転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

ついにベクターを打倒し、長年の因縁を精算したナッシュ…だが、本当の戦いはこれからだった…!


それでは、最新話をどうぞ!


混沌の淵源─邪神復活─

バリアン世界でのナッシュとベクターの決着と同じ頃、人間界では……。

 

 

……… 

 

 

『あちらは決着がついたようだけど……ああ、やっぱり……()があれくらいで斃れるはずはないよねぇ…キミの方がよっぽどの()()だよ』

 

 

ハートランドシティの海浜地区…名無しの怪物(ネームレス)を迎撃する為に遊海と翠、十代と瀬人、さらにチーム5D'sとイリアステル連合、そしてアストラル世界から駆け付けたシラナミユウミ(ラプラス)とZ-ONEが激戦を繰り広げたその場所は…束の間の穏やかな時間が流れていた。

 

 

ネームレス…破滅の未来の『シラナミミドリ』は翠と流星・海亜の援護を受けたラプラスにより浄化され、アキや十代を始めとした精霊使いが負傷した者や精霊達の治療を…そして遊星とZ-ONEが大破したデュエルロイド達の応急修理を行なっている。

 

 

そんな中、理想郷から駆け付けた花の魔術師・マーリンは寝かされた2()()を前に座り込んでいた。

 

一人はネームレスの弱点である『不死殺しの鎌』を振るう際に髪蛇の奇襲を受け…手の施しようのない傷を負った翠。

 

そして、もう一人は…物言わぬ石像へ変えられてしまった遊海、たび重なる負傷や魂へのダメージにより、本来の力を発揮できなくなっていた遊海はネームレスを倒す為に精神世界で捨て身の決闘を仕掛けた末に……。

 

 

おそらくは…もう目を覚まさないであろう2人を見守りながら、マーリンはその身に宿す『世界全ての「現在」を見通す』千里眼の力を使い、バリアン世界でのナッシュとベクターの戦いの決着を視た…そして、これから()()()()()()()戦いをも予見していた…。

 

 

 

《フォウ、フォーウ!》

 

『ん…何が視えたのかって?……哀れな悪党の最期と…邪神の復活さ…もうじき、バリアン世界と人間世界が完全に融合して、この場にいる人間は…融合の負荷に耐えられず()()するだろう』

 

《フォッ…!?》

マーリンの能力を知るフォウが状況を尋ねるが…これから起きる事態を知り驚愕してしまう。

 

 

《フォウ!フォウ!?》

 

『どうにもならないよ、バリアンの科学を使うDr.フェイカーのいる塔まで行けば助かるだろうけど…そんな時間はない、心配しなくとも痛みは無い…突然眠りに落ちるようなものさ…その方が彼らの為でもある』

これから起きる最悪の事態をマーリンは他人事のように語る…否、()()()()()()…彼は感情を持つ『人』ではないのだから…。

 

 

《ッ〜!!マーリンシスベシフォーウ!!》

 

『ブハァっ!?キャスパリーグ!前より力強くなってないかい!?』

あまりにも薄情な態度のマーリンに対し、コンテナに駆け上がったフォウがスピンダイレクトアタックをお見舞いする…マーリンは頬に肉球の形に痣を付けながら倒れ込む…。

 

 

 

『アタタ…もう私達が出来る事はないよ、これで人間界とアストラル世界が滅ぼされるのか…それとも、遊馬君とアストラル…そして凌牙君が絶望を希望に変えるのか…全ては彼らに託された、私はそれを見守るだけさ』

 

《……フォウ、フォウ!!》

 

『戦いを見届けたい?…キャスパリーグ、それがどういう意味か()()()()()のかい?あの邪神はキミがもっとも嫌うタイプの相手だろう?』

 

《…フォウ、フォーウ》

 

『……なら、好きにするといい…座標は教えてあげよう、キミは見極めたいんだね…「人」というものを…』

 

「……う、ん……」

 

『おや…翠が目を覚ましそうだ、行くのは…彼女達が『眠る』のを見届けてからにしなさい、キャスパリーグ』

 

《…フォウ》

小さな獣は…静かに紅い空を見上げた…。

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

ナッシュ WIN!

 

 

 

『ば、馬鹿な…この、オレが、負けた…だと…?』

 

 

「や、やった…!!シャークが勝った!!」

バリアン世界にナッシュの勝利を知らせるブザーが鳴り響く…仲間である七皇をも欺き、悪行を為し続けたベクターは三度…因縁の相手であるナッシュに敗れたのだ…。

 

 

 

『…あの時と同じだ、ベクター』

 

『なんだ、とぉ…!』

 

『かつて、この場所で対決した時も…』

ナッシュは哀れみを込めた目で倒れ伏したベクターに言葉を告げる…それは『前世』におけるベクターの最期についてだった。

 

 

『あの時、お前は再びデュエルで負けた…そして、お前が殺め…怨みと憎しみを持ってこの世を彷徨う亡者達と共に…地獄に堕ちた』

それは残虐なる王の末路、遺跡の伝説では自ら命を断ったと記されていたが…真実は違う。

 

自分の国へと乗り込んで来たナッシュとベクターは再び闇の決闘を繰り広げた…そして再びベクターはナッシュに敗北、闇の決闘の代償と自身の犯した罪により自らが殺めた人々の亡霊に取り殺されていたのだ…。

 

 

 

『ふ、ふざけるな…オレは…っ!?』

 

 

ベクター…ベクター…ベクター…!!

 

 

「な、なんだぁ!?」

 

「ひっ…!?」

負けを認めないベクター…その体に纏わりつくように、無数の亡霊が現れる。

この場所はベクターの居城・悲鳴の迷宮…その場所は今もなお璃緒をして「やばい」と言わしめた危険地帯……数百、数千年を経てもなお…亡者達はベクターへの恨みを抱き、復讐の時を待っていたのだ…!

 

 

『ヒッ…!?やめ、やめろぉぉ!?』

 

『いつの世も悪は…己の力に溺れ、身を滅ぼす』

現世へ蘇ったベクターを再び冥府へと堕とさんとする亡霊達…ナッシュは鋭い目でベクターの歩む末路を見届ける…。

 

 

『っ…!!あの時と、一緒にするんじゃねぇよ!!ナッシュゥゥ!!』

 

ギィン!!

 

 

ウオアアアア…!?

 

 

「っ…!亡霊が!!」

 

(ベクターめ…!負けてなお、これ程の力を…!)

しかし、ベクターはまだ終わらない…デュエルで致命的なダメージを負ってなお、その身に宿る七皇4人分のカオスの力は凄まじく、亡霊達の思念が消し飛ばされる…!

 

 

『今のオレは七皇とドン・サウザンドすらも超えた存在…!オレが消えるなら、お前達も道連れだァァァ!!』

 

ゴゴゴゴゴゴ!!

 

『まだ、こんな力を!?』

ベクターはさらにカオスを開放…悲鳴の迷宮をバリアン世界の空へ浮上させる…遊馬達を道連れにするつもりなのだ…!

 

 

『これがオレの力だ!!神となったオレ様の─!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

勘違いするな、ベクター…これは…()()()()ではない…!

 

 

 

ドン!!

 

 

『ど、ドン・サウザンド!?』

狂喜の高笑いを上げるベクター…その声を遮るように、地の底から響くような声が響く…そしてバリアン世界の大地から死んだと思われたドン・サウザンドが数十メートルの巨人となって現れた!!

 

 

『き、貴様…オレに焼き殺されたはず…!?』

 

愚かなベクター…我があの程度でやられると思っていたのか?全ては…この期が来るのを待っていたのだ…!

ベクターによって焼き尽くされたかに思われたドン・サウザンド…だが、それは彼の演技…全てはベクターの敗北を見越したものだったのだ。

 

時は満ちた…ベクター、お前はもう用済みだ…その力…全て、我が貰うぞ!!

 

 

ギィン! 

 

 

『くっ!!吸い込まれる!?』

 

「うあっ!?」

 

「な、なんなの─!?」

ドン・サウザンドの腹部の瞳が妖しい輝きを放ち、バキュームのような凄まじい吸引を行ない始める…ナッシュや遊馬達は咄嗟にしゃがみ込む事で強風に耐える…だが…。

 

 

『ひ、ひぃぃ!?やめろ、やめろぉぉ!!やだ…やだやだやだぁぁ!!』

 

「ベクター!!」

立ち位置的にもっともドン・サウザンドに近く、さらに大ダメージを受けていたベクターは吸引に抗う事ができない…咄嗟に床の割れ目に指を掛けたが…少しずつずり落ちていく…!

 

 

『やだ!オレは…オレはこんなとこで死にたくねぇぇ!!!

情けない悲鳴を上げながら必死にしがみつくベクター…それは散々悪事を重ねてきたベクターに相応しい末路なのだろう。

 

 

…だが、それを認めない男が…此処にいた…!0500

 

 

 

ズリッ…!

 

 

『う、うわあああああ!!?』

ついに握力の限界を迎えたベクターが空中に浮き上がる、そしてドン・サウザンドに向かって引き寄せられ……。

 

 

 

 

「かっとビングだ!オレぇぇーっ!!」

 

 

ガシッ!!

 

 

「大丈夫か!?しっかりしろ!手を、離すな─!!」

 

『ゆ、遊馬…!?』

 

『遊馬!?お前!何してやがる─!?』

吸い込まれかけたベクターを救ったのは…遊馬だった、あまりに突然の行動にアストラルや小鳥も止める間もなく、遊馬はベクターを助けに向かっていたのだ…。

 

 

フッフッフッ…敵であるベクターを助けるか?九十九遊馬…!

 

「だ、ダメよ!遊馬!!」

 

(キミまで吸い込まれてしまうぞ─!!)

 

「だ、だからって…見殺しになんて、できるかよぉぉ!!」

敵にも救いの手を伸ばす遊馬をドン・サウザンドはあざ笑う…『デュエルをすれば、みんな仲間になれる』…遊馬のその思いはベクターに対しても変わっていなかった…。

 

 

『っ…!!やめろ!遊馬!!そいつに…ベクターに()()()()!!助けても、また裏切るだけだ─!!』

遊馬の無謀な行動にナッシュは…凌牙は思わず叫ぶ。

 

ベクターはドン・サウザンドの洗脳を受けていたとはいえ、前世で悪逆を為し…バリアンに転生してからもナッシュやメラグを害し、Dr.フェイカーやトロンを操り…さらに、偽名を名乗って遊馬の仲間をフリをして裏切り…ついには七皇を崩壊させた。

 

ベクターに()()()は無い…存在した善性は…彼方へと消え去った…。

 

 

 

「だったら…だったら!()()1()()()()()!!」

 

(「『っ!?』」)

 

「心が無いんだったら、心ができるまで!オレは、信じる!!それがオレの…かっとビングだ─!!

だが…遊馬は未だにベクターを信じていた…それは悲劇の前世を見たからではない。

 

遊馬は…()()()()()()()を信じていた。

 

 

「ベクター!お前にだって、良い心はある…!お前が『真月』だった時だ!!いつも陽気で…いらないお節介して…でも、オレもみんなも!お前が大好きだった!!仲間だったんだ!!」

 

『っ…!?』

ベクターは遊馬を騙し、信頼を得る為に『真月零』を名乗ってハートランドへと潜入した。

 

そこで遊馬に取り入る為に『正義感を持っていて、お節介焼きで世話好きだが空回りしてしまう』性格を演じていた、ベクターはそれによって遊馬やナンバーズクラブの面々から信頼を得た…それこそ、真月が拐われた際にナンバーズクラブ全員が助けに向かう程に…。

 

しかし…存外、演技を()()()()というのは難しい、それこそ仲間であるバリアン七皇や部下であったアゴールを見てしまえば危うく本性を出してしまう時もあった。

それでも…ベクターは『真月零』を裏切りの時まで演じ続ける事が出来た、それは何故か?

 

 

それは…例え、下心があったとしても…ベクターが『真月零』を演じる事が心地良かったからに他ならない。

 

 

そうでなければ、いくら我慢強い人物でもボロを出さずに遊馬達を騙す事はできない…それはベクターが『善性』を持っている証左でもある…!

 

 

「お前の本当の姿は、()()()なんだ…!!」

 

『オレは…真月…?』

 

「そうだ…お前は真月だ!!だから…オレとやり直そう!遊海だって、お前の事をきっと許してくれる!シャークとも話し合う!!だから…一緒に行こうぜ、真月!!」

遊馬はベクターの中の善性…『真月零』を信じた、故に…遊馬は手を伸ばしたのだ…。

 

 

 

 

『…遊馬、クン…なら、ならさぁ……オレと道連れになってくれよぉぉ!!オレと一緒に逝ってくれよ!遊馬ぁぁ!!

 

(遊馬!!)

しかし、ベクターはブレなかった…遊馬を道連れにしようと遊馬の腕をしっかり掴んだのだ…!

 

 

ぎゃひゃははははは!!さぁ、コッチに来いよぉ!!ハハハハハ!!はは、は…?』

遊馬をあざ笑い、狂気に顔を歪ませるベクター…しかし、()()()()を見たベクターは自身の目を疑った。

 

 

「……()()()()()()…!真月…お前を一人になんてしない…!」

 

『はっ…?』

遊馬は()()()()()、その目に恐怖の涙を溜めながらも…ベクターを安心させるように笑っていたのだ。

 

 

「お前は、オレが…守ってやる…!!」

 

 

ピチョン…

 

 

『……ゆう、ま…』

風に飛ばされた遊馬の涙がベクターの頬に触れる、その時…ベクターは思い出した。

 

 

初対面の自分を『仲間』だと言った遊馬の顔を

 

 

ギラグに追い詰められながらも、真月の為を守るデュエルをした姿を

 

 

わざと犬に襲われたり、怪我をしやすいルートを通って学園に向かった後に『次はなんとかなる!』と笑った顔を…。

 

 

 

『はぁ……本当に、嫌になる…』

 

「真月…!?」

ベクターは遊馬を掴んでいた片手を静かに離す。

 

 

『とんだお人好しだ…バカバカしい……キミなんて、道連れにできないよ…』

 

「お、おい!?」

ベクターは穏やかな口調で遊馬を貶す…そこに先程までの狂気は無かった。

 

 

『さよならだ…遊馬()

ベクター…否、遊馬の友・真月は静かに手を離す…そして穏やかな笑みを浮かべたまま、ドン・サウザンドの中に消えていく…。

 

 

「真月…!真月ぅぅ─!!」

 

悪逆非道を為し、全てを欺き続けたベクター…混沌と狂気に歪められたその魂は…ようやく()()を得たのだ。

 

 

「うああっ…!!あ"あ"あ"あ"あ"!!」

だが、真月を救えなかった遊馬は…悲しみのままに叫ぶしかなかった…。

 

 

 

 

ククク…これで、ベクターの力は我のモノ…!

ベクターを吸収し、七皇5人分のカオスを得たドン・サウザンド…その悪魔のような体が少しずつひび割れていく…!

 

 

「っ…!!許さねぇ…!絶対に許さねぇ!!ドン・サウザンドォォ!!」

 

愚かな…!!

 

ズン!!

 

「ぐっ…!?うわあああっ!!」

ドン・サウザンドへと憤怒の叫びを上げる遊馬…だが、ドン・サウザンドは凄まじいエネルギーの開放で遊馬を吹き飛ばした!

 

 

我は力を取り戻した…!見るがよい…新たな世界の夜明けを─!!

 

「っ!?」

 

「こ、今度はなんなの!?」

ドン・サウザンドが眩い光に包まれる、それと共にバリアン世界を覆うように紅い光の洪水…否、蔦のようなモノが広がっていく…さらに変化は終わらない…!

 

ズズズ…ズンズン

 

 

『これは…!?』

大地から蓮の花に似た巨大な異形の花が出現…それと共に の蔦は加速度的に世界を覆い…!

 

 

 

我は既に…1()()()()()となった!!今まさに、地上世界とバリアン世界は完全に融合したのだ!!

光が収まった時、そこにドン・サウザンドは存在しなかった…そこに存在したのは一際巨大な異形の花の蕾、その中からドン・サウザンドの声が響く…!

 

 

さぁ、後ろを振り返るがいい…九十九遊馬…!

 

「つ…!?あれは…!」

 

『ハートランドシティ…!?』

ドン・サウザンドに言われるまま振り返った遊馬達が見たもの…それはバリアン世界と同じように異形の花に侵食されたハートランド…人間界の姿だった。

 

 

そうだ…お前達の住む地上世界だ、言ったはずだ…我は1つの世界になったのだと…!ふはははは…!

 

「くっ…!?あんなの、どうすれば…!」

蕾を明滅させながら邪悪な笑い声を響かせるドン・サウザンド…その時だった。

 

 

キィン─! ドーン!!

 

 

(この光は…!?)

遊馬達の前に落雷の如く光が落ちる、一瞬ドン・サウザンドの攻撃かと思ったが…それは違った。

 

 

「お前は…!」

 

『ミザエル!!』

 

『ナッシュ…九十九遊馬…』

光の正体…それは月面での死闘を終え、カイトに託されたヌメロン・コードの『鍵』を手に帰還したミザエルだった…!

 

 

 

「み、ミザエル…!カイトは!?カイトは、本当に…!」

 

『……ああ、カイトは私に勝利した後、力尽きた…「銀河眼」誕生の地で…!』

 

「そんなっ…!!」

遊馬はカイトの安否をミザエルに尋ねる…ミザエルから語られたのは、誇り高きドラゴン使いの死に様だった…。

 

 

『そしてカイトは…私に、このカードを託した…!』

 

「これは…『ヌメロン・ドラゴン』…?」

ミザエルは光輝く1枚のカードを遊馬に託す、そのカードの名は「No.100ヌメロン・ドラゴン」…しかし、読み取れるのは名前だけだった。

 

 

『カイトの形見、お前に託す…!』

 

「カイトの……でも、どうしてオレに…?」

ヌメロンドラゴンを自身に託したミザエルに遊馬は問いかける、ミザエルはバリアンの一人…託すのなら、ナッシュに渡すべきだろうと…。

 

 

『…カイトが託し、信じた未来…それがお前だった』

 

「ミザエル…」

ミザエルは七皇の使命よりも、誇り高き好敵手の遺志を尊重する事を選んだ…それがカイトに報いる事だと信じて。

 

 

『…ナッシュ、我ら七皇は人間であった時の記憶をドン・サウザンドに改竄され、バリアン世界に堕ちた…奴が復活する為の力となる為に…!ドン・サウザンドの作る未来に、()()()()()()()は…無い!!』

 

『っ…!?ミザエル!!』

ナッシュに自身が知った真実を伝えたミザエルは…ドン・サウザンドが変じた花の前に瞬間移動する…その目に強い覚悟を宿して…!

 

 

『手出しは無用!!…よく見ておくんだ…!私のデュエルを!!』

ミザエルはドン・サウザンドへと立ち向かう、自身の…七皇の運命を歪めた黒幕を倒す為に…!

 

 

 

ミザエル…バリアンの力を失いし身で、我に戦いを挑むか…神の力を取り戻した…この我に!!

 

「っ!?あれが、ドン・サウザンド!?」

 

『あれが…ドン・サウザンドの、真の姿…!?』

ミザエルを前にした蕾が脈動…光を放ちながら開花する。

 

その中から現れたのは彼らの知る悪魔のようなドン・サウザンドではない…そこにいたのは、アストラル世界人のように全身から光を放ち、額にカオスの宝玉が輝く偉丈夫の男…しかし、その長髪は体の輝きとは正反対に漆黒に染まり、二房の紅い前髪が妖しく靡いている…そして瞳は紅と青のオッドアイであり…胸にはドン・サウザンドを示す『紋章』が昏い輝きを放つ…。

 

さらに驚くべきなのは『声』…老獪な老人を思わせた声は、張りのある威厳を感じる声へと変化している…。

 

 

その威容は…まさに『神』そのものだった…!

 

 

『ドン・サウザンド…!いざ尋常に、勝負!!』

 

良かろう…お前も、我の糧としてやる

一瞬、ドン・サウザンドの覇気に圧倒されるミザエル…だが、僅かな恐怖を押し殺しドン・サウザンドに剣を向ける。

 

対してドン・サウザンドは余裕を感じさせる優雅な態度で邪悪な瞳のあしらわれたデュエルディスクを出現させる…!

 

復活したドン・サウザンド…ミザエルは友から託された想いを胸に立ち向かう!!

 

 

 

【『デュエル!』】

 

 

 

 

デュエルダイジェスト ミザエル対ドン・サウザンド

 

 

 

 

 

先攻は我が貰う…我のターン、ドロー!

先攻を得たのはドン・サウザンド…混沌の神の最初の一手は…。

 

 

我は…これで()()()()()()

 

『何もせず、ターンエンドだと!?』

ドン・サウザンドはドローのみでターンを終える…そのフィールドには伏せカードもモンスターも存在しない…!

 

 

さぁ、お前のターンだ…かかってくるがよい

  

『くっ…!!私の全身全霊を賭けたデュエル、受けて貰おう─!!』

予想外の一手に動揺するミザエル…しかし、彼の闘志は揺らがない!!

 

 

 

 

『私はレベル4の「防覇龍ヘリオスフィア」と半月龍ラディウスの2体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!顕現せよ!「銀河影竜(ギャラクシー・ステルス・ドラゴン)」!』

切り札だった『銀河眼の時空竜』を失ったミザエルは新たなエクシーズモンスターを呼び出す…さらに展開はつづく!

 

『私は「銀河影竜」の効果発動!ORUを1つ使う事で手札からドラゴン族モンスターを特殊召喚できる!私は全てのORUを使い!「限界竜シュバルツシルト」「星間竜パーセク」を特殊召喚!』

 

 

「す、すごい!あっという間にドラゴンが3体も…!!」

 

「だけど、魔法カード『銀河逆鱗』の効果でこのターンの攻撃は封じられてる…!」

即座に3体のドラゴンを並べるミザエル…その攻撃力の合計は4800、十分にドン・サウザンドのライフを削りきる事ができるが…攻撃はできない…だが…!

 

 

(いいや…!)

 

『ミザエル…まさか…!』

アストラルとナッシュだけは…ミザエルの覚悟の意味に気付いていた…!

 

 

『ドン・サウザンド…見るがいい、これがドラゴン使い…最期の切り札!!魔法カード発動!「竜皇の崩御」!!このカードはフィールドのモンスターを全てリリースする事で発動する!そして…リリースしたモンスターの攻撃力分の合計分のダメージを…()()()()受ける!』

 

「ミザエル!お前…!?」

 

(ドン・サウザンドと刺し違えるつもりか!?)

それは全てを賭けた特攻…ドン・サウザンドが何かをする前にカタをつける、それがミザエルの選んだ手段だった!

 

 

『ミ、ミザエル!!やめろ!!』

 

『私の命と引き換えに…ドラゴン達の絆が!お前を地獄に送り返す!!4800のダメージを喰らえ─!!』

ミザエルの覚悟が…ドラゴンの絆が光の龍となってドン・サウザンドに牙を突き立てる!!

 

 

 

 

 

 

「えっ…!?」

 

『なに…!?』

 

『なんだと…!?』

次の瞬間、遊馬は…否、全員が困惑した…ドン・サウザンドとミザエルに牙を突き立てた光の龍が…()()したのだ。

 

 

 

ミザエルよ、お前のフィールドをよく見るがいい

 

『なっ…!?馬鹿な…!魔法カード「竜皇の宝札」…!?カードが、()()()()()()!?私が発動したのは「竜皇の崩御」のはず!?』

フィールドに目を落としたミザエルが見たのは…自身が発動したものとはまったくの()()()()が発動される瞬間だった。

 

 

だが、お前のフィールドで発動したのは『竜皇の宝札』、自分フィールドのドラゴン族モンスターを全てリリースしてその数だけドローできる

 

『…ただし、リリースしたモンスターの攻撃力分のダメージを、()()()()()()()…!?』

 

お前の…負けだ、ミザエル…4800のダメージを受け、果てるがいい!

 

『っ…!!がああああああ!!』

 

 

それは一瞬の出来事、何が起きたのかも解らぬまま…ミザエルは敗北した。

 

 

ミザエル LP0

 

 

ドン・サウザンド WIN 

 

 

 

 

 

『「ミザエル!!」』

不可解なデュエルが終わる…そして遊馬達はミザエルのもとへ駆け寄った…。

 

 

「ミザエル…!バカ野郎!どうして…!!」

 

『私も、信じてみたかったのだ…カイトや、お前達が信じた…人を信じる、ちからを…』

無謀な策を仕掛け、敗北したミザエル…彼は遊馬やカイトと出会い、人を信じる力の強さを知った。

 

だから…応えたかったのだ、自分を信じたカイトの思いに…。

 

 

『ナッシュ…遊馬…アストラル……あとは、たのんだ、ぞ──』

孤高なるドラゴン使いは…希望を仲間へと繋ぎ、力尽きた…。

 

 

 

 

これで…残る七皇はお前だけだ、ナッシュ…さぁ、お前も我の下に来るがいい…

ミザエルの魂を取り込んだドン・サウザンドは静かに浮遊しながら遊馬達の前に降り立つ…!

 

 

『世界』となった我の中には…既に何十億ものバリアンの魂が有る…その中にはこの戦いで散っていったお前の仲間達もいるのだ…そして九十九遊馬、アストラル…お前達の魂も、我が貰う…これにて…我は全ての力を手に入れ、真の神となるのだ…!

 

「っ…!!」

遊馬達の前に降り立ったドン・サウザンドが再び姿を変える…光輝いていた身体から光が消え、漆黒へと染まる…その身体からは凄まじいカオスの力が放たれている…!

 

 

ここからは誰も逃げる事はできん…貴様達はまとめて、我の糧になってもらう……さぁ、生贄の決闘だ

 

「オレ達と、まとめて…!」

 

『デュエルしようと言うのか…!』

ドン・サウザンドは不遜に遊馬とナッシュを同時に相手すると告げる…かたやバリアンの王、かたや奇跡の力『ZEXAL』を持つ勇士…その力など恐れるに足りないと…!

 

 

 

(ミザエルは…彼は、我々に命を賭けて伝えてくれた…!人を信じ、敵味方の垣根を超え…今こそ、強大な敵に立ち向かう時だと!!)

アストラルはミザエルからの最期のメッセージをしっかりと受け取っていた…この戦いは遊馬だけでも、ナッシュだけでも勝つ事はできない…。

 

2人が力を合わせる事が勝利の『鍵』なのだと…!

 

 

(シャーク…そして、遊馬…共に、戦おう!!)

 

『「……!」』

アストラルの言葉に分かたれた遊馬と凌牙の心は…再び重なり合う!

 

 

「シャーク!一緒にいくぜ!!」

 

『ああ、仲間の仇…討たせてもらうぜ!!』

 

(ドン・サウザンド!最後の決着をつけるぞ!!)

 

「あっ…」

遊馬、アストラル・ナッシュ…人間界・アストラル世界・バリアン世界の勇士が並び立つ、その様子を見守る小鳥は…その背中に希望を見た…!

 

 

 

「(私は、遊馬やシャークみたいに戦えない…でも、私にだって…できる事はある!!)」

 

 

「いっけぇ!みんなぁぁぁ!」

小鳥は自分にできる事をしようと決めた…それは()()()()()、世界を背負って戦う3人を励ます…それが自分の役割だと気付いたのだ…。

 

 

《フォウ!フォーウ!!》

 

「えっ…!?フォウくん!?なんで此処に!?」

その時、小鳥は聞き覚えのある鳴き声が足元から聞こえる事に気付く…それは遊海の飼い猫であるフォウだった。

 

 

「もしかして…遊馬達を応援する為に来てくれたの…?」

 

《フォウ…!》

 

「…そっか…!一緒に応援しよう!フォウくん!」

 

《フォウ!!》

小鳥は静かにフォウを抱き上げる…何故、フォウがこの場所に来る事ができたのかは分からない…それでも、遊馬達の為に来たのだと感じたのだ。

 

 

【(あの獣は……ふん、花の魔術師め…しっかりと二の矢を用意したか、貴様の()()()()()を殺した事…相当に怒ったようだな)】

視界の端に白い獣を見たドン・サウザンドは…僅かに不愉快げな表情を見せた…。

 

 

「デュエルディスク・セット!Dゲイザーセット!!」

 

『はあああっ!!』

 

遊馬はDゲイザー・デュエルディスクを装着、ナッシュはデュエルディスクを呼び出しドン・サウザンドに立ち向かう!

 

アストラル、我はこの時を待っていた…貴様を我の前に跪かせ、粉々に打ち砕くこの時を!!

ドン・サウザンドはアストラルに凄まじい敵意を向ける…彼は太古の戦いでアストラルに負けた事を根に持ち…復讐の時を待ち続けていたのだ…。

 

 

人間界・アストラル世界・バリアン世界…全ての世界を賭けた決闘がついに幕を上げる!!

 

 

 

【『「デュエル!!」』】

 

 

デュエルダイジェスト 遊馬&アストラル&ナッシュ対混沌の邪神 ドン・サウザンド 

 

 

 

@ドン・サウザンド

 

 

我のターン!ドロー!

我はこれでターンエンドだ

 

「また、何もしないで…!?」

 

「っ…!」

先攻を取ったドン・サウザンド…彼は再び何もせずにターンを終える…!

 

 

(気をつけろ…!ドン・サウザンドはこれまで戦ってきたなかで()()()()…それに、このデュエル…必ず何かがある…!)

アストラルは2人に警戒を促す、ドン・サウザンドは不可解な手段でミザエルを手玉にとった…だが、これがデュエルである以上…ドン・サウザンドは()()をした…それを見極めなければならない…!

 

 

「分かってる…!いくぜ、アストラル!」

アストラルの忠告を聞きながら…遊馬は慎重にターンを進める…!

 

 

 

@遊馬

 

 

39

 

 

「現われろ!『No.39』!『希望皇ホープ』!!」

遊馬はエースモンスターたる希望の戦士を呼び出す!

 

 

「見せてやるぜ、ドン・サウザンド!これがオレ達の希望だ!!」

 

()()だと?貴様達に…そんなモノがあると思っているのか?

 

キィン──!

希望の象徴を呼び出す遊馬…だが、その時!

 

 

ボン!!

 

《オオオッ!?》

 

「っ!?『ホープ』!?」

ドン・サウザンドの額の宝玉が妖しく輝いた瞬間、希望(ホープ)が砕け散る…そして…!

 

 

《ガ…!?ガガっ!?!?》

 

「えっ…!?な、なんで『ガンバラナイト』が!?」

 

《フォッ…!?》

爆煙の中から現れたのは…状況が把握できていない『ガンバラナイト』だった…。

 

 

(いったい、何が起きた…!?)

 

『テメェ…!何をしやがった!?』

遊馬達が動揺する中、ナッシュがドン・サウザンドへと叫ぶ…!

 

 

ククク…我は()()()()()カウンター罠『ヌメロン・リライティング・エクシーズ』を発動したのだ…!

 

『デッキから、罠カードだと!?』

 

「しかも、オレのターンに!?」

それは…まさに反則級の一手…デッキから発動したカウンター罠にホープは破壊されていたのだ…!

 

このカウンター罠は自分フィールドにカードが無い時、相手のエクシーズ召喚を無効にして破壊…そして相手デッキからモンスターを選び、効果を無効にして特殊召喚する!その効果で…我は『ホープ』召喚の事実を()()()()()()()

 

(書き換える……ヌメロン……まさか…まさか!この力は『ヌメロン・コード』の力か!?)

 

「そ、そんな…!?なんでアイツが!?」

アストラルは僅かな手掛かりからドン・サウザンドの不可解な力の源が『神のカード』…『ヌメロン・コード』の力である事を見抜いた…!

 

 

 

そうだ…これは『ヌメロンコード』の力だ!既にこの世界はフィールド魔法『ヌメロン・ネットワーク』が発動している!

アストラルが真実を見抜いた事でドン・サウザンドは種を明かす…デュエルが始まる前から既に世界を覆うフィールド魔法が発動していたのだ…!

 

 

このカードは1ターンに1度、自分の場にカードがない時…デッキから『ヌメロン』の力を得たカードを発動できる

 

(そうか…!ミザエルとのデュエルの時も!!)

 

その通り、我は『ヌメロン・ネットワーク』の力を使い、カウンター罠『ヌメロン・リライティング・マジック』を発動し、発動条件を満たす別の魔法へと書き換えたのだ…!

 

「そ、そんな…!?カードをなんでも書き換えられたら…遊馬達は…!?」

相手のカードを書き換える…それはあまりにも理不尽極まりない効果だが、まだ疑問が残る…。

 

 

 

「でも、なんで…アイツが『ヌメロンコード』の力を…!」

 

(ありえない事だ…ナンバーズは、まだ誰も揃えてはいない…地上世界の何処かに隠されて………ま、まさか?!そんな事が!?)

地上世界に隠されたヌメロンコードは未だに誰の手にも渡ってはいない…渡るはずがない……だが、アストラルは気付いた…気付いてしまった。

 

 

隠されたヌメロンコードの力を使う為の…()()を…!

 

 

(まさか…()()()()()()()()()()()()()の力を!?)

 

ようやく気付いたか、アストラル…確かに、ヌメロンコードの所在は分からぬ…そこで!我は地上世界をバリアン化させ、()()()()()()ヌメロンコードの力を取り込んだのだ…!

それはあまりにも乱暴で…あまりにも規模が大きすぎる話…『宝物の場所が分からないのなら、それが隠された場所ごと手に入れれば良い』…ドン・サウザンドは強大なカオスを使ってそれを成し遂げ、擬似的にヌメロンコードを手中に収めてしまったのだ…!

 

 

 

今の私は…ヌメロンコードの力を取り込み『神』となった…!故に、このような事もできる!!

 

 

キィン─!

 

「あれは!?」

力のタネを明かしたドン・サウザンドはヌメロンコードの力を開放…その頭上に青い空間ゲート…アストラル世界への扉が開く!

 

 

これで我は…アストラル世界へと直接攻撃ができる!

 

(アストラル世界と、この場所を…繋げた、のか…!?)

 

そうだ…そして、このデュエルでお前達が受けたダメージは…()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!このデュエルで…貴様ら諸共にアストラル世界を滅ぼしてやる!我が『ヌメロン』デッキの力…その身を滅ぼしながら、とくと味わうがいい─!!

 

 

 

動揺する遊馬達を嘲笑うドン・サウザンド…恐るべき『ヌメロン』の力が…牙を剥こうとしていた…!

 




〜次回予告〜


《ついに、世界の命運を賭けた戦いが始まった…ドン・サウザンドは反則技で手にした『ヌメロン・コード』の力で遊馬達を追い詰める…!》

《さらに現れる強力な4体の「神のナンバーズ」…そしてアストラルは1人で死地へと向かう…!?》


《次回、「転生して決闘の観測者になった話」!
『偽りの全知全能─ヌメロン・ネットワークを破壊せよ!─』》


《…負けないで、遊馬…アストラル…凌牙…!ボクは信じてる、キミ達が持つ『希望』の輝きを…!》
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