転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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Ep.6 LDS襲来!〜塾を賭けた4番勝負〜

『初めまして柊塾長、私はLDSの理事長…赤馬日美香と申します』

 

「こ、これはご丁寧に…」

 

「(これは…大変な事になったぞ…!?)」

遊希は突然、遊勝塾に訪問してきたLDSの理事長・赤馬日美香を前に動揺を隠せないでいた…事の始まりは数分前に遡る。

 

足腰のトレーニングの為、日課のランニングをしていた権現坂が偶然、遊勝塾の前を通り掛かると…そこへ白く長いリムジンが乗り込んで来た、その中から現れたのはLDSの理事長である日美香…その顔を知っていた権現坂は慌てて裏口から講義室へと駆け込み、事態を知らせてくれたのだ。

その後、日美香を出迎えた修造は応接間に彼女を案内したのである。その場には遊矢・柚子を始めとした塾生達や権現坂も修造の後ろに控えている。

 

 

「(海馬社長から気をつけろとは言われてたけど…なんでこのタイミングで…!)」

日美香と修造へお茶を淹れた遊希が下がる…そして日美香が話を切り出した…。

 

 

 

 

『まずはお詫びを…先日、我が塾の生徒の1人がご息女に無理矢理のデュエルを仕掛けた事、お詫びしますわ』

 

「へっ…!?ゆ、柚子!それは本当なのか!?」

 

「う、うん…」

開口一番、静かに頭を下げた日美香…それに驚いた修造が柚子に真偽を確かめる、そして柚子は昨夜のデュエルについて…黒遊矢の事は隠して修造へと説明した。

 

 

『その生徒、沢渡君はすぐに病院に入院……したのですが、すぐに仮病である事が分かって…父親にこってり叱られているそうです』

 

「仮病…ですか?なぜ、そんな事を…?」

 

『彼の証言によると…自分を襲ったのが『榊遊矢』君であるというのです、それで彼を貶めたかったようですわ』

 

「オレぇ!?いやいや!やってないって!!」

日美香の思わぬ言葉に遊矢は全力で否定する…。

 

 

「赤馬理事長、待ってください!遊矢のアリバイは僕が証明します!塾生の鮎川アユちゃんから柚子ちゃんと沢渡君のトラブルを聞いた僕達は、一緒に塾を飛び出して倉庫に向かいました!入口の防犯カメラの記録で証明もできます!」

 

『心配はいりませんわ、榊遊希君…LDSは遊矢君を罪に問うつもりはありません…既に()()()から謝罪を受けましたから…』

 

「えっ…?(あの遊矢は……遊矢じゃ、なかったの…?)」

遊希の弁明に対し、既に事件は解決したと伝える…それに驚いたのは柚子だった…黒遊矢は彼女の知る遊矢とは本当に別人だったのだ。

 

 

『私はその相手から事件の顛末を確認し、まずはその謝罪を…と思い、訪ねさせて頂いたのです』

 

「そ、そうだったんですか……よ、良かった〜!」

ひとまずの目的を聞いて修造は胸を撫で下ろす…だが、そこで日美香の目付きが変わった。

 

 

『では…ここからは()()()()の話をいたしましょうか』

 

「ビジネス…?」

 

『ええ、単刀直入に言いますわ…LDSは遊勝塾を買収させて貰いたいと考えています!』

 

「「「なんだって!?」」」

日美香の言葉に遊勝塾の全員の驚きが重なる…!

 

 

「ど、どうして…ウチを…!?」

 

『決まっていますわ…遊矢君、そして遊希が生み出した新たな召喚法「ペンデュラム召喚」…それを我が塾のカリキュラムに加えたいからです…無論、お金は言い値で払いますわ』

 

「赤馬理事長…LDSは海外も含めた数多のデュエルスクールを買収していると聞きました…我が塾もその標的になったという事ですか…!」

 

『その通りです、私はペンデュラム召喚の事を知り…「融合」「シンクロ」「エクシーズ」に続く、我が塾の4本目の柱を打ち立てたいと考えています』

 

「待ってください、ペンデュラムカードを持っているのは僕と遊矢だけ……それを大手であるLDSのモノにするのは無理がありませんか?」

 

「遊希兄…!」

遊勝塾の買収を提案する日美香に遊希が待ったをかける…ペンデュラムカードはどうやって生まれたのかも分からない『未知のカード』、それを全ての生徒に教えるのは不可能だと。

 

 

『問題はありません、LDSなら世界トップクラスの技術を誇るレオ・コーポレーションの力を使い、必ずペンデュラムカードを量産し…カリキュラムに組み込む事ができます…遊矢君や遊希君に憧れてペンデュラム召喚を使いたい子供達はたくさんいるのですから…!』

日美香は妖しい笑みを浮かべる…ペンデュラム召喚を手に入れる事はLDSの規模の拡大、そして…来るべき「敵」に対する強力な武器になるのだから…!

 

 

 

「……デュエルは、喧嘩の道具じゃない!見る人みんなを楽しませるデュエルを教える塾を…お金や力で思い通りにしようとするアンタに…渡したくない!!」

 

『ほう…!』

 

「遊矢……よく言った!」

だが、その言葉に遊矢がNOを叩き付ける…遊勝塾は「勝利」を追求する塾ではない、デュエルを見た人々を楽しませ、笑わせる…そんな明るいデュエルを伝える為の場所なのだ…!

 

 

「赤馬理事長、遊勝塾はLDSとは方向性も教え方も違う塾です…それに、この場所は遊勝さんが帰ってくる為の場所だ!それを奪おうというのなら……僕にも考えがあります…!」

 

「遊希兄ちゃん…怒ってる…!」

 

「静かに怒る…本当にできる人いるんだ…」

遊矢の言葉を聞いた遊希が静かに日美香を睨む…普段、まったくと言っていい程怒りを見せない彼が…凄まじい怒りを宿しながら…!

 

 

『遊希君…貴方には海馬コーポレーションの後ろ盾があるそうね…わかりました、ではこうしましょう…我がLDSの誇るジュニアユースクラスのエース4人と遊勝塾の塾生4人でデュエルを行ない、先に3勝したチームの勝利…私達が負けたら……遊勝塾は諦めますわ』

 

「……いいでしょう、その勝負乗った!!」

 

「「「遊勝塾は渡さない!!」」」

日美香の提案を修造が受け入れる…此処に、遊勝塾生の心は1つとなる!!

 

 

 

「見事な結束…!この男、権現坂!義を以て加勢する!共に遊勝塾を守るのだ!!」

 

「いや、でもキミ…部外者だよね?4番勝負なら遊矢に柚子とボク、遊希の4人で足りてるし…ボクもLDSのデュエリストと戦ってみたいし!!」

 

「んが!?ワシは除外か〜!?」

素良のツッコミに権現坂は真っ白に燃え尽きたのだった……哀れである。

 

 

 

 

 

『チッ…LDSめ、やはり仕掛けて来たか…!そしてデュエルで決着だと?お前達が不利ではないか!!』

 

「すいません、海馬社長…おそらく…最初からこのデュエルに持ち込むのが目的だったのかもしれません…!」

無人の選手控え室で遊希は海馬へと連絡を取る…電話口の海馬も怒りを露わにしていた…。

 

『遊希、勝敗は問わん!デュエルを長引かせろ!雑務を終わらせてすぐに向かう!!』

 

「わかりました…頼みます、海馬社長…!」

万が一の保険を掛けた遊希は塾のアクションフィールドへと向かった…。

 

 

 

 

『準備はできたようね』

 

「ええ、おまたせしました…!」

デュエルフィールドでにらみ合うのは遊希を中心とした遊矢、柚子、素良の遊勝塾チーム…対するのは日美香が率いるLDSチーム、彼女の背後には紫色の髪のキザな印象の少年、褐色の肌を持つ黒のロングヘアーの少女、竹刀を持った茶髪の快活そうな少年…そして、紺色のスーツを着た何処か不良のような雰囲気を纏う少年が控えていた…!

 

 

 

『それでは、誰から?』

 

「ボク〜!」

 

「いや、オレから行かせてくれ!遊希兄!」

 

「ああ、行ってこい!遊矢!」

 

「ありゃ!?」

勢いよく手を上げた素良だったが…遊希は初戦に遊矢を選択する!

 

『ふふっ…当然の選び方ね、貴方以外の残り2人は頼りなさそうだし…なんとしても1勝を取りたいところだもの』

 

「頼りない!?ボクの強さを知らないクセに〜!」

 

「落ち着いて、素良君…君が強いのは遊矢から聞いてるから…ね?」

 

「……は〜い」

日美香の言葉に拗ねる素良を遊希は優しく宥める。

 

 

『でも、そう簡単に勝てると思わない事ね?彼ら3人はLDSにおける『融合』『シンクロ』『エクシーズ』コースにおける、ジュニアユースのエースデュエリスト…その中で遊矢君の相手をするのは──』

 

『LDSエクシーズコース所属!志島北斗だ!』

日美香の言葉と共に、紫の髪の少年が歩み出る…!

 

 

「志島北斗…LDSのエクシーズコースのエースで、今季の勝率は9割以上…次の舞網チャンピオンシップスの優勝候補か……強敵だな」

 

「えっ!?遊希兄知ってたの!?」

 

「ああ、さっきLDSの生徒紹介に目を通しておいたんだ…残りの少女は融合コースの光津真澄、竹刀を持っているのはシンクロコースの刀堂刃……だけど、残り1人は生徒紹介には乗っていなかった…」

 

「さ…流石、遊希兄…」

遊希は軽く暗記していた情報を遊矢に伝える…。

 

 

「(あの…紺色のスーツ少年は……()()()、アイツは僕が相手をしなきゃヤバそうだ…!)」

 

『(あの傷だらけの男…榊遊希……この気配、何処かで…いや、まさかな……)』

紺色のスーツの少年…凌牙と遊希は無意識に視線をぶつけ合った…。

 

 

 

 

 

そして…ついに、遊勝塾を賭けたアクションデュエルが始まった!

 

 

 

『「デュエル!!」』

 

 

 

デュエルダイジェスト 遊矢対北斗

 

 

2人の戦いの舞台は修造が選んだアクションフィールド『星の聖域』…ただし、それは十二星座モチーフの『セイクリッド』デッキを扱う北斗に有利なフィールドだった。

 

北斗は相手モンスターを手札へと戻してしまう強力なエクシーズモンスター『セイクリッド・プレアデス』…さらに、ORUを失ったプレアデスを高い攻撃力を持つ『セイクリッド・トレミスM7』へとエクシーズチェンジする事で遊矢を追い詰める…。

 

先手を取られてしまい、得意のエンタメデュエルすらもままならなくなる遊矢…だが、窮地で手に入れたアクションカードから形勢が逆転、『星読みの魔術師』の隠された効果を発動する事で壁を乗り越え、北斗の41連勝目を阻止して見事な逆転勝利を決めた…!

 

 

 

遊矢WIN!

 

 

 

 

デュエルダイジェスト 柚子対真澄

 

 

遊矢の勝利に沸くなか…続く戦いは融合コースのエースであり、輝石の戦士『ジェムナイト』の使い手・光津真澄と華麗なる歌姫デッキ『幻奏』を使う柚子のデュエル…だが、その戦いは一方的な戦いだった。

 

黒遊矢の事件から落ち着きを失い、迷い続けていた柚子の動揺を見抜いた真澄は切り札である『ジェムナイト・マスターダイヤ』を融合召喚、さらに2回攻撃と破壊した相手モンスターの攻撃力分のダメージを与える『ジェムナイト・パーズ』の効果を与える事で柚子を追い詰める…柚子は逆転を狙ってアクションカードに手を伸ばしたが…それはクリスタルの輝きを持つアクションフィールド『クリスタル・コリドー』の柱に映った『虚像』……真澄に呆れられながら、デュエルは決着した…。

 

 

柚子 LOST

 

 

 

デュエルダイジェスト 素良→権現坂対刃

 

 

そして負けられない3戦目、本来ならば素良の出番なのだが…シンクロ召喚との相性が悪いと見た素良が権現坂へと相手を譲り、アクションフィールド『剣の墓場』で衝突する事になった。

 

刃が使うのは連続シンクロ召喚を得意とする戦士『X-セイバー』…対して、権現坂が使うのは守備力を攻撃力として扱い、守備表示での攻撃を可能にする機械武者『超重武者』…そして、そのデュエルスタイルもまた対照的だった。

 

小柄な体躯を活かしてフィールドを駆け回り、次々とアクションカードを発動する刃…対して、権現坂は動かない…何が出るか分からない『アクションカード』に頼るのではなく、自らの信念とデッキを信じて戦う『不動のデュエル』…それが権現坂の男としての戦い方だった。

 

だが、デュエルが進むに連れて追い詰められてしまった権現坂のライフは…残り100、その時…彼が選んだのは希望を託す為の『自爆』

 

「超重武者装留ビッグバン」によってフィールドのモンスターを全て破壊し、お互いに破壊されたモンスターのレベルの合計✕100のダメージ…3300を受け、この戦いは相討ちとなった…。

 

 

DUELDraw…

 

 

 

 

「大丈夫か!権現坂!!」

 

「っ…すまぬ、遊矢…権現坂流『不動のデュエル』を以てしても…奴に勝つ事はできなかった…!!」

 

「引き分けに持ち込めたのはお前だからさ!お前の信じるデッキの力、しっかり見せてもらったよ!」

遊矢はリアルソリッドビジョンのダメージで疲労困憊の権現坂を助け起こす、これで結果は1勝1敗1分…そして、次の戦いは…。

 

 

 

「これで…僕が相手に勝てば延長戦に持ち込める、そして次のデュエルを遊矢に任せれば…遊勝塾を守れる…!」

この戦いは4番勝負、2勝1敗1分に持ち込み…遊勝塾を守る為、遊希はその闘志を燃え上がらせる…!

 

 

 

 

『おい…あいつが俺の相手か?』

 

『ああ、私は…彼に一度、敗れている…無論、本気ではなかったがな』

戦いを前に凌牙は気配を消して戦いを見守っていたフードの男…零児に標的を確かめる。

 

 

『あの時、榊遊希から感じた気迫は…準備を進めている「対融合次元防衛組織」に相応しいと思っている、彼の全力を引き出して欲しい』

 

『分かった…善処するさ』

零児は眼鏡の奥から静かに遊希を睨んでいた…。

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