転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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神々の戦い~それぞれの死闘~

アクナディンの手によって大邪神ゾーク・ネクロファデスは復活した。

黒い体

2本の角、鋭いかぎ爪

体に巻き付いた龍

まさにそれは悪魔を連想させる…

「あれが…ゾーク…!?」

「なんと禍々しい…!」

【矮小な人間共よ!我が炎で燃え尽きるがいい!『ゾークインフェルノ』!!】

神官達にゾークが掌より極大の炎を放つ!

「マズイ!?」

『させるか!うぐぉぉおぁ!』

「ハサン殿!!」

間一髪ハサンが割り込み攻撃を防ぐ、しかしハサンははじき飛ばされてしまう。

『ここは、我に任せて皆は早く行け!今のうちに、王宮に戻り、街を守るのだ…さぁ、急げ!』

「ハサン殿…頼みます!!」

シモン達は王宮に向かう…しかし

【逃がすか!『ゾークインフェルノ』!】

再び炎が迫る!

「罠カード!『ドレイン・シールド』!!」

突如現れた青色の膜が炎を吸収する

「なんと!?一体誰が!?」

「シモン様!早く王宮へ!ファラオは既に向かっています!早く!!」

「シュウ!!」

 

遊海 魂150/100

 

「なんとかハサン様と食い止めます!早く!」

「わかった!シュウよ!テフを悲しませるでないぞ!」

「…わかっています!」

そしてシモン達4神官は王宮へと戻り始める

 

 

【シラナミ ユウミか!貴様…よくも我の邪魔をしたな!】

「邪魔?なんの事だ?」

【とぼけるな!現世で我が写し身を破壊しおって!!】

「写し身…?まさか三邪神の事か?」

【そのとおりだ!!あの三体は現世での我が身!もう少しで力が集まったところを!!】

…やはりそうか、三邪神はペガサスが作り出したオリジナルカードにしては闇が強すぎた、やはり千年眼を通してゾークの邪念が関わっていたのか…

「知るかそんな事!ともかく、しばらく俺に付き合ってもらうぜ!ゾーク!!」

【ふん!矮小な人間が燃え尽きよ!】

ゾークは炎を放つ

「『裁きの龍』!裁きの息吹!!」

空中で炎とブレスがぶつかり、爆発する!

【ぬうっ!?】

「今だ!『裁きの龍』!我が魂を糧に邪神を滅せよ!『カタストロフ・レイ』!」

裁きの龍の光の波動がゾークに迫る

 

遊海 魂140

 

【小癪な!『ダークフェノメノン』!】

ゾークのビームが波動を貫き裁きの龍を破壊する

「ぐおっ!?」

 

遊海 魂120

 

「ならこいつだ!来い!『聖刻神龍ーエネアード』!」

赤い体をした巨龍が現れる。

「放て!『ソーラーフレア』!!」

エネアードが咆哮すると空から太陽の如く強い光線がゾークに向けて放たれる!

【オォォオ!!舐めるな!】

ゾークはその光線を受け止めて振り払い、周囲が煙に包まれる…

【ゾークインフェルノ!!】

煙の中からゾークが炎を打ち出しエネアードが倒され、爆風により遊海が吹き飛ばされる

「しまっ…!」

【死ね!ゾークインフェルノ!】

『させん!!』

炎の前にハサンが立ち塞がる

「ハサンさん!」

『行け!ファラオをお守りするのだ…早く!ぬうっおぉお!!』

ハサンは炎をその身体に受けてついに消滅してしまう

【王の守護者め!余計な事を!『ダーク』…】

「魔法カード!『光の護封剣』!!」

【何!?】

遊海の発動したカードによりゾークの動きが封じられる

【オノレェ!!こんな結界などすぐに壊してくれる…!】

「少しでも時間が稼げれば充分だ!罠カード『強制脱出装置』!対象・俺自身!…人間大砲発射!!」

遊海は強制脱出装置にて王宮方面に撃ち出される!

【逃げるのか!?】

「あんたを倒すのは俺じゃない!あばよっ!」

遊海はそのまま王宮方面に飛んでいった…。

 

遊海 魂80

ゾーク ∞

 

 

 

 

 

 

そして王都前ではファラオ・神官団を中心に兵士達がゾークの迎撃準備をしていた。

「セト様!投石器部隊、弓矢部隊、配置完了です!」

「わかった!弩弓部隊も配置を急げ!」

「ハッ!!」

『セト!守備はどうだ!?』

「はっ!順調に進んでおります!」

「伝令!伝令!ゾークが移動を始めました!王宮に向かっています!!」

「ついに来るかっ!」

『遊海…シュウとハサンはどうした!』

「……~!」

『なんだ?』

「…い…れ~!」

「ん?どこからか声が?」

「シモン…上…どい…くれ~!」

「ん?上?」

「どいてくれ~!!」

「のわ~っ!!?」

 

ズドン!!!!

 

『なんだ!ゾークの攻撃か!?』

「ファラオ!!空から人が!」

『なんだと!?』

 

 

「アイタタタタ…!何とか到着…」

「バカ…者…!早く降りぬか!?」

「ハッ!?シモン様すいません!!」

『遊海!?』

空から落ちてきたのは遊海だった…

「ファラオ…ただいま戻りました…」

『遊海よく戻った…どうして空から…?』

「ん?『強制脱出装置』で飛んできた!」

『無茶をするなよ…』

「シュウ…お前性格が変わったか…?」 

 

        《閑話休題》

 

『そうか…ハサンが…』

「はい、しかし彼のおかげで時間が稼げました…」

『わかった…この先はどうする?』

「とにかく時間を稼ぐのです、遊戯がここに来るまでに…」

『どうやってだ?今俺達に千年アイテムは無いんだぞ…』

「それなら…」

【マスター!お待たせしました!】

突如王都の上空にアポクリフォート・キラーが現れる

「なんだアレは!?」

『アヤカ!?』

【千年アイテム、回収完了です!投下します!】

そう言うとアヤカが一つの麻袋を投下する、その中には千年アイテムが全て入っていた。

『これは!?』

「俺が時間を稼いでる間にアヤカに回収をお願いしてたんです!」

『これなら!』

 

 

 

 

「ゾーク…来ます!!」

「投石部隊!放て!!」

投石器から放たれた巨大な石がゾークに直撃する

【おのれ虫けらどもが!】

ゾークは炎で投石器を焼き尽くし兵士達が吹き飛ばされる

「「うわ~!!」」

【ファラオよ滅びるがいい!!】

ゾークの言葉と共に空から落雷が落ちる!

「ファラオ!!」

咄嗟にシャダがその身を盾にするが

『反射の陣!!』

【何!?グオッ!!?】

落雷がゾークに向かい跳ね返る

『遊戯!無事か!?』

『遊海!』

遊海が精霊アーマーを纏い雷を跳ね返したのだ

 

遊海 魂75

 

「シュウ!なんだその姿は…いや、お前は誰だ!」

セトが遊海に問いかける、シュウは確かに優秀な男だったが魔術で空を飛んだり、精霊の力を身に纏うような術は使えなかったはずだと…

 

『セト様、俺はシュウではありません。しかしファラオの味方です!』

「信じるぞ…!!」 

【おのれ!貴様…邪魔をするな!!】

ゾークがその巨大な腕を振り上げる

『来い!「A No.39希望皇ホープ」!「ムーンバリア」!!』

《ホープ!!》

遊海達の前に白い巨人が現れ、攻撃を防ぐ

「なんと!?」

【おのれ異界の力を!】

『ホープを素材にランクアップエクシーズチェンジ!「SNo.39希望皇ホープ・ザ・ライトニング」!!「ホープ剣ライトニング・スラッシュ」!』

【ぐおおっ!?】

ホープの斬撃がゾークの胸を切り裂く!

 

遊海60

 

「攻撃が効いてるぞ!」

「やっちまえ!光の戦士!」

兵士達が完成をあげる

『遊海!また無茶を…魂を使いすぎだ!俺も神で…』

『…大丈夫…遊戯少しでも体力を回復させろ…神を使うタイミングを誤るな…!ホープ!戻れ!』

遊海はホープをカードに戻し精霊アーマーを解除する

「シュウ!何を?」

「奴に一撃、強烈な一撃を加えます…、あとは頼みます!」

『遊海!』

 

 

 

 

【ぬぐぉぉ!!おのれ転生者…!?】

「『パワーボンド』!『サイバードラゴン』三体融合!『サイバーエンドドラゴン』!『リミッター解除』!」

ゾークの目の前に自身の3倍近い体長を持つ機械龍が現れる。

「放て!!『ファイナル・エターナル・エヴォリューション・バースト』!!」

サイバーエンドから最高威力の光線が放たれる

【ぬぐぉぉおぉぉお!!!?】

「「うわぁぁ!」」

兵士達が余波で飛ばされ、光線がゾークを飲み込む…

光が晴れるとゾークが砂になり崩れ去った…そしてサイバーエンドドラゴンも崩れ去る。

 

「「神官が邪神を倒したぞ!ファラオ万歳!!」」

「「「ばんざーい!!」」」

「グッ!」ドクン

『遊海!?大丈夫か!?』

遊海は胸を押さえて倒れる

 

遊海 魂5

 

「今のは…無茶をし過ぎたかな…?」

『遊海、お前何をした?』

「デュエルモンスターズで攻撃力16000相当の攻撃をした…ただし『パワーボンド』で俺は4000のダメージを受ける…しばらくは動けない…」

『しかしゾークは倒せた!お前のおかげだ!』

「…遊戯」

『なんだ?』

ここからが本番だ(・・・・・・・)…!後は任せる…」

『なんだって?』

《何を喜んでいる?…ゴミ共よ…》

「「えっ…!?」」

崩れたゾークの砂が動き始める…砂は空に舞い上がり徐々に形を作る…そして

【我は不死にして不滅だ!!】

「ゾークが復活しただと!?」

「化け物め…」

『くっ!』

ファラオ達は戦慄する…あの巨大な龍の攻撃でも倒せないのかと…

「遊戯…セト…神と白き竜を…」

『…わかった!』

 

 

『今神の力によりて、邪神を倒す!出でよ!三幻神!「オベリスクの巨神兵」!「オシリスの天空竜」!「ラーの翼神竜」!』

石板の神殿から赤・青・黄の光が飛び出しゾークの後ろに着弾する。

そして大地からオベリスクが、水平線の果てからオシリスが、そして闇に覆われた天からラーが降臨する。

『三幻神…召喚!!』

 

 

「シャダ!千年錠を借りるぞ!」

「シモン様!?何を!」

「この千年錠の最初の持ち主は…ワシじゃ!

この老いぼれにまた力を貸してくれ…!王宮の魔神よ!

石版に封印されし聖五体を解き放ち、守護の力を与えよ!

出でよ、我がいにしえの精霊、エクゾディア!」

シモンの言霊と共に地面に赤い五芒星が描かれ、地中より5枚の石板が現れる。

やがて地面が割れ鎖に縛られた巨神…エクゾディアが現れる。

 

かつて…押し寄せる敵国の軍勢を退けるため、アクナムカノン王と共に戦いし精霊…その力は一夜にして千の軍勢を殲滅したという。その大きすぎる力ゆえにシモンは二度と使わぬと誓い、街の守りとして封じていた…しかし!

「今その枷を解く!行くのだエクゾディア!ファラオと共に!!」

エクゾディアは鎖を粉砕しゾークに向かう

「キサラ…力を借りるぞ!!いでよ白き龍!!」

セトによりブルーアイズが召喚される。

『行け!三幻神!!』

「エクゾディア!」

「白き龍!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『これで勝負はわからなくなったな、バクラ!』

「ちっ、三幻神にエクゾディア、白き龍を召喚しやがったか…!遊戯、どうやらこれがラストターンのようだな…もうこんなテーブルでの駆け引きは必要ねえ!文字通り、世界の命運がこの一戦で決まる!もはやこの体は必要ねえ。オレは本来あるべき姿に戻るぜ!!」

『貴様…やはりゾーク!!』

 

バクラに宿りし闇の人格…その正体はゾークだった、ゾークは現世にて千年アイテムを揃え完全な復活を果たすために暗躍していたのだ。

「フハハハ!遊戯よぉ!行くぞ我らが…戦場へ!」

『望むところだ!』

バクラそして闇遊戯は魂をゲーム盤へ移動する、遊戯はファラオに、バクラはゾークへ憑依する。

 

 

 

【来るがいい!非力な神!そして精霊共よ!闇の力に勝てると思うな!!】

ファラオ 魂90

シモン  魂90

セト  魂90

遊海   魂10

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウインドストーム!!」

「ドルフィンアタック!」

その頃、遊戯対バクラのデュエルも終盤をむかえていた…

 

翠 魂20

 

「はぁ…はぁ…!」

「翠ちゃん大丈夫!?」

「だい…じょうぶです…」

「遊戯!頼む!バクラを倒してくれ!」

 

遊戯対バクラのデュエルはライフ的には遊戯が優勢だった、しかしバクラはライフではなくデッキを削って遊戯を倒そうとした、そのかいがあり遊戯のデッキは残り1枚となっていた。

そして翠達もバクラの呼び出した死霊に追い詰められ翠の魂も残り少なくなっていた。

 

 

「これでターンエンドだ。さて、フィールド上のモンスターは14体。てめえのデッキは残り1枚。これじゃもうどうすることも出来ねぇなぁ!フフフ、遊戯!てめえ弱ぇなぁ。王様がいねえと何も出来ねぇのか?」

 

「バクラくん、ボクのデッキには君のアンデットロックデッキをやぶるカードが1枚だけ眠っていたんだ!僕のターン!ドロー!」

「僕は場の『マシュマロン』と、『サイレント・マジシャン』を生贄に捧げ…『破壊竜ガンドラ』を召喚!」

遊戯の場に全身に赤い玉のついた竜が現れる

 

「『破壊竜ガンドラ』の特殊魔法攻撃!デストロイ・ギガレイズ!」

ガンドラの宝玉から赤い光線が無数に放たれる、それによりフィールドを漂っていたバクラの場の浮遊モンスターや杏子達を襲っていた死霊立ち塞がる破壊される。

 

「なんだと!?」

「『サイレントソードマンLv7』で攻撃!沈黙の剣!」

「こ…こんな器ごときに俺様が負けるだと…!

しかし足止めはできたぜ…」

 

「遊戯!やったわね!!」

「うん!早く名前を!」

 

 

 

そしてファラオの名前を確認する遊戯達…しかし

「なぁ…これって…」

「古代神官文字…」

「読めない…」

そこに刻まれていたのは神官文字…現代人の決闘者である遊戯達には読めなかったのだ

「どうすればいいの…そうだ!翠ちゃんなら!」

「…ダメです…わかりません…」

「どうして!?翠ちゃんは今エジプトの人になってるんだから読めるんじゃないの!?」

「…すいません、正確には読めるんですけど伝えられないんです。」

「翠さん、それはどういう…」

 

「…たぶんNPCはファラオの名前を口にしたり書いたり出来ない制約があるんです、私と遊海さんは侵食の呪縛は解けました、けどその制約がまだ働いているんだと…」

「そんな!何か方法はないのか!」

「一つあります…賭けですけど…」

「杏子さんの渡したカルトゥーシュです…あれに名前を刻めば…」

「でも、どうやって…」

「今の遊戯さんみたいにです!」

「えっ!?」

「この世界は記憶の世界…いわば夢の中とも言えます…つまり」

「そうか!僕達がこの文字を覚えて、もう一人の僕のカルトゥーシュにイメージで刻めば!!」

「あいつなら名前が読める!」

 

そして遊戯達は必死にその図形を覚える…そして…

 

「皆さん!イメージした下さい!もう一人の遊戯さんの所に行くと!」

すると

「うおぉっ!体が浮いた!」

「私…飛んでる」

「これなら!!」

「皆さん行きま…!!」

 

・・・翠・・・

 

 

「翠ちゃん?」

「ウィンダ!!王宮まで全速力!!」

「了解!!?」

翠はミドラーシュに掴まると遊戯達の数倍の速さで飛び出して行く!!

「翠ちゃん!!」

「まさか遊海に何かあったんじゃ!?」

「急ごう!!」

 

 

 

 

 

遊戯達よりも早く王都に着いた翠、そこで目にしたのは力を失い石化した三幻神と倒れ伏すファラオと神官達の姿だった…。

 

 


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