転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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真月零の暗躍?〜正体を暴け!〜

「はぁ〜…今日もハートランドは平和だな〜っと……今日はオレが買い物当番〜……あー、メンドクセ……」

ドン・サウザンド復活事件からしばらくが過ぎ、今度こそ平和を取り戻したハートランド…その道を大量の買い物を手にしたベクター…こと、真月零が歩いていた。

 

 

悪逆非道を為し…七皇を裏切り、遊海の死の一因となったベクター…しかし、そんな男も遊馬の優しい涙とかっとビングによって改心し、全能の力『ヌメロン・コード』によって新たな人生を手に入れた。

 

もちろん、贖罪の為に璃緒と凌牙を除く七皇からタコ殴りに遭ったり、迷惑を掛けた相手への謝罪行脚などなど…たくさんの苦労があったものの、彼は『真月零』として新たな人生を歩んでいる……だが、改心したとはいえ、過去の悪逆も中々抜けぬモノ……ヤンキーで面倒くさがりだが、心は優しいというよく分からない状態でとりあえず落ち着いていた…。

 

 

 

「え〜っと、あとは台所の洗剤と……プロテイン?タヌキのエサ用のドッグフード(ウェット)??…アリトにギラグ!!そんなのは自分で買いやがれ!?」

買い物メモを見ながら仲間2人への悪態を吐く真月…真月が買い物当番の日は()()()()()()買い物が多くなるのである。

 

 

 

………

 

 

 

「はぁ…すっかり夕方だぜ…まっ、これであいつらも文句言わねぇだろ…」

黄昏刻…買い物を全て終えた真月は夕日の差すハートランドをアパートに向けて歩いていた…。

 

 

「……このままバカ正直に家に向かうと遠いな……そうだ、通学路メモをっと……」

真月は懐からメモ帳を取り出す、そこにはハートランドの抜け道がメモしてあり……ベクターはそのメモからわざと危険なルートを遊馬と通る嫌がらせをしていたのだ。

 

「ここからなら…不良の溜まり場コースを通れば近いな、デュエルを挑まれても…白波からもらったカードがあれば平気だろ、ああ…瞬間移動が恋しいぜ……」

大荷物を手に真月は抜け道に足を踏み入れた…。

 

 

 

 

「やべっ…暗くなってきやがった…」

少しずつ夜の帳が落ちる中、真月は裏路地を進んでいく…その時だった。

 

 

「「「ぎゃあああ!?」」」

 

 

「っ!?なんだァ!?」

不良が根城にしている廃ビルから数人の男が吹き飛ばされ、地面に転がったのだ…!

 

 

「この感じ、白波か…?」

それと同時に真月は理解した、ハートランドにおける最強のヒーロー「メタルナイト」…遊海の扮するヒーローが暴れているのだろうと…。

 

 

 

『ひ、ひぃ!?く、来るなぁ!!?』

 

「あ〜あ、ご愁傷さまだなァ…アイツに狙われたら逃げられないだろうに…」

その直後に廃ビルから大柄な男が飛び出してくる…おそらく、メタルナイトから逃げ出したのだと思った真月…だが、それは違っていた…!

 

 

 

【まだ、懲りないらしいなぁ…風魔…!】

 

 

「ッ─!?(メタルナイト、じゃねぇ!?)」

瞬間、真月は咄嗟に建物の隙間に飛び込んでいた、廃ビルから出てきたのはメタルナイトに似ていたが、メタルナイトではない…。

 

 

その男は夜闇に溶け込むような黒い鎧を纏っていた。

 

背中には漆黒の翼があった。

 

鎧の隙間から覗く目は赤々と輝き、不良を睨んでいる。

 

そして…その男は絶対的な『殺意』を撒き散らしていた…!

 

 

【メタルナイトがいなかったからってよぉ…お前達が蔓延って良いわけないよなぁ?とりあえず…死んどけ、マインド・クラッシュ】

 

バキーン!!

 

『ぎゃあああ!?!?』

 

「っ─!?!?」

何かが割れる音と共に不良の断末魔が響く…そして周囲は静寂に包まれた…。

 

 

 

【さて…悪は滅びた、が……おい、隠れてる()()()…出てこいよ…?】

 

「っ…!!」

不良を始末した黒い男は物陰に隠れる真月へと目を向ける…!

 

【出てこねぇなら、(オレ)からいくぞ?】

 

「っ…!テメェ、何モンだ!!」

真月は覚悟を決めて黒い男の前に飛び出す…だが、その全身に殺気が突き刺さる…!

 

 

【ああ、テメェか…()()()()…よくもまぁ、(オレ)の前に顔を出せたなぁ?この街を襲った悪人が…!!】

 

「なっ…!?(オレのバリアンとしての名前を知ってる…!?)」

黒い男の言葉に真月は警戒する…ベクターはこの街では『真月零』で通っている…ベクターとしての名を知るのは遊馬達だけのはずだからだ。

 

 

 

【一応は改心したらしいが…(オレ)は信用してねぇからなぁ…覚えておけ、ハートランドの闇には…我がいる…!!】

 

「……消えた…!?」

真月へと釘を刺した黒い男は夜の闇へと消えた…真月は殺気から開放され、地面にへたりこんだ…。

 

 

 

 

 

『おっ!?ベクター!遅かったじゃ……どうした?顔が真っ青だぜ?』

 

『何かあったのか?』

 

「ちょっと、やべぇ奴に会っちまった…」

少し時間が経ち、ベクターがアパートへと帰宅する…だが、その顔色は真っ青…出迎えたアリトとドルベも心配するほどだった。

 

 

「なあ……『黒いメタルナイト』に会ったって言ったら、信じるか…?」

 

『メタルナイト?それって遊海のヒーロー名だよな?たしか、銀色の……』

 

『夜闇を駆けていたのを見間違えたのではないか?』

 

「いや、まったくの()()だ…奴の殺気以上にやべぇ奴だった…!!」

 

『くだらん、そもそも…白波は我らの味方だ…そんな殺気を我らに向けるはずがないだろう』

未知の存在に出会った真月…だが、アリトもドルベも…あとからやって来たミザエルも…真月の言葉を信じなかった…。

 

 

 

……………

 

 

 

「黒いメタルナイト…ウラ?」

 

「ああ、そうだ…お前なら知ってんじゃねぇかと思ってよぉ…」

翌日、登校した真月はとある人物の所へやって来ていた…その人物はハートランドのウラを知る情報通、表裏徳之助である

 

 

「噂話で聞いた事があるウラ!ハートランドに『鋼の騎士』…メタルナイトが現れ始めた頃、夜闇に紛れる『黒い鋼の騎士』…ブラックメタルナイトが現れたそうウラ!」

 

「ブラック、メタルナイト…」

 

「そうウラ、メタルナイトは昼間の間の事件や事故、火災からハートランドを守り……ブラックメタルナイトは夜闇に紛れ、ハートランドの悪人達を完膚なきまでに叩き潰していったらしいウラ!……でも、この数年は出没してなかったらしいウラよ?」

 

「そうなのか…」

ハートランドの悪を滅ぼすダークヒーロー・ブラックメタルナイト…その存在を知った真月は身を震わせる…。

 

 

「……というより、メタルナイトの事ならシャークとか遊馬に聞いた方が良いんじゃないかウラ?」

 

「……あんまり、あいつらには心配掛けたくねぇんだよ…」

 

「ウラウラ…(人って変わるもんウラ…)」

少し表情を落とした真月に徳之助は感心したのだった。

 

 

 

『父さんの様子?』

 

「ああ、ほら…ドン・サウザンド事件からしばらく経ったけどよ、メタルナイトの話をあんまり聞かねぇから…少し心配でよ」

昼休み、凌牙のもとを訪れた真月は遊海の様子を訊ねる…。

 

 

『父さんは家で寝込んでる…ドン・サウザンドを倒す為の自爆でのダメージが治りきってねぇんだ……しばらくはメタルナイトとしては動いてないはずだぜ?』

 

「そうか…(じゃあ、あの黒いヤツは……偽者なのか…?)」

 

『ベクター、何かあったのか?』

 

「……いいや、別に?ちょっと気になっただけさ、邪魔したな」

 

『……?』

いつもと違う真月の様子に凌牙は首を傾げたのだった。

 

 

 

 

 

「遊海の……メタルナイトの偽者…確かにヒーローはヒーローなんだろうが、ありゃあやり過ぎだ…」

屋上に上がった真月は昨夜の事を思い出す…ブラックメタルナイトに襲われた不良達は正気を失い、廃人のようになっていた…。

 

 

「遊海の奴はまだ動けねぇ、遊馬にも迷惑はかけられねぇ……やるしかねぇか…!」

ヒーローであろうとも、行き過ぎた制裁は『悪』になる…遊馬によって真月が取り戻した『優しさ』が、ブラックメタルナイトの行ないを見過ごせなかったのだ…!

 

 

「待ってやがれ、ブラックメタルナイト…!お前はオレが止めてやる…!」

真月は…覚悟を決めた…!

 

 

 

 

…………

 

 

 

【ほう、よく(オレ)の現れる場所が分かったなぁ?】

 

「七皇の情報網、舐めるんじゃねぇよ…!」

逢魔ヶ刻…ハートランドの海浜地区の廃工事現場

少し前まで暴走族が根城にしていたその場所で…赤い目を輝かせたブラックメタルナイト…そして、黒の革ジャンを纏った真月が対峙する…!

 

 

 

「ブラックメタルナイト…アンタはすげぇよ、1人で数十人の暴走族を壊滅させちまうなんてな…!」

真月の周りでは正気を失った暴走族達が倒れ込んでいる…竦みかける足に力を込め、真月はブラックメタルナイトを睨みつける…!

 

 

「でもよぉ…アンタは()()()()だ!確かに、こいつらはワルだが…ここまでする事はねぇだろうが…!」

 

【ほう…悪事を重ねたお前が『正義』を語るとはな…?どんな風の吹き回しだ?】

 

()()()メタルナイトは、悪人を捕まえても最小限の制裁に留めてるって聞いた…だが、お前はワル共の精神まで壊してやがる…!やり過ぎだろうが!」

 

【……?何か、勘違いしてねぇか?】

 

「うっせぇ!とにかくテメェのやり方は気に障るんでな…!止めさせてもらうぜ!!」

真月はデュエルディスクを構える!

 

 

【まぁ、いいや…アイツがお前を許しても……(オレ)はテメェを許さねぇ……制裁のデュエルといこうか、ベクター!!】

 

「今のオレはベクターじゃねぇ…遊馬の友、真月だ!!」

殺気を解き放つブラックメタルナイトに真月が挑む!!

 

 

 

 

 

【「デュエル!!」】

 

 

 

 

■■■■LP4000

真月LP4000

 

 

 

(オレ)のターン、ドロー!】

【ハッ…いい手札だ!魔法カード『おろかな埋葬』発動!デッキから『インフェルニティ・ミラージュ』を墓地に送る!さらに魔法カード『ワン・フォー・ワン』を発動!手札の『インフェルニティ・ジェネラル』を墓地へ送り、デッキからレベル1の『インフェルニティ・リベンジャー』を特殊召喚!】

二丁拳銃を構えた小柄なガンマンが現れる! DEF0

 

 

【さらに永続魔法『インフェルニティ・ガン』を発動!その効果で手札の『インフェルニティ・デーモン』を墓地に送る!そして『インフェルニティ・ネクロマンサー』を召喚!自身の効果で守備表示になる!】

紫色のローブを纏う屍術師が現れる! ATK0→DEF2000

 

 

「あっと言う間に、手札が0枚になりやがった…!」

 

【これが…インフェルニティ名物、ハンドレス・コンボだ!!『ネクロマンサー』の効果発動!手札が0の時!墓地からインフェルニティモンスター…『インフェルニティ・デーモン』を特殊召喚!】

墓地から額に緑色の宝石を嵌めた悪魔が現れる! ATK1800

 

【『デーモン』の効果発動!手札0の時に特殊召喚された時!デッキからインフェルニティカード、『インフェルニティ・バリア』を手札に加える!そしてセット!さらに我はレベル4の『デーモン』とレベル3の『ネクロマンサー』にレベル1の『リベンジャー』をチューニング!!】

 

4+3+1=8

 

【闇の眼を見開き…冥府への扉を開け!シンクロ召喚!『ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン』!】

全身に無数の目を持つ、異形のドラゴンが現れる! ATK3000

 

 

『いきなり攻撃力3000だぁっ!?』

 

【まだだ!我は『ワンハンドレッド・アイ』の効果発動!墓地のレベル6以下の悪魔族モンスター『インフェルニティ・ミラージュ』を除外し、その名と効果を得る!『インフェルニティ・ミラージュ』の効果発動!手札が0の時、自身をリリースし!墓地のインフェルニティモンスター2体を特殊召喚できる!復活しろ!『ネクロマンサー』!『リベンジャー』!】

百の眼が幻影の悪魔の姿を写し出し…そして再び屍術師とガンマンが現れる! DEF2000 DEF0

 

 

【『ネクロマンサー』の効果発動!手札が0の時!墓地の『デーモン』を特殊召喚!】

再び悪魔が復活する! ATK1800

 

 

【手札が0枚の時に特殊召喚された『デーモン』の効果発動!デッキから『インフェルニティ・ブレイク』を手札に加え、セット!そして我はレベル4の『デーモン』とレベル3『ネクロマンサー』にレベル1の『リベンジャー』をチューニング!】

 

4+3+1=8

 

【死者と生者、零にて交わる刻!永劫の檻より魔の竜は放たれる!シンクロ召喚!!現れろ!『インフェルニティ・デス・ドラゴン』!!】

剥き出しの脳を覗かせた不気味な魔竜が現れる! ATK3000

 

 

「おい、待てよ…!これって…!?」

 

【そう、これは…ループコンボ…さぁ、もう一回りいくぜぇ!!永続魔法『インフェルニティガン』のさらなる効果発動!手札0の時、このカードを墓地に送り墓地の『ネクロマンサー』と『リベンジャー』を特殊召喚!】

フィールドに現れた異形の銃から屍術師とガンマンが飛び出す! DEF2000 DEF0

 

【『ネクロマンサー』の効果で墓地の『デーモン』を特殊召喚!】

三度、悪魔が蘇る! ATK1800

 

 

【『デーモン』の効果でデッキから『インフェルニティ・バリア』を手札に加え、セット!そして『デーモン』『ネクロマンサー』に『リベンジャー』をチューニング!】

 

4+3+1=8

 

【天国と地獄の狭間…煉獄より現れろ!シンクロ召喚!!『煉獄龍オーガ・ドラグーン』!!】

煉獄の炎を纏いし巨大な爪を持つドラゴンが現れる! ATK3000

 

 

【我は…これでターンエンドだ】

 

■■■■LP4000

煉獄龍 インフェルニティデスドラゴン 伏せ3 手札0

 

 

 

「攻撃力3000が2体に、明らかにヤベー伏せカードが3枚だぁ!?」

 

【さっきまで威勢はどうした?この程度で怖気づいたのか?】

 

「っ…!負けて…たまるかよぉ!!」

抜き身の刀を突きつけられるような殺気と相手のモンスターにたじろぐ真月…だが、彼は仲間の為に勇気を奮う!

 

 

 

「オレのターン!ドロー!来たぜ…!オレが引いたのは『RUM-七皇の剣(ザ・セブンス・ワン)』!!」

 

【ほう…?】

 

「ドローフェイズに引いたこのカードをメインフェイズまで効果して、効果発動!エクストラデッキから『ANo.104仮面魔踏士シャイニング』を特殊──」

 

【通してやってもいいが…徹底的にやらせてもらうぜ…『煉獄龍』の効果発動!1ターンに1度、自分の手札が0で相手が魔法・罠の効果を発動した時!その発動を無効にし、破壊する!】

 

「なにっ!?」

煉獄龍が咆哮…七皇の剣が砕け散る!!

 

 

「っ…まだだ!手札の『アンブラル・グール』を召喚!」

闇の瘴気を纏う屍人が現れる! ATK1800

 

「『グール』の効果発動!自身の攻撃力を0にして…!」

 

【カウンター罠『インフェルニティ・バリア』を発動!自分フィールドにインフェルニティモンスターが存在し、手札が0枚の時、相手が発動したモンスター・魔法・罠の効果を無効にし、破壊する!】

 

「はっ…!?」

魔竜が咆哮…屍人が砕け散る…!!

 

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ…」

 

真月LP4000

伏せ1 手札3

 

 

 

【我のターン!ドロー!】

【カードをセット、バトルだ!『インフェルニティ・デス・ドラゴン』でダイレクトアタック!】

 

「ま、まだだ…!『リビングデッドの呼び声』発動!」

 

【『煉獄龍』の効果発動!魔法・罠の発動は無効だ!デス・ファイア・ブラスト!】

「ぐああっ…!!」

魔竜の火炎弾が真月のライフを削る…!

 

 

【煉獄の炎で燃え尽きろ…『煉獄龍オーガ・ドラグーン』でベクターにダイレクトアタック!煉獄の混沌却火(インフェルニティ・カオス・バースト)!!】

 

「あ、ああっ……うわああああっ!?」

 

煉獄の炎…罪を焼き尽くす一撃が真月を飲み込んだ…。

 

 

 

真月LP0

 

 

■■■■WIN!

 

 

 

 

 

「かはっ……ダメージが、実体化して…!!」

デュエルに敗北した真月は煉獄の一撃に吹き飛ばされ、廃材置き場に叩きつけられる…!

 

 

【少しは思い知ったか、お前に虐げられ…傷付いた奴らの痛みを…!】

ブラックメタルナイトは赤い瞳をギラつかせながら、真月を睨みつける…!

 

【さぁ…()()()()の時間だ…!!】

 

「(殺られる…!!)」

殺気を放つ黒の戦士に真月は目を閉じ…

 

 

 

 

 

 

 

「何やってんだ!!この大馬鹿ぁぁぁ!!」

 

 

ゴシャ!!

 

 

【ぎゃん!?】

 

 

「へっ…?」

地面を震わせるほどの打撃音と、カエルが潰れたような声に真月は目を開く…そこには頭が地面にめり込んだブラックメタルナイト、そして拳を振り下ろした姿勢で着地した鋼の騎士…メタルナイトの姿があった。

 

 

 

「し、白波…!?どうして…?」

 

「凌牙からお前の様子が変だったって聞いてな…変な事に巻き込まれてるんじゃないかと心配して警戒してたのさ」

 

「ナッシュが…」

遊海は鎧を解きながら真月に回復魔法を使う…。

 

 

【て、テメェ…!いきなり何しやがる!殺す気かぁ!?】

 

「白波!!」

 

「はぁ…殴ったぐらいじゃ死なねぇだろ、お前は…」

首をゴキゴキ鳴らしながらブラックメタルナイトが起き上がる、真月は警戒するが…遊海はどこか呆れた様子である。

 

 

「俺の代わりに街を守ってくれとは頼んだけど…ここまでしろとは言ってないだろ?()()()()…お前はいつもやり過ぎなんだって」

 

【お前がしばらく出なかったせいで不良共が調子に乗るんだろうが!】

 

「へっ…?」

遊海とブラックメタルナイトの会話に真月は違和感を抱く…まるで()()()()のようではないかと…?

 

「白波、偽者と知り合いなのか?」

 

「ん…?………ああ、そういう事か!ユウスケ、変身解け…余計な勘違いをさせたらしいぞ?」

 

【チッ…仕方ねぇ…アーマー・オフ!】

ブラックメタルナイトの姿が一瞬、闇に包まれる…そして現れたのは遊海に瓜二つな黒い服を着た男だった…。

 

 

「はっ??白波が2人??」

真月はその光景を見て混乱する、アストラル世界のシーカーも遊海に似た雰囲気だったが、遊海とユウスケは同一人物にしか見えなかったからだ。

 

 

「こいつはユウスケ、俺のもう一つの()()が実体化した…もう一人の()なのさ」

 

「は!?」

 

【アゴール…ディヴァインからは何も聞いてないらしいなぁ…】

 

「え〜っと、実は……」

遊海の言葉に真月は再び驚愕の声を上げる…遊海にもう1つの人格があるとは知らなかったのだ。

 

 

 

遊海曰く…とある秘密結社との戦いの際、敵の首魁によって遊海の『負の面』に魂が与えられた存在…それがユウスケである事。

 

さらに、とある事件と力の強化を経て…別存在として実体化できるようになった事。

 

そして…ドン・サウザンドの事件で疲労してしまった遊海に代わり、ユウスケにハートランドのパトロールを任せていた事を…。

 

 

 

 

「おい…それじゃあ……」

 

「こいつは俺以上に容赦が無い奴でなぁ…小悪党にもマインド・クラッシュとかの罰ゲームをしちまうんだよ…」

 

【フン…2、3日すれば悪意が抜けるんだ、文句はないだろ?】

 

「だから、マインドクラッシュがやり過ぎなんだって…普通に倒して警察に任せろよ…そのせいでブラックメタルナイトなんて都市伝説になるんだぞ?」

 

【知るか!懲りない悪党共が悪い!それにアイツら手応えなくてつまんないンだよ!】

遊海とユウスケ、異なる正義を持つ同一人物の2人は口喧嘩を繰り広げていたが…。

 

 

「……オレの……」

 

【「ん?」】

うつむいていた真月の言葉に2人は振り返り──

 

 

 

「オレの気苦労を返せぇぇぇ─!!」

 

 

 

真月の渾身の叫びが一番星の輝くハートランドに虚しく木霊した…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

『………で、ベクターが家にいる訳か…』

 

「流石に今回のベクターは被害者ね…」

 

「フン!!」

 

「ほら、機嫌直せって……ユウスケの奴も謝ってるから…」

 

【(我は悪くないもん!!)】

 

少し時が過ぎ…真月は白波家にいた、色々勘違いをさせてしまったお詫びに夕食に招いたのである。

 

…なお、事件(?)の顛末を聞いた凌牙と璃緒も流石に同情していたのだった。

 

 

 

「は〜い!麻婆豆腐出来たわよ〜!」

 

「『母さん!?!?』」

 

「(しまった(汗))」

 

【(あ、察し)】

 

「マーボードーフ?」

 

 

………

 

 

《フォウフォウ…フォーウ!(特別意訳:この後の事はみんなの想像に任せるよ!まぁ…答えは1つなんだけど…)》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(遊海の家の夕食は…麻婆豆腐か?)

 

「ああ、聞こえたぜ……何をやらかしたんだろうなぁ…というか、真月の声がしたような…」

 

(……気のせいだろう)

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