転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
『えっ?S,Kはどうしたって?…今頃は良い夢を見てるんじゃないかな?その代わりに私が語り部をやらせてもらうよ…実はやってみたかったんだ!』
『では…こほん、勇士の話をするとしよう……無事にアストラル世界から帰ってきた遊馬とアストラル、蝿の怪人を倒した彼らの前に、思わぬ敵が現れる…!』
『こんなところかな?さぁ、物語の始まり始まり〜』
《マーリンシスベシフォーウ!!(勝手に前書きを乗っとるな─!!)》
『ドフォウ!?』
─スピ〜……─
プロローグ〜皇の帰還〜
ギィン─!
「な、何が起きようとしてるんだ…!?」
バリアンの尖兵となったMr.ハートランドを倒した遊馬とアストラル…その時、人間界とバリアン世界を繋ぐ光の柱が不気味な光を放ち始めた…!
キィィィィィン──!
「な、なんだぁ!?」
光の柱が一際強く輝く…その内から青・白・水・紫・赤・緑・黄色の閃光が飛び出した!
「うわわわっ!?」
《い、いったい何事でアリマスカ─!?》
七色の閃光はハートランド港を破壊しながら遊馬達の周囲を飛び回り、コンテナの上に着地する!
「くっ…!?あれは…!!」
港を覆っていた砂煙が晴れていく、その奥から現れたのは人間体のバリアン七皇……彼らの中には思いがけない人物の姿があった…!
「し、シャーク…!?お前…?!なんで…なんでバリアンと一緒にいるんだよ!?」
「凌牙…!?」
「璃緒さん!?」
【………】
砂煙の中から現れた七皇…その中心にはバリアンのペンダントを下げた凌牙…そして璃緒の姿があった…。
予想外の事にⅣ、そして璃緒に恋心を抱いていた鉄男が困惑する…。
【
凌牙は昔を懐かしむように空を見上げた後、自身の真名を名乗る…!
【オレは…ナッシュ!バリアンのナッシュだ!!】
「はっ…!?バリアンの、ナッシュ…!?」
「ど、どういう事なの!?」
(………!!)
凌牙…ナッシュの名乗りに困惑する仲間達…その中でアストラルだけは疑念が解決した表情をしていた…。
「し、シャーク!なに言ってるんだよ!?お前が、バリアンだなんて…!そんな…そんな事…!なんとか言ってくれよ!!シャーク!!」
【…まだ、わからないのか…なら…証拠を見せてやる!】
凌牙がバリアンである事を信じられない遊馬…ナッシュはその証を示す…!
【これが…俺の本当の姿だ!!バリアル・フォーゼ!!】
「「「「「「バリアル・フォーゼ!!」」」」」」
ナッシュが天に拳を突き上げる…それは偽りの肉体を捨て、真の姿へと変じる鍵……港は閃光に包まれる!
【我ら…バリアンの七ツ星!!】
光の中から深紫色の肉体を持つ怪人が現れる、そしてそれぞれに名乗りを上げる…!
『真の『銀河眼』使い!ミザエル!』
誇り高きドラゴン使い…
『全てのモノは我が手の中…!ギラグ!』
全てを掌握する軍師…
『唸る拳が神をも砕く!アリト!』
神を砕く拳闘士…
『ジャジャーン!オレ、ベクター!』
全てを弄ぶ魔人…
『灼熱の太陽すら瞬間凍結…氷の剣!メラグ!』
鋭く冷たい氷の麗人…
『バリアンの白き盾!ドルベ!』
王を補佐する堅実なる戦士…そして…!
【そして俺が…バリアンの七皇を統べる者!ナッシュだ!!】
七皇を統べるバリアンの「王」…それがナッシュだった…!
「そ、そんな…!?お前が、バリアンの、ナッシュ…!?」
バリアン体へと変身した七皇…そして凌牙と璃緒の姿を見た遊馬は動揺する…バリアン体となった事でナッシュの言葉は本当だったと理解したのだ…。
(シャーク…やはり第6の遺跡の記憶は君の本当の記憶だったのか)
「アストラル…!?本当の記憶って、どういう事だよ!?」
アストラルの呟きを聞いた遊馬が問いかける…アストラルは第6の遺跡でナッシュの記憶を垣間見ていたのだ…。
(私が見たビジョンは、シャークが一国の『王』であった姿…おそらく、その魂がバリアン世界に転生し…今の彼となったのだろう…!)
「そんな、馬鹿な…!?シャークの『魂』が昔の王様の生まれ変わり…!?けど…!バリアンに生まれ変わったなら、なんでまた人間になって…?」
(わからない…だが、分かっている事は……彼は我々の『敵』になったという事だ…!)
「そんな…!!」
何故、ナッシュがバリアンから再び人間になってしまったのかは今の遊馬達に知る術はない…分かっているのは最高の仲間が…最強の敵に回ってしまったという事実だけだった…!
「なんで…なんでだよシャーク!仲間同士のオレ達が…どうして戦わなきゃいけないんだよ!?」
【遊馬…これは決まっていた事なんだ…そう、俺とお前の
「運命…!?ふざけんじゃねぇ!!お前…お前達が良くても!遊海は…翠さんはどうなるんだよ!?お前達を必死に守り続けてくれた、あの人達を裏切るのかよ!!」
【っ……】
『ナッシュ…』
遊馬の言葉にナッシュは思わず拳を握り締める…遊馬は知っている、遊海と翠がどれほど凌牙と璃緒を大切にしてきたのかを…!
ドン!!
「「【っ!?】」」
ナッシュが言葉を言い澱んだその時、遊馬達の背後に何者かが轟音と共に着地する!
「遊馬、心配は無用だ……既に別れは済んでいる!!」
「遊海…!!」
【白波、遊海…!!】
砂煙が晴れる…そこにいたのは鋼の鎧に無数の傷を刻んだ遊海だった…!
「すまん、街の人達を避難させるのに時間が掛かった……よく帰って来たな遊馬、アストラル」
「遊海…」
ゆっくりと遊馬の隣に並んだ遊海は優しく遊馬の頭を撫で…バリアン達を睨みつける!
「ついに現れたな、バリアンの王よ!!言ったはずだ…お前が人間界の敵となるならば…俺は容赦しないと!!」
【っ…!!】
『(なんて殺気だ…フツーの人間が出せるモンじゃねぇ…!本当に手負いかよ…!?)』
遊海は殺気を開放…七皇達に重圧がのしかかる!
「ゆ、遊海!待ってくれよ!あそこにいるのは、アンタの…」
「…遊馬、俺達と…ナッシュとメラグの道は分かたれた……目の前にいるのは、倒すべき…敵だ!!」
【そうだ…オレはナッシュ…!お前の敵だ!!白波遊海!!】
「そんな…!?」
遊海は大剣『決闘の守護者』の切っ先をナッシュに向ける…そしてナッシュもオーラを開放…2人の殺気がぶつかり、強風が吹き荒れる!
「やめろ…やめてくれよ2人とも!!オレは…オレとシャークは仲間だ!!オレはデュエルを通じて魂をぶつけあって…
「遊馬…」
睨み合う遊海親子の間に割り込み、遊馬はナッシュへと叫ぶ…その時だった!
キィン─!
キィン─!
『この光は─!?』
「共鳴…!?」
突然、遊馬の『皇の鍵』とナッシュの『バリアンのペンダント』が共鳴…激しい閃光が周囲を包み込む…!
「(こ、この記憶は─!?)」
【(これは……そうか、お前達も世界を背負って──)】
その刹那、遊馬とナッシュはお互いの記憶を垣間見る…。
遊馬はナッシュの歩んだ『王の記憶』…そして悲壮な決断を…
ナッシュは遊馬が変えた『アストラル世界』の記憶を…そして2人は…──
「うわああああ─!?」
【ぐうううっっ…!!】
「遊馬!」
『ナッシュ!!』
共鳴から開放された遊馬は仰向けに倒れ込み、ナッシュは膝をつく…お互いの記憶を見た事で強い負荷が掛かってしまったのだ…。
「シャーク、おま、え……ぐっ──」
「遊馬…!?遊馬!!」
「心配するな…!疲れて気を失っただけだ」
遊馬はアストラル世界からの連戦疲労によって気を失ってしまう…遊海はそれを見てバリアンに向き直る…。
「(此方は手負いが2人…流石に俺一人で七皇を押さえるのは…
油断なくバリアンを睨む遊海…その時!
「遊海殿、逃げるのもタクティクスのうちですじゃ…!此処は引いてくだされ!!」
ボフン!!
『な、なんだこれは!?』
七皇の足元に無数の煙玉が命中…周囲が煙幕に包まれる!
「(引くしかない…!)お前達!撤退だ!!」
「遊海さん!遊馬を頼みます!オービタル!カイトを!!」
《か、カシコマリ!!》
煙幕に乗じる形で遊海達は撤退した…!
【くっ…!?七皇達よ!奴らを追え─!!】
煙幕の消えた港にナッシュの指令が響き渡った…!
「クリス!!俺の事は気にするな!全速力で走らせろ─!!」
「言われずとも!!」
七皇の手から逃れた遊馬達はⅤの運転する大型ジープで無人のハートランドを疾走する…遊海は慣れた様子でジープの屋根に乗っている。
「遊馬…ここまでよく頑張った…カイトもだ…少しでも傷を癒せ…!」
遊海はジープを包み込むように回復魔法を使い、傷付いたカイトと遊馬を癒やす…。
「お、追手は来てないようですが…」
「油断するな…!来るぞ!!」
七皇を振り切った事に安堵する等々力…だが…!
《マスター!ミザエルが迫って来ます!》
「流石に速い…!!」
『見つけたぞっ!!』
ジープの背後から短距離転移を繰り返しながらミザエルが迫る…その時だった!
「うおりゃああああ!!」
『なにっ!?ぐっ!!』
ジープに迫るミザエルに無数の砲弾が迫り…ミザエルは慌ててシールドを張る!
『何奴…!?』
「おれは…アンナだ!!この身に換えても…遊馬には指一本触れさせねぇ!!」
「あ、アンナ─!?」
襲撃者の正体…それは飛行砲台で駆けつけた暴走少女・アンナだった…しかし、それだけではない!
『くっ…小娘だろうと容赦はせんぞ!』
「容赦しない?それは─「こっちの台詞だ!!」ふぁっ!?」
ハートランドに響く堂々とした声…その正体は…
「今日も正義の大盤振る舞い!エスパー・ロビン…仲間の危機にただいま参上─!!」
「風也くん!!」
「…遊馬、お前の紡いだ『絆』が…お前を助けに来てくれたぞ…!」
それは遊馬の紡いだ絆の証…世界の危機を知った仲間達が遊馬の為に駆け付ける…そして…
「Ⅴさん…止めてくれ、どうしても…行かなきゃならないんだ…!!」
「鉄男……わかった」
Ⅴは車を止め、鉄男を車から降ろす…。
「鉄男…」
「……待っててください、遊海さん…!必ず、璃緒さんを連れ戻します…!!」
鉄男は覚悟の眼差しで遊海を見つめ、駆け出した…。
Side???
「バリアンよ…この先は通さんぞ!」
「覚悟するんだな」
『チッ…さっきの煙玉はお前らの仕業か…!』
とあるビルの上…そこでギラグ、そして遊馬の師匠である六十郎と兄弟子の闇川が対峙する!
「我が弟子を追いかけたくば…我らを斃してゆけ…!」
『ケッ…おもしれえ…!!望み通りぶっ潰してやる!!』
カキーン!!
『なんだ!?』
「おっ…ナイスキャッチだな…!」
とあるスタジアムを探索していたアリトにライナーの打球が飛んでくる…そこにいたのはゴーシュだった!
『貴様…!どういうつもりだ!?』
「お前の行く手を阻むんだよ!」
『貴様…確かハートランドの部下だった女か…仲間の為に身を挺して戦うか?』
「ここから先は…通さない!」
風力発電施設ではドルベとドロワが火花を散らす…!
『来たのね…仲間を逃がす為?貴方らしいわね…』
「俺はいつだって俺です!そして璃緒さん…それは貴女も同じだ!」
懐かしき学び舎…ハートランド学園でメラグと鉄男が向かい合う…!
『残念だけど…貴方の前にいるのはメラグ…!璃緒はもういないの…』
「璃緒さんは…璃緒さんです!!俺は…遊馬と遊海さんの所に貴女を連れて帰るんだ!!」
Sideout
「止まれ!クリス─!!」
「っ…!!ナッシュ!」
「先回りされていた!!」
順調に逃げ続けるジープ…その前にナッシュが現れる!!
「ここは…オレが食い止める…!」
「…トーマス…」
ナッシュを食い止める為、Ⅳがジープから降りる…!
「待て、Ⅳ…お前を戦わせる訳にはいかない…!奴は…お前が唯一『友』と呼んだ男だ…!そんな男と戦えるのか…!?」
「…だからこそ、オレが行かなきゃならねぇ…!遊馬が動けず、遊海さんには2人の回復に専念してもらいてぇ…今、奴の心を動かせるのは…オレだけなんだ…!!」
Ⅳを制止するⅤ…だが、Ⅳは強い覚悟を以て答える…!
「くっ……わかった、なら…これを持っていけ!」
「これは…兄貴の開発していた『対バリアン』の切り札…!完成してたのか…!」
Ⅴが手渡したカード…それはアークライト兄弟の『希望』の力…。
「ただ…「わかってる…これがあれば充分だ」…そうか」
Ⅴが口にしかけた言葉をⅣは止める…それは『決死の覚悟』の現れだった。
「遊海さん…遊馬の事は頼んだぜ?オレもすぐに…凌牙の首根っこ捕まえて追いかけるからよ」
「……此処は任せたぞ、トーマス」
「フッ…アンタに任せられるのは…始めてだな」
Ⅳを残し、ジープはその場を離れる…覚悟の男の背中に全てを託しながら…。
《マスター…
「そうか…!アストラル、これを!!」
(っ…!?このナンバーズは!?)
Ⅳの姿が見えなくなった頃…気配を感じた遊海はアストラルへ隠し持っていた「No.24・37・38・78・95」の5枚を託す…。
「すまん、ちょっと訳があってな……アストラル、遊馬に伝えてくれ…『お前はお前のままでいい』と…どんなに辛い事があっても『かっとビング』を信じろと…!!」
(遊海…貴方は……!)
「世界を、頼んだ…!クリス!全速力で走れ!俺はここまでだ!!…決して振り返るな!!」
「っ!?遊海さん!?」
アストラルに言葉を託した遊海はジープから飛び立つ…そして…!
バキン─!
『あはははは…あはははは──!!』
「雪……いや、ネームレス!お前は、俺が倒す!!」
ジープの真上で漆黒の鎌と大剣が衝突…凄まじい衝撃波でビルの窓が砕けていく…!
「翠を傷付けた借りは…返させてもらう!!」
『やれるなら、やってみなよ…!!』
それはまさに『決闘戦線』…世界を救う為に、デュエリスト達が立ち上がる!!