転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
「遊希兄……オレ、どうしたらいいんだろう…」
「遊矢兄ちゃん!柚子お姉ちゃんのデュエル始まるよ!」
舞網チャンピオンシップス7日目…二回戦の2日目、遊矢達は柚子のデュエルの応援に来ていたが……遊矢だけは表情が暗かった、それは前日の勝鬨戦の影響もあったのだが…。
Side遊矢
「うっ…う〜ん…あ、れ…?…遊矢…?柚子ちゃん…?」
「あっ…遊希兄!!」
「良かった…!」
遊矢と遊希のデュエルが終わった後の夜…遊希は目を覚ました、見慣れない部屋に戸惑っていたが…付き添っていてくれた2人の顔を見て安心したようだ…。
「遊矢…ごめん、デュエル…勝てなかったな……もう少し、僕が強かったら、よかったのに……」
「えっ、あ……遊希兄、覚えてない、のか…?」
「遊希さん……松星とのデュエル、勝ったんですよ…?」
「えっ…?」
窓の外を見てどれだけ時間が経ったのか悟った遊希は遊矢へと謝るが、遊矢と柚子の言葉に首を傾げる……遊希の記憶は地面に叩きつけられた所で途切れていたからだ。
「………もしかして、僕は…また……!?」
「……見た方が、早いかも……」
嫌な予感に顔を青褪めさせる遊希に柚子はデュエルダイジェストの様子を見せる……そこには恐れていた状況が映っていた…。
松星に強烈な拳を受け、谷底に落とされる自分
観客のブーイングを受けながらも反論する松星…その背後に現れた、鎧を纏った自分
そして…黒く染まった水晶の大剣を振るい、空に
「…………
「ゆ、遊希さん…!?」
「遊希兄!そんな事…!」
「気休めはいいよ……僕は、
ダイジェストを見た遊希は顔を左手で覆い、涙を流す……デュエルに敗北した松星は正気を失い、映像に映り込んだ観客達の顔は恐怖に引き攣り…子ども達は泣いてしまっていた…。
「遊矢には、偉そうな事言ったのにな……僕が、それを実践できなきゃ…ダメじゃないか…!」
「遊希兄!まだ、取り返せるよ!3回戦で…今のデュエルをふっ飛ばすくらいの良いデュエルをすればいい!1回の失敗で落ち込むなんて…遊希兄らしくない!」
「遊矢…」
「そうよ!お客さん達も今回は梁山泊塾がやりすぎた!って雰囲気だったし……きっと大丈夫!」
「柚子ちゃん……2人とも、ありがとう」
落ち込む遊希に遊矢と柚子は精一杯元気付ける……そのおかげか、遊希の表情は少しだけ明るくなった…。
「そうだ…お医者さんは、なんて…?」
「頭を打ってるから、一晩泊まった方がいいって…母さんが着替え持ってきてくれた…フォウも一緒に連れて帰ってくれたよ」
「わかった……2人も、もう帰るんだ…柚子ちゃんは明日が試合だろ?体調を整えないと…遊矢、頼んだよ」
「ああ…行こう、柚子」
「うん…明日、頑張ります!」
「頑張れ、柚子ちゃん…テレビで応援してる」
医者からの言伝を伝えた遊矢と柚子は治療室を後にする、その背中を見届けた遊矢は左手で…
「……
遊希は枕元にあったデュエルディスクを手にして、とあるページを開く…そこには───
【ジュニアユース選手権 二回戦1日目 第4試合 亀の決闘塾 城之内克也対LDS 志島北斗 志島選手の欠場により城之内選手の不戦勝】
「……トーナメント……上手く、当たるといいなぁ……」
自分の
Side Out
「オレも、お客さんを怖がらせちゃったからな…遊希兄が言ったみたいにできればいいんだけど…」
柚子のデュエルを見ながら思い悩む遊矢…だが、彼らは知らなかった。
その裏でスタンダード次元を揺るがしかねない事件が起きていた事を…。
Side???
「……榊遊矢が手にした『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』…そして、規格外の力を持つ榊遊希の『正体』……融合次元への問題の前に、また問題が増えたな…」
時は少し戻り…レオ・コーポレーションの司令室で零児は深いため息を吐いていた。
遊矢対勝鬨戦で『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』を目にした黒咲が遊矢に詰め寄りに行こうとするのを止め、現実離れした力を見せつけられた遊希対松星戦の後、凌牙にさらなる情報を聞かされ……零児は精神的に疲れていた。
「リアルソリッドビジョンではない『デュエルモンスターズの精霊』の力、だと?そんな非科学的な力が…本当にあるというのか…?それが榊遊希と凌牙の力の源………それがリアルソリッドビジョンで再現できればあるいは……」
遊希と凌牙の持つ力の正体を聞かされた零児は静かに考えに耽っていた…そんな時…。
『ここで試合予定の変更をお知らせします!この後予定されていた第4試合なのですが…LDS志島北斗選手の欠場により亀の決闘塾、城之内克也選手の不戦勝が決定しました!』
「……欠場だと?志島北斗はそんな男ではないはずだが…?」
ジュニアユースの実況をしていたニコの言葉に零児は怪訝な表情を見せる…エクシーズコースの主席である志島北斗は欠場するような人物ではないと知っていたからだ…。
「社長、今から3時間程前に…舞網市で高レベルの
「むっ…映せ!」
司令室長から報告を受けた零児は監視カメラの映像を確認する、そこには物陰に追い詰められた北斗がフードを被った人物に紫色の光を浴びせられ……カードと化してしまう瞬間が映されていた…!
「……巻き戻せ」
「はっ……これは…!?
「いや……
零児の指示で映像を巻き戻す中島…そして、フードの人物の顔を確認する……そこに映っていたのは、柚子に似た顔の少女だった…!
Side Out
「えっと……オレを呼び出したのは、あんたか?」
『ふっ…!』
「っ…!?」
舞網チャンピオンシップス・ユースクラスのメイン会場、舞網スタジアム…その地下駐車場に試合を終えた『魔導』使いの桜木ユウがやって来る。
その彼の前に現れたのはコートで姿を隠した大柄な男と、小柄な人物…そして小柄な人物はコートを脱ぎ去り、デュエルディスクを展開する…それは髪をポニーテールで纏め、赤い軍服を着た少女だった…!
「キミを呼んだのは
「しゃ、社長さん…!?」
その時、静かな声が駐車場に響く…それは赤いマフラーをたなびかせた眼鏡の男──赤馬零児だった、彼は桜木と謎の少女の間に入る…。
「キミはもう行きたまえ…今日のデュエルは見事だった、今後も期待している」
「あ、ありがとうございます…?」
『待っ…!「行かせはしない」っ…離せ!!』
桜木にこの場を立ち去るように伝える零児…謎の少女は桜木に掴みかかろうとしたが…零児に腕を掴まれ、無理やりに止められる…。
零児はこの
『邪魔立てするなら、お前から
『それは私が引き受けます…!』
『っ…!控えろ、バレット!!』
『貴女に降りかかる火の粉を払うのが、プロフェッサーから与えられた
『っ…!』
赤馬の腕から逃れた少女は勇猛に零児へと挑もうとする…しかし、それを止めたのはコートを脱ぎ捨てた大柄の男……左目の傷を黒い眼帯で隠し、胸元に大きな傷を持った青髪の男…バレットだった。
「プロフェッサーとは…
『………!』
バレットは無言でデュエルディスクを構え…零児も同じくデュエルディスクを構える!
『「デュエル!!」』
デュエルダイジェスト 零児対バレット
バレットは『
新たに開発した異次元の王…『DDD』、エクシーズモンスター・狙撃手の王『狙撃王テル』や融合モンスター・神託を受けし聖女『神託王ダルク』を使い、あっという間に戦況をひっくり返す。
そしてバレットは相討ちに持ち込むべく『名誉の獣闘機勲章』による効果ダメージを狙ったが『神託王ダルク』には効果ダメージを回復に変える効果があり失敗…零児はデュエル戦士に対する
バレットLP0
零児WIN!
『バレットを倒すとは…やるな、次は必ず──』
「待つんだ、
バレットの敗北を見届けた少女はその場を去ろうとする……だが、零児は
「そう、キミはセレナ……柊柚子ではない」
『ヒイラギ・ユズ…?』
「この次元にいる、キミによく似た少女の事だ…が、キミと彼女が
『………』
少女…セレナへと名乗る零児、彼は一度だけ、融合次元へと跳んだ事があったのだ。
「キミは赤馬零王に1番、目を掛けられていたデュエリストだ…そのキミが私達の世界に現れた……何を目的に?赤馬零王にその腕を見込まれ、侵略の尖兵として送り込まれたか?それとも──」
『赤馬零王など
零児の問いかけを否定するセレナ…その因縁は3年前へと遡る。
当時、零児は行方を晦ませてしまった父の背中を追い、彼の研究データを調べていた…その中で見つけたのが『別次元』への転移装置だった。
零児はその装置を起動…辿り着いたのが融合次元だった、そして探索する中でアカデミアの教師に追われていたセレナを発見、助太刀して彼女を逃がそうとした。
しかし、そこに父である零王が現れ零児とセレナを捕縛…零児はスタンダードへと強制送還されてしまった…。
だが、その際…零王の口から『リアルソリッドビジョンを用いたエクシーズ次元やシンクロ次元への侵攻計画』『世界を1つにする計画』を聞かされた零児はレオ・コーポレーションの社長となり…父の野望を止め、スタンダード次元を守る為に強いデュエリストを育ててきたのだ…!
「私はこの3年間、赤馬零王の野望を止める為の準備を整えてきた……レオ・コーポレーションの社長に就任したのもその為、有力なデュエリストの育成にも力を入れてきた…セレナ、私と組む気はないか?」
『組む?』
「そうだ…共に赤馬零王から……アカデミアからこの世界を──」
『……
セレナに対融合次元の同盟を持ち掛ける零児…だが、セレナはそれを一言で切り捨てた。
『私がこの世界に来たのは「エクシーズの残党がいる」と聞いたからだ、アカデミアからの潜入者を倒すとは…相当の
セレナは融合次元に戻された素良が「エクシーズ次元の残党」に負けた事を知り…その残党を倒せば憧れた『武勲』を立てる事ができると思い、バレットと共にアカデミアから抜け出して来たのだ…。
なお、バレットは本来『監視役』としてセレナを諌める立場なのだが…功を焦るあまりにセレナの話に乗ってしまったのだ。
『この次元で最初に狙ったエクシーズ使いは弱すぎる…!期待ハズレだった…コイツではない!』
「志島北斗…」
セレナはカード化された北斗を零児へと投げ渡す…カードの中の彼の表情は恐怖に歪んでいた…。
「……先ほどキミが狙おうとしていた桜木ユウも
『では何処にいる!エクシーズ次元のデュエリストは!!』
「エクシーズ次元のデュエリスト……
『ならば、自分で探す…!』
エクシーズ次元のデュエリストの行方を問い質すセレナに対し、零児はとぼける…万が一の可能性を恐れたのだ。
「もし、キミがこの街で騒乱を起こそうと言うのなら……私は見逃す訳にはいかない…キミが、赤馬零王の命令で来たのではないとしても…!私の提案に乗らないなら、敵と見做す!」
『ぐっ…そうは、させんぞ…!!』
キィン…ビビーッ!!
「貴様、何をした…!?」
セレナを捕らえようとする零児…だが、その時…失神していたバレットが目覚め、デュエルディスクのプログラムを作動させる!
『これで、我々が何処にいるのか
キン───
『くっ…アカデミアに強制送還されたか…!余計な事を!』
「強制送還だと?」
『これで…アカデミアから大挙して私を連れ戻す為の
「っ─!!」
バレットが作動させたのはセレナの居場所をアカデミアに伝えるプログラム…それにより、アカデミアの
『そうなれば、
「くっ……私だ!大至急、幹部を招集しろ…!
歯を食い縛りながらセレナの背中を見送る零児…彼はすぐに対策に取り掛からねばならなかった…!
Side遊希
『デュエルニュースのお時間です!連日、熱戦が繰り広げられている「舞網チャンピオンシップス」のジュニアユースクラスでは、今日で2回戦の全ての試合が終わり
「……ベスト20?ずいぶん中途半端な…確かに参加者は多かったけど……」
夕方、家へと戻ってきた遊希はデュエルニュースを見ていた…そこで3回戦出場者が発表されるのだ。
『それではその顔ぶれをご紹介します、まずは一人目は遊勝塾の柊柚子選手!二人目は同じく遊勝塾、エンタメデュエルでお馴染み、ペンデュラム召喚で名をはせた榊遊矢選手!そして同じく遊勝塾、もう1人のペンデュラム使い!白猫のフォウくんを連れて戦う榊遊希選手……』
「……相変わらず、写真写りが悪いなぁ……」
テレビに映った自身の姿に苦笑しながら遊希はテレビを見る…他には権現坂や梁山泊塾から2人、海外のデュエル塾ナイツ・オブ・デュエルズから3人、風魔デュエル塾からも2人…他にも遊矢と戦った茂古田未知夫や釣り人のようなデュエリスト…そして…
「あっ、聖目君……彼も3回戦に出るんだ、すごいなぁ」
テレビに映ったのは海馬社長に紹介された舞網アドベンチャースクールの探検家デュエリスト…見知った顔を見た遊希は静かに喜ぶ、そして……
『……そして亀の決闘塾所属の豪運デュエリスト、城之内克也選手…ここからは最多出場を誇るLDS──』
「克也……それに、凌牙……」
映し出されたのは親友、そして…自分の事を知るらしい凌牙……その顔を見た遊希は表情を曇らせる。
「……凌牙、きみとは…話さなきゃならない事がある……でも、今は……」
選手紹介を見終えた遊希は自室へと向かう…最後のデッキ調整、そして…
──お前は決断を迫られる……生きるか、死ぬか……精々、悔いのない選択をするがいい──
「………生きるか、死ぬか…か……」
現実と夢の狭間で言われた言葉が…遊希の耳に残っていた…。
「いよいよ…始まるのね」
「いえ、
レオ・コーポレーション社長室…そこで零児は妃美香を前に決意を固める、融合次元の侵攻による影響を最小限に抑える為に…。
『決闘の観測者』人気投票! 小説内で好きなキャラは?(キャラクター部門)
-
白波遊海
-
白波翠
-
ユウスケ
-
ラプラス(ゲイザー・シーカー)
-
エメル(ネームレス)
-
榊遊希
-
凌牙(決闘の観測者)
-
璃緒(決闘の観測者)
-
不動流星
-
不動夏菜
-
海亜・アトラス
-
上記以外のキャラクター