転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!遅くなってすみません!

アストラルを救う為にアストラル世界へと乗り込んだ遊馬…彼はついにアストラル世界の『神』と対峙する!

それでは、最新話をどうぞ!


アストラル世界の神─人は光へ─

「……ここは…」

遊海が気付いた時、そこは見慣れたリビングだった…いつの間にか意識を失っていたらしい…。

 

『ようやく起きたか……泣き疲れて2人して砂浜で眠る馬鹿がいるか、この馬鹿者が』

 

「瀬人…そうか、俺達は……」

 

凌牙と璃緒との決別のデュエルを終えた遊海と翠は砂浜で泣き続けた…その後、2人揃って泣き疲れて眠ってしまい、瀬人と十代に自宅まで運ばれたのだ。

なお、翠は十代とウィンダ達の手で寝室に寝かされている…。

 

 

『……世界中の主要都市で「偽ナンバーズ」が発見され始めた、いくつかの地域で暴動も起きているそうだ』

 

「っ!?…そうか…」

瀬人がタブレットを遊海に見せる、そこには『No.10黒輝士イルミネーター』や『No.16闇の支配者ショック・ルーラー』『No.34電算鬼獣テラ・バイト』『No.56ダーク・ラット』など…明らかな『偽ナンバーズ』の写真が映されていた…。

 

 

『…各地域に散らばっている決闘者達も対応しているが…焼け石に水の状況だ』

瀬人がさらに画像を見せる、そこにはアメリカで奮闘するアメリカ国旗のスカーフを巻いた少年や巨大なワニと共に暴徒達を威嚇するカウガール少女…さらにヨーロッパで暴徒達を抑え込む『聖女』のような少女と『カーバンクル』を連れた青髪の青年、さらに『三極神』を率いて民衆を説得する青年達の姿があった…。

 

 

『…バリアンはハートランドシティを一番に狙うのだろう?……九十九遊馬は間に合うのか?』

 

2()()()帰ってくる…絶対に…!!」

遊海は雲に覆われ始めたハートランドの空を睨んだ…。

 

 

 

 

 

 

Sideバリアン

 

 

 

【完成したぞ…!()()()()()()!!】

 

『ようやくかよ…待ちくたびれたぜ…』

バリアン世界の古城にドン・サウザンドの歓喜の声が響く…時間は掛かったものの、人間界を侵略する用意が整ったのだ…!

 

【今こそ…地上がカオスに包まれる時だ!ハハハハハ!!】

 

『じゃあ早速…蝿野郎に最後のチャンスをくれてやるとするか…!』

邪悪な笑い声を響かせるドン・サウザンド…その声を聞きながらベクターはある人物を呼び出した…。

 

 

 

「べ、ベクター様…!?これはいったい…!」

 

『ククク…それは()()()が作った「偽ナンバーズ」…言わば偽りのナンバーズさ…!』

 

「偽りの、ナンバーズ…?」

ベクターに強制招集されたMr.ハートランドは目の前の装置の中に浮かぶ無数のカード…偽りのナンバーズに驚いている…。

 

 

『コイツを人間界にばら撒く事で…人間共の「負の心」が増幅され…最終的にはバリアン世界と人間界を融合させる事ができるのさ…!!』

   

「お、おおぉぉ!?この偽ナンバーズにそんな効果が…!!」

ベクターから偽ナンバーズの効果を教えられたハートランドは目を輝かせる。

 

『貴様はナンバーズを人間界にばら撒いて来い…そして凌牙やカイトのナンバーズを奪ってこい!成功すれば…お前を「バリアン七皇」の末席に加えてやってもいい…だが!!失敗すれば……わかってるなぁ?』

 

「は、はいぃっ!!せ、誠心誠意…必ず成功させてみせます!!」

ベクターは殺気を放ちながらハートランドを睨む…。

 

 

『それに…カイトやトロンの餓鬼共がお前の仲間から奪ったナンバーズを利用すれば…如何に無能な貴様でも奴らに勝てるさ…!さぁ、行け!!』

 

「は、はい─!!」

ハートランドはベクターから渡された無数の偽ナンバーズを手に人間界へと向かって行った…。

 

 

 

【これで…地球とアストラル世界も終わりだ…!】

 

『だが…このままじゃ、何処かにある「ヌメロン・コード」は手に入らないぜ?』

 

【構わぬ…!アストラル世界さえ滅ぼせれば…我の目的は果たせるのだ…!】

ハートランドが去った後、ドン・サウザンドは嗤う…彼にとってはアストラル世界を滅ぼす事ができれば…ヌメロンコードの在り処を探すのは二の次の事なのだ。

 

 

『そういや、ドン・サウザンド…この「装置」はもう使わねぇよな…?』

 

【むっ…?既に偽りのナンバーズは十分にある…その装置は用済みだ】

ベクターは玉座から偽ナンバーズ量産装置を見つめる。

 

 

『クククッ…!良からぬ事を思いついたぜ……なぁ、ネームレスちゃんよぉ…!』

ベクターは玉座から立ち上がり、黒水晶の中で眠り続けるネームレスを見て邪悪な笑みを浮かべる。

 

 

『最後の最後まで使い潰してやるよ…!待ってろよ?白波遊海…!』

 

 

 

Sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【九十九遊馬が…此処に来たな?】

 

『ええ、あの方は…私達を救ってくれました』

 

【カオスの力を使ってか?】

 

『はい、皆に手を差し伸べてくれました』

アストラル世界・五命星の隠れ家に光の化身がやって来る…彼の目の前にはカオス欠乏による病が治癒した住民達とエナの姿があった。

 

 

【彼は何処に行った】

 

『貴方ならば分かっているでしょう、アストラルを…この世界を救う為に彼が向かうべき場所を…!』

 

【アクル、貴様の差し金か……】

 

『私達は信じているのです、エリファス……彼ならば、この世界を変えられると』

遊馬の行方を問うエリファス…五命星の副リーダーであるアクルは物怖じせず、エリファスを睨んだ…。

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…はぁッ…!!」

  

《クリクリ〜!!》

住民達の治療を終えた遊馬はアストラル世界の王宮を目指して無限に続くかのような階段を駆け上がっていた。

 

アクルからアストラルが囚われているのが王宮である事を聞き、そしてエナから王宮までの抜け道を聞き、なんとか王宮の足元に辿り着いたのだが…王宮までのエレベーターなんてものは無く……遊馬は必死に走っていたのだ。

 

 

「待ってろよ…!アストラル─!!」

必死に息を切らせて遊馬は走る、全ては相棒を救う為に…。

 

 

 

………

 

 

 

「(くっ…くそ……目が、霞んできた…!でも、まだだ…!止まる、訳には、いかないんだ…!!)」

 

《クリクリ〜…》

王宮を走り続けて数時間…遊馬の体力は限界を迎えようとしていた、エナから貰った飲み水も僅かな食料も底を尽き…遊馬は倒れてしまう寸前だった。

…だが、ついにその尽力が報われる時が訪れた…!

 

 

「ぐっ………あれ、は…?」

階段の踊り場に倒れ込む遊馬…そのぼやけた視界が今までとは違う景色を映す。

遊馬の目の前に現れたのは巨大なアストライト結晶の「玉座」…その上には皇の鍵に似た紋章が掲げられている、そしてその玉座の背後…透き通るような水晶の中にはアストラルが静かに眠っていた…!

 

 

「アストラル!!」

探し続けていた友の姿を見つけた遊馬は玉座へと駆け寄る!

 

「アストラル!!オレ…お前を迎えに来たんだ!!目を覚ませよ!アストラル!!……アストラル…?」

必死にアストラルへと声をかける遊馬…だが、アストラルは応えない……眠り続けるアストラル、その左胸には穴が空き、禍々しい闇がその体を蝕んでいたのだ…。

 

 

【無駄だ、アストラルは目覚める事はない…】

 

 

「お前は…!?」

アストラルに声を掛け続ける遊馬…その背後に光の化身が現れる…!

 

【我が名はエリファス、この世界の「理想」を求める者…】

光の化身・エリファスが正体を明かす…白いマントに金色の兜を被った青と黄色のオッドアイの偉丈夫…それがエリファスの本当の姿だった。

 

 

「エナやアクルから話は聞いた…つまりお前がアストラル世界の『1番偉い奴』なんだろ…!なら、話は早いぜ!アストラルをこっから出せ!!」

遊馬は水晶に封じられたアストラルを開放するようにエリファスへと詰め寄る…だが…──

 

 

【それはできない】

 

「な、なんでだよ!?」

エリファスは遊馬の言葉に首を横に振った…!

 

 

【アストラルはバリアン世界を消滅させ、この世界をさらなる「ランクアップ」へと導く為に生まれた…だからこそ、彼は()()でなければならなかった…だが、アストラルは君のカオスで()()()()()()()()…故に、その存在を消さねばならない!!】

 

「オレが、アストラルを穢した…!?アストラルは…アストラルは穢れてなんかねぇ!!」

エリファスの無慈悲な言葉に遊馬は怒りを露わにする!

 

 

「確かに、アストラルは変わったのかもしれない…だけど!!あいつは穢されてなんかない!泣いたり、笑ったり…たまに喧嘩したり……それでも!オレ達は一緒に戦ってきた!!苦しい時も辛い時も…どんな時でも一緒だったんだ!!」

 

遊馬が思い出すのはアストラルとのかけがえのない思い出…出会った時は堅物で感情を見せなかったアストラル…だが、遊馬と共に戦う中で笑いあい、落ち込み、ぶつかり合い…デュエルの中で人間らしい感情を得て、遊馬のかけがえのない相棒となった。

…アストラルは変わった…だが、それは消して悪化したのではない!

 

 

「アストラルは確かに変わった!それはオレとアストラルに『絆』があったからだ!!それを…テメェなんかに分かってたまるかよ!!」

 

【………!】

遊馬の魂の叫びは王宮の空気を震わせる…!

 

「アストラルは…必ず、オレが助ける!!」

 

【君が?どうやって?ただの子供に…何ができる?】

 

 

決闘(デュエル)だ…!!」

 

 

【ほう…】

遊馬は覚悟を宿した瞳でエリファスを睨む!

 

 

「オレの師匠が言ってたんだ…遥か昔、古代エジプトで生まれた『決闘(ディアハ)』は神聖な儀式だったんだって……そして、伝説の決闘者達は自分の運命をデュエルに託してきたんだってな!!」

 

【では…私との決闘にアストラルを賭けると言うのだな?】

 

「そうだ!!」

 

【いいだろう…だが、それと同時に君の中にあるアストラルとの『記憶』も賭けてもらう】

 

「アストラルとの記憶を…!?………上等だ!やってやる!!」

エリファスは遊馬とのデュエルに応じる…しかし、遊馬の中にあるアストラルとの「思い出」も賭けて…。

それでも、遊馬はその言葉に頷いた…全てはアストラルの為に…!!

 

 

【では…これより儀式を開始する…!】

 

「(アイツはこの世界の代表…つまりアストラルぐらいに強い…でも…オレは!!)待ってろよ、アストラル!オレが…必ず助ける─!!」

アストラル世界を治める神を前に遊馬は無謀とも言えるデュエルに挑む…全てを賭けた背水の決闘が始まる!!

 

 

 

 

【「デュエル!!」】

 

 

 

 

デュエルダイジェスト 遊馬対エリファス

 

 

 

 

 

【先攻は貰う…私は永続魔法「神秘のモノリス」を2枚発動!このカードはレベル4のモンスターとしてランク4のエクシーズ召喚の素材となる!】

 

「なっ…!?魔法カードをエクシーズ素材にするだって…!?」

エリファスの場に2枚の石版が現れる、その効果はエクシーズ全盛の人間界でも類を見ない効果だった…!

 

 

【私は「神秘のモノリス」2体でオーバーレイ!2枚のカードでオーバーレイネットワークを構築…エクシーズ召喚!】

2枚の石版が銀河へと飛び込み…異次元のエクシーズモンスターが顕現する!

 

 

 

【現われろ!「NO」(ニューオーダーズ)ランク4!「エーテリック・アヌビス」!!】

 

「ニュー…オーダーズ…!あれがエリファスのエクシーズモンスター…!!」

エリファスが呼び出したのはエジプト神話において「冥界の神」の名を持つ、光輪を背負うジャッカルだった…!

 

 

【私はカードを1枚伏せ、ターンエンドだ】

 

 

 

「いくぜ…オレのターン!!」

エリファスが呼び出した未知のモンスターを前に…遊馬はカードを引く!

 

《クリクリ!!》

 

「虹クリボー…!?一緒に戦ってくれるのか?」

 

《クリクリー!!》

引いたカードはいつの間にかデッキに入り込んでいた「虹クリボー」…彼に背中を押されながら遊馬は勝利の方程式を紡ぐ!

 

 

 

39

 

 

「現われろ!『No.39』!『希望皇ホープ』!!」

遊馬はアストラルとの「絆」でありエースモンスター…希望の戦士を呼び出す!

 

 

【現れたか『希望皇ホープ』…そのナンバーズこそ、君とアストラルとの出会いによって生まれた『異物』だ…!】

 

「…『ホープ』は異物なんかじゃねぇ…!!オレとアストラルの出会いは…イレギュラーなんかじゃない!!この『ホープ』こそがオレとアストラルが育ててきた『希望』だ!!」

 

【ならば…その希望もろとも打ち砕くのみ…!】

 

「くっ…!!(ダメだ、冷静になれ…!心を揺らしちゃダメだ…!!)」

「希望皇ホープ」を異物と言い捨てるエリファスに遊馬は激昂しかけるが…ギリギリで踏み止まって呼吸を整える…。

 

 

「(『エーテリックアヌビス』の攻撃力は僅か1000…絶対に、何か効果があるはず……どうする…!?)」

未知のモンスターを前に必死に考える遊馬…そんな時だった。

 

 

─遊馬、あとは君らしく…()()()()()()をすればいい─

 

 

「アストラル…そうだったよな…!!オレは装備魔法『リバース・ブレイカー』を『ホープ』に装備する─!」

アストラルの言葉を思い出した遊馬はエリファスを倒す為の一手を打つ!

 

 

「そしてオレは『アヌビス』を攻撃!その瞬間『リバースブレイカー』の効果発動!装備モンスターが攻撃する時!相手の魔法・罠ゾーンのカード1枚を破壊できる!そして!相手はこの効果に対して魔法・罠の効果を発動できない!!」

ホープ剣から放たれた光線がエリファスの伏せカードを粉砕する!

 

 

「いっけぇ!『ホープ』!ホープ剣スラッシュ!!」

 

【『エーテリックアヌビス』の効果発動!!魔法・罠ゾーンのカードが破壊された時、ORUを1つ使い!そのカードを復活させる!さらに、そのカードはこのターンに発動できる!】

 

「なんだって!?」

アヌビスがエリファスのフィールドに炎を放つ、そして伏せカードが復活してしまう!

 

 

【私は罠カード「神秘の鏡」を発動!バトルによって私のモンスターは破壊されず、私の受けるダメージは相手が受ける!】

 

「や、やべぇ!!『ホープ』の効果発動!ORUを1つ使い!自身の攻撃を無効にする!ムーン・バリア!!」

エリファスは遊馬の手を先読みしていた、ホープの一撃は巨大な鏡に受け止められるが…遊馬はムーンバリアを発動する事で難を逃れる!

 

 

【ほう…少しはデキるようだな】

 

「当たり前だ!オレのデュエルはアストラルと師匠仕込みだからな!!…オレはカードを1枚伏せ、ターンエンド!」

遊馬が効果を躱した事に関心を持つエリファス…そしてその理由がアストラルにあると知った彼は笑みを浮かべる…!

 

 

【そうか…アストラル仕込みか、だが…君は()()()()()()()!見せてあげよう…アストラル世界における本当のデュエルを─!!】

 

「な、なんだ!?」

エリファスの纏うオーラが変わる…それと共にエリファスは右手を天に掲げる!

 

 

【最強デュエリストのデュエルは全て必然!ドローカードさえもデュエリストが創造する!!】

 

 

キィン─!!

 

「そ、そんな!?その光は!!」

エリファスの掲げた右腕に光が集う!!

 

 

シャイニングドロー!!

それは幾度も遊馬とアストラル…『ZEXAL』を救ってきた希望の力、それが遊馬へと立ち塞がる!

 

 

【アストラル世界のデュエル…それは全て()()()()()()()()()()()()()()!!】

 

「ぜ、全部がシャイニングドローだって─!?」

エリファスの言葉に遊馬は驚愕する、アストラル世界におけるドローは全てが「シャイニングドロー」…名もなきファラオの「望んだカードを引く力」や十代の「カードを引き寄せる力」を上回る…とんでもないデュエルがアストラル世界での「普通」だったのだ…!

 

 

【私は手札から永続魔法『ランクアップ・アドバンテージ』を発動!このカードは自分が「RUM」を使って特殊召喚した時、カードを1枚ドローできる!さらに!そのモンスターが攻撃する時、バトルする相手モンスターの効果を無効にする!そして…私はシャイニングドローで生み出したこのカードを使う!発動せよ!「RUM-アストラル・フォース」!!】

 

「っ…!新しいランクアップマジック!?」

エリファスのフィールドに光が満ちていく…それは果てなきランクアップを目指すエリファスを象徴する新たな「RUM」だった…!

 

 

【このカードはフィールドで最もランクの高いエクシーズモンスターを2つまでランクアップさせる!!私はランク4の「アヌビス」でオーバーレイ!】

 

「一気に2つランクアップ!?」

それは常識を覆すダブルランクアップ…アヌビスが銀河に飛び込み、新たな姿へと進化を遂げる!

 

 

【1体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築…ランクアップ・エクシーズチェンジ!!】

 

 

【現われろ!「NO」ランク6!「エーテリック・アポビス」!】

光輪を背負し「破壊と夜闇」を司る蛇神が現れる!

 

 

【この瞬間!永続魔法『ランクアップアドバンテージ』の効果発動!『RUM』を使ってエクシーズモンスターを特殊召喚した事で1枚ドローできる!シャイニングドロー!!

エリファスは再び新たなカードを創造する!

 

【さらに『アポビス』の効果発動!ORUを1つ使い!相手フィールドのモンスターの攻撃力を2000ダウンさせる!!】

 

「なんだって!!」

さらに続いてORUを取り込んだ蛇神がホープを締め上げ、攻撃力を下げてしまう…!

 

 

【バトルだ!『アポビス』で『希望皇ホープ』を攻撃!そして『ランクアップアドバンテージ』の効果で『ホープ』は効果を発動できない!!】

 

「まだだ!罠カード『ハーフ・アンブレイク』を発動!このターン『ホープ』はバトルでは破壊されず、オレが受けるダメージも半分になるっ、うわああああ!!」

アポビスの放った破壊光線を泡のバリアが受け止める…遊馬はなんとかダメージを最小限に抑える事ができた…!

 

【私はカードを1枚伏せ、ターンエンド】

 

 

 

「ぐっ…これが、アストラル世界のデュエル…!」

 

【そうだ、これがランクアップを目指す者だけができるデュエル…アストラルが受け継ぐべきデュエルだ】

遊馬は常識を超えるエリファスの…アストラル世界のデュエルに圧倒される…!

 

【…だが、今のアストラルにその資格はない…】

 

「確かに…アストラルも最初はお前みたいに石頭だったよ…!でも、あいつは変わったんだ!オレと一緒に色んな事を経験して…!」

 

【…よく、アストラルを見るがいい…あの胸にある()()()()を…!】

エリファスは水晶の中で眠るアストラルを指し示す…。

 

【あれは君がアストラルに付けた()だ、最初は小さな傷だった…しかし、その傷から全身に毒が回り…彼の心は死んでしまうだろう】

 

「っ─!?」

アストラルの胸に空いた「穴」…それはサルガッソの戦いでベクターが開き、その後に「No.96」が突き刺さった疵…そこからカオスの毒が回り、アストラルを蝕んでいたのだ。

 

 

 

「アストラルっ……そんな事ない!アストラルは死なない!!あいつはそんな毒には負けねぇ!!」

 

【何故、そう言い切れる?…良いか?このデュエルはアストラル世界全ての者が見ている、だからこそ…はっきりしておこう…】

エリファスは1度、そこで言葉を切る…エリファスの力によってこのデュエルはアストラル世界全域に中継されていたのだ。

 

 

【君はカオスという『毒』をばら撒いたのだ!エナ達を救ったつもりでいるのだろうが…それは違う!今はいいだろう…だが、いずれ君が与えた力に飲み込まれ…彼らは苦しむ事になるだろう…!我々にカオスの力は無用なのだ!!】

エリファスは頑なに「カオス」の存在を否定する…しかし、遊馬はその言葉に反論する…!

 

「エリファス!!それは違うぜ…お前達は逃げてるだけだ!なんで戦おうとしないんだよ!!戦わないからこの世界の人達はみんな弱ってるんじゃないのかよ!?」

遊馬は知っている…「カオス」には他人を思いやる心も、命を大切にする心も混ざっている事を…カオスのない世界…それは退化も成長もない「行き止まりの世界」に他ならない…。

 

 

【…ならば、君達の世界はどうなのだ?カオスによって多くの人々は苦しみ、失敗を繰り返している…だからこそ、ランクアップできない世界なのではないか?】

 

「そんな事はねぇ!!例え失敗しても…負けてボロボロになっても!諦めずにチャレンジする!!そうだ…!オレ達の世界のみんなは、誰だって『かっとビング』できるんだ!!」

遊馬は拳を握り締めて叫ぶ、確かに人間界は「カオス」や「闇」によって幾度も戦いが起きてきた…だが、それは人々が「より良い世界」を求め、努力を重ねて来た結果…つまり遊馬が信条とする「かっとビング」をしてきたからなのだ。

 

 

【かっとビング……カオスの言葉か、君の父・九十九一馬も同じ事を言った…】

 

「父ちゃんが…!?やっぱりアストラル世界にいたんだ…!!」

エリファスの思いがけない言葉に遊馬は驚く…一馬はエリファスと面識があったのだ。

 

【そもそも…彼をこの世界に招いてしまったのが私の犯した()()()の間違いだ、彼はアストラルが地上に往く為のプログラムを勝手に変更し…アストラルを君に会わせた…九十九一馬が裏切らなければアストラルもカオスに冒される事もなかったのだ…!!】

 

「っ…!?」

アストラルと遊馬の奇跡の出会い…それは「偶然」ではなく、一馬がアストラルを導いた「必然」の出会いだった…エリファスは忌々しげにそう語る…。

 

 

「父ちゃんは…父ちゃんは何処にいるんだ!?」

 

【安心しろ、無事だ…もっとも、自由の身ではないがな…そして()()もだ…!】

 

「っ…!?エナ!アクル!!」

エリファスが空中に手を翳す…すると青い水晶の中にはエリファスの分身体に囲まれたエナや五命星…そして遊馬がカオスを分け与えた人々の姿が映し出された…。

 

 

「どうしてエナ達が…!?あいつらは関係ないだろ!?」

 

【いいや…カオスに触れた者達をそのままにする訳にはいかない…彼らの命運もこのデュエルに懸かっている、万が一…君が勝てば、この世界の価値観は変わるだろう……私に勝つ事はありえないがな…!!】

 

「オレは勝つさ…!アストラルの為に…オレを導いてくれた仲間や師匠の為に…そして助けてくれたエナ達の為に!!絶対に負けられない!!」

遊馬の双肩にさらに重圧がのしかかる…だが、遊馬は闘志を燃やす…自分を信じてくれた人々の思いに応える為に…!

 

「エリファスに出来たのなら、オレにだってできるはずだ…!この状況を覆すドロー…シャイニングドローが!!」

エリファスのドローを見た遊馬は同じように右手に力を込める…だが、遊馬の手は光を纏う事はない…。

 

 

【時間の無駄だ…君がシャイニングドローが出来たのはアストラルの力であって()()()ではない…】

 

「…それでも!オレのデッキは必ず応えてくれる!!それがデュエルモンスターズなんだ…それがかっとビングだ─!!」

エリファスの言葉を聞いた遊馬は雄叫びを上げる…確かに遊馬はただの人間かもしれない、それでも…彼の決闘者の魂は勝利を目指して突き進む!!

 

 

 

 

「オレのターン…ドロー!!…来たぜ、エリファス…!」

 

【なに…?】

遊馬は気合いと共にカードを引く、それは光の軌跡を残さぬただのドロー……だが、それは…──

 

「オレとアストラルのデッキが応えてくれた!!オレとアストラルが創り上げたカード!『RUM-ヌメロン・フォース』発動!!」

 

【なんだと!?】

窮地を脱する『デスティニードロー』となる!

 

 

「このカードはこのターン、フィールド上の表側のカード効果を無効にする!!オレは『希望皇ホープ』1体でオーバーレイネットワークを再構築!!カオスエクシーズチェンジ!!」

遊馬とアストラル…2人の真の絆が生み出した『正しきカオス』が銀河となり、大爆発を起こす!

 

 

39

 

 

「現われろ!『CNo.39』!『希望皇ホープレイ・ヴィクトリー』!!」

 

【この世界を脅かすカオスの力…!!】

アストラル世界を照らす光の爆発と共に赤き希望の皇帝が降臨する!

 

 

「『ヴィクトリー』の効果発動!ORUを1つ使い!このターンバトルする相手モンスターの攻撃力をこのカードに加える!『アポビス』の攻撃力は2500…『ヴィクトリー』の攻撃力は5300だ!!ヴィクトリー・チャージ!!」

希望の皇帝が第3・第4の腕を生み出し、4本の剣を構える!

 

 

「これが、オレとアストラルが生み出した希望!!『ヴィクトリー』で『アポビス』を攻撃!ホープ剣ダブル・ビクトリー・スラッシュ!!」

 

【ぐっ…!!】

4本の剣が蛇神を粉砕…エリファスに大ダメージを与える、残りライフ…1200!!

 

 

「よし…!!これなら…【罠カード発動!『昇華螺旋(アセンション・スパイラル)』!!】なにっ!?」

アポビスを撃破し、安堵する遊馬…だが、エリファスは二の矢を用意していた…!

 

【このターンに破壊され、墓地にあるエクシーズモンスターを除外し…ランクが2つ高いエクシーズモンスターをエクストラデッキから特殊召喚する!!】

 

「墓地から、ランクアップ!?」

それは見方を変えれば罠カードを使った『墓地からのランクアップ』…アストラル世界のデュエルは人間界の常識を上回る!

 

 

【私は墓地の『アポビス』を除外!現われろ!「NO」ランク8!「エーテリック・セベク」!!】

光輪を背負い、巨大な口を持った「鰐の神」が現れる!

 

 

「またランクアップを…!!」

 

【ランクアップし続ける…それこそがアストラル世界が目指す『境地』なのだ…!】

アストラル世界最強を体現するエリファス…彼はさらにその力を見せつける…!

 

 

 

 

【私のターン!墓地の「アストラルフォース」の効果発動!このカードをドローの代わりに手札に加える事ができる!】

 

「『RUM』を引き戻した!?」

 

【私は『RUM-アストラルフォース』を発動!『エーテリックセベク』1体でオーバーレイネットワークを再構築!ランクアップエクシーズチェンジ!!】

 

 

 

 

【現われろ!「NO」ランク10!「エーテリック・ホルス」!!】

エリファスは再びランクアップ…「天空神」の名を持つ赤き神鳥を呼び出す、だが…まだ終わりではない…!

 

 

【私は永続魔法「ランクアップアドバンテージ」の効果発動!「RUM」を使ってエクシーズモンスターを特殊召喚した事でドローする事ができる!シャイニングドロー!!

再び奇跡の光がエリファスの望むカードを創造する!

 

 

【私が引いたのは…2枚目の「RUM-アストラルフォース」!私は「エーテリックホルス」1体でオーバーレイネットワークを再構築!ランクアップエクシーズチェンジ!!】

 

「なっ…!?まさか!!」

 

 

 

 

【現われろ!「NO」ランク12!!カオスよ…その穢れた魂を高貴なる魂で浄化せよ!「エーテリック・マヘス」!!】

 

「ダブルランクアップ…攻撃力、4000…!?」

ランクアップを重ねたエリファスはデュエルモンスターズにおいて最高のランク12のエクシーズモンスター…「王の守護者」たる獅子神を呼び出した…!!

 

 

 

【さらに!再び『ランクアップアドバンテージ』の効果発動!シャイニングドロー!!

四度奇跡のドローを行なったエリファスは遊馬を倒す為の力を開放する!

 

【『エーテリックマヘス』の効果発動!1ターンに1度、ORUとなっているモンスターを全て特殊召喚できる!現われろ!「エーテリックセベク」!「ホルス」!!】

 

「一気に3体のエクシーズモンスターが…!?」

獅子神の導きによって攻撃力3000の鰐神と攻撃力3500を誇る天空神が復活する!

 

 

【さらに私は永続魔法『ランク・ドミネーション』を発動!このカードが存在する限り、ランクを持たないモンスターは攻撃できず!そして攻撃する順番はランクの低いモンスターからになる!バトルだ!「セベク」で「ホープレイヴィクトリー」を攻撃!】

 

「させるかよ─!!『ヴィクトリー』の効果発動!ORUを1つ使い!「セベク」の攻撃力を『ヴィクトリー』に加える!『セベク』は永続魔法『ランクアップアドバンテージ』の効果を受けられない!返り討ちだ!!」

遊馬はエリファスの攻撃を迎撃する…だが、それはエリファスの予測の範囲内だった…!

 

 

【永続魔法「ランクドミネーション」のさらなる効果!モンスター同士がバトルする時、ランクの低いモンスターはその差×1000ポイント攻撃力がダウンする!「ホープレイヴィクトリー」のランクは5、「セベク」のランクは8!よって攻撃力は3000ダウンする!】

 

「なっ…!?『ヴィクトリー』の攻撃力が!ぐううっ…!!」

ヴィクトリーが鰐神の大顎で咬み付かれる…だが、ナンバーズの持つ『ナンバーズとの戦闘以外では破壊されない』効果で持ち堪える…。

 

 

【ランクアップの高貴なる魂を前に…ナンバーズなど無力…!!いけ!「エーテリックホルス」!「ホープレイヴィクトリー」とのランクの差は5!よって「ランクドミネーション」の効果により「ヴィクトリー」の攻撃力は5000ダウンする!】

 

「そんなっ!!ぐあああああっ─!!」

天空神から放たれた神罰の炎と稲妻が遊馬を吹き飛ばす…残りライフは…僅か100となってしまった…!

 

 

 

 

「ぐっ…まだ、オレのライフは…残ってるぜ…!!」

 

【…何故、そうまでして戦い続ける?】

 

「決まってる、だろ…アストラルを…助ける為だ…!!」

神罰の一撃を受け満身創痍の遊馬はなんとか立ち上がり、エリファスを睨みつける…!

 

 

【…そのアストラルを見るがいい…君のライフが減った事により、彼の消滅が近付いたようだ】

 

「っ…!?アストラルを…消滅なんかさせてたまるか!!」

エリファスは水晶の中で眠るアストラルを指し示す…アストラルの体はナンバーズを賭けたデュエルの時のように明滅し始めていた…。

 

 

【九十九遊馬よ、アストラルの存在は確かに消える…だが、アストラルは()()するのだ…これまでの記憶を消去し、「バリアン世界を消滅させる」使命に従順なアストラルとして…!】

 

「そんな……そんなのは…!アストラルじゃねぇぇっ!!」

アストラルを消滅させ、創り変えると言うエリファスのその言葉に遊馬はついに感情を爆発させる!!

 

 

「どうして分かってくれねぇんだ!!誰かを守りたいとか!誰かの為に生きようって気持ちを!!」

 

【君は…アストラルを取り戻した()の事を考えているのか?】

 

「えっ…?」

遊馬の叫びを聞いたエリファスは静かに語りかける…。

 

 

【バリアンとの戦いが終わり…「ヌメロンコード」を見つけ出した時、彼の役目は終わる…()()()、君はどうするつもりだ…?アストラルと共に戦いたいという「純粋さ」はいずれアストラルを失いたくないという「恐怖」に変わるだろう、そしてそれは大きな枷となる…それが原因で君達は敗北するかもしれない、それがカオスの()()()…そんな君に我々の世界を託す訳には……いかないのだ…!】

 

「っ…!」

それはエリファスの結論…「カオス」という『喜び』も『悲しみ』も不要…不安定なモノを全て捨て去った世界…それがエリファスの望んだ世界だった…。

 

 

【この一撃で決着としよう…!「エーテリックマヘス」!「ホープレイヴィクトリー」に攻撃!!この瞬間「ランクドミネーション」と「ランクアップアドバンテージ」の効果発動!「ヴィクトリー」の攻撃力は7000ダウンし、効果は無効となる!さらばだ…!九十九遊馬!!】

 

「アストラル…オレは……オレは…!!」

再び迫る神罰の一撃…遊馬にそれを防ぐ手立ては…──

 

 

 

 

 

《クリクリー!!》

 

 

 

「虹クリボー…!?そうか!!オレは手札の『虹クリボー』の効果発動─!!」

1つだけ、残されていた!!

 

「自分が攻撃される時!手札の『虹クリボー』を相手モンスターに装備できる!そしてそのモンスターの攻撃を封じる!!」

 

【終焉の刻を僅かに伸ばしたか…】

遊馬の手札から虹クリボーが飛び出す…そしてマヘスの体に虹色の光となって巻き付き、動きを封じた!

 

 

【私はカードを1枚伏せ、ターンエンドだ…そしてエンドフェイズに「セベク」と「ホルス」は「マヘス」のORUに戻る】

 

「(悔しいけど…このままじゃ、勝てない…!オレに力を貸してくれ…!アストラル!!)」

遊馬は囚われたアストラルを想いながら…デッキに手をかける…!

 

 

 

「オレのターン…ドロー!!来た…!魔法カード『エクシーズ・トレジャー』を発動!フィールドにいるエクシーズモンスターは2体!よってカードを2枚ドローする!!かっとビングだ!オレ─!!」

遊馬が引き当てたのは最強のドローカード…その1枚が希望を繋ぐ!

 

 

「よし!!魔法カード発動!『ステルス・ストライク』!!このターン、エクシーズモンスターの『ヴィクトリー』の攻撃力を半分にする事で相手にダイレクトアタックができる!!」

 

【なにっ!?】

ホープ剣を構えたヴィクトリーの姿が掻き消える…半分となったヴィクトリーの攻撃力は1400、エリファスのライフを削りきる事ができる!

 

 

「モンスター同士がバトルしなければ『ランクドミネーション』の効果は発動しない!これで勝負だ!!『ホープレイヴィクトリー』でダイレクトアタック!!」

 

【その攻撃…通す訳にはいかない!罠カード発動!『ランク・ウォール』!自分フィールドのエクシーズモンスターのランクが相手モンスターより高い時!その攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる!】

 

「なにっ…!?」

遊馬の起死回生の一手は…バリアによって阻まれてしまう!

 

 

 

「今の攻撃も通用しないのか…!!オレはカードを2枚伏せ、ターンエンドだ!」

 

【遊馬…何故、ランクアップが必要なのか君は未だに理解していない様だな…それはランクアップの先に、誰も見た事の無い()()()()()が有るからだ…!君に見せてあげよう…その奇跡の世界を…!限界を超越した化身!()()()()()のエクシーズを!!】

 

「ランク13のエクシーズモンスター…!?」

エリファスは諦めない遊馬に対し…最強の力を呼び覚ます!

 

 

 

【私のターン!墓地の「アストラルフォース」の効果発動!ドローの代わりにこのカードを手札に戻す!】

RUMを引き戻したエリファスはついに前人未到の領域に足を踏み入れる!

 

 

【デュエルモンスターズの最高レベルは12…だからと言ってランク12が頂点とは限らない!「RUM-アストラルフォース」を発動!「エーテリックマヘス」1体でオーバーレイネットワークを再構築…ランクアップエクシーズチェンジ!!】

獅子神が銀河へと飛び込み…光の大爆発がアストラル世界を照らす!

 

 

XIII

 

 

【限界を超えランクアップし続ける…!それがアストラル世界の目指すデュエルだ!!現われよ!「NO」ランク13!!秩序を制する崇高なる志よ…さらなる高みを目指し、世界をあるべき姿へ!刮目せよ…これぞ我らが意思!!「エーテリック・アメン」!!】

 

「これが、ランク13の…エクシーズモンスター…!!」

それはランクアップを目指し続けるアストラル世界の象徴…「大気の守護神」であり、ラーと習合され「太陽神」としても崇められた光の神が光臨した…!

 

 

 

【遊馬よ、ランクアップは必然の事なのだ…1つの世界が成長するには限界がある、限界の中で閉塞感や閉じた考えが蔓延り、世界を腐らせていく…その限界を超える為にはランクアップが必要なのだ!】

 

「限界を超えるって…なんだよそれ!!お前が言ってるのは『かっとビング』と同じじゃねぇのかよ!?」

 

【それは違うな、ランクアップができるのは()()()()()()()()

限界を超える為にランクアップが必要だと語るエリファス…それは遊馬の信条である「かっとビング」と同じ意味にも取れる…だが、エリファスの言うランクアップとは…選ばれなかった者達を切り捨てるものだった…。

 

 

「じゃあ…()()()()()()()()はどうするんだよ!?それがエナと一緒にいた人達の事なのかよ!あの人達はどうなってもいいってのかよ!?優等生ばかり選んで後は切り捨てる…それってみんな平等に可能性を持てないって事じゃないか!!そんな世界…オレは絶対に認めねえ!!」

エリファスの身勝手な言葉を聞いた遊馬は叫ぶ、エリファスの目指す世界は…あまりにも酷すぎると…!

 

【君に認めて欲しい訳ではない…ただ知ってほしかったのだ、最期に何も知らずに散るのはあまりにも哀れだからな…】

 

 

「……エリファス、お前は全てを知ってるつもりなのかもしれねぇ……なら、知ってるかよ!!人間界にランクアップした魂を持ってる()()()()()()()()()がいる事を!!オレとアストラルと同じ…『ZEXAL』の力を持ってる人がいるって事を!!」

 

【…なんだと…?】

遊馬の思わぬ言葉にエリファスは表情を変える、カオスに満ちた人間界に…ランクアップした魂を持つ者がいるとは知らなかったのだ。

 

 

「その人は…オレの先生は!遊海は!!何度も戦って…何度も何度もボロボロになって!それでも立ち上がって!オレ達の事を導いてくれた!そして誰も見捨てずに、例え悪人であっても手を伸ばし続けた!!あの人はだから強いんだ…!どんな逆境でも諦めないで戦い続けたからあの人は最強になれたんだ!!だから…オレも諦めない!」

 

【っ─!?】

首から下げたカルトゥーシュを握りしめながら叫ぶ遊馬…エリファスはその背後に青き巨人・赤き龍神・黄金の神鳥の姿を幻視する…!

 

 

【諦めない…か…!ならば、それを証明してみせるがいい!私は「エーテリック・アメン」の効果発動!このモンスターの召喚に成功した時!相手フィールドのエクシーズモンスターと自身のランクの差だけ、相手のデッキのカードをこのカードのORUにする!「ヴィクトリー」と「アメン」のランク差は8!よって8枚のカードをORUにする!】

 

「なっ…!?オレのデッキが!!」

アメンから放たれたエネルギーが遊馬のデッキのカードを奪い、自身の力に変えてしまう…!

 

【さらに!「アメン」の攻撃力はORU1つにつき100アップする!元々の攻撃力は5000!ORUは11個…攻撃力6100となる!そして永続魔法「ランクアップアドバンテージ」の効果により…シャイニングドロー!!】

さらにエリファスは5度目の奇跡を発動する!

 

 

【これが最後の攻撃となるようだ…「アメン」で「ホープレイヴィクトリー」を攻撃!さらに永続魔法「ランクドミネーション」の効果で「ヴィクトリー」の攻撃力は8000ダウンし…0となる!これが、ランクアップによる私と君の圧倒的な差だ…!やれ!「エーテリックアメン」!!】

 

「まだだ…オレは…諦めない!!罠カード発動!『パージ・レイ』!エクシーズモンスターの『ヴィクトリー』をリリースし、このターンのエンドフェイズにリリースしたモンスターよりランクの低いモンスターを墓地から特殊召喚する!」

 

【往生際の悪い…!ならば「アメン」でダイレクトアタックだ!!】

 

「まだだ!!墓地の『虹クリボー』の効果発動─!!」

 

【なにっ!?】

遊馬の窮地を救うカード…それは墓地に眠る虹クリボーだった!

 

 

「自分がダイレクトアタックを受ける時、墓地の『虹クリボー』は守備表示で特殊召喚できる─!!ぐあああああっ─!!」

 

《クリクリ…クリー!!》

墓地から飛び出した虹クリボーが虹色のバリアによってアメンの攻撃を受け止める…だが、あまりにも強い攻撃によって遊馬は吹き飛ばされてしまった…。

 

 

 

「すまねぇ、虹クリボー…!助かったぜ…!!」

 

【…私はこれでターンエンドだ】

 

「この瞬間!『パージレイ』の効果発動!墓地から蘇れ…!『希望皇ホープ』!!」

 

【ランクを下げてまでの特殊召喚…愚かな…!】

 

「アストラルを助ける為なら…なんだってやるさ…!絶対に負けねぇぇ!!」

満身創痍の遊馬の叫びと共に希望の戦士が復活する!

 

 

【ならば…「アメン」のさらなる効果発動!相手がエクシーズモンスターを特殊召喚した時、そのランクの差だけ相手のデッキをORUする!「ホープ」とのランク差は9!君のデッキから9枚をORUにする!そして攻撃力は7000となる!!】

 

「くっ…!!」

 

【分かったか?君は…私には勝てない…!】

 

「オレは…諦めない!!アストラル…お前はオレの人生を決めちまった…!お前は、オレの()()なんだ…!だから…オレはお前を失う事はできねぇ…!!負ける訳には…いかないんだあああああ!!」

窮地を前に遊馬はアストラルへの思いを叫ぶ…そして、勝利を求める決闘者の熱き魂が…奇跡を呼び起こす!

 

 

キィン─!!

 

 

【なっ…!?この光は!!】

 

「この感じ…!アストラル…力を貸してくれるのか!!」

遊馬の叫びに呼応するように…その右手に光が宿る、それは紛れもない奇跡の光!

 

 

「いくぜ!!最強デュエリストのデュエルは全て必然!ドローカードさえもデュエリストが創造する!!シャイニングドロー!!」

光の軌跡と共に…絶望を希望に変えるカードが創造される!

 

 

【まさか…!?九十九遊馬…お前は遥かな昔、ドン・サウザンドとアストラルが戦った時の…!?】

エリファスはシャイニングドローを引き起こした遊馬を見て直感した…「九十九遊馬」という存在の起源を…!

 

 

 

「来たぜ…エリファス…!これが、オレとアストラルの絆の力だ!オレは『RDM-ヌメロン・フォール』発動!!このカードは「希望皇ホープ」をランクダウンさせ、新たな『ホープ』を特殊召喚する!!」

 

【さ、さらにランクダウンだと!?】

「ランクダウンマジック」…それが遊馬がエリファスに叩き付ける、魂の答え…遊馬の理想の形…!

 

 

「オレは『希望皇ホープ』1体でオーバーレイネットワークを再構築!ランクダウン・エクシーズチェンジ!」

光となったホープが銀河へと飛び込み、光の爆発の中から新たな姿へと回帰する!

 

 

39

 

 

「現われろ!ランク1『No.39』!希望の光、進化へと突き進む!原初の記憶を解き放て…天衣無縫の力!!『希望皇ホープ・ルーツ』!!」

それは希望の戦士が抱いた原初の光…最弱にして最優の戦士が雄叫びを上げる!

 

 

 

【愚かな…!先程の光、もしやと思ったが…私は「アメン」の効果発動!ランク1の「ホープルーツ」とのランク差は12!よって君のデッキ12枚を「アメン」のORUにする!攻撃力8200となる!!これで君のデッキは0!手札も0!ライフは僅か100!せっかくのシャイニングドローも無駄だったな…!】

 

「いいや…無駄じゃないさ…!オレの…()()()の勝利の方程式は完成してる!!」

 

【なに…?】

不敵な笑みを浮かべた遊馬はエリファスに自分の考えを叩き付ける!

 

 

「エリファス!お前は世界が限界を超える為にランクアップが必要だって言うけど…もしランクアップが必要だって言うのならそれは()()()()()()()()だ!!アストラルはお前なんかとは全然違う…いや、あいつだけじゃねえ!!遊海やカイトにシャーク…オレがデュエルを通して出会ってきた仲間全部、そいつらは全部一人一人苦しんでいた!自分自身と必死に戦っていたんだ!!」

遊馬は自分が出会ってきたデュエリスト達の事を思い返す。

 

 

弟を救う為にナンバーズを狩り続けた男がいた。

 

妹の仇を討つ為に戦い続けた男がいた。

 

子供の為に全てを捨てて走り続けた男がいた。

 

復讐の為に絆を捨てて暗躍した男がいた。

 

そして全てを救う為に命を捨てて奔走した男がいた。

…誰もが苦しみながら、より良い結果を求めて戦っていた…!

 

 

「誰でも心の中じゃ『良い心』と『悪い心』が戦ってるんじゃねえのかよ…!!でも、そこから逃げ出さなきゃ、きっとどんな事でもやり直せる!誰とだって分かりあえる!!一人一人の苦しみも見ないで…何も知らないで!本当の「ランクアップ」なんてできる訳ねぇぇっ!!」

誰にでも「欲」はあり、誰にでも「良心」はある…エリファスは「アストラル世界」全体を見ていても「そこに住む人々」を見ていなかった、例えランクアップしたとしても…誰もいない、存在しない世界など…なんの意味もない!!

 

 

 

「行っけぇ!『ホープルーツ』!『エーテリックアメン』に攻撃!!」

 

【馬鹿な!?攻撃力500のモンスターで私のモンスターに!?】

原初の希望は遊馬の抱いた光を抱え、飛翔する!

 

 

「この瞬間!『ホープルーツ』の効果発動!このカードがエクシーズモンスターとバトルする時、ORUを1つ相手に渡す事で攻撃を無効にし…このターンの間、自身の攻撃力を相手とのランクの差×100の攻撃力になる!ランク差は12…攻撃力1200だ!」

 

【その程度のパワーアップになんの意味が…!?】

 

 

「まだだ!さらにその攻撃力に相手モンスターのORUの()を掛ける!『アメン』のORUは33個…つまり33倍!」

 

【攻撃力39600だと!?…だが、攻撃は無効になっている!!】

超攻撃力を手にしたホープルーツ…しかし、そのバトルは自身の効果で無効になっている。

…失敗と思われた遊馬の一手…それは…!

 

 

「それはどうかな!!」

 

 

【なに…!?】

勝利への布石に他ならない!!

 

 

「速攻魔法『ダブル・アップ・チャンス』発動!モンスターの攻撃が無効になった時、そのモンスターはもう一度攻撃でき…その攻撃力は2倍となる!!」

 

【攻撃力…79200だとぉぉ!?】

原初の希望が魂を燃やす…『例え失敗しても、何度でも挑戦すればいい』…遊馬のかっとビングが限界のその先をこじ開ける!!

 

 

「これが!アストラルとオレが経験してきたデュエルの結晶!『ホープルーツ』の最後の攻撃!ホープ剣ルーツスラッシュ!!」

 

【これが…アストラル世界を導く、新しき「光」──】

 

 

原初の希望が歪んだ理想を両断する…それは小さな光が新たに世界を照らす「太陽」となった瞬間だった…。

 

 

 

 

エリファス LP0

 

遊馬 WIN!

 

 

 

 

 

 

「オレ…勝った、のか…?」

 

【遊馬…どうやら、()()()()は終わったようだ】

 

「エリファス…」

遊馬に敗北したエリファス…彼はどこか吹っ切れたような柔らかな笑みを浮かべていた…。

 

 

キィン…キィィン─!!

 

 

「この光は…!?」

 

【神聖なる「儀式」を経て…アストラル世界に新たな決断が下されたのだ】

王宮に世界に光が満ちていく、それはエリファスと遊馬のデュエルを見守っていた人々の「決意」の光だった。

 

 

 

 

Sideエナ

 

 

 

『みんな…遊馬が私達に力を与えてくれたように、今度は私達が遊馬に力を与える番です!』

 

『アストラルへと届けよう…我らの光を…!』

エナとアクルの言葉と共にアストラル世界の人々が自分達の力の一部…純粋な「希望の光」を解き放つ、1つ1つは小さな光…それが王宮で眠るアストラルへと届けられていく…。

 

 

 

Side out

 

 

 

アストラル世界中からアストラルに集う希望の光…遊馬とアストラルを思う希望が彼の体を蝕む毒を浄化していく…そして…。

 

 

ピキピキ…パリーン…!

 

 

「アストラル…!?」

アストラルを封じていた水晶が光と共に砕け散る…その光の中から、長き眠りから目覚めたアストラルが現れる。

 

 

(遊馬、心配をかけてすまない…)

 

「アストラル…!お前…!!」

アストラルは静かに遊馬の手を握る…。

 

 

(感じるよ…君の鼓動を…暖かな温もりを…)

 

「ば、馬鹿野郎ぉぉっ!!」

 

(遊馬…)

遊馬はアストラルに涙を流しながら抱き着く…離れてしまった絆をもう一度、結び直すように…。

 

「もう離さないからな!絶対に離さないからな!!だから…何処にも行かないでくれよ!!アストラル──!!」

堰を切ったように遊馬は泣き続ける…アストラルはそんな遊馬を優しく宥めた…。

 

 

 

………

 

 

 

 

(君の声はずっと聞こえていた…その体…ずいぶんと無茶をしたようだな?)

 

「へへっ!こんな傷、全然へっちゃらだぜ!」

ようやく泣き止んだ遊馬をアストラルが労う…傷だらけの体を見ただけでアストラルは遊馬の経験した苦労を感じ取った…。

 

 

 

ゴロゴロ…ビシャアアン!!

 

 

「っ!?なんだ!?」

 

【どうやら…再会を喜んでいる時間は無いようだ…!】

 

突然、アストラル世界に雷鳴が鳴り響く…それは新たな戦いの幕開けを示していた…!

 

 

 

 

「な、なんだありゃ!?」

 

【…バリアン世界に強大な力が蘇ろうとしている…!】

王宮のバルコニーに飛び出した遊馬達が見たもの…それはアストラル世界の果てに現れた紅い光の柱だった…!

 

 

【まさか…封印されし『バリアンの神』ドン・サウザンドが目覚めようとしているのか…!?】

 

「ドン…サウザンド…?」

 

(遥か昔…私が戦い、相討ちに近い形で倒した相手だ…!)

聞き慣れない名前に首を傾げる遊馬にアストラルが補足する…。

 

 

【アストラル、これだけの力…人間界にも影響が出ているだろう、一刻も早く地上に戻るのだ…コレを!】

 

(これは…)

エリファスは事態を察し、アストラルに人間界への道しるべとなるカードを託す。

 

 

【アストラル世界は遊馬の力によって生まれ変わったが…「バリアン世界の脅威からこの世界を救う」という君の使命は変わっていない…】

 

(必ず見つけて見せる…!私と遊馬で()()()()()を!)

 

「ああ…やってやる!」

遊馬とアストラルは決意を新たにする…!

 

 

【さぁ…往くがいい!これは餞別だ!】

 

キィン─!

 

「皇の鍵…!……あっ!?」

エリファスが遊馬の胸に手を翳す…すると失われた「皇の鍵」が復活した…。

…だが、それと同時に遊馬はアクルから頼まれた事を思い出した…!

 

 

「エリファス!最後にもう1つ、頼みがあるんだ!!」

 

【時間はあまりない…頼みとはなんだ?】

 

 

 

「アクルの仲間…五命星の最後の1人…シーカーって奴を開放して欲しいんだ!!」

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