転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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干渉開始………失敗


干渉開始………失敗


干渉開始……失敗


開始…失敗


開始、失敗…開始、失敗…開始、失敗…開始、失敗…開始、失敗…開始、失敗…開始、失敗、開始、失敗、開始失敗、開始失敗開始失敗開始失敗開始失敗開始失敗開始失敗開始失敗開始失敗開始失敗開始失敗開始────


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かいし……!!……限定的干渉に成功…!
 

《っ…!!繋がったのか!?状況は…!!》


世界時間の経過状況…不明、精神状態からデュエル中と推測……身体状態……著しい衰弱状態・全能力封印状態……遠隔支援…『決闘創造』能力を一部解放……っ…干渉可能時間、終了……───


《ぬぅ…!!外はどうなっている!!我らはいつになったら出られるのだ…!》

《………現時点では、なんとも……どうやら、記憶喪失状態のようです……》

《主殿……》

《……待つしかありません…次のチャンスを…》






それは限りなく近く、遥かに遠い何処か……彼らは待ち続ける──






幕間〜榊遊希という男〜

Side???

 

「うわ〜…!すっごく積もったね!父さん!」

 

『そうだな〜!この街でこんなに雪が降るなんて珍しいぞ!』

 

それは5年前の事……温暖な舞網市に十数年振りの大雪が降った日、幼い遊矢とたまたま休みが取れた遊勝は防寒着に身を包み、遊勝塾へと向かっていた。

 

 

『あっ!遊勝さん!おはようございます!いや〜!寒いっすね〜!』

 

『ああ、おはよう柊!雪かきを手伝いにきたぞ!』

 

「おはよう!柚子!」

 

「おはよう!遊矢!」

遊勝塾に着くと既に修造と娘の柚子が雪かきをしていた、既に半分程終わったようだ。

 

 

『遊勝さんは見ててくださいよ!俺の熱血雪かきですぐに終わらせますから!』

 

『いやいや…それで体を壊したら元も子もないだろう?それに、この塾は私達2人の「城」じゃないか!』

 

『ははっ…そうですね!』

遊勝と修造は建物を見上げる…そこは人々に『エンタメデュエル』を広める為の大事な場所だった。

 

 

「父さん!柚子と遊んできてもいい?」

 

「おっきな雪ダルマを作るの!!」

 

『ああ!川辺の方なら綺麗な雪だろうから…気を付けて遊びなさい』

 

『滑らないように気をつけるんだぞ〜!』

 

「「はーい!!」」

雪かきをする父親達に声を掛け、遊矢達は近くの川辺へと向かった…。

 

 

 

………

 

 

 

「と、父さん!大変だ〜!!」

 

『遊矢!?どうした!?』

雪かきが終わる頃、血相を変えた遊矢が遊勝達のもとへ走ってきた…!

 

「ひ、人が倒れてるんだ!!雪の中で!!」

 

『『なんだって!?』』

遊矢が叫びを聞いた2人は急いで川辺へと向かった…。

 

 

 

「お、お父さん…!!」

 

『柚子!大丈夫か!?』

遊矢の案内で川辺へとやって来た修造達…最初に見えたのは尻もちをついて涙を浮かべた柚子だった。

 

「ゆ、雪だるまを、作ってたら、赤い雪があって…雪だるまのお帽子にしようとしたら…!」

 

『そうか…怖かったな…!よしよし…』

修造は必死に説明する柚子を優しく抱きしめた…。

 

 

『っ…これは、ひどい…!』

遊勝は()()へと駆け寄る…そこには、周囲の雪を紅く染めるほどの血を流した少年が倒れ込んでいたのだ…。

 

『柊!遊矢と柚子を遊勝塾に帰して毛布を!それから救急車!!』

 

「わ、わかりました!!」

遊勝の指示で修造は遊矢達と共に塾へと戻っていく…遊勝は手にしたスコップで少年の周りの雪を必死に掘り起こす…。

 

 

『いったい、誰がこんな事を…!』

遊勝は掘り起こした少年に自分の防寒着を纏わせる…血の気が引いた白い肌、全身を覆う無数の生々しい傷…そして見慣れない、壊れたデュエルディスク……遊勝にはその少年に何があったのかはわからない…だが、彼は必死にその命の灯火を守った…。

 

 

 

…………

 

 

 

 

「…………ここ、は……?」

 

『良かった…目を覚ましたようだね』

数日後、病院で死の淵を彷徨っていた少年が目を覚ます…たまたま見舞いに来ていた遊勝は少年へと声をかける。

 

『ここは舞網市の病院だ…きみは雪の中で倒れていたんだ、名前は分かるかい?』

 

「ぼくの、なまえ…?………わからない……ぼくは、だれ……?」

 

『……まさか、記憶が…!?』

遊勝は少年の様子から彼が記憶を失っているらしい事に気づいた…!

 

 

『(きっと…これも何かの縁なのだろうな…)少年、身体が良くなったら…おじさんの家に来るといい…きみの力になろう…!』

 

「………?」

ぼんやりとした様子の少年に遊勝は優しく告げる…陽の光を浴びて輝く、赤いペンデュラムを見ながら…。

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

「ううっ…ここは…?」

 

『気づいたか、遊希…まったく、心配掛けおって…!』

 

「海馬社長…?」

遊希は見知らぬ部屋で目を覚ました…少しぼんやりとして、どうやら医務室か病室らしいと気が付いた。

 

 

『何があったか覚えているか?』

 

「……たしか、遊戯とデュエルして……勝って……頭が、痛くなって……」

 

『うむ、概ねは合っているな…だが、1つ抜けている……お前は我々にとって未知なる召喚法───ペンデュラム召喚を使ったのだ』

 

「ペンデュラム……召喚……」

海馬の言葉を聞いた遊希は断片的に記憶を思い出す…手の中に現れた見知らぬカード、熱くなった体…そして遊矢のエースと同じ『オッドアイズ』の名を持つドラゴンの事を…。

 

 

「『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』……」

遊希は起き上がり、普段使いのデッキケースから新たなエースを取り出す…。

 

『そしてもう1つ、お前に伝える事がある……お前の家族、榊遊矢が…お前と同じペンデュラム召喚を使い、ストロング石島を打ち倒した…!』

 

「ゆ、遊矢が…!?」

海馬の思わぬ言葉に遊希は驚きを露わにする…!

 

 

『タイミング的には遊矢が先にペンデュラム召喚を披露したそうだが………外は大騒ぎだぞ?遊戯も石島も…もちろん遊矢も、取材が殺到している…遊勝塾への入塾希望も増えるだろう』

 

「な、なんだか大変な事になってる…!?」

 

『たわけ、大変どころの話ではない!!人に無いモノを手にした者は───()()()()()()

 

「っ…!!」

海馬の鋭い睨みに遊希は息を呑む…。

 

 

『……外に磯野と車を待たせてある、体調が回復したらそれで帰れ、俺は仕事が残っている……先に行くぞ』

 

「海馬社長……すいません」

 

『謝るな……お前は何も悪くない』

そう言うと海馬は部屋を後にした…。

 

 

 

 

Side海馬

 

 

 

『………榊遊希…か……本当に、不思議な奴だ…』

 

病室を後にした海馬は遊希の名を呟く…そして、彼との出会いを思い返した…。

 

 

 

………

 

 

 

トゥルルル!トゥルルル!

 

 

「はい、海馬コーポレーション社長室です……なんですと!?」

 

『どうした?磯野』

 

それは1年前の事…前社長追放後、僅か2年で海馬コーポレーションを世界1位の企業にした海馬瀬人…その仕事中に一本の電話が鳴り響いた。

 

 

 

「し、社長!紗良様が暴漢に襲われたと連絡が!!」

 

『な、なんだと!?』

腹心の磯野の思わぬ知らせに海馬は書類の山を崩しながら立ち上がる、紗良とは海馬の許嫁の名前である…。

 

「幸い、怪我はしていないとの事ですが……紗良様を庇ってくださった方が病院に運ばれたと…!」

 

『っ…!速やかに犯人の素性を調べ上げろ!おおかた愚父の手の者の仕業だろう!…俺は病院へ向かう!』

 

「はっ、すぐに!!」

磯野に指示を出した海馬は社長室を飛び出した…。

 

 

 

 

 

 

『紗良!無事か!?』

 

『瀬人様…!』

海馬がKC系列の病院に駆け付ける…その待合室に白く長い髪と青い目を持つ少女、紗良の姿があった…。

 

 

『通りがかった方が襲われた私を庇ってくれたんです…!』

 

『そうか…その者は…!』

 

『幸い、傷は浅かったみたいで…今、包帯を…』

 

『そうか…』

海馬は紗良の無事を確認して胸を撫で下ろす…。

 

 

「イテテ…ありがとうございました…」

 

『瀬人様!あの方です!』

 

『ああ、礼を言わねば──』

処置室から右腕を吊った、自身と同じくらいの少年が現れる……ただし、その顔は無数の傷に覆われていた…。

 

 

『………何処が軽傷なのだ!?』

 

「あ、この傷は元々なので…気にしないでください…」

 

 

 

………

 

 

 

『ククッ…本当に変な奴だとは思ったが…まさか、ここまでとは思わなかった』

第一印象は驚愕で始まった…そして話すうちに記憶喪失である事、さらに失踪した榊遊勝の関係者である事を知り…その窮状を知った。

そしてKCの伝手を使い、遠回りながらも少しずつ遊勝塾を支援していたのだ。

 

 

『だが…本当に不思議なのは……奴への()()()か……俺の知人には、あんな愉快な男はいなかったはずだが……まぁいい、いずれ思い出すだろう』

遊希への不思議な感覚を頭の隅に置き、瀬人は夕焼け空を見つめる。

 

 

『さて…当面の不安要素は───赤馬か、奴め…いったい何を考えているのやら……』

海馬は不穏な動きをするレオ・コーポレーションを気に掛けていた…。

 

 

『安心しろ、遊希……お前には俺が付いている』

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

「た、ただいま〜……」

「遊希!アンタ体は!?大丈夫なのかい!?」

 

「あっ…洋子さん…はい、体は大丈夫です!」

KCの車に送られ、家へと帰ってきた遊希…最初に出迎えてくれたのは洋子だった。

 

「海馬コーポレーションからアンタが倒れたって聞いて心配してたんだよ…!遊矢もストロング石島に勝ったもんだから取材が凄くて…それに、アンタも…遊戯に勝ったって…!」

 

「はい…それになんでだか、僕もペンデュラム召喚が使えちゃって…何がなんだか…」

遊希の身体を心配する洋子…遊希は遊戯への勝利を報告する…そして、ペンデュラム召喚が使えた事も…。

 

 

「遊矢は…?」

 

「自分の部屋だよ…ずっと記者に囲まれてたから、もう寝ちゃったかもね」

 

 

 

………

 

 

「遊矢…入るぞ?」

 

「か〜……か〜……」

 

「寝ちゃってたか……」

遊希は声を掛けながら遊矢の部屋に入る…よほど疲れていたのか、遊矢は普段着のままでベッドに突っ伏して眠っていた。

 

 

「……まったく、風邪ひいちゃうぞ?……ん…?これは…」

遊矢に優しく掛け布団を掛ける遊希…そして彼は枕元に置いてあったカードに目が止まった。

 

 

「『星読みの魔術師』…『時読みの魔術師』……『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』……これが遊矢のペンデュラム……」

それは遊矢の新たな力、ペンデュラムカード…それを遊希は遊矢のデッキケースに静かに戻す…。

 

 

「『人に無いモノを手にした者は狙われる』……遊矢、お前は必ず守る……遊勝さんの分まで……!」

海馬の言葉を思い出した遊希は決意を固めた…。

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