転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
「この漢権現坂、こんなトリックには惑わされん…!そこだ!!『超重荒神スサノ-O』で攻撃!!」
『ぐわ〜!?何故、わかったぁ〜!?』
『変幻自在のトリックデュエル、此処に敗れる!アクションフィールド「エコール・ド・ゾーン」でのデュエルを制し、三回戦への出場を決めたのは権現坂道場、権現坂昇選手だ!!』
一夜が明けたスタジアム、そこでは権現坂が三回戦への出場を掴み取っていた…。
「次は…遊矢兄ちゃんの試合だね…!」
「うん…!」
『続きまして…第二試合!遊勝塾、榊遊矢選手対梁山泊塾、勝鬨勇雄選手の戦いです!!』
ニコのコールが響く中、遊矢が観客達の声援に応えながら入場する…!
「遊矢兄ちゃん、大丈夫かな…!?」
「対戦相手は、あの勝鬨…シンクロコースの刃をあんなにボコボコにして……」
「痺れるくらい、凄まじかったぜ…」
その時、観客席の仲間達の表情は険しかった…前日の凄まじい無法なデュエルを見た仲間達は遊矢の事を心配していた…。
「勝鬨は去年のジュニアユース選手権の準優勝…つまり、今大会の優勝候補ナンバー1と見て、間違いないだろうな…」
「権現坂…」
試合を終えた権現坂が遊勝塾に合流する…勝鬨はこの大会でエリートである北斗に並ぶ優勝候補なのだ。
『………』
遊矢の入場が終わったスタジアムに銅鑼の音が響き渡る…そして静かな闘志を漂わせながら、中華の任侠のような服を着た青年…勝鬨が入場する。
…前日の容赦のない戦いが記憶に新しい観客達は静まり返ってしまっている。
「『デュエルに笑顔は禁物』…それが梁山泊の流儀だからな……彼らにとっては、
子ども達の様子を見た修造は梁山泊塾の
「塾長の郷田川梁山は昔っから、強引で手荒なデュエルを批判されてきた…だが、それを跳ね除けるように、たくさんのプロタイトルを獲得してきた……奴は塾を開くと『全寮制』にして、学校に通う以外は外出や寄り道も禁止…プロになるまでは、両親にも会わせないらしい…」
「そんな…おれだったら逃げ出しちゃうよ…」
「それでも、梁山泊への入塾希望は跡を絶たない…プロ輩出者数はLDSに次ぐ勢いだ…」
塾生に過酷な修行生活を強いる梁山泊…故に、その実力も高い……それだけ、この世界では『デュエルモンスターズ』の重要度が高いのだ…。
「その中でも、メキメキと頭角を著してきたのが…勝鬨勇雄なのだ…!」
「でも、心配ないよ……遊矢には遊勝さんのエンタメデュエルがある、彼の冷え切ってしまった心を…きっと、デュエルの楽しさっていう『炎』で暖めてくれるはずさ…」
「遊希さん…」
高い実力を持つ勝鬨…それに挑む遊矢を前に遊希は穏やかに告げる、遊矢の持つ『エンタメ』の力が、彼を変える事を信じて…。
『それでは、両者向かいあったところで…フィールド魔法の選択です!選ばれたフィールドは…フィールド魔法「仙界竹林」!!』
ニコの宣言と共にリアルソリッドビジョン投影機が起動する…現れたフィールドは空中に浮かぶ竹林が点在する不思議な仙境だった!
「昨日、お前のデュエルを見せてもらったよ!」
『フッ!フッ!ハァ~…!!』
デュエルを前に勝鬨に語りかける遊矢…だが、勝鬨は会話は不要とばかりに拳法の演武を遊矢に繰り出す…!
「オレは…お前のデュエルを認めない、あんな戦い方は…デュエルじゃない!!」
『……戦いの殿堂に集いし、デュエリスト達が』
「っ…!モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い!フィールド内を駆け巡る!」
『見よ、これぞデュエルの最強進化系!!』
『アクショ〜ン!』
『「デュエル!!」』
一言も言葉を交わさぬまま…遊矢と勝鬨、相容れぬ2人のデュエルが始まった…!
デュエルダイジェスト 遊矢対勝鬨
『……!』
「っ…それじゃあ、オレのターン!」
勝鬨は手を前に突き出し、呼び寄せる動作で遊矢を挑発…先攻は遊矢となった…!
「『EMシルバー・クロウ』を召喚!いくぞ!!」
遊矢は銀狼を召喚、その背中に飛び乗りフィールドを駆け抜ける…それだけでスタジアムに歓声が巻き起こる!…の、だが…。
「ゆ、遊矢兄ちゃん!前見て前〜!!」
「突っ込むぞ!?」
「へっ…!?シルバークロウ!ストップ!スト──もがっ!?」
「あらら…いつも通りというか、なんというか(汗)」
観客達の声援に応えていた遊矢は前方不注意で竹林に衝突…パンダの如く、笹を食むハメになった…その少しおどけたデュエルスタイルはいつもと変わらないように見えた…。
「ぶるぶる…オレは、これでターンエンドだ!」
『自分のターン、ドロー!』
銀狼を召喚し、様子を窺う遊矢…そして、勝鬨の一手は…。
『相手フィールドにのみ、モンスターが存在する時!「地翔星ハヤテ」は特殊召喚できる!』
勝鬨が召喚したのは狼の皮を纏う中華風の戦士…その攻撃力は銀狼を上回っている!
「やべっ…見つけた!アクションカード…!」
『バトル、「ハヤテ」で「シルバークロウ」を攻撃!』
フィールドを駆けながら、遊矢は竹に引っかかったアクションカードを見つけて駆ける…その時だった。
グサッ!!グサッ!!
「うわっ!?」
銀狼の足元に竹槍が突き刺さる…それによって遊矢はその背中から投げ出されてしまう!
『フッ…遅いんだよ…!バトルは続行だ!!』
「くうっ…!!破壊された『シルバークロウ』はエクストラデッキへ…!」
竹槍を投げたのは勝鬨だった、その妨害によって遊矢を追い抜いてアクションカードを獲得、銀狼を撃破する……これが、梁山泊塾の戦い方である…。
『ターン、エンド!さぁ…かかってこい…!』
「お前はあくまで、そんなデュエルをするつもりか……なら、オレは…オレの信じるデュエルをする!!」
遊矢を挑発する勝鬨…彼にデュエルの楽しさを伝える為、遊矢は全力を尽くす!
PENDULUM!!
「スケール4の『EMトランプ・ウィッチ』とスケール8の『時読みの魔術師』でペンデュラムスケールをセッティング!揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け、光のアーク!!ペンデュラム召喚!!現われろ!雄々しくも美しき二色の眼!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!!」
遊矢はペンデュラム召喚によってエースたるオッドアイズを呼び出す!
「お楽しみは…これからだ!!」
『お楽しみ?』
「ああ!デュエルは、楽しまなきゃ!」
『自分は
「勝ちたいのは、オレも一緒さ!だけど…デュエルはそれだけじゃない!!」
『…フン』
ぶつかり合う遊矢と勝鬨の言葉…ただ勝利を求める勝鬨、お互いに気持ちの良い…楽しいデュエルを求める遊矢、その勝負の行方は…。
「さらにオレは『EMラクダウン』を召喚!バトルだ!『オッドアイズ』で『ハヤテ』を攻撃!」
『「ハヤテ」のモンスター効果!自分の場に自身以外のモンスターが存在しない時、1度だけ攻撃を無効にする!』
ハヤテの放った気功がオッドアイズを吹き飛ばす…だが、遊矢はまだ終わらない!
「灼熱の地より生還せし獣よ!神秘の龍と1つとなりて、新たな力を生み出さん!融合召喚!!野獣の眼光し、獰猛なる龍!『ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!!」
遊矢はトランプウィッチの効果で融合…切り札たる野獣のオッドアイズを呼び出す!
「よしっ…!」
『っ……そうか、お前と自分が戦うのは…
「えっ…?」
ペンデュラム融合を決め、笑みを見せる遊矢…その表情を見た時、勝鬨はとある記憶を思い出した…。
それは梁山泊塾に入塾する、まさにその日…郷田川塾長と共に梁山泊に向かう最中……勝鬨は遠目ながら、川辺で楽しくデュエルをする遊勝・遊矢親子の姿を見ていたのだ…。
そして…その時、塾長に言われた言葉が…今も彼の胸に残っている。
【デュエルが楽しいなどと思うな、お前の征く道はそんな甘いモノではない】
【そのデュエルディスクを買ってくれた親に会えるのは、お前がプロになった時だけだ】
【お前はそれまで──ひたすら暗い、闇の道を歩き続けるのだ】
それが、勝鬨の
「バトルだ!『ビーストアイズ』で『ハヤテ』を攻撃!!」
『アクションマジック「回避」!攻撃は無効だ!』
勝鬨へ突っ込むビーストアイズ…だが、その攻撃はアクションマジックに防がれる!
『どうした?楽しい
「なにっ!?」
『終わったなら…疾くターンエンドしろ、次は…自分のターンだ…!』
「っ…今度はそっちに楽しませてもらうよ…!ターンエンド!」
そして、憎しみに満ちた宿星が遊矢へと牙を剥く…!
『天駆ける星、地を飛び…今ひとつとなりて!悠久の覇者たる星と輝け!!融合召喚!来い!「覇将星イダテン」!!』
勝鬨は舞網チャンピオンシップスを制する為に会得した融合召喚を開放…覇者たる星が降臨する!
「攻撃力3000…アクションカードで、挽回する!」
『先に「イダテン」の効果を教えてやる…このカードのレベル、10以下のモンスターとバトルする時!そのモンスターの攻撃力は0となる!』
「なんだって…!」
勝鬨はイダテンの持つ効果を遊矢に伝える…そして、ダメ押しとなるカードを発動する!
『さらに自分は装備魔法「魔星剣」を装備!このカードは…手札の魔法カード1枚を墓地に送る事で「イダテン」の攻撃力を100アップする!……ダアッ!!』
「うわっ…!?」
それはアクションカードを墓地に送れば、攻撃力を強化できる装備魔法…さらに、竹林の竹を手刀で切断し遊矢に投げつける!
『まずは…1枚』
「いっ、て…!まずい、あと9枚拾われたら…!っ!!」
『させん!』
「ぐあっ…!?」
「魔星剣」の効果を使わせない為にアクションカードを探す遊矢…だが、見つけた瞬間に勝鬨が妨害を仕掛ける。
見つける…殴る…見つける…殴る、見つける、殴る、見つける、殴る…殴る…殴る…殴る…殴る…勝鬨は自身の憎しみと勝利の為に、遊矢を痛めつける…!
「遊矢…負けちゃ、ダメだ…!自分のデュエルを貫いてくれ!遊矢!!」
「遊希さん…!」
殴られ続ける遊矢…その様子を見ていた遊希は絞り出すように叫ぶ、その拳は固く握り締められていた…。
「あと、1枚を取られたら…マズイ!!」
『お前には、絶対にアクションカードは渡さない…!お前は今まで、影一つない
「なにっ…?」
『自分は、ひたすらに闇の道だけを歩んで来た……お前のような者には…負けない!!必ず、自分が勝利する!!』
最後のアクションカードを得る為に走る中、勝鬨は遊矢を罵倒する…明るいデュエルをする遊矢を貶す言葉を…だが、それは…。
ブチッ!!
「ふざけんな!勝鬨ぃぃ!!!」
『っ…!?』
「遊希に…!?」
遊矢を大切に思う男の逆鱗に触れた…!
「遊矢が光の道だけを歩んで来ただと?そんな訳ない…!!遊勝さんがストロング石島との戦いを前に姿を消して!そのせいで遊矢はたくさんの人々から蔑まれ、馬鹿にされ!イジメられて!!遊矢がどれだけの苦しみを、悲しみを飲み込んでエンタメデュエルに挑んでると思ってるんだ!!自分が…自分だけが茨の道を進んでると思うな──!!」
「ゆ、遊希さん!落ち着いて─!!」
その傷だらけの身体の何処から、それだけの大声が出るのか…遊希の叫びがスタジアムへと響く…。
……勝鬨はデュエル漬けの生活を過ごしてきたせいで知らなかったのだ、遊矢の父の失踪を…世間から遊矢に向けられていた「悪意」を……。
『っ…それでも、勝ちは譲らない!!「イダテン」で「ビーストアイズ」を攻撃─!!勝利の風は本当の「闇」を見た者だけに吹くのだ!!』
「諦めてたまるかァァ!!」
遊希の叫びに一瞬の動揺を見せる勝鬨…そして諦めず飛び出す遊矢、アクションカードの奪い合いの行方は──
ドン!!
「う、ぐ…!」
『…首の皮一枚、繋がったか』
「ぜぇ…ぜぇ…遊矢…!」
ビーストアイズが撃破され、砂煙が晴れていく……そこには勝鬨に腕を踏みつけられながらも、アクションカードを手にした遊矢がいた。
その残りライフは…僅か、100
『お前の敗北…真の闇はすぐそこだ……!ひたすら暗い闇の中に堕ちるがいい』
「っ…う…」
ターンを終えた勝鬨は遊矢に勝利宣言を突き付ける、最悪の言葉と共に…!
ドクン!!
「うぐっ!?」
「遊矢…!?」
その言葉が引き金となって…覇王の片鱗が目覚めるとも知らずに…!
Side遊矢
「ここは…えっ…?」
気付けば遊矢は漆黒の闇の中にいた……そしてそこには、姿を消したユートが佇んでいる。
「あっ…」
そして遊矢は無意識にユートへと手を伸ばす、そしてお互いの手が…意識が重なり合い……。
悪魔の欠片が、目を覚ます。
Side Out
『っ…なん、だ?』
【……】
天気が急変し、雨雲に覆われるデュエルフィールド…その暗闇の奥で遊矢が静かに目を開ける、その雰囲気は…先ほどとは違っていた…!
【
「っ…遊矢っ!?」
《フォウ…グルル…!!》
遊矢のフィールドに吹き荒れる嵐…それを見た時、遊希は胸騒ぎを覚える…今の遊矢は、
【
遊矢はただ淡々と…しかし、恐ろしい程低く、冷たい声でデュエルを続ける…!
【揺れろ、魂のペンデュラム…天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚…いでよ、我が下僕のモンスター達!『ラクダウン』!『シルバークロウ』!】
ペンデュラムが揺れ動き、銀狼とラクダが現れる…そのレベルは、4!
【我はレベル4の『シルバークロウ』と『ラクダウン』でオーバーレイ…エクシーズ召喚!漆黒の闇より…愚鈍なる力に抗う、反逆の牙!「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」!!】
光の銀河が弾け飛ぶ…そしてユートの魂たる反逆の牙が咆哮する!!
「ユートの、ダークリベリオン!?なんで、遊矢が…!?」
ペンデュラムエクシーズに成功した遊矢…だが、1番驚いたのは、1回戦でユートと戦っていた遊希だった…!
【「ダークリベリオン」の効果、発動…ORUを1つ使い、レベル5以上の相手モンスターの攻撃力を半分にし、その数値分自身の攻撃力をアップする…その効果を、
『なにっ!?』
反逆の牙の紫電がイダテンの力を奪い去る…その攻撃力──5200!
【バトルだ、『ダークリベリオン』で『イダテン』を攻撃!】
『だ、だが無駄だ!「イダテン」の効果発動!このカードのレベル以下のモンスターの攻撃力は0になる!!』
【エクシーズモンスターはレベルを持たない、よって…効果は無効だ】
『なに…!?レベルを持たないなら
攻撃を仕掛ける反逆の牙を前に勝鬨はイダテンの効果を使う…だが、勝鬨は知らなかった…エクシーズモンスターは『レベルに関係する効果』を受けない事を…。
【反逆のライトニング・ディスオベイ!!】
『がはっ…!!』
反逆の牙がイダテンの胸を貫く…それは、見事なまでの逆転ワンショットキルだった。
勝鬨 LP0
遊矢 WIN
『え、えっと……勝者は、榊遊矢選手…です』
雨が降りしきるスタジアムに勝者を知らせるブザーが静かに響く…だが、歓声はない……あまりにも恐ろしい遊矢の気迫に、観客達は、声を出せなくなっていたのだ…。
「っ…!遊矢!!」
「あっ…遊希さん!!」
その直後、遊希は柚子が止めるのも聞かず観客席から
バチン!!
「遊矢!!お前は、何をしてるんだ!!」
「えっ、あ……遊希、にい…?」
遊希は遊矢の頬をはたく…そこで遊矢はようやく正気を取り戻した…。
「っ……遊矢、勝鬨に謝ってこい!今すぐに!!」
「えっ、あっ…勝鬨!?ごめん、大丈夫か!?」
遊希の言葉を聞いた遊矢は倒れ込んだ勝鬨の姿を見つける…慌てて遊矢は手を差し伸べようとしたが…。
バチン!!
「あっ…」
勝鬨は…強く、その手を払い除けた…。
『っ……』
勝鬨は1人で立ち上がると観客席に座る塾長へ頭を下げてスタジアムを去る…その顔は悔しさと、悲しみに歪んでいた…。
「なんだよ、この空気……オレ、何を、しちゃったんだ…?」
「遊矢、今のデュエルでお前がしたのは……
「遊希兄…」
雨が降りしきるスタジアムに遊矢の肩を掴んだ遊希の言葉が消えていく、その時の遊希は──泣いていた…。
そして…悪魔の欠片は、さらなる悪意を呼び覚ます…。
気まぐれアンケート 「原作」ARC-Vで面白かった(良かった)のは?
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