが、それと裏腹にライオンハートの覇気が弱まっていく!

 

 

(装備魔法『ヒロイックグロース』の効果は…お互いのライフが同じ時には発動しない!よって、その攻撃力は2600となる!)

 

『馬鹿な…!?』

 

「いっけぇ!『エクスカリバー』でトドメだ─!!」

ゴーシュの装備魔法の裏をかいた遊馬が攻撃を仕掛ける!

 

 

『ふ、ふざけんなァアアア!「チートコミッショナー」の効果発動!自身以外のモンスターがバトルしている時!ORUを全て使い、相手の手札に()()()()()があれば!バトルを終了させ、その効果を発動させる!使えデカブツ!手札の「バリアンズ・フォース」を!!』

黒衣の権力者が2人の闘士の間に割り込む…だが、熱き決闘者の力を止める事は叶わない!!

 

 

 

(遊馬!今だ!!)

 

「おっしゃあああ!!罠カード『オーバーレイ・マーカー』発動!このカードはバトルの時、エクシーズモンスターがORUを全て使い切った場合、その効果を無効にし、破壊する!」

 

(そして!そのエクシーズモンスターのプレイヤーに、バトル中のモンスター2体の攻撃力を合計した数値のダメージを与える!!)

 

『なっ…!?俺が、6700のダメージだとぉぉ!?』

 

「喰らえアリト!オレとゴーシュの熱い魂の一撃を!!」

 

『あ、ああ!?うわあああああ!!』

それは熱き戦士達の裁きの拳、魂の決闘を邪魔する魔人にエクスカリバーとライオンハートのダブルパンチが直撃…不粋なる権力者は打ち倒され、アリトは爆風に飲み込まれた…。

 

 

 

 

アリト LP0

 

 

 

 

 

 

─オオオオオオ…!─

 

 

アリトが地面に倒れ伏す、その戦いを見て満足したのか…コロッセウムを埋め尽くしていた亡霊達は万雷の喝采と共に消えていった…。

 

 

 

 

『な、なんだ…この、記憶は…!?この駆け巡る痛みは…!?』

 

「アリト…?」

倒れていたアリトが立ち上がる…だが、その表情は怯え…動揺していた…彼は吹き飛ばされる刹那に見ていたのだ、遺跡に眠っていた()()()()()()()拳闘士の記憶を…!

 

『なんだよ…なんだってんだよぉぉ!!?』

 

「アリト…」

知るはずの無い自分の記憶に混乱しながら…アリトはワームホールに消えていった…それと共にゴーシュの洗脳も解け、デュエルは終結したのだった…。

 

 

 

 

「あ、あった…!『覇者のコイン』…!父ちゃん、今回も見てくれてたんだ…」

デュエルを終えた遊馬は遺跡に置かれた金色のコインを発見…しっかりと握り締める…。

 

 

『遊馬…迷惑かけちまったな、受け取ってくれや』

 

「ゴーシュ…遺跡のナンバーズ…!」

ゴーシュは遺跡のナンバーズを遊馬に手渡す…本来、ナンバーズを手に入れたのはアリトだったのだが…動揺のあまり、ナンバーズを回収し損ねていたのだ…。

 

 

『しっかし…水臭いじゃねぇか!バリアンと戦ってるならなんで教えてくれねぇんだよ!俺も力を貸すぜ!』

 

「ば、ばっかやろぉ!今のお前にはドロワとの夢があるんだろ!?」

 

『遊馬…』

遊馬に協力しようとするゴーシュ…だが、遊馬はそれを断わった…彼らの『夢』を優先させる為に…。

 

「バリアンとの事はオレ達でなんとかする!だから、ゴーシュは子供達の『星』になってくれよ!!」

 

『そうか…そうだったな…!でも、お前も負けるんじゃねぇぞ!』

 

「おう!!」

朝焼けの中、ゴーシュと遊馬は拳を突き合わせる…この数時間後、ゴーシュは見事チャンピオンを打ち破り…子供達の希望の星になったのだった…。

 

 

 

 

 

 

「も〜う!みんなして置いて行くなんて…ひど〜い!!」

 

「ごめんなさい…起こすのも悪い気がしちゃって…」

 

《それ位で文句を言わないで欲しいでアリマス〜!オイラとアヤカ殿はずっと留守番でアリマスのに!》

次の遺跡へと向かう飛行船…1人だけ置いてきぼりになっていた小鳥を璃緒が宥める中…遊馬は物思いに耽っていた…。

 

 

 

(遊馬…アリトの事を考えていたのか?)

 

「ん…ああ…アリト…前はあんな奴じゃなかったのに…」

 

(…昨日のデュエルでわかっただろう、やはり彼はバリアン…残念だが、我々とは相容れない相手なんだ…)

 

「(アリト…なんでお前があんなひどいデュエルを…オレにはわからねぇ……それでも、オレは信じてる…またお前と熱いデュエルができるって…)」

 

「No.54」を見つめながらアリトの事を考える遊馬…その願いが届く日は…まだ遠い…。

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