転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!遅くなってすいません!

ⅢとⅤの必死の足止めによって無事に旅立つ事ができた遊馬とカイト…。

しかし、遊馬の前に混沌に侵された拳闘士が立ちふさがる!


それでは最新話をどうぞ!




※7/17追記

アンケートの結果、リクエストのある方が一定数おられたので、活動報告にて『第4回リクエストアンケート』を開催いたします!皆様のリクエストをお待ちしています!

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=264294&uid=206572


闇に飲まれた拳闘士〜呪縛を砕け!〜

「Ⅲ…Ⅴ…!ああ…うああああ"あ"あ"…!!」

 

「遊馬…!グスッ…」

 

(遊馬……)

人間界における哀しき決着から時は戻る…異次元を飛ぶ飛行船は悲しみに包まれていた、自身とカイトに希望を託し、散っていったⅤとⅢ…その死は、遊馬達にとってあまりにも重すぎた…。

 

だが、遊馬には悲しみに暮れる時間はない……何故なら──

 

 

ギィン─!!

 

 

(っ…何か来る!!)

アストラルが禍々しい力の波動を感じ取る…それと共に赤い閃光が飛行船の前に立ち塞がった!

 

 

「な、なんだ!?」

 

『おおおォォォ!!遊馬ァァァ!!』

 

《オオオオオオ!!》

 

「あ、アリっ─!!?」

赤い閃光…その正体は『彗星のカエストス』を従えた七皇の1人・アリトだった…!

 

 

《オオオオオオッ!!》

 

 

 

ガッシャーーーン!!

 

 

 

「う、うわあああああ!?」

 

「きゃああああ─!?」

 

(遊馬!小鳥─!!)

 

カエストスは雄叫びと共に飛行船を殴りつける、凄まじい衝撃によって遊馬と小鳥は異次元に投げ出された…。

 

 

 

 

………

 

 

 

 

「う、うぅ…ここは…?」

 

「何が…起きたの…?」

 

(遊馬、小鳥…気が付いたか…!)

遊馬と小鳥が目を覚ます…そこは夕日に照らされた砂漠、そして無数の道路の残骸が散らばる廃墟だった…。

 

 

「ここは、いったい…!?」

 

(おそらく、異次元の狭間……っ、来るぞ!!)

 

キィン─!

 

突然の事態に戸惑う遊馬…その前に赤い光が轟音と共に落下する…。

 

 

 

 

『オレを放っておいて…何処に行くつもりだ?遊馬ァ…!お前との決着はまだ着いてねぇ!!』

 

「アリトっ…!!」

赤い光の中から現れたのは邪悪な笑みを浮かべたアリトだった…!

 

 

「っ……アリト!オレは、お前と戦うつもりはねぇ!!」

遊馬との戦いを望むアリト…だが、遊馬は戦うつもりはないと伝える…。

七皇の真実を知った今、遊馬が戦うべき相手はドン・サウザンドただ1人なのだ。

 

 

『ヘッ…いつから仲間の仇も討てない腰抜けになったんだぁ?あの()()()()も…これじゃあ浮かばれないぜ…』

 

「…それじゃあ…ゴーシュを倒したのは…!!」

 

『ははっ…なかなか熱い奴だったが、今のオレの敵じゃねぇ…』

 

「アリト!!あいつは…ゴーシュは!子ども達の『希望の星』だったんだぞ!!」

 

「希望…?ああ…そんな戯言、言ってたなぁ…まぁ、その希望諸共…オレが潰してやったけどよぉ!!」

 

「あ、アリト…!てめぇぇ!!」

アリトはハートランドでゴーシュと戦った、子ども達の希望を背負って最後まで熱く戦ったゴーシュ…だが、アリトはその覚悟を…希望を踏みにじる…!

 

 

 

「アリト!お前、どうしちまったんだよ!!オレと熱いデュエルをしたお前は…そんな奴じゃなかったはずだ!!」

 

『寝言を言うなよ…!オレはオレだ!!』

遊馬はアリトへと叫ぶ…その脳裏に蘇るのは互いの魂を賭けた『熱き決闘』の記憶…しかし、今のアリトにその面影を重ねる事はできなかった。

 

 

(アリト…君はゴーシュと()()だ、かつての君は子ども達に希望を与える存在だったはずだ!)

 

『…あの()()の記憶を言ってるのか?』

 

(そうだ)

 

『あの遺跡に描かれた記憶……』

 

(あの遺跡の記憶こそ…君の本当の記憶のはずだ…!)

アストラルの言葉にアリトは朧げに思い出した記憶を思い返す。

 

 

拳闘士としてコロッセウムで勝利を飾る姿…

 

コロッセウムに響く子ども達の声援…

 

それに応える自分…

 

 

その光景はアリトの『魂』に刻まれていた…。

 

 

(君が与えた希望は…ゴーシュと同じだったはず!!)

 

『(オレがみんなに、希望を……?)』

アストラルの言葉で思い出すかつての『希望』…だが、それは…

 

 

ドクン

 

 

【惑わされるな…お前にあるのは『呪いの過去』だ…!思い出せ…お前が殺された憎しみを!!】

アリトに宿る『呪い(ドン・サウザンド)』が輝く希望を黒く塗り潰す…!

 

 

 

『…そうさ…あの忌まわしい過去があるから、オレはバリアンへと生まれ変わった!!これが…オレの本当の姿だ!!』

憎しみに駆られたアリトはカオスの力を纏い、バリアン体へと変身する!

 

 

『さぁ…デュエルだ!!』

 

「止めろ!アリト!オレは…オレはお前と戦いたくない!!」

 

『まだそんな事を言ってやがるのか!!だったら…これでどうだ─!!』

 

ギィン─!!

 

「えっ!?きゃあああああ!!」

 

(「小鳥!!」)

戦う様子を見せない遊馬、その態度に業を煮やしたアリトはバリアンの力で地面から飛び出した茨の塔へ小鳥を閉じ込める…それは以前のアリトならば考えられない行動だった!

 

 

 

『どうだ?これで少しはやる気になったかい…?』

 

「アリト…!お前、そこまで心が荒んじまったのかよ!?」

 

(……遊馬、デュエルだ!今のアリトには…何を言っても無駄だ…!)

 

「仕方がねぇ…デュエルだ!アリト!!」

憎しみの呪縛に囚われたアリト…彼を止め、人質となった小鳥を救う為…遊馬は剣を取る!!

 

 

 

 

『「デュエル!!」』

 

 

 

 

 

デュエルダイジェスト 遊馬&アストラル対アリト

 

 

 

 

 

39

 

 

「現れろ!『No.39』!『希望皇ホープ』!!」

先攻を取った遊馬は白き希望の戦士を呼び出す!

 

「オレはカードを1枚伏せ、ターンエンドだ!!」

 

 

『さっそく現れたか「ホープ」…!だが、今日のオレは…ひと味違うぜ!!』

 

────!!

 

(これは…!?)

希望皇ホープを前に闘志を…否、憎悪を燃え上がらせるアリト…アストラルはその姿に『邪悪な何か』を感じ取る…!

 

 

「な、なんだ…!?この感じ…?」

 

(遊馬…!?君も感じるのか?)

 

「ああ、何か『魔物』でも取り憑いてるみたいな…なんだか、ヤバい気配が…!」

 

(魔物…)

決闘者として成長した遊馬も邪悪な気配を感じ取る…そしてアリトはバリアンの力を見せつける…!

 

 

 

『呪われし過去が、オレの拳を漆黒に染める!!オレの拳が切り開くのは…悲しみの闇地獄!!オレのターン!ドロー!!』

アリトの拳に闇が集い、混沌をもたらす1枚を引き寄せる!

 

 

『きたぜ…!お前達をぶっ潰す1枚が!!「RUM-七皇の剣(ザ・セブンス・ワン)」発動!!』

 

 

(な、なんだ…!?あのカードは!?)

アリトが引き当てたのはナッシュが目覚めさせた『七皇の新たな力』……遊馬とアストラルは人間界で暴威を振るったその力を初めて目の当たりにする…!

 

 

 

『このカードが七皇の力だ!このカードはオーバーハンドレットナンバーズをエクストラデッキ・墓地から召喚条件を無視して特殊召喚し、さらにカオス化させる!!』

 

「なんだって!?」

それはまさに「最強の1枚」…アリトのフィールドで闇の大爆発が起きる!

 

 

105

 

 

『現れろ!「CNo.105」!!その姿、まさに「BK(バーニング・ナックラー)」の絶対王者!「BK-彗星のカエストス」!!』

混沌の炎を纏い、最強の拳闘士が現れる!

 

 

 

(馬鹿な…!?一気にカオス化だと!?……この、感覚は……まさか、そういう事か!?)

 

「ど、どうしたんだ!?」

一気にカオス・オーバーハンドレット・ナンバーズを呼び出したアリト…その姿を見たアストラルの中で今までの疑問が1つに繋がった…!

 

 

(今までは感じ取れなかったが…バリアン世界との融合が始まり、今ならばハッキリと感じる……!オーバーハンドレットナンバーズは、()()()()()()()()()()で作り出されたカードだ!!)

 

「ど、ドン・サウザンドの!?」

以前、アストラルはアリトのオーバーハンドレットナンバーズの回収に失敗した事があった…それは『No.96』の力が無かったせいでも、特殊な力に邪魔された訳でもない。

…そもそも「オーバーハンドレットナンバーズ」は『アストラルの記憶』ではない…むしろその逆、バリアンの神が創り出したカードだったのだ…!

 

 

 

(そこにいるのか…!姿を現せ!ドン・サウザンド!!)

 

「えっ…!?」

 

【『フフフ…!やっと気づいたか、久しぶりだなぁアストラル…!そして九十九遊馬よ…!』】

 

「あれが、ドン・サウザンド…!?」

ドン・サウザンドの気配を感じたアストラルはアリトへと叫ぶ…その時、アリトの体から漆黒の炎が燃え上がり、巨大な魔神の影を映し出す…!

 

 

「そうか…!お前がアリトを操って!!」

 

【此奴は我が力を取り戻す為に蘇らせた「魂」の1つ…】

 

「なんだって…!?」

ドン・サウザンドは不気味な声でアリトを…七皇を操っている事を認める…!

 

 

【九十九遊馬、恨むならアストラルを恨むがいい…この戦いの全ての発端は『理想』より『混沌』を引き剥がしたアストラル世界の愚かな決断にあるのだからなぁ…!】

 

(アストラル世界は、より高次な世界を追求したに過ぎない!!)

 

【それが()()だと言うのだ、理想と混沌…コスモとカオスは表裏一体なのだ…!】

 

(それでも!アストラル世界はカオスを乗り越える道を選んだ!!)

 

【フン…まぁ良い…貴様達には感謝している、我のカオスはアストラル世界という『閉じた世界』では窮屈だった……その我を自由な世界に解き放ってくれたのだからなぁ…!!】

 

(なにっ…!?)

遥かな昔、さらなるランクアップを目指す為にカオスを切り捨てたアストラル世界…そこからドン・サウザンドが生まれ、アストラル世界へと牙を剥いた。

かつてのアストラルは長い戦いの末にドン・サウザンドを倒し、封印した……しかし、そこからドン・サウザンドは暗躍を続けていた…!

 

 

 

 

 

【教えてやろう、お前達が集めていた『遺跡のナンバーズ』は強力な力を持っていただろう?…それは()()()()()()()()()()()()()!ナンバーズが手に入らずとも、その封印が解かれた事で我の力は復活したのだ!!】

 

「嘘、だろ…!?それじゃあオレ達はお前の復活の手助けをしちまったって事か!?」

 

【その通り、お前達は自ら『パンドラの箱』を開け…カオスを解き放ったのだ…!そして全ての世界はカオスに飲み込まれる!】

意図せずしてドン・サウザンドの復活を許してしまった遊馬達…そしてドン・サウザンドは彼らに言葉を告げる…!

 

【アストラル!そして九十九遊馬!!それを阻止したくば…我を超えてみるがいい…!ふはははははは─!!】

そう宣戦布告を叩き付けるとドン・サウザンドは再びアリトの中へと高笑いと共に消えていった…!

 

 

「くっ…!?こんなに早くドン・サウザンドと戦う事になるなんて…!?」

 

(いいや…アリトに宿っているのは奴の『分身』だろう…本体のエネルギーはこんなモノではない…!!)

 

「…まじ、かよ…!?」

突然の黒幕との会敵に生唾を飲み込む遊馬…だが、アストラルはそれを否定する……この場に存在するのは「分身」に過ぎないからだ……そして、デュエルが動き出す!!

 

 

 

『いくぜ遊馬!アストラル!「彗星のカエストス」の効果発動!1ターンに1度、カオスORUを1つ使い!相手モンスター1体を破壊し、その攻撃力分のダメージを与える!砕けろ!「希望皇ホープ」!!』

 

「うわあああ!!?」

 

「遊馬!アストラル─!!」

ドン・サウザンドが消えた事で意識を取り戻したアリトが混沌の拳闘士の効果を発動…カオスの奔流がホープを粉砕し、遊馬達を吹き飛ばす…!

 

 

『まだだ!「カエストス」で遊馬にダイレクトアタック!!これで、トドメだ!コメット・エクスプロージョン!!』

 

(っ…遊馬!!)

 

「おう!!アリト…お前との決着が、こんなあっさり決まってたまるか!!ダイレクトアタックを受ける時!手札の『ガガガガードナー』の効果発動!このカードを攻撃表示で特殊召喚!!さらに手札の罠カード『ディメンション・Uターン』を墓地に送り、戦闘破壊を無効にする─!!ぐあああっ…!!」

 

『チッ…上手く避けやがった…!』

「彗星のカエストス」には戦闘破壊した相手モンスターの攻撃力分のダメージがある…遊馬達はその効果をギリギリで避けたが……その残りライフは……僅か200…!

 

 

 

『オレはカードを1枚伏せ、ターンエンドだ!』

 

「ぐっ…大丈夫か、アストラル…!」

 

(ああ…!まさか、1ターンキルを、狙ってくるとは…!)

デュエル開始2ターン目にして満身創痍となった遊馬とアストラルはなんとか立ち上がる…。

 

 

「まぁ…アリトなら、これぐらいするって…思ってたけどよ!」

 

(……遊馬、なにを、()()()()()()…?!)

体を明滅させながらアストラルは遊馬に問いかける、アリトと向かい合う遊馬は…無意識に笑みを浮かべていたからだ。

 

「えっ…?楽しんでなんかねぇよ…でも、()()()()!今のアリトはドン・サウザンドに操られてる…つまり、()()()()()()じゃねぇんだ!だから…オレがアリトを正気に戻す!!」

 

(……このデュエルでするべき事が見つかったという事か……)

 

「そういう事さ!あの分身をぶっ倒せば…アリトはきっと元に戻る!!」

遊馬は窮地の中で「希望」を見つけていた…ドン・サウザンドに操られたアリトを救う、小さな光を……それ故に、遊馬は笑っていたのだ。

 

 

(…だが、ドン・サウザンドの「呪い」がそう簡単に解けるだろうか…?)

 

「そんなのわかってる!それでも……()()()()()()!!」

 

(フッ…相変わらずの答えだな…(しかし、以前なら不安を覚えたが……今ならば…()()()()()()…!君の『人を信じる力』を!!))

それはいつも通りの遊馬の『根拠のない自信』…しかし、アストラルは不思議と冷静だった…遊馬の抱く力なら、不可能な事でも成し遂げる事ができる…そう確信していたからだ…。

 

 

「(そうだ…必ず、なんとかする…!でなきゃ、オレ達の為に戦ってくれたみんなの想いが無駄になる!オレは…絶対にアリトを救ける!!……あっ…?)ゴーシュ…翠さん…」

 

(遊馬、どうしたんだ?)

仲間達の想いを背負い、必死にアリトを救う方法を考える遊馬…その脳裏に熱き漢・ゴーシュと翠の姿がよぎった…!

 

 

「そうだ…!アリトの遺跡でのゴーシュとのデュエル…あの時、ドロワは本気で戦って洗脳されたゴーシュを取り戻そうとした…!翠さんは子どもになっちまった遊海に全力を叩き付けて元の姿に戻した…!そして、その想いは届いたんだ!!だったら、オレ達もそれを……いいや、それ以上の想いでぶつかればいいんだ!!」

 

遊馬が思い出したのはコロッセウムでのゴーシュとのデュエルと子供化してしまった遊海と翠のデュエル…2つのデュエルに共通するのは「強い思い」と「デュエル」…遊馬は全力でアリトと戦う事を決意する!

 

 

(どうやら、私がいない間にとんでもない事があったようだが……たしかに、デュエルなら私達の想いを届けられる!)

 

「いくぜ…アストラル!!」

 

(ああ、かっとビングだ!!)

ついに見つけた小さな「光」…遊馬とアストラルはアリトを救う為に全力を尽くす!

 

 

 

 

 

「オレはレベル4の『ガガガガードナー』と『タスケナイト』の2体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!!光纏いて現れろ!闇を斬り裂く、眩き王者!『H-Cエクスカリバー』!!」

遊馬はゴーシュから受け継いだ『魂のカード』…赤き剣士・エクスカリバーを呼び出した!

 

 

「アリト!オレ達の友情を思い出せ!!オレ達は一緒にデュエルを愛した仲間なんだ!!」

 

『オレが仲間だとぉ…?世迷い言を…!』

 

「いくぜ、『エクスカリバー』は自分のライフが500以下の時だけ攻撃できる!『エクスカリバー』で『カエストス』を攻撃!そして、この瞬間!『エクスカリバー』の効果発動!ORUを全て使ってバトルの間、攻撃力を2倍にする!」

 

『攻撃力4000!!』

赤き勇者が輝くオーラを纏う!

 

「受けてみろ!アリト!!一刀両断・必殺神剣!!」

 

『くっ──!!』

遊馬の願いを乗せた一撃がカエストスを両断する!

 

 

 

「どうだアリト!!熱い魂を…思い出せ!!」

 

『ハハハ…残念だったなぁ…!』

 

「なにっ…!?」

巻き上がった爆煙が晴れていく…アリトの前には巨大な盾を構えた戦士が立ち塞がっていた…!

 

 

『自分が戦闘ダメージを受ける時、手札から「BK ベイル」を特殊召喚する事でダメージを0にする…さらに!ナンバーズである「カエストス」は戦闘では破壊されない!お前の攻撃は無駄だったのさ!!』

 

「くっ…!!今の攻撃じゃ、アリトの魂には届かないのか…!!オレはカードを1枚伏せ、ターンエンド!!」

 

『さぁ…このターンで決着だ!!』

遊馬の一撃はアリトには届かなかった…そして再びアリトは猛攻を仕掛ける…!

 

 

 

80 

 

 

『現われろ!「No.80」!猛りし魂に取り憑く、呪縛の鎧…!!「狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク」!!』

アリトは新たなナンバーズ…赤いマントを纏う、狂気の王を呼び出した!

 

 

「新しいナンバーズ!?しかも…攻撃力、ゼロ…!?」

 

(このナンバーズは…!?)

禍々しい力を纏う狂装覇王…アリトはその強力な効果を発動する!

 

 

『「ラプソディ・イン・バーサーク」の効果発動!ORUを1つ使い!相手の墓地にあるモンスター・魔法・罠カードのいずれかを選び、その種類のカード全てを除外する!!』

 

「なんだって!?」

 

『わかってるんだよぉ…お前の墓地に攻撃を防ぐ「タスケナイト」がいるのは!!オレが除外するのは、モンスターカードだ!!』

 

(っ…読まれていたか…!!)

覇王がその剛腕で遊馬の墓地に眠るモンスター達を引きずり出し、粉砕する…それによって防御カードである「タスケナイト」だけでなく、「希望皇ホープ」も除外されてしまう…!

 

『これで、お前達を守るモノはない……さらに「ラプソディ・イン・バーサーク」の効果発動!1ターンに1度、自分モンスターの装備カードになり、攻撃力を1200アップする!!』

 

(感じる…あのナンバーズは、ドン・サウザンドの力を宿している…!!)

 

「なんだって!?それじゃあ「カエストス」がさらにパワーアップしちまったって事か!?」

「狂想」の鎧を纏う混沌の拳闘士…アストラルは感じていた、そのナンバーズにはドン・サウザンドの力が宿っている事を…!

 

 

【ハハハ…!見るがよい、我の力を!!】

 

『バトルだ!「カエストス」で「エクスカリバー」に攻撃!!』

 

「まだだ!!罠カード発動!『エクシーズ・ピース』!!自分のエクシーズモンスターへの攻撃を無効にする!!」

 

『なにっ…!?』

遊馬に迫る混沌の拳がバリアによって阻まれる!

 

 

「そして!そのエクシーズモンスターをリリースし、デッキからレベル1のモンスター2体を効果を無効にして、特殊召喚する!来い!『ダークロン』!『クリボルト』!!」

赤き剣士が静かに消え去り、ロン毛の栗の妖精と基盤の模様のクリボーが現れる!

 

『チッ…しぶとい奴だ…!オレはこれでターンエンドだ!』

 

 

 

(……ナンバーズによって、アリトの『呪縛』がさらに強まったように感じる…!)

 

「そうだとしても、オレ達は自分の道を行くしかねぇ…!!ドン・サウザンドの呪いが強いか…オレ達の友情が強いか!!」

ドン・サウザンドの力を宿すナンバーズによって負の感情を…カオスを増大させるアリト…しかし、遊馬はまだ諦めてはいない…!

 

 

(…だが、アリトの記憶を呼び覚ませるカードとなると…)

 

「…あるさ、オレ達にはあのカードが……『ライオン・ハート』が残ってる!!」

 

(『No.54反骨の闘士ライオン・ハート』…!だが、あのカードは…使う我々も危険だ!)

遊馬が思い出したのはアリトの遺跡で回収した『遺跡のナンバーズ』…誇り高き獅子の闘士の姿だった。

 

…だが、その効果にはデメリットもある…モンスター同士がバトルした時にお互いにバトルダメージを受け、さらに自分のライフが0になってもORUを使う事でライフが100になる……だが、それはリアルダメージを受けるデュエルにおいて、凄まじい激痛を伴ってしまうのだ…!

 

「そんな事わかってる!!けど…あのナンバーズはアリトの()()()()()()なんだ!だから…!!」

 

((「遺跡のナンバーズ」はアリトの記憶…そして「カオス・オーバーハンドレット・ナンバーズ」はドン・サウザンドの「呪い」…まて、まさか…!?)遊馬!分かったぞ!アリトの呪いを解く方法が!!)

 

「えっ…!?本当か!?」

アリトを救う為に今までの状況を振り返るアストラル…そして天才デュエリストである彼の頭脳が1つの答えを導き出した!

 

 

(ドン・サウザンドが言ったように「遺跡のナンバーズ」を開放する事により、奴の封印された力が開放され…復活していく…我々のしてきた事はドン・サウザンドの復活に手を貸していたも同じ事だ)

 

「そうだよな…父ちゃんの奴、とんだ間抜けな事を〜!?」

アストラルの言葉を聞いた遊馬は鼻息を荒くする…そもそも、遊馬達が「遺跡のナンバーズ」を探し始めたのは異次元飛行船に残された父・一馬のメッセージを聞いたからだった。

 

(だが、私はそう思わない…彼は我々に起きる事を幾つも()()()()()()…そんな人が、あえて私達が不利になるような状況を作るとは思えない……)

 

「あっ…」

遊馬とアストラルは知っている、一馬が「先見の明」とも言える予測でアストラルとの出会いやナンバーズの事、アストラル世界の事……様々な事を知っており、遊馬達を導くように道しるべを残していた事を…。

 

 

(もしかしたら、彼は君が「バリアン七皇を救う為に戦う」事を予測していたのかもしれない…だとすれば、「遺跡のナンバーズ」には「ドン・サウザンドの呪縛」を解く()()がある……私はそう考えた)

 

「遺跡のナンバーズに…?」

 

(オーバーハンドレットナンバーズはドン・サウザンドの「呪い」のカード……そして遺跡のナンバーズは七皇の「記憶そのもの」…この2つは相反する存在のはずだ…!)

 

「そ、そうか!!なら『カエストス』を『ライオンハート』で破壊すれば、アリトの呪いは…解けるって事か!!」

それがアストラルの出した結論…アリトを救う為の一手だった…!

 

 

「いよっしゃ…!やってやる!!」

 

(待て、遊馬……今の私達は手札が0、そしてレベル1のモンスターが2体しかいない……つまり)

 

「ああ…オレはこのドローに全てが懸かってる!!それに……待ってろよ!小鳥!今助けるからな!!」

 

「遊馬…!」

絶体絶命の遊馬…その肩には茨の塔に囚われた小鳥の命運も懸かっている…!

 

 

「勝って遊馬!…私と…アリトをこんな呪縛から開放して!!」

 

「おう!!任せとけ…!かっとビングだ!オレ─!!」

小鳥の声援を背に受けて…遊馬は運命の1枚に手を掛ける!

 

 

 

 

「オレのターン!ドロー!!……オレの思いは届いたぜ、アリト!!」

 

『なに…?』

 

「オレは『虹クリボー』を召喚!!」

 

《クリクリー!!》

遊馬が引き当てたのはレベル1の虹クリボー…逆転への布石は整った!

 

「オレはレベル1の『虹クリボー』『クリボルト』『ダークロン』の3体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!!」

 

 

54 

 

 

「現われろ!『No.54』!『反骨の闘士ライオン・ハート』!!」

ついに現れた誇り高き獅子王…その時、異変が起きる…!

 

 

キィン─!

 

ギィン─!

 

 

「うおおっ…!?」

 

「きゃあ!?」

 

『この、ナンバーズは…!?』

『ライオンハート』と『カエストス』の共鳴…否、反発作用が発生…周囲に暴風が吹き荒れる…その時、アリトは記憶を垣間見る。

 

 

 

 

コロッセウムに響く子ども達の歓声…

 

 

子ども達の『英雄』だった自身の姿…

 

 

怪しい『黒いローブを纏った男』の言葉を…

 

 

【アリト様、お気をつけください…貴方の命が狙われています…】

 

 

そして…無辜の罪で捕らえられる自身の姿を…

 

 

 

………

 

 

「「「殺せ!殺せ!!殺せ!!!」」」

 

「「「悪人に断罪を!!」」」

 

 

『オレはやってない…やってない!!』

本来ならば歓声に包まれるコロッセウム…しかし、その場を支配していたのは罵声だった…。

殺人の濡衣を着せられたアリトは万人の目の前で処刑されようとしていた…。

 

 

 

「嘘つき…嘘つき─!!!」

 

「「「嘘をつくなぁぁ!!!」」」

 

「「「卑怯者─!!」」」

 

 

『そんな、あいつら…まで……』

コロッセウムに響く子ども達の叫びと泣き声……アリトの心は絶望に堕ちた…。

 

 

 

【これが貴方の『呪われた人生』…貴方は親友に裏切られ、人を怨み…怨念と妄執に囚われ死んでいく…!】

 

『そうだ…誰一人、オレを信じない……親友だと思っていた皇帝で、さえも…』

脳裏に響くローブの男の声…その声がアリトの負の感情を膨れ上がらせる…!

 

 

 

呪ってやる…呪ってやる!!そして、いつの日か蘇り…この世界に…災いを──!!

 

 

ザン!

 

 

 

 

………

 

 

 

 

『い、今のは…!?』

 

「今のが、アリトの…記憶…!?」

ナンバーズの共鳴によって遊馬はアリトの記憶を垣間見る…その死は絶望と怨嗟の思いに満ちていた…。

 

 

 

(ナンバーズの共鳴…やはり、この2体が戦う時…何かが起きる!!)

 

「アリト…!今、その呪いを解いてやる!バトルだ!『ライオンハート』で『カエストス』を攻撃!!この瞬間、『ライオンハート』の効果発動!攻撃表示のこのカードは戦闘では破壊されず、オレが受けるバトルダメージは相手も受ける!!『カエストス』の攻撃力は4000!つまり3900ダメージだ!!」

 

『させるか!「ラプソディ・イン・バーサーク」の効果発動!オレが1000以上のダメージを受ける時、そのダメージを半分にしてこのカードを破壊する!!ぐおおおっ!?』

 

「ぐあああああ─!!」

ぶつかりあう2つの拳…アリトは覇王の鎧を盾にダメージを軽減したが、お互いに吹き飛ばされる!

 

 

 

(ぐっ…「ライオンハート」の効果発動!ライフが0になる時、ORUを1つ使い!ライフを100にする!レスキュー・ショック!!)

 

ドクン!!

 

「かはっ…!?」

アストラルが遊馬の代わりに効果を発動…遊馬は電撃によって死の淵から舞い戻る…!

 

 

「ごほっ…ライフ、ゼロって…すごい、インパクト、だぜ…遊海は…いつもこんな思いを………」

蘇生効果によってなんとか起き上がる遊馬…そして、アリトにも変化が起きる…!

 

 

 

ば、馬鹿な…!?我の呪いをォォォ─!?

 

「ドン・サウザンド!?」

ナンバーズの衝突に耐えられなかったのか…アリトの体から黒い炎…ドン・サウザンドの分身が分離…消滅した…!

 

 

 

『ぐ、うぅ……オレは、何を…?そうだ…ドン・サウザンドに…!!』

 

「アリト…!お前はドン・サウザンドに操られてたんだ!!」

 

『……遊馬…?小鳥…?そうか、お前達が、奴の呪いを……ハッ!!』

 

「きゃ!……あっ…?」

 

「アリト!正気に戻ったのか!!」

遊馬の奮闘によってアリトは正気を取り戻す、朧げな記憶から自身の犯した事を理解したアリトは小鳥を茨の塔から開放…優しく地面に着地させた…。

 

 

「アリト!呪いが解けたんだ──」

 

『…来るな!遊馬!!』

 

「アリト…!?」

アリトの呪いが解けたと思い、駆け寄ろうとする遊馬…それを制したのは、アリト自身だった。

 

 

『まだ、オレ達の戦いは終わってない…オレはバリアン七皇のアリト!!…確かに、オレはドン・サウザンドに操られていた……だが、見たはずだ!オレの過去を!!』

 

「アリト…」

 

『あの憎しみを胸に…オレはバリアンに生まれ変わった!オレの居場所はバリアン世界にしかねぇ!!それを無くそうとするお前達とは…決着をつけなきゃならない!!』

アリトの体を憎しみのオーラが包み込む…解けたのはベクターの掛けた呪いのみ、まだ…アリトには「憎しみ」という名の根深い「呪縛」が残っている…!

 

 

『遊馬、アストラル…お前達とのデュエルは、激しく…熱く!最高だった!!…だが!そんなデュエル…もう、できそうに、ねえ……!!』

 

「アリト…!!」

それはアリトの慟哭…転生前の記憶を思い出したが故に…アリトの瞳は憎しみに染まる!!

 

 

 

 

80

 

 

『現われろ…「CNo.80」!魂を鎮める旋律が、十全たる神の世界を修復する!…我に縋れ…!「葬装覇王レクイエム・イン・バーサーク」!!』

 

「か、カオスナンバーズ…!?」

アリトは「ラプソディ・イン・バーサーク」を自身の効果で蘇生…さらに「RUM-バリアンズ・フォース」によりカオス化させ…哀しき魂を葬送する、鎮魂の狂王を呼び出した…!

 

 

『「RUM-バリアンズフォース」のさらなる効果発動!カオスエクシーズのエクシーズ召喚に成功した時、相手のエクシーズモンスターのORUを自分のエクシーズモンスターに吸収!さらに奪ったORU1つにつき、攻撃力を300ダウンさせる!カオス・ドレイン!』

 

「『ライオンハート』のORUが!!」

 

(これではレスキュー・ショックが発動できない…!)

「バリアンズフォース」の効果によりライオンハートのORUが全て葬装覇王に奪われ、攻撃力が0になる…。

これによりライフを戻す効果が発動できず、攻撃を受ければ相討ちになってしまう…だが、アリトは勝利を狙い…さらなる効果を発動する!

 

 

『いくぞ!「レクイエムインバーサーク」の効果発動!1ターンに1度、カオスORUを1つ使い!相手フィールドの魔法・罠カードを全て除外する!』

 

「っ…!?」

レクイエムインバーサークの拳から放たれた稲妻が遊馬の伏せカードを異次元に消し去る!

 

『さらに「レクイエムインバーサーク」の効果!このカードを「彗星のカエストス」の装備カードにし、攻撃力を2000アップする!』

 

「攻撃力、4800…!!」

混沌の拳闘士が鎮魂の鎧を纏い、咆哮する!

 

 

(っ…!?なぜ、「カエストス」の攻撃力を上げる…!?「ライオンハート」の効果でお互いにダメージを受け、相討ちに…!?)

 

『……いいや、倒れるのは()()()()()()!「レクイエムインバーサーク」を装備したモンスターがバトルする時、相手モンスターの効果は無効になる!』

 

「なにっ!?」

 

『これで、終わりだ!「カエストス」で「ライオンハート」を攻撃!!』

カエストスがライオンハートに肉薄する!

 

 

(遊馬!()()()()だ!!)

 

『なっ…!?何を寝ぼけた事を!!お前達のフィールドに罠カードは──』

 

「それが…()()()()()!!墓地の罠カード『ディメンションUターン』の効果発動!!」

 

『なに!?』

それはガガガガードナーのコストで墓地に送られたカード…それが真価を発揮する!

 

 

「このカードを墓地から除外する事で、自分のモンスター1体を除外する!!」

 

『そんな効果になんの意味がある!だったらダイレクトアタックを決めるだけだ─!!』

ライオンハートが異次元に消えた事で混沌の一撃は空を切る…しかし、再び拳が迫る!!

 

 

「まだだ!墓地の『虹クリボー』の効果!自分がダイレクトアタックを受ける時、墓地から特殊召喚できる!!」

墓地から現れた虹クリボーが混沌の拳を受け止め、粉砕された…。

 

「助かったぜ、虹クリボー…!」

 

『くっ…オレはこれでターンエンドだ…!』

 

「この瞬間!除外された『ライオンハート』がオレのフィールドに帰ってくる!!」

遊馬を仕留め損ねたアリト…そしてフィールドに獅子王が帰還した!

 

 

 

「ふ、ふぅ〜…何とか、このターンは持ち堪えたぜ…だけど、どうすりゃいいんだよ…!?ドン・サウザンドの呪いが解けても…アリトは「過去の憎しみ」に囚われてる…まるで()()()()()に掛かっちまったみたいだ!!」

 

(新しい、呪い…?)

ギリギリでアリトの猛攻を凌いだ遊馬…だが、憎しみに囚われたアリトを解放する事はできていない……その時、アストラルはある事に気が付いた。

 

 

 

((遺跡にあった七皇の伝説…その中で彼らの魂は『』『純粋』にして『崇高』…バリアン世界ではなく、むしろアストラル世界に行くのに相応しいはずだ……その彼らが何故、憎悪と怨念に囚われて……?))

遊馬達は七皇の伝説が残された遺跡を巡り、彼らの過去を知った。

 

 

 

国への反乱を忠義と友情で収めようとした騎士がいた。

 

 

身分は違くとも、拳で友情を築いた拳闘士がいた。

 

 

相棒のドラゴンと共に民を護り続けた英雄がいた。

 

 

民の事を1番に考え、国を治めた武将がいた。

 

 

暴虐の進軍から国を護った王と巫女がいた。

 

 

 

その伝説に共通するのは…「悲劇」と「裏切り」…その時、アストラルは1つの答えに行き着いた。

 

 

(……もし、その悲劇がドン・サウザンドの策謀によるものなら…!!遊馬!!『ライオンハート』で『カエストス』を破壊するんだ!!)

 

「は、はぁ!?アストラル、お前なんて無茶な!?」

 

(無茶でもやるんだ!!そうすれば…何か掴めるかもしれない!!)

アストラルは今までにない強い言葉で遊馬へカエストスを倒す事を訴える…遊馬は驚きながらポツリと言葉を洩らす…。

 

「アストラル、お前……オレに似てきた…?」

 

(……それはない)

 

「だあっ!?…でも、お前がそこまで言うんなら…意味があるって事だよな…!いくぜ!!」

 

(ああ、次のターンが勝負だ!!)

遊馬とアストラル…2人の絆は奇跡を起こす!

 

 

 

 

「オレのターン!ドロー!!……来たぜ!!装備魔法『王者の聖外套』を『ライオンハート』に装備だ!!このカードを装備したモンスターは、相手モンスターと同じ攻撃力になる!!」

獅子王が金と赤に彩られた衣装を纏う…その姿、まさに紅蓮の獅子王!!

 

 

(そう…ドン・サウザンドは私達のナンバーズからオーバーハンドレットナンバーズを()()()!自ら呪いを掛けたナンバーズを使ってまで……だとすれば、必ず!!)

 

「いくぜ!『ライオンハート』で『カエストス』を攻撃!!『レクイエムインバーサーク』はモンスター効果を無効にできても、装備カードは無効にできない!!王者の拳を叩き込め!!」

 

『相討ち狙いだと!?』

殴り合う2体のナンバーズ…その拳はクロスカウンターとなってお互いに直撃、大爆発を起こす!

 

 

『させるか!!装備カードとなっている「レクイエムインバーサーク」を破壊し、「カエストス」は破壊されない!!』

 

「『王者の聖外套』の効果発動!このカードを墓地に送る事で破壊を無効にできる!」

お互いの装備カードが破壊され吹き飛ばされる2体の拳闘士…しかし、この一瞬で明暗が別れた!

 

 

「『聖外套』のさらなる効果発動!破壊無効効果を自分のターンに発動した時、装備モンスターとバトルした相手モンスターの攻撃力を入れ替えて…もう一度攻撃できる!!」

 

『なんだと!?』

 

(「『ライオンハート』!『彗星のカエストス』を再び攻撃!!バーニング・アッパー!!」)

遊馬とアストラルの声が重なる、体勢を立て直した獅子王が混沌の拳闘士に肉薄…紅蓮のアッパーで拳闘士を吹き飛ばし、粉砕する!!

 

 

 

キィン─!!

 

 

 

『こ、これは─!?』

カエストスが爆散する刹那……ナンバーズに封じられていた「真の記憶」が解き放たれた…。

 

 

 

アリト LP0

 

 

遊馬&アストラル WIN!

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

『アリトがそんな事をするはずがないだろう!!アリトと私は兄弟同然、私亡き後の皇帝…国を治める勇者は彼だ!すぐにアリトを解放せよ!』

 

『こ、皇帝…!』

 

 

殺人の濡衣を着せられたアリトは親友でもある皇帝の前に引き出される…しかし、アリトと拳で語らい、人となりを知る皇帝はアリトの冤罪を見抜き、アリトの解放を命令する…。

 

…しかし、2人は気付かなかった…兵士達の目に怪しい光が宿っている事を……。

 

 

 

【余計な事を…】

 

『何奴…!?』

 

【我が名は……ドン・サウザンド…!!】

 

『皇帝!?』

皇帝の玉座の背後から現れたのはアリトの前に現れた黒ローブの男…その正体は『ドン・サウザンドの分身』…魔力で皇帝を洗脳したドン・サウザンドは正体である魔神の姿になりながらアリトに歩み寄る…!

 

 

【我はバリアンの神…我にはお前の力が必要なのだ…!お前の折れぬ魂と底しれぬ闘志…!それが我の糧となる!お前の魂を…アストラル世界に奪われてなるものか!!】

 

ギィン!

 

『ガアッ!?』

ドン・サウザンドは自らの力で生み出した『No.105』をアリトの胸に突き刺した…!

 

 

【これで…お前の記憶は書き換えられた、お前は信じる者に裏切られ抹殺された『無念の戦士』…その怒りと憎悪を胸に…バリアンとなって蘇るのだ…!!】

 

 

『アリト、お前に死罪を申し付ける…!』

 

 

これがアリトの真実…全てはドン・サウザンドによる暗躍が原因だったのだ…。

 

 

 

…………

 

 

 

 

「アリト!大丈夫か!!」

 

『遊馬…アストラル……オレの、記憶は……』

 

(今、君が見たのが…本当の記憶だ…だが、その記憶は書き換えられ、憎しみを植え付けられつていたのだ…君の魂が、バリアン世界に向かうように…)

 

『カエストス』を破壊されたアリトは人間体に戻りながら地面に倒れ込む…アリトはバリアンの力と引き換えに『本当の記憶』を取り戻したのだ。

 

 

『オレは、ずっと…嘘で操られて…!遊馬の仲間達に、取り返しのつかない事を…!!』

 

「アリト…」

 

(いや、君は利用されただけだ…ドン・サウザンドは自らが力尽き、自分の力が7枚のナンバーズに封印された時、既に最後の力を野に放っていた…奴は恐るべき用意周到さで自らを蘇らせる計画を練っていたのだ…!)

自分のしてきた事を思い出して罪悪感を募らせるアリト…そんな彼をアストラルは慰める…。

 

真に恐ろしいのは数百…数千年前から暗躍を続けていたドン・サウザンドの執念だった…!

 

 

 

「アリト、力を貸してくれ!ドン・サウザンドをぶっ倒す為に!」

 

『遊馬……ドン・サウザンドの罠に嵌まったとは言え、

 オレは『バリアン七皇』の戦士だ!オレは、お前達を倒さなければならない…!』

 

「アリト…!七皇とオレ達は、必ずわかり合える!!」

遊馬はドン・サウザンドを倒す為にアリトに共闘を申し込む…アリトはバリアンとしてではなく、『七皇の戦士』として遊馬を睨むが……彼の心は既に決まっていた。

 

 

『……だが、お前達の前にぶっ倒さなきゃらない奴ができた!!…協力するぜ、ドン・サウザンドを倒す為に!!』

 

「アリト…!ありがとう!!」

アリトは決意した、自身の誇りを汚し…仲間達の運命を弄んだドン・サウザンドを倒す事を…此処に遊馬とアリトの同盟が結ばれた!

 

 

(これは大きな一歩だ…!他の七皇も過去を改竄されているのなら…一刻も早く、彼らを解放せねば…!!)

 

『奴はベクターの中にいる…!バリアン世界に行けば、きっと手がかりがある!!』

 

「ベクターの中に、ドン・サウザンドが…!?」

 

(やはり、ベクターか…!行こう、バリアン世界へ!!)

 

「『「おう!!」』」

 

ベクターがドン・サウザンドの依代になっている事を知った遊馬達は手がかりを掴む為、バリアン世界への道を急いだ…。

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

───────!!

 

 

【ふむ……ベクター、良い話と悪い話がある…どちらから聞きたい?】

 

『っ…なんだよ?藪から棒に…』

そこはバリアン世界の七皇の城、消滅間際のⅤから語られた「遊馬はバリアン世界へと向かった」という事を聞いたベクターは急いでバリアン世界へと引き返して来た…。

そんな中、ベクターの内に宿るドン・サウザンドが語りかける。

 

 

『じゃあ、良い話って奴から聞かせろよ』

 

【良い話は…どうやら名無しの怪物が『怪物』としての力を取り戻したようだ】

 

『はあっ!?ネームレスは死んだはず…!?』

 

【気付いていなかったのか?奴は死んでなどおらん…どうやら、人間共の力を吸収し、復活したようだな】

 

『チッ…全然()()()じゃねぇ!!あの怪物が目覚めたら()()()()()()じゃねぇか!…』

「怪物」の想定外の復活に動揺するベクター…無理もない話だが、ベクターも以前の戦いで痛い目に遭っており、今回の作戦はネームレスの厄介払いも兼ねていたのだ。

 

 

『じゃあ『悪い話』はなんなんだよ!』

 

【アリトが九十九遊馬に負け、奴らに寝返ったようだ】

 

『アリトが寝返った!?』

 

【そうだ…事を急げ、他の七皇の力を奪い去れ…!】

 

 

『チッ…もちろん、そのつもりだぜ…!早く来いよ…メラグ!ドルベ!!』

バリアン世界に向かっているであろう2人の姿を想像しながら、ベクターは玉座に腰掛ける。

 

 

混沌の計画はついに最終段階を迎えようとしていた…!




〜S,Kの独り言〜

本編で生前のアリトに向かって「嘘つき」「卑怯者」と叫んでいた子供達……もしかして、あの子達はアリトではなく…アリトを捕まえた兵士達や死罪を言い渡した皇帝に向かって叫んでいたのかも…。

その言葉が本当の意味でアリトに届いていれば……許すまじ、ドン・サウザンド…!

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