転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
そこは、砂漠だった…だが、その場所は──普通の人間が思い描く風景とは大きく違っていた。
今にも大雨が降り出しそうな暗雲が太陽を…空を覆い尽くし、体が吹き飛びそうな強風が吹き荒れている。
その空を舞うのは鳥ではなく、無数の悪霊…その中心には巨大な影が1つ。
天を衝く程の巨体に黒い肌、そして腰に巨大な龍を巻き付けた…邪悪なる『魔物』
その周りには石像と化した龍、巨人、巨鳥が倒れ伏している…。
その中で──怪我人を庇いながら戦う人影が2つ
かたや、砂漠には似つかわしくない巨大な機械を従えた、ターバンを巻いた青年
かたや、巨大な操り人形を従えた紫色の髪の誰か
巨大な『魔物』に必死に抵抗する2人…だが、徐々に押され…従えたモンスター達は沈み、2人は───
「っ───!?!!」
《フォウ!?》
「はぁっ……はぁっ…!?ゆ、夢か……」
眠っていた遊希がベッドから飛び起きる、びっしょりと冷や汗を流し、心臓は早鐘を打つように脈打っていた…。
《キュウ…?フォーウ…》
「大丈夫…ちょっと、怖い夢をみただけだから…」
飛び起きた遊希を心配するようにフォウが体を擦り寄せる…そんなフォウを安心させるように、遊希は穏やかに声をかける。
「(なんだ、今の夢…?本当に、映画みたいな……最近、寝るたびに変な夢ばっかり見てる気がする…)」
記憶に残る夢の残滓…それは巨大な『ナニカ』に挑み、命を落としたらしい…
「ふぅ……時間は、昼過ぎか……遊矢の試合は、終わったかな…?」
呼吸を整えた遊希は時間を見て遊矢の事を思い出す…彼のデュエルを心配しながら…。
………
「洋子さんにも心配掛けちゃったな…あとで謝らないと…」
着替えと身支度を整えた遊希は洋子が作り置きしてくれていたパンケーキを手にリビングのソファに腰掛ける…気分は朝よりもだいぶ良くなっていた。
「時間的には素良君がデュエルしてる頃だな…ちょっと不気味なモンスターを使うから、お客さんが怖がってなきゃいいけど…」
遊希はそんな事を呟きながらテレビのリモコンを手にする、舞網チャンピオンシップスはテレビでも放映されている…そして、電源を入れ────
「────はっ?」
《ッ…フォウ…!!》
遊希が目にしたのは、砲弾が降り注ぐ…破壊された街の姿だった…。
───────────────────────
『続きまして!本日の第三試合!遊勝塾所属・紫雲院素良選手対LDS所属・黒咲隼!!皆さま、大きな拍手でお迎えください!!』
遊矢と沢渡のペンデュラムデュエルの興奮冷めやらないスタジアムにニコの実況が響く!
「うおおぉぉっ!!素良!熱血だぁぁっ!!」
「俺と遊矢に続けぇ!!」
「オッケー!任せといて〜!!ボクも遊矢みたいにお客さんを大満足させちゃうから─!」
観客席からの修造や権現坂の応援に素良はのんびりと応える、大観衆を前に緊張の様子は見えない…。
『………』
「黒咲…」
一方、黒咲は観客の声援に応える事なく…むしろ、不満げな表情で入場する…そんな彼の様子を凌牙は観客席の入場口から見守っていた…。
「……無理もないか…故郷が侵略され、妹も攫われて……そんな状態じゃ、スタンダードの奴らの様子も…ウザったく感じるよな…」
零児の要請で舞網チャンピオンシップスに参加している凌牙達レジスタンス…彼やユートは一応は切り替えていたが、黒咲はそんな状態ではなかった……凌牙はそんな黒咲に昔の自分を重ねていた…。
「……相手は融合次元の
凌牙だけが知る素良の『正体』…凌牙は鋭い目付きでフィールドを睨んだ…。
「黒咲…ユートや、凌牙の仲間……」
そしてもう1人、彼を心配する人物…それは柚子だった。
黒咲と柚子は一度しか会った事はない…だが、黒咲に何が起きたのかはユートから聞かされていた。
「あの目…世界の全てが敵に見えてるみたい…」
冷めきった黒咲の目を見た柚子はそんな事を思った…。
Side???
「黒咲…せっかく社長が用意してくださった『ペンデュラムカード』を…!」
「中島、まぁいい…ここはペンデュラムの新たな可能性より、彼の真の実力を確かめる機会としよう…」
レオ・コーポレーションの司令室、そこで零児の秘書である中島は苛つきを隠せないでいた…レジスタンスで一番ペンデュラムの適性があった黒咲に零児はペンデュラムカードを託そうとしたが…彼は受け取らなかったのだ。
しかし、零児はその事を気にしておらず…むしろ、未だ未知数の黒咲の実力を確かめようとしていた…。
SideOut
『そぉれでは!フィールド魔法のセレクトだ!選ばれたフィールドは───「未来都市
『っ…!?』
「……!」
フィールド魔法がセレクトされ、ニコの解説が響く…そんな中、ハートランドという名前を聞いた黒咲は動揺し、素良は何かに気付いた様子を見せる。
『それでは!アクションフィールド・オン!「未来都市ハートランド」発動!!』
スタジアムの投影機が起動し周囲が光に包まれる、そして周囲の景色は街中にハートマークがあしらわれ、桃色の水晶が輝く塔に照らされた近未来都市へと変化した!
「ボクは『お菓子の町』の方が良かったんだけどなー…まっ、お客さんが喜んでるから、いっか!ね?……あれ?」
『っ…!!!』
無邪気に近未来都市を眺める素良…だが、黒咲は拳を震わせ──まるで、怒りを押さえ込んでいるような様子だった。
Side???
「どうやら、気に入ってもらえたようだな…私からの
『おい!零児!!テメェ、ふざけてんのか!?』
フィールド魔法が展開し、明らかに動揺する黒咲を見ながら零児は笑みを見せる、そこへ直通回線を通して連絡してきたのは……怒りを露わにした凌牙だった。
『俺達の状況は説明したはずだ!!故郷を破壊され、人々はカードにされちまった…!あいつにとってハートランドは取り戻すべき故郷であり、融合次元への怒りを思い出させる場所だ!!それをアクションフィールドにするなんて…何を考えてる!!』
「……そんな事は分かっている…私はただ、黒咲が
黒咲にとっての希望であり、トラウマの場所でもあるハートランド…零児はスタンダードに来て闘志を失っている黒咲の為にそのアクションフィールドを選んだのだ。
『零児、お前の考えは間違ってる…!黒咲は闘志を失った訳じゃない…!
「…望むところだ」
しかし、零児の考えは違うと凌牙は指摘する…黒咲はスタンダードにおけるデュエルに乗り気ではないだけで…その胸の内では融合や融合次元のデュエリストに対する怒りが渦巻いている。
…それが解き放たれたのなら…その実力は──
『だぁぁ!!これだから『天才』って奴は!!本ッ当にめんどくせぇ─!!』
通信を切った凌牙は零児に対しての怒りを爆発させる…その効率ばかりを追求する考えにかつての仲間の姿を重ねながら…。
Side Out
「ねぇねぇ?大丈夫?お腹でも痛いの?デュエルできる??」
『人の心配より、自分の心配をしろ…!貴様が
無邪気に黒咲の心配をする素良…しかし、黒咲は燃え上がる怒りのままにデュエルディスクを展開する!
「ふ〜ん、面白いじゃん…!みんな〜!いよいよ、ボクのエンタメデュエルが始まるよ〜!応援よろしく〜!!」
対して素良は観客達に応援を呼びかけながらデュエルディスクを展開、会場を盛り上げる!
「それじゃ、いかせてもらいまーす!戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!!───あれ?」
『………──』
『なんだよぉ?ノリが悪いなぁ…ツーと言ったらカー、海と言ったら山でしょ?…仕方ない!観客のみんな!ヨロシク!!』
アクションデュエルの口上を無視する黒咲…素良は仕方なく、観客達へと呼びかけた!
『戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!』
「「「モンスターと共に地を駆け、宙を舞い!フィールド内を駆け巡る!」」」
『見よ!これぞデュエルの最強進化系!アクショーン!』
「『デュエル!!』」
素良や観客達のコールと共に不穏なる決闘が始まった…!
デュエルダイジェスト 黒咲対素良
「先攻は貰った!ボクはとってもキュートなクマさんモンスター『ファーニマル・ベア』を召喚!そして、自分のフィールドに『ファーニマル』モンスターがいる時、手札の2体の『ファーニマル・シープ』は特殊召喚できる!」
先攻を取ったのは素良、彼は可愛らしい羽を生やしたぬいぐるみのようなクマとヒツジを呼び出す!
「ボクはカードを1枚伏せて、ターンエンド!さぁ、次はキミの番だよ?2人でお客さんに最高の
『最高の…
無邪気にデュエルを楽しもうとする素良…それに対し、黒咲は……今はもう戻らない「思い出」を……そして、悲劇を語る…!
『あの日、突如として襲い掛かってきた
「敵?戦場…?何を言ってるのさ?」
盛り上がるはずのアクションデュエルに水を差す黒咲の言葉…それは静かにスタジアムに響き、観客達に動揺が広がっていった…。
『俺のターン、ドロー…「RR-バニシング・レイニアス」を召喚…!』
そして黒咲は会場の空気を気にする事なく、自身のモンスター…機械仕掛けの翼『レイド・ラプターズ』を呼び出す!
『突然の事態に、俺達は慌てふためき…仮初めの防衛体制を整えるのが精一杯だった…!バトルだ!「バニシングレイニアス」で「ファーニマルベア」を攻撃!!』
甲高い鳴き声と共に、鋭い鉤爪がクマを切り裂く!
「ふん…やるじゃん!でも…すぐに取り返すけどね!罠カード『ファーニマル・クレーン』を発動!バトルで破壊された『ファーニマル』モンスターを手札に戻して、1枚ドローする!」
モンスターを破壊された素良だが、取り乱す事なく準備を整える!
『自分の「RR」がバトルした事で魔法カード「RR-シンボル」を発動、デッキから2体目の「バニシングレイニアス」を手札に加える…そして1体目の「バニシングレイニアス」の効果により、2体目の「バニシングレイニアス」を特殊召喚!そして、カードを1枚伏せ…ターンエンドだ』
「すぐに反応したのは褒めてあげるけど…そんなにモンスターを並べて意味あるの〜?」
黒咲は淡々と自分のデュエルを進めていく…。
「それじゃあいくよ!ボクのターン!『エッジインプ・シザー』を召喚!」
素良のターン、彼は先程までのぬいぐるみとは違う…鋭い鋏に宿る悪魔を呼び出す!
「このカードが召喚に成功した時!フィールドの『ファーニマル』モンスター1体を手札に戻して、別のモンスターを特殊召喚できる!『シープ』を戻して『ベアー』を特殊召喚!」
鋏の悪魔がヒツジの毛を刈っていく…そして、その姿はクマのぬいぐるみへと変わってしまった!
「そして『シープ』が手札に戻った事で、ボクはデッキからこのカードを手札に加える──『融合』をネ!」
『っ…!!!』
素良が「融合」を手札に加えた瞬間…黒咲の表情は怒りに染まる…!
「レディース&ジェントルメーン!これより皆さまにご覧頂きますのは!
フィールド内の高台に駆け上がった素良は遊矢をリスペクトした口上をスタジアムに響かせる!
「それでは参りましょう!魔法カード『融合』発動!ボクが融合するのは『エッジインプシザー』と『ファーニマルベア』!悪魔の爪よ!野獣の牙よ!いま一つとなりて…新たな姿と力を見せよ!融合召喚!!現れ出ちゃえ!全てを切り裂く、戦慄のケダモノ!『デストーイ・シザー・ベアー』!!」
素良の口上と共に2体のモンスターが融合、「ファーニマルベア」の体から無数のハサミの刃が突き出し、ぬいぐるみの中からは恐ろしい赤い目が覗く…これが素良のエース、可愛くも恐ろしい『デストーイ』の姿だった!
「バトルだ!ボクは『シザーベアー』で『バニシングレイニアス』を攻撃!」
そして続く攻撃…鋭い爪と鋏がバニシングレイニアスが切り裂かれる…だが、まだ終わりではない…!
「『シザーベアー』の効果発動!破壊した相手モンスターを装備し、その攻撃力分攻撃力をアップする!」
『罠発動!「RR-リターン」!バトルで破壊された「RR」モンスターを手札に戻す!』
「ありゃ、戻されちゃった…まっ、これくらいやってくれなきゃね!」
破壊されたバニシングレイニアスを取り込もうとするシザーベアーだったが…罠カードによってそれは防がれる!
「ボクはカードを1枚伏せてターンエンド!ねぇ、容赦しないとか言ってたんだからさ…そろそろ本気を出してよ?それとも…守る事に精一杯で…自分から仕掛けるのは無理だったり?」
一進一退の攻防の中、素良は黒咲を挑発する…そして、黒咲は再び静かに語り始める…。
『始めはそうだった…圧倒的な敵に対して、俺達は自分の身を守るので精一杯だった…そして、仲間達は1人、また1人と失われていく……そんな絶望の中で、俺達は「希望」を見た…!誇り高き
故郷を襲った絶望、その中で黒咲達は戦い続けた…その先に『希望』は残されていた…!
『俺はレベル4の「バニシングレイニアス」3体でオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!雌伏のハヤブサよ…逆境の中で研ぎ澄ませし爪を上げ…反逆の翼、翻せ!!現れろ!ランク4!「RR-ライズ・ファルコン」!!』
融合への怒りを胸に…反逆の翼が舞い上がる!
「これがキミの本気?冗談でしょ…?攻撃力たったの100なんて──」
『「ライズファルコン」はフィールドに特殊召喚されたモンスターに1度ずつ攻撃でき、さらに!ORUを一つ使う事で攻撃力は特殊召喚されたモンスターの攻撃力の合計分アップする!!』
「攻撃力2700だって!?」
反逆の翼が紅蓮の炎を纏う『不死鳥』と化す!
『バトルだ!「ライズファルコン」よ!全ての敵を引き裂け…!ブレイブ・クロー・レボリューション!!』
「っ…ああああ!?」
紅蓮の炎を纏った一撃が素良のモンスターに直撃、バラバラに引き裂かれ…素良は吹き飛ばされる…観客の中にはその容赦ない攻撃に悲鳴を上げる者もいた…。
『俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド』
「っ…なかなか、面白い事してくれるじゃん…それじゃ、ボクも……チョコっとだけ、本気出しちゃおうかな…!」
ターンを終える黒咲…その様子を見た素良は起き上がりながら、獰猛な笑みを浮かべていた…。
………
そして、デュエルは進んでいく…「デストーイ・シザー・ベア」を破壊された素良は新たな融合モンスター…ノコギリを持つ邪悪な獅子「デストーイ・ホイール・ソウ・ライオ」を召喚し、逆転を狙うが…黒咲のアクションマジックと罠カードによって阻まれる。
返しのターン、黒咲は攻撃力を底上げした「ライズ・ファルコン」によって策を潰しながらダメージを与え…少しずつ素良を追い詰めていく…それにつれ、激しい戦闘で街は少しずつ破壊されていく…!
「っ…たくもう…!本当に腹立っちゃうよね…これで何体目かな?ボクのモンスターを破壊してばっかり…!もうちょこっとなんて言ってらんない…!!マジで本気出しちゃうから…!!」
本来、素良は追い詰められても余裕を崩さないプレイスタイルなのだが…焦りが、黒咲には
「ボクは『ファーニマル・シープ』と『エッジインプ・チェーン』を融合!現れ出ちゃえ!!全てを牛耳る、鎖のケダモノ!『デストーイ・チェーン・シープ』!!」
素良は新たな融合モンスター…荒ぶる鎖の魔物を呼び出す!
「このモンスターが攻撃する時、相手は魔法・罠を発動できない!!バトルだ!『チェーンシープ』!『ライズファルコン』を攻撃ィ!!」
鎖の魔物は口から赤い破壊光線を放つ、そして空を飛び回っていたハヤブサを撃墜した…!
『これで、お前のモンスターの攻撃は終わった…ならば、このカードが発動できる!速攻魔法「RUM-ラプターズ・フォース」発動!!バトルで破壊された「ライズファルコン」を特殊召喚し、ランクが一つ高い「RR」にランクアップさせる!俺は「ライズファルコン」でオーバーレイネットワークを再構築…ランクアップ・エクシーズチェンジ!!』
「なっ…!?」
撃墜されたライズファルコンから飛び降りた黒咲は新たな力──『ランクアップマジック』を解き放つ!
『獰猛なるハヤブサよ…激戦を潜り抜けし翼翻し…寄せくる敵を撃ち返せ!!現われろ!「RR-ブレイズ・ファルコン」!!』
撃墜されたハヤブサが炎に包まれ、新生する…赤き翼を持つその名は…「ブレイズファルコン」!
「ランクアップ…いいねいいね!キミもすごいエンターテイナーだね!観客達も大喜びだ…!ボクもゾクゾクしてきた…!!さぁ、もっとボクを楽しませてよ!!」
『楽しむ?これから貴様が味わうのは──断末魔の苦しみだけだ!!』
新たなエクシーズモンスターを前に獰猛に笑う素良…そして黒咲は攻勢に出る!
『「ブレイズファルコン」の効果発動!ORUを1つ使い、相手の場に存在する特殊召喚されたモンスターを破壊し、1体につき500ダメージを与える!!』
「罠カード『デストーイ・バックアップ』発動!『デストーイ』モンスターの効果破壊を無効にし、攻撃力を800アップする─!」
ブレイズファルコンの翼から無数のレーザーピットが放たれ、チェーンシープを狙う…だが、現れたバリアが破壊を阻み、流れ弾が周囲を破壊し…火の海へと変えていく…!
『バトルだ!「ブレイズファルコン」は相手にダイレクトアタックできる!征け!!』
「っ!?うわあああ!!」
さらに強烈なダイレクトアタックが炸裂し、素良はクレーターを作りながら、壁に叩きつけられる…だが、まだ終わらない…!
ゴゴ…ズズン!!
『あ、危ない!建物が崩れるぞ〜!?』
「っ…!!だぁっ!!」
叩きつけられた衝撃で建物が崩壊、素良へと瓦礫が降りそそぐ…だが、素良は落ちてくる瓦礫を足場に跳躍して危機を脱する。
…しかし、その動きは……明らかに
『「ブレイズファルコン」がダイレクトアタックに成功した時!相手モンスター1体を破壊する事ができる!!』
「させ、るかぁ!アクションマジック『ミラー・バリア』!破壊を無効にする!!」
『罠カード「ラプターズ・ガスト」!相手の魔法カードの発動を無効にし、破壊する!』
一息ついた素良にミサイルによる追撃を仕掛ける黒咲…だが、それはアクションマジック阻まれるかと思いきや…罠によってバリアは砕け、鎖の魔物は爆砕した…。
「これじゃ、まるで…戦争じゃないか…!?」
繰り広げられるデュエルを見た遊矢は動揺しながら呟く…破壊された街、飛び交う砲弾…火の海……その様相は本物の戦場のようだった…。
「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド……薄ら笑いはどうした?少しは
素良を追い詰めた黒咲は怒りを滲ませながら咆哮する…支配への反逆を唱えながら…!
「はぁ?余裕がない?冗談言うなよ……こんなデュエル、キャンディー舐めながらだって、ボクはできる!!」
黒咲の言葉を聞いた素良は懐から取り出したペロペロキャンディーを
【遊びさ…本気でヤル訳ないじゃん?ボクの仲間だってそう…みんな、遊びでキミたちを狩ってるんだ!!だってキミたちは…
邪悪な笑みを浮かべた非道にして醜悪な──『侵略者』だった。
【魔法カード『
それは素良の切り札…子どもの持つ残虐性の具現たる魔獣、3つの頭を持つ魔獣のビックリ箱が子供達の悲鳴をBGMとして具現化する!
【バトルだ!『マッドキマイラ』で『ブレイズファルコン』を攻撃!!】
『本性を曝け出したかっ…!』
マッドキマイラから放たれた巨大ミサイルが赤き翼を撃ち落とす!
【これでオマエの残りライフは400…!そして『マッドキマイラ』の効果発動!破壊したモンスターをボクのフィールドに特殊召喚する!さらに、この効果でコントロールを得たモンスター1体につき攻撃力は300アップする!これで、オマエのモンスターもボクのモノだ!分かっただろ!キミにボクは狩れない…狩られるのは常にキミ達だ!これからもずっと!!】
狂気を宿した素良は黒咲を嘲笑う…その様子に観客席の遊矢達も困惑している。
【最後はキミのモンスターでトドメを刺してあげるよ…そうすればキミは──】
『笑止』
【なに…?】
しかし、黒咲は動じていなかった…その冷たい鷹の目が素良を射抜く…!
『俺達、レジスタンスは常に「最悪」を想定して戦ってきた…共に戦ってきた仲間を敵に連れ去られる事も考えながら…!だが、例え奪われたとしても!俺達は決して見捨てない!!仲間は、必ず取り戻す!!速攻魔法!「RUM-レボリューション・フォース」発動!!相手のエクシーズモンスターのコントロールを奪い、ランクの1つ高い「RR」にランクアップする!!』
それは黒咲の…レジスタンスの決意、奪われた故郷を…仲間を取り戻す為に、彼らはその命を燃やし戦い続けてきた!!
『誇り高きハヤブサよ!英雄の血潮に染まる翼翻し、革命の道を突き進め!!ランクアップエクシーズチェンジ!!現われろ!!「RR-レボリューション・ファルコン」!!』
大地から吹き出す炎の中でハヤブサが進化を遂げる、侵略に抗う革命の翼…その名は『レボリューション・ファルコン』!!
【はっ…なんだよ?革命とかなんとか言って、攻撃力2000ぽっち?それじゃあ『マッドキマイラ』は倒せない!!】
『果たして…そうかな?』
【っ…!!どうせ、ハッタリだろ!?キミのフィールドには魔法・罠はないし!アクションカードだって…】
『「レボリューション・ファルコン」の効果発動!このカードが「RR」を素材としてランクアップした時!相手が特殊召喚したモンスター1体を破壊し、その攻撃力の半分のダメージを与える!!』
【なにっ!?】
『いけっ!!「レボリューション・ファルコン」!革命の火に灼かれて…散れっ!!』
それは相手を殲滅する無情の火…大空に舞い上がった革命の翼は無数の砲弾を雨のように撒き散らす!!
「や、やめろぉぉ!!こんなの、『デュエル』じゃない!!オレの信じるデュエルは…みんなを幸せに──!!」
爆撃音が響く中、遊矢が絶叫する…だが、その願いは…希望は………爆音に掻き消されていく…。
【っ───あった!アクションカード!これさえ────あっ…?】
爆撃の中、必死にアクションカードを探す素良…そして、アクションカードを手にしたが……発動する間もなく、ハートランドのセントラルタワーに押し潰される…。
派手に破壊を行わなければ、発動する一瞬は稼げたかもしれない……それは素良の狂気が招いた敗北だった…。
素良LP0
黒咲WIN!!
「あ、ぐ……」
『お、おっと……か、勝ったのは!LDSの黒咲選手だ〜!!』
素良が完全に下敷きになる直前、ソリッドビジョンが消滅する…そして困惑しながらも、ニコの勝利宣言が…静寂に包まれたスタジアムに木霊した…。
『………!!』
『黒咲、それ以上は止めとけ……あとはLDSに任せるぞ』
『凌牙っ……わかった…!!』
デュエルが終わり、黒咲は素良に歩み寄る…だが、それを止めたのは通信越しの凌牙だった。
黒咲は融合次元から鹵獲した「カード化装置」を渡されていない…ならば怒りに囚われた彼が『何をするか』は明らかだったからだ。
『……フン』
「ま、て…!勝負はまだ、終わってない…!!ボクが負けるはず、ない!!」
『(………)』
凌牙の言葉を聞いた黒咲は踵を返す…その背中に起き上がろうとする素良が負け惜しみを叫ぶ……その時の黒咲の眼は……素良を哀れんでいるようだった…。
「ボクが…ボクが、エクシーズの、やつら…なんか、に…もう一度、もういちど………でゅえる、を───」
駄々をこねるようにデュエルを望んだ素良は…そのまま、地面へと倒れ込んだ…。
「そ、素良!!素良ぁぁ──!!」
凍りついたスタジアムに遊矢と柚子の悲鳴が響いた…。
───────────────────────
ドクン!!
「っ……あ、が、ああっ…!!!」
《フォウ!!フォーウ!?》
黒咲と素良の決着を見せつけられた遊希…その時、胸の激痛が遊希へと襲いかかる…!
「(なんだ、この感覚…!!怖い……悲しい…!許せない!赦さない!!痛い!!)」
…それは体の痛みではない、遊希の心が──その奥に眠る『魂』が…激しい戦いを前に傷付き、悲しみ……憤怒した痛みだった。
「あ、あああ…!!許せない…デュエルを、戦いに…戦争の道具にするなんて、許さない…!!」
激しい怒りで視界が紅く明滅する…デュエルとは決して争う為のモノではない、遊勝の背中を…人々を沸かせるデュエリストの姿に憧れた遊希の心が、怒りに支配され───
ガチャ
「おーい、遊希〜!飼い猫が逃げて──おいっ!?大丈夫か!?」
「かつ、や…」
もがき苦しむ遊希の前に現れたのは…腕にフォウを抱えた城之内だった。
偶然、見舞いの為に榊家の前を通りかかり…飛び出してきたフォウが彼に助けを求めたのだ…。
「遊希!大丈夫か!しっかりしろ!!お前、またなんか無茶したのか!?」
「あ、う……大丈夫、ちょっと…興奮しすぎた、だけ…だから……」
城之内に助け起こされる遊希…その胸から静かに痛みと「悪意」が引いていく……それは不思議な感覚だった…。
「昨日のデュエルの時に調子が悪そうだったから顔を見に来てみれば…お前、いったいどうしたんだよ!?」
「わからない…でも、僕の中の『何か』が…今のデュエルに……ううっ…」
「おい!遊希!遊希─!?」
痛みが引いた遊希はそのまま意識を失う…だが、その心に芽生えた『憤怒』が消える事はなかった。
ドクン…