転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

どうにか、シンクロ次元の危機を解決した遊海…英雄の必死な願いはシンクロ次元の人々に届くのか…。


それでは最新話をどうぞ!


幕間〜変わり始めた世界〜

「……あれ、オレは…」

遊矢は見慣れない豪華な部屋で目を覚ました、寝ぼけた頭で少し考えて……自分の状況を思い出した。

 

 

「そうだ…ジャックとデュエルして…それで、遊海が………」

 

それはあまりにも濃すぎる1日だった。

 

 

ロジェによってセッティングされたキング、ジャック・アトラスとのエキシビションマッチ…遊矢はその中で自分の「エンタメデュエル」を独り善がりだと否定され、圧倒的な力の前に敗北した…。

 

そこへ姿を消していた遊海が乱入…ジャックとの激しい魂のデュエルの末にジャックを圧倒して勝利を掴んだ。

そして…そこからは「現実」なのかを疑う程の出来事ばかりだった…。

 

 

夜空に現れた巨大な赤い竜…その光に導かれるように現れたジャックやクロウを含む6人のデュエリスト達。

 

シンクロ次元の人々へ向けた遊海の魂の演説。

 

明かされた治安維持局長官の正体と陰謀、そして歪んだ社会を変える為のトップスとコモンズが協力したデュエル。

 

そして現れたダークシグナーと呼ばれたセルゲイと遊海による世界の命運を賭けた、リアルソリッドビジョンのレベルを超えた決闘……その戦いの末にシティは平穏を取り戻した、のだが…。

 

「………遊海、大丈夫かな……」

遊矢はベッドから起き上がり、カーテンを開く…そこに広がるのは穏やかに太陽の光が照らすデュエルパレス……だが、遊矢はさらに遠くを見つめていた…。

 

 

 

 

 

 

Side???

 

 

 

 

《フォウ、フォーウ!!(遊海!大丈夫!?)》

 

「ああ、フォウ…大丈夫、待たせた……っ──」

 

「遊海!?」

 

《フォッ!?》

戦いを終え、肩に飛び乗ったフォウを優しく撫でる遊海…だが、突然、糸の切れた人形のように地面に倒れ込んでしまった…!

 

 

「ぁ……いや、大丈夫だ………これくらいの、ダメージ……すぐ……っ……」

 

「絶対大丈夫じゃないって!?立ててないじゃんか!!」

遊矢達を制して立ち上がろうとする遊海……しかし、表情は苦しそうに歪んでいる…。

 

 

「く、そ……たおれてる、ひまなんて……なぃ………────」

 

「「「遊海!!?」」」

体力の限界を超えていた遊海はブレーカーが落ちるように、意識を手放してしまった…。

 

 

 

SideOUT

 

 

 

「まだ、シンクロ次元の人達には任せられないって…アヤカ…彩華さん?が遊海を担いで何処かに行っちゃって……大丈夫なのか…?」

気絶してしまった遊海は人間体のアヤカによって安全な場所へと運ばれた…そして…

 

 

 

「気絶してた観客達が意識を取り戻して………」

 

 

 

 

Side???

 

 

 

「聞いてくれ!みんな!!」

ダークシグナー…冥界の王の脅威が去り、囚われていた人々も開放された(ロジェだけは行方不明)

そして、戸惑う観客達へと不動遊星が呼び掛ける。

 

 

「この世界にやって来た1人の男によって、オレ達は助けられた…彼は危険を顧みず、自分を犠牲にしてオレ達を守ってくれた!オレ達は、その思いに応えなければならないんじゃないか!?」

 

「いきなりは無理かもしれない…それでも、私達は手を取り合える!!同じ人間なんだもの…!できないはずがない!!」

遊星とアキの言葉がスタジアムに響く…そこで観客達は気付いた。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

それは奇跡の竜『シューティング・セイヴァー・スター・ドラゴン』と遊海の『クリア・マインド』が起こした『奇跡』…遊海のクリアマインドがシンクロ次元に伝播した事で人々の過剰な競争社会の考え方や、闘争心が落ち着き…()()を取り戻したのだ。

 

 

 

「フン…ここからは()()()という訳か……ならば遊星、お前がそれを示してみせろ!」

 

「ジャック…?」

遊星の演説を聞いたジャックが遊星へと話しかける…強い闘志を宿して…!

 

 

「白波遊海が倒したセルゲイはフレンドシップカップの()()()だ……つまり、()()()()()という事……上がって来い!我が()()()()よ!俺の王座まで!!」

 

「ジャック……オレは……」

 

「受けて立つんだ、遊星…それがお前の宿命だ」

 

「父さん…!」

遊星との戦いを望むジャックは遊星にフレンドシップカップに出るように告げる、その言葉を聞いて悩む遊星の背中を押したのは……不動博士だった。

 

 

「きっと、お前が()()するような事にはならない…お前がデュエルが好きなのは、私が一番分かってる……私と母さんに…遊星のカッコいい姿を見せてくれないか?」

 

「父さん……分かった…!お前からの挑戦状、確かに受け取ったぞ…ジャック!!」

 

「フン…決勝で待っているぞ、遊星!」

一瞬睨み合い、火花を散らす遊星とジャック…そしてジャックはコートを翻して去ろうとし…。

 

 

 

「………榊遊矢、お前もまた『エンターテイメント』を求める者ならば…鍛え直して来い、その度胸があるのならな…!」

 

「ジャック…!」

冷たい眼差しで遊矢に言葉を告げたジャックはそのまま去って行った…。

 

 

そして遊矢は柚子やクロウと共に評議会の使者達によってデュエルパレス近くにある行政評議会の用意したペントハウスに案内され、疲労からすぐに眠りに落ちてしまったのだ。

 

 

SideOUT

 

 

 

 

「…ジャックは…父さんのエンタメを馬鹿にした……でも、本当にそうなのか?ジャックは……オレに何を求めて…」

ジャックの言葉を思い出して悩む遊矢…そんな時だった。

 

 

『お目覚めかな?』

 

「うわっ!?行政評議会の!?」

 

『ほっほ…すまんすまん、驚かせるつもりはなかったんじゃがの…3Dビジョンでお邪魔させてもらうぞ?』

 

「3Dビジョン…!?」

窓の外を見ていた遊矢はいきなり声を掛けられて驚く…いつの間にか、ホワイト議長を始めとした行政評議会達が3Dビジョンで遊矢の部屋に現れたのだ。

 

 

『フレンドシップカップの参加者は我々の客人であると同時に()()()()になっている……ですな?議長』

 

『はい、そういう事です…榊遊矢君、昨日は大変だったのう……我々も肝が冷えた……我々との話し合いでは表情を変えなかった赤馬零児も…冷や汗を流しておったよ』

 

「零児が…」

遊矢の部屋に現れたホワイト議長は遊矢を労う…映像越しとはいえ、世界を滅ぼしかねない存在の登場に…評議会の面々達にも疲れが見える…。

 

 

『まったく…凄まじい男じゃの、白波遊海は……たった1人で融合次元の人間だったロジェ長官の陰謀を暴き、トップスとコモンズの手を取り合わせ……シティに現れた邪神を打ち倒す、まるで…空想のヒーローを見ているようじゃった』

 

「……違う、遊海は1人じゃなかった……友達との……仲間の絆と一緒に戦ってたんだ……初対面のはずのジャックや、不動博士の息子と一緒に…」

白波遊海の凄まじさを語るホワイト議長……だが、遊矢は気付いていた……あの時の遊海は一人ではなかった、仲間の絆と一緒に戦っていたのだと…。

 

 

『……昨日起きた事の詳細はキング、ジャック・アトラスから聞かせてもらった…あの場にいた者……ジャック・アトラス、クロウ・ホーガン、不動遊星、十六夜アキ、龍亞・龍可という兄妹……そして白波遊海はシグナーと呼ばれる善神の使者としての素質があったのだそうじゃ……その使者達が倒すべき者がダークシグナーに成ってしまったセルゲイ・ヴォルコフ、そしてあの冥界の王と呼ばれる邪神だったらしいの……何十年も生きてきたが、そんな話は初めて聞いたわい』

 

『そして、あの戦いはシティに変化をもたらした……トップスとコモンズの緊張状態が緩み、和解の道を歩み始めたのだ』

 

『あの戦いはそれほどのインパクトをシティに与えた…という事ですな?議長』

 

『はい、わしも驚いたよ』

 

「トップスとコモンズが…!」

行政評議会の言葉を聞いた遊矢は驚いた……コモンズを見下していたトップス…そして、トップスを憎んでいたコモンズ……両者の距離が縮まったと言うのだ。

 

 

『かくいうわしも…どうしてシティをこんな形で纏めようと思ったのかわからなくなってしまってのう……どうやら、白波遊海が召喚したドラゴンには人々の『心』を穏やかにする作用があったらしい……すぐにとは言わんが、この街は変わり始めるじゃろう』

 

「遊海…すごいな…」

ホワイト議長の言葉を聞いた遊矢は洋子から聞いた父・遊勝が不良達の抗争を収めた話を思い出す……遊海はそれを街単位で行なってしまったのだ。

 

 

 

『さて…話はこれくらいにして、連絡事項を伝えさせてもらおう……まずは1つ、今日からフレンドシップカップの本戦が始まる…お主が戦うのは二日目からじゃ、用意を怠らぬように』

 

『2つ、ペントハウス…この評議会ビルから出ない限りは()()()()してもらって構わない……お前達を騙し、フレンドシップカップにおける敗者の末路を黙っていた埋め合わせを兼ねてな』

 

『3つ、白波遊海以外の仲間達は全員このビル内に滞在している……以上でよろしいですな?議長』

 

『はい、榊遊矢君…本戦では素晴らしいデュエルを見せてもらう事を期待しているよ』

 

「は、はい…!」

遊矢へと連絡事項を伝えた評議会は部屋から去っていった…。

 

 

 

「………遊海がいなかったら、オレ達……どうなってたんだろう…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ……ああ…ぐううっ……!!」

 

 

《遊海…無茶をしおって…》

 

《フォウ…》

シティ近海、ステルスモードで姿を隠した移動要塞『アポクリフォート・キラー』の中……その寝台とも言えない金属製の台の上で遊海は苦しんでいた。

その傍らには精霊達やフォウが心配そうに寄り添っている…。

 

 

《しばらくはまともに動けないでしょう……消耗が激し過ぎます……肉体的にも、精神的にも……》

 

《主殿……》

人間体の彩華が静かに告げる……今の遊海は満身創痍だった。

 

 

スタンダード次元で目覚め、LDSで仮眠を取ったあとからデュエルパレスで意識を失うまで()()()()()()()、遊星の機械修理手伝いの合間を縫ってシンクロ次元の人々の信頼を得る為に人助けに奔走…さらに収容所での『オシリスの天空竜』開放と転移失敗によるダメージ。

そこへジャック戦での荒ぶる魂、バーニング・ソウルの開放…さらに正反対の無我の境地、クリアマインドの使用……そしてDSセルゲイ戦における瀕死の大ダメージとマイナスエネルギーの侵食……NEXUSⅢの全力開放……常人なら何十回か死んでいてもおかしくない程の負荷が遊海を苦しめていた…。

 

 

 

「…ねてなんか、いられな……みどりが……りょうがが……まって……あかでみあ、が───」

 

 

ドッターン!!

 

 

《マスター!?今はダメです!安静にしないと…!》

無理矢理に起き上がろうとして寝台から転げ落ちた遊海をアヤカが抱き起こす……歴戦の英雄であっても、動けるような状態ではなかった…。

 

 

「うぅっ……みど、り……ごふっ…!?

 

《フォウ!?》

 

《これは……ずいぶんと追い詰められているな……無理もないが……》

高熱に魘され…血を吐き、耐え難い痛みと苦しみに襲われながら翠の名を呼ぶ遊海……遊矢達を導く、世界を守るという使命感で抑え込んではいたが、遊海は凄まじいストレスを抱え込んでいた。

 

 

 

ズァークを止められなかったという自責の念

 

自分1人の為に遊馬達や、冥界の遊戯達を危険に曝してしまった罪悪感

 

翠や凌牙、璃緒…家族を悲しませてしまったというやるせなさ

 

そして……多少は改心したらしいとはいえ、復活させてしまった特大の爆弾(ドン・サウザンド)

 

 

体を動かしていなければ…歩みを止めてしまったら、それだけで心が壊れてしまいそうな『嵐』が遊海の中で渦巻いていた…。

 

 

 

《フォウ、フォーウ…(遊海、背負い過ぎないで…頑張りすぎなんだよ…)》

 

「ふぉう……」

魘される遊海に寄り添うフォウは遊海にしかわからない言葉で話しかける…フォウはずっと見ていたのだ、スタンダード次元から…何かに追われるように動き続ける遊海の姿を…。

 

 

《マスター…私にも、フォウが何を伝えようとしたかはわかります……翠も言ってましたよね?マスターは1人で色んな事を背負い過ぎだって……今は休んでください、万全の状態でアカデミアの侵攻に備える為にも…》

フォウの様子から意思を読み取ったアヤカも優しく遊海を諭す、相棒(パートナー)として……遊海の家族として…。

 

 

「あやか………ふぅ……」

 

《……おやすみなさい、マスター…》

アヤカの言葉を聞いた遊海は静かに意識を手放す…その表情は久しぶりに穏やかだった…。

 

 

《かつて、遊海が毒に倒れた時もそうだったが……やはり、2人は似た者夫婦だなぁ……あの時の翠とそっくりだ…》

 

《依存…とは違いますが……人間にとって、信頼できる人が近くにいないというのは精神的に負荷が大きいようです……でも、冥界の王というイレギュラーがあった以上、マスターがシンクロ次元に来ていなければ……ダークシグナー化したセルゲイによって被害が拡大していたかも…》

遊海を寝台に寝かせながら、アヤカとメガロックが語り合う…もしも、遊海がスタンダード次元から直接エクシーズ次元に向かっていたら…その間にエクシーズ次元をアカデミアから開放する事はできただろう。

 

しかし、シンクロ次元では『冥界の王』がセルゲイ以外をもダークシグナーとして使役し…本来起きるはずだった『コモンズ革命』に呼応する形で侵略を開始……命懸けの『決闘』に慣れていないランサーズやシンクロ次元のデュエリスト達を倒し、シンクロ次元が破滅していた…という可能性もあったとアヤカは予想した。

 

幸運だったのは遊海の『痣』を通じて赤き竜が顕現した事…それによってシンクロ次元での最悪の事態を未然に防ぐ事ができたのだ。

 

 

 

《遊海よ、お前は…お前が思う以上に『絆』に守られておる……心配せずに休むのだ》

 

《フォウ…ファ〜……キュウ……》

 

《うむ、遊海の守り番は頼んだぞ?フォウ》

静かに寝息を立てる遊海に語りかけるメガロック…そして、フォウも遊海に寄り添って眠り始めたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【して……お前は休まぬのか?英雄の影よ】

 

『馬鹿野郎…お前を野放しにして休めるか』

 

遊海の精神世界の最奥、遊海は完全に意識を無くして休む中…ボロボロのユウスケはドン・サウザンドを見据えながら座り込んでいた。

 

 

『助けてくれた事は感謝してる…だが、それでお前を信用するほど…(オレ)は甘くねぇ』

 

【ふっ…そうであろうな、我はお前達にとっての仇敵……正しい判断だ】

 

『………なんか調子狂うなぁ……暖簾に腕押しかよ、これじゃあ(オレ)の一人相撲じゃねぇか』

ドン・サウザンドを信用せず、精神世界内での見張りを続けるユウスケ…だが、ドン・サウザンドは大きな動きは見せず……むしろ、遊海を助けた事でユウスケは溜息を吐いた…。

 

 

 

『……はぁ………少し寝る…我も休まなきゃ、遊海も全快できねぇ』

 

【そうか、休める時に休むのだな】

 

『(たくっ…ダークネス以上に考えが読めねぇ……)』

教会の長椅子に寝転び、ユウスケも休息を取る……そしてすぐに意識は深く落ちていった…。

 

 

 

 

 

 

 

【………絆、か……九十九遊馬…アストラル、ナッシュ、天城カイト……我は奴らの絆…希望の前に敗れた……我にも、仲間とやらがいれば………いや、ありえんな】

玉座に座りながら呟くドン・サウザンド…その時だった。

 

 

キィン─!

 

 

【むっ…?貴様は…】

 

《…………》

教会の中に静かに赤い光が満ちる…その中から現れたのは、シグナーを導く神…赤き竜だった。

 

 

 

【フン…人間の善意の化身、赤き竜とやらか……お前の使徒を穢す我を排除しに来たのか?今の我ならば…お前にも簡単に敗れるであろうな?】

自身を見つめる赤き竜に語りかけるドン・サウザンド…だが…。

 

 

《キュオォォオン…》

 

【………何をしに来たのだ?】

静かに一鳴きすると赤き竜は姿を消したのだった。

 

 

【我を排除する必要はないと?……ずいぶんとおおらかなのだな、赤き竜とは……】

赤き竜を見送ったドン・サウザンドは頬杖をつきながら、つまらなさそうに目を閉じた…。

気まぐれアンケート 好きなライバルのエースモンスターは?

  • 青眼の白龍
  • 真紅眼の黒竜
  • おジャマ・イエロー
  • レッド・デーモンズ・ドラゴン
  • CNo.101
  • DDD死偉王ヘル・アーマゲドン
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