転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
『…ありがとう、翠…君の奮闘のおかげで遊海君は危機を脱する事ができたよ』
「まーりん…」
微睡の中…翠に優しげな声の青年…マーリンが声をかける…。
『彼の体にはまだ毒が残っている…けど、不死殺しの呪いが消えた今、少しずつ解毒する事ができるはず…まだ時間はかかるだろうけど…遊海君は必ず目覚めるよ』
「よかった…」
『あの怪人もしばらくは動けないだろう…しっかり休むんだよ』
優しい風が翠を労るように包み込んだ…。
Side飛行船
「くあ〜!3日振りのハートランドだ〜!」
「今回の冒険も大変だったね〜…」
「流石に…少し疲れたぜ、腕が筋肉痛だ…」
ミザエルの遺跡を攻略した翌朝、遊馬一行は久しぶりにハートランドに帰還していた…。
(飛行船のエネルギー充填完了は…明日の予定だ、次の遺跡の前に少し休息しよう)
「ええ、久しぶりにゆっくりお風呂に入りたいわ…」
「その前に…俺達は父さんの病院に行くぞ、母さんとも連絡がつかないし…」
「あっ…!だったらオレ達も!」
「遊馬…お前はさっさと雷落とされてこい」
「あ"っ…やっべぇぇ!!!」
「あっ…!待ってよ遊馬─!?」
アストラルから飛行船の状態を確認した各々は解散する…遊馬と小鳥は姉に謝る為に自宅へ、凌牙と璃緒、アヤカは連絡がつかない翠のいるであろう病院へ、カイトとオービタルも家族の待つ家へと戻って行った…。
Side凌牙
《キュウ…フォーウ……フォ!?フォウ〜!!》
「あれっ…フォウくん!?」
「どうして病院の前に…」
バイクで遊海のいるKC病院に向かった凌牙と璃緒…2人は病院の前で落ち込んでいたフォウを見つけた…。
《フォウ…キュウ〜!》
「フォウ、お前…一人で来たのか?母さんはどうした?」
凌牙はフォウを抱き上げる…フォウは悲しげな瞳で凌牙を見つめている…。
《凌牙、璃緒…病院全体に異常なエネルギーの残滓があります…何かがあったようです…!!》
「っ─!?父さん!!」
アヤカのレーダーが異常なエネルギーを感じ取る…事態を察した凌牙達は慌てて遊海の病室へと向かった…。
「「父さん!!」」
『よく帰った…すぐこちらに来ると思っていたぞ』
《瀬人…!これは、いったい何があったのです!?》
病室に飛び込んだ凌牙達…彼らが見たのは病室に並ぶ2つのベッド、その片方には包帯の取れた遊海が…もう片方には頭や手に包帯を巻かれた翠が寝かされている。
さらに遊海のベッドの近くには疲弊した様子のフレアやトフェニ、メガロックが眠り…翠のベッド近くではソファで眠るウィンダとウェンの姿…そしてその様子を見守るように瀬人が椅子に腰掛けていた…。
『簡潔に言う…バリアンの怪人・ネームレスの襲撃があった』
「アイツが!?」
『落ち着け…翠が起きるだろう、その経緯を話す…まずは黙って聞け…』
ネームレスの襲撃を聞いて声を上げる凌牙…瀬人はそれを窘め、状況を話し始めた…。
……
『……これが、昨夜あった事件の内容だ…翠もとりあえず大事はない、心配するな』
「母さん…本当に、大変な…」
瀬人から昨夜の出来事が語られる、病院を包んだ「血の結界」…翠は居合わせた龍可と共に解決に奔走、元凶たるネームレスとの決闘の末に相討ちに近い形で怪人を撃退した事…。
その後、遊海の精霊達の力を借りて巻き込まれた人々の回復、さらに記憶を一部書き換えるなどなど……その疲労で精霊達もダウンしていたのだ…。
「くそっ…!あの化け物め…!父さん達に追い打ちなんて…卑怯な真似を!!」
《フォウ…キュ〜》
ネームレスの卑劣な作戦に拳を震わせる凌牙…フォウは凌牙の手を舐め、落ち着かせようとする…。
『…間違っても、その表情を翠に見せるな…親というのは子供の笑顔を見るだけで元気になるものだ、それに…悪い知らせだけではない、アヤカ』
《はい…!マスターが受けていた『不死殺し』の呪いが消えています!これなら近いうちに目を覚ますはずです!》
「本当に…!?よ、よかったぁ…」
アヤカの言葉に璃緒は胸を撫で下ろす…全身サーチの結果、遊海は少しずつ快方に向かっていたのだ…。
「ぅ…ん……ここは…」
《キュ!?フォウ!フォーウ!!》
「「母さん!!」」
凌牙達の声が聞こえたのか…翠がようやく目を覚ました…!
「凌牙くん、璃緒ちゃん…おかえり、なさい…ごめんね、ちょっと…無理しちゃった…」
「もう!!心配させないでよ…!」
「本当に…父さんも母さんも、すごい人だぜ…」
弱弱しく子供達に謝る翠…凌牙と璃緒は目を潤ませながら翠の無事を喜んだ…。
Sideout
『チッ…せっかく力を分けてやったのに…これで終わりか?』
『…………』
バリアン世界某所…翠に敗北し、バリアン世界へと撤退したネームレスは回復の為に黒い水晶の中で眠りについていた…ベクターはその様子を呆れた様子で見つめている…。
【ベクター、その怪物は放っておけ…今はな】
『ああ、言われなくてもわかってるさ…他にもやる事はあるからな』
そのまま怪物を見る事もなく…ベクターは姿を消したのだった…。
【AAA…AAAAA──!!!】
『おのれ、この化け物め!!これ以上は好きにさせん!!やれ!「銀河眼の時空竜」!!殲滅のタキオン・スパイラル!!』
なんだろう、この記憶…
『どうする、ナッシュ…!このままでは…!!』
『…ドルベ!メラグ!ベクター!アリト!ギラグ!ミザエル!…お前達の命、俺が預かる!我ら七皇の全力で…あの化け物を打ち倒す!!』
いたいなぁ…
『ぐっ…!これで終わりだ!お前を…封印する!!ランド・チャリオッツ・スラッシュ!!』
【A…AAAAAAAAAA──!?】
いたい…痛い…痛い!私は…ただ、ただ
私を、ひとりに…しないで…
トクン
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