転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

ついに長い眠りから目覚めた遊海…そして遊馬はアストラルを取り戻す為、青き異世界へと旅立つ!


それでは…最新話をどうぞ!


見送る勇士〜友の為に〜

『なんという事だ…!蝉丸も…クラゲ先輩も…!奴らにやられてしまうなんて…しかも、ネームレスが封じた白波遊海の復活も許してしまうとは!!』

ハートランドシティの外れにある、とあるビル…そこでMr.ハートランドは途方に暮れていた。

 

ベクターによって遣わされた『四悪人』も自身を含めて残り2人…さらに怪人・ネームレスが封じた人間界の最終兵器である白波遊海も意識を取り戻してしまった…ベクターからの叱責は免れないだろう…。

 

 

【カカカッ…気にする事ないってカ?あとはボク達『害虫ブラザーズ』がいれば問題ないってカァ】

そんなハートランドに声を掛けたのは丸メガネを掛け、忍者かスパイのような服を着た男だった。

 

 

『…遊馬や神代凌牙…そして白波遊海の事も気になるが……これだけの騒ぎを起こしてカイトが姿を見せないのも──…』

 

【気になるってカ…!なら、丁度いい…ボクは()()()()()()()()()が…大嫌いなんだって蚊─!!】

 

『…頼んだよ、蚊忍者』

男はその姿を『蚊』に変えるとハートランドの街へと向かった…彼は四悪人の1人、蚊忍者と呼ばれる男だった…。

 

 

 

 

 

「よ〜し!今日もハートランドシティは何処も異常ナシだぜ!万々歳だ!」

 

『そうだね、遊馬』

夕日の差すハートランドシティの一角…そこに遊馬の声が響く…。

 

 

『遊馬…これからもこの()()()()()を続けるつもりかい?』

 

「もちろんだぜⅢ!バリアンの奴らは…またきっと現れる…!遊海も本調子じゃないからな!オレがこの街を守るんだ!」

遊馬が目覚めて数日…遊馬はバリアンの襲撃に備え、ハートランドのパトロールを行なっていた…今日はⅢが付き合ってくれていたのだ。

 

 

『遊馬…アストラルがいなくても、大丈夫…?』

 

「………ああ、大丈夫さ!お前らが来てくれて…遊海も目が覚めたんだ!百人力どころか千人力だぜ!!」

Ⅲの問いかけに一瞬、言葉を失う遊馬…アストラルを失った喪失感は未だに癒えてはいなかった…。

 

 

 

 

Side遊海

 

 

 

「はぁぁ〜〜………」

 

《フォウ…フォウ?フォーウ!》ペチペチペチ

 

《フォウ、マスターのおでこが赤くなってますから…一度やめてくださいね…》

 

 

KC病院の病室に遊海の深いため息が消えていく、目覚めてから数日…遊海は自己嫌悪に陥っていた、その落ち込み様は頭に乗ったフォウが額を叩いたり、髪を引っ張ったり、耳たぶを噛んでも反応を見せない程である…。

 

 

 

「穴があったら入りたい……いっそ冥界に行きたい…遊戯とか克也に思いっきり叱ってほしい……」

 

《ユウミ…今回はどうにもならない事でした…アテムも逆に慰めにきますよ…》

 

「いや、もう夢に出てきたよ…思いっきり同情された…」

 

《まさかの!?》

目覚めた後、翠から語られた昏睡中の出来事…それは遊海の心を打ち砕くには十分過ぎるものだった。

 

バリアンの怪人・ネームレスの毒牙と「不死殺しの鎌」によって目覚めぬ眠りに堕ちていた事。

 

 

ネームレスを差し向けたのがベクターであり、第二の遺跡で遊馬への追撃…さらには自分への追撃の為に2度の襲撃があり、そのいずれも翠が命がけで撃退した事。

 

 

璃緒が第六の遺跡探索後に昏睡状態になった事。

 

 

遊馬&アストラル対No.96の最終決戦の際に病院から攫われた自分が人質になり…戦いの末にアストラルが消えてしまった事。

 

 

挙げ句にクラゲ先輩に襲撃され、毒を打ち込まれたうえに何故か『子供化』して翠とのデュエルで暴走…危うく翠を殺す寸前だった事……。

それらを聞いた遊海は遊馬達を導くはずの自分が大迷惑を掛けてしまった事で酷く落ち込んでいたのだ。

 

 

 

 

「うう…遊星やジャックには泣かれるし…瀬人にはいつも通り怒られるし…翠はボロボロだし……うああああ〜〜!!今生一番の黒歴史だああああ!!!

 

《マスター、落ち着いてください…キャラがすごい事に……というより、怪我人なんですから安静にしてくださーい!!》

 

《無駄だアヤカ…優介…いや、遊海はこの状態になったらしばらくはこのままだからな…》

思わず頭を掻きむしる遊海…右腕は先日のデュエルの際に全力で鉄の壁を殴りつけた事で文字通り『粉砕・玉砕・大喝采』状態の為、ギプスでガチガチに固定されている。

…念の為に精霊の力による「治癒」を使わず、遊海の自然治癒に任せている為…完治には少し時間がかかるだろう…。

 

 

…………

 

 

《フォーウ?(落ち着いた?)》

 

「ウン、アリガトウ、フォウクン」

 

《ファーウ…(うん、ダメだね!)》

しばらく悶え続けた遊海はとりあえず、落ち着きを取り戻す……若干燃え尽きているのは気の所為だろう。

 

 

コン…コンコン

 

 

「遊海!お見舞いに……って、大丈夫か…?」

 

「おお、遊馬…ミハエル…小鳥ちゃん、いつも悪いな…」

ノックと共に遊馬・小鳥・Ⅲがやって来る…彼らは遊海が目覚めてから毎日お見舞いに来ているのだ。

 

 

「みんな、目が赤いな…なにかあったのか?」

 

『実は…遊馬の友達の徳之助君が「アストラルのお墓」を勝手に作ったんです…』

 

「そしたら…なんだか、涙が止まんなくなっちまった…」

 

「そうか…」

Ⅲと遊馬から語られたのは病院に来る前の出来事だった。

 

パトロールの終わった遊馬に声を掛けた徳之助…彼は遊馬と遊馬を影から見守っていたナンバーズクラブの仲間達をとある海辺に案内する、そこにあったのは綺麗なガラスと花で彩られた『アストラルのお墓』だった…。

 

あまりにも遊馬の気持ちを逆撫でし、人として空気を読まない徳之助の行動に鉄男が憤慨するが、徳之助は『泣いていた』…遊馬のように常に姿は見えずともアストラルはナンバーズクラブの仲間だった、その死を受け入れられなかった徳之助が…『自分の為に』アストラルのお墓を建てたのだ…。

 

 

 

 

「……遊馬、ちょっと来い」

 

「あっ…うん…」

遊馬達の話を聞き終えた遊海は遊馬を自分の近くへと招く、そして…。

 

 

「…我慢する事はない、今のうちに泣いておけ……泣くのは決して恥ずかしい事じゃない…」

 

「遊海…」

遊馬を静かに抱き寄せた遊海は優しく語り掛ける。

 

 

「遊馬、お前が一番辛い時に居てやれなくてすまなかった…」

 

「ゆう、み……ああ、うああああ…!!!」

 

「遊馬…」

遊海の言葉で心のタガが緩んだのか…遊馬は彼の胸の中で泣き始めた…。

 

 

『(そうか…遊海さんは行方不明の一馬さんの代わりに、遊馬の事を守っていた……遊馬にとって家族以外で唯一「弱音を言える人」なんだ…)』

泣きじゃくる遊馬を見たⅢは…ようやく遊海が担っていた役割を理解した。

 

 

………

 

 

 

『どうだ?ミハエル…遊馬の様子は…?』

 

『遊馬はデュエリストとして一流の腕になっていた…アストラルは見事に遊馬を育てたんだ…でも、今はアストラルを失って自信を失っているみたい…』

 

『そうか…』

数日後の夜、Ⅲはアークライト一家の拠点である潜水艦に残るⅣと遊馬について話し合っていた…。

 

遊海の腕の中で泣いた後、遊馬は元気を取り戻したように見えた…だが、時折暗い表情をしたり…虚空に……いるはずのないアストラルに話し掛ける事が続いていた。

 

 

『…立ち直れそうか?』

 

『わからない…でも、遊馬ならきっと……』

 

『…そうか…それから、遊海さんの様子はどうだ?まだ入院中なんだろう?』

 

『うん…もう少しで退院できるはず、なんだけど…』

 

『…どうした?』

遊馬に続いて入院中の遊海の様子を訊ねるⅣ…その問いにⅢは不安そうな表情を見せる…。

 

『うまく言えないんだけど……あの人から感じる「オーラ」が弱くなった気がして…』

 

『わかった、療養中の父さんにも聞いてみる…そっちは頼んだぞ、ミハエル』

 

『わかった…!』

 

 

 

 

 

 

 

『フン…ようやく完治か、やはり随分と()()()な…遊海』

 

「今回ばっかりは…もう、どうにもならない……俺は…悔いなく、やれる事をするだけさ」

 

「遊海さん…」

翌日、遊海の病室には重い空気が漂っていた、ようやくギプスが外れた遊海…子供化した影響なのか、肉体的には全盛近くまで戻ったのだが、その磨り減り砕けかけた『魂』までは戻らなかったのだ…。

 

 

「俺の相手は…怪人『ネームレス』…奴はバリアン侵攻時に必ず現れる…その時は、俺が命を懸けて打ち倒す…!」

 

『バリアン共の侵攻…具体的に何が起きるかは聞いていなかったが…何が起きる?』

決意を固める遊海に瀬人が問いかける。

 

 

「まずはバリアンの手で世界中に『100万枚の偽物のNo.』がばら撒かれる…それを手にした人達の『負の心』が増幅され…人間界とバリアン世界が融合し始める…!」

 

『100万枚のナンバーズだと?…フン、『ドーマ』の事件を思い出すな…対策は考えているのだろう?』

遊海の予想を超える言葉に驚く瀬人だったが…そこまで動揺する事はなかった。

 

「十代に頼んで世界中に散らばってる『伝説の決闘者』の子孫達に協力を頼んだ…それぞれの住む地域で兆候があったらナンバーズ持ちを倒してもらうか…降りそそぐナンバーズを破壊するように伝えてある」

 

「ああ!幸いにもみんな『精霊の力』を持ってたから…大丈夫だと思うぜ!」

十代が瀬人にグッドサインを向ける!

 

 

『フン…次は…?』

 

「バリアンに堕ちたMr.ハートランドがこの街に侵攻してくる…凌牙やカイトの持つナンバーズを奪う為に…だが、それは問題ない……そしてハートランドが倒された後、バリアン七皇が人間界に出現……ハートランドに集まった遊馬の仲間達と激戦を繰り広げ……遊馬はバリアン世界に向かう事になる」

 

『元凶…ドン・サウザンドを倒す為にか……ネームレスが現れるとすれば、そのタイミングだろうな』

 

「ああ、今度は油断しない…!翠を傷付けた落とし前は、必ずつける…!」

 

「遊海さん…」

遊海は静かに拳を握り締める…!

 

 

『だが、不安要素もある…まずは1つ、九十九遊馬はアストラルを失い、不安定な状態だ……こんな状態で戦えるのか?』

 

「心配しなくても大丈夫さ…アストラルは帰ってくる、遊馬がアストラル世界に迎えに行くからな…」

 

『なにッ…?アストラル世界の場所はお前でもわからないのではなかったか…?』

瀬人は遊海に問う…アストラル世界の座標はアヤカやフレアでも分からず、干渉できないと聞かされていたのだ。

 

 

「アストラル世界に行った()()が…ちゃんと道しるべを残してくれてる、カイトとクリスがその『道』を必ず見つけてくれるはずだ」

遊海はそう言いながらデッキケースに仕舞っていた『覇者のコイン』を取り出した。

 

 

『異世界の物質…Dr.フェイカーは「バリアライト」というバリアン世界のエネルギー物質を持っているらしいが…それのアストラル世界版か……九十九一馬教授…流石はお前が「友」と認めた男だな……ならば2つ目だ、バリアンの戦士「七皇」…その残り二人の行方だ!奴らは何処にいる?今からでも…オレが粉砕してくれる!!』

 

「すまん、その二人の居場所は()()()()()()…だが、バリアンの侵攻までにあちらに合流する事に……なるはずだ」

 

『…貴様……フン、全てを知っているかと思えば…知らぬ事もある…「俯瞰した視点」というのも万能ではないな』

 

「すまん…!」

一瞬睨み合う遊海と瀬人…だが、瀬人は一先ず納得したようだ。

 

『遊海、いつでも戦えるように体調を整えておけ…我らも備えるが……我らの最終兵器はお前なのだから…!』

 

「わかってる…!」

瀬人の言葉に遊海は強く頷いた…。

 

 

 

 

 

「遊海さん…」

 

「………わかってるよ、翠…俺達の『決断の時』は迫ってる…そして…()()()()も…」

瀬人と十代が去った病室…翠は思い詰めた表情の遊海を心配する…。

 

「…2()()が何も言わずに行くのか…それとも……それはまだ、分からない…でも、俺達の為すべき事は変わらない…」

 

「…はい…!遊戯さん達から託されたこの世界を守る…そして最高の結末を掴む…!それが、私達の背負う願いだから…!」

迫る「別離」を前に…遊海と翠は覚悟を決めていた…。

 

 

 

コンコンコン!

 

 

「遊海!お見舞いに来たぜ!!」

 

『おじゃまします!』

 

「おお、遊馬にミハエル!毎日悪いな…このとーり、俺は元気だぞ!」

 

「ギプスが外れてる!よかったぜ!」

そんな時、遊馬とⅢが日課となっているパトロールついでにお見舞いにやって来る、ギプスの取れた遊海を見た遊馬は笑顔だったが…何処か暗い笑顔だった…。

 

 

「ハートランドは大丈夫か?一応アヤカにも警戒してもらってるが…」

 

「ああ!まだ半分しか回ってないけど…大丈夫!何かあったって絶好調のオレが解決してやるぜ!!なっ!アスト……あはは……」

 

『遊馬…』

遊馬は自然と後ろに声を掛け…誤魔化すように笑っていた…。

 

 

「………遊馬、『皇の鍵』の代わり…とは、いかないが…これを貸してやろう」

 

「これ……遊海のカルトゥーシュじゃねぇか…!」

空笑いする遊馬を見た遊海は枕元に置いていた銀色のカルトゥーシュを遊馬へと託した。

 

「これは元々、翠とお揃いでエジプトの土産屋で作ったんだが…いつの間にかマジックアイテムになっててな、俺以外の奴がこれを持ってると危機から守ってくれる!十代や遊星を助けたお墨付きだ……もし、ネームレスが現れても目眩ましぐらいはしてくれるはずだ!」

 

「いいのか…?大切な物なのに…」

 

「ああ、大切な物だ…だから、戦いが終わったら…必ず返してくれ……約束だぞ?」

 

「ああ…!サンキュー!遊海!」

遊馬は受け取ったカルトゥーシュを首に掛け、笑顔を浮かべた…。

 

 

 

 

「翠、今日の天気は…?」

 

「…夕方から夜にかけて『雨』だそうです…」

 

「…そうか」

遊馬達が去った後、遊海は窓の外を見る…空は少しずつ雲に覆われ始めていた…。

 

 

 

 

Side遊馬

 

 

 

「よしよし…!今日もハートランドは平和だぜ!バリアンの奴ら、オレにビビったのかな!」

 

『…だと、いいけど…』

 

「えっ…?なんだよ、その言い方…って…あれ!?みんな」

 

「「「わわっ!?」」」

遊海の見舞いと、ハートランドのパトロールを終えた遊馬とⅢは海浜地区を歩いていたが…いつの間にかに後をつけていたナンバーズクラブの仲間達に気付いた…。

 

 

「お前ら…またついて来たのかよ!?」

 

「ごめん…遊馬の事が心配で…!」

 

「心配…?オレの何が心配なんだよ!?」

小鳥の言葉を聞いた遊馬は仲間達に詰め寄る…遊馬は自分の無意識の行動に気付いていなかったのだ…。

 

 

『遊馬…それは、君がアストラルがいなくなった事を受け入れられていないからだよ…!』

 

「そんな事ないって…!オレはちゃんと…!」

 

「遊馬…お前、気付いてないのか?お前のパトロールしてる場所は……」

 

「とどのつまり、アストラルとの()()()()()()()()ばかりなんですよ…?」

 

「あっ……」

Ⅲや仲間達の言葉で遊馬はようやく自覚した…ハートランドの交差点・ハートランド博物館・建設途中のビル・ハートランドタワー・建設途中の立体道路・噴水広場…そこはアストラルと共に遊馬がデュエルした場所ばかりだった…。

 

 

「そんな事…そんな事ないって!?」

 

「…この場所だって…」

 

「アストラルのお墓のある場所…ウラ」

 

「っ──!?」

遊馬は海辺の土手を見上げる…そこには確かに徳之助の作った「ガラスのお墓」があった…。

 

 

『遊馬、君はアストラルの死を乗り越えられたと思っている…でも、違う…!君は…無意識にずっと()()()()()()()()()()()!』

 

「あっ……」

Ⅲは遊馬に真実を突きつける…みんなの前では明るく振る舞う遊馬…だが、その『心』は…アストラルを探し求め、無意識にハートランドを彷徨っていたのだ…。

 

 

『君は…思い出の場所を巡っていれば、いつかアストラルに逢えると信じてしまっているんだ…!』

 

「オレは……オレは…!!オレはっ──!!」

 

「遊馬!?何処に行くの!?」

遊馬の脳裏にアストラルとの思い出が過ぎ去って行く…そして、無情な真実に気付いた遊馬は何処かへと駆け出した…その心を現すかのようにハートランドには雨が降り始めた…。

 

 

「(そうさ…!オレは信じてねぇ…!!アストラルが死んだなんて…信じねぇぇっ!!)」

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ……ここ、は……」

遊馬が無意識に走った先、そこにあったのはハートランドシティの駅前広場……アストラルと遊馬が出会った場所だった…。

 

 

─勝つぞ─

 

「アストラルっ…!!」

思えば、最悪の出会いだった…しかし、そんな出会いでさえも…今の遊馬にとってはかけがえのない思い出だった。

 

 

「遊馬……風邪、ひいちゃうよ…?」

 

「放っといてくれよ!!」

少し遅れてナンバーズクラブの仲間達とⅢが追い付き、小鳥が遊馬に声をかける…だが、遊馬はそんな仲間達を拒絶した…。

 

 

「アストラルは絶対に生きてる…!!あいつが死ぬ訳ないんだ!!だから…だから…!!」

 

「オレはずっとあいつを探すんだ!!あいつが見つかるまで探すんだぁぁぁ!!」

 

「遊馬…」

降りしきる雨の中で遊馬は叫ぶ…アストラルを探す決意を…アストラルとの再会を信じる魂の声を…。

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()…遊馬、さぁ…立て!」

 

 

「えっ…カイ、ト…?」

雨のハートランドに強い声が響く…その正体は長らく姿を見せなかったカイトだった…!

 

 

「行くぞ」

 

「行くって…いったい何処に…?」

 

「決まっている、()()()()()()()()()()()()!!説明は後だ……出発するぞ!!」

 

「アストラルを、取り戻す…!?」

現れた新型輸送機をバックにカイトは遊馬を見つめた…!

 

 

 

 

「……じゃあ…!?アストラルは生きてるのか!?」

 

「それをはっきりさせる」

 

「はっきりさせるって…どうやって…?」

カイトに連れられた遊馬、そして付き添いに志願した小鳥はカイトから状況の説明を受けていた…。

 

 

「遊馬、オレ達の戦いの()()()()はなんだ?」

 

「最終、目的…?」

 

「忘れたのか?『ヌメロン・コード』の事を…おそらく、アストラルの使命はそのカードを見つけ、バリアン世界を滅ぼす事…だが、アストラルがいなければヌメロンコードを見つける事はできない」

『ヌメロン・コード』…それはいわゆる「アカシック・レコード」…全ての未来が記され、未来を書き換える事のできる『始まりのカード』…アストラルはそれを探し求めていた…。

 

 

「オレ達がいくら戦おうが…バリアンの猛攻がこのまま続けば…ナンバーズはいずれ奴らの手に渡る…!そうなればヌメロンコードは奴らの手で書き変えられ、アストラル世界と人間界は滅ぶ…!それを阻止するには…アストラルが必要だ…!」

バリアンの戦士達は強い、例え遊海や伝説の決闘者がいてもいつかは限界を迎えるだろう…カイトはそんな状況を打破する為に研究を続けていたのだ。

 

 

「お前が落ち込んでいる間、オレとⅤは…アストラル世界に行く方法を見つけた…!」

 

「なんだって…!?でも、どうやって…?」プーン…

カイトの思わぬ言葉に遊馬は驚愕する…!

 

 

「ヒントは…このコインだ」

 

「あれっ…!?父ちゃんのコイン!?いつの間に……ああっ!?1枚足りない─!?」

カイトが手にしていたのは一馬の残していた「覇者のコイン」…いつの間にか遊馬からくすねていたのだ。

 

「そう騒ぐな…少し借りただけだ、それより…このコインには重大な秘密が──」

 

キィン─!!!

 

「「「な、なんだ!?」」」

カイトが遊馬に向けてコインを弾いた瞬間、遊馬の下げていた「遊海のカルトゥーシュ」が眩い光を放つ…そして…──

 

 

ぎ、ギィィヤアアアア!?!?

 

 

「な、何が起きた…?」

輸送機の中に断末魔が木霊する……だが、それは遊馬達の声ではない……訳が分からず困惑する3人だったが…その足元に1枚のカードが落ちていた。

 

 

 

「…これは……『No.2蚊学忍者シャドー・モスキート』……?なんだ、このナンバーズは…?」

 

「あっ…もしかして…!?バリアンの刺客がいたのか!?」

 

「なにっ?どういう事だ…?」

遊馬は落ちていたナンバーズを見て状況を察し、カイトへと説明する。

ハートランドに「No.3」「No.4」を操るバリアンの刺客が現れた事、そしてそれぞれに「蝉」と「クラゲ」の怪人であり…落ちていたナンバーズから持ち主は「蚊」の怪人だったのではないかと遊馬は予想したのだ。

 

 

 

「よくわからないけど…遊海はそいつらを『四悪人』って呼んでた…もしかしてそのナンバーズを持ってた奴が虫みたいに小さくなって飛行機の中にいて……」

 

「遊海さんのカルトゥーシュが危険を察知して…駆除しちゃった…とか?」

 

「……聞いた事がある、ある種の害虫は光に誘引され…一定の波長の青い光を浴びると死ぬらしい…まさか、そんな間抜けなバリアンがいるとは思えんが……警戒するに越した事はないな…とはいえ、流石は決闘王謹製のアイテムか…」

カイトは遊馬の胸で輝きを放つカルトゥーシュを見つめた…。

 

 

 

Sideout

 

 

 

『むむっ…?蚊忍者の反応が…消えた??まさかやられてしまったのか─!?』

ハートランド某所にMr.ハートランドの叫びが響く、哀れ蚊忍者…得意とする『蚊学忍法』を披露する事なく、彼は現世から退場したのだった…。

 

 

 

 

 

 

「ふぁ…ヘックション!!さ、寒みぃぃ…!!」

数時間後、遊馬達はとある雪国にいた…そこには長い谷があり、様々な装置や設備が設置されていた…。

 

「あれが…オレとⅤが完成させた『時空移動装置』だ」

 

「時空…移動装置…?」

 

《カイト様!おかえりなさいマセ!でアリマス!!》

そしてその谷に一際巨大な装置があった…オービタル7が調整していたその装置こそ、異世界への扉を開く装置だった…。

 

 

「アストラルの異次元飛行船は遺跡のナンバーズを感知できた…何故か…?それはお前の父が残したコインに秘密があった、そのコインの正体はアストラル世界の物質『アストライト』…人間界には存在しない膨大なエネルギーの塊だった」

 

「アスト…ラリト?」

 

「アストライトだ!……その膨大なエネルギーを利用して異世界への扉をこじ開け、お前をアストラル世界へと送り出す!」

 

「すげぇ…こんなモンを作ってたのかよ…!」

遊馬は装置を見てカイト達の技術と努力を理解する…遊馬には理論は分からないが…それでも「途轍もない偉業」だと分かったのだ。

 

 

 

『カイト…!?何故、遊馬を連れて来てしまったのだ…!』

 

「Ⅴ!?」

 

「オレは…アンタと違って遊馬を甘やかすつもりはないんでね」

 

『そんな問題じゃない!!』

遊馬達の背後に銀色の髪を持つ冷厳なる決闘者・Ⅴが現れる…その表情は苛立っていた…。

 

 

 

『無理に時空の扉を開けるんだ…その先がどうなっているのかもわからないんだぞ!?』

 

「Ⅴ…どうして、どうして教えてくれなかったんだよ!?」

 

『わかりきっている…!教えれば、君は必ず「行く」と言い出すからだ!』

Ⅴは遊馬の事を心配していた…心配しているが故に遊馬が来た事に怒っていたのだ…。

 

 

「そりゃ決まってるだろ!?アストラルを取り戻せるかもしれないんだ!!」

 

『君は…この実験の危険性が分かっていない…!万が一、アストラル世界に行けたとしても…!そこはまったくの「未知の世界」!どうなるかわからない……最悪の場合、生きて戻れない…!』

 

「そんな…!!」

Ⅴの語る「最悪」を聞いた小鳥は涙を浮かべる…。

 

 

「…クリス、遊馬の親父が遺跡にコインを残したのは()()じゃない…ここまで起きる事態を全て見越していたのであれば、7枚のコインは『アストラル世界に来い』という遊馬へのメッセージだ!」

 

「カイト…!だったら、アストラルはやっぱり生きてる…!生きてるんだ!!絶対に!!」

 

「私からも、お願いします…!アストラルを取り戻せるのは…遊馬しかいません!!」

 

「小鳥…!」

 

『………』

生き生きとした遊馬の表情を見たカイトと小鳥は遊馬の背中を押す…全ては遊馬の大切な相棒を救う為に…!

 

 

「頼むよ…Ⅴ!オレに行かせてくれ!!」

 

『わかった…!すぐに出発の準備をするぞ…!!』

遊馬達の想いに…Ⅴは遂に折れたのだった…。

 

 

 

 

 

 

『遊馬!これからアストラル世界への扉をこじ開け、お前を送り込む!だが、その扉がいつまで保つかわからない……扉が閉じてしまえば、帰れる保証はない!!』

 

「ああ…!小鳥、心配すんなよ!必ず、アストラルを連れて帰って来るからな!!」

 

「うん…!」

装置の上に立った遊馬は小鳥へと決意を叫ぶ…!

 

 

「オービタル!このデータを装置に組み込め!」

 

《カシコマリ!》

 

『カイト…今のデータはなんだ?』

カイトはオービタルに1枚のデータチップを投げ渡す…。

 

 

「オレは遊馬を迎えに行く為だけにハートランドに戻った訳じゃない……白波さんの精霊であるアヤカに次元の扉を安定させる術式を組んでもらっていたんだ…少しでも、安全にアストラル世界に遊馬を送り出せるように…!」

 

『そうか…君も随分丸くなったな、カイト』

 

「フッ…貴方には言われたくはないな、クリス」

2人はお互いに笑みを浮かべる…2人もまた、遊海の影響を強く受けていたのだった…。

 

 

《準備完了でアリマス!》

 

「やれ!オービタル!」

 

《カシコマリ!!》

カイトの指示を受けたオービタルがコンソールを凄まじい速さで叩き始める!

 

 

『装置に設置したアストライトに電圧を掛け、エネルギーを放出・充電し…一気に放出する事でアストラル世界への扉を開く!ただし、エネルギーの注出は1度きりだ…充電が終わるまで、絶対に動くなよ!』

 

「わかった!!」

 

キィン─!

 

装置が唸りを上げる…そして遊馬はスフィア・フィールドに似た空間に包まれる…!

 

 

《エネルギー充填…45%…50…60………》

 

「あっ…そうだ…!Ⅴ!これを持っててくれ!!」

 

『これは「No.9天蓋星ダイソン・スフィア」…!』

エネルギーの充填が進む中…遊馬はⅤにナンバーズを投げ渡す!

 

「もしも、オレがいない間にバリアンが襲って来たら…そのナンバーズで戦ってくれ!!」

 

『フッ…感謝する!確かに預かった!!』

 

 

《エネルギー充填90…95……100%!準備完了でアリマス!!》

 

『旅立ちの時が来たようだな…!』

 

「行け!遊馬!必ずアストラルを連れ戻して来い─!」

エネルギーが充填され、装置が眩い光を放つ!

 

 

「─────!!」

 

「遊馬…!絶対…絶対に帰って来てね─!!!」

 

「…!!」

スフィアフィールドに包まれた遊馬は小鳥に向かって頷く…そして…!!

 

 

キィン──!!

 

 

夜を真昼に変えるような光が周囲に満ちる…そして光の奔流と共に遊馬はアストラル世界へと向かった…!

 

 

 

 

「待ってろよ、アストラル!必ずお前を連れ戻すからな!!かっとビングだ!オレ─!!」

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