転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

遊馬がアストラル世界を救う為に奮闘する頃…1人の男に決断の刻が訪れる…。


蘇る記憶─その王の名は…─

『……本気で言っているのか、ドルベ』

 

『ああ、間違いない』

バリアン世界の城…そこには深刻げな表情で話し合うミザエルとドルベの姿があった。

 

 

『私はナッシュとメラグ、そして私の記憶が封印された遺跡を何度も訪れた…そして、少しずつ思い出したのだ…バリアンとなる前の自分の事を…!たしかに、我らは()()だった…!』

アストラル消失後、バリアン七皇は様子見と来たる決戦に備え人間界への侵攻を止めていた…そんな中、ドルベは自身に縁のある2つの遺跡に赴く事で…自身の前世である『天馬の英雄』であった記憶を思い出していたのだ。

 

『そんな…!では、あの遺跡で垣間見た記憶は…真実だというのか!?』

ミザエルはドルベの言葉を聞き動揺する、ドルベの言葉が真実ならば…自身の前世が『龍の神殿』で見た『龍の英雄』だったと言う事になるからだ…。

 

 

『我々は死後、バリアンとして蘇った…そして遺跡の伝説が我々の記憶だと言うなら…ナッシュとメラグは───』

 

『ま、まさか!?』

ドルベが口にした可能性を聞いたミザエルは驚愕する、彼らが探していた最後の同胞…彼らは思わぬ場所にいたのだから…。

 

 

『私は…彼を取り戻す…!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《フォウ…フォウフォーウ♪》

 

「ははっ…嬉しそうだなフォウ…寂しい思いをさせてごめんな〜」

 

《フォウ!》

 

「遊海さん、1番寂しい思いをした人を忘れてませんか〜?」

 

「忘れてないよ…今回は本当にすまない…」

 

「ふふっ、冗談ですよ!とにかく今は英気を養いましょう!」

 

遊馬がアストラル世界に向かって一日が過ぎた…退院した遊海は自宅に戻り、迫る戦いを前に少しでも備える為に休んでいた…。

 

 

 

「ウィンダ…凌牙の様子はどうだ?ちゃんと食べてたか?」

 

《…うん、璃緒ちゃんが入院してから朝一番に出ていって…夜遅くに帰って来たけど…ちゃんと食べてたよ》

 

「そうか…なら、よかった」

遊海は留守を任せていたウィンダに凌牙の様子を訊ねる…遊海が目覚めた後、凌牙は再び璃緒に付きっきりになっていた…。

 

 

「今日は…凌牙君の好きなカレーにしましょう!遊海さんの退院祝いも兼ねて!」

 

「そうしよう!なら…凌牙にも連絡を取らないと──」

普段通りの日常を過ごそうとする遊海達…だが…。

 

 

 

《………マスター、()()()()()()()を感知しました……ハートランド病院に……》

 

「っ──!?」

 

「…そう、か…」

警戒を強めていたアヤカのレーダーがバリアンの出現を感知する、それは平和な日常の…終わりの始まりを示していた…。

 

 

 

 

 

Side凌牙

 

 

「…璃緒、俺達は…あの時の事故で本当に命を落としたのか?」

夕暮れのハートランド病院…璃緒の病室で凌牙は自身の抱く悩みを吐き出す…。

クラゲ怪人が残した「神代一家は全員死んだ」という言葉が凌牙の心に新たに影を落としていた…。

 

 

「だが…俺とお前は今『此処』にいる……なら、なんで遺跡の伝説で見た『紋章』が俺達の家にあったんだ?……わからねぇ……俺が、何をするべきなのか…!!」

凌牙の脳裏に過ぎるのは2つの記憶…。

 

海洋国家の王として暴虐のかぎりを尽くすベクター王と戦った「過去」の記憶。

 

神代家に生まれ、璃緒と共に事故に遭い…遊海達と過ごした「現在」の記憶。

 

頭の中で混ざり合う2つの記憶…その謎は今の凌牙には解く事ができなかった…。

 

 

……

 

 

「いったい、どうなってやが……お前は!?」

考え込んでいた凌牙は…病室に第三者がいる事に気付く、医者でも看護師でもない……銀髪に眼鏡を掛けたその少年は…!

 

 

「ドルベ!?なんでバリアンがこんな所に…!!」

音もなく現れたバリアンの戦士・ドルベ…彼は凌牙に真実を突きつける…!

 

 

『凌牙…いや、()()()()!!君の目覚めの時だ…!!』

 

「貴様…何を、言って…!」

 

『君の記憶を取り戻してくれ…!君の中にはナッシュの「記憶」が眠っている!私にとって、君は「神代凌牙」じゃない…バリアン七皇のリーダー「ナッシュ」なのだ!!』

 

キィン─…

 

「っ!?」

ドルベはそう言いながら手にしていた「バリアンの紋章」を凌牙へと掲げる…放たれた赤紫の光は病室を包み込んだ…。

 

 

………

 

 

「ここは…!?」

 

『そう…君とメラグの記憶が眠っていた遺跡だ…』

凌牙が気付いた時、彼らは第6の遺跡『海底迷宮』へと瞬間移動していた…背後にはバリアン体となったドルベ、そしてその腕に抱き抱えられた璃緒の姿があった。

 

『そして…このネックレスはバリアン七皇のリーダーであるナッシュの物だ、もしもこれが君の物ならば…必ず「真実」を見せるはずだ…!』

璃緒を優しく寝かせたドルベが再びバリアンの紋章を掲げる…それは失踪する前のナッシュがバリアン世界に遺した物だった。

 

 

『さぁ…!思い出してくれ、ナッシュ!!』

 

「真実…俺の、記憶…」

 

『何故、君とメラグが人間界にいたのかはわからない…だが、我々には君の力が必要なんだ…だから!自分の目で確かめてほしい…!!』

 

「……わかった」

凌牙はドルベからバリアンの紋章を受け取る、そして凌牙の意識は再び記憶の世界へと誘われた…。

 

 

 

 

@記憶の世界

 

 

 

「ここは、あの時の…!?」

気付いた時、凌牙は再び記憶の世界にいた…目の前には璃緒を捕らえた「激瀧神」、そして邪悪な笑みを浮かべるベクター王の姿がある…!

 

 

『お兄様、私の魂が…アビスを浄化するわ…』

 

「っ─!?璃緒!りおぉぉぉ!!!」

それは遺跡のデュエルで垣間見た記憶の続き…ベクターとアビスの「血の契約」を浄化する為、聖なる魂を持つ巫女である璃緒は海へと身を投げる…だが、海へと捧げられたその魂は霊界の巫女「極氷姫」として再誕する!

 

 

《お兄様…この世界を導いて…!》

 

「璃緒…!?」

極氷姫となった璃緒が清浄な光を放つ…その光は邪な力に縛られた激瀧神を解き放ち、神は姿を消した。

 

 

【ば、馬鹿な…!神が浄化されただと!?クソ…一時撤退だ!!】

最終兵器を失ったベクターは動揺…ベクター軍は沖へと引き上げていった…。

 

 

 

「璃緒…すまない…!俺の…俺のせいだ!!」

 

『友よ…なんという事だ…!!』

夕暮れの砦は悲しみに包まれていた、ベクター軍が撤退した後、璃緒はすぐさま海から引き上げられた…だが、彼女が息を吹き返す事はなかった。

 

 

『璃緒…璃緒ぉぉ─!!』

 

凌牙の悲しき叫びが戦場に木霊した…。

 

 

 

「(璃緒…俺は、お前を守れなかった…これが、俺達の本当の記憶なのか?)」

 

凌牙はたくさんの花で彩られた祭壇に寝かされた璃緒を見つめながら問いかける…。

 

「(俺の…『神代凌牙』の記憶はあの事故の日に()()()()()()…あの時から、俺の中には『ナッシュ』がいたのか…?………違う…俺は『ナッシュ』…この記憶は確かに()()()()()()だ…ならば……そうなら…!)」

凌牙は自問自答を繰り返す…『神代凌牙』と言う存在はあの日に命を落としていた、そこに『ナッシュ』という存在が入り込み、今の『神代凌牙』となった…。

そして自分の記憶を自覚した凌牙は決意を固めた…それは──

 

 

「俺は、戦う!!」

 

 

記憶の世界であろうとも…璃緒を奪ったベクター王と戦う事を…!

 

 

 

 

「全軍…出撃─!!」

 

「「「うおおお─!!」」」

 

璃緒の弔いを終えた凌牙…否、ナッシュ軍はベクターの船団へと突き進む!!

 

 

【殺れ!奴らを薙ぎ払えぇぇ!!】

 

「ベクター…俺は、貴様を許さねぇ!!例え行き先が()()だろうと…璃緒の仇を討つ!怯むな!奴らを倒せぇぇ!!」

天馬の英雄・ドルベと共にナッシュ軍はベクター軍は激突する…そして璃緒の弔い合戦の為に士気の上がったナッシュ軍はベクター軍を粉砕した…!

 

 

【くっ─!?】

 

「追え!逃がすなぁぁ!!」

不利を悟ったベクターは撤退する…だが、それを許さないナッシュはとある島へと逃げ込んだベクターを追い掛けた…。

 

 

………

 

 

「これは…!?」

 

『惨い事を…逃げた先の街まで滅ぼすとは…!』

 

「ベクター…!!」

ベクター軍を追ったナッシュは目の前の惨状に思わず顔を背ける…ベクター軍は逃亡しながらもその先にあった街を襲撃…略奪と虐殺で罪のない街を滅ぼしていたのだ…。

 

 

「ぐすっ…お父さん…お母さん…!」

 

「あれは…?璃緒…!?いや…生き残りか…!」

 

雨の中、ナッシュ達は壊滅した街を進む…その中でナッシュは瓦礫の中で声を押し殺して泣く少女を見つける、その少女は…幼い頃の璃緒と瓜二つの顔をしていた…。

 

 

 

 

 

「ほら…食べないと体が保たないぞ?」

 

「あっ…」

ナッシュ達は街を抜けた先で夜営地を整える…そこには街で見つけた少女の姿もある。

ナッシュは家族を失った少女を保護したのだ…。

 

 

「名前はなんて言うんだ?」

 

「…イリス…」

 

「イリス…良い名だな」

穏やかな表情でイリスに食事を手渡すナッシュ…その姿を見たイリスはようやく落ち着きを取り戻した…。

 

 

「すぅ…すぅ…」

 

「璃緒…この子はお前が引き逢わせてくれたのか?それとも…」

眠ったイリスを見守りながらナッシュは夜空を見上げる…空には何条もの流れ星が流れていた…。

 

 

 

………

 

 

 

『ベクターはこの先の谷に陣を構えています!今こそ最終決戦を仕掛ける時です!!』

 

『偉大なる王よ!我らはどんな決断でも従います!』

 

『私達の命…王に捧げます…!』

 

「…………」

ベクター軍との何度にも及ぶ遭遇戦・追撃戦を経てナッシュはついにベクターを追い詰めた…最後の戦いを前にナッシュの側近達の士気は高かった…!

 

 

「……わかった、総攻撃は()()()()()()()…!」

 

『『『ハッ!!』』』

ナッシュは戦いを前に冷静な指示を出す…そこで1度軍議はお開きとなった…。

 

 

 

『迷っているのか?友よ…ベクターは絶対に倒さなければならない…だが、今戦えば味方にも大勢の犠牲が出てしまうだろう…』

ドルベはナッシュに語り掛ける、ナッシュ軍も士気は高いが連戦に次ぐ連戦で疲弊しきっている…戦いでの犠牲は避けられないだろうと…。

 

「少し…1人にしてくれ」

 

 

 

………

 

 

「(この俺が戦う事で仲間が……いや、世界が戦いに巻き込まれて傷付いていく…俺はどうしたら…!)」

ナッシュは夜営地近くの湖で戦いを憂いていた、傷付いていく仲間達…そして世界を想って…その時だった。

 

 

《…凌牙》

 

「璃緒…!?」

ナッシュの…凌牙の前の湖面に半透明の璃緒が現れる、それは長い間眠っていた現実世界の「神代璃緒」だった。

 

 

《これが凌牙と私のもう一つの『過去』…この世界で私は『兄様』を見守る精霊となった、だから…ずっと見てきたの…兄様の人生を…》

水面に映る璃緒の姿は巫女の姿…神に命を捧げた璃緒は凌牙の守護精霊として彼を見守っていたのだ。

 

 

《…だからわかる、お兄様がずっと悩んでいる事も…》

 

「…璃緒…俺は、どうすればいい…?」

 

「凌牙の決断には…いつも『優しさ』がある…けれど、いつも苦しんでいる…」

 

「『憎しみは憎しみしか生まない』…そう教えてくれた人がいた…」

 

《遊馬…それに遊海さんも翠さんも……私達にそれを教えてくれた…》

 

璃緒の助言で凌牙は今までの人生を思い返す…トロンの策略で璃緒を傷付けられ、さらにデュエリストとしてのプライドを砕かれ…一度はやさぐれてしまった凌牙…だが、遊海はそんな凌牙を見捨てる事なく見守り続け…遊馬は心の闇を打ち払い、凌牙を闇から救い上げた。

…そんな彼らの姿を見た凌牙はベクターに対して怒りこそあっても『憎しみ』を抱いてはいなかった…。

 

 

 

「…だが、此処で起きている事も確かに『俺の記憶』だ…ドルベが言った通り、俺達兄妹には2()()()()()があった…」

 

《…きっと、お兄様は『選ばれた人間』だった…お兄様はこの世界の運命を決めた人、今はその運命を見つめるべきだわ……私はいつでも傍にいる…》

 

『璃緒…だが、これが俺の運命なら…!俺は俺なりに抗ってみせる!!』

璃緒の言葉によって凌牙は迷いを振り払う、見上げた夜空には『北斗七星』が輝いていた…。

 

 

 

………

 

 

『ど、ドルベ様!王が馬と共に消えてしまいました!!』

 

『な、なんだと─!?』

翌朝、ナッシュ軍の陣に王の姿は無かった…その理由は───

 

 

 

「いくぜ…!ベクタァァァ!!」

 

《オオオォォ─!!》

 

かけがえのない部下を…仲間を守る為、「激瀧神」を従えた凌牙は単騎でベクター軍へと強襲を仕掛けたのだ…!

 

 

「うおおおっ─!!」

 

《オオオオ!!》

 

『な、なんて強さだ─!?』

 

ナッシュはベクター軍の兵士を…激瀧神は数多のモンスター達を蹂躪する…そして…!

 

 

「あれは…アビスと戦った迷宮!?」

ベクター軍を乗り越えた先…そこには地上にあった頃の『海底迷宮』が佇んでいたのだ。

 

「ベクターは彼処か…!俺とキサマにここまで因縁があったとはな…!!」

凌牙は躊躇なく、迷宮へと踏み込んだ…。

 

 

 

「ベクター!!これ以上、多くの人々を巻き込むな!!俺とキサマ…サシで勝負だ!!」

 

迷宮へと踏み込んだ凌牙は迷宮に潜むベクターへと決戦を申し込む…!

 

 

【面白い…!その勝負を受けようじゃないか!!さぁ…来るがいい!!】

 

「っ…!」

迷宮にベクターの声が響く…それと共に迷宮が()()、決戦の舞台への道を指し示した…。

 

 

 

 

 

【よぉぉうこそ!ナッシュぅぅ…!ここまで一人でやって来るとはなぁ…!】

 

「ベクター…!!」

凌牙が…ナッシュが導かれたのはアビスと戦った祭壇の地下……そこはさながら闇の神殿とも言える場所だった。

 

 

【さぁて…お前の提案を受けたからには…対決方法はオレが決めさせてもらうぜぇ…!】

 

「なに?」

 

【決戦の方法は…「闇のゲーム」…!デュエルモンスターズだ!!】

ベクターが決戦の方法を叫ぶ…それと共にそれぞれ5枚の石版がベクターとナッシュの前に落下してくる…!

 

 

「(父さんから聞いた事がある…デュエルモンスターズの起源は古代エジプトの『決闘』…石版を使ったデュエルだったって…!)この俺にデュエルを挑んだ事…後悔させてやる!!」

 

【ハハハ…!いくぞぉ!!】

ナッシュとベクター…2人の古代王が激突する!!

 

 

 

【「デュエル!!」】

 

 

 

 

決闘ダイジェスト ナッシュ王対ベクター王

 

 

 

【先攻はオレだ!オレは『ゴルゴニック・グール』を召喚!】

ベクターの場に蛇の意匠を持つゴーレムが現れる!

 

【さらに!手札からもう1体の「ゴルゴニックグール」を特殊召喚!このモンスターは自分の場に「ゴルゴニックグール」がいる時、ライフを300払って特殊召喚できる!さらに手札から300ライフを払って3体目を特殊召喚!】

ベクターの場に3体のモンスターが並ぶ…!

 

【そして魔法発動!『現状からの脱皮』!自分フィールドに同じレベルのモンスターが3体いる時!相手のデッキから同じレベルのモンスター1体をオレの場に特殊召喚する!オレは…ヒヒッ…!お前のデッキから「マーメイドシャーク」を特殊召喚!】

 

「俺のデッキからだと!?」

ベクターはナッシュのデッキの幻影から鼻先が女性のようになった鮫を選び、奪い取った…!

 

 

【オレは石版を2枚伏せ…ターンエンド!】

 

「一気にモンスターを揃えたつもりか…だが!そんなモンは一掃してやる!!」

 

 

 

「俺のターン!『スピア・シャーク』を召喚!!」

ナッシュは槍の鼻先を持つ鮫を呼び出す!

 

「そして自分の場に水属性モンスターがいる時!『サイレント・アングラー』は特殊召喚できる!さらにもう1体を特殊召喚!!」

さらに巨大な口を持つ2体のアンコウが現れる!

 

 

「いけ!『スピアシャーク』!『ゴルゴニックグール』を攻撃!」

 

【掛かったな…!永続罠『ゴルゴニック・テンプテーション』発動!!】

攻撃を仕掛けるナッシュ…だが、ベクターはその攻撃を狙っていた…!

 

 

【自分の場に『ゴルゴニック』モンスターがいる時!相手の攻撃対象を変更できる!攻撃対象を『マーメイドシャーク』に変更する!】

 

「そんな罠カードは意味ねぇ!!『スピアシャーク』の攻撃力が上だ!!」

 

【クククッ…!お前は()()()()()()の意味が分かってないらしいなぁ…!コレを見るがいい!】1116

 

ギィン─!

 

ベクターが狂気の笑みを浮かべる…それと共にベクターの背後にあった不気味な『紋章』が光を放った…。

 

 

 

 

『行け!王を救うのだ!!全軍突撃─!!』

 

『『『うおおおっ!!!』』』

 

 

「こ、これは…!?全面戦争が始まっているだと!?」

ナッシュが気付いた時、そこは迷宮上空だった…眼下ではベクター軍とナッシュ軍の全面戦争が始まってしまっていた…!

 

 

【言ったはずだぜぇ?これは『闇のゲーム』だと!!今のオレ達はゲームマスター()…このデュエルが奴らの運命を決めるのさ!!その引き金を引いたのは…お前だ─!!】

 

「っ─!?」

ベクターはナッシュを嘲笑う…そして破滅へのカウントダウンは始まってしまった…。

 

 

 

 

【ぐううッ…!!だが、この程度の痛み…キサマの心の痛みほどではない…!!】

 

「き、貴様ああああ!!」

スピアシャークがマーメイドシャークを破壊し、ベクターは大ダメージを受ける…だが、ベクターは笑みを崩さない…!

 

 

「ベクター!!何故、俺達の戦いに他の奴らを巻き込む!!」

 

【決まってるだろぅ?それがお前の『弱点』だからさ…お前の心に宿る優しさと正義こそがなぁ!!オレはお前が藻掻き苦しむ姿をた〜っぷり拝みたいのよぉ!!ぎゃはははははは!!】

 

「べ、ベクタァァァ!!」

ベクターは嗤う…ナッシュの苦しむ姿を目に焼き付けるように…!

 

 

【罠発動!「陰謀の大災害」!自分フィールドにいる元々の持ち主が相手のモンスターが戦闘で破壊され、1000以上のダメージを受けた時!破壊されたモンスター以上の攻撃力を持つ、相手のデッキのモンスターを全て破壊する!!】

 

「なにっ!?」

それは海馬社長が愛用していた「ウィルスカード」以上に害悪なデッキ破壊カード…ベクターの石版から放たれた竜巻がナッシュのデッキのほとんどを粉々に砕いてしまったのだ…!

 

 

「オレの、デッキのモンスターが…!?くっ…石版を1枚伏せ、ターンエンドだ!!」

為す術もないナッシュはそのままターンを終えるしかなかった。

 

 

 

【ぎゃはははははは!!こっからが本番だぜ!オレは「ゴルゴニック・ケルベロス」を召喚!このモンスターが召喚された時!フィールドの「ゴルゴニック」モンスターのレベルを全て3にできる!行くぜぇぇ…!オレはレベル3の「ケルベロス」と「グール」、そして「グール」2体でエクシーズ召喚!現れろ!2体の「ゴルゴニック・ガーディアン」!!】

 

「っ…!!」

ベクターの場に実際の戦場でもナッシュ軍を苦しめた魔物が現れる!

 

 

【じっくりいたぶってやるよぉ!!2体の「ガーディアン」でダイレクトアタックだ!!】

 

「ぐっ…ぐあああああっ…!?」

魔物の一撃が容赦なくナッシュを打ち据え、ライフを削る…それはナッシュ軍も甚大なダメージを受ける事を意味していた…!

 

 

【ギヒャヒャヒャ!!これでお前も…お前の軍も!もうすぐ全滅だあああ!ハハハハハハ!!】

ベクターは満身創痍のナッシュを嘲笑う…だが、ナッシュの闘志は…まだ燃え尽きてはいない!

 

 

 

「まだだ…!たとえ、肉体が滅びようとも…神に捧げた魂は…蘇る!!」

 

 

【っ…!?】

剣を支えに立ち上がるナッシュ…その圧倒的な覇気にベクターは圧倒される!

 

 

 

 

「俺のターン!墓地の「ゲイザー・シャーク」2体の効果発動!コイツは墓地に存在する時、エクシーズ召喚の素材にできる!俺は墓地の「ゲイザーシャーク」2体でオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

【なっ!?墓地からエクシーズ召喚だとぉぉ!?】

深淵に眠りし2体の鮫が…海を支配する神を呼び覚ます!

 

73

 

 

「神よ…降臨しろ!!『激瀧神アビス・スプラッシュ』!!」

 

【こ、この状況から「全能の神」を喚び出しただと!?】

ナッシュの場に顕現した神を前にベクターは狼狽する。

 

 

 

「『アビススプラッシュ』の効果発動!エクシーズ素材を1つ使い!バトルの間、攻撃力を2倍にする!!いけ!『アビススプラッシュ』!『ゴルゴニックガーディアン』を攻撃─!!」

 

【さ、させるか!!『ゴルゴニックガーディアン』の効果発動!エクシーズ素材を1つ使い!相手モンスターの効果を無効にし、攻撃力を0に───】

 

「逃がすか!!罠カード発動!『オーバーレイ・ウェッジ』!!フィールドのモンスターがエクシーズ素材を使う効果を発動した時!その効果を無効にする!さらに!このターンの間、フィールドで1番ランクの高いエクシーズモンスター以外はエクシーズ素材を使う効果を発動できなくなる!!」

 

【なにぃぃ!?】

ベクターの悪あがきを封じる為にナッシュは無数の矢を放つ…それにより魔物のORUはただの石と化して地面に転がった。

 

 

「貴様の負けだ!ベクター!!『アビススプラッシュ』!ファイナル・フォール!!」

 

【ば、馬鹿な…!?だが!お前も…()()()()を目に焼き付けるがいい─!!ぐわああああああ!!!】

 

神罰の稲妻が魔物に直撃…ベクターに最大威力の爆発が襲い掛かる。

…だが、それでもベクターは嗤っていた…この後に苦しむ事になるナッシュの表情を想像しながら…。

 

 

 

 

ベクター王 LP0

 

 

ナッシュ王 WIN!

 

 

 

 

 

「…ベクター……勝てた、のか…ぐっ…」

闇のゲームが終結し、ナッシュは膝をつく…ベクターの姿はない…消し飛んだのか、逃げたのかは分からなかったが…ナッシュには確かめなければならない事があった…。

 

 

 

 

 

 

「これ、は…!?」

満身創痍の体を引きずりながら迷宮を脱出したナッシュ…彼が目にしたのは、大地を覆い尽くすベクター軍、そしてナッシュ軍の仲間達の亡骸だった。

…闇のゲームの影響で彼らの命は失われてしまったのだ…。

 

「みんな……そんな…!あれは…!?」

ナッシュはふらふらと戦場を進む…剛力無双の将軍がいた…優秀な軍師がいた…次代を担う若き戦士がいた…だが、彼らはもういない……そして、彼らの亡骸を越えた先にナッシュは信じられないものを見た…。

 

 

「い、イリス…!そんな…何故、お前まで!!」

 

兵士達の亡骸に隠れるように…イリスは倒れていた。

ナッシュが姿を消した事を知り、ナッシュを追いかけてきた彼女も…戦火に巻き込まれていたのだ…。

 

 

「俺は…お前を守ってやれなかった…!いや…俺が、俺が、お前達の命を…奪ったんだ…!!ああ…あ"あ"あ"あ"あ"あ"─!!!」

イリスの亡骸を抱えたナッシュは慟哭する…嘆きの叫びが黄昏の空へと吸い込まれていく…。

 

 

キィン─…

 

 

「こ、これは……」

ナッシュの嘆きが響く中…戦場に光が降りそそぐ、それは魂を導く光…照らされた仲間達の亡骸は赤い光の粒子となって、空へと昇っていく…。

 

 

『皆の魂が往く…バリアン世界へ…』

 

「お兄様…」

 

「璃緒…ドルベ…」

悲しみに暮れるナッシュ…凌牙の後ろに璃緒、そしてドルベが現れる。

 

 

「そうだ…思い出したよ…これが、本当の俺の人生…」

 

「…私も、思い出したわ…本当の記憶を…」

 

『今…わかったよ…なぜ、君が「バリアンのリーダー」として転生したのか……元々小さかったバリアン世界…それをベクターと君の戦いに巻き込まれた魂が成長させたのだ…』

 

「俺が、バリアン世界を…?」

ドルベが納得したように呟く、バリアン世界のリーダーたるナッシュ…彼がリーダーとして選ばれたのは、この戦いによる物だったのだ。

 

 

 

「俺が、バリアン……こんな皮肉な運命があるのか…!?遊馬!アストラル!カイト!……父さん……お前達が戦うべき相手が…この俺だったなんて!!」

真実を知った凌牙は絶望する…人間界で確かな絆を紡いだ勇士と英雄達、彼らに立ち塞がるバリアン…それは自分自身だったのだ…。

 

 

 

 

「俺には、できない…!あいつらとの絆を断ち切る事なんて!!」

 

「お兄様…」

 

『…会いに行こう…我らの、()()()()()に…そこには君の失くした全てがある…』

『神代凌牙』として繋いだ絆と『ナッシュ』として失った仲間との間で揺れる凌牙…彼に決心をつけさせる為、ドルベは彼らを導いた…。

 

 

 

………

 

 

 

「ここは…」

 

『ここが、バリアン世界だ』

凌牙が気付いた時、そこは赤紫色の空が広がる異世界…バリアン世界だった。

 

 

『2人とも、後ろをふり返ってくれ…みんな、君の帰りを待っていたんだ』

ドルベの優しい声と共に無数の光の玉…魂が現れる、その魂達は姿を変え…。

 

 

『王様…!』

 

『おかえりなさい!我が王よ!!』

 

「おうさま!」

 

「お、お前達…!!」

魂の正体はナッシュの仲間達…そしてイリスだった、死してなお、ナッシュを王と慕い…彼の帰還を待ち望んでいたのだ。

 

 

『バリアン世界は我らの魂を繋ぐ奇跡の空間……アストラル世界とバリアン世界の戦いは…どちらかが滅びるまで続くだろう、このままでは…かつての惨劇が繰り返されてしまう…!』

 

「あの時と、同じ…」

 

『君だけが…この戦いを終わらせる事ができる!』

 

「この世界を護るのが…俺の使命…」

 

『そうだ……例え、それが君と遊馬達の絆を断ち切る事になっても…!』

凌牙の魂に突き刺さるのは過去の『悲しみ』…心を縛るのは現在の『仲間』……その時、凌牙の中で…何かが()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺なりのケジメをつけるのが…()()()()…」

気まぐれアンケート 小説内に出てくる「擬音」(シグナーの痣の発光音・爆発音・光の描写etc)についてどう思う?

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