転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

322 / 540
Ep.5 謎の黒き竜〜不穏の足音〜

「よーし!今日はデュエルモンスターズの様々な召喚法についてのお勉強だ!」

 

「「「は〜い!」」」

とある日の遊勝塾…今日はジュニアコースの3人に向けた召喚方法の授業が行われていた。

 

 

「えー…まずは『通常召喚』!これがデュエルの基本、レベル4以下のモンスターを表側攻撃表示で出す方法だ!そして次に…『アドバンス召喚』!これは…タツヤに説明して貰おうかな?」

 

「はい!アドバンス召喚も手札からの召喚法だけど…レベル5から6のモンスターを出す時は1体…レベル7以上の時は2体の自分のモンスターをリリースする必要があります!」

 

「おっ!よく勉強しているな!」

修造の問いに答えたのは、ジュニアコースの新入生である青みがかった髪の少年・タツヤだった…だが、その隣では──

 

 

「コウギつまんなーい!」

 

「そんなの知ってるよ〜!」

同じジュニアコースの生徒、小太りの少年・フトシと赤い髪の少女・アユが頬杖をつき…

 

「ヘヘっ…!バニラアイスとカスタードプリンで融合〜…食べられろ!スイーツ王子バニラ・プリンス〜!あむっ!」

さらに遊勝塾に入学した素良が隠れてオヤツを食べていたりする…なお、遊矢への弟子入りの件はなくなり、友人として遊矢と過ごす事に落ち着いていた。

 

 

「お〜い、素良マズいって…怒られるぞ〜…」

 

「え〜?不味くないよ?美味しいって!」

 

「いや、そのマズいじゃなくって…(汗)」

オヤツを頬張る素良に声を掛けたのは遊矢…彼が気にしていたのは…

 

 

「講義中にそんな事してたら、柚子のハリセンが飛んで───あれ…?」

 

「はぁ……」

 

「飛んで、こない…?そういえば、昨日からな〜んかうわの空なんだよな…?」

普段なら、講義中に居眠りしようものなら…柚子の制裁ハリセンが炸裂するのだが…今日はその気配はない…柚子はどこか落ち着きがなく、うわの空だったのだ。

 

 

「それじゃあ…次は『儀式召喚』!これは手札に揃った『儀式魔法』と青枠のモンスターカード『儀式モンスター』が必要だ!儀式召喚するには『儀式魔法』を発動してフィールド・手札から召喚したい『儀式モンスター』のレベル以上のモンスターをリリースする必要があるから、覚えておくように!次の『融合召喚』は…素良に説明して貰おう──」

 

「ドーナツ効果発動!これでバニラプリンスがさらに美味しくなーる!あむ〜!」

 

「こらぁ!!講義中にオヤツを食べるな〜!!」

儀式召喚の説明を終えた修造は素良に声を掛けるが…素良がオヤツを食べていた事に気付き、怒鳴り声を上げた…その時…。

 

 

「お、お父さん!!エクシーズ…エクシーズ召喚って、ウチの塾で教えた事…ないよね?」

 

「おっ!?いきなりどうした柚子!?」

意を決したように柚子が声を上げる…突然の事に修造は驚くが…バツが悪そうに頭を掻く…。

 

「そりゃないなぁ…俺がやった事の無い召喚法は教えられんし……そもそも、LDSが教え始めたのも最近で………そうだ!ちょっと待ってろ!」

 

「えっ…?」

使った事の無い召喚法は教えられないと言った修造は何かを思い出し、教室から駆け出し…すぐに戻って来た……少し戸惑った様子の遊希を連れて…。

 

 

「ちょ!?修造さん!?いきなりなんですか!?」

 

「遊希!お前、LDSのソリッドビジョンシステムを勉強する為に召喚法の資料を読み込んでいただろ?みんなに説明してくれるか?」

 

「えっ…あ、はい……じゃあ、ホワイトボードをお借りします…聞き辛かったら、ごめんね?」

いきなりの要請に動揺した遊希だったが…キラキラしたジュニアの子供達の目を見て、説明を始めた…。

 

 

 

「まずは…エクストラデッキから…エクストラデッキには『融合モンスター』『シンクロモンスター』『エクシーズモンスター』がデュエル開始時に入っているデッキなんだ…『儀式モンスター』は入らないから勘違いしないように!そして…まずは『融合モンスター』について!」

エクストラデッキの基本を説明した遊希は順番通りに説明を続ける。

 

「融合モンスターは紫色のカード枠のモンスターで…魔法カード『融合』の効果で手札・フィールドの融合素材になるモンスターを墓地に送って、エクストラデッキから召喚される…この召喚は特殊召喚と同じ、表示形式は自分で選べる…これはシンクロとエクシーズも同じだね」

 

「次に『シンクロモンスター』…白いカード枠のカードで、フィールド上の『チューナー』モンスター1体とそれ以外のモンスター1体を召喚したいシンクロモンスターと同じレベルになるように『足し算』して墓地に送ってエクストラデッキから召喚する……ここで問題!レベル7のシンクロモンスターを召喚したい時、どんな組み合わせならシンクロ召喚できるでしょうか?……はい、遊矢!」

 

「ふぇ!?え……えっと…?レベル2のチューナーと…レベル5のモンスター?」

 

「正解!場合によってはレベル4のチューナーとレベル3のチューナー以外のモンスター…それか、レベル1のチューナーとレベル3のモンスター2体でも召喚できるよ」  

 

「遊希の兄ちゃん本当の先生みた〜い!」

 

「わかりやす〜い!」

 

「ははっ…ありがとうなアユちゃん、フトシ君…さて、本題の『エクシーズモンスター』だ」

子供達の声援を受けながら、遊希は最後の説明に取り掛かる。

 

 

「エクシーズ召喚には特別な魔法やモンスターカードは必要ない、フィールド上で同じレベルのモンスターを2体揃える事で…そのレベルに対応した『ランク』を持つ黒い枠のモンスターをエクストラデッキから呼び出せる!」

 

「『ランク』って…なんですか?」

 

「『ランク』はエクシーズモンスターのレベルみたいなもの…普通なら赤丸の中に黄色の星で書かれるんだけど…ランクは黒い丸の中に黄色の星で書かれる…また、ランクはレベルに関する効果を受けない…つまり、ランク3のモンスターはレベル3以下のモンスターを破壊する罠カード『ふるい落し』の効果を受けないし、ランク5のモンスターはレベル4以上のモンスターを守備表示にする『レベル制限B地区』の効果を受けないんだ」

 

「レベルに関する効果を受けない…」

 

「そして…もう1つ大事なのはエクシーズ素材、通称『オーバーレイ・ユニット』の存在だ…エクシーズモンスターはこれが無いと効果が発動できない…けど、エクシーズモンスターは強力な効果を持っている事が多いから…無駄にしないように…」

 

「オーバーレイ・ユニット………」

遊希による説明を聞きながら…柚子は前日に遭遇した不可解な出来事を思い出した…。

 

 

 

 

 

Side柚子

 

 

「も〜う!!アイスが食べたいなら自分達で買いに行けってのよ…」

 

「ふふっ、文句言いながら…そんなに買ってあげて、柚子お姉ちゃん優しい〜!」

 

「ふふっ…ありがとうアユちゃん!」

前日の夕方…柚子とアユは大量のアイスを買い込み、川辺の道を遊勝塾へ向かっていた…男子陣(事務作業中だった遊希を除く)からアイスが食べたいとせがまれ、買いに行っていたのだ。

 

 

 

 

「あっ…!?アユちゃん隠れて!」

 

「えっ!?わっ…!」

もう少しで遊勝塾に着く…そんな時、何かを見つけた柚子は川の土手に身を隠す…その目線の先には……。

 

 

 

『沢渡さん…気合い入りまくりじゃね?』

 

()()()()()使()()()()、榊遊矢を倒すってなぁ…!』

 

 

「あいつら…また…!」

柚子が見つけたのは遊矢からペンデュラムカードを奪おうとしたLDS生徒・沢渡シンゴの取り巻きの2人だった…そして、聞こえてきた会話は…不穏な言葉だった…!

 

 

『あの人…相当酷い事しそうだよなぁ…弱点を徹底的に狙うって…』

 

『言うなって…それより、早く行こうぜ!沢渡さんは腹が減ると余計に機嫌が悪くなる!』

 

「沢渡…!!」

 

「あっ…柚子お姉ちゃん待って!?」

 

それは遊矢を狙う沢渡の作戦…それを聞いてしまった柚子は思わず取り巻きを追いかけた…!

 

 

 

………

 

 

「ゆ、柚子お姉ちゃん…!遊矢お兄ちゃんと遊希お兄ちゃんに伝えようよ…危ないよ…!!」

 

「(この前のデュエル…遊矢は必死に私達を守ってくれた…今度は、私が遊矢を…!)」

取り巻き達を追い掛けて辿り着いたのは舞網埠頭の倉庫…沢渡グループのアジトだった。

柚子は前回のデュエルで必死に戦ってくれた遊矢を守りたかったのだ…。

 

「…アユちゃんは先に塾に戻ってて!!」

 

「あ、お姉ちゃん!!」

柚子は勇気を振り絞って倉庫に突撃する…。

 

 

 

【っ…瑠璃…!?】

その様子を目にした人影に気付かないまま…。

 

 

 

バン!!

 

 

「この卑怯者!!」

 

『おごっ!?むぐっ!?……なんだっ!?』

柚子は渾身の力で倉庫の扉を開き、声を響かせる…そこには緩みきった表情でアップルパイ(激甘)を頬張る沢渡の姿があった…なお、柚子の突撃に驚いてパイを喉に詰まらせている…。

 

 

「どんな手を使っても遊矢を倒すなんて、絶対にさせない!!」

 

『ひいら、ぎ、柚子…!?何故ここに!?』

 

「アンタに説明する必要ないわ!」

柚子は戸惑う沢渡の様子を気にせずに言葉を続ける…。

 

 

『フッフッフッ…いや〜柊柚子、キミは自ら「私とデュエルしなさい!!」!?いや、飛んで火に入る夏の「アンタなんかボコボコにしてやるんだから!!」いや、そこはオレの言葉を聞「聞く必要ないわ!!この卑怯者!!負け犬!二流デュエリスト─!!」っな!?二流だと!?』

沢渡のカッコつけ口上(遊矢かぶれ)を言わせる間もなく、畳み掛ける柚子…流石の沢渡もタジタジである。

 

 

「アンタなんか…それ以下よ!三流!四流!百流デュエリスト!!」

 

『言わせておけば…!!さっきの言葉、取り消すなら…今のうちだぞ!!』

柚子のあまりの暴言に沢渡も怒りを露わにする、柚子は頭に血が昇って忘れているが…ここは沢渡のアジト、退路は沢渡の取り巻きに断たれてしまう…!

 

 

「取り消すつもりはこれっぽっちもないわ!!卑劣な負け犬の百流デュエリスト!!」

 

『っ〜!身の程知らずのその態度、後悔させてやる!』

 

「望むところよ─!!」

一触即発の沢渡と柚子…2人は共にデュエルディスクを構える…その時。

 

 

ガン!!

 

 

『ぶはっ!?』

 

『っ!?誰だ!!』

 

【………】

扉を閉めた取り巻きの悲鳴が響く…こじ開けられた扉、そこには黒いローブに身を包み、ゴーグルとマスクで顔を隠した黒と紫の髪の少年が佇んでいた…!

 

 

【……下がっていろ】

 

「えっ…誰よ、アナタ…!?」

謎の少年は柚子を庇うように前に出る…その目は沢渡が身に付ける、LDSの校章を睨んでいた…。

 

 

『いきなり現れて…プリンセスを助けに来たナイト気取りか?』

 

【フン…】

沢渡の言葉に少年は無言でデュエルディスクを展開する…そのデザインは舞網では見ないモノだった。

 

 

『変わったデザインだな…?オレの言葉に答えるつもりはないってか?』

 

「ちょっと!?いきなり割り込まないでよ!?」

 

【……もう、きみを傷付けたくない】

 

「えっ…?」

柚子は乱入した少年を押しのけてデュエルをしようとするが…少年に制止される、ゴーグルから覗いた瞳は…優しく、強い覚悟を宿していた…!

 

 

『かっこいいねぇ、ナイト君…だけど君は恥をかくだけさ!新しいデッキの肩慣らしに丁度いい…!ぶっ潰してやるよ!このネオ沢渡様がな!!』

火花を散らす沢渡に静かに構える少年…2人の戦いが始まった…!

 

 

 

「【デュエル!!】」

 

 

デュエルダイジェスト 黒の少年対沢渡

 

 

 

【オレのターン…オレは手札5枚を()()()()、ターンエンド】

 

『はっ!?……ははは…それだけかよ!?笑えるぜぇ!!』

黒の少年は手札を全て伏せただけでターンを終える…それは沢渡…否、全てのデュエリストが常識を疑ってしまう一手だった。

 

 

『モンスターが1枚も入って無かったのかい?気の毒だけど…()()()()()()()!デュエルの運を!!』

 

【聞こえなかったのか?ターンエンドだ】

 

『あ〜ん…!?なら、オレの完璧なデュエルで…ぶっ潰す!』

沢渡の嘲笑に動じず、黒の少年はターンエンドを宣言する…それにカチンときた沢渡は新たなデッキを披露する!

 

 

 

『アドバンス召喚!現れろ!「氷帝メビウス」!!』

沢渡の新たなデッキ…それは黒の少年に対して……否、遊矢を倒す為に手に入れた『魔法・罠』を封殺する為のデッキだった!

 

『「メビウス」の効果発動!アドバンス召喚に成功した時、フィールド上の魔法・罠2枚を破壊できる!お前の伏せカードを2枚破壊だ!フリーズ・バースト!!』

メビウスの吹雪が伏せカードを破壊する…だが、ネオ沢渡は止まらない!

 

『さらに魔法カード「アドバンス・カーニバル」を発動!このカードは自分がアドバンス召喚に成功した時、もう一度アドバンス召喚を可能にする!!オレはアドバンス召喚した「メビウス」をリリース!アドバンス召喚!!いでよ!「凍氷帝メビウス」─!!』

メビウスがさらに重厚な鎧を纏い、再臨する…!

 

『本来なら、レベル7以上のモンスターは2体のリリースが必要だが…「凍氷帝」はアドバンス召喚したモンスターをリリースする事で、リリース1体でアドバンス召喚できる!効果発動!アドバンス召喚に成功した時、相手フィールドの魔法・罠を3枚まで破壊できる!!ブリザード・デストラクション!!』

威力を増した吹雪が黒の少年の伏せカードを吹き飛ばす…少年のフィールドはがら空きになってしまった!!

 

「あ、れ…?なんで、アクションフィールドじゃないのに…風が…!?」

その時、柚子が違和感に気付く…このデュエルはリアルソリッドビジョンを用いた「アクションデュエル」ではなく…通常のソリッドビジョンを用いた「スタンディングデュエル」…ならば、デュエル中に風が吹き…寒さを感じるのはありえないのだ…!

 

 

 

『これでお前の伏せカードは全滅…手札もゼロ!つまり、オレの攻撃を防ぐ手はない!!バトルだ!「メビウス」でダイレクトアタック!!』

全身に氷柱を纏うメビウスの攻撃が迫る…その時だった!

 

【この瞬間、墓地の魔法カード『幻影騎士団(ファントム・ナイツ)シャドー・ベイル』の効果発動!!】

 

『墓地から魔法カードだと!?』

 

【ダイレクトアタックの宣言時、このカードをモンスターカードとして可能な限り特殊召喚する!現れろ!3体の『シャドーベイル』!!】

黒の少年の言葉と共に蒼炎を纏う幽霊騎士達が現れる…それは、沢渡も知らない魔法カードの使い方だった…!

 

 

【……ただし、このカードは再び墓地に送られた時、除外される】

 

『チッ…所詮は壁モンスターを慌てて召喚しただけだ!「メビウス」で「シャドーベイル」を攻撃!インペリアル・チャージ!!』

氷柱を纏った帝王の一撃が幽霊騎士を粉砕する…だが、少年は動揺を見せない…!

 

『首の皮1枚繋がったか…オレはカードを1枚ふせ、ターンエンド!次のターンまで生かしてやる!』

 

【貴様に次のターンはない…】

 

『なに?』

少年を追い詰めたかに見えた沢渡…その傲慢を裁くのは…反逆の牙…!

 

 

 

【オレのターン、ドロー!】

【少しは歯応えがあると思ったが…貴様のデュエルには刃の如き鋭さも…弾丸の如き威力も感じない…!欠片もな…!!】

 

『なにっ…!?』

 

【条件は整った…同レベルのモンスターがフィールドに2体…この瞬間、オレのデッキは真価を発揮する!!オレはレベル4の『シャドーベイル』2体でオーバーレイ・ネットワークを構築!!】

 

『なっ!?こ、これは─!!』

沢渡の弱さを見極めた少年は力を開放…目の前に光の銀河が渦を巻く!

 

 

【愚鈍なる力に抗う、反逆の牙!!いま、降臨せよ!エクシーズ召喚!!ランク4『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』─!!】

光の銀河が爆発し、新たなモンスターが生まれる…それは夜の帳が落ちた中でも分かる漆黒の身体を持ち、顎に鋭い牙を持つドラゴンだった…!

 

 

「エクシーズ、召喚…!」

 

『え、エクストラデッキからの、モンスター召喚…!初めて見た…!!』

エクシーズ召喚…エクシーズモンスターの登場に取り巻きも柚子も言葉を失う…エクシーズ召喚はLDSでも導入されたばかりの新たな召喚法……まだ、使い手すらも少ないのだ…!

 

 

『ははっ…エクシーズ使いとはね…!だけど、攻撃力は「メビウス」が上回ってる!』

 

【エクシーズモンスターの真の力は、己の魂たるオーバーレイ・ユニットを使って…相手を滅する事にある!身を以て知るがいい!『ダークリベリオン』の効果発動!ORUを1つ使い、相手フィールドのレベル5以上のモンスターの攻撃力を半分にし!その数値分、自身の攻撃力をアップする!トリーズン・ディスチャージ!】

 

『なにっ!?』

ダークリベリオンの翼にある紫の宝玉から紫電が走り…メビウスを弱体化させる!

 

【まだだ!もう一度『ダークリベリオン』の効果を発動!トリーズン・ディスチャージ!!】

再び放たれる紫電…それにより、メビウスの攻撃力は700に…ダークリベリオンは4600まで攻撃力をアップする!

 

『ウソウソーン!?』

 

【バトルだ!『ダークリベリオン』で『メビウス』を攻撃!!その牙で氷河を砕け!反逆のライトニング・ディスオベイ!!】

 

『ぐわあああ!?』

 

「きゃあああ!?」

紫電の一撃が帝王を砕き、大爆発を引き起こす…その余波が柚子にも襲いかかるが…少年が身を挺して庇う…!

 

 

『ぐっ…なんだ、この衝撃は…!?アクションデュエルじゃ、ないんだぞ…!?』

 

【おい、一度しか聞かん……このバッジは、LDSのモノだな?貴様らと()()()()()の関係は…なんだ!!】

 

『あ、アカデミア??なんだよ、それ…?』

衝撃に戸惑う沢渡に少年は強い言葉で詰め寄る…その手にはLDSの校章が握られている。

 

『そのバッジはLDSなら誰でも持ってる!アカデミアなんて知るかよ!?』

 

【そうか…()()()の言う通りか……ならば、用は無い】

沢渡の答えに興味を失ったのか…少年は沢渡に背を向ける…。

 

 

『バカめ!デュエルはまだ終わってない!!罠カード『アイスレイジ・ショット』!自分の水族モンスターが破壊された時、そのモンスターを戦闘破壊した相手モンスターを破壊し、その攻撃力のダメージを与える─!!』

沢渡は卑怯にも少年の背中に攻撃を仕掛ける…だが…。

 

 

【易い戦略は…児戯に等しい…!墓地の魔法カード『幻影死槍(ファントム・デススピア)』の効果発動!相手が罠カードを発動した時、その効果を無効にし破壊…そして100ダメージを与える!】

 

『嘘だろ!?』

沢渡の罠カードが消え去り、少年の場に魔法陣と鋭い槍が現れる!

 

『ま、待て待て待て!!リアルソリッドビジョンでそんなの喰らったら─!!』

 

【悪いが…外道には容赦しなくて良いと言われている…その身に受けろ!戦場の悲しみと怒りを!!】

 

『ぎ、ぎゃあああ!?』

死の槍が放たれる…だが、その槍は沢渡の頬を掠め…壁に突き刺さる……見事なジャストキルであった。

 

 

 

沢渡LP0

 

 

黒の少年 WIN!

 

 

 

 

 

『あ、ああ……!?』

 

【はぁ…】

外道…沢渡へのささやかな制裁を終えた少年は静かにゴーグルとマスクを外す、その顔は……。

 

「えっ…遊、矢?」

 

『榊、遊矢…!?お前、だったのか…!?』

僅かな明かりが照らし出した少年の顔……それは榊遊矢に瓜二つの顔をしていた…!

 

 

 

『や、やべぇ!!コイツやべえよ!!』

 

『に、逃げろぉ!!』

黒の少年、そして『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』の威圧を受けた取り巻き達は腰が砕けてしまった沢渡を担ぎ、逃げ出して行った…。

 

 

 

「ゆ、遊矢!?どうしてそんな格好してるの…?」

 

【ユウ、ヤ…?】

沢渡達が去ったあと、柚子は黒の少年…黒遊矢に問いかける…その時…!

 

 

キィン─!!

 

「えっ、この光は……きゃっ!」

突然、柚子の持つブレスレットが強い光を放つ…その光は倉庫を埋め尽くし、消えた時には黒遊矢の姿は消えていた…。

 

 

「あ、れ?遊矢…!?」

消えてしまった黒遊矢の姿を探す柚子…そして…。

 

 

「柚子!!大丈夫か!?」

 

「ゆ、遊矢!?」

 

「柚子ちゃん!!…良かった、無事だったか…」

倉庫の扉から遊矢、そして遊希が息を切らせて駆け込んで来た…!

 

「えっ…いま、私…遊矢と一緒にいて…」

 

「僕と、遊矢は…アユちゃんから、柚子ちゃんか沢渡の所に乗り込んだって聞いて……一緒に走って来たんだ、よ…?」

 

「そんな…?じゃあ、今の遊矢は…?」

嘘をつかない遊希の言葉に戸惑う…自分が出会った「遊矢」は…誰だったのかと…。

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

「いったい、あの遊矢は…?」

黒遊矢の正体が分からず、ますます悩む柚子…その時だった。

 

 

「た、大変だ!!遊矢!修造塾長!!」

 

「権現坂!?いきなりどうした!?」

講義室の扉がすごい勢いで開き、大汗をかいた権現坂が飛び込んで来た!

 

 

「LDSが…LDSが乗り込んできたぞ!?」

 

「「「「なんだって!?」」」」

 

 

それは…新たな波乱の幕開けだった…。

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

『おかえりなさいませ…母さま』

 

『ええ、ただいま戻りました…零児さん』

LDSの社長室…そこには2人の人影があった、1人は社長である赤馬零児…そしてもう1人は零児の母親であり、LDSの理事長を務める赤い髪の貴婦人、赤馬日美香だった。

彼女は海外のデュエルスクールを買収する為に、1ヶ月程日本を離れていたのだ。

 

 

『それで零児さん…新しい召喚法と言うのは…?』

 

『その召喚法の名は…ペンデュラム召喚、融合・シンクロ・エクシーズ…どの召喚法とも違う、未知の召喚法です、母さま』

ペンデュラム召喚の登場を知らなかった母親に零児はストロング石島戦の様子を見せながら説明した…。

 

 

 

『この召喚法を…ジュニアユースの子達が……まさか、()()()が…!』

 

『それも含めて調査中です…しかし、ペンデュラム召喚・ペンデュラムカードについてはデータ収集によってその全貌を掴む事ができました』

 

『流石だわ、零児さん』

不穏な言葉を交えながら言葉を交わす赤馬親子…そして零児は気になっている事を口にする。

 

 

『問題はそれを最初に使ったデュエリスト…その名は榊遊矢、そして榊遊希……失踪した榊遊勝の息子、そして教えを受けた記憶喪失の青年です』

 

『榊遊勝…!?まさか、失踪した彼が私達の()と手を組み、息子達を尖兵に!?』

 

『可能性は否定できません…ですが、その()()ありえると思うのです』

 

『逆…?』

敵の存在を恐れる母に零児はとある事件について知らせる。

 

 

『実は昨日…市会議員の沢渡先生の息子が暴漢に襲われました、襲ったのは()()()()()()()を使うデュエリスト…その顔は……榊遊矢に瓜二つ、だったそうです』

 

『それは…良い機会、ですわね…!』

零児の言葉に妖しい笑みを浮かべる日美香…おそらく、遊勝塾を手にする為の作戦を思いついたのだろう…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いな、それは俺の仲間の仕業だ」

 

 

 

 

 

 

『っ!?』

 

『誰だ!!』

その時、2人しかいないはずの社長室に第三者の声が響く、そして…扉の前には見慣れぬ少年が立っていた…!

 

 

『貴方、ここはレオ・コーポレーションの社長室よ!?警備は…』

 

「まどろっこしい事は嫌いでな、真正面から会いに来た……あんたらの言う『敵』…融合次元のアカデミアではないさ」

 

『っ…!?』

 

『もう一度、問おう…何者だ?』

零児は再び紺色のスーツを纏う、鋭い目つきの少年に問いかける。

 

 

 

「俺は…エクシーズ次元・レジスタンスの使者……凌牙だ、次元間戦争を仕掛けてきた融合次元に対抗する為…同盟を結ぶ為に来た!」

 

『エクシーズ次元の使者…!?』

 

『次元戦争…!?()()()は、そこまで…!!』

エクシーズ次元の使者を名乗った少年・凌牙…その言葉に零児と日美香は言葉を詰まらせる…。

 

 

「すぐに…とは言わないが、なるべく早く答えが欲しい……俺の仲間達がアカデミアの奴らを押し留めてはいるが…いつまで保つかは分からないからな」

 

『そうか……ならば、君の実力を確かめさせて貰いたい』

 

「へぇ…俺とデュエルして決めようってか?」

 

『いや…おそらく、今の私では……この世界の人間では君には勝てないだろう……君からはそれほどの力と覚悟を感じる』

零児は凌牙の言葉に首を振る…零児は凌牙の放つ『強者』の気配を感じ取っていた…。

 

 

「なら、どうする?」

 

『今、この世界には「武器」がない…今のままでは融合次元には勝てない……だが、新たな武器が生まれようとしている……それを、ペンデュラム召喚と言う』

 

「っ…ペンデュラム召喚…!?」

 

『我らはその武器を手に入れる為、ある塾へデュエルを挑む……君には、ペンデュラム使いと戦い…その力を示して貰う』

 

「……良いだろう、その代わり……卑怯な真似はしないと約束しろ、人を貶めるのは俺の流儀に反する」

 

『……交渉成立、だな』

凌牙と零児は静かに…強く、握手を交わした…。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。