転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

ついに復活した遊海…そして遊海達に何が起きたのかがついに明かされる…!

それでは、最新話をどうぞ!


Ep.28 悪魔が生まれた日

「………落ち着いたか?父さん…」

 

「ああ…すまん、凌牙…」

 

《フォウ…フォーウ(しょうがないよ、遊海は何も知らないままだったんだし…)》

 

ついに長い…長い眠りから目覚めた遊海…しかし、自分がスタンダード次元にいる事を知り『世界を守れなかった』と思って取り乱してしまう…。

だが…凌牙の『世界は無事』という言葉を聞いて、ようやく落ち着きを取り戻していた。

 

 

 

「そうだ…!父さん!アヤカ達はどうしたんだ?俺達の世界にもいなかったんだけど…」

 

「………あっ…そうだ…あの時…!彩華!トフェニ!メガロック!!」

凌牙の疑問に数瞬考えこんだ遊海は鍵のようなネックレス…特典の1つである『賢者の鍵』で空間を切り裂く、すると──

 

 

《ま、マスタァァァ!!!》

 

「がっ!?」

 

《主殿─!》

 

「ぎぐっ!?」

 

《こんの…馬鹿遊海──!!》

 

げごぉぉっ!?!?」

 

「(合掌)」

 

《フォーウ…キャウ…(鍵の世界に避難させたままだったんだね…)》

裂けた空間から精霊達…アヤカ、トフェニ、メガロックの3体が飛び出してくる……開いた位置のせいで遊海は3体の下敷きになったのだった。

 

 

………

 

 

《マスター!!酷いです!私達を鍵の中に避難させたまま忘れているなんて…しかも!何度も呼びかけたのに気付いてすらなかったなんて!!》

 

《然り…外界の様子も分からず、我らは待っている事しかできなかった…!》

 

《それも…アヤカによれば現実時間で5年以上も!お前は何をしておったのだ!!》

 

「5年…?………5年も!?」

 

「みんな…父さんを怒らないでやってくれよ…今の今まで、父さんは本当に記憶喪失……というより()()()()んだから……」

一瞬失神していた遊海は精霊達の前で正座させられていた…だが、その中で自分が5年も記憶を失っていた事に驚いている…。

 

 

「父さん…本当に、何も覚えてないのか?」

 

「榊、遊希……俺が、榊遊勝に拾われて…榊遊矢の家族に…?本当なのか…?」

 

「ああ、LDSに残ってる記録は持ってきた…一応確認してくれ」

 

「…わかった」

記憶喪失中(榊遊希)の記憶を()()()()()()()()遊海は凌牙に渡された端末を確認する、そこにはレオコーポレーションの調査力で集められた「榊遊希」の記録やデュエル記録が記されていた。

 

 

 

「遊勝塾所属…スタンダード次元における二人目のペンデュラム使い…『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』…海馬コーポレーション…?美しきデュエル塾、孔雀舞?童実野高校??舞網チャンピオンシップでユートとデュエル???梁山泊塾の相手を????……ま、待て待て待て!情報量が多すぎる!!これ、俺が知ってる()()()()()()()()()じゃないぞ!?」

 

「あ〜……海馬さんが絶対そんな反応をするって笑ってたな……」

 

「ち、ちょっと待て!?いま、聞き捨てならない名前が聞こえたんだが!?いったいどうなってんだ!?!?」

記された情報の多さに遊海は再び混乱状態に陥る…今の状況は遊海が覚えている「遊戯王ARC-V」の物語とは少し……いやだいぶ違っていたからだ。

 

 

《凌牙、これは…何が起きているのです?私も舞網市全体をサーチしましたが……明らかに()()()()()()()()の反応が……》

 

「アヤカ、それは俺も同じなんだ……俺達が()()()()()()()()()()()()()、父さん達に何が起きたんだ…?」

 

「……()()()()()()()()、か……」

遊海は記憶の糸を辿る……世界を崩壊寸前にしてしまった、事件までの記憶を───

 

 

 

 

 

 

Side遊海

 

 

 

 

「う〜ん……今日も平和だなぁ…ふわぁ…」

 

《もう…気を抜き過ぎですよ?マスター》

 

《良いではないですかアヤカ…最近はデュエルマフィアを壊滅させたり、精霊界から迷い込んだ『密林の黒竜王』や『スパイラル・ドラゴン』を保護して送り返したり…なんだかんだ忙しかったですし》

 

《まったく…遊海が『黒竜王』に飲み込まれた時は肝が冷えたぞ…》

 

「はは…あの時はびっくりしたなぁ……」

穏やかな時間が流れるハートランドシティ…その自宅で遊海達は穏やかに過ごしていた、時々舞い込む精霊絡みの事件や犯罪を解決したり…デュエルモンスターズに関する犯罪組織を摘発したり、危ない事もあるが…それまでの事件に比べれば遊海にとっては些細な事ばかりだった。

 

 

「遊海さん!ワールドチャンピオンシップスの特集が始まりますよ〜!」

 

「ん?もうそんな時間か…リモコン、リモコン……」

コーヒーを淹れた翠が遊海へと声を掛ける…ここで少しだけZEXAL組の現在について触れよう。 

 

 

 

 

ドン・サウザンド復活未遂事件の後、凌牙や遊馬は無事に高校に進学し、卒業…成人した今はプロデュエリストとして戦いの日々を送っている。

 

カイトは今のところはプロリーグには参加せず、父やバイロン達と共に異世界研究を続けている…その過程で様々な発明を生み出したカイトは『天才二世』として世間の注目を集めていたりする。

 

七皇達の進路は様々…プロデュエリストを目指す者、友の補佐をする者、新たな道を探す者……全員が夢を抱いて頑張っているのだ。

 

 

そして、今シーズンのプロリーグは…新たな時代の幕開けになろうとしていた。

 

 

 

 

「ついに新たな『決闘王』を決める時が来たか…なんだか、感慨深いなぁ…」

 

「そうですねぇ…遊海さんが前の『決闘王』を倒して……6年ですか」

 

「ああ、今回はちゃんとした決闘者…できれば凌牙か遊馬がなってくれれば嬉しいんだけどな〜?」

 

「ふふっ…それは完全に親バカですよ?」

ワールド・デュエル・カーニバルで遊海がナンバーズに呑まれてしまった、前『決闘王』を降してから早6年、その後も何人かの『チャンピオン』は誕生したが……そのいずれも『決闘王』の名を継ぐ事はできなかった。

 

それを重く見たKCを始めとしたデュエルリーグ主催者達は話し合い…各リーグ代表を選出した巨大トーナメント『ワールド・チャンピオン・シップス』の開催を決定した。

今シーズンの戦いはその出場権を賭けた戦いになっていたのだ。

 

 

 

「各リーグの代表は上位3人ずつ…KCリーグの代表は遊馬と凌牙、それから這い上がってきた飛龍司がなれるかどうか…他のリーグは…」

 

「ライディングリーグ・ライドAに所属してる海亜ちゃんと流星君…他にもたくさんの子達が『決闘王』を目指してるみたいです!……遊海さんも出たら良いんじゃないですか?」

 

「ははっ!俺はいいさ、それこそ凌牙達にジト目で見られちゃうよ!」

 

「それもそうですね!」

特集番組を見ながら遊海と翠は笑い合う、世界の守護者として戦う遊海は新たな決闘者達を楽しみにしていた。

 

 

 

『次に紹介するのは、今大会のダークホース…弱冠18歳で出場権を獲得した()()()()選手の────』

 

 

「ぶっ…!?ぶーーっ!?!?」

 

「きゃあ!?遊海さん!?大丈夫ですか!?」

 

《ドフォーウ!?》

 

「ゲホっ!ゴホッ…!?ズァークだと!??」

アナウンサーの一言に遊海は思わずコーヒーを噴き出す……それほどの衝撃だったのだ。

 

 

『ズァーク選手はこの半年で急激に戦績を伸ばし、アドバンス・融合・シンクロ・エクシーズのドラゴン達と共にリーグ戦を────』

 

「神様、いくらなんでも…早すぎるって…!?まだ、あれから6年しか経ってな…………」

e・ラー事件の際、遊海はデウス神から「遊戯王ARC-V」のラスボス……元凶である『ズァークの誕生』を知らされていた…だが、それは最近誕生したのだろうと考えていた──その考えは少し甘かったようだ。

 

 

 

「ゆ、遊海さん……大丈夫ですよ!神様は大丈夫だって言ってましたし!!」

 

「……うん……とりあえず、様子を見ようか……とにかく、ズァークによる()()()()()()()()、それによる観客達の熱狂がなければ『覇王龍』は生まれない……神様の言った通りになるはずだ……」

 

「一応、瀬人さんやカイト君にも連絡しておいた方がいいですね…」

 

「……ああ……なにも、起きなければいいけど……」

少しの不安を感じながら…遊海はデュエルニュースへと目を向けた…。

 

 

 

 

………

 

 

 

「えっ…ワールドチャンピオンシップスで、リアルソリッドビジョンシステムを使う…!?」

 

『うむ、リーグ主催者の会議で決まったようだ……気がかりか?』

 

「……少し、不安だな…」

ワールドチャンピオンシップス開催まで僅かに迫ったある日…遊海はデュエルロイドの瀬人によって思わぬ事を伝えられていた…。

 

現在、世界でのデュエルはスタンディングデュエルは臨場感溢れる『ARビジョン』、超スピードの中で行うライディングデュエルは安全面から『ソリッドビジョン』を用いて行われていた…それをワールドチャンピオンシップスでは海馬コーポレーションが開発した新技術…実体と質量を持つ『リアルソリッドビジョン』システムで統一しようという事になったのだ。

 

 

『……お前の懸念は理解している…だが、この世界には()()()()()…その時点でお前が知る「デュエルモンスターズ」世界ではないのだ、遊海…お前が導き、守ってきた者達を信じてみたらどうだ?』

 

「……そうだ、な……でも、リアルソリッドビジョンに『安全装置』を付けるように伝えてくれ……万が一の事故が起きないように…」

 

『分かった、技術者に伝えておこう』

一抹の不安を感じながらも、遊海は今を生きる人々を信じてみる事にした…。

 

 

 

…………

 

 

 

「一回戦突破したぜ!父さん!」

 

「ああ、おめでとう凌牙!直接見に行けなくてごめんな?」

 

「いいって…まだ一回戦だし、それにあんな()が残ってるんじゃ、な?」

 

「むむむ…まさか、俺がUMA扱いされる時が来るなんてなぁ……」

そしてワールドチャンピオンシップスが始まった…無事に代表に選ばれた凌牙はナンバーズを使用しない状態で難なく一回戦を突破、モニター越しに遊海達と喜びを分かち合っていた。

 

本来なら、遊海も会場に行きたかったのだが……ドン・サウザンド復活未遂事件の際、誰かに姿を見られていたらしく……『決闘黎明期から生き続ける不死のデュエリストが存在する!?』と中世ヨーロッパのサンジェルマン伯爵よろしく、物好き達の間で話題になってしまったのだ…。

もちろん、KCや伝説の決闘者、子孫達も火消しに協力してくれたのだが…下手な変装では見破る者が出てきた事で、遊海は表立っては動けなくなっていた。

 

 

「凌牙、そのままズァークのデュエルも見ててくれ……頼んだぞ」

 

「心配すんなって、さっき軽く話したけど…そんなに悪そうな奴じゃなかったぜ?」

 

「うむ……(気にし過ぎ、だったか…?)」 

 

 

 

 

…………

 

 

 

「ゆ、遊海さん!大変!!テレビ!テレビ見て!!」

 

「むっ…?どうしたんだ?」

大会が順調に進む中、ソファでうたた寝していた遊海は翠の悲鳴で目を覚ます…そこに映っていたのは…。

 

 

 

『これは…会場が騒然としています!ズァーク選手対猪爪選手の試合で、事故が発生した模様です!』

 

「っ…!!」

テレビの中で解説者が焦った様子で状況を伝える…後の『アクションフィールド』の原型になりそうな近未来のフィールドの中で青年が倒れ、ズァークが呆然と立ち尽くしている…。

 

状況を見るとズァークが攻撃を仕掛けた結果、モンスターの射線に入っていた相手に攻撃が当たり、怪我を負ってしまったようだ…。

 

 

「これは…!!」

そしてスタジアムは荒れていた、半数の人達はブーイングや悲鳴でズァークに抗議し──()()()()()は歓声でデュエルを讃えていたのだ…。

 

「……ちょっと、マズイか…!?」

 

 

 

…………

 

 

 

そしてワールドチャンピオンシップスは進んでいく…ズァークの事故以降、その熱狂が他の試合に飛び火するような事はなかったのだが……ズァークの試合()()、明らかに熱狂の度合いが加速度的に上がっていっていた…。

 

 

 

 

「……これは」

そして、ついに準決勝…ズァークは流星やミザエルなどの強者を下し、凌牙とのデュエルに臨もうとしている…変装した遊海はその試合を見守る為にスタジアムを訪れていた…そして…。

 

 

 

「バトルだ!『牙鮫帝シャーク・カイゼル』で『スターヴヴェノム・フュージョン・ドラゴン』を攻撃!!カイザー・バスター!!」

 

『破壊された「スターヴヴェノム・フュージョン・ドラゴン」の効果発動!このモンスターが破壊された時、相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊し、その攻撃力の合計のダメージを与える!!ヴェノム・ブレイク!』

 

「なにっ!?があああっ!?……かはっ!?」

 

「っ…凌牙!!!」

毒龍を破壊して決着をつけようとした凌牙…だが、反撃のダメージによって吹き飛ばされ……凄まじい勢いで壁に叩きつけられてしまった…。

 

 

 

神代凌牙LP0

 

ズァークWIN!

 

 

 

 

 

 

「凌牙…!しっかりしろ!」

 

「父、さん……あいつ、やべぇ……なんか、変だ…!攻撃に、()が、乗ってる…!!」

担架で運ばれる凌牙に駆け寄る遊海…そのダメージは普通のリアルソリッドビジョンでは考えられない、真の『決闘』に近いダメージだった…。

 

 

「スタジアムに直接来て分かった……ズァークは、サイコデュエリストと精霊使いのハイブリッド……突然変異のデュエリストだったんだ…!!」

そして、直にズァークを見た事で遊海はその力の特異性に気が付いた……先天的に肉体に宿る超能力『サイコデュエリスト』としての力、そして精霊に愛される事で魂に宿る『精霊使い』の力……その2つを通常のデュエリストよりも強く持つ者──それがズァークの正体だったのだ。

 

 

《それだけではありません…ズァークの試合を観戦する人々から通常の試合時よりも高い精神的興奮を計測しました……いわゆる彼の持つ『デュエリストとしてのカリスマ性』……それが観客達の熱狂に拍車をかけている、と思われます》

 

()()()()()()()デュエリスト、か…!」

それはまさにデュエリストになる為に生まれてきたような才能……生まれてきた時代が違えば、彼を主役にした『物語』も生まれていたかもしれない…。

 

 

「そして…ズァークはモンスター達の怒りや憎しみに共感……カオスに呑まれて、『覇王龍』に至るって訳か……この時点で、()()なのは───」

そして、遊海はズァークを救う為の決断を下した…。

 

 

 

………

 

 

 

「えっ…!?ナンバーズを使ってもいいから、ズァークに勝て!?本当にいいのか!?」

 

(遊海、理由を聞かせてくれ……貴方の事だ、理由があるのだろう?)

 

「ああ、ズァークを止める……いや、救う為に………お前達の力を借りたい…!」

ワールドチャンピオンシップス、決勝戦の前…遊海はもう1人のファイナリストとなった遊馬、そして補佐をしていたアストラルに世界の命運を託す事にした…。

 

 

 

(……なるほど、つまりズァークを救うには遊馬のかっとビングの精神を彼に伝え…彼に『本当のデュエル』の楽しさを思い出させれば良いという事だな?)

 

「そういう事だ…今の彼は観客の期待に応えようとするあまり、少しずつ追い詰められてる……その追い詰められた結果が『覇王龍』……そうなる前に、遊馬の持つ『正しいカオス』でズァークやドラゴン達を鎮めてほしいんだ……」

 

「……わかった!デュエルをすれば、みんなオレの友達だ!ズァークの心に響くようなデュエルにしてやるぜ!!」

 

「すまない、遊馬……頼む…!」

遊馬の持つ希望の力…それに望みを託した遊海は遊馬に頭を下げた…。

 

 

 

 

…………

 

 

 

そして、決勝戦は決闘の歴史に残る大激戦になった…次々と飛び出してくる4体のドラゴン達、遊馬は公式戦ではWDC以来となる「希望皇ホープ」を始めとしたナンバーズを開放…次々とドラゴン達を打ち倒し──

 

 

 

 

 

「バトルだ!「No.39希望皇ビヨンド・ザ・ホープ」で「オッドアイズ・ドラゴン」を攻撃!!ホープ剣ビヨンドスラッシュ!!」

 

『う、うわあああ……!!』

希望を超えた希望の皇帝の剣が二色の眼のドラゴンを両断する…そして、長き戦いに終止符を打った…。

 

 

ズァークLP0

 

遊馬WIN!

 

 

 

 

 

『き、決まったぁぁぁ!第1回ワールド・チャンピオン・シップスを制し、新たな「決闘王」となったのは……九十九遊馬選手だ─!!』

 

「やった…!勝ったビングだぜ、オレ─!!」

 

(ナンバーズを使ってギリギリの勝負とは……凄まじい強さだった…!)

スタジアムに実況と割れんばかりの観客の歓声が轟く…遊馬はついに、自分の夢を成し遂げたのだ…!

 

 

 

『……負けた……オレが……』

 

「ズァーク!良いデュエルだったな!オレ、めっちゃ楽しかったぜ!すんげぇワクワクした!」

 

『遊馬さん…』

遊馬は倒れ込み、呆然としていたズァークに手を伸ばす…その顔は優しい、嬉しそうな笑顔だった。

 

 

「今回はオレの勝ちだったけど、次はどうなるかわからねぇ…また、楽しくて盛り上がるデュエルで戦おうぜ!」

 

『はい…!』

遊馬の手を取って、ズァークは立ち上がる…どんなにドラゴン達に追い詰められようと『かっとビング』で乗り越えて、ついには勝利を掴んだ遊馬…その魂は、確かにズァークの心に巣食っていたカオスを浄化した……したはずだった。

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

「……遊馬のおかげで、世界は再び守られた……それで、終わってたら、よかったんだけどな……」

 

「まさか、あそこから……あんな事になるなんて…俺も思ってなかったぜ……だから、落ち込まないでくれよ…」

 

《フォーウ……》

そこまで思い出して頭を抱える遊海…悪魔が生まれた日は、ここから始まったのだ。

 

 

 

 

Side遊海

 

 

 

スコーン

 

 

『い"っ…!?』

 

「ズァーク!?誰だよ…!ゴミなんて投げたの!?」

握手を交わす遊馬とズァーク…その時、ズァークの後頭部に投げられたゴミが直撃した…!

 

 

 

「ふざけんなズァーク!!お前を応援してたのに!」

 

「もっと激しいデュエルが見られると思ってたのに!!」

 

「俺達は満足してねーぞ!!」

 

「や、やめろよ!!ズァークは一生懸命戦った!それでいいじゃねぇか!!」

ゴミを投げたのはズァークの熱狂的なファン達…カリスマに乗せられた彼らは、悪い意味でズァークのデュエルの虜になっていたのだ…。

 

 

ドクン!!

 

 

『……そうだ、オレは…()()()()()()……もっと強く…!もっと激しく!!』

 

「ズァーク…!?」

 

(っ…!離れるんだ!遊馬!!)

 

『お前達が望めば望んだだけ、()()()は強くなれる…!!オレ達は戦い続ける!!お前達が望むように──!!』

 

観客の悪意に触れたズァークが豹変する…強迫観念に支配されたような『勝利への渇望』、そして…『精霊使い』としての才能が……世界へと牙を剥いた…!!

 

 

 

 

「っ…ダメだったか…!!総員戦闘態勢!!ズァークを…あいつの精霊達の怒りを鎮めるんだ!!!」

 

「「「『『『了解!!』』』」」」

…だが、この世界には()()がいる…世界を救った英雄と勇士達が…!

 

 

「来い!『No.39希望皇ホープ』!!」

 

「今度は…好き勝手にはさせねぇ!!『No.73激瀧神アビス・スプラッシュ』!!

 

「お前の怒りは正しいのかもしれん…だが、それを世界に向けるな!!『超銀河眼の光子龍』!!」

 

最悪の事態に備え、遊海は戦える者達に招集を掛けていた…遊馬、凌牙、カイト達三勇士…璃緒を始めとした七皇のメンバー達、ライディングデュエリストとして成長した不動流星に海亜・アトラス…そして世界を巡る最強の精霊使いの一角、遊城十代……悪意に呑まれ、ドラゴン達と共に暴れ狂うズァークに遊海と彼らは立ち向かった…。

 

 

 

だが…ズァークは止まらない。

 

 

 

【そうか…世界にはまだ、これ程の強者達がいるのか……ならば、オレも!ドラゴン達と一心同体となり…最強の力を手に入れよう!!今こそ…1つに!!】

 

「マズい…!お前達!一度離れるんだ!!」

観客達を逃し、4体のドラゴン達に立ち向かう遊海達…そして、その時は訪れてしまった…。

 

 

 【時空を司る『アストログラフ・マジシャン』よ…その深遠なる力で…我らの望みを重ね合わせよ─!!】

空中に白衣の魔術師が浮かび上がり、万華鏡のような魔法陣を描く…そこに『オッドアイズ・ドラゴン』『スターヴヴェノム・フュージョン・ドラゴン』『クリアウィング・シンクロ・ドラゴン』『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』……そして、ズァーク自身が飛び込む…。

 

 

 

そして…後に悪魔と呼ばれる龍──『覇王龍ズァーク』が誕生した…。

 

 

 

Side Out

 

 

 

「そこからが、大変だったんだよな……」

 

「ああ…俺達は戦い続けた……まだ()()()じゃない『覇王龍ズァーク』なら倒せると思って、戦い続けた………()()()も……」

 

「………十代さんが言ってたよな、4体の精霊と…その『魂』ごと融合したズァークの力は……今までの敵とは比べられないって……」

 

「………ああ、思い出してきた…!!そうだ、俺は……!」

そして、遊海は思い出した…自分が世界を救う為に、遊馬達に託した作戦を…。

 

 

 

Side遊海

 

 

 

『ぜぇ…ぜぇ……おい、どうなってやがんだ…!オレ達は、あいつを()()()()()、勝てるんだ…!!』

 

『くっ…無駄口を言う暇があったら、休んでいろベクター…!辛いのは、この場にいるもの、皆同じだ…!』

 

『それにしても、不可解だ…!何故、倒れない…!』

決闘者達は満身創痍だった、何度デュエルでズァークのライフを削りきり──逆に何度倒されたのか、もう数え切れない……倒されたズァークはしかし()()()、何度もデュエルを仕掛けてきていた。

まさに無尽蔵とも言える体力…だが、決闘者達の限界は近づいていく…。

 

 

ドーン!!

 

 

 

「ぐうううっ……ごはっ…………くそ……『帝王』にも、対応してきたか……」

 

「遊海さん!!大丈夫ですか!?」

ズァークに吹き飛ばされた遊海がビルの残骸に突き刺さる…戦い続ける者達のなかでも遊海自身の消耗が一番大きい……既に不死の身体の再生力は落ち、所持デッキの半分を使い切ろうとしていた…。

 

 

『遊海、まだ生きてるかい』

 

「バイロン…どうし…ゴフッ……」

 

『余裕はなさそうだね……強化型のスフィアフィールドが完成したよ、これで数時間はズァークの動きを封じる事ができるはずだ』

 

「ありが…たい…!子供たちは……そろそろ、限界だ…」

翠による治療を受ける遊海にハートランドで対ズァーク用のアイテムを開発していたトロンから連絡が入る…それはズァークを拘束する為のスフィアフィールド完成の連絡だった。

 

 

《マスター……ズァークの生命反応、弱まりません…!おそらく、彼は精霊と融合した事で体力は無尽……寿命尽きるまで、戦い続ける可能性があります…!》

 

「そうだ、よな……『物語』でも、封印するしか…なかった───封印………そうか…」

ボロボロの遊海はアヤカとの会話で事態の突破口を見つけた…。

 

 

 

 

 

「ズァークを、封印する!?いったいどうやって!?」

 

『生半可な封印じゃ…すぐに破られそうだぜ?』

 

「その為に──『ヌメロン・コード』を使う…それしかない…!」

 

「『『「『なんだって!?』」』』」

「光の護封剣」や『炎の護封剣』『闇の護封剣』の多重展開でズァークを足止めした遊海は集めた決闘者達に作戦を告げる…。

 

 

「みんなのおかげで、ズァークの被害はこの街だけで済んでる……まもなく、カイトやバイロンが開発した強化スフィアフィールドが…この街を覆う……その間に、ヌメロンコードを起動……()()()()()別次元にズァークを隔離する……そこで、ズァークの対処を続ける…!」

 

(なるほど…確かに、それが上手くいけば人間界への被害を最小限に抑えられる……だが、ヌメロンコードを使えるのはナンバーズを持つ私だけだ……私がナンバーズと共に離れれば、戦力は大きくダウンしてしまう)

 

「いや…アストラル、行くのはお前だけじゃない……()()()()()だ…!」

 

「っ…!?父さん!まさか、1人でズァークを足止めするって言うのか!?そんなにボロボロなのに!?」

 

「凌牙……今回の事態は、俺の油断が招いた事だ……俺に、責任を取らせてくれ…頼む…!」

 

「遊海…!」

それは封印という言葉から着想を得た『ズァーク隔離計画』……ズァークを無理矢理でも人間界から隔離し、被害を最小限に抑える為の作戦だった…。

 

……だが、その中に()()()()の無事は保証されていない……それが、この事態を招いてしまった1人としての遊海の責任の取り方だった。

 

 

 

「……ズァークを止めるには、奴やドラゴン達が抱いた憎しみや怒り、「勝ち続けたい」という奴の欲望を受け止め……それを浄化するしかない、まだ長い戦いになる……お前達には飛行船で少しでも体力を回復させてほしい……俺は不老不死だから、な…!まだ無茶が効く……それに、この作戦自体が()()()()()を避ける保険でもある」

 

『最悪の、事態…?』

 

「伝えていない者もいるから、改めて伝える……このあと、世界は4つに()()される可能性がある」

 

『「『「分断!?」』」』

遊海に詳細を知らされていなかった数人から驚きの声が上がる…。

 

 

 

「海馬コーポレーションの赤馬博士、という人が対ズァーク用のカードを作ってる………だが、そのカードが使用されたら……世界はズァークと共に4つに絶たれ、再構築されてしまう……それが()()()()()だ………」

 

「それって…世界が滅びるのと一緒じゃねぇか!?」

 

「……そうだ、ここでズァークを止められなきゃ……世界は終わる、それだけは避けなきゃならない…!でも、俺達には…それを覆せる力がある!お前達が、最後の希望なんだ…!」

 

「遊海…」

世界の終わり…その可能性を伝えられた決闘者達は拳を握り締める…。

 

 

 

「スフィアフィールドが張ってあれば、外からも侵入はできない…そうすれば、俺は周りを気にしないでズァークの対処に集中できる………頼む、お前達……俺の作戦に乗ってくれ…!」

 

(……遊馬)

 

「……アストラル、飛行船の準備を頼む!オレ達は……アストラル世界に向かう!!」

 

「頼んだぞ…!」

遊馬は仲間達を代表して決断を下した…。

 

 

 

 

………

 

 

 

「あと2分でスフィアフィールドが展開される!準備はいいか!!」

 

(飛行船の準備はできている……遊海、武運を…!)

 

「アストラル…頼んだぞ!」

そして戦い続けてさらに数時間…ついに、スフィア・フィールドの用意が整い…遊馬達はアストラル世界へ旅立とうとしていた…。

 

 

 

「遊海さん…私は一緒に残ります!遊海さん1人を残して行くなんて…私にはできません!!」

 

「翠…ここからは、どうなるかわからない…遊馬達と一緒に行ってくれ…!」

 

「でも…!」

肩で息をしながら一緒に戦うと言う翠を説得する遊海…そして──

 

 

「……すまない、あとで……必ず償いはする…!フレア!!翠と一緒に飛行船に乗ってくれ!!」

 

《ユウミ…!私が抜けたら…!》

 

「……たのむ、俺の分まで…みんなを護ってくれ…!お前だけは、対ズァークの()()()になり得るんだ……頼む!!」

 

《っ……わかりました…!ミドリ、ごめんなさい!!》

 

「嫌っ!!離して…!離して─!!」

フレアが翠を掴んで飛行船に飛び込む…メインデッキのモンスターかつ、攻撃力4000以上を確保しやすい「ラーの翼神竜」は切り札として()()()に巻き込む事は避けたかったのだ。

 

 

「翠、みんなを頼む…!もし、俺がしくじったら……お前がみんなを導くんだ!!」

 

「遊海さん!!遊海さん──!!!」

 

空がスフィアフィールドに閉じられていく…涙を流す翠を乗せた飛行船はそれを抜けてアストラル世界への道を飛んでいく…だが…。

 

 

 

まだだ…!まだ我は満足していない!!逃さぬぞデュエリスト共──!!

 

 

「行かせねぇよ、ズァーク!!お前の抱いた怒りや憎しみは…全部俺が受け止める…!思う存分戦ってやる──!!」

巨大な翼で飛行船を追おうとするズァーク…その翼を「NEXUS」となった遊海が切り落とし、墜落させる…。

 

 

 

 

…それが凌牙達の見た遊海の最後の姿だった…。

 

 

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

「それで俺達はアストラル世界に向かったんだけど……その後、何があったんだ…?」

 

「………()()()()()……」

 

「えっ…?」

 

「いや…その後、アヤカ達と数時間戦い続けて……確か、累計1000戦目のデュエルをしようとして……気付いたら、赤馬レイがズァークの前に居て……でも、その直前までの()()()()()()()んだ…」

 

《私達もです…気付いたら対ズァークのカード……『エン』シリーズの光に巻き込まれそうになっていて……その直前にマスターに強制退避させられて……》

 

「……どういう事だ…?」

 

 

 

 

 

 

Side遊海

 

 

 

「────う、ぐ……?………なん…だ……なにが、おきた……?」

いつの間にか意識を失っていたらしい遊海が目を覚ます…全身血塗れで身体中に傷が無い場所はない、その状態で崩れたビルの瓦礫に埋まり、骨も砕けていたが……痛みすらも麻痺していた…。

 

 

「アストラル……遊馬……アストラル世界に、着いたんだな…?」

途切れそうな意識で遊海は空を見る、夜空にはスフィアフィールドの黄色のバリア……そのさらに向こうに『ヌメロン・コード』によるモノと思われる青いエネルギーが広がっていた…。

 

 

 

「間にあった、な……さて……どうした…もんかなぁ……」

現在のズァークの力はドン・サウザンドやオレイカルコスの神に匹敵する……倒し方の難易度的には「記憶の世界」のゾーク・ネクロファデス並に難しいかもしれない…遊海はぼんやりとそんな事を考えていた。

 

 

「やっぱり…封印しか、ない…か…………っ────」

安堵感から意識を手放しかける遊海…その時だった。

 

 

 

 

■■■■■───!!

 

 

悪魔が咆哮する…何かに怯えるように、怒りを露わにするように…。

 

 

周囲に花が咲き乱れる

 

 

太陽が沈んだにも関わらず、鳥達が飛び回る

 

 

穏やかな…しかし強い風が吹き荒れる

 

 

夜空に輝く月から雫が落ちる…。

 

 

 

 

 

 

『待て!待つんだ!()()!!』

 

 

 

 

「っ──!?そんな…なんで!!」

風に乗って聞こえてきた男性の声に途切れかけた遊海の意識が急速に覚醒する!

 

「うっ……あああ!!!我が身に宿りし光と闇よ!!NEXUS!!

 

動いた事で全身がバラバラになりそうな激痛に襲われながら、遊海はNEXUSⅡとなって空中に飛び上がる…そこで目にしたのは赤い水晶の大地の上で4枚のカードを掲げる少女、それを前に苦しむ『覇王龍』の姿だった…!

 

 

「どうやって『スフィアフィールド』を破った!?まずい…間に合わない!!」

 

 

少女の腕に4本のブレスレットが現れる、そしてそこから地球に息づく『大自然』の力を凝縮した光が放たれ──

 

 

 

よくも…よくも!一つになった我らをぉぉぉ!!!?

大自然の力が『覇王龍ズァーク』を4体のドラゴンへと分離させる、そして少女もまた4つの影となって分かたれ、世界が引き裂かれる!!

 

 

 

「や、やらせるかぁぁ!!」

 

遊海は残された全ての力を使い、繋がる「絆」の力を象徴するNEXUSの力を開放する!!

 

 

「守る…守るんだ!!凌牙達の帰ってくる場所を!遊戯達に託された世界を!!だあああっ!!」

引きちぎれようとする世界…それを遊海は自分の体を「楔」として繋ぎ止める…!

 

 

《っ…!?ま、マスター!いったいなにが!?》

 

「っ…マスター権限!!精霊達よ!『賢者の鍵』の中に退避せよ!!」

 

《マスター!?》

墜落していたアヤカが再起動する…だが、その瞬間に遊海は強制命令で精霊達を安全地帯へと引き込んだ…!

 

 

 

 

「俺は、帰るんだ…!翠の……家族の、いる場所に……ぜったい───」

 

 

 

 

バキッ!!

 

 

 

「あっ────」

 

NEXUSが力に耐えられず、砕け散る……そして、遊海は膨大なエネルギーの爆発によって世界から弾き飛ばされた…。

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

「……それ以降の事はなんにも……俺は分裂した世界のエネルギーにふっ飛ばされて……気付いたら、お前達がいたんだ…」

 

「『スフィア・フィールド』を破って、赤馬レイ達が中に…!?そんなの、どうやって…!」

遊海の最後の記憶を聞いた凌牙は…あまりの出来事に驚きを隠せないでいた…。

 

 

「あくまで、予想なんだが……赤馬レイの持っていた『エン』シリーズはズァーク対策の為に大自然の力を込めたカードだ…その膨大な力でスフィアフィールドに穴を開けた…としか考えられないな……今となっては確かめようがないが……」

 

「……でも、父さんが稼いでくれた時間が、俺達の世界の命運を分けたんだ……ありがとう、父さん…!」

 

「凌牙、教えてくれ…お前達がアストラル世界に向かった後、何が起きたのか…」

 

「ああ…と言っても、俺達もよく解ってないんだけどさ……」

 

 

遊海の話を聞き終えた凌牙は語り出す、遊海と別れた後の出来事を…。

『決闘の観測者』人気投票! 小説内で好きなキャラは?(精霊・モンスター部門)

  • アポクリフォート・キラー 彩華
  • 聖刻龍─トフェニドラゴン トフェニ
  • ラーの翼神竜 フレア
  • メガロック・ドラゴン メガロック
  • 三幻魔(ウリア・ハモン・ラビエル)
  • エルシャドール・ミドラーシュ ウィンダ
  • エルシャドール・ウェンディゴ ウェン
  • フォウくん
  • No.93太陽皇ホープ・フェニックス
  • No.∞決闘の守護者
  • その他の精霊・モンスター
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