転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
「はぁ…ついに、この日が来ちゃったか…」
舞網市海浜地区・KCスタジアムの控え室…そこで榊遊希は緊張しながら出番を待っていた。
保護者である榊洋子は遊矢の応援の為に舞網スタジアムへと向かってもらった…当然、遊勝塾の中で遊希がデュエルをするのを知っている者はいない…それは遊矢も含めてだ。
「これで失敗して、がっかりさせたら恥ずかしいからな……せめて、このデッキケースさえ開けばなぁ…」
遊希は手にしていた「開かないデッキケース」を握り締める、遊希の記憶のカケラであるはずのそれ…だが、それは何をしても開かず…無理矢理開く事ができない謎のケースだった。
「さて…遊矢のデュエルも始まった頃かな……頑張れよ、遊矢…」
控え室にはテレビは無い…遊希は遊矢の健闘を、勝利を祈るしかなかった…。
コンコンコン!
「あ、はーい!どうぞ!」
そんな中、遊希の控え室の扉がノックされる…試合開始には少し早い、そこに現れたのは…。
『邪魔するぞ、遊希』
「か、海馬社長!?どうしてこちらに!?」
『ふん…お前の事だ、余計な緊張をしているだろうと思ってな』
姿を現したのはイベントの主催者…シルバーのコートを纏う男……海馬コーポレーション社長、海馬瀬人その人だった。
弱冠14歳でワンマン経営者だった実父を追放して社長に就任、同じくワンマン経営ながらも社員から慕われる程のカリスマを持つ現役高校生社長なのだ。
『遊希、俺はお前には返しきれぬ
海馬は社員達には見せない穏やかな表情で遊希を激励する…だが、遊希の表情は暗かった。
「海馬社長…ですが、僕は……」
『…わかっている、お前の
「……はい…」
遊希は備え付けられた鏡を見る、そこに映った白髪の少年…その顔は無数の
顔立ち自体は整い、優しい顔をしているのだが──無数に刻まれた傷のせいで相手に恐怖感を与えてしまう…。
『5年前、榊遊勝に保護されたお前は記憶を失い…瀕死の重傷を負っていたと聞いた……だが、
「海馬社長…ありがとうございます」
『フッ…礼を言うのは早すぎるぞ、全てはこのデュエル次第だ!』
海馬社長の言葉で遊希は自身を取り戻す…戦いの時は、すぐそこまで迫っていた…!
…………
『レディース&ジェントルマン!!さぁ、会場のテンションも最高潮!!今日のメインイベント…エキシビションデュエルの開幕だぁぁ!!』
「「「「わああああ──!!」」」」
KCスタジアムにピンクのスーツを着た大きなリーゼントを持つ司会・MCの声が響き渡る…会場は既に熱狂に包まれていた!
『さぁ、まずはこの方から紹介させて頂こう!最年少で世界一へと登り詰めた、最強の男!キング・オブ・デュエリスト!!武藤遊戯だぁぁ!!』
「「「うおおお!!」」」
『ははっ…なんだか、すごい事になっちゃったなぁ…』
MCのコールと共に入場口からスモークが吹き出す…その中から現れたのは青い学ランを纏い、特徴的な星の形の髪型をした柔和な笑顔の青年…武藤遊戯だった。
『遊戯は高校1年生にしてアクション・デュエル世界大会で優勝したデュエルの天才!日本プロデュエル界の希望のホープだ!さぁ、その彼に挑むのは…!遊勝塾所属のデュエリスト!榊遊希だぁ!!』
「……すごい人だなぁ…流石、海馬コーポレーション…」
同じく、入場口からスモークが吹き出す…その中から青いジャケットを着た、白髪の青年…遊希が現れる。
…だが、観客の反応は冷たいものだった。
──遊勝塾…?あの逃げた人の教え子…?──
──榊って…ああ!いま、ストロング石島と戦ってる奴の関係者か?──
──顔が傷だらけ…怖いわ…!不良なのかしら…!?──
──引っ込め!!なんでお前が……──
「うぐ……分かってはいたけど、世間の風は冷たいなぁ…」
心無い観客の言葉が遊希の心を抉る…しかし、それに負けずに遊希は遊戯へと歩み寄る。
「……久しぶりだな、遊戯…半年振りか?」
『そうだね、遊希君!久しぶりに会えて嬉しいよ!』
スタジアムの中央で遊戯と遊希は固い握手を交わす…2人は旧知の仲……否、友人なのだ…!
『実は遊戯と遊希は同じ童実野高校に在席する友人同士!この戦いは熱くなるぞぉぉ!?』
『ふふっ…遊希君、MCさんはあんな事言ってるけど…僕達は僕達のデュエルをしよう!』
「ああ、世界大会で優勝したお前の力…見せてくれよ!」
頷き合った2人はデュエルディスクを展開する!
『それでは!戦いの舞台…アクション・フィールド「噴水広場」を発動!!』
MCがフィールドを展開…中央に時計台と噴水がある街中の公園が現れる!
『さぁ…いくぞ!!戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い!フィールド内を駆け巡る!これぞ!デュエルの最強進化系!アクショォォン!!』
「『デュエル!!』」
スタジアムにアクションカードが散らばる…2人のデュエルが始まった!
遊戯LP4000
遊希LP4000
特別ルール アクション・デュエル
・アクション・フィールド常時展開
・アクション・カードは手札に1枚しか確保できない。
・フィールド魔法使用可能
『先攻は貰うよ!僕のターン!』
『魔法カード「融合」を発動!手札の「幻獣王ガゼル」と「バフォメット」を融合!「有翼幻獣キマイラ」を融合召喚!!』
二つの獰猛な獣の頭と白い翼を持つ幻獣が現れる! ATK2100
『おーっと!チャンピオン遊戯!いきなりの融合召喚だぁ!!』
『僕はカードを1枚伏せて、ターンエンド!』
遊戯LP4000
キマイラ 伏せ1 手札1
『さぁ…君のターンだよ!』
「ああ、いくぜ!!」
「僕のターン!ドロー!!」
「『龍脈の魔術師』を召喚!」
長い髪を三編みにして杖剣を構えた少年魔術師が現れる! ATK1800
「さらに装備魔法『ワンショット・ワンド』を装備!攻撃力が800ポイントアップ!」
魔術師が三日月の意匠の杖を手にする! ATK1800→2600
「バトルだ!『龍脈の魔術師』で『キマイラ』を攻撃!」
『っ…!やるね!』
月の魔力が込められた魔力弾がキマイラを打ち砕く!
遊戯LP4000→3500
『でも、これじゃあ終わらないよ!「キマイラ」の効果発動!破壊された時、墓地の「バフォメット」を特殊召喚!』
白い翼を持つ魔獣が現れる! DEF1800
「なら、僕だって!『ワンショットワンド』の効果発動!装備モンスターがバトルした後、このカードを破壊して1枚ドロー!……よし!さらに装備魔法『バウンド・ワンド』を装備!装備モンスターの攻撃力はレベル×100ポイントアップする!」
魔術師が三日月の杖を赤い宝石と髑髏の付いた杖に持ち替える! ATK2600→1800→2200
「僕はカードを1枚伏せ、ターンエンド!」
遊希LP4000
龍脈の魔術師(バウンドワンド) 伏せ1 手札4
『おーっと!遊希がチャンピオンに対して先制!これは分からなくなってきたぞぉ!?』
『やるね!なら、僕もドンドンいくよ!!』
『僕のターン!ドロー!』
『僕は「バフォメット」をリリース…アドバンス召喚!現れろ!黒き魔術師の弟子!「ブラック・マジシャン・ガール」!!』
「来たか…!」
遊戯のフィールドに可愛らしい少女魔術師が現れる! ATK2000
「だけど、『マジシャンガール』では『龍脈の魔術師』の攻撃力には及ばない!」
「それはどうかな…!リバースカードオープン!魔法カード『賢者の宝石』!このカードは手札・デッキから新たなモンスターを呼び出せる!師弟の絆によりて、デッキから現われよ!最上級魔術師!『ブラック・マジシャン』!!」
マジシャンガールが宝石を手に祈りを捧げる…その祈りが魔法陣に吸い込まれ、黒き鎧を纏う最強の魔術師を呼び出した! ATK2500
『でっ…出たぁぁ!チャンピオン遊戯のエースモンスター!「ブラック・マジシャン」だぁぁ!』
MCの実況で観客達が沸き立つ!
『いくよ!「ブラックマジシャン」で「龍脈の魔術師」を攻撃!
「まずっ…!?うわあああ!?」
強力な魔力弾が龍脈の魔術師に炸裂、遊希は吹き飛ばされる!
遊希LP4000→3700
「装備魔法『バウンドワンド』の効果発動!装備モンスターが相手によって破壊された時!装備モンスターを墓地から特殊召喚する!蘇れ!『龍脈の魔術師』!!」
バウンドワンドの宝石が輝き、少年魔術師が復活する! ATK1800
『なら!「マジシャンガール」で「龍脈の魔術師」を攻撃!
「まだだ!アクションマジック『回避』!!」
「流石…!」
続いて放たれる爆裂魔力弾…だが、それはベンチの上に落ちていたアクションカードによって防がれる!
『僕はこれでターンエンド!』
遊戯LP3500
ブラックマジシャン マジシャンガール 手札1→2
『遊戯と遊希は一進一退の攻防を繰り広げる!これは熱いデュエルだぁ!!』
「危なかった…!やっぱり強いな!遊戯!」
『遊希君こそ!やっぱり君とのデュエルは楽しいよ!!』
攻防を繰り広げる2人のデュエリスト…その表情は共に笑顔だった…!
「僕のターン!ドロー!」
「装備魔法『ワンダー・ワンド』を『龍脈の魔術師』に装備!攻撃力は500ポイントアップ!」
龍脈の魔術師が緑色の宝石の付いた杖を手にする! ATK1800→2300
「さらに!『EMペンデュラム・マジシャン』を召喚!」
振り子を手にした赤いスーツの魔術師が現れる! ATK1500
「そして!自分の『EM』モンスターをリリースする事で…現れろ!『EMスライハンド・マジシャン』!!」
『来たね!遊希君のエースモンスター!』
赤い衣装を纏った道化魔術師が現れる! ATK2500
「バトルだ!『スライハンド・マジシャン』で『ブラックマジシャン』を攻撃!」
『相打ち狙いかい!?』
「いいや!アクションマジック『ハイ・ダイブ』を発動!『スライハンドマジシャン』の攻撃力はエンドフェイズまで1000アップする─!」
攻撃の刹那、遊希は枝に引っかかっていたアクションマジックを発動する! ATK2500→3500
『ふふっ…君ならそうくると思ったよ!アクションマジック「バイアタック」発動!「ブラックマジシャン」の攻撃力が2倍になる!』
「しまった…!さっきのエンドフェイズに回収してたのか!?っああああ…!!」
遊戯が隠し持っていたアクションマジックを発動…スライハンドマジシャンは魔力弾に吹き飛ばされる!
ブラックマジシャンATK2500→5000
遊希LP3700→2200
「イテテ…でも、タダでは終わらない!『龍脈の魔術師』で『マジシャンガール』を攻撃!」
『ごめんね…!「マジシャンガール」…!!』
龍脈の魔術師の魔力弾がマジシャンガールを打ち砕く!
遊戯LP3500→3200
「僕は、これでターンエンド…!」
遊希LP2200
龍脈の魔術師(ワンダーワンド) 伏せ1 手札2
『おぉ〜っと!チャンピオンがついに遊希を追い詰める!!これが王手となるのか〜!?』
『僕のターン!ドロー!』
『来た…!魔法カード「
「なんだって!?」
ブラックマジシャンにマジシャンガールの幻影が寄り添い、魔力を与える!! ATK2500→4500
『バトル!「ブラックマジシャン」で「龍脈の魔術師」を攻撃!黒・魔・導・連・弾!!』
2人の魔力が合わさった魔力弾の雨が降りそそぐ─!!
「まだだ…!罠カード発動!『攻撃の無敵化』!このカードは攻撃を受けた時、2つの効果から1つを選んで発動できる!1つはフィールドのモンスターを戦闘・効果破壊から守る効果、もう1つはプレイヤーへのダメージを0にする効果!!」
『遊希君…!君はどちらを選ぶ…!』
「僕は……『龍脈の魔術師』を破壊から守る!!ぐああああっ…!!」
降りそそぐ魔力弾の雨…龍脈の魔術師は破壊を免れる、だが…遊希は大ダメージを受け、地面に叩きつけられた…!
遊希LP2200→100
『僕は…これでターンエンド、「ブラックマジシャン」の攻撃力は元に戻るよ…!』
遊戯LP3200
ブラックマジシャン 手札1
「はぁ…はぁ…ああ、ライフ100か……本当に、ぎりぎりだ…!」
『……「ワンダーワンド」には装備モンスターをリリースして、カードを2枚ドローできる…それに賭けるつもりなんだね?』
「ヘヘっ…分かってるじゃん、遊戯…」
リアルソリッドヴィジョンにより満身創痍の遊希…だが、その顔は笑っていた…。
「遊戯…僕のデッキには、もう『ブラックマジシャン』に勝てるカードはない……それでも、僕はお前に応えたい!僕を友だと言ってくれた…お前の思いに応えたい!!」
『遊希君…』
遊希は既に勝ち負けに拘らなくなっていた…親友との最高の舞台、人々の歓声を受けながらの熱いデュエル…それだけで、遊希は満足だったのだ。
「遊戯!いくぜ、これが僕の…ラストターンだ!!」
「僕のターン!ドロー!!」
「『ワンダーワンド』の効果発動!装備モンスターと共にリリースする事で2枚ドロー!!」
龍脈の魔術師が粒子に変わる…そしてその光は遊希の手へと収まった…。
「そして…魔法カード『リロード』を発動!僕の手札4枚を手札に戻し、同じ枚数ドローする!」
遊希は手札をデッキへと戻し…デッキトップに手を掛ける…。
「(これが、僕のラストドロー…最後は…遊勝さんスタイルでやってみるか…!)」
ラストドローを前に過ぎったのは…華やかな恩人の顔、ドローを前に遊希は声を張り上げる!
「真のデュエリストの戦いは常に必然!勝利のキーカードは我が腕に!」
キィン─!!
『えっ…?』
それは戯れの口上…感情が赴くままに口にした言葉……しかし、遊希は気付いていない…自身の右手が
「シャイニング・ドロー!!って…なんだ──!?」
キィン─!!
『な、なんだこの光は─!?』
スタジアムを眩い光が埋め尽くす、それは朝日のように希望に溢れた光だった…!
『ゆ、遊希君!?大丈夫かい!?』
「び、びっくりしたぁ…!ソリッドヴィジョンの不具合かなぁ…?」
光が収まり、遊戯は思わず遊希へと声を掛ける…遊希は無事だったが───変化は確実に起きていた…!
「な、なんだ…?このカード…?ペンデュラム……?」
ふと遊希はドローした4枚に目を落とす…そこには見慣れぬ3枚のカード、そして絵柄が変化してしまった見慣れたEMのカードがあった…!
「………なんでだろう、使い方が…
初めて目にするはずの不思議なカード…だが、遊希は本能でその使い方を理解してしまった!
「僕は…スケール1の『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』とスケール8の『オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン』でペンデュラムスケールをセッティング!!」
PENDULUM!!
『遊希君…!?そのカードは…!?』
『な、なんだぁ!?フィールドで何が起きているんだ〜!?』
デュエルディスクに表示される『PENDULUM』の文字、そして遊希の背後に赤と緑のドラゴン達が浮かぶ光の柱が現れる!
「これで僕はレベル2から7のモンスターを同時に召喚できる…!」
『遊希君…!?君は、いったい…!』
不思議な平常心のまま…遊希は言葉を紡ぐ!
「揺れろ!希望のペンデュラム!全能の軌跡よ…歴史を刻め!ペンデュラム召喚!!レベル3!『EMファイア・マフライオ』!レベル7!二色の眼を持つ幻影の竜…『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』!!」
遊希の頭上で赤いペンデュラムの軌跡が揺れ動く…その中に開いた扉から鬣が火の輪になったライオン、そして赤と青色の眼を持ち、堅い外骨格を纏うドラゴンが現れる! ATK800 2500
『い、いったい何が起きているのだろうか…!突然、2体のモンスターが現れたぞぉぉ!?』
突然の事態の中でMCが困惑の叫びを上げる…!
「『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』……力を貸してくれるのか?」
《グルル…》
無意識に問いかける遊希…幻影の竜はその頭を遊希に擦り付ける事で意思を示した…!
「いくぞ…!遊戯!『オッドアイズファントムドラゴン』で『ブラックマジシャン』を攻撃!」
『っ…!だけど、2体の攻撃力は互角だ!』
オッドアイズに騎乗した遊希はブラックマジシャンに突撃する!
「まだだ!アクションマジック『突撃』!モンスターとバトルする時、僕のモンスターの攻撃力は600ポイントアップする!」
『なにっ…!』
遊希は噴水の中に隠れていたアクションマジックを回収、攻撃を放つ! ATK2500→3100
「夢幻のスパイラル・フレイム!!」
『くっ…!手札の「クリボー」の効果発動!このカードを墓地に送る事で、このバトルでのダメージを0にする!!』
《クリクリクリー─!!》
遊戯の前に小さな毛玉が現れ、爆風を防ぎきる!!
『この瞬間!「ファイアマフライオ」の効果発動!自分のペンデュラムモンスターが相手モンスターを破壊した時!そのモンスターは攻撃力を200アップし、もう一度攻撃できる!!』
「なんだって!?」
マフライオの生み出した火の輪をオッドアイズがくぐり抜ける! ATK2500→2700
「遊戯にダイレクトアタック!夢幻のスパイラル・フレイム!!」
『くうううっっ…!』
希望の光を宿す螺旋の炎が遊戯に大ダメージを与える!
遊戯LP3200→500
『すごい力だ…!でも、ライフは残っているよ!!』
「まだだ!『オッドアイズファントムドラゴン』の効果発動!ペンデュラム召喚に成功したこのモンスターが相手にダメージを与えた時、自分のペンデュラムゾーンのオッドアイズカード1枚につき1200ダメージを与える!幻視の力─アトミック・フレイム!!」
「しまっ…!うわああああ!!」
光の柱の中から2体のドラゴンがブレスを放つ…それは、遊戯のライフを削りきった…!
遊戯LP0
遊希WIN!
『デ……デュエルエーンド!!エキシビションデュエルを、制したのは!榊遊希!!チャンピオン遊戯を打ち倒したぁぁ!?』
「「『『わ、わああああああ!!?』』」」
一瞬の静寂の後、スタジアムが揺れる…思わぬ遊希の勝利に観客が大歓声を上げる!!
「はぁ…はぁ……勝っちゃった…僕が、遊戯に…?」
『びっくりしたのは僕の方だよ…!?遊希君、今の召喚法はなんなんだい!?世界でも見た事がないよ!?』
勝利に呆然となる遊希、知らない召喚法に驚く遊戯の2人は思わず顔を見合わせる…その時だった。
ズキン!!
「がっ…!?ああ、ぐっ─!?」
『遊希君!?』
突然、遊希は殴られたような頭痛に襲われる…遊希はその痛みに悶絶し、地面に崩れ落ちる…!
「い、痛い…!あた、割れ…!!があああっ───!!?」
『遊希君!遊希君!!遊希君─!!』
強まる痛みに意識が遠のく遊希…その刹那────
「───────!!」
誰かの哀しい…泣き叫ぶ声が聞こえた気がした…。
『社長、ペンデュラム召喚を使用した者達の身元が判明しました』
「……聞こう」
舞網市中心部…レオ・コーポレーションの最上階にて…赤い眼鏡を掛け、赤く長いマフラーを巻いた青年が黒服の男から説明を受けていた…。
『1人目は…榊遊矢、14歳…舞網市立第二中学校の2年生です…デュエルクラスは「ジュニアユース」、デュエル戦績は…38戦20勝18敗です』
「勝率…5割といったところか…デュエル塾は?」
『市内の…
「遊勝塾……榊……遊矢?まさか…」
『はい、お気付きの通り…彼はあの榊遊勝の1人息子です』
社長と呼ばれた青年は遊矢の名字から、彼が元チャンピオンの息子である事に気付く。
「3年前に行方不明になったチャンピオンの息子が…未知なる召喚法を…?………気になるな…」
遊矢の資料映像を見た青年は眼鏡を押し上げる…。
「もう1人の方は?」
『はい…もう1人は…榊遊希、
「………榊?遊勝の息子は遊矢だけ…しかも、推定年齢とはどういう事だ?」
青年は黒服の説明に問いかける…あまりにも分からない点が多かったからだ。
『はい…榊遊希は5年前、遊勝に保護された身元不明の少年です…記憶喪失で素性も不明…ですが、遊勝の行方不明後は彼の代わりに他の塾との交流戦などに参加し、遊勝塾を支えているようです…』
「……すぐに2人の身辺を洗い直せ…ペンデュラム召喚に関する情報があれば、すぐに報告するように」
『はっ…!』
青年は黒服に調査の指示を降す…だが、黒服は新たな情報を付け加えた。
『社長、榊遊希は……海馬コーポレーションと繋がりがあるようです』
「海馬と?…………ならば、私が出るしかないか…」
青年は映像の遊矢と遊希を静かに見つめた…。