転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

296 / 540
戦いの儀─最強の決闘者対希望の勇者─

「……ゆうみ、さん……どうして…私を、置いていっちゃうの…?どうして…!!」

 

《ミドリ…》

 

《キャウ…》

 

「……翠さん…」

夕日の照らすハートランドの海辺にすすり泣く声が消えていく…それは遊海を失った翠の嘆きの声だった。

カルトゥーシュとペンデュラムだけを遺し、遊海は消滅した…翠は遊海のいた場所から離れようとせず、ずっと泣き続けていた…。

 

その翠を守っていたのはフォウと動けるだけの力を取り戻したアヤカやフレア、ウィンダを始めとした精霊達…そして十代と遊星、アキ、ジャック、ブルーノが少し離れた場所から翠を見守り続けていた。

 

他の5D'sの仲間達は家族の無事を確認する為に一旦ネオ童実野シティに戻り…イリアステルはアーククレイドルへ、アクルもアストラルからエリファスが死んだ事を聞き、混乱を収める為にアストラル世界へと戻っていた。

 

 

「……かける言葉が見つからないって、こういう時の事だよな…」

 

「…遊海さんも、翠さんも…お互いに愛しあっていた……その最後が、こんな終わりだなんて……」

 

「……遊星、とにかく翠さんを家に連れて帰りましょう…あのままじゃ…翠さんも……」

 

『…僕も賛成だよ、あのままじゃ……ラプラスの二の舞になってしまうかもしれない…遊海も、彼も…絶対にそんな事は望んでないよ…』

遊星達はとにかく翠を安全な自宅へと連れて帰ろうと話し合っていた…その時…。

 

 

 

『………立て、翠』

 

「せと、さん…」

 

《フォウ…!?》

泣き続ける翠に冷たく声を掛けたのは、新たなボディに乗り替えた瀬人だった…その目は翠の虚ろな目をしっかり見据えていた。

 

 

『ハートランドの駅前広場で九十九遊馬とアストラルのデュエルが始まる……最後まで、希望を捨てるな…!遊海は、必ず帰ってくる…!!』

 

「……うん…そうだよね、まだ…『ヌメロン・コード』が………」

翠は弱々しく瀬人の手を取り、立ち上がった…。

 

 

 

 

 

(デッキの準備は済んだのか?)

 

「…ああ、完璧だぜ…!」

夕暮れのハートランド駅前…バリアン世界融合の影響で瓦礫が散乱する「始まりの場所」で遊馬とアストラルはついに対峙する。

そして…その戦いを見届けようと仲間達が集まっていた…。

 

 

『ついに、あの2人が戦うのか…どんな風に戦うのだろうな?』

 

『アイツの事だ!ただ全力でぶつかるだけさ!』

同じ広場でデュエルを見守るのはゴーシュとドロワ、そしてナンバーズクラブの仲間達。

 

 

「遊馬〜!頑張れよ〜!」

 

「2人の検討を祈ります!」

 

「アストラルも頑張るニャン!」

 

「(みんな、知らないんだ…このデュエルの()()()()()()……)」

無邪気に声援を送る仲間達を見ながら…遊馬から「真実」を告げられた小鳥は、心配そうにその背中を見つめていた…。

 

 

 

『……本当かよ、それ…!?』

 

『ああ、この街の上空に異常な重力場が発生している…「ヌメロン・コード」が出現していると見て間違いない…』

 

『じゃあ、このデュエルはもしかして…!?』

 

『……そうか、()()()のデュエルか…!』

広場を見下ろすビルの上ではアークライト兄弟が遊馬達のデュエルを待っている…そして、ヌメロンコードの存在からこのデュエルの『意味』に気付いていた。

 

 

『「ヌメロン・コード」…過去と未来を書き換える、究極のカード…!』

 

『(願わくば…その力で、未だ帰らぬ魂を……カイト…遊海さん…!!)』

Ⅴは姿を見せた月を見つめながら『奇跡』を願う…力尽きてしまった教え子と、かけがえのない恩人の帰還を…。

 

 

『遊馬達は…「ヌメロン・コード」の力を使うつもりなのか…?』

 

『わからん、だが…このデュエルにその答えがありそうだ…!』

Ⅳの言葉に答えたⅤは視線を落とし、デュエルの始まりを待った…。

 

 

 

 

「この闘志の高まり…懐かしいな、遊星」

 

「ああ、ジャック…オレ達の運命を切り開いたあのデュエル……遊馬達も、また…デュエルで未来を決めようとしている…!」

遊馬達から少し離れたハートランドの駅舎の入口…瓦礫に腰掛けた遊星とジャックは闘志を高める遊馬とアストラルを見据えている…。

 

 

「……翠さん、涙を拭いて…あの子達なら、きっと奇跡を起こしてくれるわ…」

 

「そうだよ!泣いていたら…遊海が帰ってきた時に心配しちゃうよ!」

 

「アキちゃん…ブルーノ……うん…」

憔悴した翠を支えるのはアキとブルーノ…そして…。

 

 

「…瀬人さん、遊海先生からこの『先』の事は聞いてるのか?」

 

『聞いておらん……だが、「奇跡」は起きると奴は言った……見せてもらうぞ、遊馬…アストラル……お前達の望む未来を…!』

 

《フォーウ》

十代と瀬人が遊馬とアストラルの考える「未来」を見極める為に行方を見守っていた…。

 

 

 

 

((遊馬、ついにこの時が来たのだな…きみと出会った時から、いつかこの日が来る事を…私は……これが、きみとの…最初で最後のデュエル…!))

 

「(アストラル、あの時から…いつか、別れが来るのはわかってた……それが、こんな形になるなんてな…)」

 

 

戦いを前に、遊馬とアストラルは同じような事を考えていた…。

 

アストラルは初めて出会った「あの日」からの思い出を…。

 

遊馬はエリファスに告げられた「言葉」を…。

 

 

2人は心を合わせて苦難を乗り越えて来た…そしてその果てに…2人は今、激突する!

 

 

 

 

 

 

(始めるぞ、遊馬!)

 

「ああ、いくぜ!かっとビングだ!オレ!!」

時は満ち…2人の決闘者は最後の準備を整える!

 

 

「デュエルディスク、セット!D・ゲイザー、セット!!」

 

(ハッ!!)

遊馬は赤いデュエルディスクとDゲイザーを装着、アストラルは青いデュエルディスクを呼び出し、左眼を輝かせる!

 

 

「デュエルターゲット、ロックオン!!」

 

 

─ARビジョン…リンク、完了!─

 

世界が無数の数字に覆われる…聞き慣れた機械音声を聞きながら、拡張現実の中で最後のデュエルが幕を上げる!

 

 

 

 

「(デュエル!!)」

 

 

 

 

デュエルダイジェスト 遊馬対アストラル

 

 

 

 

「先攻は貰った!オレのターン、ドロー!!」

「『ゴゴゴゴーレム』を召喚!さらに、カードを3枚伏せ、ターンエンドだ!!」 

 

((破壊耐性を持つ『ゴゴゴゴーレム』をあえて攻撃表示で…何かあるな…!))

運命の戦いの先攻を取ったのは遊馬、攻防に優れた青きゴーレムと伏せカードで守りを固める。

…今の遊馬のデッキにナンバーズはない、あるのは戦いの中で手に入れた『音楽魔人』と新たな『オノマト』の仲間だけ……そして、対するアストラルの取る戦術は…。

 

 

 

(いくぞ…私のターン!ドロー!)

(私は永続魔法『パラレル・ユニット』を発動!このカードは相手フィールドのモンスターと同じレベルのモンスターとなる!さらに永続魔法『ソリッド・オーバーレイ』を発動!このカードはランク4のエクシーズモンスターのエクシーズ素材にできる!!)

 

「来るか…!!」

それはエリファスと同じ、モンスターカードを用いないエクシーズ召喚…!

 

(私はレベル4の『パラレルユニット』と『ソリッドオーバーレイ』でオーバーレイ!エクシーズ召喚!!)

 

 

39

 

 

(現れろ!『No.39』!我が戦いはここより始まる…白き翼に望みを託せ!!光の使者!『希望皇ホープ』!!)

光の爆発と共に希望の戦士が出現…雄叫びを上げる!

 

 

「『ホープ』…!オレが、コイツと戦うなんて…!」

現れた光の使者を前に遊馬は一瞬たじろぐ…遊馬とアストラルの希望の象徴…相棒とも言えるナンバーズと戦う事を…。

 

だが、アストラルはまだ止まらない!

 

(さらに私は『WRUM-ホープ・フォース』を発動!このカードはORUを2つ持つ『ホープ』に対して発動できる!『ホープ』のORUを1つ、または2つ分け与える事で!ランクが1つまたは2つ高いエクシーズモンスター2体を特殊召喚する!ダブル・ランクアップ・エクシーズチェンジ!!)

 

「なにっ─!?」

それは新たな「RUM」…アストラルの頭上で2つの光が弾ける!

 

 

39 

 

 

(現われろ!『CNo.39』!『希望皇ホープレイ・ヴィクトリー』!)

 

 

39 

 

 

 

(さらに現われろ!『No.39』!『希望皇ビヨンド・ザ・ホープ』!!)

 

「ホープが、一気に3体!?」

それは予想外の一手、遊馬との『真の絆』で覚醒した『ヴィクトリー』、そしてエリファスの想いを受けた希望を超えた希望『ビヨンド』…3体のホープが並び立つ!!

 

 

 

(いくぞ、遊馬!!『ビヨンド』の効果発動!自分のターンのバトルの間、相手モンスターの攻撃力を0にする!)

希望の閃光がゴーレムの力を奪い去り…3体のホープの連撃が迫る!

 

「させるかよ!!罠カード発動!『ガードロー』!自分フィールドのモンスターを守備表示にして、カードを1枚ドロー!!」

 

 

『上手い…!「ゴゴゴゴーレム」を守備表示にして、手札を1枚増やした!』

 

『これで遊馬は2回、攻撃に耐えれるが…』

 

『だが、アストラルは恐らく…!』

罠を絡めたコンボで守りを固める遊馬にⅢとⅣは感心する…だが、Ⅴは…アストラルがその守りを超える事を予測していた…!

 

 

(ならば…私は『ヴィクトリー』で『ゴゴゴゴーレム』を攻撃!さらにORUを使い、相手モンスターの攻撃を無効にする!さらにこのバトルが終わるまで魔法・罠の発動を封じる!ホープ剣ダブル・ヴィクトリー・スラッシュ!!)

 

「っ…!!」

勝利の皇帝の二刀流がゴーレムを両断する…だが、遊馬はまだ終わらない!

 

 

「罠発動『ガードゴー』!!自分フィールドの『ガガガ』『ゴゴゴ』『ドドド』モンスターが戦闘・効果で破壊された時、そのモンスターを特殊召喚できる!さらに手札から『ガガガ』『ゴゴゴ』『ドドド』モンスターを2体まで守備表示で特殊召喚できる!!来い!『ドドドウォーリアー』『ガガガマジシャン』!!」

 

(やるな…!二段構えの守備か…!)

ゴゴゴゴーレムが復活、さらにガガガマジシャン、ドドドウォーリアー…遊馬が愛用するモンスターが並び立つ!

 

 

(ならば…!『ビヨンド』で『ガガガマジシャン』を攻撃!続けて『ホープ』で『ドドドウォーリアー』を攻撃!!)

 

「ぐっ…何とか、防いだぜ…!」

ホープの連撃が遊馬のモンスターを粉砕…遊馬は攻撃を耐えた事に安堵する、だが…!

 

 

(それはどうかな…?私は速攻魔法『RUM-ダーク・フォース』を発動!)

 

「なっ…2枚目の『RUM』!?」

アストラルはさらに畳み掛ける!

 

(このカードは自分のエクシーズモンスターが相手モンスターを破壊した時、そのエクシーズモンスターを除外し!そのランクより1つ上と、2つ上のエクシーズモンスター2体を効果を無効にしてエクシーズ召喚召喚する!私は『希望皇ホープ』を墓地に送る!)

ホープが墓地へ消えで新たなモンスターが姿を現す!

 

 

39 

 

 

(現われろ!ランク5『CNo.39』!『希望皇ホープレイV』!)

 

 

25 

 

 

(そしてランク6!『No.25』!『重装光学撮影機(フルメタル・フォトグライド)フォーカス・フォース』!)

 

「『ホープレイV』に『フォーカスフォース』…!?」

アストラルのフィールドに希望の鬼神と未来を写すカメラのナンバーズが現れる!

 

(いいや、まだだ!速攻魔法『ネクロ・カオス』を発動!!自分のエクシーズモンスターが墓地に送られた時、同じランクのカオスエクシーズを効果を無効にして特殊召喚する!!)

 

 

39 

 

 

(現われろ!『CNo.39』!『希望皇ホープレイ』!)

続けて遊馬とアストラルの友情の証、黒き希望皇が現れる…そしてアストラルは最後の一手を打つ!

 

 

(さらに私は『ビヨンド』の効果発動!ORUを1つ使い、『フォーカスフォース』を除外し!墓地の『希望皇ホープ』を特殊召喚!そして私は『ホープ』の攻撃力の半分、1250のライフを回復する!!)

 

「5体の『ホープ』が、揃った…!?」

アストラルのフィールドに5体の『希望』が集結する…!

 

 

 

「これが、アストラルの本気…!!」

 

「で、でも…やり過ぎじゃねぇのか…!?」

 

「にゃんだか、怖い…!!」

遊馬の仲間達が異変に気が付き始める…ただの『お別れデュエル』にしては鬼気迫り過ぎると…!

 

 

「遊馬…!」

 

─アストラルがどう『ヌメロン・コード』を使うかは分からねぇ…でも、アストラルはこのデュエルを最後に行っちまう…でも、みんなの心の中じゃ…『いい奴』のままにしておきたいんだ…!─

 

それは遊馬から小鳥に託された『真実』…仲間達には伏せられた真実を知る小鳥は胸を痛めていた…。

 

 

 

(いくぞ!!『希望皇ホープ』!『ゴゴゴゴーレム』を攻撃!)

 

「守備表示の『ゴゴゴゴーレム』は1ターンに1度、バトルでは破壊されない!!」

頑強な身体がホープ剣を弾き返す…だが…!

 

(わかっているさ!だが…私の攻撃はまだ残っている!!『ホープレイ』で『ゴゴゴゴーレム』を攻撃!ホープ剣カオス・スラッシュ!!)

 

「っう…!!」

混沌の一撃がゴーレムを両断する!

 

 

(続いていくぞ!『ホープレイV』で遊馬にダイレクトアタック!!ホープ剣Vの字斬り!!)

 

「っあああああ…!!!」

トドメに襲いかかるのはホープレイV…Vの一撃が遊馬を吹き飛ばした!!

 

 

「やり過ぎ、じゃねぇのか…!?」

 

「遊馬…!!」

仲間達の疑念は確信に変わる…アストラルは、遊馬を潰すつもりで戦っているのだと…!!

 

 

「ぐっ……」

 

(………)

倒れ伏す遊馬を見下ろすアストラル…その瞳は揺らがず、氷のように冷たかった…。

 

 

 

(どうした?遊馬、もう戦う気力を失ったか?…やはり、私にデュエルを挑むなど…100年早いようだ!!私は魔法カード『エクシーズ・トレジャー』を発動!フィールドのエクシーズモンスター1体につき1枚…よって5枚ドローする!!)

 

「っ…!!」

アストラルは『エクシーズ・トレジャー』で使った分の手札を補充する…そのタクティクス・天運は『最強』の名乗るに相応しいモノだった…!

 

 

(私は…カードを3枚伏せ、ターンエンド!!さぁ、きみのターンだぞ?それとも…本当に心が折れたのか?)

ターンを終えたアストラルは膝をついたままの遊馬に問い掛ける…その時、遊馬は──

 

 

 

「ははっ……ハハハハ!あははは!!」

 

 

 

遊馬は、笑っていた…!

 

 

 

 

「すっげぇカッコいいぜ!『ホープ』!!いつも、後ろ姿しか見れねぇからな!それが…5体のホープが並ぶのを、こんな特等席で見れるなんて!!まったく()()()()のカッコよさだぜ!!ただ、残念なのは…おれがホープを使えねぇ事だけだ!!」

 

(遊馬…)

遊馬は夕陽に照らされる5体のホープを見て喜びを露わにする、それはデュエリストとしての「ジレンマ」…プレイヤーが見れるのは自分のモンスターの背中だけという事、遊馬と希望皇ホープは肩を並べて戦ってきた…故に、遊馬が見ていたのは頼もしい「背中」だけ…だが、ホープと戦う事で男心をくすぐる、カッコいい姿をようやく目にする事ができたのだ…!

 

 

「お前の事だから言うまでもねぇが…キッチリ使()()()()よ!アストラル!!こっからが勝負だ!手を抜くなよな──!!」

 

(フッ…!)

遊馬の心は折れない…何故ならば…今の遊馬もまた『最強』を背負うデュエリストなのだから…!!

 

 

「そうよ…遊馬…!頑張れ!!遊馬の全部、アストラルにぶつけなさーい!!」

 

「おう!!」

小鳥の声援が遊馬の背中を押す…相手は5体の『ホープ』、そして『ナンバーズはナンバーズでなければ戦闘破壊できない』という最強の耐性…遊馬はその理不尽に立ち向かう!

 

 

((そうだ、遊馬…もっと…もっと本気で向かって来い!でなければ…きみの失ったモノは…取り戻せない!!))

自身に立ち向かう遊馬を見て、アストラルは僅かに口角を上げていた…。

 

 

 

 

「オレのターン!ドロー!!いくぜ…魔法カード『エクシーズ・トレジャー』発動!オレも5枚ドローだ!!」

遊馬は引き当てたドローソースで手札を補充…頼れる仲間を呼び出す!

 

 

「オレは永続罠『ガガガミラージュ』の効果で2体分となったレベル4の『ガガガマンサー』でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現われろ!『ガガガガンマン』」

ゴーシュ戦で活躍した早撃ちガンマンが現れる!

 

 

「さらにレベル4の『ガガガマジシャン』2体分でオーバーレイ!エクシーズ召喚!!来い!『ガガガザムライ』!!」

続いて現れるのは遊馬の新たな仲間、ガガガ学園の剣豪が現れる!

 

 

「いくぜ!!『ガガガザムライ』の効果発動!1ターンに1度、ORUを1つ使い!ガガガモンスターを2回攻撃できるようにする!!」

ORUを斬り捨てた剣豪からオーラが溢れ出し、ガンマンにも伝播する!

 

「さらに『ガガガガンマン』の効果発動!ORUを1つ使い、攻撃力を1000アップさせる!」

 

(フッ…そしてバトルする時、相手モンスターの攻撃力を500下げる、か…!だが!『ビヨンド』の効果で自分の『ホープ』は効果対象にならない!『ガンマン』では私のモンスターは倒せない!!)

 

「いいや、そうでもないさ!!墓地の『ガガガマンサー』の効果発動!墓地のこのカードを除外し、『ガンマン』の攻撃力を500アップさせる!これで攻撃力3000だ!!」

アストラルの裏をかく一手でガンマンは『ビヨンド』を除くホープの攻撃力を上回る! 

 

 

「バトルだ!『ガンマン』で『ホープレイ』を攻撃!!『ネクロ・カオス』で召喚された『ホープレイ』の効果は無効…つまり、バトルで破壊できる!!」

 

(ぬっ…!)

無数の銃弾がホープレイを撃ち抜き、破壊する!

 

 

「『ガンマン』は2度攻撃できる!効果が無効になっている『ホープレイV』を攻撃!!」

さらに銃弾がホープレイVを粉砕する!!

 

(ナンバーズを破壊し、私のライフを削った事は褒めるが…これで『ガガガガンマン』の攻撃は終わり、私の場には3体のモンスターが残っている…手詰まりのようだな!)

 

 

「いいや…!手詰まりなのは、お前の方だぜ!!」

 

(なにっ…!)

 

「オレは速攻魔法『ガガガ流明鏡死斬』を発動!!」

残る3体のホープを前に、遊馬はさらなる攻勢を仕掛ける!

 

「このカードは自分フィールドのガガガモンスター1体を選択して発動できる!そのモンスターがバトルする時、バトルする相手モンスターの『名前』と『攻撃力』を得る!さらに選択したモンスターはバトルで破壊されず、相手モンスターを破壊した時!その攻撃力分のダメージを与える!オレは『ガガガザムライ』を選択!!」

 

(なんだと!?)

それは起死回生の一手…剣豪が刀を構え、跳躍する!!

 

 

「『ガガガザムライ』で『ビヨンド』を攻撃!この瞬間『ガガガザムライ』は『ビヨンド』の名前と攻撃力を得る!!ホープ剣ビヨンド・ザ・スラッシュ!!」

 

(ぐああああっ!?)

ビヨンドの姿を写したガガガザムライがビヨンドを両断、3000のダメージと共にアストラルを吹き飛ばす!

 

 

「まだだ!『ガガガザムライ』はもう一度攻撃できる!『ホープレイヴィクトリー』を攻撃!!ホープ剣ダブルヴィクトリー・スラッシュ!!」

 

(っ…!私は速攻魔法『ヒート&ヒール』を発動!!私のフィールドでもっともランクが低い『希望皇ホープ』の攻撃力分、私はライフを回復する!!っううう…!!)

攻撃を受ける寸前、アストラルはライフを回復し、攻撃に耐える…残りライフ、1050…!

 

 

「っ…!アストラル!!」

攻撃を終えた遊馬はアストラルの名を呼ぶ…大ダメージを受けたアストラルの体が明滅していたからだ…だが、アストラルは『ヒート&ヒール』の効果を発動する!

 

(『ヒート&ヒール』の、さらなる効果!このカードが効果を発動した後、このカードは『希望皇ホープ』のORUになる…!)

 

 

「おい!大丈夫なのか…!?」

 

(フッ…私と、した事が迂闊だったよ……きみが5体のホープを見た時に気付くべきだった……()()()()、つまり…きみは、5体のホープが並ぶ事を想定していたのだな…!)

 

「ひひひっ…!バレたかぁ!!」

アストラルはゆっくり立ち上がりながら、遊馬のタクティクスを分析し気付いた…遊馬はこの状況を()()()()()()のだと、その指摘を聞いた遊馬はイタズラが成功したこどものように笑っていた!

 

 

(まさか、ホープの登場に驚く芝居までするとは…)

 

「ああ、このデッキを作る時間…今までの人生で1番頭を使ったぜ!そして…その間、ずっと思い出してたんだ…お前と一緒に戦ってきた事を……オレをこんなに強くしてくれたのは、アストラル!お前だ!!お前と一緒に乗り越えてきた『困難』がオレに自信をくれたんだ!オレのかっとビングに…人を信じる力に!」

 

アストラルと出会う前は、デュエルを禁止されていた事もあり、ハートランド「最弱」のデュエリストだった遊馬…だが、アストラルと出会い、様々なデュエリストと戦い、困難を乗り越えた遊馬は…アストラルが育て上げた人間界「最強」レベルのデュエリストまで成長していた…!

 

 

「オレとお前は一心同体…だから、オレに人を信じる力があるのなら…お前にもきっとある!!だから、オレは…もう一度お前に、人を信じる力を…誰にでも、未来を切り開く力があるって思って欲しいんだ!!…だから、オレは諦めない!!お前が世界一強いデュエリストでも、例えこれが1万回に1回しか勝てないデュエルでも!!このデュエルで、その奇跡を起こしてみせる!!」

 

(フッ…そうこなくてはな…!やってみろ、遊馬!私はアストラル世界の代表として全力で戦う!!きみの全力を、私に見せてみろ!!)

遊馬はアストラルに対し勝利を誓う…アストラルは世界を背負う代表として、その覚悟に応えようとしていた…!

 

「よっしゃあ…!!オレはカードを3枚伏せ、ターンエンドだ!!」

 

 

 

 

「ん…?んん〜??なんだか、遊馬とアストラルの態度…すれ違ってないか?」

 

『うむ、九十九遊馬はアストラルに対し、必死な想いを向け…かたやアストラルは…九十九遊馬から()()を引き出そうとしているように見えるな…』

 

デュエルを見ていた十代はデュエルの違和感に気付く…確かに、アストラルは凄まじい猛攻を仕掛けていた…だが、そこに強い闘志はあっても殺気は無い。

だが…遊馬は笑ってこそいるが、何かに()()()()()()()()()()()()焦っているように見えた…それは瀬人も感じた事だった…。

 

 

《十代、これは…アレだ、アカデミア卒業前の十代と同じだよ……》

 

「……もしかして、()()()()()()?!いや、それにしたって…」

 

《前から思ってたけど……アストラルは堅物だねぇ…どんな世界で育ったのやら…》

アストラルの真意を理解したユベルは呆れたように溜息をついた…。

 

 

 

 

(私のターン!ドロー!)

(私は『希望皇ホープ』で『ガガガガンマン』を攻撃!!)

 

「罠発動!『ハーフ・アンブレイク』!!戦闘破壊を無効にし、バトルダメージを半分にする!!」

剣を振り上げるホープに対し、遊馬は泡の障壁を発動するが…!

 

 

(ならば!罠発動!『アブソリュート・バスター』!このカードはモンスターを破壊から守る効果のみを無効にする!ホープ剣スラッシュ!!)

 

「読まれてたかっ…!ぐううっ!!」

アストラルの伏せカードによってガンマンは斬り裂かれ、遊馬はダメージを受ける…残りライフ、900…!

 

(遊馬、きみが私を知り尽くしているように…私もきみを知り尽くしている!だから…このデュエル、手加減はしない!!私はカードを3枚伏せ、ターンエンド!)

 

 

 

 

 

「(アストラル…そして『希望皇ホープ』…オレがアストラルと出会った時、初めて手にしたエクシーズモンスター…『No.39希望皇ホープ』…!)」

再び追い詰められる遊馬は…アストラルの場に佇む、希望の戦士を見上げる…。

 

 

「(初めてエクシーズ召喚した感激は忘れねぇ…お前と戦い続けた事、ホープ…お前はオレの『希望』だった…!だけど、今は…お前を、乗り越えなきゃならねぇ!!)かっとビングだ!!オレェェッ!!」

 

((そうだ、向かって来い…!諦めず、向かって来るんだ!!))

雄叫びを上げ、自分を奮い立たせる遊馬…アストラルはその様子を静かに見守っていた…!

 

 

 

「オレのターン!!ドロー!」

「装備魔法『ガガガリベンジ』発動!墓地から蘇れ!『ガガガガンマン』!」

遊馬の場に再びガンマンが復活する!

 

 

「さぁ…いくぜ、アストラル!これがオレの全力!!『ガガガガンマン』で『希望皇ホープ』を攻撃!」

 

(なんだと…!?)

遊馬の思わず一手にアストラルは動揺する、ホープとガンマンの攻撃力差は1000…遊馬は捨て身の攻撃を仕掛ける!!

 

 

((この攻撃、何かある!!)私は『ホープ』の効果発動!ムーンバリア!!)

遊馬の態度、伏せカードを見たアストラルはガンマンの攻撃を無効にする!

 

 

『掛かったな!!アストラル!罠カード発動!「ムーン・バンパー」!!モンスターの攻撃が無効になった時、相手モンスターの効果を無効にして!さらに攻撃力を80下げる!!』

 

(なにっ!?私が攻撃を無効にする事を読んで……ならば、今の攻撃は─!?)

 

「ああ、少しビビったけど…お前が攻撃を無効にするのは分かってた─!!」

それは遊馬一世一代の大勝負、遊馬はアストラルとの駆け引きを成功させたのだ!

 

 

「いっけぇ!『ガガガザムライ』!『希望皇ホープ』を攻撃!!」

 

(っ…!!)

遊馬の覚悟の一撃が…ついに希望を乗り越えた…!

 

 

(やってくれたな、遊馬…!デュエルの勝敗さえもブラフに使うとは…だが、これこそ()()()()()()()()()()()()()だ!)

 

「ヘヘっ…どんなもんだい!」

5体のホープを乗り越えた遊馬…アストラルはそのタクティクスを称賛する…。

 

 

 

「やっぱ…お前とのデュエルは想像以上に燃えるぜ!…もしも、このデュエルに()()()()が無かったら……」

アストラルに褒められ、得意げになっていた遊馬は顔を曇らせる…このデュエルには『バリアン世界の消滅』が懸かっている、それさえなければと……故に、遊馬はもう一度アストラルに問い掛ける。

 

 

「アストラル!お前、忘れちまったのかよ!エリファスとオレとのデュエルを!……あのデュエルで世界はランクアップだけじゃねえ……気に入らない奴らを切り捨てるだけ、なんて…そんなのはオレ達の目指す未来じゃない!!ランクアップだけが未来じゃねえって事を見つけたはずだ!!だから、エリファスはオレ達に未来を託したんじゃないのか!?」

 

(………)

それは遊馬の心からの言葉…アストラルはそれを静かに聞いている。

 

「どんな事だってやり直せる!誰とだって理解り合える!!答えてくれよ、アストラル!!」

 

 

(忘れない……忘れられる訳が無い…!きみの言葉……きみと過ごした時間…!…例え、一瞬でも…!!)

 

「アストラル…?」

遊馬の言葉を聞いたアストラルは表情を緩める…その顔は、いつものアストラルの表情だった。

 

 

(きみには、いつか交わした私との()()を果たしてもらう!!)

 

「……やく、そく…?お前との…!?」

だが、それも僅かな事…遊馬へとメッセージを送ったアストラルは再び闘志を高める!!

 

 

(遊馬、答えは常にデュエルの中にある!!いくぞ!私は速攻魔法『RDM-ホープ・フォール』を発動!!)

 

「ランクダウンマジック!?」

 

(このカードは自分のナンバーズが破壊された時、それよりランクが低いエクシーズモンスターを、破壊されたナンバーズを素材としてエクシーズ召喚する!ランクダウン・エクシーズチェンジ!!)

それは遊馬が生み出した『理想』の力の再現…フィールドで再び光が弾ける!

 

 

39  

 

 

(現われろ!ランク1『No.39』!『希望皇ホープ・ルーツ』!!)

それは希望皇が抱いた原初の理想…最弱最優の戦士が現れる!

 

 

「『ホープルーツ』…!?お前が、ランクダウンを…!?」

それは遊馬が予期せぬ召喚…アストラルは『バリアン世界を滅ぼす』と言った…つまりそれは『ランクアップを目指し続ける為』だと遊馬は考えていた…。

……だが、ランクダウンによって現れた『ホープルーツ』を見た遊馬は…アストラルの考えている事が分からなくなってきていた…。

 

「っ…オレは、カードを1枚伏せ、ターンエンドだ!!」

 

 

 

(遊馬、取り戻すんだ…)

 

「えっ…?」

それはアストラルのちいさな呟き…アストラルが求めるモノの答えだった。

 

 

 

(私のターン、ドロー!!)

(私は装備魔法『ナンバーズ・フレーム』を『ホープルーツ』に装備!攻撃力を1500アップさせる!!さらに、エクストラデッキのナンバーズ2体をORUにする!私は『No.32海咬龍シャーク・ドレイク』と『No.62銀河眼の光子竜皇』をORUにする!!)

 

「シャークと、カイトのカードを…!?」

アストラルが選んだのはカイト、そして凌牙のナンバーズ…三勇士の魂のカードが原初の希望の力となる!

 

 

((遊馬、私は決して忘れはしない…きみと共に…シャークやカイトと、仲間と共に戦った事を……だが、運命は君に過酷な苦難を与えた…きみは身も心もボロボロになりながらそれを耐え、乗り越え…私達に勝利をもたらしてくれた…!))

アストラルは思い返す…何処にでもいる普通の少年だった遊馬、だが…ナンバーズを巡る戦いに巻き込まれ…身も心も擦り減らしていった…。

 

 

((そして、それはきみ自身も気づかないうちに、きみから、()()()()()()()()()()()()()()()…だから、私は──)バトルだ!『ホープルーツ』で『ガガガガンマン』を攻撃─!!)

 

「させるか!!『ガガガザムライ』の効果発動!ガガガモンスターが攻撃される時、攻撃対象を自身に移し替える!」

 

(永続罠『ランク・レボリューション』発動!!自分の場にエクシーズモンスターが1体だけの時、そのランク以上のエクシーズモンスターの効果を無効にする!ホープ剣ルーツ・スラッシュ!!)

 

「っ…!!うああああ!!」

遊馬の策を抜けた原初の希望がガンマンを両断する!!

 

 

(そしてこの瞬間、永続罠『オーバーレイ・アクセル』を発動!自分のエクシーズモンスターが相手モンスターを破壊した時、ORUを1つ使い!もう一度攻撃を可能にする!!)

 

「なにっ…!?」

ホープルーツのORUは3つ…全ての攻撃が通れば、遊馬は敗北してしまう!

 

 

(私はORUを1つ使い!『ホープルーツ』で『ガガガザムライ』を攻撃!!)

 

「っ…がああああっ!!?」

 

「遊馬!!」

ORUから飛び出したシャーク・ドレイクの牙が、ガガガザムライを噛み砕き…遊馬を吹き飛ばす─!

 

 

 

(取り戻すんだ!!きみが失ってしまった…1()()()()()()()を─!!)

 

 

「オレが失った…1番、大事なもの──?」

吹き飛ばされる刹那、アストラルの叫びが響く…その声は、遊馬の脳裏にとある記憶を呼び起こした…。

 

 

 

 

Side???

 

 

「アストラル、オレ…デュエルやってて本当に良かった!住む世界や言葉が違っても、誰とでも一緒に遊べて、仲間になれちまう!本気になればなるほど分かり合えて、心がワクワクして…!ヘヘっ!」

 

それはアストラルと出会い、「CNo.39」を手に入れWDCに挑む少し前の事…満天の夜空の下、遊馬とアストラルは語り合っていた…。

 

 

 

「……なぁ、アストラル…ナンバーズが全部集まったら、その先…どうすんだよ?」

 

(使命を果たし、アストラル世界に戻るだけだ)

 

「そ、そっか…だよな……それで、『その先』は?」

 

(それから?…その先の未来など考えた事が無い)

 

「なんだよ!?張り合いがねぇなぁ…」

その当時のアストラルはまだ性格が堅く、ナンバーズの回収と使命を果たす事だけを考えていた…そんなアストラルに遊馬は語る…。

 

 

 

「オレはいっつも考えているぜ!オレ達の未来を!すっげえ眩しくて、キラキラしてスカッとする未来を……いつか、お前にもオレの未来を見せてやるからな!

 

(キミの、未来…)

 

「……あっ、でもその時はお前……いねえかも知れねえんだな…」

 

(遊馬…そうだな)

遊馬の未来設計を聞いたアストラルは苦笑する…。

 

 

 

「……あ!お前、オレの事、『寂しそう』だとか!別れる時に泣くだろうとか思っただろ!?」

 

(フッ…否定はしない)

 

「このやろー!だったら、オレは絶対泣かねえからな!別れの時、お前と本気でデュエルして!そして勝って、笑ってやる!!()()()()()、アストラル!!」

 

それは、激しい戦いに巻き込まれる前の穏やかな一時…遊馬とアストラルのかけがえのない約束だった…。

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

「アストラルの言ってた、約束って……うぐっ!?」

刹那の間に記憶を思い出した遊馬は派手に背中を打ち付ける、残りライフ…300…。

 

 

 

「あいつ、さっき言ってた…約束を果たすって……あの時の…?」

 

(いくぞ!遊馬!私は『オーバーレイ・アクセル』の効果発動!『ホープルーツ』のORUを1つ使い、再び攻撃できる!)

 

 

「(お前との別れの時…本気デュエルで()()って…!)」

 

(『ホープルーツ』で遊馬にダイレクトアタック─!!)

 

「(デュエルで、笑う…デュエルって、もっと楽しくて…ワクワクして、ドキドキして…楽しいものなのに…いつの間にかおれ、泣いてばっかで──)」

ホープルーツと光子竜皇の幻影が攻撃を仕掛ける刹那…ようやく、遊馬は自分が失ったモノに気付いた。

 

 

それは『デュエルを楽しむ心』

 

 

数多の戦いの中で遊馬は命懸け、そして世界を背負って戦い続けた…そして遊馬は『かっとビング』『デュエルをすれば、みんな仲間』という信条と同じくらい大切な『デュエルを楽しむ心』を失っていたのだ…。

 

 

「(オレ、失ってたのか?心の底から笑うって…あいつ、それを思い出させようと──)…あいつ!!罠カード発動!!『マストダイ・ドロー』!自分のライフより高い攻撃力のモンスターに攻撃される時!カードをドローして、それが罠カードなら!バトルを無効にして発動できる!……アストラル、思い出したぜ!お前との約束!!」

 

(そうか…!)

攻撃を受ける寸前、遊馬は運命の1枚を発動する…その顔は笑っていた!

 

 

「それにしてもお前、それを気付かせる為に……どんだけクソ真面目で不器用なんだよ─!?」

 

(フッ…遊馬…)

遊馬が『答え』に気付いた事でアストラルは表情を崩す…普段通りの優しい表情へ…今までの事は全て、アストラルの()()だったのだ。

 

 

あまりにも多くのモノを失い、デュエルを楽しむ事すらも忘れてしまった遊馬…その時、アストラルはかつての『約束』を思い出した。

 

だが、ただ『全力のデュエルをしよう』と言っても、遊馬の心は埋まらない……故に、世界の未来を賭ける事で遊馬の心に発破をかけ…全力を出せるように仕向けていたのだ…!

 

 

「わかったぜ、アストラル!約束だ!!笑ってやる!!お前に勝って…心の底から笑ってやる─!!見せてやるよ!オレの未来を─!!」

 

キィン─!!

 

『デュエルを楽しむ心』を取り戻した遊馬の右腕に眩い希望の光が宿る…それは未来を導く奇跡の光!

 

 

最強デュエリストのデュエルは全て必然!ドローカードさえも、デュエリストが創造する!シャイニング・ドロー!!

 

 

(遊馬、やはり…きみは…!古の戦いで分かれた私の分身…!もう1人の私…!!)

フィールドを照らす奇跡の光…それを見たアストラルは確信した、九十九遊馬…その大本は古の戦いでアストラルと分かれてしまったアストラルの半身、その魂が九十九遊馬へと転生した紛れもない、もう1人の自分なのだと…!

 

 

「オレがドローしたのは、罠カード!よってバトルは無効となる!そしてオレは罠カード『マスター・ピース』を発動!!」

それは遊馬が導いた未来を示す、奇跡の力…!

 

「このターン、墓地に送られたモンスター2体でエクシーズ召喚できる!!オレはランク4の『ガガガガンマン』『ガガガザムライ』の2体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!!」

遊馬のフィールドで光の大爆発が起きる!!

 

 

「現われろ!『FNo.0』!! 」

 

 

00 

 

 

天馬、此処に解き放たれ!縦横無尽に未来へ駆ける!!これがオレの天地開闢!オレの未来!!かっとビングだ!オレ!!『未来皇ホープ』!!

 

それは紛れもない『遊馬自身』のナンバーズ、赤き体に純白の翼を広げし未来の皇…その名は『未来皇ホープ』!!

 

 

 

『ランク0の、ナンバーズ…!?』

 

「遊馬の新しいナンバーズ…!」

 

「未来皇ホープ…」

 

「なんだか、遊馬に似てる!」

虹色の光を纏い現れた未来皇に全員が目を奪われる…その中で小鳥はその姿に遊馬を重ね見ていた…!

 

 

(これが、きみの未来──)

 

「オレの未来はまだ()()()()()()()()!それが!ランク0の可能性だ!!」

 

(実に、きみらしいナンバーズだ!!)

 

「おう!アストラル!お前とのこのデュエル!楽しんで楽しんで楽しみぬいて!最後に絶対笑ってやる─!」

 

(ああ、来い!遊馬!私はこれでターンエンドだ!)

アストラルと遊馬はお互いに笑い合う…ここからが本当の戦いの始まりだった!

 

 

 

 

「オレのターン!ドロー!」

「いくぜ!『未来皇ホープ』で『ホープルーツ』を攻撃!」

 

(攻撃力0で攻撃…!?何か仕掛ける気だな?)

 

「さぁ、どうだろうな─!」

再び無謀な攻撃を仕掛ける遊馬…アストラルの選択は…!

 

 

 

(私は『ホープルーツ』の効果発動!エクシーズモンスターとバトルする時、ORUを1つ相手に与える事で!このターンの間、攻撃力は相手モンスターとのランク差にORUを掛けた数値になる!攻撃力は300となる!)

あえてホープルーツの攻撃力を下げるアストラル、その選択は─!

 

 

 

「『未来皇ホープ』の効果発動!相手モンスターとバトルする時、バトルでは破壊されず!バトルダメージも0になる!さらに!バトルした相手モンスターのコントロールをバトルの間だけ得る!!」

 

(なにっ!?)

それは『九十九遊馬』という男を象徴する効果…誰も傷付けず、戦って相手を仲間とする…最善を目指す『優しい』効果だった!

 

 

「『未来皇ホープ』!ホープ剣フューチャー・スラッシュ!」

それは未来を切り拓く最優の一撃、攻撃を受けたホープルーツは白い羽に包まれ、遊馬のフィールドに現れる!

 

 

「これで『ホープルーツ』のコントロールは貰ったぜ!!」

 

(それが『未来皇』の力か…!)

 

「いけ!『ホープルーツ』!アストラルにダイレクトアタック!ホープ剣ルーツ・スラッシュ!」

 

(やるな…!遊馬!!)

アストラルの残りライフ…550、予想を超えた一手にアストラルは声を上げた…。

 

「ヘヘっ…!オレはカードを1枚伏せ、ターンエンドだ!」

 

 

 

 

(きみの攻撃はブラフではなかったようだな?)

 

「流石だぜ、アストラル!よく『ホープルーツ』の攻撃力を下げたな!」

 

(きみが新たな可能性を見つけたなら、それがブラフな訳はないと思ったのさ)

 

「ヘヘっ…お前とのデュエル、最高にワクワクするぜ!!さぁ、来い!アストラル!お前の本当の全力、オレに見せてくれ!!」

 

(遊馬、ランク0…無限の可能性があるのなら!私はさらに、上へ往こう!!)

今までで1番の笑顔を見せる遊馬とアストラル…無限の可能性を見せた遊馬に応えるように、アストラルの右腕に光が宿る!!

 

 

 

全ての光よ!力よ!我が右腕に宿り、希望の道筋を照らせ!シャイニング・ドロー!!

それは奇跡の光、アストラルもまた…さらなる未来を導く!!

 

 

(来たぞ、遊馬!私は『HRUM-アルティメット・フォース』を発動!!自分フィールドの『ホープ』をランク10のナンバーズにランクアップさせ、このカードをORUにする!ランクアップ・ハイパーエクシーズチェンジ!!)

 

「なっ…!?」

それはホープが辿り着く、究極の可能性…光の大爆発がフィールドを埋め尽くす!

 

 

(現われろ!『No.99』!)

 

 

99 

 

 

砕け散り我が魂の記憶!今、1つの星となりて!天命を貫く霹靂となれ!これがナンバーズの終焉にして頂点!!『希望皇龍ホープ・ドラグーン』!!

それはナンバーズの頂点に君臨する最強の1枚…希望を宿せし龍神…その名は『希望皇龍ホープ・ドラグーン』!

 

 

 

「これが、ランク10…『No.99』…!」

 

(いくぞ!『ホープドラグーン』の効果発動!1ターンに1度、墓地に眠るナンバーズを効果を無効にして特殊召喚する!来い!『ビヨンド・ザ・ホープ』!!)

 

「『ビヨンド』が蘇った!!」

遊馬が目を奪われる間にビヨンドが墓地から蘇る!

 

 

「だが…『未来皇ホープ』の効果で─!」

 

(それはどうかな!!私は『ホープドラグーン』で『未来皇ホープ』を攻撃!)

 

「させるか!!『未来皇ホープ』の効果発動!バトルでは破壊されず、バトルダメージを0にして!バトルした相手モンスターのコントロールを得る!」

 

(そうはいかない!『ホープドラグーン』のさらなる効果!このカードが自分フィールドを離れる時、ORUを1つ使い!その効果を無効にし!自身以外の全モンスターを破壊する!!)

 

「なんだって!?」

未来皇の羽を振り払った希望皇龍が咆哮…フィールドに稲妻が降りそそぐ!!

 

 

「させるかよ!『未来皇ホープ』のさらなる効果発動!ORUを1つ使い、このカードの効果破壊を無効にする!」

 

(残念だが、私の狙いはそこではない!)

 

「っ…!?」

稲妻を切り裂く未来皇だが、アストラルの狙いは別にあった! 

 

 

(破壊するのは『ビヨンド・ザ・ホープ』!!)

稲妻がビヨンドを打ち砕き、さらなる効果を発動する!

 

 

(そして!破壊したモンスターの攻撃力の合計分、相手にダメージを与える!!)

 

「っ─!!」

それはまさに、神すらも滅する一撃…希望の炎が遊馬に迫り─!!

 

「まだだ!『未来皇ホープ』のもう一つの効果、発動!ORUを1つ使い!効果ダメージを0にする!うわああああっ!!」

 

「遊馬!!」

ぎりぎりで炎のダメージを受け止める遊馬…だが、余波で吹き飛ばされる…!

 

 

(ふっ…私はこれで、ターンエンドだ!やるな…遊馬!)

 

「ヘヘっ…こんなモンでお前との最高のデュエル、終わらせてたまるかよ!!」

アストラルの一撃を避けた遊馬は立ち上がる…その顔に笑顔を浮かべながら…。

 

 

 

 

 

「…このデュエルに、言葉は必要ない…遊馬とアストラル、誇り高き2つの魂がぶつかりあい…語り合う……遊海、奴は取り戻したぞ…失ったモノを…!」

 

「ああ、遊海さんもきっと…このデュエルを楽しみにしていたんだろうな…2人の最高のデュエルを…!」

遊星とジャック…年老いた2人の魂に再び熱が戻る、見る者すらも楽しませる遊馬とアストラルのデュエル…それは本当に最高の戦いだった…!

 

 

「見て…遊海さん…遊馬くん、笑ってるよ…!いつもの遊馬くんに、戻ったよ…?」

 

『翠…』

翠は握り締めていたカルトゥーシュに遊馬達の様子を見せる…その顔は笑いながら、泣いていた…。

 

 

 

「(おそらく、これが最後のターン…オレは……アストラル…!)いくぜ!!アストラル!!オレのぉぉ…!ターン!!」

最後のターンを確信した遊馬はバク転で距離を取り、最後の1枚に手をかける!

 

 

「かっとビングだ!オレ─!ドロォォォ!!」

気合いを込めたかっとビングドロー…その1枚が運命を決める─!

 

 

 

「アストラル!オレの全力、受け止めてみろ─!!」

 

(来い!遊馬!!)

ドローカードを確認した遊馬は最後の攻勢を仕掛ける!

 

 

 

「オレは『未来皇ホープ』で『ホープドラグーン』を攻撃!!お前のモンスターのコントロールを貰うぜ!」

 

(無駄だ!『ホープドラグーン』が自分フィールドを離れる時、ORUを1つ使い!その効果を無効にし、自身以外のモンスターを破壊する!)

 

「まだだ!『未来皇ホープ』の効果発動!ORUを1つ使い、効果破壊を無効にする!」

それは前のターンの焼き直し、未来皇の羽を振り払った希望皇龍が稲妻を放ち、未来皇が切り払う…だが、これでお互いのORUはなくなった!

 

 

「勝負はこっからだ!!罠カード発動!『かっとビング・チャレンジ』!自分のターンのバトル中に攻撃したエクシーズモンスターの効果を無効にして、もう1度攻撃できる!!」

 

「馬鹿!!『未来皇』の効果を無効にしたら!バトルで破壊されて大ダメージだぁ!!」

遊馬の思わぬ行動に鉄男が叫ぶ…だが、遊馬はさらなる一手を打つ!

 

 

「さらにオレは罠カード『ブレイビング・メモリー』を発動!ナンバーズ同士がバトルする時、互いの墓地にあるナンバーズ1枚につき500ポイント!『未来皇』の攻撃力をアップする!墓地のナンバーズは6体の『ホープ』と『シャークドレイク』!『光子竜皇』!攻撃力4000だぁぁ!!」

未来皇の背後に全てのホープとカイト、凌牙のナンバーズが並び立つ!!

 

 

「そして『ブレイビングメモリー』のさらなる効果!自分のモンスターはこのターンバトルでは破壊されず、相手モンスターをバトルで破壊して、ダメージを与えられなかった時!もう1度、攻撃できる!!」

 

(フッ…)

仲間達の願いを背負った未来皇が龍皇を両断…爆発する!

 

 

「バトルだ!『未来皇ホープ』で…!アストラルにダイレクト─!」

 

 

(まだ終わらない…!永続罠『運命の扉』!発動!!)

 

「運命の、扉…!?そのカードは─!?」

最後の攻撃がアストラルに迫る直前、遊馬の意識は一瞬の闇に包まれた…。

 

 

 

 

「ここは…!?」

遊馬が気づけば…そこは何度も夢に見た断崖絶壁、細い道の先にはアストラル、そして鎖で縛られた異形の扉が佇んでいた…。

 

 

(永続罠『運命の扉』…ダイレクトアタックを()()にして、このカードをモンスターとして特殊召喚する……さらに、次のターン…墓地のナンバーズを除外し、1枚につき500ダメージを与える……この扉を破壊せねば、きみの負けだ)

 

「この扉は…お前と出会った……オレ達は、ここから始まった…!オレはここで、あの扉と!」

淡々と効果を読み上げるアストラル…そして気付いた、遊馬とアストラルが初めて出会ったのは…この場所なのだと…!

 

 

【この扉を開く者は新たなる力を得る…しかし、その者は代償として、1番大切なモノを失う…】

 

 

「アストラル…そうだ、オレにとって1番大事なモノ……それは、お前しかいねぇ…!!だけど…オレは…!!」

あの時と同じように遊馬へ語りかける扉…この扉を開けば(壊せば)、遊馬はアストラルを失うのだろう。

 

 

(恐れるな!きみの手に残る最後の1枚…何かは()()()()()()…その手で切り開くんだ!未来を!!……未来を恐れるな、遊馬!)

 

 

「アストラル…お前、まさか……オレに、別れる勇気をくれる為に…!?」

 

(ふっ……きみが私にデュエルを挑むなど…100年早い!!)

立ち止まった遊馬の背を押すのは…他ならぬアストラルの声、最後の最後で…遊馬を新たな未来へ導く為に…!

 

 

(アストラル…!!いくぜ、オレは速攻魔法『ダブル・アップ・チャンス』を発動!モンスターの攻撃が無効になった時、攻撃力を2倍にして!もう1度攻撃できる!!)

それは未来を切り拓く、最後の1枚…遊馬は皇の鍵を掲げ、最後の攻撃を宣言する!!

 

     

「来い…!『未来皇ホープ』!!」

 

キィン─!!

 

遊馬の叫びと共に未来皇が遊馬と1つになる…その胸には『皇の鍵』が輝きを放っていた!

 

 

《これが、本当の…最後の一撃!!》

 

(さぁ、来い!遊馬!!)

 

《いくぜ!アストラル─!!》

未来皇は白き翼を広げ、空に羽ばたく!!

 

 

 

 

 

──アストラル、オレは忘れない…──

 

 

 

──お前と共に戦い、泣いたり笑ったり…喧嘩したり、仲直りしたり…いつも……いつもオレの傍には、お前がいた…──

 

 

 

──でも、これからは……!!──

 

 

 

それは手向けの一撃…新たな未来を切り開く、希望の一撃!

 

 

《かっとビングだ!オレ!!オレは…未来を切り開く!!》

 

 

 

ホープ剣!フューチャー・スラッシュ─!!

 

 

 

 

 

未来を切り開く一撃が未来への『扉』を両断…閉ざされた未来を解き放つ、アストラルは…ただ、満足そうに笑っていた。

 

 

 

アストラル LP0

 

 

遊馬 WIN!

 

 

 

 

 

 

デュエルエリアが解除される中、フィールドは静寂に包まれていた…勝利を祝う歓声もなく…ただ、2人の時間を邪魔しないように…。

 

 

 

「……アストラル、ほら…」

 

(遊馬…ああ…!)

倒れ込んだアストラルに遊馬が手を伸ばす…アストラルはしっかりと手を取り、立ち上がる。

 

 

(見事だったよ、遊馬…)

 

「ああ…!あっ…?」

 

キィン─!

 

お互いを称え合う遊馬とアストラル…その頭上で眩い光…ヌメロン・コードが輝きを放つ…。

 

 

「あれが、『ヌメロン・コード』……」

 

(どうやら、別れの時が来たようだ…)

 

「アストラル…」

 

(……遊馬)

別れを前にアストラルは遊馬に眼で語りかける…。

 

 

「分かってる!絶対泣かねぇ!」

 

(ああ…私は、きみの笑顔が大好きだった…忘れないでほしい、その笑顔を──かっとビングを…!)

絶対に泣かない…そう約束した遊馬を見たアストラルの身体が浮き上がっていく…。

 

 

 

「…アストラル!!」

遊馬は旅立つアストラルへ…別れの言葉を送る!

 

 

「かっとビング!それは、勇気を持って一歩を踏み出す事!」

 

 

「かっとビング!!それは、どんなピンチでも!諦めないこと!!」

 

 

「かっとビング!!!それは、決して諦めない事!!そしてあらゆる困難に、チャレンジする事!!」

 

 

それはかっとビングの言葉…泣き笑いの笑顔で、遊馬はアストラルへと叫ぶ!!

 

 

「くぅっ…忘れねぇ!!絶対に、お前の事!絶対に忘れねぇぇ─!!」

 

(私も、決して忘れない!!遊馬─!!) 

 

 

「アストラル…アストラル─!!」

 

 

 

ヌメロン・コードの光が地上を照らす…そして全ては光に包まれた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行っちまったな、アストラル…」

 

「遊馬…」

光が収まった時、そこは普段通りのハートランドだった…ヌメロン・コードも消え、穏やかに夕陽が辺りを照らしている…。

 

 

 

キィン─…

 

 

 

「あっ…?」

最初に声を上げたのは誰だったのか…空から10本の光の粒子が降りそそぐ、それは遊馬達の近くで形となり…。

 

 

 

「っ……オレは…?」

 

《ビビッ……システム再起動……ここは、ハートランド…??》

 

「ああっ…!カイト!オービタル!!」

最初に姿を現したのは月で力尽きた、カイトとオービタル7…そして……。

 

 

『オレは…』

 

『……俺は、遊馬を庇って…』

 

『ここは、何処だ…私は…』

 

『ここは…地上か…?』

 

「アリト!ギラグ!ドルベ!ミザエル!!」

次に目覚めたのは元七皇の4人…状況が分からず、辺りを見回している…、

 

 

 

『凌牙…?』

 

『璃緖…!そうか、お前達が「ヌメロンコード」を…』

 

「シャーク!璃緖!!」

手を繋いで目を覚ましたのは凌牙と璃緖…そして…。

 

 

 

『………なんだよ、生き返っちまった……合わせる顔がなさ過ぎだ…』

 

「真月!!」

悪態を吐きながらベクターが目を覚ます…七皇の魂が普通の「人間」として蘇ったのだ。

 

 

 

 

『…おかえりなさい、父様』

 

『ああ、ただいま…クリス、トーマス、ミハエル……心配かけたね』

 

『まったくだぜ、父さん!』

 

『アストラルに感謝しなければ…』

アークライト兄弟のもとにトロンが帰還する…これで戦いで散っていった仲間達が全員────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待って…!?どうして…!なんで、()()()()()()()()()…!?」

 

『全能の力……ヌメロン・コードでも、遊海を生き返らせる事が、できなかった…のか…!?』

 

「そんな…!!」

全員、ではない……少し離れた所から様子を見ていた翠が気付く…遊海が、戻ってきていない…。

 

 

 

 

「アストラル…そんなのって、そんなのってないよぉ…神様…!!ああ、ああああ…!!」

 

《ミドリ…》

翠が再び泣き崩れる…事態を知らぬ遊馬達の横で悲しみが広がっていく…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ…?」

 

 

 

その時、虹色の光が空から降りそそいだ…。




『さぁ…始めよう、世界の書き換えを…!』
遊馬と別れたアストラル…彼は涙を拭き、光輝く神のカード…『ヌメロン・コード』を前にする。




『まずは、私の使命…「バリアン世界の消滅」……だが、アストラル世界は…エリファスは、カオスを受け入れる事を認めてくれた…故に、バリアン世界とアストラル世界をゆっくり…静かに統合する…!』
アストラルは『ヌメロン・コード』を書き換え、アストラル世界とバリアン世界を融合させる…その使い方は本能で分かっていた。


『次に…エリファスの復活…そして……これは…!シーカー…いいえ、ラプラス…やはり、貴方は…もう1人の…!』
アストラルは次に戦いの中で命を落とした者の復活に取り掛かる。
その中で…アストラルはようやく『闇の英雄』の正体を知った…。


『…という事は、ネームレスは………こんな、数奇な運命があるのか………よし、これでいい』
そしてアストラルはネームレスの正体と顛末を知り…()()()書き換えを行う。



『ドン・サウザンドに運命を狂わされた七皇達………ベクターは…少し、不安だが……遊馬なら、きっと大丈夫だ』
次にアストラルはバリアン七皇達の来歴を確認、そして…その魂を人間界へと蘇らせる。



『カイト…オービタル、キミ達がいなければ、私達はドン・サウザンドに勝てなかった…ありがとう』
次に月面へと取り残されたカイトとオービタル…アストラルは速やかにその身柄をハートランドへと移動させ、蘇生する。


『そして…貴方だ、遊海……翠が貴方を待っている………そんな…!?遊海の未来が、()()()()()()()!?』
そしてハートランド防衛の最大の功労者…遊海を蘇らせようとするアストラル……だが、『ヌメロン・コード』は…遊海の『死』を書き換える事ができなかった…!


『…………異界からの、転生者…!?まさか…()()()()で生まれた者ではないから、書き換えができないのか…!?』
『ヌメロン・コード』から歴史を読み取ったアストラルは遊海と翠の正体を知る…そしてある仮説に辿り着いた。

『ヌメロン・コード』にはあらゆる過去・現在・未来が記されている…だが、その運命が記されているのは『ドラゴン』が生み出した宇宙で生まれた者だけ……別の世界からやって来た遊海と翠の場合、歩んだ過去と現在の事は記されていても…未来は記されていないのではないか?と…。



しかし、アストラルの仮説は僅かに外れている。

『ヌメロン・コード』とは…言ってしまえば遊海のいる『遊戯王世界』の人々の『記録簿』を神ならざる者でも書き換える事ができる『端末』である。

…しかし、遊海と翠に関してはその『記録簿』を2人を転生させたデウス神が直接管理している為に…『端末』であるヌメロン・コードでは書き換えが出来なかったのだ。

……なお、遊海の『消滅』を知ったデウス神達も状況を見守る事しか出来ない、遊海が神の『お気に入り』となっても…その生死を神本人が捻じ曲げる事はできないのだ…。





『まさか…こんな事が……すまない、遊馬…シャーク…翠…!!『全能』の力でも、出来ない事があった…!!』
遊海を蘇生できない事を知ったアストラルは、思わず拳を握りしめる…。





《大丈夫、遊海の事は任せて…アストラル》




『えっ…』
アストラルと『ヌメロン・コード』しか存在しないはずの世界に穏やかな声が響く…それは虹色の光を纏う、小さな猫の声だった…。


《驚かせてごめん、遊海の事は大丈夫…だから、他の事をなんとかしてあげて……ありがとうアストラル、キミ達の選んだ道は…本当に綺麗だった!》

『キミは、いったい…?』

《世界の嫌われ者、そして…あり得た『災厄』…それがボクさ…じゃあね!》
虹色の光は空を駆け…何処かへ消え去った…。



『……遊海、貴方の未来はヌメロン・コードに記されていなくとも…貴方は運命に恵まれた…』
アストラルは虹色の軌跡を静かに見送った…。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。