転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!最近『書き溜め』というのを覚えたので…連続投稿!(執筆欲が全開とも言う…いつまで続いてくれるかな…?)


勝鬨とのデュエルの中で『覇王の片鱗』を見せた遊矢……そして、遊希はこの戦いの中で『何を』見せるのか…。


それでは、最新話をどうぞ!


Ep.22 魔王の影

「遊希兄…オレ、なんで…あんな事…!」

 

「……遊矢、確かに梁山泊塾の…勝鬨のデュエルは許されない戦い方だ、でも…暴力に暴力で応えてしまったら……それは、もう喧嘩と同じ……遊矢が目指す『エンタメデュエル』とは程遠いモノになってしまう……それは、分かってるな?」

 

「うん…」

勝鬨戦の終了後…第三試合は雨が止むまで開始が延期されていた、遊希はその時間を利用して怒りに身を任せてしまった遊矢を慰めていた…。

 

 

 

「一流のエンターテイナーは例え、自分がどれだけ辛い状況でも…お客さんの前では絶対にその姿は見せない、遊勝さんもそうだっただろ?風邪をひいていても、怪我をしていても…あの人はそんな姿を見せないで、みんなを笑顔にしていた……まだ、遊矢には難しいかもしれない……それでも、忘れないでくれ」

 

「遊希兄…」

遊勝の背中を見ていた1人として、遊希は優しく遊矢を諭す…一流のエンターテイナーとしての在り方を…。

 

 

「それより…なんで、遊矢がユートの『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』を持ってるんだ?いきなりエクシーズするからビックリしたぞ?」

 

「……それが……」

そして遊希はもう1つの疑問…遊矢が何故、ユートのドラゴンを持っているのかを訊ねる…そして遊矢は素良が行方不明になった後に何が起きたのかを初めて遊希へと伝えた…。

 

 

 

………

 

 

 

「4つの次元、次元同士の戦争、人間のカード化…遊矢と柚子に似た子ども達………そして、遊矢にカードを託して消えてしまったユート……ごめんな、遊矢…お前がそんな大変な事を背負い込んでるなんて知らなかった………すまなかった」

 

「遊希兄…信じてくれるのか…?こんな嘘みたいな話…」

 

「僕は遊矢がそんな嘘を吐く奴だとは思ってないよ、だから…僕は遊矢の事を信じる」

あまりにも荒唐無稽な話をする遊矢だったが、遊希はその話を信じる……それが、彼の…遊矢の家族としての答えだった。

 

 

 

『お知らせいたしま〜す!2回戦第三試合をただいまから15分後に開始いたします!出場する榊遊希選手と松星炎司選手は準備をよろしくお願いします!』

 

 

 

「ん……出番か、しっかし偶然にも程があるな…連続で梁山泊塾と当たるなんて…」

 

「遊希兄…大丈夫か…?勝鬨も、手加減ナシでアクションカードを取りにきた…きっと、他の奴も……」

ニコの放送がスタジアムに響く…それを聞いた遊希は立ち上がるが、遊矢は遊希の体を心配する…。

遊希は体が強い方ではない…その体で、梁山泊塾仕込みのデュエルに耐えられるのかと…。

 

「……心配するな、遊矢……()()はある、僕も僕なりの戦い方で…彼らに勝ってみせる」

心配する遊矢に対し、遊希は穏やかに告げる…そんな時だった。

 

 

 

 

「おっ…!いたいた!!遊希〜!探したんだぜ〜!?」

 

「あっ、克也と……舞さん!?どうしたんですか!?その怪我!?」

 

「…ちょっと、派手にやられちゃってね…イタタ…」

 

「あっ…遊希兄の友達の…!」

遊希達に声を掛けたのは親友の城之内、そして…所々に包帯を巻き、顔にも絆創膏を貼った孔雀舞だった。

 

 

「アタシの1回戦の相手が、アンタの戦う松星だったのさ…まったく、オンナにも容赦がないんだから……これだから、梁山泊塾はキライなのさ……」

 

「ひどい…!女性をここまで傷付けるなんて…!」

うんざりした様子で松星とのデュエルについて話す舞…いくらアクションデュエルとはいえ、ここまで女性に対して容赦がないとは遊希も思っていなかった…。

 

 

「本当ならオレが当たったら良かったんだけどよぉ…オレは次の試合でLDSの志島って奴が相手なんだ……だから…頼む、遊希……このデュエルで、舞の無念を晴らしてくれ…!」

 

「相手がラフプレーでくるなら、アタシ達は対策を取るしかない……これを使って、奴に一泡吹かせてやりな!」

 

「克也…舞さん……わかった、2人の思い……確かに受け取った!!」

遊希は舞が差し出した1枚のカードを受け取る…2人の思いを背負って…。

 

 

 

 

Side???

 

 

 

『……父さん、大丈夫かな…』

スタジアムの観客席への入場口…そこで凌牙は心配そうな様子でフィールドを見つめていた。

 

『梁山泊塾…無理矢理に闇の道を歩ませる教え方…そして、反則ギリギリの暴力デュエル…そりゃ、遊矢の中にいる「悪魔」も反応する訳だ…』

遊矢と勝鬨のデュエルを見守っていた凌牙は静かに呟く、梁山泊塾のデュエルスタイルは…明らかに「悪魔」の琴線に触れてしまうモノだったからだ…。

 

 

『父さんの体調は万全じゃないはずだ…せめて最小限のダメージでデュエルを終わらせて欲しいが……どうにも、胸騒ぎがする…』

遊希のデュエルを前に胸騒ぎを覚える凌牙…そんな時。

 

 

《フォウ、フォーウ!》

 

『フォウ…怪我は大丈夫か?もう痛くないか?』

 

《フォーウ!キュ!》

凌牙のもとへフォウがやって来る…凌牙の問いかけに元気に応え、頬を舐めている。

 

 

『……フォウ、父さんを頼む…!大会中、俺は何かがあっても、直接手出しはできねぇ……お前が頼りなんだ…!』

 

《フォウ!!》

凌牙の言葉にフォウは『任せて!』と言うように鳴いて応えた…。

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

『大変お待たせいたしました!雨は過ぎ去り、再び快晴と相成りました!二回戦第三試合、遊勝塾、榊遊希選手対梁山泊塾、松星炎司選手の試合だ〜!!』

ニコの実況が響くスタジアム…そこへ歓声を受けながらフォウを肩に乗せた遊希が、そして銅鑼の音と共にリーゼント風の黒髪にオレンジ色のスカーフを巻いた中華の武人風の青年が入場する…。

 

 

 

『それでは、アクションフィールドのセレクトです!選ばれたフィールドは〜…アクションフィールド「仙界炎谷」発動!!』

ニコの宣言と共にリアルソリッドビジョン投影機が作動する…現れたのは飛び石のような岩の柱が屹立し、谷底から炎が吹き上がる仙境の修行場だった…!

 

 

「すぅ……松星、さっきは遊矢がすまなかった……だけど、この試合とはまた別の話だ!デュエルは決して、お互いの優劣を競うだけのモノじゃない!僕は…僕のやり方で戦い抜く!」

 

『……貴様は分かってない…あんな負け方をした()()()が、これからどんな目に遭うのかを……負けたら終わり、奴は終わってしまった……ならば、せめて…お前の首級を手向けにしてやろう…!』

フィールド中央の広場で向かい合う遊希と松星…遊希は遊矢の豹変してしまった戦いを詫びる…だが、松星は鋭い目で遊希を睨んでいた。

 

 

 

 

「いくぞ…!戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

 

『モンスターと共に地を蹴り!宙を舞い!フィールド内を駆け巡る!』

 

『「見よ!これぞ、デュエルの最強進化系!」』

 

『アクショ〜ン!!』《フォウ!フォ〜ウ!!》

 

『「デュエル!!」』

遊希と松星、ニコの口上と共にアクションカードが灼熱地帯に散らばる…アクションデュエルが始まった…!

 

 

 

 

 

松星炎司LP4000

遊希LP4000

 

 

 

『先攻はもらう、俺のターン!』

『「微炎星─リュウシシン」を召喚!』

先攻を取った松星の場に腹当てに『微』の文字を刻んだ中華の戦士が現れる! ATK1800

 

『さらに永続魔法「演舞─天璣」を発動!このカードが存在する限り、自分の場の獣戦士族モンスターの攻撃力は100アップする!さらに、このカードを発動した時!デッキからレベル4以下の獣戦士族モンスター…「暗炎星─ユウシ」を手札に加える!』

炎の谷から飛び出した炎が新たなカードを導き、松星のモンスターを強化する!

 

リュウシシンATK1800→1900

 

 

『そして「リュウシシン」の効果発動!自分が「炎舞」カードを発動した事で、デッキから罠カード「炎舞─天璇」をセットする!そしてカードを2枚伏せ、ターンエンド!』

 

松星LP4000

リュウシシン 天璣 伏せ3 手札2

 

 

 

『さぁ、かかってこい…()()()の教え子よ…!』

 

「っ……その挑発には、乗らないぞ…!」

言葉で遊希を挑発する松星…怒りを押え込んだ遊希はデッキトップに手を掛ける!

 

 

 

 

「僕のターン、ドロー!」

「よし…!僕は手札からスケール1の『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』とスケール8の『EMクラシックリボー』でペンデュラムスケールをセッティング!これで僕はレベル2から7のモンスターを同時に召喚可能!」

 

PENDULUM!!

 

遊希の背後に光の柱が出現、仮面を着けた赤いドラゴンと音符を付けた毛玉が浮かび上がる!

 

 

「揺れろ!希望のペンデュラム…全能の奇跡よ、歴史を刻め!ペンデュラム召喚!手札からレベル4『EMユニ』!レベル4『EMロングフォーン・ブル』!そしてレベル6!『EMキングベアー』!」

赤水晶のペンデュラムが揺れ動く、そしてウマの尻尾を持つ少女、角がラッパになったウシ、王冠を被ったクマが現れる! ATK800 ATK1600 ATK2200

 

 

「『ロングフォーンブル』の効果発動!特殊召喚に成功した時、デッキからレベル4以下の『EM』モンスター『EMコン』を手札に加える!そして『ユニ』の効果!召喚・特殊召喚に成功したターン!手札からレベル3以下の『EMユニ』を特殊召喚できる!」

額からユニコーンの角を生やした少女が現れる! ATK600

 

「そして『ユニ』の効果発動!召喚・特殊召喚に成功したターンのメインフェイズ!攻撃力1000以下の『コン』と共に守備表示にする事で、デッキから『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』を手札に加える!」

2人の少女がしゃがみ込み、新たなカードを導く!

 

ユニATK800→DEF1500

 

コンATK600→DEF1000

 

 

「バトルだ!『キングベアー』で『リュウシシン』を攻撃!この時『キングベアー』の効果起動!このモンスターの攻撃力はバトル中、フィールドの『EM』カード1枚につき100アップする!フィールドの『EM』は自身を含めて5枚!500アップだ!」

キングベアーが仲間達の応援を力に変える! ATK2200→2700

 

『甘い!永続罠「炎舞─天璇」を発動!その効果によって「リュウシシン」の攻撃力をエンドフェイズまで700アップ!さらにこのカードが存在する限り、獣戦士族モンスターの攻撃力は300アップする!返り討ちにしろ!「リュウシシン」!!』

 

「しまった!ぐうぅ…!!」

大地を隆起させて攻撃するキングベアー…だが、その攻撃は避けられ、リュウシシンから飛び出した蛇のような炎がキングベアーを焼き尽くした…!

 

リュウシシンATK1900→2600→2900

 

遊希LP4000→3800

 

 

『そして「リュウシシン」の効果発動!「炎舞」が発動した事で、デッキから罠カード「炎舞─開陽」をセットする!』

 

「流石に、一筋縄ではいかないか…!カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

リュウシシンATK2900→2200

 

 

遊希LP3800

ユニ コン ブル (P ペルソナ クラシック) 伏せ1 手札1

 

 

 

『その程度か…次は、俺の番だ』

 

 

 

『俺のターン!ドロー!』

『「暗炎星─ユウシ」を召喚!』

胸元に「暗」の字を刻んだ戦士が現れる! ATK1600→1700→2000

 

 

『バトルだ!「ユウシ」で「コン」を攻撃!さらに永続罠「炎舞─開陽」を発動!このターン、獣戦士族モンスターが攻撃する時!攻撃力が守備力を上回った分だけダメージを与える!さらに、このカードが存在する限り!獣戦士族の攻撃力は300アップする!』

 

「いきなりマズい…!罠カード『ホーリーエルフの祝福』を発動!自分フィールドのモンスター1体につき300、つまり900回復する!ぐううっ…!!」

攻撃力を増した戦士が炎の熊を召喚、モンスターを切り裂く!

 

ユウシATK2000→2300

 

リュウシシンATK2200→2500

 

 

遊希LP3800→4700→3400

 

 

『むっ…?……「リュウシシン」で「ユニ」を攻撃!!』

 

「ぐうっっ…!!」

一瞬、怪訝な表情を見せた松星は攻撃を宣言、炎蛇が2人目の少女を焼き尽くす…!

 

遊希LP3400→2400

 

『俺は…これでターンエンドだ』

 

松星LP4000

ユウシ リュウシシン 天璣 天璇 開陽 伏せ1 手札1

 

 

 

 

『貴様、何故…()()()()()()()()()()()()()()()?』

 

「決まってる、じゃないか…!お前への対策だよ…!」

 

『むっ…!』

ターンを終えた松星は遊希へと問いかける…その答えは予想外のモノだった。

 

 

「梁山泊塾は、勝つ為には何でもする……遊矢や舞さんにしたように、暴力も使う……だが、それは「アクションカード獲得の妨害をしてもいい」と言うルールのグレーゾーンを突いた、卑怯な作戦だ………なら、アクションカードに頼らなければいい…!!」

それは遊希が考えついた、至極単純な作戦…梁山泊塾のアクションカード獲得妨害は痛みによってデュエリストの思考を乱す作戦も兼ねている…逆に言えば、アクションカードに頼らなければ…梁山泊塾はラフプレーを行う事はできないのだ。

 

 

『フン…!だが、己の力のみで…俺に勝てると思っているのか?』

 

「やってやる…!それが、僕の戦いだ!!」

 

《フォウ!》

遊希を見下す松星…遊希は誇りを賭けて、戦いに挑む!

 

 

 

「僕のターン!ドロー!!」

「再び揺れろ…希望のペンデュラム!ペンデュラム召喚!!エクストラデッキから『EMキングベアー』!そして手札から『EMリザードロー』!そしてレベル7!二色の眼揺らめく幻影…『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』!!」

再び揺れ動くペンデュラム…その光に導かれ、王冠のクマ、紳士服を着たエリマキトカゲ、そして遊希のエースたるオッドアイズが現れる! ATK2200 DEF600 ATK2500

 

 

「バトルだ!『キングベアー』で『ユウシ』を攻撃!さらに効果発動!フィールドの『EM』は3枚!受けてみろ!キングベアー・クエイク!!」

 

『っ…!アクションマジック「回避」!!その攻撃を無効にする』

キングベアーが再び大地を隆起させるが…華麗なステップで回避される!

 

キングベアーATK2200→2500

 

 

「そこだ!『オッドアイズ』で『ユウシ』を攻撃!夢幻のスパイラル・フレイム!!」

 

『アクションマジック「奇跡」!バトルダメージを半分にし、「ユウシ」は破壊を免れる!くっ…!』

希望の光を宿した螺旋の炎がユウシに襲い掛かるが…炎のクマが威力を減衰する!

 

松星LP4000→3900

 

「今だ!『オッドアイズ』の効果発動!ペンデュラム召喚されたこのモンスターによって、相手に戦闘ダメージを与えた時!ペンデュラムスケールの『オッドアイズ』1枚につき1200ダメージを与える!幻視の力─アトミック・フォース!」

 

『なにっ!?ぬおおっ…!!』

ペンデュラムの柱からの援護射撃が松星を吹き飛ばす!

 

松星LP3900→2700

 

 

「これが、僕の戦い方だ!ターンエンド!!」

遊希LP2400

オッドアイズ リザードロー ブル キングベアー (P ペルソナ クラシック)手札0

 

 

 

 

Side???

 

 

 

「遊希兄、すごい…!梁山泊塾の奴に一歩も引いてない…!」

 

「しかも…相手は既に()()()()()()…!」

 

「えっ…?お父さん、それってどういう事?」

観客席の遊矢は正面から梁山泊のデュエリストに立ち向かう遊希のプレイングに驚く…そして修造は既に遊希に盤面が傾いている事に気づく…。

 

 

「おそらく、相手のデッキは永続魔法・永続罠を中心に戦略を立てるタイプのデッキだ…しかし、相手の魔法・罠ゾーンの空きは残り一枚…でも、その枠を使ってしまえば()()()()()()()()()使()()()()()()、そして…遊希にはまだ融合・シンクロ・エクシーズのドラゴン達が残されている…また腕を上げたな…!」

追い詰められていたようで、実は相手を誘っていた遊希…そのプレイングに修造は思わず唸る…!

 

 

「しかし、デュエルとは最後まで分からんものだ……油断するなよ、遊希…!」

権現坂は静かに遊希を見つめていた…。

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

『っ…!!俺は…まだ、負ける訳には…いかんのだ!!』

 

「っ…!」

松星は闘志を高めながら立ち上がる…その眼には勝鬨と同じ、暗い炎が宿っていた…!

 

 

 

『俺のターン!ドロー!』

『来たぞ…!装備魔法「魔星剣」を「リュウシシン」に装備!!』

 

「そのカードは…!」

リュウシシンがその手に剣を握る…そのカードは、前の試合で遊矢を追い詰めた1枚だった…!

 

 

『このカードは手札から魔法カードを捨てる度に、装備モンスターの攻撃力を100アップする!いくぞ!』

松星は風のような勢いでフィールドを駆け、アクションカードを回収していく…!

 

 

「(妨害するべきか…!?いや、墓地にはバトルダメージを無効にできる『ユニ』がいる……様子を見る…!)」

自身の状況を確認した遊希は、油断なく松星の動きを目で追う…!

 

 

『これで…10枚…!攻撃力は1000アップする!』

ターンの持ち時間ギリギリ…松星はモンスターを最大限に強化する…!

 

リュウシシンATK2500→3500

 

 

『っ……フッ…!』

 

「(笑った…?笑う事を禁じられた梁山泊のデュエリストが…?)」

そして…遊希は見た、自分の姿を見た松星が小さく嗤ったのを…!

 

 

『退け!!』

 

「えっ…!」

 

 

ゴッ!!

 

 

「遊希兄!!!」

それは一瞬の事だった、何を思ったのか松星が凄まじい速さで遊希に肉薄…鳩尾に助走をつけた重い拳を叩き込んだのだ…!

 

 

「コヒュッ…!?」

 

《フォウ!?》

それは手加減のない()()()()()、メキリと何かが割れる音と共に遊希は後ろに吹き飛び──

 

 

 

「あっ──」

 

「遊希兄─!!?」

 

《フォウ─!?》

 

 

 

 

肩から弾き飛ばされたフォウを残して…燃え盛る谷底へと落ちていった…。

 

 

 

 

 

『お、お〜っと!?遊希選手!松星選手のラフプレーによって炎の中に飲み込まれてしまったぁぁ!!!?これは、大丈夫なのかぁぁ!?』

 

『俺は()()()()()()()()()()()()()()()()()()奴を突き飛ばしただけだ…ルール違反ではない』

松星はニコに手にしていたアクションマジックを見せつける…!

 

リュウシシンATK3500→3600

 

 

『バトルだ!「リュウシシン」よ!!「オッドアイズファントムドラゴン」を攻撃!!』

 

「や、やめろぉぉ!!」

リュウシシンの剣が取り残され、谷底を窺っていたオッドアイズを切り裂く…遊矢の叫びが響くなか、フィールドは爆煙に包まれた…。

 

 

 

 

 

 

『あのダメージを受ければ、奴はもはや動けまい……この勝負は俺の勝ちだ!』

 

「いいかげんにしろ!梁山泊!!それがお前らのやり方か!!」

 

「心は傷まないのか!?」

 

「スポーツマンシップはどうした!」

 

「やりすぎだ!」

爆煙が漂うフィールドに背を向けて勝利宣言をする松星…だが、流石の観客達からもブーイングが飛び交う…!

 

 

勝つ事だけが正義だ!俺はそう教わってきた!!これが、俺の戦い方だ!!』

松星は自分の正当性を叫ぶ…ルールには違反していない、これは正しいのだと…。

 

 

 

 

 

「「「「っ……!?」」」」

 

『フン……ようやく納得したか』

そして徐々に観客の声が消えていく…松星は自分の正当性が認められ──────

 

 

 

 

 

 

 

「い、いやああああ!!?」

 

 

 

 

 

『っ…!?なん、だ、…!?』

観客席から女性の悲鳴が響く…そして松星は思わず振り返り──

 

 

 

 

 

 

─────

 

『ひっ…!?』

 

《キャ、ウ…?》

自分を至近距離で見つめる()()()()と目が合った…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side遊希

 

 

 

 

「(何が、起きた…?僕は…落ちて…?)」

殴り飛ばされた遊希は炎の中を墜ちながら、助かる方法を必死に考えていた…だが、みぞおちを殴られた事で呼吸が詰まり、意識が遠のいていく…。

 

 

「(何が『僕の戦い方』だ…?『様子を見よう』だ……結局、ラフプレーは防げなかったじゃないか…)」

永遠にも思える一瞬、遊希は自分の浅はかさを呪う。

 

 

「(この高さから落下したら、確実に動けなくなる……ごめん、遊矢…あんだけカッコつけたのに……ごめん、克也…舞さん……約束、果たせそうにないや───本当に、ごめん)」

燃え盛る地面が目の前に迫る…そんな中で遊希は、ただ謝っていた…。

 

 

 

「僕が、もっと……強かったら───あんな奴、()()()()()()()()───」

 

 

 

 

 

 

ドクン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、遊希が初めて抱いた……「悪意」だった。

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

『き、さま…!?どうやって…!?』

 

【墓地の『ユニ』の効果発動…墓地の『コン』と共に除外する事で、一度だけバトルダメージを0にする】

金色の瞳に睨まれた松星は思わず距離を取る…そこにいたのは落下したはず遊希だった。

 

 

…だが、姿()()()()

 

 

白髪は逆立ち、眼帯替わりのバンダナが取れてしまったのか…瞳孔の開いた金色の右眼と伽藍堂の左眼()が松星を冷たく見つめている。

 

そして、服は先ほどまでの青ジャケットとズボンではない、金色の肩当ての付いた赤と黒のパワードスーツのような機械鎧…そして背中の黒金に輝く推進翼から周囲に闇色の粒子を漂わせている。

 

 

その姿は、まるで───

 

 

 

【さらに『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』が破壊された事で、『リザードロー』の効果、発動…自分の場のモンスターが破壊された時、自分の場の『EM』モンスターの数だけドローできる……フィールドのEMは3枚、3枚ドロー】

 

『す、姿が変わったくらいで…!バトルは続いている!「ユウシ」で「ロングフォーンブル」を攻撃!!』

 

【………】

炎の熊が再びモンスターを焼き尽くす…だが、遊希は動じていない…!

 

遊希LP2400→1700

 

 

 

『俺は…ターンエンドだ!!』

松星LP2700

リュウシシン(魔星剣) ユウシ 天璣 天璇 開陽 伏せ1 手札1

 

 

 

 

 

Side???

 

 

 

 

『お〜っと!!谷底に落ちてしまった遊希選手!まるで炎の中で生まれ変わる「不死鳥」のように、衣装を変えて復活したぁぁ!!』

ニコの実況がスタジアムに響く…アクションデュエルにおいて、リアルソリッドビジョンを纏って衣装を変える事も度々ある…ニコはそれと同じだと思ったのだ。

 

 

 

『おいっ…!?なんで、なんであの姿に!?』

だが、それを見て凌牙は取り乱していた…今の遊希の姿は、失われたはずの───『英雄』の全力形態に酷似していたからだ…!

 

 

『零児!!デュエルを中止しろ!!今すぐに!!』

 

『凌牙?いきなり何を──』

 

『このままじゃ、()()()()()()!!』

凌牙は通信越しに零児へと叫んだ…。

 

 

 

 

 

「遊希、兄…!?どうしたんだよ…!」

 

「あんな服、見た事ないぞ…!?」

 

「し、痺れる…!まるで……()()()()()()()()()()みたい…!!」

 

「遊希兄ちゃん…怖い…!!」

一方、観客席の遊矢達も戸惑っていた…遊希のあんな姿を、一度も見た事がなかったからだ…!

 

 

「遊希さん……怒ってる……炎の中で……」

その時、柚子は遊希に対するミエルの占いを思い出していた…「決断を迫られる」という言葉を…。

 

 

 

 

 

『遊希の奴すげぇ!いつの間にあんな衣装用意してやがったんだ!?そのままやっちまえ─!』

 

『馬鹿!城之内!!今のアイツはそんな状態じゃないよ!?』

 

『えっ?』

そしてデュエルを見守っていた城之内と舞、城之内はテンション高く遊希の復活を喜んでいたが……舞はその異変に気が付いていた…。

 

 

『何か、嫌な予感がする……さっきの榊遊矢よりも、恐ろしい気配が…!』

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

最強デュエリストのデュエルは全て必然…ドローカードさえも、デュエリストが創造する──シャイニングドロー

 

遊希の右手に暗い光が宿る…そして、黒金の光の軌跡が新たな手札を導いた。

 

 

【魔法カード『ハーピィの羽根帚』を発動、相手フィールドの魔法・罠カードを…全て破壊する】

それは舞に託された一枚…遊希が手にした羽根箒を振るい、フィールドに風が吹き荒ぶ!

 

『ば、馬鹿め…!貴様はこれで終わりだ!罠カード「炎虎梁山爆」を発動!俺はフィールドの永続魔法・永続罠一枚につき、500ライフを回復する!』

炎の谷から飛び出した炎が松星のライフを回復する…!

 

松星LP2700→4700

 

『そして「炎虎梁山爆」が相手によって破壊された時!墓地の永続魔法・永続罠1枚につき500ダメージを与える!墓地の永続魔法・罠は4枚!これで終わりだ!!』

フィールドのリュウシシンとユウシが炎の蛇と熊を遊希へとけしかける…そして遊希は炎に飲み込まれ───

 

 

 

【速攻魔法『痛魂の呪術』…相手が効果ダメージを与える効果を発動した時、発生した効果ダメージは()()が受ける】

 

『なにっ!?ぐわああ!!』

炎が遊希に直撃する瞬間、遊希の目の前に障壁が現れ、炎を松星へと反射する!!

 

松星LP4700→2700

 

【そして、3枚の『炎舞』が消えた事で…お前のモンスターの攻撃力は下がる】

 

 

ユウシATK2300→1600

 

リュウシシンATK2500→1800

 

 

【我が魂に宿る、大いなる力よ……再び運命の振り子を揺らせ、ペンデュラム召喚──手札からレベル4『紫毒の魔術師』『虹彩の魔術師』】

赤水晶のペンデュラムが不規則に揺れ動く…そして紫の法衣と色眼鏡の魔術師、そして赤い法衣の魔法剣士が現れる! ATK1200 ATK1500

 

 

「えっ…!?なんで、『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』を復活させないんだ…?」

ペンデュラム召喚の直後、遊矢は首を傾げる…だが、その答えはすぐに判明する…!

 

 

【レベル4の『紫毒の魔術師』と『虹彩の魔術師』でオーバーレイネットワークを構築───エクシーズ召喚】

 

フィールドに現れた光の銀河にモンスターが飛び込み、光の爆発がスタジアムを埋め尽くす!

 

 

むげん

 

 

【『No.むげん』──『でゅえるがあでぃあん』】

光の爆発と共に巨大な水晶の斧剣が……炎の大地に突き刺さる! ATK2500

 

 

「あの時の、剣!?マズイよ!!今の遊希兄は─!!」

 

()()じゃ、ない─!?」

この時、遊矢達は初めて気付いた…遊希はすでに──狂気に呑まれている…!!

 

 

 

【バトルだ、『キングベアー』で『リュウシシン』を攻撃…攻撃力は200アップする】

 

『っ…!?あ、アクションカードを……あ、足が、動かな…!?ぐあああっ!?』

熊の爪撃が蛇の戦士を切り裂く、アクションカードで防ごうとした松星だったが…遊希の放つ()()に呑まれ、足が竦んでしまっている…!

 

キングベアーATK2200→2400

 

 

松星LP2700→2300

 

 

 

【『でゅえるがあでぃあん』で『ユウシ』を攻撃、さらに効果発動──ORUを1つ使い、このモンスターの攻撃力はバトルする相手モンスターの攻撃力か、守備力…どちらか高い数値分アップする…】

金色の眼を松星に向けたまま、遊希は大地に突き刺さった大剣を引き抜く…そして水晶の大剣は──闇に染まる…!

 

 

でゅえるがあでぃあん ATK2500→4300

 

 

 

【魔王鉄鎚──希望は反転する──】

 

 

『ひっ、あ…!?』

闇の大剣を下段に構えた遊希の周りに濃密な魔力と殺気が集中…闇が世界を浸食する…!

 

 

 

 

【絶望を刻め】

闇の大剣から巨大な魔力の刃が噴出…大地は鳴動し、岩の破片が空中に浮かび上がる…!

 

 

 

「遊希兄!!ダメだ!止まれぇぇ!!」

 

『普通の人間にそんなの撃ったら─!!』

スタジアムに遊矢、そして凌牙の叫びが響く…だが、断罪の刃は止まらない!!

 

 

 

 

世界を覇する闇黒の剣(ダークネスカリバー)

 

 

 

《ドッフォォウッッ!!》

 

 

闇の刃が振り抜かれる瞬間、虹色の光を纏ったフォウが岩を踏み台として遊希の背中へと突進…体勢を崩す事で闇色の斬撃の軌道を逸らす。

 

放たれた斬撃は凄まじい衝撃波と共にリアルソリッドビジョンの天蓋を貫き、スタジアムの屋根を掠めて空の彼方へと飛んでいき……

 

 

 

 

大爆発と共に空に……()()に黒い孔を穿った…。

 

 

 

 

 

松星LP0

 

遊希WIN

 

 

 

 

 

『ヒッ…は、ハは……』

リアルソリッドビジョンが解除されていく中、スタジアムは遊矢戦以上に凍りついていた…攻撃の直撃こそ避けられたものの、余波で吹き飛ばされた松星は恐怖からか()()になった状態で茫然自失としている…。

 

 

 

『っ………ごふっ…』

 

《っ…フォーウ!!?》

そして黒金の鎧が砕け、ボロボロの姿を晒した遊希は……血を吐き、デュエルフィールドへと倒れ伏し───

 

 

 

 

 

 

「ゆ、遊希兄ィィ!!!」

静まり返ったスタジアムに遊矢の悲痛な叫びが木霊した…

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

「………()()()、か……遊海」

海馬コーポレーション・社長室…そこで遊希と松星の戦いを見守り、虚空に黒い孔を穿った閃光を見届けた海馬は1人呟く…。

 

 

 

 

「本来のお前は、様々な悪と対峙し…それを乗り越えて世界を救い、決闘者達を導いてきた英雄だ………だが、今のお前は()()

 

 

 

「激しい戦いの果てに、力と記憶を失った…今のお前は、かつての異次元の使者(アストラル)と同じく──()()()()()

 

 

「純粋な者ほど、悪意に曝された時……生まれる『闇』は深い」

 

 

「俺の知る遊海なら、あの程度の悪意など軽く笑い飛ばし…優しく諭して済ますだろう」

 

 

「だが、()()は…悪意への耐性など無いはずだ……故に、暴走する…その心に芽生えた『怒り』のままに───」

 

 

 

「だが、今のお前にはその怒りこそが()()なのだ……お前の中に眠る()()()()を目覚めさせる為に……」

 

 

 

 

 

「しかし、あの程度の悪意でこの暴れよう……侵略者と出会ったなら───本当に世界を滅ぼしかねんぞ…!」

徐々に消えていく孔を見つめながら…海馬は頭を抱えた…。

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