転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
…すいません、モンハン/ライズにどハマリしておりました!
それでは…最新話をどうぞ!
失意の勇士〜支える純真〜
「こら〜!!遊馬!いつまで部屋に引き篭もってるの!?いい加減部屋から出てきなさい─!!……ダメかぁ…」
夕暮れの九十九家に明里の怒鳴り声が響く、いつもの遊馬なら飛び出して来るだろうが…その気配は一切なかった…。
「明里さん…遊馬は、まだ…?」
「ええ、何があったか知らないけど…あの日から1週間、閉じ籠もったきり…小鳥ちゃんが来ても顔も見せないなんて…」
「そう、ですか…」
96との死闘…そしてアストラルが消滅してから1週間が過ぎた、アストラルを失った遊馬は酷く落ち込み…学校も休み続けていた…。
「アストラル…なんで、なんで死んじまったんだよ…!」
夕日に照らされた部屋…その部屋に毛布に包まった遊馬の呟きが小さく響いた…。
「…遊海、何故お前はいつも…いつもいつも面倒事にばかり巻き込まれるのだ…!」
「瀬人さん…」
同じ頃、KC病院の地下にあるシェルター兼特別治療室…そこで再び全身管だらけの状態で眠る遊海…その傍らには翠と瀬人の姿があった。
No.96によって連れ去られ、カオスによる攻撃を受けた事で好転しかけていた遊海の容態は悪化…危篤状態のまま生死の境を彷徨っていた。
そして2度の襲撃を受けた事を重く見た瀬人によって遊海の身柄は地下に隠されたのだ…。
「…血清完成のメドがようやくついたというのに…!!負けるな…!遊海!バリアンの毒などに負けるな!!」
瀬人は眠り続ける遊海に声をかけ続ける、彼は信じ続けていた…英雄の復活を…。
「遊海さん…うっ…」
「翠!!…ひどい熱だ…お前達は病気にはならないのではなかったのか!?」
突然、遊海の看病を続けていた翠が椅子から崩れ落ちる…すぐに瀬人が支えたが…翠は酷く衰弱してしまっていた…。
《…翠の精神に強い負荷が掛かっています…無理もありません、マスターが昏睡している中で命懸けの決闘に怪我……いくら体が強くても、精神が弱ってしまったら…》
翠は決して鋼の精神を持っている訳ではない、愛する者を助ける為に2度に渡る決闘を繰り広げ、怪我を負い…さらに遊海が眠り続ける姿を見れば…そのストレスは相当なものになっているだろう。
「くっ…待っていろ、すぐに部屋を手配する…!少し休んでいろ!」
「でも…遊海さんが…また襲われるかもしれない…!私が、そばにいないと…!」
さらに…翠は96の襲撃から1週間、ずっと遊海を守り続けていた…ベクターや姿を見せないネームレス…その襲撃を警戒し続けていたのだ…もちろん、アヤカや他の精霊達もいるが…遊海の衰弱によって力を発揮できなくなってきているのだ…。
《現在、マスターの肉体は高濃度の毒とカオスの力に蝕まれ続けています…「不死殺し」の呪いが消え、解毒に集中できると思った矢先の襲撃……マスターの体は衰弱しきっています、次に何かがあれば…私でも命の保証はできません…!》
「病院の警備体制は強化している…だが、空間転移などやられては…それも無駄か…!」
バリアン達は瞬間移動を可能としている、いくら周りの警備を固めても遊海の近くに誰かが…腕の立つ者がいなければ意味がないのである。
「だったら…ここに適任がいるぜ!」
「あっ…十代、くん…!」
病室に響く快活な青年の声…そこにいたのはハートランドへと帰還した遊城十代だった。
「遅くなってすまねぇ…遊海先生が大変だ!って遊星から聞いたんだ…まさか、オレがハートランドを離れたその日に襲われてたなんて…!」
十代は遊海の指示で世界中に散らばっている「伝説の決闘者」の子孫達の協力を得る為、人間界と精霊界を行き来しながら世界中を回っていた…そのせいで最後まで連絡が取れていなかったのだ…。
「遊海先生はオレが守る…だから、翠さんは少しでも休んでくれ…!」
「ありがとう…十代君…お願い…ね……」
「……バリアンめ、許さんぞ…!俺の友を傷つけおって……!その報い、必ず受けさせてやる…!!」
眠ってしまった翠を抱き上げながら…瀬人はバリアンへの怒りを燃やしたのだった。
「…先生、アンタはいつもそうだよな…誰よりも戦って、戦い続けて…ボロボロになってさ…それで、いつも翠さんが泣いてるんだ……早く、目を覚ましてくれよ…遊海先生…!!」
瀬人と翠の去った病室で十代は痩せ細った遊海の手を握り締めた…。
Sideベクター
『おい、ドン・サウザンド…なんなんだぁ?このボロ城は…?』
【ここは我が王宮、バリアン世界を統べる者のみが入れる神聖な場所だ…】
ベクターはドン・サウザンドに導かれ、バリアン世界の聖域…ドン・サウザンドの居城を訪れていた…。
『こんな場所にいったい何が……アレは!?』
半ば仕方なくドン・サウザンドの城を訪れたベクター…彼が城の中心で見つけたのは…膨大なカオスの力の塊だった…。
【フハハハ…!ベクターよ、これは「
『…何故、アンタの所へ…?』
【それは
『なんだと!?』
カオスの塊の正体は「No.96」の成れの果て…その真の姿はドン・サウザンドの分かたれた力の一部だったのだ…!
【遥か昔、アストラルと戦いし時…我の放った力が奴の身体に残った…!故に、96はナンバーズでありながらもアストラルは相容れぬナンバーズとなったのだ…!】
『なるほどな…』
【さぁ…手に入れるのだ…封印のナンバーズを!!】
『………!』
ドグン!
『うがっ…!?がああああああ─!?!?』
ドン・サウザンドに言われるままに96のカオスに触れるベクター…その身体を激痛と共にカオスの力が駆け巡った。
『はぁ…はぁ…!なんだ、この力は…!!これが封印のナンバーズの力…!』
激痛に耐える事しばらく…ベクターはカオスの力を掌握する、その力は凄まじく…ベクターは自分の力が格段に上昇した事を実感した。
『これならば今すぐ遊馬や遊海の野郎をぶっ潰【焦るな、ベクター】うがっ…あああああああ!?!?』
力を手に入れた全能感に酔いしれるベクター…だが、突然その体から闇が溢れ出し…その闇は玉座へと吸収される。
『あがっ…!?ゴフッ!!(ドン・サウザンドが…
突然の脱力感に崩れ落ちるベクター…その理由はベクターの『心臓』となっていたドン・サウザンドがベクターから離れたからだった…!
【ベクターよ、まだその時ではない…我らには他にやるべき事がある…!】
『やるべき事、だと…!』
黒き影となって玉座の前に揺らめくドン・サウザンド…彼が腕を振るうと…ベクターの背後に謎の機械が現れた…!
【見るがいい…これが我の作り上げていた人間界とバリアン世界を融合させる『装置』だ…!】
『なっ…!?そんな事が、できるのか…!?』
【ああ、できるとも…それは───】
『っ─!?』
ドン・サウザンドはベクターに自身の計画を語る…それはあまりにも大きく、大胆な作戦だった…!
『…確かに…!そうすりゃ人間界とバリアン世界を融合できるかもしれねぇ…だが、何故そんな事を…?』
【力だ…!我にはもっと力が必要なのだ!!アストラル世界を滅ぼす為の力が!!】
『っ…!』
ベクターはドン・サウザンドの気迫に圧倒される…そこにあったのは普段の全てを見透かしたような狡猾な神の姿ではなく、アストラル世界へと凶気を向ける『復讐者』の姿だった…!
【人間世界の悪を増幅し、バリアン世界と同一化する事で我が力は飛躍的に増大する…!だが…それをするにはこの『装置』を量産せねばならん、そしてその為には莫大なエネルギーが必要なのだ…!】
『その為に96の力が必要だった訳か…』
【我はしばらくこの作業に専念する、だが…貴様にはまだやってもらう事がある…】
『おい!?ちょっと待て!今のオレは…!』
【わかっておる、我と貴様は一心同体…この城を離れる事はできぬ…その代わり、このナンバーズを授けよう…人を使い、良からぬ事をしでかすのは…お手のものだろう?さぁ、玉座へと上がって来い…】
『ちい…!』
ドン・サウザンドに言われるままにベクターは玉座へと向かう…だが、ドン・サウザンドが体内から抜けた事でベクターは満足に動く事ができず、ヨロヨロと玉座に座り込む。
『これは…「No.1」だっ…(ギュルン!)なにっ!?な、何をする!やめ…ぐあああ──!?』
ドン・サウザンドに渡されたナンバーズに気を取られた瞬間、ベクターは玉座へと身体を縛り付けられてしまった…。
Side out
「う…うぅ…グスッ…アストラル…!」
夜…屋根裏部屋のハンモックで遊馬は泣き続けていた、アストラルの死を受け入れられない遊馬に普段の明るさはなかった。
「やっぱり、姉ちゃんの言う通り…デュエルなんかしなきゃよかったんだ…!こんな…悲しい思いをするぐらいなら!!」
悲しむ遊馬の目に映ったのは机の上に置きっぱなしになったデッキ…そして、アストラルが消えた後も遊馬の手元に残った「No.」…遊馬は全ての元凶とも言えるナンバーズを乱暴に掴む…。
「こんなモノ…こんなモノなんてなければ─!!」
窓を開けた遊馬はナンバーズを投げ捨てようとする…投げた後にどうなるかはわからない、その後を考える余裕は今の遊馬にはない…。
─遊馬、ナンバーズを頼んだぞ…─
「っ…!」
その時、遊馬の脳裏に浮かんだのはアストラルの最期の言葉…穏やかな表情で遊馬に全てを託した相棒の顔だった。
「アストラル…そんな事言われたってさ…!どうすりゃいいんだよ…!?」
アストラルの言葉を思い出した遊馬は再び泣き崩れた…。
Side???
『…やはり、アストラルの消失は事実か…』
『そうなると…バリアンは好機と見て、攻撃を激しくする可能性が高いな』
『はい…遊海さんもまだ目を覚ましていないと父様が言っていました……このままでは…』
『…我々が動く時が来たようだ』
ハートランドに向かう一艇の潜水艦、その中で3人の男達が言葉を交わす…全ては自分達を救ってくれた恩に報いる為に…。
『遊馬の事は頼んだぞ…Ⅲ』
『ラジャー!』
純真なる決闘者は兄の言葉に自信を持って応えた…!
Sideout
コンコンコン…
「…お邪魔します」
「…小鳥か」
「璃緒さんのお見舞いに…お花を持ってきたの」
「わかった…そこに置いといてくれ」
小鳥はハートランド病院に入院する璃緒のお見舞いに訪れていた…ベッドの横には疲れた様子の凌牙の姿もある。
翠は遊海につきっきりになっており…璃緒の世話は凌牙とウィンダ達が行っていた…。
「あのね、シャーク…アストラルが死んじゃってから…遊馬がずっと落ち込んでて…」
「……悪い、今の俺は遊馬の話をできる気分じゃねぇ…」
「そ、そうだよね…璃緒さんも遊海さんも大変な時に…ごめんなさい…!」
凌牙は小鳥の顔を見る事なくそう伝える…実の妹と養父が倒れてしまっている凌牙には…遊馬の事を気にする余裕はなかった。
「今日はこれで……璃緒さん、また来ます」
「……今の俺に、遊馬の奴に何が言ってやれるんだ…!!俺は…俺はもしかして…!クソッ!!」
小鳥が部屋を出た後、凌牙は頭を抱える…自身に対する「疑念」が凌牙を苦しめていた…。
「…シャークもダメかぁ…カイトも連絡つかないし…どうしたら遊馬を励ませるんだろう…?」
ハートランド病院を後にした小鳥は悩んでいた、アストラルを失った事で悲しみに打ちひしがれる遊馬…彼女は少しでも遊馬を励ましたいと考えていたのだ。
《フォウ…フォーウ!》
「あっ…フォウくん!どうしてこんな所にいるの?」
ため息をつく小鳥…その足元に見慣れた白い猫、フォウが現れる…どうやら散歩の途中のようだった。
「フォウくん…一緒に遊海さんのお見舞いに行く?もしかしたら会えないかもしれないけど…」
《キュウ…フォウ!》
「…わかった、一緒に行きましょう!」
小鳥の言葉に頷くフォウ…そんな彼を抱き上げた小鳥は遊海の入院する病院へと向かった…。
Side翠
「ん…ぅ……ここは…」
《目が覚めた?…気分はどう?》
「ウィンダ…わたし、どれくらい寝てた…?」
《ちょうど丸1日くらいかな…ちょっと頑張り過ぎだね…》
疲労で眠っていた翠が目を覚ます、そこは瀬人の用意した病院の一室だった。
《遊海の容態は変わってないよ…少し、苦しそうだったけど…》
「……ウィンダ…私、悔しいの…!遊海さんが苦しんでるのに…私は遊海さんに何もできないなんて…!!」
《そんな事ないよ…!翠があの怪物の鎌を壊せなかったら状況はもっと悪くなってた!だから泣かないで…!》
ベッドに横たわる翠は弱音と共に涙する…精霊の力による治癒もうまく効かず、遊海は苦しみ続けている…見ている事しかできないという無力感と焦りが翠を追い詰めていた…。
「私が、もっと強かったら…あの怪物の本性を見抜けていたら…!!」
《翠…》
翠は布団を握りしめる…そんな時だった。
コンコンコン
《あれ?誰だろう…?は〜い》
「あっ、ウィンダさん!翠さんは大丈夫ですか…?」
《小鳥ちゃん…とフォウくん!?また勝手に来ちゃったの?》
《フォウ!》
病室に響くノック…部屋を訪れたのは遊海の見舞いに来た小鳥とフォウだった…。
「瀬人さんから翠さんが過労で倒れたって聞いて…」
「わざわざ来てくれてありがとう…私はもう大丈夫よ!」
「(翠さん…無理してる…遊海さんの事が本当に心配なんだ…)」
ベッド近くの椅子に座った小鳥は目元が赤い翠を見て、その苦労を感じ取っていた…。
「…小鳥ちゃん、遊馬君の事が心配?」
「えっ…?」
翠に心中を見抜かれた小鳥は驚いた表情を浮かべる。
「春さんから聞いてるわ…アストラルがいなくなってから、ずっと引き篭もってるって……遊馬君にとってアストラルはかけがえのない存在だったから……小鳥ちゃんは遊馬君を励ます相談をしに来たんでしょう?」
「翠さん…読心術も使えるんですか…?」
「ふふっ、昔はデュエルアカデミアの寮母さんをしてたから…なんとなくわかるのよ?」
翠は小鳥に優しく笑いかけ、頭を撫でる…。
「遊馬君には心を整理する時間が必要なの…今は待ってあげて…心の整理ができたら、きっと出てきてくれるはずだから…」
Sideバリアン
《ハーエバーニング!!偉大なるベクター様!お呼びと聞いて参上し……その姿はどうなさったのですか!?》
ドン・サウザンドの居城に軽快な声が響く、それは蝿の姿のMr.ハートランドのもの…ベクターに呼び出された彼が見たのは玉座に禍々しい鎧のような拘束具で固定されたベクターの姿だった…。
なお、ベクターはとてつもなく不機嫌な様子である。
【遅いぞ】
《ベ、ベクター様何を─!?》
苛ついた様子のベクターは乱雑にMr.ハートランドを掴み、握り締める…!
ギィン─!!
《み、漲る─!?》
『は…!?こ、これは…!体が…
ベクターに握り潰されたかに思えたハートランド…だが、彼はバリアンの力を注ぎ込まれ…人間の体を取り戻していた…!
『あ、ありがとうございますベクター様!!この御恩は一生忘れません!!』
【そう思うなら…オレの為に少し働いて貰おうか…!】
『おおっ…!!なんなりとお申しつけください!!』
人の姿に戻れたハートランドはベクターに忠誠を誓う…その様子を見たベクターは笑みを浮かべ、ハートランドにあるモノを渡す。
【コレを使って…九十九遊馬から『No.』を奪ってこい】
『こ、コレは…「No.1」…!?わ、私の為にこんな貴重なモノを─!?』
ベクターはドン・サウザンドから渡されたナンバーズをハートランドに預ける。
【フッ…そして、部下としてこいつらを付けてやる!見るがいい…!】
『こいつら…?』
そしてベクターは玉座の足下に3人の人物を呼び出す…!
「クックックッ…懐かしいなぁ…!『闇デュエル界の四悪人』と言われた俺達が…またこうして組む事になるとはなぁ!」
『蝉丸…!という事は…!』
フードの男の1人がハートランドに喋りかける、それはスキンヘッドの大柄の不良男…Mr.ハートランドの旧知の仲間であり、その言葉でハートランドは残り2人の正体を察した。
『ベクター様…!必ずや貴方様のご期待に応えて見せましょう…!!』
【ククッ…楽しみにしているぞ…!】
ベクターに跪いたハートランドはフードの男達と共に人間界へと向かった…。
Sideout
「『ハートランドシティでデュエリスト連続記憶喪失事件発生!』『人気の無い路地で連続7件!』…か、なんだかキナ臭いぜ…」
《バリアンの奴らが動き出したみたいだね…でも、無関係の奴を襲うって…いったい何を考えてるんだ…?》
遊海の守りについている十代がデュエルニュースを見て険しい表情を見せる、それはハートランドで発生している不可解な事件についての記事だった。
「バリアン…ベクターが遊馬君を倒す為の刺客を送り込んで来たのよ…!」
「翠さん!体調は大丈夫なのか?」
「うん、ありがとう…寝たらスッキリしたわ!」
《フォウ!》
ネット記事を見つめる十代に肩にフォウを乗せた翠が声をかける。
《バリアンの刺客…翠は当然知ってるよね?》
「ええ、2人は『闇デュエル界の四悪人』の事を知ってる?」
「闇デュエル界の四悪人…たしか…?」
《違法改造したデュエルディスクを使って悪事を働いてた奴らだったね?名前は覚えてないけど…詐欺師・情報屋・ギャング・用心棒の4人だったかな?》
「ああ〜いたな!そんな奴ら…でも、だいぶ前に警察が詐欺師以外の奴らは捕まえたんじゃなかったっけ…?」
翠の問いかけに十代とユベルが答える、『闇デュエル界の四悪人』は「アーククレイドル事件」以後、長らく出なかった規模の大きいデュエル犯罪者のチームだった。
「情報屋」が金持ちの情報を探り、「詐欺師」が取り入り、金を奪う…仮に気付かれたとしても「ギャング」と「用心棒」が追手を蹴散らし、姿を晦ます事で裏の世界で荒稼ぎをしていたのだ。
…だが、悪事は長く続かない…警察とKCの協力体制によって「詐欺師」以外のメンバーは逮捕され、投獄されたはずなのだ…。
「今回の事件の犯人は『ギャング』蝉丸、四悪人はバリアンに魂を売って…ベクターの手先になったのよ」
「なるほどな…オレはどうすればいい?その蝉丸って奴を倒せばいいのか?」
「いいえ、蝉丸を倒すのは…遊馬君達よ」
「なんだって…?」
翠の思わぬ言葉に十代は驚く…遊馬の身に起きた悲劇はアヤカから聞かされている、アストラルを失った遊馬が戦える状態とは…十代には思えなかったのだ。
「…遊馬君は深く傷ついてる…でも、バリアンは待ってはくれない………何があっても、遊馬君は立ち上がらなきゃならないのよ…アストラルの為にも…!」
《フォウ、フォーウ…》
翠は病室の時計に目を向ける…その時刻は夕暮れを示していた…。
「それよりも…私達が気を付けなきゃならない事があるわ…!」
Side遊馬
「…アストラル…」
夕暮れの九十九家…遊馬は自室のベッドの上でぼんやりと天井を見ていた。
…引き篭もってしまった自分を心配し、小鳥や鉄男達ナンバーズクラブの仲間達は何度も九十九家を訪れてくれている…だが、未だに遊馬は心の整理がついていなかった…。
『ハーエバーニング!!久しぶりだなぁ?九十九遊馬…!』
「っ─!?Mr.ハートランド!?生きていたのか!?」
遊馬の部屋に響く聞き覚えのある掛け声…その正体は極小のハエ型ロボットから映し出された立体映像として現れたMr.ハートランドのもの…遊馬はベッドから飛び起き、ハートランドを睨みつける…!
『貴様らのせいで異世界に落とされた私だが…ベクター様の力によって蘇ったのだよ!』
「ベクターの…!?」
ハートランドの言葉に遊馬は警戒を強める、ベクターは『悲鳴の迷宮』以後遊馬達の前に姿を現す事はなかった
…だが、ベクターはバリアン世界で暗躍を続けていたのだ…!
『ククッ…!これを見るがいい!!このガキ共の事は知っているはずだなぁ?』
「み、みんな!?」
ハートランドが腕を広げる、するとその足元に精気を失った表情で座り込む小鳥・鉄男・徳之助・等々力・キャッシーの姿が映し出された…!
『どうやら彼らは貴様を励ます為に「デュエリスト連続記憶喪失事件」に首を突っ込んだようだ…!事件を自分達だけで解決すれば貴様が喜ぶと思ったようだねぇ…!お仲間を返して欲しくば…ナンバーズを持ってハートランド記念館に来るがいい!…おっと、メタルナイトや白波翠にこの事を話したら…お仲間は…くふふ…!』
「っ─!!みんな!待っててくれ!!!」
下衆な表情を浮かべるハートランド…遊馬はナンバーズとデッキを引っ掴み、ハートランド記念館へと駆け出した…。
『ハハハ…!よく来たなぁ、九十九遊馬…!』
「ハートランド…!!」
夜の帳の落ちたハートランド記念館…その中庭で遊馬は巨大な自身の銅像の前に立つMr.ハートランドと睨み合う…!
「小鳥達は何処だ!?」
『フッ、彼処にいるよ…!』
「小鳥…みんな!!」
ハートランドが顎で中庭の壁近くを示す…そこには仲間達がぼんやりとした様子で座り込んでいる…。
「テメェ…みんなに何をしやがった!!」
【ククク…!この俺が
「っ…!?お前…何者だ!?」
ハートランドとは別の声を聞いた遊馬は視線を上げる、ハートランド像の台座…そこにスキンヘッドに趣味の悪い金のアクセサリーを付けた不良が座っていた…!
【俺の名は蝉丸…そいつらの記憶を返して欲しかったら、ナンバーズを賭けて俺とデュエルして貰おうか…?と言っても、結果は分かりきってるがなぁ…!】
「くっ…」
蝉丸は自信ありげに遊馬を見下ろす…!
【お前はナンバーズを奪われ、仲間も救えず…惨めに泣き叫びながら…お前は負けるのさ…!】
「(ナンバーズとみんなの記憶を賭けた
命を賭けたデュエルを前に遊馬の心は揺れていた…遊馬は何度も命と誇りを賭けたデュエルをしてきた、しかし…その傍らにはいつもアストラルがいた。
「アストラルがいない」…その事実が遊馬の闘志を…「かっとビング」を弱らせていたのだ…。
【さぁ…どうする?】
『フッ…蝉丸、そんなに子供を追い詰めるんじゃあない…』
蝉丸を一旦制止したハートランドが遊馬へと歩み寄り、悪魔の囁きを口にする。
『よく考えるんだ…そもそもナンバーズを巡る争いはアストラル世界とバリアン世界の問題だ、つまり…人間のキミには関係ないはず…しかも、アストラルがいなくなった今…もうキミにナンバーズを守る意味はない!』
「………!」
ハートランドの言葉に遊馬は拳を握る…!
『私は善意で言っているんだよ?ナンバーズさえ渡してくれれば…今後、キミたちには手を出さないと約束しよう…もちろん、仲間の記憶も返そう……白波遊海の毒を消してやってもいい!なんならキミの中の
ドクン!
「ふ、ふざけんじゃねぇぇ─!!!」
『なにっ─?!』
ハートランドの悪魔の囁きを聞いた遊馬から凄まじい覇気が溢れ出す…その気迫はハートランドが臆するほどだった…!
「確かに、アストラル世界だのバリアン世界だとかはオレには関係ねぇ…けど!!ナンバーズはアストラルがオレに
『ぐっ…!?』
涙を溜めながら遊馬は魂の叫びを上げる、ナンバーズは遊馬にとって『友情の記憶』そのもの…アストラルや仲間達と戦い抜いた希望の証…それを簡単に手放せるほど、遊馬は弱い男ではない─!!
『その通りだ、遊馬!!』
『危なっ…!?』
遊馬が決意を叫んだ瞬間、中庭に凛とした声が響き、ハートランドの足元に剣が突き刺ささり、ハートランドは素早く後ろに下がる…そして、遊馬を守るように1人の少年が現れた…!
『貴様は…!』
「Ⅲ!!」
『久しぶりだね、遊馬…君の決意、確かに聞かせてもらったよ…!』
遊馬達の前に現れた人物…それは遊馬の友である「純真のデュエリスト」…Ⅲことミハエル・アークライトだった。
『守るべきものの為に闘う気持ちがあるのなら…僕は君の剣となり、君を守る盾となろう!!』
「Ⅲ…なんで…?」
遊馬は突然現れたⅢに問いかける…。
『WDCの戦いの後、僕らは兄様を中心にバリアン世界とアストラル世界の研究をしていた…その中で君がアストラルを失った事知ったんだ…!遊馬、君は僕の一番大事な友達だ…その悲しみを放ってはおけないよ!』
「Ⅲ…ありがとう…!」
遊馬の危機に駆け付けたⅢ…彼は遊馬を助ける為に、再び戦いに臨む…!
『ハハハハハ…!!ちびっ子パパの三バカ息子が来たところで…何ができる!!』
『お笑いメガネのハエを潰す事くらいできるさ…Mr.ハエランドさん?』
『っ〜!?可愛い顔して減らず口を!!これでも喰らえ!!』
ギィン─!
乱入者を排除する為、ハートランドは眷属たるハエの大群を遊馬達に差し向ける!!
「
キィン─!
『馬鹿な…!?何故紋章の力を使える─!?』
遊馬達に殺到するハエの大群…しかし、それはⅢの右腕に装着されたブレスレットから放たれた『紋章』の力によって全て叩き落される!
『兄様が開発したこの『ブレスレット』には父様が再び分け与えてくれた『紋章』の力が科学の力で封じ込めてある!そのおかげさ!』
「分け与えてくれた、力…トロンが…!」
Ⅲはブレスレットを掲げながら語る、『紋章』の力は直接分け与えれば肉体への負担も大きい…だが、ブレスレットへと封じ込める事でリスクを最小限にその力を発揮できるようにしたのだ。
『…遊馬、僕じゃアストラルの代わりにはならないだろうけど…奴らとのデュエル、僕も手を貸すよ…!かつては君と命を賭けて戦った僕だけど…今度は仲間として、力を合わせて戦おう!!』
「仲間として、力を…!」
遊馬を助ける為に駆け付けたⅢ…その言葉を聞いた遊馬はある決意を固めた…!
「Ⅲ、これを受け取ってくれ…!」
『これは…「マシュマック」に「アトランタル」…!』
遊馬がⅢに差し出したモノ…それはかつてⅢから託された2枚のナンバーズだった…!
「アストラルはオレにナンバーズを託してくれた…きっと、『ナンバーズを正しく使え』って意味だったんだ…だから、オレはこの力を仲間と分け合い…共に戦う!!」
『遊馬…わかった…!』
「これが正解かはわからねぇ…でも、これが…今のオレの答えだ!!」
遊馬とⅢは手を取り合い…その決意を固めた…!
【どうやら…話は決まったらしいなァ…!!】
事態を静観していた蝉丸が遊馬達の前に飛び降りる…!
【構わねぇ…2人纏めてかかってきやがれ!!】
『その余裕…後悔する事になるよ!』
「いくぜ…Ⅲ!!」
『ああ!!』
遊馬達を挑発する蝉丸…ナンバーズと仲間を守る為、遊馬とⅢはバリアンに挑む!!
「『【デュエル!!】』」
デュエルダイジェスト 遊馬&Ⅲ対蝉丸
変則タッグデュエル
『蝉丸、貴様の晴れ舞台に私が花を添えてやろう…我が眷属よ、悪の紋章を大地に刻め─!!』
ギィン─!!
「な、なんだこれ…!?」
ハートランドの言葉と共にⅢの蹴散らしたハエが禍々しい光を放ち…中庭にバリアンの紋章が刻まれる…!
『この中ではデュエル開始と同時に蝉丸はお前達2人のライフの半分を自分のものにできる…!』
『っ─!卑怯だぞ!ハートランド!!』
『卑怯で結構…!だが、問題はあるかね?』
『「くっ…!!」』
下衆な笑みを浮かべるハートランド…その視線の先には囚われた仲間達がいる、遊馬達はその条件を飲むしかなかった…!
追加ルール 『バリアンの紋章』
蝉丸LP4000→8000
遊馬LP4000→2000
ⅢLP4000→2000
【ガハハハ…きたきたぁ…!!力がみなぎるぜぇぇ─!!】
「っ─!!あれが、奴の本当の姿か…!」
遊馬達から力を吸い取った蝉丸はバリアンとしての姿…蝉怪人の本性を現した…!
【ガハハハ…!先攻は貰うぜ…俺のターン!】
先攻を取った蝉丸はドローカードを見て邪悪な笑みを浮かべる…。
【俺はまどろっこしいのはキライでな…!このタッグデュエルは
『くっ…!?何を勝手に!!』
傍若無人に『俺ルール』を適用する蝉丸…その先手とは…?
【いくぞ…!俺はレベル3の『夢蝉スイミンミン』と2体分となった『オイリーゼミ』でオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!現われろ!
『「No.3」だって!?』
蝉丸が呼び出そうとするナンバーズの数字を見てⅢが驚愕する、一桁台のナンバーズである事もそうだが…自身が名乗る数字と同じというのは…なんという偶然だろうか…。
03
【そうよ…!これが貴様らを葬る為にベクターサマから賜ったナンバーズ!!Ⅲ…!貴様がどう名乗ろうと、真の『3番』はこの俺様のナンバーズだ!!長き眠りから目覚め…地獄の凱歌を高らかに歌え!!『地獄蝉王ローカスト・キング』!!】
「あれが奴のナンバーズ…!でも、守備表示…?」
光の爆発と共に巨大な蝉のナンバーズが現れた…だが、1ターン目から攻撃可能のはずなのに守備表示の召喚だった…。
『遊馬、油断は禁物だよ…きっと、何かを企んでいるはずだ』
Ⅲは油断なく蝉丸を睨みながら…遊馬の事を考える…。
『(遊馬、君にとってアストラルのいないこのデュエルは大きな試練になる…これを共に乗り越え、君が立ち直る姿を見る為に…僕はここに来たんだ…!!)』
傷心の遊馬を心配し…そして支える為にやって来たⅢ…アストラルのいない決闘に遊馬は挑む…!
「オレのターン!ドロー!……このカードは……!」
自分のターンとなり、カードを引く遊馬…彼が引き込んだのは速攻魔法「ダブル・アップ・チャンス」…遊馬とアストラル、そして「希望皇ホープ」の最強の切り札と言ってもいいカードだった…。
「(このカードは…オレとアストラルの…思い出のカード……見ててくれ、アストラル…!オレは…前に進んでみせる…!!)」
脳裏に過ぎるアストラルとの思い出…それを糧として遊馬はバリアンに立ち向かう!
39
「現われろ!『No.39』!『希望皇ホープ』!!」
遊馬はエースたる希望の戦士を呼び出す…そして、その手札には「勝利の方程式」ともいえるカードが揃っていた!
「オレは永続魔法『
【『ダブルアップチャンス』…?】
本来ならば手札から伏せるカードは相手に公開しないもの…だが、その行動には意味がある…!
「そして『速攻予約特典』の効果で伏せたカードはこのターンに発動でき、その速攻魔法の効果を受けたモンスターの攻撃力はバトルする時、2倍となり、相手モンスターの守備力を攻撃力が上回った時、その数値分の貫通ダメージを与える!!」
『(上手い!遊馬は「ホープ」と「ダブルアップチャンス」のコンボをさらに強化した…!これなら蝉丸に7500の大ダメージを与えられる!!アストラルと共に歩む事で君は…決闘者として大きな成長を遂げていた…!)』
遊馬の意図を察したⅢは驚嘆する…彼が知るWDCの戦いよりも、遊馬は確実に強くなっていたのだ…!
「バトルだ!『ホープ』で『ローカストキング』を攻撃!そして『ホープ』の効果発動!ORUを1つ使い、自身の攻撃を無効にする!ムーン・バリア!!」
【そうはいくかよォ!!この瞬間、「ローカストキング」の効果発動!ORUを1つ使い、相手モンスターが効果を発動した時!その効果を無効にする!メモリー・シャット!!】
「なにっ!?」
ホープが効果を発動した瞬間、ローカストキングが凄まじい鳴き声を発する…その音波によりホープの効果が不発となる!
【これでお前の使った効果は無効となった!さらに効果には続きがある!『ローカストキング』の守備力は500アップだ!!】
「しまった…!守備力3000!!」
『守備表示だったのは…これを狙っていたのか!!』
Ⅲは蝉丸の行動の意味を理解した…攻撃を誘うような言動はローカストキングの効果を発揮する為の作戦だったのだ…!
【残念だったなァ…!バトルが無効にならなかったから『ダブルアップチャンス』は発動しねぇ!よって攻撃力はそのままでバトルは続行!ダメージを喰らいな!!】
「ッあああ…!」
『遊馬!!』
「大丈夫だ、これぐらい…!!」
ホープの攻撃は蝉の堅牢な甲殻に阻まれ、反射ダメージがリアルダメージを伴って遊馬を傷付ける…!
【無駄にライフを失ってご愁傷サマだなァ…!】
『所詮トンマはトンマ…アストラルがいなくてはただの…ゴミデュエリストに過ぎないって事だな!ハハハハ!!』
まんまと策に嵌った遊馬をハートランドと蝉丸は嘲笑った…。
『(遊馬…君は1人じゃない…!アストラルを失った今、今まで育んできた『絆』がきっと大きな力となる…!それを僕が気付かせる!!)』
失策を悔やむ遊馬をカバーする為にⅢは友情の力を開放する!
33
『現われろ!「No.33」!「先史遺産─超兵器マシュ=マック」!!』
Ⅲは先史遺産のエースとも言えるナンバーズ…巨大な空中遺跡を呼び出す!
【ハッ…!バカでかいだけのガラクタナンバーズに何ができる!!】
『ガラクタかどうか…その目で見るといいさ!僕は永続魔法「先史遺産─ピラミッド・アイ・タブレット」を発動!』
マシュマックを侮る蝉丸…彼に「先史遺産」の力を見せつける為、Ⅲはさらなる一手を打つ!
『このカードは自分フィールドの「先史遺産」モンスターの攻撃力を800アップする!この瞬間!「マシュマック」の効果発動!フィールドのモンスターの攻撃力が変動した時、ORUを1つ使い!その数値分のダメージを相手に与える!!インフィニティ・キャノン!!』
「待てⅢ!『ローカストキング』の効果が─!?」
Ⅲの背後に現れたウジャト眼を刻んだ石版がマシュマックに力を与え…マシュマックは無数の砲台を出現させる…だが、それは…!
【甘いんだよ!『ローカストキング』の効果発動!ORUを1つ使い、『マシュマック』の効果を無効にし!自身の守備力を500アップする!】
『大丈夫…!遊馬がフィールドに残してくれたカードが僕を勝利に導いてくれる!!』
蝉王の音波がマシュマックの効果を無効化する…しかし、それはⅢの狙い通りだった…!
『僕は永続魔法「速攻予約特典」の効果発動!僕は速攻魔法「石の心臓」をセット!バトルだ!「マシュマック」で「ローカストキング」を攻撃!』
【はぁ!?今の『ローカストキング』の守備力は3500!攻撃力3200の『マシュマック』は返り討ちだ!!】
マシュマックが裁きの稲妻を放つ…しかし、再び堅牢な甲殻が攻撃を跳ね返し、Ⅲにダメージを与える!
『ぐっ─!!』
「Ⅲ!!ダメージを受けると分かってるのに、なんで…!?」
『心配させてゴメン…この為さ!!速攻魔法「石の心臓」発動!!このカードは先史遺産モンスターがバトルで相手モンスターを破壊できなかった時、そのモンスターはもう一度攻撃できる!さらに!「速攻予約特典」の効果で「マシュマック」の攻撃力は2倍の6400となる!!』
それはまさに「肉を切らせて骨を断つ」一撃…Ⅲはこの一撃を狙っていたのだ!
『「マシュマック」!もう一度「ローカストキング」を攻撃!ヴリルの火!!』
裁きの炎がローカストキングに降りかかる─!
【チィィ…!!させるか!!永続罠『空蝉幻身』を発動!自分の昆虫族モンスターをバトルでの破壊から守る!!】
『なにっ!?だけど…ダメージは受けて貰う!!』
【があああっ!?】
ローカストキングは炎が直撃する寸前、幻影を囮として回避するが…蝉丸に2900の大ダメージを喰らう!
『思い知ったか!これが共に戦う…仲間の力だ!!』
Ⅲは遊馬との絆の力に胸を張った…!
【ガキ共め…!俺を本気で怒らせやがったな…!!許さねぇ!!オレのターン!!】
大ダメージを受けた蝉丸は怒りを露わにしながら反撃を狙う…!
【クソガキ共め…たっぷり鳴かせてやる!!俺は『ローカストキング』を攻撃表示に変更!そして『空蝉幻身』のさらなる効果発動!『ローカストキング』が攻撃表示になった事でその守備力を攻撃力に加える!攻撃力4700だ!!】
『なんだって!?』
【さっきの借りを返してやる…と、言いたいが…まずは確実に潰せる方からだ!!俺は『ローカストキング』で効果が無効になっている『ホープ』を攻撃!】
「やべっ…!?」
遊馬は防御カードを伏せていない…それを見ていた蝉丸は遊馬へと狙いを定める…!!
『そうは、させない─!罠発動!「オリハルコン・ミラージュ」!相手の攻撃対象を自分の先史遺産モンスターに変更する!お前の相手は…僕だ!!』
「Ⅲ!!」
ホープの姿が煙幕に隠れる…そしてローカストキングの攻撃がマシュマックを粉砕した…Ⅲの残りライフは…僅か200…!
「Ⅲ!大丈夫か!?どうして…!」
『僕は大丈夫…!僕は君の剣となり、盾となる…!』
捨て身で遊馬を庇い、満身創痍となったⅢ…その姿を蝉丸は嘲笑う…!
【仲間を守ったつもりかもしれねぇが…これでテメェらの負けは確定したぜ…!!永続罠『セミ・ファイナル』発動!相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、次の自分のターンにこのカードを墓地におくる事でその戦闘ダメージ分のダメージを相手に与える…!つまり、次のターンがくればお前らは1500のダメージを受けて負けるのさ!!】
『「くっ…!」』
それはダメ押しの一手…遊馬達に残された猶予は…2ターン…!
Side遊馬
「(次の奴のターンが来たら、オレとⅢは負ける…!!)オレのターン…ドロー!!」
遊馬は追い詰められながらカードを引く…残された手札は3枚、ライフは1500…頼みの綱である「RUM」は無く、「ホープレイ」へのエクシーズチェンジもできない…しかし…勝利への道がある事に遊馬は気付いた…!
「(そうだ…!!『No.93』!!あのカードなら、墓地の『マシュマック』をORUにして奴の攻撃力を上回れる!!そうすれば活路はある!!)」
それは遊海との絆の力『太陽皇ホープ・フェニックス』…その効果を使えば自身の攻撃力を6300まで上げ、さらに蝉丸の伏せに破壊カードがあっても復活する事ができる…しかし…。
「っ─!?(そんな、カードの絵柄が…
エクストラデッキから『No.93』を取り出す遊馬…だが、そのカードはモンスター名を残し、白紙になってしまっていた…。
…原因はわからない…もしかしたら『海底迷宮』で力を使ったからだろうか……どちらにしても遊馬を支える力は無くなってしまった…!
Sideout
【(無い知恵を絞ってるみたいだが…無駄なんだよ…!)】
必死に勝利の方程式を探す遊馬を見ながら、蝉丸はほくそ笑む…。
【(俺の伏せカードは『蝉鳴くバリア─ミンミン・フォース』…!俺の『蝉』モンスターが攻撃された時、相手のモンスター全てを破壊する…!)】
それは保険として伏せたカード…備えは万全だった…。
「くそ…どうすれば…!!」
手札のカードから勝利の方程式を見つけられない遊馬は拳を握り締める…遊馬の心に「諦め」が浮かぶ…その時だった。
「ゆう、ま…がんばって…」
「がん、ばれ…ゆうま…」
「み、みんな…!!」
【ば、馬鹿な…!奴らの記憶は吸い尽くしたはず…!!】
ぼんやりと座り込んでいたナンバーズクラブの仲間達が遊馬へのエールを送る…記憶を奪われ、遊馬の事も覚えていないはずの彼らが…!!
『仲間だからだよ…!』
仲間達の姿を見たⅢはその思い…想いを感じ取り、声を上げる…!
『っ…!貴様らお得意の「友情ごっこ」か…?』
『黙れ!!記憶を奪われようと、魂に刻まれた…友への「想い」は…変わらないんだ!!』
「Ⅲ…みんな…!」
かつて…WDCでの戦いの時、Ⅲは紋章の力によって遊馬の「アストラルの記憶」と「かっとビングの記憶」を奪い、遊馬を追い詰めた。
…しかし、デュエリストの魂に刻まれた「想い」が…そして仲間の声が奇跡を起こし、紋章の呪縛を打ち破った事があった、それ故にⅢは分かっていたのだ…仲間達の声なき想い…遊馬の勝利を願う祈りを…!
「そうだ…オレには…オレには仲間がいるんだ!!」
そして遊馬は気付いた、さっきまでの自分は「1人で勝つ」事を考えていた…だが、今の遊馬には…頼れるパートナーがいる!!
「Ⅲ!お前に『ホープ』を託すぜ!!魔法カード『リリース・リバース・バースト』を発動!エクシーズモンスターの『ホープ』を墓地に送り、相手の伏せられた魔法・罠カードを全て破壊する!!」
【『な、なにぃ!?』】
それは遊馬の渾身の一手…エースを手放し、相手の一手を潰したのだ…!
【だが…!お前達の負けは変わらねぇ!!】
「そしてオレはフィールドにモンスターが存在しない事で、手札の『ギラギランサー』をⅢのフィールドに特殊召喚!」
そしてⅢの場に槍を構えた輝きの戦士が現れる!
「そして、この効果で『ギラギランサー』を特殊召喚した時、Ⅲのエンドフェイズに500ダメージを受け、オレは500回復する…!」
【オイオイ…仲間割れか?次のターンでⅢのライフは尽きるじゃねぇか…!仲間を見殺しにして自分だけ助かるつもりか?】
遊馬の行動を笑う蝉丸…彼は理解していなかった、遊馬とⅢの間に繋がる『絆』の力を…!
「これが…仲間を信じる…
【ハハハハ!!いざとなりゃ、仲間を犠牲に生き残るつもりか?ひどい奴だなぁ?】
『うるさい!!本当の仲間っていうのは…そんなモノじゃない!!今からそれを…証明する!!』
遊馬を嘲笑う蝉丸…邪悪なるバリアンを倒す為、絆の力を示す為…Ⅲはそのドローに全てを賭ける!
『僕のターン!ドロー!!…来た…!!(遊馬の伏せカードが僕の予想通りなら、これで勝てる!!)』
Ⅲが引き込んだカード…それがこのデュエルを決着へと導く!
『永続魔法『オリハルコン・チェーン』を発動!このカードがフィールドにある時、次に召喚するエクシーズモンスターのエクシーズ素材を1つ減らす事ができる!!僕はレベル6の『ギラギランサー』1体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!!』
それは掟破りのモンスター1体でのエクシーズ召喚…そしてⅢが呼び出すのは…!
06
『現われろ!「No.6」!「先史遺産アトランタル」─!!』
それは先史遺産の切り札…火山を背負いし灼熱の巨人が顕現する!
『「アトランタル」が召喚された時!墓地の「No.」を1体装備し、その攻撃力分だけ攻撃力をアップする!僕が選ぶのは「希望皇ホープ」!』
【んな…!?奴が「リリースリバースバースト」を発動したのは…この為だったのか─!?】
蝉丸は遊馬の真意を知る…遊馬はⅢと共に勝利を掴む為、あえてホープを墓地に送ったのだ!
『見よ!戦いの中で結ばれた友との絆で蘇る希望の光を!!さらに「ピラミッドアイタブレット」の効果で攻撃力が800アップだ─!!』
墓地から飛び出したホープがアトランタルの胸に飛び込み…ウジャトの石版が力を与える、その攻撃力…5900!
【だが…攻撃を受けても、俺のライフは残る!!お前達の負けは変わらない─!!】
『それはどうだろうね…!僕は「アトランタル」で「ローカストキング」を攻撃─!!』
アトランタルが灼熱の拳を振り上げる!
「その瞬間!罠発動!『オーバーレイ・ブレイク』!エクシーズモンスターの攻撃を無効にし、このカードをそのモンスターのORUにする!」
【攻撃を無効……?し、しまった!!】
遊馬の罠で攻撃を止めるアトランタル…だが、蝉丸は思い出した…遊馬の最後の伏せカードは…!
「今だ!速攻魔法『ダブルアップチャンス』発動!!攻撃が無効になった時、そのモンスターの攻撃力を倍にしてもう一度攻撃できる!!」
『さらに「速攻予約特典」の効果発動!「アトランタル」の攻撃力はさらに2倍となる!!』
【こ、攻撃力23600だとぉぉ!?】
それは遊馬達が繋いだ絆の結晶…邪悪を断ち切る希望の力…!!
『「アトランタル」で『ローカストキング』を攻撃!』
「『人智を超えた神の遺産が希望の光を宿す時!熱き絆の裁きが下される!!これが仲間の力!ホープ剣クロス・アトランタル・スラッシュ!!』」
【ば、馬鹿な…!?ぐああああああ!!?】
アトランタルの火山から灼熱を纏ったホープが飛び出す、灼熱のホープ剣は邪悪を断ち…デュエルの幕を降ろした…!
蝉丸LP0
遊馬&Ⅲ WIN!
『せ、蝉丸がっ…!?くっ…!!』
吹き飛ばされた蝉丸は人間の姿に戻り、赤黒い粒子となって消滅…それを見たハートランドは慌てて撤退した…。
「(見ててくれたか?アストラル……オレ、みんなと一緒に頑張るからな…!だから…!)」
デュエルを終えた遊馬は夜空を見上げる…アストラルを失った悲しみが癒えた訳ではない、しかし…遊馬は前に進むしかない…アストラルに託されたナンバーズを…仲間達を守る為に…。
「どうやら、杞憂だったみたいだな…良いデュエルだったぜ、遊馬」
《仲間との絆で勝利を掴む…か、ダークネスとのデュエルを思い出すねぇ》
ハートランド記念館の屋根の上、そこで決闘を見守っていた十代は胸を撫で下ろす…万が一に備えて様子を見守っていたのだ。
《でも…アストラルを失った傷が癒えた訳じゃない、アイツの試練はこれからさ》
「ああ…もしかしたら、昔のオレみたいに空回るかもしれないしな……なぁ、先生…こんな時こそ、アンタがいなきゃダメじゃねぇか…」
仲間の無事を喜ぶ遊馬の姿を見ながら…十代は英雄へと呟いた…。