転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
『遊希…!なんだ、その怪我は…』
「海馬社長、これは…」
『なんだと聞いている!!』
KCの社長室に怒号が響く…それは退院した遊希を呼び出した海馬のものだった…。
『赤馬め…!遊勝塾を狙ったばかりか…遊希の視力を奪っただと…!?この所業…許してはおけん!!』
「か、海馬社長!落ち着いてください!!生活が少し不便になっただけですから…!」
LDSとの戦いによって左目の光を失った遊希が海馬を宥める…なお、左目は眼帯代わりの黒いバンダナで覆って隠している…。
「あの
『……フン……柊塾長から記録映像は見せて貰った……確かに、お前の弱さも一因なのだろう……だが、あまりにも
海馬は修造がたまたま録画していた記録を見た…そこには遊希が頭を打った直後からの異常もしっかり記録されていた…。
『まずは、お前が持たぬはずのエクシーズモンスターの召喚……そしてそのカードはお前の手元から
「はい…デッキやデュエルディスクにも、デュエルフィールドにもありませんでした……デュエル記録もノイズ混じりで…」
遊希が召喚した正体不明の『エクシーズモンスター』…それは遊希の手元から失われていた、まるで…遊希の窮地を救う為だけに現れたように…。
『そして…相手が使用した「No.」なるカード…あれは
通常、リアルソリッドビジョンにはリミッターがある…どんなデュエルでも大きな怪我をしないシステムになっているはずなのだ…それが実際に大怪我を負わせたばかりか、地震すら起こす…それはありえない事態だった。
『…モクバ!調査班にレオ・コーポレーションを探らせろ!奴らが何を考えているのか掴むのだ!』
『わかったよ!兄さま!』
海馬はモクバへ調査班への任務を伝えに行かせた…。
『そして…次はお前だ、遊希……次の舞網チャンピオンシップスまで約1ヶ月……現在の戦績は?』
「えっと…48戦36勝12敗、だったと…」
『舞網チャンピオンシップスの出場条件は『ジュニアユース相手の公式戦50戦以上で勝率6割以上』または『公式戦6連勝』…仮に、残り2戦負けたとしてもお前は出場資格を得る事ができる…それは分かっているな?』
「……はい」
舞網チャンピオンシップス…それはプロデュエリストになる為の『登竜門』の1つである。
日本でプロデュエリストになる為には舞網チャンピオンシップスを始めとした大会でまず『ジュニアユース』部門で優勝、そして『ユース』部門に昇格し…最後にプロテストに合格する事で、正式にプロとして認められるのだ。
『遊希、舞網チャンピオンシップスにおけるデュエルは「アクションデュエル」…視覚の半分を失ったお前にとってはかなりの不利を強いられる…それは分かっているな?』
「はい…!それでも、僕は舞網チャンピオンシップスに挑むつもりです…それが、遊勝塾の為になると思うんです…!」
片眼を失ってなお、遊希は舞網チャンピオンシップスに挑もうとしていた…遊矢と共に『ペンデュラム召喚』を得た今こそ…遊勝塾を盛り立てる事ができると思ったからだ。
『フン…榊遊矢も舞網デュエル協会からの推薦出場を蹴って、自力で出場しようとしているという話は聞いている……良いだろう、残り2戦…お前の戦う相手はKCで都合してやる』
「ありがとうございます!」
『ただし、その前に……俺に力を見せてもらうぞ!!』
海馬は机のスイッチを起動…すると社長室の壁が開き、デュエルフィールドが現れる!
『プロデュエリストの資格を持つ俺に勝てとは言わん…お前が操るペンデュラム召喚、そして片眼を失ってなお戦い続けるという覚悟…それをこの俺に示してみろ!!』
「……分かりました…!胸を借ります、海馬社長!!」
遊希は右腕にデュエルディスクを装着…海馬と対峙する!!
『磯野!デュエル開始の宣言をしろ!』
『はっ…!…デュエル、開始ィィ!!』
社長秘書たる磯野の宣言の下、2人のデュエルが始まった…!
『「デュエル!!」』
海馬LP4000
遊希LP4000
『先攻は貰うぞ!俺のターン!』
『「ロード・オブ・ドラゴン─ドラゴンの統制者」を召喚!』
白き龍を模したギターを持つ魔人が現れる! ATK1200
『「ドラゴンの統制者」の効果発動!召喚に成功した時、手札の魔法カード「クロス・ソウル」を墓地に送る事でデッキから魔法カード「ドラゴンを呼ぶ笛」を手札に加える!そしてそのまま魔法カード「ドラゴンを呼ぶ笛」を発動!このカードは自分フィールドに「ロード・オブ・ドラゴン─ドラゴンの支配者」が存在する時にのみ、発動できるが…「ドラゴンの統制者」はフィールドに存在する限り「ドラゴンの支配者」として扱う効果を持つ!手札から現れろ!俺の魂…!俺のプライド!!2体の「
「いきなりですか!?」
統制者が手にした角笛を吹き鳴らす…その音色に導かれ、世界に4枚しか存在せぬ「最強のドラゴン」…2体の白き龍が咆哮と共に降臨する! ATK3000 3000
『まだだ!俺の新たな力を見せてやろう!チューナーモンスター「
「チューナー…!?」
卵にも見える巨大な白い石が現れる! ATK600
『俺はレベル8の「青眼の白龍」にレベル1の「太古の白石」をチューニング!!』
8+1=9
『我が魂よ…聖なる光と共に守護の力を手にせよ!シンクロ召喚!レベル9「蒼眼の銀龍」!!』
青眼の白龍がシンクロの輪に飛び込み新生…鮮やかな蒼い瞳を持つドラゴンへ進化する! DEF3000
「シンクロ召喚…!」
『零児は複数の召喚法を操る…だが、それは奴だけのものではないわ!!俺はこれでターンエンド…だが、この瞬間!墓地の「太古の白石」の効果発動!このカードが墓地に送られたエンドフェイズ、デッキからブルーアイズと名のつくモンスターを特殊召喚する!デッキから現れろ!3体目の「青眼の白龍」!!』
「っ─!?」
海馬のフィールドに3体目の白龍が降臨する! ATK3000
海馬LP4000
統制者 青眼の白龍 青眼の白龍 蒼眼の銀龍 手札0
『さぁ…!全力で掛かってこい!!』
「うぅっ…病み上がりでも容赦ないなぁ!!」
腕を組んでブルーアイズと共に遊希を待ち構える海馬…容赦のない彼に遊希は挑む!
「僕のターン!ドロー!」
「よし…!僕はスケール1の『龍脈の魔術師』とスケール8の『龍穴の魔術師』でペンデュラムスケールをセッティング!!」
PENDULUM!!
遊希の背後に光の柱が立ち上がり、その中に少年魔術師と若き天才魔術師が浮遊する!
「これで僕はレベル2から8のモンスターが同時に召喚可能!!揺れろ!希望のペンデュラム!全能の軌跡よ、歴史を刻め!ペンデュラム召喚!手札から現れろ!レベル3『EMウィム・ウィッチ』!レベル7『EMスライハンド・マジシャン』!」
赤のペンデュラムの軌跡の中からネコじゃらしの杖を持つネコ魔法使い、そして水晶玉を持つ道化魔術師が現れる! ATK800 2500
「更に装備魔法『ワンダー・ワンド』を『ウィムウィッチ』に装備!さらに効果発動!装備モンスターをリリースする事で2ドロー!」
『フン…フィールドから墓地に送られたペンデュラムモンスターはエクストラデッキへ行く、悪くないコンボだ』
桃色のネコが杖を振るい、遊希の手札を補充する!
「そして『スライハンドマジシャン』の効果発動!手札の『EMスプリングース』を捨て、相手フィールドの表側表示のカード1枚を破壊する!『青眼の白龍』を破壊!」
『無駄だ!「蒼眼の銀龍」の効果により、フィールドのドラゴン族モンスターは効果対象にならず、破壊もされん!!』
「なら、『ドラゴンの統制者』を破壊!!」
スライハンドマジシャンの水晶玉がドラゴンの統制者を粉砕する!
「さらに装備魔法『バウンド・ワンド』を『スライハンドマジシャン』に装備!攻撃力をレベル×100ポイントアップする!700アップだ!」
赤い宝玉の付いた杖がスライハンドマジシャンを強化する!
スライハンドマジシャンATK2500→3200
「バトル!『スライハンドマジシャン』で『青眼の白龍』を攻撃!!」
『チィ…!我が魂を砕くか…!!』
魔力弾がブルーアイズを粉砕する!
海馬LP4000→3800
「僕は…これでターンエンド!」
遊希LP4000
スライハンドマジシャン(バウンドワンド) (Pスケール 龍脈 龍穴) 手札1
『相変わらずだな遊希…魔法使いに様々な装備魔法を装備・強化し相手を攻める…遊戯戦での応酬は見事だった…だが!圧倒的力の前には通じぬ!!』
『俺のターン!ドロー!!』
『スタンバイフェイズに「蒼眼の銀龍」の効果発動!墓地より甦れ…!「青眼の白龍」!!』
「ブルーアイズが復活した!?」
銀龍の咆哮が轟き、墓地から白き龍が復活する! ATK3000
『さらに魔法カード「アドバンスドロー」を発動!フィールドのレベル8以上のモンスター1体をリリースし、カードを2枚ドローする!俺は「蒼眼の銀龍」をリリースし、2ドロー!』
銀龍が粒子に変わり…新たな手札を導く!
『フン…運命は俺に味方しているようだ!墓地の「太古の白石」の第二の効果発動!自身を除外する事で墓地の「青眼の白龍」を手札に戻す!…そして、手札の「青眼の白龍」を相手に見せる事でこのモンスターは特殊召喚できる!我が魂よ…新たな下僕を導くがいい!|「青眼の亜白龍」《ブルーアイズ・オルタナティブ・ホワイト・ドラゴン》!!』
「新しい、ブルーアイズ…!」
海馬の頭上に異次元への扉が開き、新たなる白き龍が現れる! ATK3000
『俺は「亜白龍」の効果発動!このターンの攻撃を封じる代わりに相手モンスター1体を破壊する!「スライハンドマジシャン」を粉砕せよ!!』
「っ…!装備魔法『バウンドワンド』の効果発動!装備モンスターが相手によって破壊され、このカードが墓地に送られた時、装備モンスターを特殊召喚する!」
破壊の奔流に呑まれた道化魔術師が杖の魔力で復活する! DEF2000
『バトルだ!1体目の「青眼の白龍」で「スライハンドマジシャン」を攻撃!滅びのバースト・ストリーム!!』
「くっ─!!」
破壊の奔流がスライハンドマジシャンを滅却する!
『その身で受け止めてみせろ!2体目の「青眼の白龍」でダイレクトアタック!!』
「まだだ!手札の『EMクリボーダー』の効果発動!ダイレクトアタックを受ける時、手札のこのカードを特殊召喚し、攻撃対象をこのカードに変更する!」
横縞模様の帽子を被った毛玉が現れる! ATK300
『そのモンスターごと蹴散らしてくれる!滅びのバーストストリィィム!!』
「『クリボーダー』のさらなる効果発動!戦闘でダメージを受ける時、その代わりにその数値分ダメージを回復する!!」
『むっ─!?』
攻撃を受け止めたクリボーダーがくす玉のように破裂…飛び出した紙吹雪が遊希のライフを回復させる!
遊希LP4000→6700
『よく防いだな…俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド!』
海馬LP3800
青眼の白龍 青眼の白龍 亜白龍 伏せ1 手札1
「っ…(ブルーアイズ達の攻撃力は合計9000…なんとか、活路を…!!)」
『ふん…(窮地を前にしても遊希の瞳に諦めの色は無い……貴様が記憶を失う前は…どんな男だったのだ?)』
立ちはだかる3体のドラゴンを前に冷や汗を流す遊希…その様子を観察しながら、海馬は記憶を失う前の彼の事を考えた…。
「僕のターン、ドロー!」
「っ…僕は再び『龍脈の魔術師』と『龍穴の魔術師』でペンデュラムスケールをセッティング!ペンデュラム召喚!エクストラデッキから来い!『EMウィム・ウィッチ』!」
ペンデュラムの軌跡と共に、再び桃色のネコ魔法使いが現れる! DEF800
「僕はカードを1枚伏せ、ターンエンド…!」
遊希LP6700
ウィムウィッチ (Pスケール 龍脈 龍穴) 伏せ1 手札0
『俺のターン!ドロー!』
『その程度の守りで俺を止められると思うな!!魔法カード発動!「スタンピング・クラッシュ」!自分のフィールドにドラゴン族が存在する時!お前の伏せカードを破壊し、500ダメージを与える!』
「ぐうっ…!?『ガード・ブロック』が…!」
『「亜白龍」の効果発動!「ウィムウィッチ」を粉砕せよ!!』
「くっ…!!」
海馬の怒濤の連撃が遊希の場をガラ空きにする!
遊希LP6700→6200
『2体の「青眼の白龍」でダイレクトアタック!滅びのバースト・ストリィィム!!』
「っ…!がああああっ…!!」
破壊の奔流が容赦なく遊希のライフを削り取る!!
遊希LP6200→3200→200
『俺はこれでターンエンドだ』
海馬LP3800
青眼の白龍 青眼の白龍 亜白龍 伏せ1 手札0
『どうした遊希!息が上がっているぞ?これは通常のソリッドビジョン…この程度で息が上がっているのなら、リアルソリッドビジョンで行われるアクションデュエルで勝利を掴む事などできんぞ!!』
「はぁ…はぁ…はぁ…!」
海馬は息を切らせる遊希を叱咤する…さらなる傷を負い、視力を奪われ…利き腕の自由も効かなくなっている遊希は…体力も精神力も限界だった…。
「(海馬社長は…僕に期待してくれてる……応えなきゃ……これ以上、心配させないように……これ以上…負けない為、に……)」
ドクン!!
意識が朦朧とする遊希…その時、何かが遊希の中から溢れ出した…!
「おれのターン…ドロー…」
「ペンデュラム、召喚……手札からレベル4『虹彩の魔術師』…エクストラデッキから『EMウィムウィッチ』…」
『っ…!?遊希…!?』
赤のペンデュラムが不規則に揺れ動き、赤いローブを纏う魔法剣士と桃色のネコが現れる! ATK1500 800
『遊希!!返事をしろ!!正気に戻れ!!』
「おれは、レベル4の『虹彩の魔術師』『ウィムウィッチ』で、オーバーレイ…エクシーズ…召喚…」
遊希の異変に気付いた海馬社長が叫ぶ…だが、その言葉は届かず…遊希は胸の中から飛び出したカードをデュエルディスクに叩き付けた…!!
むげん
「『No.むげん』『
『このモンスターは…!映像に現れた…!?』
光の大爆発と共に正体不明のエクシーズモンスター…水晶の斧剣が遊希の手に握られる! ATK2500
ビビーッ!ビビーッ!
『し、社長!!エネルギー値が急上昇…あのモンスターは実体化しています!!』
『っ…!!(確かに凄まじい威圧感だ…これは不味い!!)』
磯野が緊急事態を海馬に伝える、それと共に海馬は剣から放たれる圧力に恐怖を抱く…!
『この手は使いたくはなかったが…!速攻魔法「
映像から危険を感じ取った海馬は最強の下僕…3つの頭を持つ最強のドラゴンを呼び出す! ATK4500
『「究極融合」の融合素材にフィールドの「青眼の白龍」を使ったとき、その数まで相手の表側表示のカードを破壊する!破壊するのは『デュエル・ガーディアン』とPスケールのカード2枚!正気に戻れ!!アルティメット・バーストォ!!』
「っ──!?」
究極の破壊の奔流が遊希のフィールドのカード全てを消し飛ばした…!!
「………あ、れ…?僕は…?」
『……どうやら、正気に戻ったようだな…』
水晶の剣を失った遊希の目に光が戻る……その様子を見た海馬は冷や汗を拭う…。
「海馬社長……えっ…?『青眼の究極竜』……なんで…?」
『フン…試験開発中の融合カードを使い、お前の場のカードを粉砕したのだ!早くターンを進めろ!!』
「えっ…あ……ターン、エンド…?」
状況がよく分からないまま…遊希はターンを終えた…。
遊希LP200
手札0
『俺のターン!ドロー!』
『「究極竜」でダイレクトアタック!アルティメット・バースト!!』
「う、うわあああああっ!?」
遊希LP0
海馬WIN!
『この大馬鹿者が!デュエルに熱くなるあまりに自分を見失うな!!』
「……えっと…すいません、でした…」
デュエルが終わり、遊希は海馬にお叱りを受ける…デュエル終盤の記憶はごっそり抜け落ちていた…。
『まぁ…お前の覚悟は確かに見せて貰った、身体を休めつつ戦いに備えよ!……立てるか?』
「あ…すいません…ありがとうございます」
究極竜の迫力に尻もちをついていた遊希は海馬の手を借りて立ち上がる────
バチッ…!
──海馬さん…すいません…失敗しました…まさか…こんな事になる、なんて…──
──今はいい!さっさと体を治せ!…遊戯!こうなればお前に頼るしかあるまい!邪神の奪還を──
──こやつは俺の認めた決闘者だ!ルール違反をする筈が無いだろう愚か者!──
──フン……禍々しい姿だが、意識はあるようだな遊海!街の住民は避難させてある!存分に戦え!童実野町を守るのは俺達の役目だ!!若造にばかり任せられるか!──
──見せてくれ、遊海…お前の中で燃えつづける「決闘者魂」を…!──
「──社長…?海馬社長!大丈夫ですか…?」
『むっ…いかんな、久々のデュエルで少し疲れたらしい』
遊希の手に触れた瞬間、海馬の『魂』を何かが駆け巡った…僅かな間、固まっていたらしく遊希が心配そうな顔で覗き込んでいる…。
『……遊希、確か…貴様の所持品に壊れたデュエルディスクがあったらしいな?』
「あっ…はい…舞網の規格じゃないタイプで、まったく動かないんです…」
遊希はショルダーバッグからボロボロのデュエルディスクを取り出す。
『KCで修理してやる…少し預けろ、記憶の手がかりがあるやもしれん』
「あ、ありがとうございます!助かります!」
海馬の言葉に遊希はデュエルディスクを手渡した。
『対戦相手の連絡は追ってする、今日は休め』
「はい!海馬社長の期待に応えられるよう、しっかり休んで頑張ります!!」
『ああ、当たり前だ……
海馬社長の言葉に遊希は気合いを入れ直したのだった…。
Side遊希
「はぁ…疲れた……少し海馬社長の事怒らせちゃったかな…?最後、少し怒ってた感じがしたし…」
海馬と別れた遊希はKCを後にする…身体は凄まじいだるさに襲われている…。
「でも、本当にどうしよう…こんな身体で、戦えるのか…?………いや、頑張らなきゃ!遊勝さんに笑われちゃうからな!!」
ボロボロの身体を省みて不安を口にする遊希…そんな時…。
《フォウ…フォ〜ウ》
「ん…?」
聞き慣れない声を聞いた遊希は辺りを見回す…そして、その獣の姿を見つけた。
白くふわふわの尻尾を持ち、全身がふわふわ…そして小さなスカーフを首に巻いた白い子猫……その子が遊希の足元にじゃれていたのだ。
「きみ、見かけない子だね?どこから来たの?」
《フォ〜ウ…》
しゃがみこんだ遊希は小さな猫を優しく撫でる…その薄紫色の瞳は悲しげに遊希を見つめている…。
「よかったらウチに来るかい?ウチのママさん…洋子さんは困ってる子が放っておけない人でね…もう5匹も犬や猫を引き取ってるんだ……きっと寂しくないよ?」
《フォウ、フォウ!》
「わぷっ!?いきなり頭か〜…誰かの飼い猫だったのかなぁ…?」
遊希の言葉を聞いた子猫は遊希の白い頭に飛び乗る…遊希は苦笑しながら新しい家族と歩き始めた…。
「よろしくね!え〜っと……鳴き声が珍しいから……フォウくん!……ちゃんかな?」
《キャウ!?》
『ああ…そうだった……そうだったな…!我らはこの為に…新たな
『……
『……安心しろ、俺達はお前に守られてばかりだった……ならば、今のお前を守るのは…俺の役目だ』
『…早く戻って来い』
『………遊海』