転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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悲しき決闘の後に…

っ…ああああああああ─!!!

 

 

白波遊海…正確には記憶の戻っていない「子供遊海」の精神は恐慌状態に陥っていた、ラーの翼神竜の炎に飲み込まれ…気付いた時には右も左もわからない暗闇の中に取り残されていた、それによって遊海はパニックを起こしていた…さらに…。

 

 

 

痛い、いたいイタイいたい──!?!?

 

 

外の世界で暴走している遊海が「No.∞」を使った事でアヤカが危惧していた「痛み」の記憶が一気に流れ込み、遊海は苦しんでいたのだ…。

 

 

 

 

 

「(いたい、もう、いやだ)」

 

 

人はあまりに強い痛みに出会うと失神し、精神を守ろうとするという……遊海に僅かに残っていた「理性」も…安寧の闇に呑まれようとしていた…。

 

 

 

 

 

 

 

─遊海君、起きるんだ…キミはその闇に身を任せてはいけない…!─

 

 

 

「だ、れ…?」

 

真っ暗な世界に優しげな…しかし強い力の込められた声が響く…。

 

 

 

─キミは…こんな痛みに負けるほど、弱い人間ではないはずだ…!思い出せ!キミの…「白波遊海」の『原点』を…!!─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ねぇ、お兄ちゃん達…何をして遊んでるの?』

 

『これは「■■■」だよ!』

 

『私にも教えて!』

 

『いいよ!』

 

「これ、は…?」

遊海の目の前に公園で遊ぶ子供達の姿が浮かび上がる…。

 

 

 

 

『必ず取りに行くから待ってろよ!○○○』

 

『指切りしようよ!○○○○兄!』

 

 

 

「約束…」

指切りをする2人の子供達…そして景色は流れていく──

 

 

 

かけがえのない朋友達と共に大邪神の企てを乗り越え…

 

 

 

大切な教え子達と虚無の神を封じ…

 

 

 

新たな仲間と共に冥界の悪神を倒し…破滅の未来を変えんとした『もう1人の自分』を乗り超えた…

 

 

 

 

それは遊海の『原点(オリジン)』…最高最善の物語を掴む為の歩み…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぼくは……おれは……!俺は…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─世界を頼んだぜ、遊海…お前の目指す理想の未来を…必ず掴んでくれ─

 

 

 

 

 

 

「…答えは決まってますよ、遊海さん…ふつつか者ですが…よろしくお願いします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は……俺は─!!

 

 

 

漆黒の世界に光が満ちる…『痛み』の記憶を乗り越えたその先……そこには『希望』が待っていた…!

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

グシャ

 

 

 

 

 

「か、母さん!!」

 

「翠さん!!」

子供達の悲鳴がデュエル場に木霊する…デュエルフィールドは煙に包まれ、状況が伺い知れない…だが、徐々にに煙が消えていき……──

 

 

 

 

「遊海…さん…?」

 

「………!!」

 

 

 

振り上げられた破壊の拳は翠を穿つ事はなかった、壁際へと追い詰められた翠をギリギリで避けるように…遊海の拳は鋼鉄製のデュエル場の壁に突き刺さっていた…右拳は潰れ、血がとめどなく溢れ落ちている。

 

 

 

 

「み、ど…り…──」

 

「っ!?遊海さん!!」

ちいさな声で翠の名前を呟いた遊海は…その場に崩れ落ちた…。

 

 

 

《…とりあえず、なんとかなったみたいだね》

 

「ああ、とにかくフレアやウィンダの治療をしてやんないとな…」

 

『まったく、ヒヤヒヤさせおって…信じていたぞ、友よ』

気絶した遊海に駆け寄る子供達を見送りながら…十代と瀬人は胸を撫で下ろした…。

 

 

 

 

 

 

 

 

Side遊海

 

 

 

「ぐっ…うぅ…ここは、どこだ…?」

遊海が目を覚ますとそこは病室だった、慣れてきた目で見回せば…どうやらKC病院の病室らしいと気付いた…。

 

 

「俺は、なんで病院に…?っ!?」

意識がはっきりし始めた遊海を頭痛が襲う…そして思い出したのは自身に襲い掛かった赤紫の髪を持つバリアンの怪人の事だった…。

 

 

「そう、だ…!!俺はバリアンの怪人に、襲われて…!!み、翠…!!あだっ!?」

ベッドから立ち上がろうとした遊海はバランスを崩して派手に転げ落ちた…。

 

 

「体が、痛い…右手が潰れてる…何が、どうなって…?」

遊海の覚えている『最後の記憶』は怪人に体を斬り裂かれ、耐えられない激痛に襲われた事だった…。

 

 

 

ガラッ!

 

 

「あっ…!?ゆ、遊海さん!!大丈夫ですか!?私の事はわかりますか!?」

 

「み、翠…!!バリアンの怪人は!?凌牙達は無事あばっ!?」

そのタイミングで所々に包帯を巻いた翠が病室にやって来て…そのまま遊海に抱き付いた…。

 

 

 

「馬鹿!遊海さんのバカ!!どうして…どうしていつも私に心配ばっかりかけるんですか〜!?うぇ〜ん!!」

 

「み、翠…!?なんで、泣くんだ…?そんな()()()()()()()()()()…?」

遊海は翠が泣いている理由が分からなかった…遊海の中では怪人に襲われて数日という認識なのだ…。

 

 

 

「ぐすっ…なにも、覚えてないんですか?」

 

「えっ…?何を…?」

 

『あっ…!?遊海さん!遊馬君!凌牙!遊海さんが目を覚ましてる!!』

 

「父さん…!!まったく…どれだけ寝れば気が済むんだよ…!」

 

「遊海!十代さんも瀬人さんも…みんな心配してたんだだぜ!?」

 

「ミハエル…?遊馬…凌牙…?えっ……ちょっと待て!?誰か、俺に今の状況を教えてくれ!?」

遊馬達と共にいるⅢの姿を見た遊海は混乱する…。

 

 

《マスター、簡潔に説明します……闇デュエル界の四悪人のうち、2人は撃退済みです》

 

 

「な、なんだってぇぇぇぇ!?!?」

 

 

アヤカの至極簡潔な説明で…遊海は自分がどれほど寝過ごしたのかを察し、驚愕の叫びがハートランドの街に木霊した…。

 

 

 

 

 

 

 

 

─ふぅ…間に合って良かった…遊海君、ここからはキミが頑張る番だよ?ボクも応援してるからねー!─

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