転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんばんは!S,Kです!

ナッシュとの戦いを終え、地上に帰ってきた遊馬…彼は最後の戦いを前に、何を思うのか…。


第6章 希望と混沌の果てに
戦禍が過ぎて…


Side???

 

 

『地上世界が遠ざかっていく…!』

 

『ああ…世界の危機は救われた…だが、きっと遊馬は…』

世界の狭間に安堵の声が響く…それはアストラル世界とバリアン世界と融合した人間界の接近を抑えていたトロンと一馬の声だった。

 

 

『なんにせよ…力を貸してくれてありがとう、バイロン』

 

『ふふっ…これで、あの時の借りは少しは返せたかな?』

 

『バイロン…』

 

『さらばだ、一馬…ボクの────』

 

『……ありがとう』

限界以上の力を使ったトロンの身体は粒子となって融けていく…だが、その顔は…最期まで笑っていた…。

 

 

『……遊海…これで、良かったんだよな…?』

一馬は遠ざかっていく地上世界を見送った…。

 

 

 

 

Side out

 

 

 

 

「シャーク…!グスッ…」

 

「うっ…うぅ…!」

 

《フォーーウ……》

 

(…遊馬…)

地上世界・ハートランドの海浜地区…そこで遊海達は泣きじゃくっていた。

 

バリアンの王ナッシュとの激戦の末、望まぬ形で勝利を手にした遊馬…心を通じ合わせた友との離別は…遊馬達にとって、あまりにも重い…しかし、全ては後の祭り。

地上世界から遠ざかるアストラル世界を見ながら、遊馬達は泣き続けていた…。

 

 

キィン─!

 

 

「っ…?あれ、僕は…?」

 

「あれ、アタシ…?紅い光に……」

 

「えっ…!?流星君!?海亜さん!?」

 

「えっ…!?」

泣き続けていた遊馬達、その背後で光の粒子が集い、流星と海亜が現れる!

 

 

(これは…!?)

 

キィン─!

 

 

『イテテ…何だか分からないけど、戦いは終わったみたいだな…?』

 

《…そうみたいだね、十代…あそこに九十九遊馬がいるのがその証さ》

さらに変化は続く、地上に突き出していた結晶の山が消滅…さらに光の粒子と共に港に集っていた十代やチーム5D'sのメンバー達が復活したのだ!

 

 

 

「な、何が起きてるんだ!?」

 

(…我々がシャークを倒した事で、バリアン世界と人間界の融合が解消され…奪われた多くの魂がこの世界に戻ってきたのか…!)

 

「それじゃあ…!」

 

「鉄男君やみんなも…!!」

ドン・サウザンドが企んだバリアン世界と人間界を巻き込んだアストラル世界殲滅計画は無に帰した…それにより、バリアン世界に取り込まれてしまっていた人々が帰ってきた…それは遊馬の仲間達もまた蘇った事を意味していた。

 

 

「遊馬!やってくれたみたいだね!」

 

「流星!あれ…?なんでハートランドに…!?」

 

「……君達がバリアンと戦っている間に、人間界でも…大きな戦いがあったんだ…僕達はその援軍に来たんだよ…」

 

「大きな、戦い…?」

 

(……)

流星が驚きで涙が止まった遊馬に話しかける…そしてアストラルは気付いた、海浜地区が更地になっている事…さらに集まっているメンバーの数から相当な『何か』があったのだろうと…だが、それを遊馬に伝える前に…。

 

 

 

「「「遊馬ー!!」」」

 

「あっ…!委員長!キャットちゃん!徳之助!ハルト!!」

 

「遊馬!大丈夫か!!?」

 

「鉄男君!!」

 

「「遊馬〜!!」」

 

(アンナにロビン…みんな、無事に戻ってこれたようだ…)

雲が晴れ、朝日の照らす港に遊馬の仲間達が集まって来る…遊馬の戦いは決して、無駄ではなかったのだ…!

 

 

「みんな…みんな無事で良かった─!!」

遊馬は笑顔で仲間達と再会を喜びあった…。

 

 

 

 

「遊馬!お前ならやってくれるって信じてたぜ!」

 

「おれも!」

 

「ああ…!これも、みんなのおかげだ…!!」

再会を喜びあった遊馬は仲間達にバリアン世界での戦い、そしてその顛末を伝える…この戦いに勝つ為には、誰が欠けていても勝てなかっただろうと…。

 

 

「遊馬…ぼく達、本当に勝てたんだよね…!」

 

「ハルト…っ…!!すまねぇ、ハルト…!オレは…カイトも、シャークも璃緒も…誰も…誰も、救えなかった…!!」

 

「遊馬…」

ハルトの顔を見た遊馬は再び悲しみに顔を歪ませる…この勝利は決して『無傷の勝利』ではない。

 

カイトは戦いの末に月面で力尽き…璃緒はベクターによって倒れ…凌牙は望まぬ戦いの末に、散っていった…勝利の代償…それはあまりにも、大きなものだった…。

 

 

……そして……

 

 

 

『九十九遊馬…よく帰ってきた』

 

「っ…瀬人さん!?その身体は…!」

失意に項垂れる遊馬に声を掛けたのは…全身から火花を散らし、左腕が千切れた瀬人だった…。

 

 

『心配するな…所詮機械の身体だ、替えはある…それよりも、だ……遊海が、()()()()()

 

「っ…!!」

 

《……フォウ》

瀬人の言葉に遊馬の心臓が跳ねる…ナッシュから遊海の『死』を聞かされていたからだ…。

 

 

『……九十九遊馬、アストラル…そして観月小鳥は付いて来い…不動流星、海亜・アトラス…お前達はこの場で何があったのか、その仲間達に教えろ…我らが伝えるより、同じ世代のお前達の話が分かりやすいだろう…』

 

「…わかりました、遊馬…行ってあげて……あの人の所に…」

 

「流星……分かった」

遊馬とアストラル、小鳥は瀬人と共に歩き出した…。

 

 

 

 

 

『……この場所で何があったか、聞いているか?』

 

「…ベクターが操ってたネームレスが、遊海と戦ったって…」

遊海のもとに着く前に…瀬人が何が起きたのかを語る…。

 

 

『ネームレスは、一度遊海にデュエルで敗れた…だが、それで終わらず…数多の偽ナンバーズを召喚し、遊海や我らを追い詰めた…だが、壊滅寸前にチーム5D'sとイリアステルが駆けつけ挽回した……かに思われた、が…』

 

『ネームレスは…本性を隠してやがった』

 

(遊城十代…)

瀬人の言葉を継いで十代がその先を語る。

 

 

『ネームレス…その正体は巨大な蛇の化……モンスターだった、あまりの強さにオレ達の攻撃も効かず、アヤカも…フレアもやられちまった…そして最悪な事に……ネームレスは「ダークネス」を取り込んだ…!』

 

「ダークネス…!?それって!!」

 

(遊海がかつて話してくれた「虚無の邪神」…!?何故!?)

 

『たぶん、先生が弱ったのと…人間世界がバリアン世界融合のせいで「絶望」してたから復活したんだ、それでバリアン世界融合前に、人間界を掌握しようとしたんだと思うけど……読みが甘かった、あっけなくネームレスに喰われたんだ』

 

『そしてネームレスは「虚無の魔獣神」となり…我らに襲い掛かった……遊海は、尽きかけた命で精一杯の反抗を試みた……しかし……』

 

『…遊海さんは…負けてしまった』

 

(貴方は…!)

 

「伝説のDホイーラー…不動、遊星…」

仲間達の下から少し歩いた先、かろうじて形を保つコンテナの前に1人の老人が待っていた…それは遊星だった。

 

 

『…目を、背けないでくれ……最期まで、諦めず戦った…遊海さんの姿を…!』

 

 

 

 

「………!」

 

「ああっ…!!」

 

《フォウ…》

遊星に導かれた遊馬達はコンテナの裏へ回り込む…そして言葉を失った。

 

 

 

最初に目にしたのはボロボロの服を着たまま寝かされ、胸元に一輪の桃色の花が添えられた遊海だった、眠っているだけのように見えたが…血の通わなくなった白い肌がそれを否定する…そして…。

 

 

「『死者蘇生』……『リビングデッドの呼び声』……『竜魂の源泉』……『死者転生』…………」

その横でずっと蘇生系カードを発動していたのは、ボロボロに傷付いた翠だった…遊馬達はその姿を見て言葉を失っていた。

 

 

座り込んだ翠の足元には『月の書』『太陽の書』『禁じられた聖槍』『禁じられた聖杯』などのモンスターに掛けられた効果を無効・リセットするカードや…『死者蘇生』『死者転生』『生者の書─禁断の呪術─』『戦士の生還』のような蘇生系カードが大量に散らばっていたのだ…。

 

 

『翠さん…もう、やめよう…遊海さんを、休ませてあげよう…?』

 

「まだよ…まだ…!!戻ってきて…!戻ってきてよ!!やだ…!やだぁ!!!」

ひたすらにカードを発動し続ける翠…それに寄り添っていたのはアキだった…そのアキも涙を零している…。

 

 

 

『遊海さんは、最後の手段……怪物の「魂」を直接攻撃する為に、怪物の中に飛び込んだ…でも…ダメだったんだ…』

 

『…遊星、そこから先は…私が伝えましょう』

 

(貴方は…)

 

「アクル…!?なんで、アンタが…!」

遊海の最期を聞く遊馬の前に光が集う…そしてアストラル世界の「五命星」の1人、アクルが現れた…。

 

 

『改めて自己紹介を…私の名はアクル……そして、人間だった時の名前は…Z-ONE、秘密結社イリアステルの滅四星の1人です』

 

「えっ…!?イリアステルって…」

 

(かつて、ネオドミノシティを狙った未来人…貴方はその転生体だったのか…!)

 

『その通りです』

アクル…ゾーンは自身の真名を遊馬に伝え、話を続ける。

 

 

『遊海がネームレスに斃され、翠達に襲いかかる寸前、()()がギリギリでその攻撃を防ぎ、ネームレスに戦いを挑んだのです』

 

「私達…?誰か、一緒に…?」

 

『ええ…我が友、シーカー……いいえ、この呼び名の方が分かりやすい…イリアステル滅四星、「善知の悪魔」ラプラス…それが真名です、彼もまた…アストラル世界へと導かれていた…』

 

「シーカーが、ラプラス…!?イリアステルで最強って龍可ばあちゃんが言ってた…!?」

 

(遊海を追い詰めたデュエリストが、アストラル世界に来ていたとは…!)

続いて語られる事実に遊馬達は驚く事しかできない…。

 

 

『私とラプラス…そして「花の魔術師」の助力を得た翠、そして赤き竜に力を与えられた流星と海亜の5人でネームレスを追い詰め……ラプラスがその命を賭け、ネームレスを浄化し…救ったのです、それが人間界の戦いの全て……そして、私達はその直後にバリアン世界融合の影響で意識を失っていたのです……』

 

「オレ達が戦ってる間に、そんな事になってたなんて…!?」

 

(しかし、何故だ…!何故、遊海は…!バリアン世界に奪われた魂はみんな…!)

 

《…マスターの、魂が……砕けてしまった、からです…》

 

(アヤカ…!)

遊海が戻って来ない事に動揺するアストラルにアヤカが語りかける…その機体はボロボロで、虹色の核石にはヒビが入っていた…。

 

 

《WDCでの無茶なNEXUS化から…マスターの魂は、ボロボロでした…そして異次元での戦い、ネームレスの襲撃…そして今回の決戦……マスターは、あまりにも…無理をして…もう魂そのものが、限界に…》

 

「そんな…!?」

それは遊海が遊馬達に隠していた不調、英雄の魂は既に…失われてしまった後だった…。

 

 

キィン─…

 

 

「あっ…!?やだ!やだやだやだ!!神様!連れていかないで!!遊海さんを連れていかないでぇ!!」

 

「っ…!遊海…!?」

その時、翠の悲鳴が響く…遊海の体が金色の粒子になりながら解けていく……空気に融ける紫煙のように、波に消える砂の城のように…。

 

 

「そんな…そんなぁ…!!あぁ…あああああ!!!」

 

「翠さん…」

泣きながら縋りつく翠の手から零れ落ちるように、遊海の肉体は空気に融けていく、遺されたのは…凌牙から送られた赤いペンデュラムだけ、港に翠の悲しみの絶叫が木霊した…。

 

 

 

 

(……遊馬、カルトゥーシュを翠に……それだけは、彼女に返さなくてはならない…)

 

「……うん」

 

「遊馬…」

遊海の消滅を見届けたアストラルが遊馬に語りかける、それは託された遊海の「形見」…遊馬は首から外したカルトゥーシュを手に翠へと歩み寄る。

 

 

 

「……ただいま、翠さん…」

 

「ぐすっ……あ…?遊馬、くん…?」

遊馬は静かに泣き続ける翠へと話しかける、そして翠は焦点の合わない目で遊馬を見て…()()()

 

 

「……世界を、救ってくれて…ありがとう…!遊海さんも、ずっと…信じてた、から…!!」

 

「翠さんっ…!」

涙を流しながら、翠は笑っていた…遊馬の辛い戦いを知っているからこそ…叫びたくなるような悲しみを押さえて、笑顔で遊馬を迎えたのだ…。

 

 

「遊海が…オレにカルトゥーシュを貸してくれたから、人間界を守ってくれたから…オレは戦えた…!ありがとう…!」

遊馬も涙を零しながら、カルトゥーシュを翠に手渡す…翠は大事にカルトゥーシュを抱きしめる…。

 

 

「遊海さんもね、最後まで…笑ってたの……『例え、輪廻の輪から外れても…お前を愛してる』って……ネームレスの攻撃に呑まれる直前まで……本当に、馬鹿で…強い人……1人で、全部背負いこんで……」

 

(………)

ポツリ、ポツリと遊海の最期を語る翠…遊馬達は泣きながら、その言葉を聞いていた…。

 

 

「ねぇ、遊馬君…ナッシュは…()()()は…どうだった…?あの子は…笑えて、いたかしら…?」

 

「「っ…!!」」

翠のその言葉を聞いた時、遊馬達は気付いた…翠が失ったのは遊海だけではない、凌牙と璃緒…2人の子供達も失っていた…翠は1()()になってしまったのだと…。

 

 

「えっ、あ……」

 

「……笑って、ました…!」

 

(小鳥…)

 

「シャークも…最後まで、笑ってました!『遊馬と最高のデュエルができて良かった』って…『遊馬とアストラルは生涯の友達』だって…!!」

言い淀んだ遊馬の代わりに小鳥が凌牙の最期を伝える…光の中に消えていった、誇り高き『王』の最後を…。

 

 

「…ありがとう、遊馬君…小鳥ちゃん…アストラル…!あの子達を()()()()()()、ありがとう…!!ああ、あああ──!!」

 

「翠さん…」

 

《フォウ、フォーウ…》

その言葉と共に翠は泣き崩れる…その傍らには遊馬達と共に付いてきたフォウが寄り添っていた…。

 

 

 

 

 

 

「遊馬…」

 

「話は…流星から、聞いたにゃん…」

 

「………」

翠と別れた遊馬達が仲間達のもとに戻ってくる…仲間達も事情を察し、沈痛な表情だった…。

 

 

「…オレ…なんの為に、戦ったんだろう……オレのしてきたデュエルって…!なんだったのかなぁ…!!」

 

「遊馬…」

 

(………)

朝日の照らすハートランドの海を見ながら、遊馬はポツリと言葉を零す…あまりにも多くのモノを失った遊馬の心は、弱りきっていた…。

 

 

(……遊馬……!)

 

キィン─!

 

「あっ…?」

その時、アストラルが無言で浮かび上がり、その身から無数のカード…100枚のナンバーズを解き放った…!

 

 

《キュオオォォン─!!》

 

 

キィン─!

 

「これは…!?」

遊馬とアストラル、2人だけとなった空間にヌメロン・ドラゴンの咆哮が轟く…そしてヌメロン・ドラゴンは遊馬とアストラルの頭上に完成したナンバーズの集合体に飛び込んだ…!

 

 

 

(遊馬、100枚のナンバーズが全て揃い…今、我々の前に出現した……これが全宇宙の過去と未来が記された『神』のカード…)

 

「『ヌメロン・コード』…!」

遊馬の目の前に青白い輝きを放つ、パズルのようなカード…全能の力『ヌメロン・コード』が姿を現した…!

 

 

(…どうやら、()()()使()()を果たす時が来たようだ…この『ヌメロン・コード』を書き換える事が、私の使命…)

 

「全ての過去も、未来も書き換える……アストラル…?」

 

(…バリアン世界はまだ()()()()()()、私は…バリアン世界を()()()()()…!)

 

「アストラル!?」

それは思わぬ言葉…アストラルは自分の『使命』を果たすと遊馬に告げる、その眼は…初めて出会った頃のように冷たく、鋭いものだった…!

 

 

「そんな…!?本気なのかよ!?」

 

(バリアン世界はカオスの『根源』…それを残しておくことはできない)

 

「アストラル世界は変わったんじゃねぇのかよ!?何かの犠牲の先に、未来はねぇ!!お前…分かってくれたんじゃないのかよ!!

遊馬とアストラルの奮闘によってアストラル世界は変わった、カオスを排斥し続けたエリファスもその考えを改めた…そのはずだった。

 

 

「……戦い続ければ、いつか未来は切り開ける…その可能性を捨てちまうのかよ!?…だったら、何の為にお前とオレは戦い続けてきたんだよ!?この戦いはなんだったんだよ!!」

 

(……私の()()は変わらない、バリアン世界を消滅させる…()()()私の使命だ)

ナッシュとの戦いを乗り越え、目指すべき新たな未来を見つけたはずのアストラル…だが、その表情は揺らがない。

 

 

 

「そんな事…そんな事、絶対させねぇ!!」

 

(では、どうする?)

 

「…だったら…だったら……決闘(デュエル)だ…!!」

 

(きみが、私と?…『ヌメロン・コード』に書き記す未来を…そのデュエルに賭けるというのか?)

 

「そうだ!!」

見つけた出した答えを…未来を守る為に、遊馬はアストラルにデュエルを挑む…!

 

 

(私には()()()()()()()()が揃っている…この世界の誰も、私には勝てない……それでも戦うのだな?)

しかし、それはあまりにも無謀な挑戦…100枚のナンバーズを揃え、全ての力と記憶を取り戻したアストラルは…遊海亡き今…文字通り『最強の決闘者』になっていた…!

 

「オレが勝ったら…オレに従え…!」

それでも、遊馬の闘志は揺らがない、自分が見つけ出した『答え』を守る…例え、最強の男が敵になろうとも…。

 

 

(…良かろう、ならば…私が勝った時はバリアン世界を消滅させ…そして、私に関するきみの()()も…全て消去する)

 

「っ…!!」

 

(…良いな?)

 

「…ああ…!」

アストラルはバリアン世界の未来と遊馬の『記憶』を賭けにデュエルを受け入れる…!

 

 

(…では、夕刻…場所は…『駅前広場』だ…)

そう言い残し、アストラルは皇の鍵へ消えていった…。

 

 

 

 

「あれ…アストラルは…?」

 

「何が起きてたウラ?」

アストラルが消え、周囲の景色が港に戻る…仲間達は何が起きていたのか分からないようだった…。

 

 

「……」

 

「遊馬…?」

その中で…小鳥だけは気付いていた、海を見つめる遊馬の瞳に…強い覚悟の光が宿っている事に…。

 

 

 

 

Side???

 

 

 

─遊馬君……九十九遊馬君…聞こえるかい?─

 

「あ、れ…ここは…?」

 

遊馬は気づくと黒い世界に佇んでいた…そこに優しげな青年の声が響く…。

 

 

 

─こうして会うのは初めてだね、君達の戦い…ずっと見ていたよ─

 

「アンタ…まさか、『キング・オブ・デュエリスト』…武藤遊戯、さん…!?」

 

─そう硬くならなくていいよ、遊馬君─

君の世界に光が集う…そして星のような特徴的な髪型で青いジャケットを羽織る優しい顔の青年が現れる…それは伝説の決闘者が1人、武藤遊戯だった。

 

 

 

─…遊馬君、君は混沌の邪神を倒し、混沌の王を乗り越えて世界を救った……でも、君は戦いの中で()()()()()がある─

 

「失ったモノ…?」

 

─かつて、十代も()()を忘れてしまって大変だったんだ……それを思い出さないと、君は……アストラルには勝てないよ…?─

 

「あっ…!?遊戯さん!?遊戯さん─!?」

黒の世界が光に包まれる…遊戯はその光の中に消えていった…。

 

 

 

………

 

 

 

「うっ…?寝ちまってた、のか…」

遊馬は机に突っ伏した状態で目を覚ました。仲間達と別れ家に戻った後、連戦の疲れから対アストラル戦のデッキを考えながら眠ってしまっていたのだ…。

 

 

「…アストラル、あいつに勝つ為のデッキ…これが、あいつとの最初で最後のデュエルなのに…オレはあいつの事、あいつはオレの事…全然分かってなかったなんて……!」

遊馬は再びデッキ構築に集中する…一方、その頃…。

 

 

 

 

 

Sideアストラル

 

 

 

『…アストラル』

 

(…一馬)

皇の鍵の世界、飛行船の上から彼方を見つめていたアストラルの背後に人影が現れる…それは遊馬の父・一馬だった。

 

 

『オレは君を遊馬のもとに送り込んだ…そして、君達は見事にやり遂げてくれた…』

 

(いいえ…まだです、まだ私には…『ヌメロン・コード』を使う役割が残っています)

アストラルは珍しく敬語で一馬の言葉に答える…。

 

 

『そうか…君がどんな決断をしようと…それは()()()()()だ』

 

(全て…貴方()の計算通り、では?)

 

『さぁ…?どうなんだろうな…』

アストラルの問いに一馬は帽子で顔を覆う、その目からは僅かに涙が溢れていた…。

 

(貴方達は、気付いていたのですね…遊馬は……)

 

『……戦うのか?アイツと』

 

(はい、全力で…!!)

記憶を取り戻したアストラルは『九十九遊馬』という存在の()()に気が付いていた…その上で、彼は全力を尽くす…全ては『新たな未来』の為に…。

 

 

Side out

 

 

 

 

 

「くそっ…!しっかりしろ、オレ…!!」

遊馬は涙を拭きながら頭を抱える、カードを手にする度に浮かんでくる思い出…それによって集中力が続かなかったのだ…。

 

「アストラルとのデュエル…あいつのデッキには全てのナンバーズと『希望皇ホープ』が揃ってる…!あいつなら、きっと…!!」

最強のデュエリスト・アストラルと戦う為に必死に頭を捻る遊馬…そんな時だった。

 

 

「わ、わぁぁ〜!?」

 

ドッゴーン!!

 

 

「どおおっ!?な、なんだなんだぁ!?!?」

それまでの静寂を物理的に貫いて…何かが屋根裏部屋へと突っ込んできた!!

 

 

「わ、ワリィワリィ…ブレーキが効かなくてさ…(汗)」

 

「あ、アンナ!?なんで!?」

部屋にやってきたのは飛行砲台のコントロールを誤ったアンナだった…だが、彼女だけではない。

 

 

「トドのつまり!」

 

「アストラルとデュエルするんでしょう?」

 

「大盤振る舞いでね!」

 

「ウラ!」

 

「心配で見に来たのよ!」

 

「ありがたく思えよ!」

 

「お、お前ら〜!?」

窓からは等々力、キャットちゃん、徳之助、ロビン…階下からは小鳥と鉄男が顔を出す…。

ナンバーズが100枚揃った事でアストラルと遊馬が「お別れデュエル」をするんじゃないか?という風に考え、遊馬を応援する為にやって来たのだった。

 

 

………

 

 

「なんだよお前ら〜!オレ、デッキ作りで忙しいんだぞ!?」

アンナが壁に空けた大穴を塞いだ遊馬達は屋根の上で語り合う…突然やってきた仲間達に遊馬は困惑していたが…。

 

 

「だからこそ…君にカードの()()()()()()をしにきたのさ!」

 

「えっ…??」

ロビンの言葉に遊馬は首を傾げる…。

 

 

「トドのつまり、アストラルのデッキには全てのナンバーズが揃っています!」

 

「つまり、それに対抗する為には!」

 

「強力なカードが必要ウラ!」

 

「良かったら、おれ達のカード使ってくれよ!」

 

「みんな…一緒にアストラルと戦いたいのよ!」

 

「小鳥…みんな…」

仲間達は強敵に挑む遊馬を応援する為…そして、デッキのカードを提供する為にやってきたのだ…。

 

 

「ん?どうしたんだよ、遊馬」

 

「オイラ達のカード、使ってほしいウラ!」

 

「……ありがとな、でも…今度のデュエルは…()()1()()の力で戦いたいんだ…!オレ自身の力で……戦わなきゃ、意味がないんだ…!」

 

「遊馬…?」

だが、遊馬は仲間達の申し出を辞退する…()()のデュエルは、遊馬が1人で戦わなければならない()()なのだ。

その時、小鳥だけは遊馬の異変に気付いていた…遊馬が抱く、強い覚悟と迷いに…。

 

 

 

「……そうだよな、お前にとってはアストラルとの最初で最後のデュエルだもんな!わかった…お前なりに、精一杯ぶつかってみろよ!」

 

「鉄男……ああ!!オレは、みんなの『気持ち』と一緒に戦うぜ!!かっとビングだ!オレ─!!」

しかし、仲間達の応援は遊馬の力となる…戦いを前に、遊馬は気合いを入れ直したのだった。

 

 

 

………

 

 

 

「なんだか、不思議な感じね…こうして歩いてると、アストラルがいつも一緒だったのに…」

 

「…ああ」

時は流れ、約束の夕暮れ時…遊馬は小鳥と共に約束の駅前広場へと向かっていた。

他の仲間達は先に広場へと向かっている…。

 

 

「遊馬…?」

 

「……なぁ、小鳥…お前はずっと、オレ達のデュエルを見ててくれた…だから、お前にだけは話しておきてぇ……このデュエルの…儀式の目的を…!!」

 

「えっ…?」

夕暮れの川辺で遊馬はデュエルの真実を語る、戦いの刻はそこまで迫っていた…。

 

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