転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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迫る闇の影~ユウミとミドリ~

俺と翠が外に出ると女性の仮面を被った蛇のような黒い魔物が暴れていた。

「遊海さんあれは!?」

「女邪神ヌヴィアか…!?」

「神官様!助けてくれ!」

「落ち着いてくれ!何があった!」

「収容施設から逃げ出した女囚が突然苦しみ出してアイツが出てきたんだ!女囚本人も巻き込んで大暴れしてるんだよ!」

「わかった!ありがとう!すぐに逃げるんだ!」

「はい~!」

 

 

 

 

「遊海さん、どうするんですか!?」

「…気合だ!来い!決闘盤…!!」

シーン

「…アレ?」

[₪₪₪₡₪₡₪₪$!!]

「ゴフッ!?」

ヌヴィアの尾が振るわれ遊海が吹き飛ぶ

 

遊海 魂90/100

翠 魂100/100

 

 

 

「イタタタ…おかしいな…気合で出るはずなのに…」

「遊海さん!?何か減ってますよ!?」

「…やられ過ぎるのはマズイな…」

[₡₡₡₪₡₪₡₡₡₪!!] 

「危ない!千年指輪よ!私達を守護せよ!」

翠の宣言と共にバリアが張られヌヴィアの攻撃を防ぐ!

翠95/100

「すまん!翠!」

「大丈夫です!でも早めに何とかしてください!!」

「なら…千年玉の元に来い!神官文字の白竜よ!!」

遊海の言葉に応じて千年玉が輝きを放つ、すると空よりウジャト眼を刻んだ龍・トフェニドラゴンが現れる

「行け!白竜よ!」

「(了解した!主殿!)」

「えっ!?」

白竜の精霊が魔法陣でヌヴィアを包み、爆発させる!

[₪₡$₡₪₪₪₪!!??…]

ヌヴィアは爆発に耐えられず黒焦げで倒れる

「千年玉よ!魔物を吸収せよ!」

千年玉が光を放つとヌヴィアが吸収される…どうやら勝ったようだ…。

遊海80/100

 

 

「何とか勝てましたね…」

「ああ…白竜の…いや『トフェニ』のお陰だ…」

「(主殿…いつもと雰囲気が違いますが…)」

「ああ、なぁ…お前は『遊海』の『トフェニ』だよな?」

「(ユーミ?誰ですかそれは、私はあなた様、シュウ様の精霊では無いですか!…おや、テフ嬢も一緒でしたか、魔物には気をつけくださいね…では!)」

「ちょっと!?」

トフェニはそう言うと消えてしまった

「遊海さん…」

「たぶんNPCの枠に入れられたせいで能力が制限されてるのかも…」

「そんな…」

 

 

 

 

「なぁテフ…」

「シュウさん?私は…あれ…名前…なんだっけ…?」

「…まさか…記憶が上書きされてる…?」

遊海と翠は突然自分の名前がわからなくなった。

 

 

「そんな!…そうだ!カルトゥーシュ!」

翠は胸元から金色のカルトゥーシュを取り出す

「ミドリ!私の名前はミドリです!」

「俺はユウミだ!」

二人はそれぞれのカルトゥーシュを見て名前をかろうじて思い出す。

「これは…ヤバイな…たぶん俺達はこの世界の『バグ』なんだ。だから世界が記憶を上書きしてバグをなくそうとしてる…このままだと記憶がNPCに飲まれかねないぞ…!」

「なら早く王宮…遊戯さんの所に…」

「大変だ!王宮を襲った盗賊と相討ちになって六神官のマハード様がやられたそうだ!」

「なんだって!?」

マハード様…あの優秀な精霊魔導師様が…ってなんだ…この記憶は…マズイ…浸食される…!

「ユウミさん!しっかり…!」

「行こうテ…ミドリ!記憶が浸食される前に!」

「はい!」

遊海達は村人から馬を借りて王宮を目指した…。

 

 

 

 

 

 

王都に着いて目にしたのはオシリスと精霊獣ディアバウンドの闘い…いや逃走戦だった、ディアバウンドはこちらに向かってくる!

「シュ…ユウミさん!あれは!?」

「バクラのディアバウンドだ!食い止めるぞ!!来い!神官文字の白竜!」

「黒き龍よ!」

遊海はトフェニ、翠はレッドアイズを出してディアバウンドを食い止める!

「なんだキサマらは!どきやがれ!!」

「我らファラオに仕える神官なり!」

「逆賊よ!ここは通しません!」

バクラの進路に遊海と翠が立ちふさがる!

「ならぶち殺すまでだ!いけ!精霊獣!!」

[オオオオ!]

ディアバウンドがトフェニに向かう!

「トフェニ!反射の陣!」

「(御意!)」

トフェニの魔法陣がディアバウンドを跳ね返す

「黒き龍!『黒き炎弾』」

「キャオオオ!」

レッドアイズの息吹がディアバウンドに直撃する!

[ガアアアア!?]

「チイッ!」

 

遊海 魂70/100

翠 魂90/100

バクラ80/100

 

 

『追い付いたぞバクラ!』

[ギャオオオ!]

二人の足止めによりファラオとオシリスがバクラに追い付く!

「チッ!ファラオめ…」

「ファラオよ今のうちに逆賊を!」

「私達もいつまでも押さえられません!!」

『シュウ!テフ!(いや…あのカルトゥーシュは!?)』

「ユウギ!早く!…グアっ!」

「ユウミさん!キャ!?」

ディアバウンドがトフェニの魔法陣を破り二人の魔物を吹き飛ばす!

 

遊海 65/100

翠 80/100

バクラ75/100

ファラオ60/100

 

 

『遊海!翠!!』

「ユウギ!早く盗賊王を」

『…わかった!すまない!』

 

王はバクラを追いかける、しかしディアバウンドは闇に紛れ無関係の民達を襲い始めた、そしてファラオはセトと共にディアバウンドを迎撃するが遂にオシリスが倒され、魂が尽きかけてしまう…

 

ファラオ10/100

 

『こ…ここまでか…?』

「もう一人の僕!しっかりして!」

『相棒!みんな!!』

「ユウギ!」

「ユウギさん!」

『遊海!翠!』

「えっ!遊海!?なんだよその格好!?」

「ジョーノ…ジョウノウチさん!説明は後で!!」

「ユウギさん!諦めないで!」

『そうだ!俺にはまだ力が残されていた…掛け替えのない仲間という力が!

バクラ!殺戮という名の狂気の闇、神の降臨によって打ち砕く! 出でよ、「ラーの翼神竜」!!』

 

遊戯50/100

ファラオ60/100

 

遊戯の力を借りたファラオは最後の神、ラーを召喚する!

 

「太陽の神だと…馬鹿な!オシリスを葬った時に遊戯のバーも尽きたはず…新たな神を呼ぶ余力など…あるはずが…。

チイッ!…あいつらが現れたからか。器の力で遊戯のパワーが回復したってのか!!?」

そして…

『燃ゆる我が魂の業火、この神の一撃に込める。ラーの攻撃!いけ、ゴッドフェニックス!!』

ラーが炎を纏いディアバウンドに突っ込む!

「迎え撃てディアバウンド!サンダーフォース!」

ディアバウンドがオシリスのコピー技を放つ、しかし

「ゆけ、デュオス!オーラフォース!

我が魂を全て開放し打ち出したオーラフォースでサンダーフォースの軌道を変える!」

[ゼアアア!!]

「何!?」

「今です!ファラオ!!」

『太陽神よ放て!』

「ぐああぁぁあ!」

神の炎がディアバウンドとバクラを焼き尽くす!

 

バクラ 魂0/100

 

「ふ…ふざけんじゃねぇ…このオレ様が、こんなところで…くたばるわけが…ねぇだろうがーっ!!!?」

 

 

      《時の巻き戻し…発動!》

 

 

 

『オシリス!?何が起きた!?』

バクラを倒したと思った瞬間、時が巻き戻る…そして…

「じゃあな王様!こいつは頂いてくぜ!」

『バクラ…貴様…うぁぁぁ!!』

「ファラオーっ!!」

「シュウ様!」

「テフ!ユウギ達と合流しろ…!頼んだぞ!!」

「そんな!?シュウ様!ファラオー!!?」

ファラオ、そして遊海は谷に消えた…。

 

 

 

 

 

そして時の巻き戻しでファラオと離れてしまった遊戯達は…

「まだこの世界があるって事はもう一人の僕は絶対生きてる!…探そう!」

「遊戯…そうだね!行こう!」

「…あなた達は…ユウギ様ですか…?」

「翠ちゃん!!」

出発しようとした遊戯達に翠が話しかける

「ミドリって誰ですか?…私はテフです、シュウ様の命であなた達と合流するようにと…」

しかし翠は違う名前を名乗る

「(翠どうしたの!!)」

「(翠さんしっかりして!?)」

杏子の懐から小さなウィンダとウェンが飛び出す

「ウィンダ…ウェン…?」パキーン

「翠ちゃん?」

「!?…杏子さん!遊戯さん!」

「翠ちゃん!正気に戻った!」

「翠さん!何があったの!?というかその格好は!?」

「…説明すると長くなりますが…」

 

そして翠は闇遊戯が記憶の世界に来る時に遊海と巻き込まれた事、記憶の世界でシュウとテフという役割を押し付けられた事、そしてその役割にのみ込まれかけていた事を遊戯達に説明した。

「遊海さん曰く私達はこの世界の『バグ』なんだそうです…だからこの世界の修正力が私達を封じようとしたんじゃないかって…」

「そんな事が…」

「…翠さん、遊海君は?彼はどこに」

「遊海さんは…ファラオ…闇遊戯さんを追って谷底に…」

「そんな…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

『う…うぅ…ここは…?』

「!…ファラオ!お目覚めになりましたか!」

闇遊戯が目覚めると暗い洞窟だった…

『お前は遊海か…?』

「ファラオ!寝ぼけているのですか?私はマハード様直属魔物討伐部隊のシュウではありませんか!」

『いや!お前は『遊海』だ!』

「何を言っているんですかファラオ!私は…くっ!?頭が…」

突然頭を押さえ始める遊海…そして…

『遊海!?』

「…久しぶりだなもう一人の遊戯…我を覚えているか?」

突如、遊海の口調が変わる。

『お前は…「ユウスケ」か?』

「ああ…そうだ、ドーマの事件以来だな…!」

『お前が出てきたという事は…』

「そうだ、コイツは『遊海』だ…外見は違うけどな…

表が役割にのまれちまったから我が出てきたんだ!」

『役割…?どういう事だ?』

 

 

そしてユウスケは語り出す、この世界がファラオの記憶をモチーフにしたRPGの世界であり、遊海と翠がNPCに憑依して巻き込まれた事。二人が役割にのみ込まれ自我がシュウとテフになる事を…

 

「遊海と翠は本来この世界にいない『異物』だ、それを世界が無理矢理NPCに憑依させた事で遊海は記憶と自我をシュウに塗り替えられてるんだ…」

『二人を元に戻す方法はあるのか?』

「…可能性は二つある、一つはこの世界をクリアすること。もう一つは遊海を遊戯達に会わせて正気に戻った翠か精霊のアヤカに名前を呼ばせれば良い、そうすれば呪縛が解けて元の遊海に戻る筈だ!」

『…わかったありがとう、ユウスケ…』

「ふっ、精々頑張りなファラオ!…最後だ…もう少しで新しい道しるべが来る筈だ。呪われた村…クル・エルナ村へ迎え…物語は…進む…!」

『ユウスケ!』

 

「…あれ、私は一体?ファラオよ…私は?」

『シュウ…いや何でも無い…!誰だ!』

ファラオは後ろに気配を感じて振り返る、そこにいたのは黄金のマスクを被った巨漢だった。

《我が名はハサン…ファラオ、大邪神ゾークは蘇ろうとしている…ゾークを倒せるのはそなたしかいない》

『大邪神…ゾーク?』

《先王アクナムカノンが…そなたを見守っている》

『お前は父上を知っているのか、ハサン!』

《…》

ハサンは消えてしまう…すると

「遊戯!」

「もう一人の僕!!」

「王子!」

「遊海さん!」

『相棒!杏子!翠!みんな!!』

ついに現代組と再会するファラオ、そして…

 

 

「おお!テフ!無事に彼らと合流できたんだな!」

「遊海さん…完全に役割に…」

「アヤカ!?」

遊戯の懐からアヤカが飛び出す!

「何をやってるんですか!このバカマスター!!」

「ごはっ!!?」

体当たりで遊海を吹っ飛ばす!

「ちょっとアヤカさん!?」

「あなたはシュウじゃありません!!私のマスター!『白波 遊海』です!!」

「…!」パキーン

「遊海さん…?」

「翠…?俺は…?」

「遊海さん!よかった!!」

そして束の間の再会を果たした遊戯達は喜びあう、しかしファラオは遊戯達に現世に戻るように伝え、クル・エルナ村へ向かってしまう。

「翠…遊戯達を頼む!俺はファラオと一緒に行く!」

「…わかりました!私達は『名前』を探します!」

「名前?」

「遊戯さん、この世界ではもう一人の遊戯さんの『名前』が鍵になります…それを探しましょう!」

「…わかった!」

「遊戯さん、翠!頼んだよ!」

そして彼らは二手に別れて行動し始める。

 

 

…邪神復活まであと少し…

 

 

 


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