転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
「……き……遊希…!ちょっと起きて…!」
「むにゃ……洋子さん…?まだ、朝5時じゃないですか…」
《ファ〜……フォーウ…?》
舞網アドベンチャースクールでのデュエルの翌日、遊希は洋子に静かに起こされる…時間は普段起きる時間よりだいぶ早い時刻であり…一緒に寝ていたフォウも首を傾げている…。
「ニコからのお願いでね…遊矢が目覚める前に家から出なくちゃならないんだよ…ちょっと協力してくれるかい?」
「ニコさんから……分かり、まひた…ふぁ……」
「疲れてるところ、本当にごめんね〜…」
《キュウ…フォーウ?》
遊希は生あくびをしながら身支度を整え、アンやコールを始めとした榊家のペット達と共に、とある場所へと向かった…。
………
「おはようございます!権現坂師範!」
『うむ、おはよう!遊希君、洋子さん…よく来てくださった!』
遊勝塾から少し離れた小高い山の上…そこにあるのがデュエル塾『権現坂道場』…権現坂昇の実家である。
遊希達はそこで権現坂の父に出迎えを受けた。
『今日は遊矢君の50戦目…そして我が息子の舞網チャンピオンシップス出場を賭けた試合でもある』
「……聞きました…権現坂君は自分の進退を賭けて、遊矢と戦ってくれるんだって……すごい覚悟だと思います…」
『うむ、我が息子ながら…良い覚悟をしておる』
遊希はここに来るまでに洋子から事の顛末を聞かされていた…。
父・遊勝が行方不明となってから気落ちした遊矢を友として支えてきた権現坂…しかし、遊勝塾防衛戦で刀堂刃との引き分けを経験した事で自分の『弱さ』と『甘さ』を痛感した…。
そこで自分の甘さにケジメをつけ、遊矢との『真剣勝負』をする為…舞網チャンピオンシップスに出る為の最後の試合を遊矢とする事を望んだのだ…。
『……例え、親友同士であろうとも…戦場では敵同士、この一戦が息子を試す「試金石」となる……そして、遊矢君はエンタメデュエリストとして、観客や応援してくれる人々の声援を力に変えて戦ってきた……しかし、プロデュエリストになるのならば…敵陣での孤独な戦いに挑まなければならん時もある……故に、此度は遊希君や柊塾長を始めとした『応援団』を排除させてもらった……しかし、それでは君達には悪い……道場内に観戦室を用意した故、そこで2人の戦いを見守って貰いたい』
「……わかりました、遊矢と権現坂君の決闘…しっかり見させて貰います…!行こう、フォウくん」
《フォウ》
権現坂師範から今回の戦いの趣旨を聞いた遊希は納得し、観戦室へと向かった。
『……洋子さん、遊希君だが……
「えっ…?最近は舞網チャンピオンシップス出場の為のデュエルをしたくらいですけど…」
『そうか…いや、前とは少し雰囲気が変わったように見えての……まるで、錆刀が研磨され……名刀が現れようとしているような…』
「はぁ…?」
数多の弟子を見てきた権現坂師範は遊希に起こり始めている変化に気づいていた…。
………
「「「おはよう!遊希兄ちゃん!!」」」
「オーッス!ようやく来たか!」
「おはよう!皆の方が早かったんだ!」
遊希が観戦室に入ると柊塾長に柚子、素良…そしてフトシ、アユ、タツヤの三人組…遊勝塾メンバーが集合していた。
「遊矢兄ちゃんの最後の試合は応援に来たかったの!」
「権現坂の兄ちゃんとのデュエル…痺れる〜!待ちきれないぜ!」
「ほらほら…遊矢にバレないように静かにしなきゃダメよ?」
「「「は〜い!」」」
遊矢と権現坂の対決を待ちきれない様子の子供達…柚子がそんな彼らに優しく声を掛ける…。
「っていうか…遊希、ちょっと顔色悪くない?疲れてる?」
「ん…ちょっと早起きだったからね…それに、アンやコールを連れて階段を上がって来たから疲れちゃって…ふぁ…」
「「「あぁ……」」」
素良の言葉に柚子達は改めて遊希の姿を見る、両手にアンとキロ、コールとワットの入ったケースを持ち…背中にはペットフードの入ったリュックを背負い、肩にはフォウが乗っている。(ケースに入ってくれなかった)
…明らかに過積載である。
「ゆ、遊希さん…少し休んだら…?」
「うん、そうするよ……遊矢が来たら教えてね……すぅ……」
「……一瞬で寝ちゃった…」
「よっぽど疲れてたんだなぁ…」
《キュウ、フォーウ…》
遊希は壁際にペット達のケースを降ろし、壁に凭れるとすぐに寝息を立ててしまった…。
ゴオオァァァ!!
『はぁ…はぁ……はぁ……!』
そこは徹底的に破壊し尽くされた何処かの街、その瓦礫の中で2つの存在が対峙する。
かたや、天を覆うように巨大な『悪魔』
かたや、全身に傷を負った戦士…しかし、その眼は強く『悪魔』を睨みつけている…。
『俺は、「決闘の守護者」1体でオーバーレイネットワークを再構築…シャイニングエクシーズチェンジ─!!いくぞ…「NEXUS」!!』
銀河の光が戦士を包む…その光の中から眩き光の戦士が悪魔へと向かう!!
『NEXUS…スプリーム・カリバァァッッ!!』
グギャオオオオン!?
戦士の振りぬいた光の剣が悪魔を両断、大爆発を起こす…だが、光の戦士はその爆風に耐えられず、瓦礫の山に叩きつけられた…。
『っ……はぁ…はぁ……う、ぐ…累計…999戦……499勝……498敗、目………まだ、だめか……』
オオオ……グオオオァァァ!!
爆煙の中から両断されたはずの悪魔が現れる…その咆哮は怒り、悲しみ、喜び…嗤っているようにも聞こえた…。
『■■■■……まだ、逃さないぞ……お前達の、憎しみを…怒りを…哀しみを……世界に向かわせて……たまる、か…──』
満身創痍の戦士は悪魔に再び立ち向かおうとする…だが、身体はついに限界を迎え…膝から崩れ落ちる。
『まだだ……約束、したんだ…時間を、稼ぐって……必ず、帰るって……!!』
だが…もはや、見えているのか分からない瞳で悪魔を睨みながら、戦士は落ちていた鉄の棒を支えに立ち上がる…。
『もう、一度…デュエルだ……次で、白黒…決めようぜ……』
戦士は戦いに耐え切れず、火花を散らすデュエルディスクを構える……その目には周囲を覆う青い光の結界が見えていた…。
『しょうぶだ、■■■■……おまえたちの、いかりも…にくしみも……よくぼうも……おれが、うけとめ、つづけ──』
息を切らせ、身体をふらつかせながら……戦士は戦いに挑む──
グシャ
『ぁ──』
「遊希兄ちゃん!デュエル始まるよー!」
「起きてー!」
「はっ…!?はぁ…はぁ………ああ、夢か……ありがとう、アユちゃん、タツヤくん…」
「遊希、だいぶ魘されてたよ?大丈夫?」
「ああ……大丈夫、少し…怖い夢を見ただけだから…」
子供達に揺さぶられ、遊希は目を覚ます…時間は1時間程過ぎ、設置されたモニターの中ではアクションフィールド『剣の墓場』で対峙する遊矢と権現坂の姿があった…。
「(今の夢は、なんだ…?夢にしては…やけにリアルだった………)」
遊希は無意識に胸に手を当てる…心臓は早鐘を打つように脈打ち、冷や汗をびっしょりと流していた…。
「……そんな事より、2人を…遊矢を応援しないと……頑張れよ…遊矢…!」
《フォウ…》
遊希は荷物から取り出したタオルで汗を拭きながら遊矢を応援する…フォウはそんな遊希を心配そうに見つめていた…。
Side遊矢
「権現坂…!」
『いくぞ…!遊矢!!』
権現坂道場の稽古場…もとい、無数の剣が地面に突き刺さった荒野のアクションフィールド『剣の墓場』で遊矢と権現坂が対峙する。
お互いに『1勝』で勝率6割を達成し、舞網チャンピオンシップスの出場権を獲得できるこのデュエル…親友と戦う事を躊躇する遊矢と、親友との真剣勝負を望む権現坂…2人の戦いがついに始まる…!
『戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い!フィールド内を駆け巡る!』
「これぞ!デュエルの最強進化形!アクショーン!!」
「『デュエル!!』」
2人の口上の掛け合いと共に…真剣勝負が始まった…!!
デュエルダイジェスト 遊矢対権現坂
アクションフィールド『剣の墓場』
『先攻はもらったァ!!俺は「超重武者カゲボウ-C」を召喚!そしてこのカードを召喚したターン、このモンスターをリリースする事で「超重武者」を特殊召喚できる!現れろ!「超重武者ビックベン-K」!!』
「いきなり『ビックベン-K』か…!」
先攻を取った権現坂は虚無僧型の機械武者をリリース…エースたる僧兵型機械武者を呼び出した!
『俺はこれでターンエンドだ!』
「(……なんで、一番大事な4戦目に権現坂と…オレがここまで来れたのは…アイツのおかげ…この1年間、50戦近く戦えたのも……)恩人を蹴落として…オレだけ進むなんて…!!」
遊矢は本気で戦おうとする権現坂を前に、覚悟を決められずにいた…だが、その様子を察した権現坂は声を荒らげる…!
『遊矢!過ぎたる情けは…相手への
「っ…!!!」
それは権現坂の覚悟…親友としての諌言、それを聞いた遊矢は覚悟を決めた…!
「オレのターン!ドロー!!『EMシルバー・クロウ』を召喚!!…いくぞ!!」
遊矢は鋭い爪を持つ銀狼に跳び乗り、アクションフィールドを駆け抜ける!
「いくぞ!アクションマジック『エクストリーム・ソード』!!バトル中、モンスターの攻撃力を1000アップさせる!!さらに、アクションマジック『オーバー・ソード』!バトル中、モンスターの攻撃力を500アップさせ!攻撃は無効にならなくなる!!」
遊矢は先のデュエルで活躍したアクションカードで銀狼を強化する!
「バトルだ!『シルバークロウ』で『ビックベン-K』を攻撃!!」
『だが、守備力は「ビックベン-K」が上回る!!』
「さらに『シルバークロウ』の効果発動!バトル終了まで、攻撃力を300アップさせる!!」
『むっ…!』
銀色の流星と化した銀狼が僧兵に飛びかかる!
『俺は手札から「超重武者装留ファイヤー・アーマー」を墓地に送り、効果発動!戦闘破壊を無効にする!!だが、この効果を発動した時!「ビックベン-K」の守備力は800ダウンする』
「防がれたか…!」
権現坂は動揺する事なく効果を発動…炎の鎧が攻撃を弾き返す!
「この勝負、生半可な気持ちじゃダメか…!オレはカードを1枚伏せ、ターンエンド!」
遊矢の素早い一撃を動揺せず、どっしりと山の如く受け止める…どんな状況でも、惑わされずに戦い抜く…それが権現坂の『不動のデュエル』…。
『見事じゃ!昇!相手がどんなに動き回ろうとも、決して惑わされぬ不動の構え…!権現坂道場の王道の戦い方じゃ!!それでこそ儂の跡取りに相応しい!!』
『気が早すぎるぞ親父殿!まだ、勝負は始まったばかり…俺はまだ全力を出した訳ではない!』
父の声援にまだ『全力』を出していないと答える権現坂…その真意は…。
『俺のターン!ドロー!!……来たか…!』
凄まじい風圧と共にドローした権現坂はそのカードを引き当てる…!
『この漢、権現坂…友を倒す為!自分の殻を破る決心をした!!見ていてくれ、親父殿!!これが俺の目指す新たな不動のデュエルだ!!俺は
「チューナーだって!?」
権現坂の気合と共に法螺貝を持つ足軽が現れる!
『俺はレベル8の「ビックベン-K」にレベル2の「ホラガ-E」をチューニング!!』
法螺貝を吹き鳴らした足軽が緑の輪に変化し、僧兵を包み込む!!
8+2=10
『荒ぶる神よ!千の刃の咆哮と共に砂塵渦巻く戦場に現われよ!!シンクロ召喚!!いざ、出陣!レベル10「超重荒神スサノ-O」!!』
「権現坂が、シンクロ召喚…レベル10、守備力3800…!?」
現れたのは日本神話最強の暴れん坊…『須佐之男』の名を持つ巨大な機人…権現坂の新たな力だった!!
『いくぞ、遊矢!ここからが本当の真剣勝負だ!覚悟しろ!!』
戸惑う遊矢へ宣戦布告する権現坂…だったが…。
『あいやそこまで!!この勝負、我が息子…昇の
「「『『「ええっ!?」』』」」
道場に権現坂師範の待ったの声が響き渡る…それは権現坂の負けを告げる言葉だった。
『……「不動のデュエル」とは、何事にも動じぬ
『親父殿…』
権現坂道場は他のデュエル塾に比べ、規律が厳しい事で有名である…鉄下駄を履き、何事にも動じない『心』を重んじる「不動のデュエル」……その厳しさから退塾・破門になった者も多い…。
権現坂師範は『掟』を破り、シンクロ召喚を使った息子を許せなかったのだ。
『親父殿、盗んだのではない……教えを
「えっ…!?あのLDSのシンクロ使いに!?」
『なんと…』
だが…権現坂は技を盗んだのではない…自分の弱さを克服する為、権現坂はLDSへと出向き…仇敵である刃に
『例え、敵であっても…必要とあれば礼を尽くして教えを乞う、当然の事だ……そして、俺がシンクロ召喚を習得したのは勝つ為だけではない……新たな『不動のデュエル』の地平を拓く為!!』
『新たな地平、だと?』
『デュエルは進化するモノ…!「不動のデュエル」とて、その場に
『昇…』
デュエルとは日進月歩の早さで進化を遂げていく、権現坂は道場の後継者として…一人のデュエリストとして、自分の信じる『不動のデュエル』の新たな戦い方を模索していたのだ…!
『いくぞ!!「スサノ-O」は守備表示で守備力を攻撃力として扱い、攻撃できる!!「スサノオ-O」で「シルバークロウ」を攻撃!!』
「攻撃力3800はやばい!!アクションマジック『回避』!その攻撃を無効にする!!」
『させんわ!!「スサノ-O」の効果発動!!自身が守備表示で、墓地に魔法・罠カードが存在しない時!1ターンに1度、500LPを払う事で相手の墓地の魔法カードを発動する!!俺が発動するのは遊矢の墓地のアクションマジック「オーバー・ソード」!!このカードは攻撃力を500アップさせ、その攻撃を無効にできなくする!!喰らえぃ!!クサナギ・ソード斬!!』
「っ─!!うわあああ!?」
大薙刀から放たれた斬撃が銀狼を両断…遊矢諸共に吹き飛ばした!!
『俺はこれでターンエンドだ!!』
「すごいな、権現坂…!お前がここまでシンクロ召喚を使いこなしてたなんて…そんなの見せられたら、オレも負けてられないよな…!いくぜ!!」
新たな不動のデュエルを示した権現坂…その思いに応える為、遊矢はデッキトップに手を掛けた…!
Side観戦室
「遊矢…権現坂君…すごいデュエルだ…!」
《フォウ…!》
画面の中で息をつかせぬ戦いを繰り広げる遊矢と権現坂…そのデュエルを見た遊希は拳を握り締める…。
「実質、攻撃力3800の『スサノ-O』…遊矢のデッキには単体でそれを超えられるモンスターはいない……可能性があるのは、遊矢が目覚めたペンデュラム召喚から融合召喚か…」
遊希が見出した勝ち筋…それは『ペンデュラム融合』…方中ミエルとのデュエルで融合召喚したらしい「ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」なるモンスターだった…。
「でも…今の遊矢は……『融合』のカードを持ってないんです…「自分の力でペンデュラムの先を見つけたいんだ」って…!」
それは偶然の出来事…柚子が落とした『融合』が遊矢のデッキに紛れ込み…遊矢はそれをヒントにペンデュラム融合の可能性に気付いたのだ…だが、遊矢は『融合』を柚子に返してしまった……今回は自分の手で活路を見出さなければならないのだ…!
「(………でも、変だ…遊矢はエクストラデッキから召喚するモンスターを持ってなかったよな………あれ…?僕の『オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン』って………
遊矢の勝ち筋を考えていた遊希はふと、違和感に気付いた……舞とのデュエルの中で『召喚できる』と確信して呼び出した『オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン』……遊希はそれを
「(ああ…
それは誰も気付いていない、小さな小さな違和感…遊希は頭を抱えた…。
Side Out
「本当に強いな…権現坂」
『……負けを認めたか…ここでサレンダーするのか?』
「いや…負けるとしても、その時はお前にトドメをさして貰うよ…でもそれは……オレが全力を出しきってからだ!!」
遊矢は全力の権現坂に追い詰められていた、アクションマジックとペンデュラム召喚による守りで凌いできたが…その残りライフは450…次のターンに挽回できなければ、遊矢に勝ち目はない…!!
「いくぞ…!オレのターン!ドロー!!いくぞ…スケール2の『EMラクダウン』とスケール6の『EMリザードロー』で再びペンデュラムスケールをセッティング!ペンデュラム召喚!!手札から現われろ!『EMディスカバー・ヒッポ』!!」
遊矢は手札からマスコットモンスターである桃色のカバを呼び出す…これでエースを呼び出す準備が整った!!
「『ディスカバーヒッポ』は1体で2体分のリリース素材にできる!現われろ!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!!」
『現れたか…!!』
遊矢のエース、二色の眼を持つドラゴンが咆哮する!
「今やれる事を全力で…!オレは『リザードロー』のペンデュラム効果発動!カードを1枚ドローし、このカードをデッキに戻す!!これが…今のオレの全力だぁぁ!!」
光の軌跡と共に、遊矢はカードをドローする!!
「これは…!!オレはスケール4の『EMトランプ・ウィッチ』をセッティング!!」
光の柱の中に小柄な魔女が現れる…!
『無駄だ!そんな事をしてもペンデュラム召喚できるのは1ターンに1度のみ、しかも召喚できるのは3か4だけだ!』
「いくぞ!!オレは『トランプウィッチ』のペンデュラム効果発動!1ターンに1度、フィールドのモンスターを素材とした融合召喚ができる!!オレは『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』と『星読みの魔術師』で融合!!」
『なっ…!?「融合」を使わない融合召喚だと!?』
それは遊矢の想いが生んだ奇跡…フィールドに融合の渦が現れ、2体のモンスターが飛び込む!!
「神秘の力操りし者、眩き光となりて…龍の眼にいま宿らん!!融合召喚!秘術振るいし魔天の龍…『ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!!」
現れるのは背中に円環を背負いし魔天の龍…遊矢は新たなペンデュラムの進化を実現した!!
「バトルだ!『ルーンアイズ』で『スサノ-O』を攻撃!その瞬間、『ラクダウン』のペンデュラム効果発動!自分のモンスターがバトルする時!相手モンスターの守備力を800ダウンさせ、貫通効果を与える!!放て!シャイニー・バースト!!」
『ぬぅぅ…!?』
ラクダウンのペンデュラム効果で弱体化したスサノ-Oに魔天の龍の破壊光線が直撃する、だが…攻撃力と守備力は共に3000の為、戦闘破壊はできない……しかしルーンアイズにはさらなる効果がある!
「レベル5以上の魔法使い族モンスターを融合素材にした『ルーンアイズ』は3回攻撃できる!!」
『なにっ!?』
「再びバトル!『ルーンアイズ』で『スサノ-O』を攻撃!さらにもう一度『ラクダウン』のペンデュラム効果発動!『スサノ-O』の守備力を800ダウンさせる!連撃のシャイニー・バースト!!」
『っ…!俺は500ライフを払い「スサノ-O」の効果発動!遊矢の墓地のアクションマジック「回避」を発動!攻撃を無効にする!!』
「まだだ!『ルーンアイズ』で3度目の攻撃!!連撃のシャイニー・バースト!!」
『っぐ…!!ぐああああっ!!?』
それは遊矢の魂の三連撃…破壊光線が荒神を消し去る…権現坂の残りライフ……2200…!
『くぅ…!なんのぉ!!手札から「超重武者装留マカルガエシ」の効果発動!自分の墓地に魔法・罠カードが存在しない時!このカードを墓地に送り、破壊された「スサノ-O」を攻撃表示で特殊召喚!!』
「っ…!!」
しかし、権現坂もまだ終わらない…数珠型の超重武者装留の効果で荒神が蘇る…その攻撃力は2400、遊矢の場に残るのは守備表示の「シルバークロウ」のみ…次の攻撃を受ければ、敗北してしまう…!
「はぁ……まさに『壁』だな、権現坂…オレの前に立ちはだかる大きな『壁』だ!!お前に勝つには…限界を超えるしかない─!!いくぞ…『ルーンアイズ』!!」
『遊矢!?何を─!?』
ルーンアイズに騎乗した遊矢は残された最後の希望を掴む為に走り出す…その先には荒野の木に引っかかったアクションカード……だが、その前には巨大な谷がある…!!
「オレは…自分の限界を…超えるんだ──!!」
『遊矢!!』
ルーンアイズと共に遊矢は宙に跳び上がる…そしてその手は…
「うおおおっ!!アクションカード…ゲットォ!!」
その手は希望を掴み取った!!
「オレは!アクションマジック『オーバーソード』を墓地に送り!罠カード『デンジャラス・ドロー』を発動!!その効果でオレはカードを1枚ドローする…ただし、それがモンスターカードなら!オレはその攻撃力分のダメージを受ける!!」
『な、なにぃぃ!?』
それはまさにデスティニードロー…遊矢は攻撃力450以上のモンスターを引いた瞬間…敗北してしまう…!
「オレは信じる…オレのカードを!!ドロー!!」
遊矢のペンデュラムが光輝く…その光が導いたのは……新たなる力…!!
「来た…!オレは速攻魔法『ビック・リターン』発動!!自分フィールドの『1ターンに1度』と書かれた効果を再び発動できる!!オレが発動するのは…『トランプウィッチ』のペンデュラム効果!!フィールドの『ルーンアイズ』と獣族モンスター『シルバークロウ』を…融合!!」
『なっ…連続融合だと!?』
それは新たな奇跡…融合の渦に2体のモンスターが飛び込む!!
「誇り高き銀狼よ…魔天の龍と一つとなりて!新たな力を生み出さん!!融合召喚!いでよ!野獣の眼光りし、獰猛なる龍!!『ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!!」
『遊矢の新たな融合モンスター…攻撃力3000…!!』
それは遊矢の新たな力…野獣の如き毛皮に覆われた二色の眼の龍が現れる!!
「『ビーストアイズ』で『スサノ-O』を攻撃!!ヘルダイブ・バースト!!」
『ぐっ…!?ぬわあああ!!』
野獣の火炎が荒神を吹き飛ばす…そして獰猛なる龍の力が発動する!!
「さらに!『ビーストアイズ』が相手モンスターを破壊した時!融合素材にした獣族モンスターの攻撃力分のダメージを与える!!いっけぇ!!」
『ぐっ…!!がああああっ…!!!』
ビーストアイズの吐き出した炎が銀狼の姿を写し、権現坂を飲み込む……勝利を手にしたのは遊矢だった…!
権現坂LP0
遊矢WIN!!
「はぁ……」
「「「遊矢兄ちゃん!!やったぁ〜!!」」」
「あっ…お前達…!来てくれてたのか!」
戦いを終え、安堵する遊矢にアユ達が駆け寄り祝福する…遊矢はデュエルに集中した事で、途中から応援していた家族や仲間達に気づいていなかったのだ。
「良いデュエルだったよ、遊矢!」
「これで、アウェーでも戦えるようになったね!よくやったよ!」
「うおおおっ!!燃えたぞ遊矢!!熱血だぁ!!」
「遊希兄!母さん!塾長…みんな…!(そうか…気付かなかったけど、ずっとオレを見守ってくれてたんだ…!)」
遊矢は仲間達にたくさんの祝福の言葉を掛けられる…そして遊矢はどれだけみんなに助けられてきたのか実感した…。
『見事だったぞ、遊矢』
「権現坂……オレが勝ったって事は……」
『気にするな!大会の締め切りまで1週間!チャンスはまだある!!お前とここまで死力を尽くして戦えた事…俺は誇りに思う!!』
「権現坂…ああ!!」
戦いを終えた遊矢と権現坂は固く握手を交わす…それは戦いを通じて2人の絆が深まった証だった…。
「遊矢…お前は本当に友達に恵まれたな…」
2人の健闘を讃えた柊塾長や意外と涙脆かった権現坂師範が涙を流すなか、遊希は遊矢が得た絆に感謝していた…。
──遊海君、僕達の絆は…決して断ち切れない!──
──お前の仲間達を…紡いできた絆を信じるんだ!さぁ…目覚めろ!オレの跡を継いだ決闘王よ!!』──
──遊海先生…オレはアンタを超える…超えてみせる!!──
──みんなが帰ってきた時!オレ達の故郷は…チーム5D'sが救った街は!こんなに素晴らしい街だったんだって!そう誇れるネオ童実野シティにしていくのがオレの役目だ!!──
──遊海…オレは…絶対に止まらねぇ!!かっとビングだぁ!!──
「(……今のは……?)」
その時、遊希の脳裏に見覚えのない映像が流れる……しかし、理解した……今の映像に映っていたのは、掛け替えのない『友人』達なのだと…。
「(もしかして…記憶が、戻ろうとしてる……?ああ……でも、それは──)」
───少し、怖いなぁ……─
少しずつ開かれていく「記憶の扉」…その先に待ち受けるのは……希望か……絶望か───
「社長、榊遊矢…並びに榊遊希のジュニアユース選手権出場が確定したと連絡がありました」
『そうか…これで、私が見込んだデュエリストは…全て集まったな』
LDSの社長室…そこで零児は遊矢達の出場報告を聞いていた…。
『この中のデュエリストの何人が…我々の世界の為に戦える
零児は出場予定者の名簿を見つめながら…来たるべき敵の事を考えていた…。