転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

本当に…大変長らくお待たせしてしまいました、ようやく…執筆の神様が降りて来てくれました…。


ついに衝突するナッシュとベクター…長き因縁の行方は…!


それでは、最新話をどうぞ!


凶気の魔神VS憤怒の皇─長き因縁の果てに─

『はぁ…はぁ…はぁ…!来るな…来るなァァァ!!?』

 

 

ベクター…ベクター…ベクター…ベクター…

 ベクターベクターベクターベクターベクター

ベクターベクターベクターベクターベクター

 ベクターベクターベクターベクターベクター

ベクターベクターベクターベクターベクター

 

 

 

何処とも知れぬ暗闇の中、ベクターは逃げ続けていた…その背後にはベクターへの怨みを抱えた無数の怨霊が迫る…。

 

 

 

 

『やめろ…!オレは悪くない!!オレじゃない!!や、やめっ…!』

 

 

 

ユ ル サ ナ イ 

 

 

 

 

『ぎ……ぎゃあああああああああ!!?』

 

 

足が縺れ、倒れ込むベクター…彼に無数の怨霊が襲いかかり、そして────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ハッ…!?】

 

どうした?ベクター

 

【な、なんでも…ねぇよ…!】

ベクターはバリアン世界の玉座で目を覚ました。

 

ドルベ・メラグ・アリト・ギラグの魂を吸収したベクターはナッシュの進撃を前に人間時代の居城だった『悲鳴の迷宮』をバリアン世界へと召喚、そしてナッシュを待ち受けながら居眠りしていたのだ。

 

 

 

お前が眠っていた間にナッシュが近付いているぞ?怒りで爆発しそうになりながらな…!

 

【わかってる…】

ベクターにナッシュの接近を知らせるドン・サウザンド…彼は計画の成就を前に不敵な笑みを浮かべていた…。

 

 

大詰めのようだな…ナッシュは直々にこの我が──

 

【…必要ない】

 

ギュル!

 

ッ…!?ベクター!キサマ、何を…!?

ナッシュを降す為に顕現しようとするドン・サウザンド…しかし、その身体をベクターの力が拘束する!

 

 

【アンタが出るまでもねぇ…ナッシュとは、オレが決着をつける…アンタは引っ込んでろ】

 

ぬぐぁぁぁ…!?

 

【……ヒヒッ…!メラグ達の力を手に入れた事で、オレ自身の力も相当上がったようだなぁ…!】

無理矢理にドン・サウザンドを抑え込んだベクターは強化された自分の力に酔いしれる…その時だった。

 

 

 

キィン─!!

 

 

 

『ベクタァァァァァ──!!』

 

 

 

【キヒッ…!】

凄まじい怒気と殺気の込められた叫びと共に閃光がベクターの前に落下する、その正体は…怒りに燃えるバリアンの王・ナッシュだった…!

 

 

 

『ベクター…!!』

 

【ヒヒッ…会いたかったぜぇ?ナッシュ…!】 

バリアン世界へと帰還したナッシュは人間体で玉座に座すベクターを睨みつける…!

 

 

『貴様…よくも…メラグとドルベを!!』

 

【ああ!頂いちゃいましたよぉ…でも、それだけじゃねぇ…既にギラグとアリトの力も頂戴した!】

 

『なんだと!?』

ナッシュに告げられる残酷な真実…だが、ベクターが隠していたのは…それだけではなかった。

 

 

【そしてそしてぇ…()()を見ろよぉ…!】

 

キィン─

 

『っ…!?これは!?』

玉座の近くに浮かぶ水晶に映像が投影される、それはバリアン世界と融合しつつある人間世界の映像、そこには…赤い魔眼を覗かせる()()()()()()()が映し出されていた…!

 

 

『あれは、名無しの怪物だと(ネームレス)…!?しかも、なんだ!?あの姿は…!!』

その時、欠けたナッシュの記憶の一部が蘇る…それは数十年前、自身と七皇達が死力を尽くして戦った怪物との戦いの記憶だった…。

 

 

 

【ヒヒヒ…!オレはドン・サウザンドの力を得てあの怪物を蘇らせた!それはなんの為だと思う?……一番の()()()を消す為さぁ!じゃじゃ~ん!目ン玉見開いて!よ〜く見ろよぉナッシュ…お前の大切なモノの最期をよぉ!!】

 

『っ……!!とう、さん…!?』

ベクターが指を鳴らし映像が切り替わる、そこに映し出されたのは……ネームレスに向けて右腕を突き出した状態で石像と化した遊海、そして必死の抵抗を試みる翠を始めとした伝説の決闘者達の姿だった…。

 

 

【ハハ……ぎゃはははは!!世界最強の男も…最狂の怪物には手も足も出なかったようだなぁ!】

 

『き、貴様…!ベクタァァァ!!

 

【おっと、危ない】

ネームレスに倒された遊海を見たナッシュは激昂、玉座に座るベクターに向けてカオスの光弾を放つが…それを瞬間移動で避けたベクターはナッシュの立つ広間に着地する。

 

 

【どうしたぁ?ナッシュ…お前は『神代凌牙(人間のお前)』を捨てたんだろぉ?なら感謝してくれよぉ!厄介な奴を仕留めてやったんだからさぁ!!】

 

『……俺は……これ程までに、誰かを憎いと思った事は…ない!!

おどけるベクターを射殺せるほど鋭い眼光で睨むナッシュ、その脳裏に浮かぶのは……捨てたはずの思い出、厳しくも優しかった…かけがえのない父の背中だった。

 

 

【ヒヒヒ…!いいネェ!そのツラ…!安心しろよぉ…これからお前もぶっ倒して…情けねぇ白波遊海(バカな男)と同じ所に送ってやるよぉ……さぁ!グチグチと喋っててもしょうがねぇ!オレ達の戦いに決着をつけられるのは決闘だけ!!そうだよなぁ…ナッシュ!!】

 

『覚悟しやがれ…ベクタァァァ!!』

 

怒りに燃えるナッシュ…仲間を裏切り、全能感に酔いしれるベクター…前世から続く因縁、その決着をつける決闘がついに始まる!!

 

 

 

 

【『デュエル!!』】

 

 

 

デュエルダイジェスト ナッシュ対ベクター

 

 

 

 

 

【ヒヒッ…先攻はオレだぁ!オレのターン!ドロー!!…キヒッ…!】

先攻を取ったベクターはドローカードを見て不敵な笑みを浮かべる…!

 

【オレは永続魔法『ドン・サウザンドの契約』を発動!このカードは…()()()()()()()()ライフを2000払う事で発動する!】

 

ゴウッ!

 

『なにっ!?…ぐああっ!?』

ベクターベクターが永続魔法を発動した瞬間、カードから禍々しい闇…ドン・サウザンドの幻影が現れ、ナッシュを包み込む…!

 

『俺が、ライフを払うだと…!』

 

【当然だろぉ〜?ここはオレの『城』だ…ここでデュエルするんなら、()()()を払ってくれなきゃな〜?ヒヒヒッ…】

それはナッシュにとってのデメリットにしかならない効果…しかし、救いなのはこの効果が『強制効果』ではない事。

ナッシュが『ライフを払わない』と言えば、効果は無効となり破壊される…だが…。

 

 

『(これもベクターの策略か……だが、俺は()()()()、ベクターが策を弄するなら……それを()()()()()()()()!!)』

ナッシュの出した答え、それはあまりにもシンプルな答えだった…それは激情に飲まれ、冷静さを欠いているからではない。

 

 

ベクターは様々な策略によって前世からナッシュを苦しめ、バリアンとなってからも何人もの人々を傷付けてきた…つまり、策を巡らせる事においてはベクターはナッシュを上回っている…。

 

故に…ナッシュはベクターの策略に()()、その上で…ベクターを完膚なきまでに叩き潰し、仲間達の…大切な人の仇を討つ為に…!

 

 

 

『好きにしろ、ベクター…俺は…必ず貴様を、ぶっ倒す!!』

 

【チッ…!ざけんなよテメェ…!!()()()()だぁ!!】

 

ギィン─! バリバリバリ!!

 

『ぐっ…!?ぐああああっ!!!』

 

【キヒッ…ザマァねぇなぁ─!!】

ベクターの言葉と共にナッシュのエネルギーが激痛と共に奪われる…!

 

 

【『ドンサウザンドの契約』成立後!プレイヤーはお互いにカードを1枚ドローし、開示する!さらにこのターン以降のドローカードも開示しなきゃならない!そしてそのカードが『魔法カード』なら、そのプレイヤーはターン終了時まで通常召喚できない!!】

 

『っ…!』

これが『ドン・サウザンドの契約』の効果…ナッシュはモンスターと魔法を使ったコンボによる展開を得意とする…故に、それを封じる…それがベクターの1つ目の『策』だった。

 

 

【さぁ…カードを引きな!!】

 

『くっ……ドロー!!』

 

【ドローだ!!】

お互いにカードを引くナッシュとベクター…その結果は…。

 

 

 

『俺が引いたのは…「スプリット・ディフェンダー」…魔法カードだ…!』

 

【おっとぉ…?オレのターンでラッキーだったなぁ?…そしてオレが引いたのは…モンスターカード!!来い!『アンブラル・ゴーレム』!】

ナッシュが引いたのは魔法カード…しかし、ベクターはモンスターを引き当て、ボロボロのコートを纏った大柄な悪魔を呼び出した!

 

 

【『アンブラルゴーレム』は攻撃表示の時、相手の攻撃を1度だけ無効にできる!!さらにオレはカードを2枚伏せ、ターンエンドだ!】

カードを伏せ、順当に守りを固めるベクター…ナッシュは静かに目を閉じる…。

 

 

 

『(メラグ…ドルベ……お前達の無念、必ず俺が…晴らしてみせる!!)』

ナッシュの脳裏に目の前で散ったかけがえのない仲間の最期が甦る…そして、仲間達の無念を背負うナッシュの右腕にカオスの力が宿る!!

 

 

 

『俺のターン!!バリアンズ・カオス・ドロー!!

カオスの軌跡と共に、ナッシュが力を開放する!

 

【さぁ…『ドン・サウザンドの契約』の効果でプレイヤーはドローカードを公開しなきゃならない…見せな!!】

 

『俺がドローしたのは……()()()()()だ』

 

【ヒヒッ…ザンネ〜ン!このターンは通常召喚できn『引いたのは…「RUM-七皇の剣(ザ・セブンス・ワン)」だ!!』なにぃ!?】

 

『このカードの効果はよ〜く知ってるはずだ!「七皇の剣」発動!!』

「ドン・サウザンドの契約」によって封じられるのは通常召喚のみ……特殊召喚を封じる事は、できない!

 

 

101 

 

 

『現れろ!「CNo.101」!満たされぬ魂の守護者よ…暗黒の騎士となって、光を砕け!!「S・H・Dark Knight(サイレント・オナーズ・ダークナイト)」!!』

 

【これが…お前のオーバーハンドレットナンバーズ…!】

ナッシュのエースモンスター…暗黒の槍術士が顕現する!

 

 

『お前がどんな守りを敷いていようと…打ち砕くのみ!「ダークナイト」の効果発動!1ターンに1度!相手フィールドのモンスター1体をこのカードのカオスORUにする!ダーク・ソウル・ローバー!』

 

【なんだと!?】

アークナイトの持つ槍から放たれた紫電がアンブラルゴーレムに直撃、そしてORUとして吸収する!

 

『これで…貴様を守るモンスターはいなくなった!!「ダークナイト」でダイレクトアタック!!砕けろ…!ベクタァァァ!!』

 

【ぐっ…ぐおああぁぁぁ!?】

ナッシュの怒りの一撃がベクターに炸裂…ベクターは激しく吹き飛ばされた!!

 

 

『立て…勝負はこれからだ!!貴様は…跡形もなく、消し去ってやる!!』

 

【ぐ、お……2800の、ダメージ……─】

ベクターの残りライフは1200…ナッシュの一撃はベクターの身体にも深いダメージを与え───

 

 

 

 

 

 

 

【ダメージ……ありがとさ〜ん!!

 

『っ…!?』

…与えてはいなかった。

 

ベクターは確かに大ダメージを受けた、しかし…それは計算内だったのだ…!

 

 

 

【ばーか!オレはテメェとⅣのデュエルを見てたんだよぉ…!お前のオーバーハンドレットナンバーズの強さはよく分かってる…そして…お前は怒りに任せ、オレに大ダメージを与えに来ると読んでたのさぁ!!罠カード発動!『カオス・ライジング』!!】

ベクターはやはり、ナッシュの行動を読んでいた…次なる策が発動する!

 

【このカードは相手のカオスナンバーズによって、自分が2000以上の戦闘ダメージを受けた時に発動できる!オレはエクストラデッキからランダムにカオスナンバーズを特殊召喚できる!!】

ベクターの手にカオスナンバーズが収まる…そのカードは…。

 

 

65

 

 

【ヒヒッ…現われろ!『CNo.65』!裁断魔王ジャッジ・デビル!!】

それはベクターの遺跡のナンバーズ…紫の衣を纏う魔王が降臨する!

 

 

『……フン、2800のダメージを受けてまで貴様が狙ったのは、カオスナンバーズ1体を召喚する事か?俺はカードを1枚伏せ、ターンエンドだ!』

 

【さぁて、オレのターンだ…このドローがお前の運命を決める事になる…!】

カオスナンバーズの出現に一瞬の動揺を見せたナッシュだったが…すぐに持ち直し、ターンを終える。

…だが、ベクターの卑劣な作戦はここからが本番だった…!

 

 

 

【いくぜぇ…オレのターン!ドロー!!】

カオスの軌跡と共にベクターがカードを引く…ベクターが引いたのは…──

 

 

 

【おっとぉ…魔法カード引いちまった!これじゃあ通常召喚できねぇ……まぁ、関係ないんだけどな!!オレは魔法カード『カオス狂宴』を発動!!このカードは自分フィールドにカオスナンバーズが1体存在する時!『ドン・サウザンドの契約』を墓地に送って発動できる!!エクストラデッキからカオスオーバーハンドレットナンバーズ3体を…効果を無効にして特殊召喚できる!!】

 

『なんだと!?』

それはカオスの根源たるドン・サウザンドの力を宿す規格外のカード…ベクターはその力を開放する!

 

 

104

 

 

【まずは…現われろ!『CNo.104』!『仮面魔踏師(マスカレード・マジシャン)アンブラル』!!】

最初に現れたのはベクターのエースたる仮面の悪魔…そして、次に現れるのは…。

 

 

102

 

 

【さぁ…オレの新しいオトモダチを紹介するぜぇ!現われろ!『CNo.102』!『光堕天使(アンホーリー・ライトニング)ノーブル・デーモン』!!】

 

『そのナンバーズは、ドルベの!!』

続いて現れたのはナッシュの腹心にしてかけがえのない友…ドルベの切り札、ノーブルデーモン…そして…!

 

 

103

 

 

【そしてそしてぇ!最後はとっておきだぁ……さぁ!盛大な拍手で迎えてくれよぉ!!『CNo.103』!『神葬零嬢ラグナ・インフィニティ』!!】

 

『メラグ、の…!!』

最後に現れたのは……最愛の妹メラグのナンバーズ…。

 

【以上!元はドルベとメラグの……今はオ・レ・の!カオスナンバーズだ!!】

 

『メラグ…ドルベ……!!』

ナッシュの前に立ち塞がるのは妹と友の分身とも言えるモンスター…ナッシュは言い表せない怒りと悲しみに表情を歪める…。

 

 

【フヒヒ…!どうだぁ?ナッシュ…大切な仲間のナンバーズが、オレのフィールドにいる心境は〜?】

明らかに動揺するナッシュに向けてベクターはさらに煽り立てる…。

 

 

【メラグもドルベも…ギラグもアリトもいねぇ…ミザエルは月に行ったらしいが…どちらにせよ、お前は一人っきりだ…!仲間を失い…そしてそしてぇ…()()()()()をも失うお前はなぁ!!】

 

『っ!?』

ベクターは人間界の様子を映している水晶を手元に呼び寄せる…その中には怪我を負った翠、そして破滅の極光を再び放たんとする怪物の姿が映し出されていた…!

 

 

「母さん…!?やめろ…やめろぉぉ!!」

 

【バーカ、止まるわけないだろぉ?オレだって制御できねぇんだ・か・ら!】

バリアン世界に木霊するナッシュの絶叫…それも虚しく、翠達は破滅の光に飲み込まれ…映像は途絶した…。

 

 

【ヒヒヒ…これでぇ!お前は正真正銘!本当の独りぼっちだ!!ぎゃはははは!!】

 

『ひと、り……俺は、誰も……』

次々に叩きつけられる非情な現実……仲間は奪われ、家族を失ったナッシュの心は……限界だった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャーク─!!」

 

 

 

 

『っ!?』

 

【ほう…こいつは…!】

絶望に落ちかけたナッシュの心を繋ぎ止めたのは…バリアン世界へとたどり着いた()の声だった…!

 

 

キィン─!

 

 

「シャーク!大丈夫か!?」

 

『……遊馬…』

王宮の上空に現れた飛行船から緑の光線と共に遊馬・アストラル・小鳥の3人が現れる…先程のダークナイトの攻撃の光を道標にこの場所に辿り着いたのだ…!

 

 

 

【ハッハァー!!良かったなぁ?ナッシュ…一人ぼっちのお前に懐かしの()の到着だ〜!】

 

『……()()…!俺と奴は…今や()()()だ!!』

 

「シャーク…!」

遊馬が到着した事で再びナッシュを煽るベクター…だが、それは絶望に堕ちかけたナッシュを再起動させた。

 

……それは仲間を奪ったベクターへの怒り…そして遊馬が来た事で一瞬でも()()()()()()()()自分への怒り……折れかけた心は怒りの炎で再び燃え上がる…!

 

 

【あはは〜!フラれたね!遊馬クン!可哀想に…でも安心しなよ!コイツを倒したらゆっ〜くりた〜っぷり相手をしてやるからヨ!】

 

「ベクター…!!」

 

『お前に…次などない!!』

 

【はっ…メラグやドルベの無念を晴らす…ってか?】

真月の声色を使って遊馬をおちょくるベクター…だが、ナッシュの言葉に気怠げに向き直る。

 

 

【心を折ってやったと思ったんだがなあ…なら、見せてやるよ…!オレの本気を!!ハアアアアア!!】

 

ドクン!!

 

『っ…!!』

いまだにナッシュの目から闘志が消えていないのを見たベクターは全力を出す事を決めた…ベクターから凄まじいカオスの力が溢れ出す!

 

キィン─!

 

「あれはっ!?」

 

『メラグ…ドルベ…!?みんな…!?』

溢れ出すカオスが赤・緑・水・白の光と共に開放される…それはベクターへ取り込まれてしまった七皇の魂だった…!

 

【さぁ…来いやァ!!】

 

「『っ─!?』」

ベクターが4人の魂を引き寄せる、そしてカオスの大爆発がベクターを包み込む!!

 

 

 

【どうだ…これが、オレの新たな姿だ!!】

 

(あれが、バリアン七皇の…4人を吸収したベクターの姿か…!!)

光が収まった時、ベクターは新たな姿へと進化していた。

黒紫色の鎧が全身を覆い、白目が赤紫色に染まり…腹部にはカオスが凝縮された宝玉が暗い輝きを放つ。

 

彼の者の名は…ランパント・ベクター…裏切りと暴虐の果てに魔神の領域へと至った悪魔の姿だった…。

 

 

 

【キヒッ…この姿になれたのも、ぜ〜んぶ!あの()()()共のおかげさぁ…!】

 

『貴様…ベクタァァァ!!』

七皇の仲間達を蔑むベクター、その言葉を聞いたナッシュは怒りを爆発させる…だが、ベクターはナッシュの姿を見て嗤う…!

 

 

【そうだ…!怒れナッシュ!()()()()()()()怒ってみせろ!!】

 

『あの時…!?』

 

【忘れたとは言わせねぇ…この場所はオレとお前の因縁の場所…!迷宮の『闇の決闘』でぶっ飛ばされたオレは、命からがら自分の国へ戻った…!だが、しつこいテメェは!しつこくオレを追ってこの場所に乗り込んできた!!】

 

『……そうだ…思い出したぜ…全てを…!』

 

それはナッシュがまばらに覚えていた生前の記憶の最後の1ページ、闇のゲームで全てを失ったナッシュはしぶとく逃げたベクターを追い、彼の国へと乗り込んだ…。

 

 

『オレは…お前との戦いが原因でかけがえのない仲間の命を奪われた…オレはそれが許せず、お前を追った…!だが、オレがこの場所で見たのは…全ての家臣や民を処刑し、たった一人で立つお前の姿だった…!!』

 

【ああ、あれなァ……()()()()()()()()、どいつもこいつも!「もう戦はやめろ!」とか「すぐに和平を!」とか…腰抜けばっかりだったからなぁ!だから…始末したんだよ…!】

 

「そんな、ひどい…!」

 

(…「呪われた王宮」の伝説…やはり、この遺跡の伝説は…ベクターが人間だった時のものだったか…!)

 

 

 

──かつて1人の王子がいた…幼い頃から人心を信じず、全ての人間に疑惑の目を向け…それを裁いた。

 

そして全ての命を奪いし後、王子は1人残りて命を断つ…──

 

 

 

それは悲鳴の迷宮に残された凄惨なる伝説、アストラルはベクターの言葉から遺跡の伝説がベクターの伝説である事に確信を持った…。

 

 

 

『…下衆の極みだな、ベクター…!』

 

【フッ…このくらいでゲスだと?甘え…甘いんだよォ…!】

自身の残虐な行ないを喜々として語るベクターをナッシュは蔑む…だが、ベクターの悪行はそれだけではない…。

 

 

【ひひっ…なんせよぉ、オレが最初に手を下したのは…自分の()()()()()()()()なんだからなぁ!!】

 

「自分の、親を…!?」

 

【そうさ…オレは邪魔な奴を排除してきた…()()だったンだよ!!…あの日、テメェに負けるまではな…!!】

親殺しを語るベクターにさしもの遊馬も言葉を失う…だが、ベクターは復讐の炎を燃やしながらナッシュを睨む…!

 

 

【オレはあの日、再びお前に負けた…しかも!自分の王宮でなぁ…!惨めだった…悔しかった!!だからよぉ、同じ場所で今度こそ!お前をぶっ潰す!!お前の大切な仲間達の力を使ってなぁ…!!】

 

『貴様…!』

それは数千年を掛けた『復讐計画』…ナッシュに与えられた屈辱を何倍にもして返す…それがベクターの目的だった…!

 

 

 

 

【さぁ…いくぜ、ナッシュ!!まずは『アンブラル』で『ダークナイト』を攻撃!!】

 

『ぐっ…!だが「ダークナイト」の効果発動!このカードがORUを持った状態で破壊された時!このカードを墓地から特殊召喚し、その攻撃力分ライフを回復する!リターン・フロム・リンボ!!』

魔踏士の魔力弾が槍術士を粉砕する、しかし…ダークナイトは自身の力で現世へと舞い戻る!

 

【フッ…だが!オレの攻撃は終わってねぇ!!『ノーブルデーモン』で『ダークナイト』を攻撃!!】

 

『ぐああっ…!』

続いて放たれた堕天の槍が槍術士を貫く…そして、ベクターはナッシュとⅣのデュエルを見て『ダークナイト』の弱点…ORUが無いと復活効果が発動できない事を知っていた…! 

 

【これで『ダークナイト』は復活できねぇ!続いて『ラグナインフィニティ』でダイレクトアタック!!】

 

【っ…!があああっ!!!】

 

「シャーク!!」

神殺しの大鎌がナッシュに直撃…ナッシュは吹き飛ばされる!

 

 

【どうだ…?メラグのモンスターに打ちのめされた気分は…!続いて『ジャッジデビル』でナッシュにダイレクトアタックだぁ!!】

 

『ぐああああっ!!』

さらに裁きの魔王の一撃がナッシュに直撃…残りライフは僅か100…!

 

 

 

【ふはっ…いいザマだぜ…!簡単には殺らねぇ…たっぷり甚振って、地獄に送ってやる…!オレはカードを2枚伏せ、ターンエンドだ!】

満身創痍のナッシュを嗤うベクター…だが、ナッシュの心の炎は尽きる事はない……仇敵を打ち倒すまでは…!!

 

 

 

『いくぜ…俺のターン、ドロー!!』

『よし…!魔法カード「スプリット・ディフェンダー」を発動!!自分の場にエクシーズモンスターがいない時、相手フィールドのもっとも守備力の高いモンスターのコントロールを得る!ただし、守備力が同じモンスターが複数存在する時、コントロールを得るモンスターは相手が選ぶ!今のお前のフィールドで守備力が高いのは「ラグナインフィニティ」か「ノーブルデーモン」!どちらかのモンスターをいただくぜ!』

それは逆転を賭けた1枚…だが、ベクターも甘くはない…!

 

 

【馬鹿め…!最初にお前が引いたそのカード…この場面で使うのはお見通しだ!罠カード『ガード・オフ』!フィールドの全てのモンスターの守備力を0にし、その数1体につき400ダメージ…つまり、1600ダメージを貴様に与える!!】

 

(っ…読まれていたのか!!)

それはベクターの読みの一手…ナッシュに赤雷が襲い掛かる!

 

【あばよ!ナッシュ─!!】

 

『永続罠「エクシーズ・チャージ・アップ」発動!このカードは効果ダメージを無効にする!!…オレの手札に『スプリットディフェンダー』があるのを知ってて、何も仕掛けて来ないと思うほど…俺は甘ちゃんじゃねぇ…!!』

 

【チッ…!】

すんでの所でナッシュは効果ダメージを回避する…!

 

 

『さぁ…「スプリットディフェンダー」の効果は生きてる!貴様のフィールドのモンスターの守備力は全て0…さぁ、選べ!俺に差し出す1体を!!』

 

【クッ…なら『ジャッジデビル』をくれてやる!たかだか攻撃力1600に何ができる!!】

 

『フッ…()()()()()()!!』

 

【なにっ…!?】

ベクターはセオリー通り、もっとも攻撃力の低いジャッジデビルをナッシュに渡す…だが、ナッシュにはそれで事足りる…!

 

 

『「エクシーズチャージアップ」の効果発動!このカードを墓地に送り、自分フィールドのエクシーズモンスターの攻撃力を無効にしたダメージ分アップする!攻撃力3200だ!!』

それは報復の一撃、裁きの魔王が暴虐の魔神に裁きを下す!

 

『バトルだ!「ジャッジデビル」で「アンブラル」を攻撃!!』

 

【ぐっ…!?ぐおおおっ!?!?】

それは僅か200ダメージの攻撃…だが、ベクターはバリアン体が解除されるほどの勢いで吹き飛ばされた!!

 

 

 

「あっ…!?」

 

(遺跡のナンバーズによって、オーバーハンドレットナンバーズが破壊された時……その遺跡の主の()()()()が蘇る…!)

それは()()の一撃…ナッシュの攻撃によってベクターに掛けられたドン・サウザンドの呪いが解かれ、真の記憶が開放される…。

 

 

そして悲鳴の迷宮は光に包まれた…。

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

「王子ベクター様は『運命の日』にお生まれになった!!平和の象徴…神の生まれ変わりである─!!」

 

「「「「うおおぉぉ!!」」」」

 

ベクターの生誕…それは全ての国民に祝福されていた。

屈強な体を持つ父たる国王、そしてたおやかで優しい王妃たる母の腕の中でベクターは可愛らしい笑顔を浮かべていた…。

 

 

『フン…()()か…くだらん…!!』

 

 

 

『富と権力は力で奪い取るモノ…!進め!敵国を滅ぼせ─!!』

国王は強欲で残酷な男だった、戦いに狂い…無辜の民を容赦なく蹂躪する事に歓びを感じる最悪の王だった。

 

 

しかし、その治世は長くは続かない…激戦に次ぐ激戦により、国王は病に倒れたのだ。

 

 

 

『…王はもう、起き上がる事はできません……いま、この国を救えるのは…貴方だけなのです…!頼みましたよ…ベクター…!』

 

「はい…!母上!!」

 

 

 

「みなさん!私は争いを好みません!!この国の人々が幸福に暮らせるように…私は心から願っています!!みなさん…共に、未来を築いていきましょう!!」

 

 

「「「ベクター王子バンザーイ!バンザーイ!!」」」

 

成長したベクターは心優しき青年になった…父王の進めた侵略政策を撤廃し、他の国々と手を取る道を選んだ。

 

 

しかし…

 

 

 

『ふざけるなベクター!!っぐ……敵国と和議を結んだだと!?』

 

「はい…!」

 

『ふざけるな…もう少しで攻め落とせたものを…!!』

 

「父上!私はもう、国民が傷つく姿を見たくはないのです!!」

病床の王はベクターの政策を許さなかった、病身を押して王はベクターに掴みかかる!

 

 

『黙れベクター…!何故、何故この俺から平和の象徴などと言う()()()()()が生まれた!!貴様は我が栄光を地に貶した…()()()()だ!!死ね…死んでしまえ─!!』

 

「父上っ!?」

王はベクターの差していた剣を奪い、我が子へと斬りかかる!!

 

 

 

ザン!!

 

 

 

『あっ…』

 

「母上!!」

 

『王、よ…我が子を手にかける、など…なりま、せぬ…!』

凶刃が切り裂いたのはベクターを庇った王妃だった…崩れ落ちる王妃をベクターが抱きかかえるが…。

 

 

ドクン!!

 

 

『っぐ!?ご、は……──』

 

「父上!?は、母上!?」

心労が祟り、王は斃れ…母も失意のうちに命を落とした…ベクターは一度に両親を失ったのだ…。

 

 

 

【ベクターよ…】

 

「だ、誰だ!?」

両親を失い動揺するベクター…その背後に黒衣を纏う男が現れる…!

 

 

【お前は悲劇の王子ではない…『狂気の王子』となる…!】

 

「う、あ…!?」

黒衣の男は姿を変え、巨大な悪魔…ドン・サウザンドの影を映し出す…!

 

 

貴様にもこの王と同じ()()()()()が流れている…それを呼び覚まし、我が野望の力となるのだ!!

 

「ああ…!?うわああああああ!!」

ドン・サウザンドはベクターの胸にオーバーハンドレットナンバーズを押し込む、そして…記憶を書き換えられ、血に宿る『暴虐の王』の血が…ベクターを新たな悪魔へと変えた…。

 

 

 

「オレは、父と母を殺した残虐の王子…この世界を、血の海に変える為に──」

 

 

それが卑劣にして残虐なる王・ベクターの誕生の瞬間だった…。

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

「これが、ベクターの…本当の記憶…!?」

 

(彼もまた、他の七皇と同じくドン・サウザンドに操られていた…)

 

『………』

ナンバーズの共鳴によってベクターの記憶を垣間見た遊馬達は言葉を失う、ドン・サウザンドによって歪められたベクターの過去は…あまりにも救いがないものだった…。

 

『馬鹿な、今のが…オレが人間だった時の…!?それじゃあ、嘘だったのか!?オレが両親を手にかけた事は!?』

開放された記憶を見たベクターは今までにない動揺を見せる…。

 

 

『オレは…オレは!!出て来い!ドン・サウザンド!!』

 

どうやら…お前も真実に気が付いたようだな?

 

『貴様…貴様!オレを騙していたのか!!』

ベクターの声に応えるようにドン・サウザンドが現れる…彼は真実を知ったベクターをあざ笑う…!

 

 

『ああ…あああ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!』

 

「ベクター…っ…ドン・サウザンド!!テメェの、テメェのせいで!ベクターの心は壊れちまったんだ!!あんな思いをしたら…あたりまえじゃねぇかぁ!!」

過去を思い出し後悔と悲しみで絶叫するベクター…その様子をみた遊馬がドン・サウザンドへと怒りを露わにする…。

 

もし、ドン・サウザンドによる洗脳がなければ…きっとベクターは両親の死を乗り越え『善い王』になっただろう。

…だが、その未来は存在しない…全てはドン・サウザンドの陰謀により、悲劇へと変わってしまったのだ…。

 

「ベクター!!お前は元々は心の優しい奴だったんだよ!…オレの前に現れた『真月零』…あれが、お前の本当の姿なんだ!!」

 

『真月…真月としてのオレが、本当の姿…?』

遊馬はベクターに叫ぶ…お節介焼きで底抜けに明るかった『真月零』…それは、ドン・サウザンドに洗脳される前のベクターの性格にそっくりだった。

ベクターが真月としての演技をしていた時は…当然、ドン・サウザンドの干渉があった事は知る由もない…邪悪なるベクターの奥底に、『真月零』(生前の善性)は僅かに残っていたのだ…。

 

 

九十九遊馬、ベクターはまさに()()()だったのだ…!純粋であればあるほど、その反動で生まれる()は深い…強きバリアンとして生まれ変わる為にな…!!

 

「お前が記憶を捻じ曲げなきゃ、ベクターは優しい王子だったんだ!!」

 

だが、この男の残虐非道な行ないは事実…それは消せるものではない!!

 

『………』

 

『そうだ…オレがやった罪は、消えない…』

強きバリアンへと転生させる為に、ベクターの運命を捻じ曲げたドン・サウザンドに遊馬は叫ぶ…だが、ドン・サウザンドの言葉通り…犯した罪は消える事はない。

 

 

「ベクター!そんなの、()()()()()()()

!!」

 

「そうよ…!過去は消せなくても、()()()()()()()()()()のよ!!」

しかし、遊馬と小鳥は知っている…過去は変えられずとも、人間は未来を変える事ができるのだと…罪を背負い、それを償う為に生きていけるのだと…!

 

 

『……ありがとう、遊馬…小鳥…でも、オレに…未来なんて有ってはいけない…!キミ達やナッシュを…ここまで苦しめてしまった…オレに…!!』

 

『………』

遊馬と小鳥の言葉を聞いたベクターはナッシュに向き直る…その瞳に、強い覚悟を宿して…。

 

『罠カード発動!「エクシーズ・ディスチャージ」!このカードは、相手が手札を1枚捨てる事で…自分のフィールドにいる、全てのエクシーズモンスターのコントロールを相手に渡す事ができる!!』

 

『なんだと…?』

 

なっ…!?どういうつもりだベクター!!

ベクターが発動したのは、自滅をもたらすカード…その様子を見たナッシュとドン・サウザンドは困惑する…。

 

 

『…ナッシュ、これはオレの償いだ…!そのモンスターを使って、オレにトドメを刺せ!オレに宿るドン・サウザンド諸共に!!』

 

べ、ベクター!!貴様─!?

 

「『っ…!』」

 

(ベクター!キミは…共に消えるつもりか!?)

 

「よ、よせ!ベクター!!」

ベクターはその身を差し出す…全ては、全てのバリアンの運命を狂わせたドン・サウザンドを葬り…罪を償う為に…!

 

 

「頼む、ナッシュ…オレの汚れきった過去と共に…消し去ってくれ!!」

 

させぬ…させぬぞ─!!

遊馬達は知らぬ事だが、ドン・サウザンドはベクターの心臓を依代として復活している…つまり、今のベクターが命を落とせば…それはドン・サウザンドの「死」にも繋がる。

ドン・サウザンドは妨害する為にベクターに巨大な手を伸ばすが…!

 

 

『ハッ!!』

 

ぬっ…小癪な真似を!?

ベクターは自身の体をカオスの結界で囲み、干渉を阻む!

 

『早く…オレが、コイツを押さえ込んで、いるうちに!!ナッシュ!頼む!!』

 

『……わかった!』

 

「シャーク!?」

ベクターの命を賭けた請願…ナッシュはバリアンの王として、その願いに応える…!

 

 

『「エクシーズディスチャージ」の効果により、手札の「ドリーム・シャーク」を墓地に送り!「ラグナインフィニティ」と「ノーブルデーモン」のコントロールを得る!!』

ナッシュのフィールドに3体のナンバーズが並び立つ!

 

 

「待ってくれ!シャーク!!ベクターは、真月は!!」

 

『遊馬、もう…コレしかないんだ!!やれぇ!!ナッシュ─!!

 

『「ラグナインフィニティ」で…ベクターへ!ダイレクトアタック!!』

それは決着の一撃、遊馬の制止を聞かず…ナッシュは神殺しの鎌を振り上げる─!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【罠発動!!『トリック・バスター』!このカードは相手フィールドにだけモンスターがいる時に相手がダイレクトアタックしてきた時!その攻撃を無効にし、相手フィールドのモンスターを全て破壊する!!】

 

 

 

 

『っ…!』

 

「えっ…!?」

 

【消えろ!!】

…それは一瞬の事だった、無抵抗の姿勢だったベクターが罠カードを発動…ナッシュの場のモンスターが全て破壊される。

 

その時、ベクターの表情は…狂喜に歪んでいた…!

 

 

 

ギャヒャハハハはははハハハ!!引っ掛かった!引っ掛かったな!!アヒャはははハハハ!!

 

「どういう、事だ…!?ベクター、まさか!?」

 

【キヒッ…どうもこうもあるかよ!!見た通りさ!みんな!オレ様の()()()に引っ掛かったのさ!!馬鹿な奴らめ!お前らはどうしようもない甘ちゃんばっかりだ!!あははははは!!】

 

「べ、ベクタァァァァ!!」

ベクターは改心した訳ではなかった…むしろ、その逆…自分の真実の記憶すらも利用して、再び遊馬達を…この場の全員を騙したのだ…

 

 

【ナッシュ、今からお仲間の所に送ってやるよ…だぁが、その前に……邪魔な()とやらを始末するか!!】

 

どういう意味だ、ベクター…!

ナッシュを罠に嵌めたベクターはドン・サウザンドへと向き直る。

 

 

【オレはと〜っくに()()()()()のさ、お前が!オレの過去を改竄した事に!!】

 

「それじゃあ、私達にしてきた事は…あなたが望んで…!!」

 

ああ…!オレは、お前らが苦しむ姿を見るのが…たまらなく楽しいンだよぉぉ!!

 

「そん、な…!」

小鳥の言葉にベクターは狂気の笑顔で答える…自身の真実を知った上で、ベクターは血に宿る「残虐」の宿命に従い…悪行を為してきたのだ…!

 

 

【ただなぁ…オレの記憶をイジってたテメェには…ムカついてんだよ…!!】

 

ベクター…!貴様は我には刃向かえないはず…!?

 

【うるせぇ…!!今じゃ、七皇の力を奪ったオレ様の方が!テメェより力は上なんだよぉぉ!!】

 

 

ギィン─! ゴウッ!!

 

 

ぐっ…!?ぐあああ!!オノレ、ベクター!!これ程までの力をぉおぉおぉおぉお!?

再びランパントバリアン体になったベクターはカオスの黒炎でドン・サウザンドを包み込む…!

 

 

べ、ベクタァァァぁぁぁ…!!

 

 

(ドン・サウザンドを、葬った…のか…!?)

怨嗟の断末魔と共にドン・サウザンドは焼失…アストラルは規格外の力を得たベクターに戦慄する…!

 

 

 

【さぁて、ナッシュ…次はテメェだ!『トリックバスター』のさらなる効果!破壊したモンスター1体につき300ダメージ…つまり、900ダメージを相手に与える!!あばよぉ!ナッシュ─!!】

 

「っ!シャーク!!」

ドン・サウザンドを始末したベクターはナッシュに引導を渡す一撃を放つ!

 

 

『「ドリームシャーク」の効果発動!効果ダメージを無効にし、墓地のこのカードを守備表示で特殊召喚する!!』

 

 

【なにっ!?】

墓地から現れた虹色の光を纏う鮫が効果ダメージを打ち消した!

 

 

【テメェ…オレを信じたんじゃなかったのか!?】

 

『信じる?…そんな感情、既に捨てたさ……あの人と決別した時に…!!』

 

「シャーク…」

ナッシュは既に『信頼』という感情を捨てていた…もとより、ナッシュから全てを奪ったベクターに対し…ナッシュが抱くのは『滅殺』の二文字だけだった…!

 

『俺は、カードを2枚伏せターンエンド!!』

 

 

【ぐっ…テメェ…!許さねェ…見せてやるぜ!!オレの本当の力を!!】

渾身の策を回避されたベクターは最後の作戦を…全ての力を解き放つ!!

 

 

 

 

【オレのターン!ドロー!】

【いくぜぇ…!!『RUM-千死蛮巧(アドマイヤー・デス・サウザンド)』発動!!】

ベクターの奥の手…それは新たな『RUM』の発動だった!

 

 

【このカードはお互いの墓地から同じランクのカオスナンバーズを必要な数だけ選び、そのモンスターが持つランクより1つ上のレベルを得て蘇る!!蘇れ!『ダークナイト』!『ノーブルデーモン』!『ラグナインフィニティ』!『アンブラル』!】

 

『っ…!?』

ベクターのフィールドに4体のカオスオーバーハンドレットナンバーズが並び立つ!

 

 

【さらに!この4体を使って、エクシーズ召喚できる!!オレはレベル6となった4体のカオスオーバーハンドレットナンバーズでオーバーレイ!ダイレクト・カオスエクシーズチェンジ!!】

 

「「『なんだって!?』」」

それは規格外の4体のエクシーズモンスターを使ったエクシーズ召喚…数多のナンバーズを駆使してきたベクターは切り札を解き放つ!

 

 

05 

 

 

【現われろ!『CNo.5』!混沌なる世界の亡者ども!今その魂を1つに融かし、混濁とした世界に降臨せよ!『亡朧龍カオス・キマイラ・ドラゴン』!】

現れたのは赤紫色の鱗を持ち、胸部に4色の宝玉を持つ巨大なドラゴン……否、亡者の力を秘めたドラゴンゾンビだった…! 

 

 

 

【見ろよぉ…!ナッシュ!コイツはお前の大切なお仲間をカオスの力で1つにさせた姿だ!!】

 

『くっ…!!』

ベクターの言葉にナッシュは禍々しいドラゴンの姿に失った仲間達の姿を重ね見る…。

 

 

【さぁ、いくぜぇ!!『カオスキマイラドラゴン』の攻撃力は自身のカオスORU1つにつき1000アップする!つまり、攻撃力4000!だが…このモンスターは通常攻撃ができねぇが…カオスORUを1つ使い、さらに相手のデッキのカード1枚をランダムに除外する事で攻撃できる!!攻撃力は下がるが…お前のライフはたった100!これで事足りる!!まずは『ドリームシャーク』を攻撃!!】

 

『「ドリームシャーク」の効果発動!1ターンに1度、2600の守備力を1000下げる事でバトルによる破壊を無効にする!!』

虹色の鮫が破壊の息吹を受け止める!

 

 

【くっ…!まだまだぁ!『カオスキマイラドラゴン』の効果発動!カオスORUを使い、再び攻撃!!】

 

『くっ…!戦闘破壊された『ドリームシャーク』は除外される!』

2度の攻防の末、ドリームシャークは粉砕される…だが、カオスキマイラドラゴンにはまだORUが2つ残っている!!

 

 

【これでお前のモンスターはいなくなった…!再び『カオスキマイラドラゴン』の効果発動!カオスORUを1つ使い、相手のデッキをランダムに除外して攻撃!だが…相手にダイレクトアタックする時、攻撃力は半分になる!だが…500あれば充分だ!!楽しませてくれてありがとよ…!お前は最高のオモチャだったが…もう目障りなだけだ!!じゃあな…!ナッシュ!!】

 

「シャーク!!」

カオスキマイラドラゴンが破滅の光を放つ!!

 

 

『目障り…ああ、俺もだよ…!!罠発動!「デプス・ガードナー」!自分がダイレクトアタックを受ける時、戦闘ダメージを0にし!さらにその数値と同じ攻撃力を持つレベル5のモンスターとして、このカードを特殊召喚する!』

それは最後の一手、巨大なアンモナイトがダメージを受け止める!

 

 

【ぐぅう…!!ナッシュ、しつこいんだよ!!しつけぇ!しつけぇ!!しつけぇ!!!『カオスキマイラドラゴン』のさらなる効果!バトル終了時!除外した相手のカードを全てデッキトップに戻す!!除外したカードは3枚だ!】

カオスキマイラドラゴンが除外したカードを異次元からナッシュの手元へと送還する…。

 

 

【キヒッ…オレはカードを1枚伏せ、ターンエンドだ!!】

 

『(何故、除外したカードを戻した…?そしてベクターの笑み……気になるが、やるしかねぇ…!)』

不敵な笑みを浮かべるベクター…ナッシュはそれを気にかけながら、最後の攻勢を仕掛ける!

 

 

 

 

『オレのターン!ドロー!…よし…!』

ナッシュがドローしたのはデッキに戻された魔法カード『アクアジェット』…手札のモンスターと組み合わせれば、ベクターの残りライフ1000を削りきる事ができる…!

 

 

『ベクター、貴様自身が戻したこのカードで…お前の息の根を止めてやる!!』

 

【悪いナァ…!それは()()だ!『カオスキマイラドラゴン』の効果で除外されたカードは…このデュエル中は使用できない!】

 

『なんだと!?』

冥界の冷気によって手札の『アクアジェット』、さらにデッキトップから2枚が凍りつく…!

 

 

(不味いぞ…!?これでシャークのドローは3回封じられた事になる!!)

 

【さらに!『カオスキマイラドラゴン』の最後の効果発動!オレのライフを半分にする事で、前のターンに墓地へ送ったORUを全て復活させる!これで攻撃力は再び4000だ!!】

それはダメ押しの一手…ドローを封じられ、切り札の『ダークナイト』も奪われた…ナッシュに残された手段は…。

 

 

【今度こそ…本当の終わりだぁぁ!!】

 

 

 

 

 

『どうやら…皮肉にも、()()()俺を助けてくれたようだぜ!』

 

 

【なにっ…!?】

勝ち誇るベクター…だが、ナッシュはまだ終わってはいなかった…!

 

 

『魔法カード「インフィニティ・トゥース」を発動!相手モンスターの持つORUの数だけ、デッキトップからカードを墓地へ送り!さらに1枚ドローする!!』

 

【使えないカードを、処理しやがった!?】

 

 

『いくぞ…!バリアンズ・カオス・ドロー!!

それは勝利を掴み取る混沌の1枚…ナッシュの『勝利の方程式』は…ここに完成した。

 

 

『手札の「デプス・バイター」は相手の場にエクシーズモンスターがいる時、リリース無しで召喚できる!…俺はレベル5の「デプスバイター」と「デプスガードナー」でオーバーレイ!エクシーズ召喚!!』

全てを奪われたかに見えたナッシュ…しかし、彼には最強・最後の守護神が残されていた!

 

 

73

 

 

『いでよ!「No.73」!「激瀧神アビス・スプラッシュ」!!』

ナッシュを守護せし、大海の神がベクターの前に現れる!!

 

 

『「アビススプラッシュ」の効果発動!ORUを1つ使い、バトルが終わるまで、自身の攻撃力を倍にする!!』

ORUを取り込んだアビススプラッシュの攻撃力は4800、ベクターのライフを削りきる事ができる!

 

 

『バトルだ!「アビススプラッシュ」で「カオスキマイラドラゴン」を攻撃!!』

 

【甘え…甘いんだよ!!お前は!!罠発動!『オーバーレイ・バーグラリ』!自分のエクシーズモンスターが相手エクシーズモンスターてバトルする時、そのモンスターのORU1つを自分のものにする!これで『カオスキマイラドラゴン』の攻撃力は5000!!ORUを全て使っていればオメェの勝ちだったのになぁ!!あばよ!ナッシュ!!】

ナッシュの最後の勝ち目を潰し、勝利を確信するベクター…だが…。

 

 

『終わるのは…貴様だ!!』

 

【なにっ…!】

 

『速攻魔法「RUM-クイック・カオス」発動!!』

 

【速攻魔法の『RUM』だとぉぉ!?!?】

ナッシュは決めていた…ベクターの策を全て潰し、真正面から打ち破る事を…バリアンズ・カオス・ドローで創造されたこのカードが…その答えだった…!

 

 

『このカードは自分フィールドのエクシーズモンスターをカオス化し、ランクアップさせる!カオスエクシーズチェンジィィ!!』

混沌を浄化する神は…混沌をその身に宿し、罪人に裁きを下す荒ぶる神となる!!

 

 

73

 

 

現れろ…!「CNo.73」!渦巻く混沌の水流を突き破り、いま!彼の地へ浮上せよ!!「激瀧瀑神アビス・スープラ」!!

全てを飲み込む荒ぶる海の中より混沌を宿す海神が轟臨する!

 

 

『コイツが、お前を闇へと葬る…!『アビススープラ』で『カオスキマイラドラゴン』を攻撃!!』

 

【攻撃力3000程度…返り討ちだァァァ!】

 

『「アビススープラ」の効果発動!このモンスターがバトルする時!カオスORUを1つ使い!相手モンスターの攻撃力を、自身に加える!!』

 

【攻撃力、8000だと…!?】

荒ぶる海は全てを飲み込む…大いなる大自然の力を前には、全ての策略は…無意味となる…!

 

 

 

『ベクター…今こそ、光なき闇へと…その悪しき魂を抱えて落ちるがいい!!』

 

 

て、テメェェ!!ナッシュゥゥ!!!

 

 

砕け散れ!!ベクタァァァ─!!』

 

 

 

 

それは大自然の裁き

 

 

 

 

その赤雷は決別の一撃

 

 

 

 

三叉槍に込められたナッシュの怒りが亡朧龍の胸を貫く

 

 

 

 

数千年に渡るナッシュとベクターの因縁は…此処に決着した。

 

 

 

 

 

【馬鹿な、オレが…オレが…負ける、だと…!?】

 

 

 

 

 

ベクター LP0

 

 

 

 

 

 

「(ギラグ…アリト…ドルベ…メラグ…父さん、母さん……仇は、取ったぜ)」

 

 

 

 

 

ナッシュ WIN

 

 

 

 

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