転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
前回の投稿から約一ヶ月…モンハンのアップデートやら、仕事やら…FGOの記念キャラの育成やらで時間が掛かってしまいました…。
それでは、最新話をどうぞ!
──しくじっ……た………まさか、こんな……こと……──
──体の自由が、効かない……意識、が……──
──このまま、じゃ……バイロンやカズマ、の………二の舞に………──
──………みどり……りょうが……りお……ぜったい、に……かえ………──
ごめん
「っ……朝、か……」
遊希は朝日に照らされて目を覚ました、身体を起こそうとしたが……酷い倦怠感で起き上がれず、再びベッドに倒れ込んでしまう…。
「ううっ……体が、重い……昨日のデュエルのせいかな……」
遊希は前日の戦い……ユートとのデュエルを思い出す。
戦いの中で感じた強い衝動…それをなんとか押さえ込んだものの、デュエル後から体調を崩していたのだ。
「ユート……彼の瞳……何処かで見た事がある気がする……強い覚悟と、哀しみを抱えている瞳を……」
静かにデュエルを思い出した遊希はユートの眼差しに既視感を覚える……彼の瞳は自分ではなく、他の
《フォウ……フォーウ…?(特別意訳:おはよう……大丈夫…?)》
「ん…おはよう、フォウ……大丈夫、疲れが取れないだけだから……」
考え事をしていた遊希の枕元に心配そうに鳴くフォウがやって来る、遊希はそんなフォウを優しく撫でる。
「今日は…遊矢と権現坂君、それから素良君のデュエルの日か…応援に行きたいけど……ちょっと、厳しいかなぁ……」
《フォウ、キュウ…(辛いなら、無理しないで…)》
「辛いなら無理しない方がいい?……そうだね、今日は大人しく休むよ………おやすみ……」
《フォウ……キュ?…フォウ!?(おやすみ、遊………あれ?いま、言葉通じてなかった!?ゆ、遊海!起きて〜!?)》
遊希は倦怠感に身を委ねて再び眠りに落ちる…だが、彼は気付いていなかった…自分がごく自然にネコであるフォウと
…それに気付いたフォウは慌てて遊希を起こそうとしたが…夢の中に堕ちた遊希は目覚める事はなかった…。
………
「お〜い!遊希兄!朝ごはん……ありゃ、まだ寝てる…珍しいなぁ…あ、フォウも一緒だったんだ──」
《…ッ…フウゥゥ…!!》
「……やっぱりダメかぁ…」
少し後、遊矢が遊希を起こす為にやって来た…その姿を見たフォウは眠っている遊希を守るように遊矢を威嚇する…。
「昨日の遊希兄、すっごく疲れてたもんな……よし、遊希兄に戦勝報告ができるように頑張らなきゃ!フォウ、遊希兄を頼んだよ!」
《……フォウ(お前に言われなくても、分かってるよ)》
遊希の疲労具合を知っていた遊矢は決意を固め、静かに遊希の部屋を後にしたのだった。
──────────────────────
Side遊矢
「ふぅ…一時はどうなるかと思ったけど、権現坂に負けないようなデュエルをしないとな!」
時は少し流れ、遊矢はスタジアムに立っていた。
今日の第一試合は権現坂、そして同門の元兄弟子・暗黒寺のデュエルだった。
遊矢は権現坂の応援の為に仲間達より早く会場に向かったのだが…権現坂に揺さぶりをかけようとした暗黒寺の作戦によって不良達に囲まれ、多対一のデュエルを強いられた。
一方の権現坂はスタジアムで暗黒寺と対峙したが…暗黒寺の手で遊矢が危機に陥っている事を知って動揺…ストロング石島をリスペクトしたバーバリアンデッキに追い詰められてしまう…。
しかし、父と遊矢の激励によって『不動の心』を思い出した権現坂は暗黒寺を圧倒、切り札たる『超重荒神スサノ-O』によって暗黒寺を吹き飛ばし、勝利を掴んだのだった。
『続きましては本日の第2試合!遊勝塾・榊遊矢選手対LDS・沢渡シンゴの一戦でございます!!』
「沢渡……!見ててくれ、みんな!行ってくる!!」
「頑張って!遊矢!!」
「「「頑張って!」」」
司会を務めるニコの声が響く…遊矢の相手は因縁浅からぬ沢渡、仲間達の声援を背に受けながら前に出る!
「あの子が噂のペンデュラム使いか!」
「昨日の傷だらけの子のペンデュラム召喚も凄かったから期待しちゃうわ…!」
「兄貴に負けないデュエルを見せてくれよ〜!」
観客達は前日の遊希とユートのデュエルもあり、遊矢のデュエルを楽しみにしていた…そんな時…。
〜〜〜♪
「なんだ?この音…草笛?」
ざわめくスタジアムに草笛の哀愁漂う音色が響く、その音色と共に藁の笠をかぶり、江戸時代風の旅装束を纏った人物が現れる…そして──
『カードがオレを呼んでいる…ドローしてよと呼んでいる!!天に瞬く星1つ!あれこそデュエルの一番星!』
「(ぽかーん)」
「「「(ぽかーん)」」」
「……いや、何やってんだよ沢渡…」
突然の口上に遊矢や観客達も唖然となる、そして遊矢は謎の人物…もとい、沢渡へと声をかけるが…。
『
「いや、意味被ってるし…」
沢渡は衣装を脱ぎ捨て、普段通りのLDS制服姿となりながらポーズを決める…沢渡は遊矢戦の後、そのナルシストな性格も相まって『エンタメ色』に染まっていたのだった。
なお、『NEO』も『NEW』も言葉が違うだけで同じ意味である。
『榊遊矢…お前には数々の恨みがある…!』
「恨み?」
沢渡は遊矢を指差しながら、その内に秘めた恨みを語りだす。
『1つ、オレからペンデュラムカードを奪い!オレに敗北を味合わせた事!!屈辱だ!!』
「いや、元々…お前がカードを盗ったんだろ?」
『っ…その2!お前そっくりのエクシーズ使いに怪我を負わされた!!屈辱だ!』
「オレじゃないし!?しかも…かすり傷だったんだろ?」
『っ〜!!その3!!お前のせいでパパやママにめちゃくちゃに叱られた!!この上ない屈辱だ!!』
「いや、それって…お前がオレに襲われたって嘘を言ったからだろ?赤馬理事長が言ってたぞ?」
『………お前に受けた屈辱の数々……しっかりと返してやるぜ!!』
「いや、ほとんどお前の自業自得じゃん……(汗)」
沢渡の言う『屈辱』…それはほとんどが自身の行いが招いたもので…あまりに自分勝手な逆恨みに遊矢も呆れ顔である。
『う、うるさいうるさーい!!オレはここに宣言する!!榊遊矢、お前はこのデュエル…最ッ高の屈辱を受けて、負ける!!』
『お、おっと!?早くも沢渡選手から
いきなりの勝利宣言に司会のニコや観客達がどよめく…!
『今まで、お前を勝利に導いてきたペンデュラム召喚…それが、お前を敗北へと導くだろう!!』
「ペンデュラム召喚でオレが負ける…!?(まさか…!)」
自信満々の様子の沢渡の言葉を聞いた遊矢の脳裏に嫌な予感が過ぎる。
もしかしたらLDSは──新たなペンデュラムカードを生み出し、それを沢渡に渡したのではないのか?と…。
『さぁ、この勝負はいったいどうなるのか…!?それでは、アクションフィールド・オン!!選ばれたフィールドは──『夕陽の荒城』!!』
ニコの宣言と共に投影機が唸りを上げる…現れたフィールドは夕陽に照らされた戦場、荒れ果てた日本の山城だった…!
『いくぞ!!戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!』
「モンスターと共に地を駆け、宙を舞い!」
『「フィールド内を駆け巡る!!」』
『見よ!これぞデュエルの最強進化系!!アクショーン!!』
「『デュエル!!』」
遊矢と沢渡、ニコの口上と共にアクションカードが散らばる…此処に、因縁のデュエルが始まった!
デュエルダイジェスト 遊矢対沢渡
先攻を取った遊矢は自身のレベルを1つ下げる事で特殊召喚できる『EMドラミング・コング』を呼び出し、沢渡の出方を窺う…そして、沢渡は新たな力を披露する…!
『さぁ…!沢渡シンゴ、伝説のリベンジデュエルの開幕だ!!オレは永続魔法「修験の妖社」を発動!このカードがある時、自分が「妖仙獣」の召喚に成功した時!妖仙カウンターが1つ点灯する!』
「ようせんカウンター…?」
沢渡の背後に無数の蝋燭が奉られた社が現れる…このカードが沢渡の新たな力のキーカードだった。
『そしてオレは「妖仙獣
「モンスターの連続召喚!?」
つむじ風と共にタヌキやイタチの面影を持つ獣人達が現れる、その召喚速度はペンデュラム召喚に匹敵する…!
『そして「修験の妖社」の効果により妖仙カウンターが3つ点灯する!さらに「鎌壱太刀」の効果発動!自身以外の「妖仙獣」がフィールドに存在する時!相手のカード1枚を手札に戻す!手札に戻れ!「ドラミングコング」!!』
「なんだって!?」
さらに沢渡は効果を発動、投擲された鎖鎌に巻き付かれたドラミングコングが遊矢の手札に戻される!
『そしてバトルだ!「鎌壱太刀」でダイレクトアタック─!』
「っ…させるか!永続罠『EMピンチヘルパー』発動!相手モンスターからダイレクトアタックを受ける時、その攻撃を無効にして、デッキから攻撃力800以下の『EM』モンスターを効果を無効にして特殊召喚する!来てくれ!『EMカレイド・スコーピオン』!!」
『ふん、やるじゃないか』
ガラ空きの遊矢に攻撃が迫る…だが、防御カードによって両腕が盾となったサソリを呼び出す事で攻撃を回避する!
「『カレイドスコーピオン』の守備力は2300…『鎌弐太刀』と『鎌参太刀』の攻撃力を上回ってる!!これで攻撃は──」
『できない…
「っ─!」
『アクションカードは取らせねぇよ!!「鎌弐太刀」でダイレクトアタック!!』
「ぐっ!?うわああ!!」
ダイレクトアタックを受ける前にアクションカードを手にしようとする遊矢…だが、鎌弐太刀から放たれた疾風に吹き飛ばされてしまう!!
「くっそ…!」
『残念でした!…さらに「鎌参太刀」の効果発動!自身以外の「妖仙獣」がダメージを与えた時、デッキから同名モンスター以外の妖仙獣…「妖仙獣 大幽谷響」を手札に加える!さらに「修験の妖社」の効果!妖仙カウンターを3つ取り除き!デッキから「妖仙獣 大刃禍是」を手札に加える……ふっ、簡単に勝負が決まっちゃ面白くない!オレはカードを1枚伏せ、ターンエンド!そしてフィールドのカマイタチ三兄弟は召喚されたターン終了時に手札に戻る!』
「(自身の効果でモンスターを手札に戻してフィールドをガラ空きに…?何を考えて…?)」
先制ダメージを与えた沢渡は余裕の笑みを浮かべたままターンを終える…遊矢はその意図を計りかねていた…。
『さぁ、ショーを続けようぜ?「エンタメデュエリスト」榊遊矢!!』
「(例え、罠だったとしても……オレは──)オレのデュエルをするだけだ!!いくぞ!!」
罠があるのは確実…だが、遊矢は自分の戦い方を貫く!
PENDULUM!!
「揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け、光のアーク!ペンデュラム召喚!来い!オレのモンスター達!!『EMドラミングコング』!そして、輝く二色の眼!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!!」
「時読みの魔術師」を引き当てた遊矢の頭上でペンデュラムの軌跡が揺れ動く、そしてエースたるオッドアイズ達を呼び出した!
「今度は…こっちの番だ!『オッドアイズ』で沢渡にダイレクトアタック─!」
遊矢は臆する事なく、沢渡に攻撃を仕掛ける─!
『フッ…!オレは手札の「妖仙獣
沢渡へと疾駆するオッドアイズの前に山のように巨大な妖怪が立ち塞がる!
『そして「大幽谷響」の攻撃力はバトルする相手モンスターの元々の攻撃力と同じ数値になる!さらに、「妖仙獣」が特殊召喚された事で「修験の妖社」にカウンターが1つ点灯する!』
「っ─!」
「大幽谷響」のモチーフは山から声を返す妖怪『山彦』…その名が示す通りに同じ力を持って遊矢へと襲いかかる─!
「まだだ!!『ドラミングコング』の効果発動!バトル中に1度、自分の場のモンスターの攻撃力を600アップさせる!いけ!『オッドアイズ』!!螺旋のストライク・バースト!!」
『チィッ─!!』
だが、遊矢も負けてはいない…ドラミングコングのドラミングに力を貰ったオッドアイズが大幽谷響を貫く!
「そして破壊したモンスターがレベル5以上の時!与えるダメージは2倍になる!リアクション・フォース!」
『くっ…ぬあああ!?』
そしてオッドアイズの効果が炸裂、沢渡は1200のダメージを受けて吹き飛ばされる!
『ぐっ…「大幽谷響」の効果発動…このカードが破壊された時、デッキから2体目の「大幽谷響」を手札に加える…!』
「くっ…!?(これじゃあ追撃は無理か…!ここは一旦待とう…!!)オレはこのままターンエンド!!」
しかし、沢渡もタダでは終わらない…2体目の『大幽谷響』を見た遊矢はそのままターンを終え、アクションカードを得る為に走り出す!
『……ここからが本番だ!沢渡シンゴ、伝説のリベンジデュエル…榊遊矢!お前はペンデュラム召喚の恐ろしさを知る─!!』
ダメージを受けてなお、沢渡は余裕を見せる…その内に秘める作戦とは……──?
『バトルだ!「鎌弐太刀」の攻撃力を半分にして、ダイレクトアタック!!』
「ぐっ…!?うわぁ!!」
再びカマイタチ三兄弟を召喚した沢渡は『鎌壱太刀』の効果を使わず、遊矢にダイレクトアタックを仕掛ける…そして、此処に全ての下準備は整った…!
『「鎌参太刀」の効果発動!デッキから「妖仙獣」モンスターを手札に加える…オレが手札に加えるのは──
「っ─!!(やっぱりか…!!)」
沢渡が遊矢に見せつけた1枚…それは、LDSの作り上げたペンデュラムカードだった!
『さらに「修験の妖社」の効果発動!妖仙カウンターを3つ取り除き!デッキからペンデュラムモンスター「妖仙獣
「ペンデュラムカードが、2枚…!」
『榊遊矢…宣言通り!ペンデュラム召喚がお前を敗北に導く!!オレはスケール3の「左鎌神柱」とスケール5「右鎌神柱」でペンデュラムスケールをセッティング!!』
PENDULUM!!
沢渡のデュエルディスクにPENDULUMの文字が浮かび上がる、そして光の柱の中にそれぞれに赤と青の鬼の面を掲げた分割された鳥居が浮かび上がる!
「来たか…!だけど、召喚できるのはレベル4のモンスターだけ…」
『レベル4?違うな…!「右鎌神柱」のペンデュラム効果発動!エンドフェイズまで、自身のスケールが11に上がる!!これでレベル4から10のモンスターが同時に召喚可能─!!』
「なに!?」
沢渡は効果でペンデュラムスケールを増加…ついに、妖仙獣の切り札が現れる!
『ペンデュラム召喚!!烈風纏いしあやかしの長よ、荒ぶるその衣を解き放ち、大河を巻き上げ大地を抉れ!いでよ!「魔妖仙獣
フィールドに暴風…否、黒き嵐が吹き荒れる…その中から恐ろしき「命を奪う風」を具象化した風の獣が現れる!!
『よし…!「大刃禍是」の特殊召喚に成功した事で「修験の妖社」にカウンターが点灯する!』
ペンデュラム召喚に成功した沢渡は笑みを浮かべながらプレイングを続ける…そして、観客達は遊矢や遊海以外の人物が繰り出したペンデュラム召喚を見てどよめいていた…!
『さぁ…さぁさぁさぁ!!お楽しみはこれからだ─!!オレこそ、選ばれた男!ネオ・ニュー沢渡だ!!そしてオレはペンデュラム召喚を扱えるようになっただけじゃない!その上をいく!!』
「その上だって…!?」
観客達のどよめきを聞きながら、テンションを上げた沢渡はその力を…『対ペンデュラム戦術』を発動する!
『「大刃禍是」の効果発動!召喚・特殊召喚に成功した時!フィールドのカード2枚を相手の手札に戻す!手札に戻れ!「星読みの魔術師」!「時読みの魔術師」!!』
「っ!!」
大刃禍是の起こしたつむじ風が遊矢のペンデュラムスケールを手札へと吹き飛ばす!
『さらに!フィールドに「大刃禍是」が存在する事で、永続罠「妖仙郷の目眩風」を発動!これにより、「妖仙獣」と名のつくモンスター以外が手札に戻る時、そのカードはデッキに戻る!』
「なんだって…!?くっ…!」
遊矢は手札に加わった魔術師をデッキに戻す…だが、まだ沢渡は止まらない…!
『さらに、800ライフを払い!永続魔法「妖仙大旋風」を発動!!その効果により、自分の「妖仙獣」が手札に戻った時!相手フィールドのカード1枚を手札に戻す…だが、「目眩風」の効果により!手札に戻されるカードはデッキに戻る!!そして…カマイタチ三兄弟と特殊召喚された「大刃禍是」はエンドフェイズに手札に戻る!…この意味がわかるか?』
「っ…マズい…!!」
『オレはこれで
山城に風が吹き荒れる…その風は次々と遊矢のモンスターや伏せカードを攫い──フィールドを綺麗に吹き飛ばしてしまった…!
「これが、沢渡の狙いか…!!」
先ほど、沢渡は『鎌壱太刀』の効果を発動しなかった…それは『妖仙ロストトルネード』の効果を最大限に使う為の手段だった。
手札やエクストラデッキにいれば、即座に復活するペンデュラムモンスター…その弱点は『デッキに戻される』事だった…!
『オレはネオ・ニュー沢渡…!伝説を生む男!!次のターンでお前を終わりだ!!さぁ、最後に足掻いてみせな?お前の次は榊遊希…オレはペンデュラム使いを倒して伝説となる!!』
「ははっ…!」
絶体絶命の窮地、フィールドにカードは無く、手札も1枚のみ……そんな状況でも、遊矢は……
「(オレ、完全に追い詰められてる……でも、なんでだろう──いま、すっごく!
『お前との因縁…ここで決着をつけてやる!』
「決着…いや、デュエルは始まったばかりだ!!オレのターン!ドロー!!カードを2枚セットして…ターンエンド!!」
『なに…?!』
笑顔の遊矢を見て沢渡は驚愕する、絶体絶命の中…遊矢はまだ、希望を捨ててはいない!
『へっ…デュエルはこれからとか言っといて、随分と地味じゃないか…?まっ、カードがないから仕方ない──』
「カードが無いなら、
沢渡を背を向けた遊矢は走り出す…逆転の一手を見つける為に!
『へっ…逃がすかよ!!』
フィールドを駆ける遊矢を前に沢渡は再びカマイタチ三兄弟を召喚、そして追い打ちを仕掛ける!
『お前の手の内はわかってるぞ…アクションカードを探す為に駆け回っているんじゃなく、その2枚の
沢渡は遊矢の作戦を予想し、それを潰す為の一手を打つ!
『「大刃禍是」の効果発動!お前の伏せカード2枚を手札に…いや、『「目眩風」の効果でデッキに戻す!!これで終わりだ──!』
風の獣が伏せカードを吹き飛ばす、これで遊矢の勝利は──
「いや、
『な、なんだと!?』
それは遊矢の奇策…除去される前提で、カードを仕込んでいたのだ!
「これで妖仙獣達は名前を失う…つまり!本来なら効果を受けないはずの『妖仙郷の目眩風』の効果をお前のモンスターは受けるようになる!!」
『これが狙いか…!このターンのエンドフェイズ、名前を失ったオレのモンスターはデッキに戻る…!!』
それは『妖仙ロストトルネード』を破る、逆転の一手…遊矢は沢渡の裏をかいたのだ!
『やるじゃねえか…だが、ターンの終わりまで!お前が無事で済むと思ったのか!!その前に、デュエルを終わらせてやる!妖仙獣達で総攻撃だ─!!』
「っ─!絶対に、終わらせるもんか─!!」
沢渡は勝負を決める為に山城に駆け上がっていた遊矢にダイレクトアタックを仕掛ける、カマイタチ三兄弟と風の獣が突撃…そして、凄まじい暴風が吹き荒れ──
ガッシャァァァン!!
「ゆ、遊矢ぁぁぁ!!?」
山城の天守が崩壊する、遊矢はその瓦礫に飲まれ姿が見えなくなる…。
リアルソリッドビジョンには『質量』がある、その崩壊に飲まれれば…無事では済まない、会場に柚子の悲鳴が木霊した…。
パッチーン☆
「えっ…?」
『なに!?』
崩壊した山城の爆煙の奥からフィンガースナップの音が響く、崩壊した山城近くの見張り台…そこに遊矢は無傷で立っていた…!
「この私が、なんの考えもなく走り回っていたと思いますか?私はアクションマジック『大脱出』を発動し、バトルフェイズを終了させていたのです!」
遊矢は『エンターティナー』としての口調で沢渡に告げる、遊矢は闇雲に走っていたのではなく…アクションカードの場所やイラストから効果を把握、もっとも映える場所に攻撃を誘導していたのである…さながら、マジックの脱出ショーのように!
『ふ、ふざけんなぁ!お前が客席を沸かせてんじゃねぇよ!?』
「これがオレのデュエルスタイルなの!!」
『ぬぬぬぅ〜!!だが、最後に歓声を受けるのはこのオレだぁ!!』
観客達を沸かせる遊矢に沢渡が嫉妬する…息をつかせぬ攻防に、観客達は大いに盛り上がっていた!
『「修験の妖社」の効果発動!妖仙カウンターを3つ使い!デッキから2体目の「鎌参太刀」を手札に加え……ターンエンド!!』
「そして…お前のモンスター達にはご退場願おうか!」
『っ…!』
名前を失った『妖仙獣』達が『目眩風』の効果を受けて沢渡のデッキに消えていく…そして、デメリット効果によって『妖仙大旋風』が消滅…妖仙ロストトルネードは破られた!
「お互い、フィールドが寂しくなったな?」
『ふん、次のオレのターンで…すぐに賑やかにしてやるぜ…!お前の敗北というメインイベントを祝う為にな!!』
「あいにく…オレも負けるつもりはないさ!!」
お互いにほぼリセットされたフィールドを前に軽口を言い合う遊矢と沢渡…そして、第2ラウンドが始まった…!
………
デュエルは進む…遊矢は再び「EMドラミングコング」を引き当て、沢渡の守りであった「大幽谷響」を撃破する。
返しのターン、沢渡は「鎌壱太刀」を引き当て…さらに『修験の妖社』によって『大刃禍是』を再び手にする、そしてペンデュラム召喚を介して現れた『鎌壱太刀』によって『ドラミングコング』を手札へ戻そうとしたが…アクションカード『透明』によって阻まれる。
だが、それを読んでいた沢渡は『大刃禍是』をアドバンス召喚…「ドラミングコング」を戦闘破壊し、遊矢へとダメージを与える…遊矢の残りライフは…1400…!
そして、一進一退の攻防の中、観客達は期待する…始祖の『ペンデュラム召喚』を…!
『さぁ、来いよ!
「えっ…?」
『沸いてるんだよ!会場が…!観客達が!期待してるんだよ、オレ達のデュエルに!!』
「沢渡…」
『さぁ!お前のターンだ!見事に応えて見せろよ!!』
「──ああ!!」
ペンデュラムコールに包まれるスタジアム…すでに沢渡と遊矢の因縁はない、観客達は待っている!彼のエンタメを!!
「レディース&ジェントルマン!!ご覧の通り、私のフィールドにはモンスターどころか、伏せカードもありません!正真正銘…次のドローが!このステージの全てを決めるデスティニードローとなります!!」
遊矢はエンターテイナーとして観客達に呼びかけながら、デッキトップに手をかける!
「見事、引き当てられたらご喝采!!───ドロー!!」
光の軌跡と共にカードがドローされる、その結果は──!
「来た…!これより、世にも珍しいマジックショーをご覧戴きます!!このカードは自分のフィールドにカードがなく、手札がこのカードのみの時に発動できる魔法カード!『マジシャンズ・カード』!その効果により、私は相手フィールドのカードと同じ枚数のカードをドローし、そのカードを公開します!Mr.沢渡のフィールドのカードは5枚!よって、5枚ドロー!!」
それは起死回生の1枚…それによってドローされたのは「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」「EMヒックリカエル」「時読みの魔術師」「EMトランプ・ウィッチ」「EMアメンボート」…
此処に、遊矢の勝利の方程式は導かれた!!
「オレはスケール4『トランプウィッチ』とスケール8『時読みの魔術師』でペンデュラムスケールをセッティング!ペンデュラム召喚!エクストラデッキから『ドラミングコング』!そして!雄々しくも美しき二色の眼!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!!」
青きペンデュラムの軌跡が遊矢のモンスター達を導く!
『さぁ…決着の時だ!!』
「ああ…!バトルだ!『オッドアイズ』で『大刃禍是』を攻撃!さらに、『ドラミングコング』の効果で攻撃力は600アップだ!」
『まだだ!「左鎌神柱」のペンデュラム効果発動!自分の妖仙獣が破壊される時、このカードを代わりに破壊する!!』
大刃禍是を攻撃する遊矢…だが、沢渡は大刃禍是を守りきり、ダメージを抑える…しかし、遊矢にも『二の矢』がある!
「お楽しみはこれからだ!『トランプウィッチ』のペンデュラム効果、発動!フィールドのモンスターで融合召喚を行う!!」
『バトルフェイズの融合召喚だと!?』
「胸を打ち鳴らす森の賢人よ!神秘の竜と1つとなりて、新たな力を生み出さん!!融合召喚!いでよ!魔獣の眼光し、獰猛なる竜!『ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!!」
それは権現坂戦で覚醒した遊矢の新たな切り札…獰猛なる獣のドラゴンが咆哮する!
『攻撃力3000…相討ち狙い……いや…!』
「──バトルだ!『ビーストアイズ』で『大刃禍是』を攻撃!!」
『まだだ!!』
「そう来ると思った!!」
ビーストアイズが大刃禍是に突進する刹那、遊矢と沢渡はアクションカードを求めて飛び降りる…その結末は─!
ドオン!!
『アクションマジック!「大火筒」発動!!このカードは、バトルで破壊された相手モンスターの攻撃力の半分のダメージを相手に与える!!喰らいやがれ─!!』
衝突の爆煙の中、先にアクションカードを手にしたのは沢渡…巨大な大砲が遊矢へと放たれ──
ヒュー……パン!パン!パーン!!
『んなっ!?』
「こ、攻撃が…花火に…?!」
遊矢に向かったはずの砲弾は跳ね返され、夕暮れの空に
「アクションマジック『奇跡』!これで『ビーストアイズ』は破壊されない!よってお前の『大火筒』は無効になった!」
『ち、チクショウ!派手過ぎんだよ──!!』
上手く大刃禍是を倒した遊矢…それにより、ダメ押しの効果が起動する!
「『ビーストアイズ』の効果発動!バトルで相手モンスターを破壊した時、融合素材となった獣族モンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える!!いっけぇ!!」
『ぐわぁああっ!?』
森の賢人の魂を宿した火炎が沢渡を直撃…大盛りあがりを見せたステージの幕を下ろした…!
沢渡LP0
遊矢WIN!
『き、決まりました〜!!第2試合の勝者は…榊遊矢選手だ─!!』
ニコの勝者を称える実況が木霊する…そしてスタジアムは割れんばかりの拍手と歓声に包まれた…。
『いってて……ん?』
「いいデュエルだったな!沢渡!」
『〜〜!フン!?』
「沢渡…」
尻もちを着いていた沢渡は手を差し伸べた遊矢の手を借りず、自分で立ち上がる…そして…。
「盛り上がったデュエルだったな!」
『……ああ、またいつでも相手になってやるよ!だが今は─』
「ああ!!」
楽しげな笑みを浮かべた沢渡は拍手を続けていた観客達へと仰々しく頭を下げる…その姿を見た遊矢も観客達へと応えたのだった…!
「(そうだ…これが、オレの目指したデュエルなのかもしれない……父さん、オレ…少しは近付けた、かな?)」
このデュエルは遊矢の「理想のエンタメデュエル」として、その心に刻まれた……遊矢は「エンタメデュエリスト」としての一歩目をしっかりと踏み出したのだった…。
Side???
「沢渡のペンデュラムカードを回収しろ、分析と量産化を急げ…」
「はっ!」
そしてレオコーポレーションの司令室で零児は静かに指示を出す…全ては、来たるべき戦いに備えて…。